2023年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.リスク管理体制

 代表取締役が責任者となって各部門にてリスク管理を行い、重要なものについては取締役会への報告を行うことで、情報の収集及び共有を図られ、リスクの早期発見及び未然防止に努めております。

 

2.重要な事業等のリスク及びその対応策

(1)特定サービスの収益依存について

 当社グループの主な収益は「Wantedly Visit」への募集掲載などを管理するシステム利用料であり、収益依存度が高い状況であります。前述の通り、求人市場における他の媒体との競合激化等により、「Wantedly Visit」の利用による収益が減少した場合には、当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、当該サービスへの依存度を低くするため、ビジネスSNSにおける様々なサービスにて、収益源(マネタイズポイント)の多様化を企図しております。

 

(2)求人市場の動向による業績変動について

 営業収益は、主に求人を企図する企業からのシステム利用料であり、求人企業の人員計画により業績変動の影響を受ける場合があります。当サービスの運営に当たり、事業年度末及び就職活動シーズン等による求人ニーズの変動について認識しておりますが、想定を超えて上方又は下方へ変動した場合、当社グループ事業の業績に影響を与える可能性があります。また、求人市場及び雇用情勢の動向による影響も受け易いため、関連する市況が上方又は下方へ変動した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、当該サービスへの依存度を低くするため、ビジネスSNSにおける様々なサービスにて、収益源(マネタイズポイント)の多様化を企図しております。

 

(3)個人情報保護について

 当社グループは、求職者の応募情報や名刺に記載される個人情報を取得しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。

 当社グループは、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、アクセスできる社員を限定すると共に、個人情報適正管理規程等を制定し、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインを遵守し、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。

 しかしながら、当社グループが保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえません。従いまして、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社グループへの損害賠償請求または信用の低下等によって、当社グループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得し、社内で運用する他、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じております。

 

(4)組織体制及び人材の確保・育成について

 当社グループは、今後の事業展開に応じて、従業員の育成及び人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針であります。しかしながら、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由によりこれらの施策が計画どおりに進行しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループは、社員が働きやすさとやりがいを持って働けるよう、事業の成長を通して本人が挑戦し成長できる環境を作り、魅力的な人事制度の構築を継続的に推進してまいります。

 

(5)代表取締役の依存について

 代表取締役である仲暁子は、当社グループの創業者であり、創業以来代表取締役を務めております。同氏は、インターネット関連事業及びWebマーケティング等に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

 何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

2.その他の事業等のリスク及びその対応策

(1)インターネット関連市場について

 当社グループは、インターネット上においてビジネスSNS事業を提供していることから、PCやモバイル端末等の通信機器の普及、通信ネットワーク回線の増強等により、インターネットの利用環境が引続き整備されていくと共に、同関連市場が今後も拡大していくことが事業展開における前提条件であると考えております。

 当社グループは、今後PCとモバイル端末の両面でより安価で快適にインターネットを利用できる環境が整い、情報通信や商業利用を含むインターネット関連市場は拡大を続けるものと見込んでおります。しかし、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信事業者の動向など、当社グループの予期せぬ要因によりインターネット利用環境の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)ソーシャルメディアへの対応について

 当社グループが運営するサイトの利用者のうち一定の割合は、特定のソーシャルメディアからの流入であり、今後につきましてもソーシャルメディアからの流入をより強化すべくソーシャルメディアとのサービス連携強化を実施していく予定でおります。

 しかしながら、ソーシャルメディアによるAPI(ソフトウェアやシステムの連携)制限や各種規約の変更等何らかの要因により、これまでの連携が有効に機能しなかった場合、また、今後の連携が限定された場合、当社グループサイトへの流入が想定を下回り、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当サービスにおいては流入経路の多様化を行ってまいります。

 

(3)競合について

 当社グループは、ビジネスSNS事業を主たる事業領域としておりますが、その中でも主なサービスである「Wantedly Visit」は求人情報メディア、人材紹介会社等が競合となります。当該分野は既に多くの企業が事業展開していることに加え、参入障壁も低く、競合が激しい状況にあります。今後において十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、新規参入等により競争が激化した場合には、当該事業及び当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当サービスにおいては、給与等の条件でのマッチングするのではなく、ビジョンや価値観への共感でマッチングすることにより、そのサービスの在り方そのものから差別化を図ってきております。また登録ユーザのプロフィールの蓄積や採用ニーズの旺盛な高いエンジニア・デザイナーの比率が高いことが優位性につながっております。

