2025年2月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

コンサルティング事業 イノベーション事業 DX・地方共創事業
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
コンサルティング事業 2,914 96.4 629 134.9 21.6
イノベーション事業 53 1.8 -149 -32.0 -281.7
DX・地方共創事業 57 1.9 -13 -2.9 -23.5

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、コンサルティング事業、イノベーション事業及びDX・地方共創事業の三つの事業セグメントで構成されており、各事業の強みや営業基盤を共有、または補完し合いながら事業を運営しています。業界とその業務内容を熟知した上で、お客さまの立場に立って、具体的な経営・業務課題の解決策を立案して自ら実行することで、付加価値の高いサービスや製品を提供しています。

 

(コンサルティング事業)

金融業界の企業を中心に、経営・業務課題を解決することに主眼を置いたコンサルティングサービスを提供しています。準委任契約や派遣契約にて、お客さまの一員としてプロジェクトマネジメント支援やIT部門のプロジェクト推進の支援として、課題の特定、解決策の立案から実行までを一貫して行い、お客さまのプロジェクト推進をサポートしています。

 

(イノベーション事業)

独自開発の人工知能「SPAI」や様々な要素技術を研究し、設置型AI搭載レジ「ワンダーレジ」をはじめ社会問題の解決に資する製品・サービスを開発、販売しています。また、JR東日本スタートアップ株式会社と合弁で株式会社TOUCH TO GOを設立し、同社を通じてイノベーション事業の研究開発の成果を応用した無人決済システム「TTG-SENSE」等を開発、販売しています。

 

(DX・地方共創事業)

 当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)技術やオープンイノベーションを活用して生み出した製品・ソリューションを販売しています。また、お客さまの経営課題・業務課題に対してITやDXの専門的見地からのアドバイスや最適なソリューションの提供、解決策の実効まで一貫したコンサルティングサービスを提供しています。

 

以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

 


業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績・財政状態に関する概況

① 経営成績の状況

当事業年度における当社を取り巻く経営環境は、エネルギー価格の上昇や食料品をはじめとする幅広い品目で物価上昇が続き、実質所得がマイナスとなり個人消費の低迷を招いています。また、外国主要国の不透明な経済政策の動向が日本経済に与える影響を注視する必要があります。

当社の主要な事業領域である金融業界においては、政策金利の上昇により銀行をはじめとする金融業全体で業績向上の期待が高まっています。一方で、特に地域銀行では、長期的な視点から生き残りをかけて、従来の営業範囲を超えた提携や統合の検討が水面下で進められているものと思われます。一般事業会社においては、人手不足と継続的な賃上げに加えて、物価上昇によるコスト増加への対応として、DXによる生産性と付加価値を高める施策のニーズが高まっています。

このような環境の中、当社は2025年2月期を、成長を再加速させる転換期と位置づけ、各事業間の連携を強化して収益機会を高めるとともに、社会のDXを加速させることをテーマにサービスの付加価値を高める諸施策を実行してまいりました。

これらの結果、売上高3,023百万円(前期比3.2%増)、利益面は、第4四半期に中途採用強化策の推進や新ソリューション開発に伴う費用の増加等があったものの、通期では増収による売上総利益の増加によって営業利益200百万円(前期比96.6%増)、経常利益197百万円(前期比108.5%増)、法人税等調整額(益)を62百万円計上したこと等により当期純利益257百万円(前期比99.7%増)となりました。

 

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりです。

(コンサルティング事業)

銀行の基幹システム移行・統合プロジェクトの支援業務の受注が堅調に推移しました。第4四半期会計期間においては、二つの地域で地域銀行のシステム統合プロジェクトを完了しました。また、証券、信託銀行及び保険等幅広い業種でプロジェクト推進支援やIT部門の業務推進支援の受注も堅調でした。

これらの結果、売上高2,913百万円(前期比3.3%増)、増収と外注費の減少を主因にセグメント利益629百万円(前期比27.2%増)となりました。

(イノベーション事業)

書店向けセルフレジ「ワンダーレジ-BOOK」及びコンパクトPOSセルフレジ「EZレジ」(イージーレジ)を販売しました。また、EC販売の業務フローを効率化するソリューションを開発し、サービス提供を開始しました。これらのほか、書店の課題解決を目的に「書店活性化コンソーシアム」を立ち上げ、リテールテック企業とのオープンイノベーションを促進し、書店再生に資するソリューションの創造に取り組んでいます。

