リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、必ずしもリスク要因に該当しないと考えられる事項についても、投資家の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、文中将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在(2023年10月27日)において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
① 事業環境について
イ.経済状況や景気動向によるソフトウェア投資の影響について
当社グループの事業は、企業や官公庁等のソフトウェア投資動向に一定の影響を受けます。
当社グループは景気後退期においても一定のソフトウェア投資が行われるグローバル製造業、社会情報インフラ関連企業を中心としてソリューション・サービスの提供を行っておりますが、経済情勢の変化や景気低迷等によりソフトウェア投資が抑制傾向になった場合は、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの受注減少等により当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、経営戦略会議や週次のグループ幹部による会議等で景気動向や顧客からの需要の変化に対する情報の共有や議論を行い対策の実施状況をモニタリングしていくことで対応しております。
ロ.人材確保について
当社グループの属する情報サービス産業は、労働集約型産業といわれており、業容の維持と拡大には人材の確保が必要になります。
当社グループでは、未経験者採用、インターンシップの受入、海外採用、女性・高齢者積極採用等、多様な方法で人材の確保に努めております。
しかしながら、本有価証券報告書提出日におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大により雇用状況は悪化しているものの、IT技術者の不足は継続しており、計画どおりの人材が確保できない場合、当社グループの業容拡大及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、採用担当部門や経営戦略会議等で、採用計画との実績の差異や退職実績等を分析し、必要な対策を随時実行することで対応しております。
ハ.新型コロナウイルス感染拡大に伴うリスクについて
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大について、感染終息までにかかる期間によって影響の大きさは変わりますが、顧客やエンドユーザーの業績悪化によりソフトウェア投資が抑制された場合、当社グループの受注量の減少等により、当社グループの財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、取引金融機関からの機動的な資金調達や、経営戦略会議や週次のグループ幹部による会議等により情報を共有し、必要な対策を随時実行することで対応しております。
② 事業内容について
イ.見積りコストと実績の差及び納期遅延による不採算プロジェクト発生の可能性について
当社グループのシステム開発業務等については、予想工数等に基づき発生コストの見積りを行っております。
当社グループでは、一定金額以上の見積りに対しては技術推進担当役員による受注判定会議を行うことや当社グループ基準である「プロジェクト管理ガイドライン」に基づきシステム開発業務等の進捗に応じた実績コストから予想工数を踏まえた完成時の総コストの予測の見直しを行っており、受注時点の見積コストとの比較を行うことで、受注時の見積りの精度向上に努めております。しかしながら、予期せぬ仕様変更や追加作業等により全てのコストを予測し正確に見積もることは困難であり、実績額が見積額を超えた場合には低採算もしくは採算割れとなる可能性があります。
また、当社グループが顧客との間にあらかじめ定めた期日までに作業を完了・納品できなかった場合又は最終的に作業完了・納品できなかった場合には、見積り超過分のコスト増加又は、作業発生分のコストが当社グループの負担になることに加えて遅延損害金を請求される可能性があります。また、該当案件の評価のみならず当社グループ全体としての信用度を低下させた場合、契約の解除、取引制限等を負う可能性があり、当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、プロジェクト管理の徹底や、各工程での検査に加え、経営戦略会議等でモニタリングを実施することで、リスクの早期発見、対策をしていくことで対応しております。
ロ.納品後の不具合について
当社グループのシステム開発業務等については、納品前に様々な検査を行いますが、納品後に不具合等が発生する可能性があります。