 

(4)求人募集要項の表示について

 利用企業が「Wantedly Visit」への募集掲載にあたり、風紀を乱し犯罪を誘発するような求人募集要綱が掲載されてしまう恐れがあります。違反するような求人募集要項の掲載が行われた場合や求人募集要項に対して異なる印象を受ける個人ユーザが増加した場合に、レピュテーション等の影響も含めて、当社グループの事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、「Wantedly Visit」で掲載される求人募集要項に関して、「表記規程」、「コンテンツ・クオリティ・ガイドライン」を公表しこれらの遵守を求めています。また、「チェックリスト」等の運用ルールを設けており、その徹底を図ることで当社グループのビジョンの浸透、法令遵守及び公序良俗の維持に努めております。

 

(5)海外展開について

 当社グループは、シンガポールに子会社を有しており、将来的に海外事業を拡大する可能性があります。海外展開に際してはその国の法令、制度、政治、経済、商慣習の違い、為替等の様々な潜在的リスクが存在しております。将来的に海外事業を拡大する際には、当該リスクを最小限にするために、事前に十分な対策を講じてまいりますが、それらのリスクに対処できなかった場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでおります。

 

(6)事業拡大に伴う投資について

 今後予測されるユーザ数及びアクセス数の拡大並びに海外展開及びセキュリティの向上に備えて継続的な投資を計画しておりますが、実際のユーザ数及びアクセス数が当初の予測から大幅に乖離する等、計画通り進捗しなかった場合には、追加投資を行う可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、サービスの安定稼働やユーザ数満足度の向上を図るために、サービスの成長に即してシステムやインフラに対する先行投資を行ってまいります。

 

(7)システム障害について

 当社グループの事業は、PCやコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績に深刻な影響を及ぼします。また、サイトへの急激なアクセス増加や電力供給の停止、外部からの不正アクセス等の予測不可能な様々な要因によってシステム障害が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループは、監視システムの利用に加えて組織的・人的な対策と多層防御による技術的対策に取り組んでおります。

 

(8)知的財産権について

 当社グループは、第三者の知的財産権侵害の可能性については、弁護士等と連携し調査によって確認した限りにおいて現時点で侵害はないものと認識しておりますが、当社グループの認識していない知的財産権等が既に成立している可能性があります。このような場合においては、当社グループが第三者の知的財産権等を侵害したことによる損害賠償請求や差止請求等、又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受ける可能性があります。その際には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、知的財産権に対する体制の整備・強化を図るとともに、社員への教育・研修を通じて意識向上に努めています。なお、当社グループが保有する知的財産権については、重要な経営資源としてその保護に努めています。

 

(9)法的規制等について

 当社グループの事業を規制する主な法規制として、「電気通信事業法」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」という。)及び「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(以下「不正アクセス禁止法」という。)があります。

 電気通信事業法については、通信の秘密の保護等の義務が課されております。また、当社グループは、プロバイダ責任制限法における「特定電気通信役務提供者」に該当し、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信による情報の流通において他人の権利の侵害があった場合に、権利を侵害された者に対して、権利を侵害した情報を発信した者に関する情報の開示義務を課されております。

 不正アクセス禁止法については、「アクセス管理者」として、努力義務ながら不正アクセス行為からの一定の防御措置を講じる義務が課されております。

 これら関連法令において、当社グループが想定しない形で損害賠償請求等を受ける可能性があります。

 その他、インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきている状況にあり、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を対象として、新たな法令等の制定や、既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、当社グループは、これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育の継続的な実施や管理体制強化を推進してまいります。

 

(10)その他訴訟、係争の可能性について

 当社グループでは、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、係争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、法令及び契約等の遵守のため、コンプライアンス規程を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。

 

(11)内部管理体制について

 当社グループは、2012年2月のサービス提供開始から、未だ成長途上にあると考えており、今後の事業及び経営成績を予測する上で必要な経験等が十分に蓄積されていないものと考えております。今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 このようなリスクを踏まえ、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令遵守を徹底してまいります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の1つとして位置付けております。将来の事業展開と経営体制の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、期末配当として年1回の剰余金の配当を安定的かつ継続的に実施していく

ことを基本方針としております。

 当事業年度の配当(初配)につきましては、当事業年度の業績及び今後の経営環境、将来のための成長投資等を総合的に判断し、1株当たり20円としました。

 なお、当社は期末配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。

 当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年10月25日

取締役会決議

189,947

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