リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況や経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなリスク要因が存在します。
また、これらのリスクに該当しない事項であっても、投資者の投資判断に資する情報開示の観点から、重要と判断される事項については開示しております。当社グループは、これらリスクの発生可能性を認識し、発生の回避および発生時の適切な対応に努めております。
なお、文中の将来に関する記述は、当連結会計年度末現在において当社グループが合理的に判断したものであり、将来の状況変化により実際とは異なる結果となる可能性があります。また、以下に記載する内容は、当社グループに関連する全てのリスクを網羅するものではありません。
(1) 法的規制等、事業環境に関するリスク
① 社会保険労務士の動向
当社グループの主要顧客である社会保険労務士事務所は、社会保険労務士法に基づき、社会保険および労働保険の手続代行業務を専業で行っております。今後、規制緩和により他士業の参入が進んだ場合や、情報技術の進展等により社会保険労務士の業務量に変化が生じた場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 労働保険事務組合の動向
労働保険事務組合は厚生労働大臣の認可を受け、事業主から委託された労災保険および雇用保険の手続・保険料納付を代行しております。政府方針の変更等により認可件数が減少した場合には、同組合向けにサービスを提供している当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 関連法令の改正対応
当社グループの提供するシステムは、社会保険・労働保険関連法令の改正に応じて迅速に対応する必要があります。大規模な制度変更が発生した場合には、システムの大幅な改修を伴う可能性があり、これに伴うコスト増や対応遅延が、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 電子申請制度の変動
当社はe-Gov電子申請システム等、各種電子申請制度に対応したサービスを提供しており、これまで継続的な制度変更への対応を行ってまいりました。しかしながら、今後、制度や技術仕様の大幅な変更があった際に、情報収集や対応が遅れた場合、競合他社との競争力に影響を及ぼし、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(2) サービス提供に関するリスク
① 外部からのインターネットデータセンターへの攻撃
当社グループは、インターネットを活用したサービスを提供しており、外部からのサイバー攻撃のリスクに常に晒されています。サイバー攻撃は年々高度化・巧妙化しており、事業継続性や顧客信頼に重大な影響を及ぼすおそれのある深刻な脅威です。
当社グループは過去に外部からのサイバー攻撃を受けた事例があり、その際には適切な調査と再発防止策の徹底を図ってまいりました。現在においても、不正アクセスの防止や情報漏洩対策を目的として、セキュリティ強化や監視体制の整備等、多層的な防御策を講じております。
しかしながら、今後、想定を超えるサイバー攻撃により防御体制が機能不全に陥った場合には、サービスの提供停止、顧客離れ、損害賠償の発生等を通じて、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 情報システムの故障・不具合
当社グループでは冗長化(注1)されたインフラ設計を採用し、障害発生時の影響を最小限にとどめる体制を整備しています。しかしながら、障害検知の遅延や切替え失敗、障害箇所の特定困難といった冗長化に伴うリスクが存在し、またソフトウエアやファームウエア(注2)のバグ、不具合によるサービス停止の可能性も否定できません。これらが現実化した場合、主力のASPサービスが停止し、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報管理
当社グループは、社会保険・労働保険等に関連する人事・給与情報を含む多量の個人情報、特にマイナンバーを含む特定個人情報を管理しています。情報漏洩は重大な信用毀損および損害賠償リスクを伴います。従業員や開発協力会社からの内部不正やヒューマンエラー、外部からの攻撃等を完全に排除することは困難であり、情報漏洩が発生した場合には当社グループの業績や財政状態に深刻な影響を与える可能性があります。
④ システム障害
当社のサービスはAmazon Web Services (AWS) を基盤としており、障害監視体制や冗長構成を導入しております。しかしながら、AWSの大規模障害や自然災害、アクセス集中等によりサービス停止が長期化した場合、顧客との信頼関係が損なわれ、損害賠償の発生など当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 知的財産権について
当社開発のソフトウエアが第三者の知的財産権を侵害するリスクや、知らずに特許等を侵害している場合の訴訟リスクがあります。訴訟対応費用や使用差し止めの影響等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ ライセンス契約について
一部サービスでは他社ソフトウエアを利用しており、ライセンス契約に依存しています。契約変更や提供停止が発生した場合には、代替手段の確保にコストと時間がかかり、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(3) システム開発に関するリスク
① クラウドサービスにて提供するシステムの開発投資について
クラウドサービス向けシステムの開発コストは資産計上後、複数年にわたって償却されます。しかし、開発投資が当初想定を上回る場合や、収益の拡大が想定よりも進まなかった場合には、償却負担の増加により業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 受託開発にて提供するシステムの開発投資について
顧客企業向けの受託開発業務では、開発の大型化・短納期化が進む中で、品質確保や納期順守が困難となり、結果として想定以上のコストが発生するリスクがあります。外部委託先の品質・生産性が期待に届かない場合にも、業績や財政状態への悪影響が生じる可能性があります。
③ 技術革新に関するリスク
情報サービス業界は技術革新のスピードが速く、当社グループの保有する技術・技能が陳腐化する可能性があります。業界の標準や市場ニーズの変化に迅速に対応できなければ、競争力を喪失し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材及び組織に関するリスク
① 代表取締役社長 三宅 登への依存について
当社及び連結子会社の代表取締役である三宅登は、社会保険および労働保険分野に関する豊富な知識と人脈を有しており、当社グループの事業運営において重要な役割を担っています。現在、権限委譲と組織体制の整備を進めていますが、同氏が何らかの理由で業務執行困難となった場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保・育成について
当社グループは135名の小規模体制(2025年3月末現在)で運営しており、特に優秀なシステム開発技術者の確保と育成が事業継続・拡大に不可欠です。人材採用が計画どおりに進まなかった場合や、重要人材の流出が発生した場合には、事業運営の障害や成長制約となり、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注) 1.冗長化とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように予備装置を平常時からバックアップとして配置し運用しておくことであります。
2.ファームウエアとは、ハードウエアの基本的な制御を行うために機器に組み込まれたソフトウエアのことであります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、企業価値の継続的向上を図るとともに、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要事項の一つとして位置付けております。このような観点から、当社を取り巻く経営環境や以下の配当方針によって剰余金の配当等を決定することとしております。
剰余金の配当につきましては、株主の皆さまへの安定的な利益還元を重視し、各連結会計年度の業績、連結財務状況、今後の事業展開等を総合的に勘案した上で、期末配当を継続的に実施することを基本方針としております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、基本方針のもと、期末配当は1株当たり4円を、2025年6月26日開催予定の定時株主総会で決議して実施する予定であります。
内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化と継続的な拡大・発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。
また、当社は、配当の回数につきましては年1回を基本方針としておりますが、取締役会決議により毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。