当社グループでは当社グループ基準である「品質管理ガイドライン」に基づき品質の管理と向上に努めております。しかしながら、納品後に不具合が発生した場合、不具合の対応・修正によるコストの増加に加えて当社グループ過失によるシステムの不具合が顧客に損害を与えた場合には、損害賠償請求を受ける可能性があります。また、該当案件の評価のみならず当社グループ全体としての信用度を低下させた場合、契約の解除、取引制限等を負う可能性があり、当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、「品質管理ガイドライン」に基づく各工程の検査でリスクを早期発見することで対応しております。
ハ.待機工数について
当社グループの売上原価の大部分は、技術者に関わる人件費で構成されており、当社グループ従業員の人件費は固定費になっております。
経済状況の変動等により当社グループの受注量が急減して当社グループの従業員の稼働率が低下した場合、待機工数になる従業員の人件費は固定費として一定のコストがかかります。
また、安定して受注がある状況下でも、案件に必要な技術と従業員の持つ技術の不一致により案件に従事できない期間や案件終了後、次の案件に従事するまでの期間、新入社員が業務を行うまでの教育期間等は、待機工数として一定のコストがかかります。
当社グループでは、取引先との長期・安定的な取引関係を構築し、顧客の多様化を図ることで外部環境に左右されづらい収益構造の構築に努め、顧客からソフトウェア投資計画や技術者需要を確認することで待機工数の最小化に努めておりますが、今後、外部環境の変動等により、当社グループの受注量が急減し、待機工数が増加した場合、当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、経営戦略会議等で待機工数の計画と実績をモニタリングし、随時対策を行うことで対応しております。
ニ.経営成績の季節変動について
当社グループの総合情報サービス事業は、一般に3月決算の企業の各四半期末、特に3月に検収が集中することにより、売上と利益が集中する傾向にあります。また、連休等により稼働日数の少ない1月、5月、8月、12月は、稼働時間により対価の支払いが行われる派遣契約等で売上が減少するのに対して、人件費は概ね均等に推移することから利益が減少する傾向にあります。
従いまして、当社グループにおいては3月の属する第3四半期に売上及び利益が集中し、連休などにより稼働日数が減少する第1四半期、第2四半期には利益が減少する傾向にあります。
当社グループにおいては、稼働時間の調整等により利益の平準化を図っておりますが、短期開発案件の集中度合いや仕様変更、検収不合格による再検査等の不測の事態の発生等により検収遅延が発生した場合、当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、プロジェクト管理の徹底に加え、技術者の稼働時間のモニタリングと管理を行うことにより、リスクの早期発見と対策を行うことで対応しております。
前連結会計年度(自 2021年8月1日 至 2022年7月31日)
当連結会計年度(自 2022年8月1日 至 2023年7月31日)
(注)2022年11月1日に行われたつくばソフトウェアエンジニアリング株式会社との企業結合について、第2四半期連結会計期間において暫定的な会計処理を行っておりましたが、第4四半期連結会計期間において確定しており、第2四半期及び第3四半期の関連する数値について暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。
ホ.企業買収について
当社グループは、積極的に企業買収を推進しており、既存事業との相乗効果を高めることや業容の拡大により成長と企業グループ価値の向上を目指していく方針であります。
また、債務超過の企業を買収し、当社グループの事業ノウハウを活かした事業の改革と既存事業との相乗効果により事業の黒字化と対象企業の価値を向上させることも企業買収戦略の一つとしていることから通常の企業買収よりも投融資額が回収できないリスクが高いと認識しております。
企業買収案件の検討にあたっては、当社グループの事業ノウハウが活かせる、又は既存事業との相乗効果を発揮でき企業グループの価値向上に寄与できるかの検討と、デューデリジェンス等の機会を通じて、事業構造や契約関係、財務内容等を精査することでリスク及び回収可能性を事前に十分に検討・評価した上で、投融資の判断を行っております。しかしながら、企業買収後に従業員の離散等による企業価値の逓減、未認識債務、訴訟、法的規制等の未認識リスクが顕在化した場合、又は、外的要因や当社グループの事業ノウハウが十分活かせず、改革が進行しない等の理由により投融資時の目論見どおりに事業計画が進行せず、投融資額が回収できないと判断された場合には、のれん及び固定資産の減損、貸倒引当金が計上されること等により当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、取締役会等で、投資計画と実績の差異をモニタリングし、投融資計画を下回る又はリスクが顕在化した場合は随時対策を行うことで対応しております。
ヘ.法的規制について
当社グループは事業内容の一部において「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、労働者派遣法)」に基づく労働者派遣事業の許可を受け、労働者派遣による情報サービスの提供を行っております。