関連会社の株式会社TOUCH TO GO(以下「TTG」という。)については、同社の無人決済システムに「TTG-SENSE」シリーズの販売に関するロイヤリティを計上しました。無人決済システム「TTG-SENSE」は2020年3月にJR高輪ゲートウェイ駅内の自営店舗で初めて稼働した後、無人店舗の出店ニーズに応えるため「TTG-SENSE MICRO」「TTG-SENSE SHELF」を開発してバリエーションを増やし、2024年10月までに累計100か所以上に導入されています。

これらの結果、売上高53百万円(前期比32.1%減)、固定費を見直しコスト削減に努めた一方で、第4四半期会計期間において新ソリューションの開発費用を計上したことによってセグメント損失149百万円(前期はセグメント損失154百万円)となりました。

 

(DX・地方共創事業)

中堅・中小企業のDXを支援する「DX伴走支援サービス」を開始し、本サービスの最初の取り組みとして株式会社第四北越銀行の「DX宣言策定支援サービス」のDX宣言書作成を支援しています。加えて、DX宣言書を作成した顧客に対して、その後のDXプロジェクトの立ち上げから遂行までを当社が一貫して支援することをねらい、提案力の強化を目的に同行とビジネスマッチング契約を締結しました。また、これらのサービスの付加価値と生産性向上をねらったソリューションや業務ツールの開発を進めてきました。これらのほか、顧客企業の経営戦略・経営施策策定の支援や業務のDX化プロジェクトの推進を支援しました。

これらの結果、売上高56百万円(前期比86.1%増)、新ソリューション等の開発コストを計上したことによってセグメント損失13百万円(前期はセグメント損失百万円)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

資産合計は2,897百万円となり、前事業年度末と比べて296百万円増加しました。

流動資産は2,176百万円となり、前事業年度末と比べて217百万円増加しました。これは主に、棚卸資産の簿価切下によって仕掛品が百万円及び原材料及び貯蔵品が14百万円減少した一方で、営業活動による収益と金融機関からの借入によって現金及び預金が327百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は720百万円となり、前事業年度末と比べて78百万円増加しました。これは主に繰延税金資産を62百万円追加計上したこと等によるものであります。

(負債)

負債合計は1,094百万円となり、前事業年度末と比べて39百万円増加しました。

流動負債は582百万円となり、前事業年度末と比べて12百万円減少しました。これは主に採用活動の施策推進やソリューション開発によって未払金が31百万円増加した一方で、買掛金が35百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は512百万円となり、前事業年度末と比べて51百万円増加しました。これは主に社債が100百万円減少した一方で、長期借入金が137百万円増加したこと等によるものであります。

(純資産)

純資産合計は1,803百万円となり、前事業年度末と比べて257百万円増加しました。これは主に当期純利益257百万円の計上により繰越利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,708百万円(前事業年度末に比べて327百万円増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは316百万円の収入(前事業年度は49百万円の収入)となりました。これは主に仕入債務の減少35百万円等の資金の減少要因があった一方で、税引前当期純利益196百万円を計上したことに加えて、売上債権及び契約資産の減少81百万円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは16百万円の支出(前事業年度は26百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは27百万円の収入(前事業年度は41百万円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出59百万円及び社債の償還による支出110百万円等の資金の支出があった一方で、長期借入よる収入190百万円等によって資金が増加したことによるものであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

 

② 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

コンサルティング事業

2,601,509

△15.2

536,926

△36.8

イノベーション事業

47,510

△46.0

20,063

△21.7

DX・地方共創事業

62,309

89.8

8,307

225.5

合計

2,711,329

△15.0

565,297

△35.6

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

③ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

コンサルティング事業

2,913,885

3.3

イノベーション事業

53,076

△32.1

DX・地方共創事業

56,554

86.1

合計

3,023,515

3.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社ジェーシービー

588,420

20.1

556,923

18.4

 

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成していますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債及び収益・費用の数値に反映されております。

これらの見積りについては、継続評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

当社の財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下であります。

(固定資産の減損)

当社は保有する固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額された金額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の判定及び回収可能価額の前提となる将来キャッシュ・フローについては、一定の仮定をおいて算出しています。今後の経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローへの重要なマイナスの影響がある場合には、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

(関係会社株式の評価)

市場価格のない関係会社株式の実質価額が著しく低下した場合の減損処理の要否については、将来の事業計画に基づく回収可能性により判定しています。実質価額が著しく低下し、将来の不確実な経済条件の変動などによって将来の事業計画に基づく回復可能性がない場合には、関係会社株式評価損の計上が必要となり、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