当社グループ会社の同法に基づく許可の概要は、下記の通りです。
労働者派遣法においては、同法に定める派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)に該当した場合や、当該許可の取消事由(同第14条)に該当した場合には、事業の全部又は一部の停止を命じることや、許可の取消し等ができる旨が定められております。
当社グループは、グループ従業員に対する定期的な教育や内部監査等により法令遵守を徹底し、当該法的規制等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により、派遣元事業主としての欠格事由及び当該許可の取消事由に該当し、業務の全部もしくは一部の停止処分を受けた場合、又は法的な規制が変更になり、適切な対応ができなかった場合は、当社グループの事業活動及び財務状況、業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、グループ役職員に対する定期的なコンプライアンス教育を実施していくことで対応しております。
ト.海外事業展開について
当社グループの海外事業は、政治的・社会的変動、為替等の経済動向、予期しない法律又は規制の変更、日本とは異なる法律慣習や商慣習、文化や慣習の違いから生ずる労務問題等、さまざまな要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、取締役会等でモニタリングを実施していくことで対応しております。
チ.顧客機密情報、個人情報の情報漏洩について
当社グループは、総合情報サービスを提供する過程において、顧客の機密情報並びに個人情報等を取り扱う場合があります。
当社グループの主要子会社においては「プライバシーマーク」及び「ISO27001(情報セキュリティ・マネジメント・システム)」認証の取得・維持を行っており、他子会社についても役職員からの「機密保持誓約書」の取得をするとともに業務委託先とも「秘密保持契約書」を締結しており、また、定期的な社内教育を通じての啓蒙活動を行う等、認証取得企業と同様の管理を行っております。また、万一の情報漏洩に備えて保険の付保等の対策も講じております。
しかしながら、万が一これらの情報の紛失や漏洩等が発生した場合には、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求等により、当社グループの事業活動、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、情報セキュリティ委員会等で情報セキュリティの管理状況のモニタリングを実施していくことで対応しております。
リ.知的財産権について
当社グループの事業活動において、顧客又は第三者より知的財産権の侵害による損害賠償及び使用差し止め等の訴えを起こされた場合、あるいは特許権実施に関する対価の支払いが発生した場合、当社グループの事業活動、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、他社の知的財産権の調査、確認やソフトウェア・ライセンスの管理等により対応しております。
ヌ.自然災害及びシステム・ネットワーク障害について
当社グループが事業を展開する主要な地域における大規模な地震、火災等の自然災害や、戦争、テロ、重大な伝染病の流行により、人的被害又は物的被害が生じた場合、また、当社グループが使用、又は当社グループが納品、運用等を行っている顧客が利用するシステムやネットワークに障害が発生した場合、当社グループの事業活動、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
そのリスクに対しましては、それらが発生した場合や発生するおそれが生じた場合に備え、事業所間のデータのバックアップや安否確認訓練等の実施や事業継続計画書の改善に取り組んでおります。
配当政策
3 【配当政策】
株主の皆様への配当方針につきましては、株主に対する利益還元を重要な経営課題として位置付け、更なる事業拡大を図るために内部留保を確保しつつ、当社の株式を長期的、安定的に保有していただくため、安定配当を維持していくことを念頭に置き、当期の収益状況や今後の見通し、配当性向などを総合的に勘案して決定すべきものと考えております。
当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、配当決定機関は株主総会であります。
第10期連結会計年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり8.0円の配当としております。内部留保金の使途につきましては、企業基盤の強化、今後の事業の拡充、戦略的な事業投資などに充てることにより、業績の向上に努め、財務体質の強化を図るなど株主の皆様のご期待に沿うよう努めてまいります。
なお、当社は、会社法第454条第5項に定める中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
基準日が第10期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。