(繰延税金資産の回収可能性)

a.当事業年度の財務諸表に計上した金額の算出方法

将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の業績予測に基づく課税所得の発生時期及び金額を見積り、繰延税金資産の回収可能性を判断し算出しております。

b.当事業年度の財務諸表に計上した金額の算出に用いた主要な仮定

将来の課税所得の算定に際しては、取締役会で承認された翌事業年度の事業計画に対して、確度を勘案した受注見込、労働市況を勘案した採用可能性、当社の過年度の粗利率、販売費及び一般管理費推移等を勘案し、各項目にストレスを付加した上で課税所得見込みを算定しております。

c.翌事業年度の財務諸表に与える影響

将来の課税所得の見積りを算出するにあたり使用した仮定は合理的であると判断し繰延税金資産を計上しておりますが、将来予測不能な環境変化により前提条件が大きく異なる場合、翌事業年度の財務諸表において、繰延税金資産等の金額に重要な影響を与える可能性があります。

(継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断)

当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。経営環境の変化等により将来のキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績の分析

a.売上高

主にコンサルティング事業において、既存得意先からの受注が堅調に推移したこと等により売上高は前期比3.2%増加の3,023百万円となりました。

b.売上原価及び売上総利益

主にコンサルティング事業において、従業員の増加や待遇改善により人件費が増加したほか、棚卸資産の簿価切下による売上原価の増加要因があった一方で、外注費の減少等を主因に、売上原価は前期比1.8%減少の2,089百万円となりました。加えて増収により売上総利益は前期比16.4%増加の934百万円となりました。

c.販売費及び一般管理費及び営業利益

イノベーション事業及びDX・地方共創事業においてソリューション開発に関する業務委託料が増えたほか、採用活動の強化による人材採用費の増加により販売費及び一般管理費は前期に比べて4.7%増加の734百万円となりました。一方で、売上総利益の増加により営業利益は前期に比べて96.6%増加の200百万円となりました。

d.当期純利益

繰延税金資産を62百万円追加計上し、この同額を法人税等調整額(益)に計上したこと及び段階利益が増加したこにより、当期純利益は前期に比べて99.7%増加の257百万円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「(1) 経営成績・財政状態に関する概況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社の営業活動に関する資金需要のうち主なものは、コンサルティング業務やソリューション開発に従事する役職員の人件費、パートナー企業への委託料等、販売及び営業活動によるものであります。また、当社の投資活動に関する資金需要のうち主なものは、研究開発活動、関係会社への投融資及び資本業務提携に伴う株式投資等であります。これらの資金は、主に営業活動で得られた資金及び手元資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行、資本市場からの調達をすることがあります。

当事業年度においては、社債の償還及び長期借入金の返済が169百万円があった一方で、フリー・キャッシュ・フローが300百万円のプラス、長期借入れによる収入190百万円があった結果、当事業年度末時点の現金及び現金同等物の残高は1,708百万円(前事業年度末比327百万円増)となりました。財政状態については、自己資本比率62.2%(前事業年度末比2.8ポイント増)、流動比率374%(前事業年度末比44ポイント増)となり、事業の円滑な運営に必要な流動性を十分に確保するとともに、経営環境が急変した場合に事業継続に必要となる支出にも機動的に対応可能な水準の手元流動性を確保していると考えております。

 

⑤ 次期の経営方針

2026年2月期は、収益力の回復によって得られた投資余力を既存事業の基盤強化と次の成長につながる種まきに充てる方針です。特に人的資本への投資と新ソリューション開発に経営資源を重点的に配分します。

コンサルティング事業では、コンサルタントの稼働が高水準で続き収益を牽引している一方で、人員の逼迫からお客さまのニーズに十分に応えられず、機会損失が生じています。また、品質を維持するための体制の確保とコンサルタントの負荷軽減が課題となっています。これらの状況から、コンサルタントの増員と育成が急務として、転職エージェントへの紹介手数料を見直す等して即戦力人材の採用を強化しています。このほかにも、金融以外の業界の顧客開拓にも引き続き取り組んでまいります。イノベーション事業では、EC販売の業務効率化ソリューションの機能向上とこれを核にしたビジネスモデル構築及び販売拡大に取り組みます。また、リテールテック企業との協業を広げて小売事業者への提案力強化を図り、お客さまの課題解決の支援に取り組んでまいります。DX・地方共創事業では、DX宣言書を作成した一般事業会社の顧客から引き続きDX伴走支援コンサルティングサービス業務を受注し、これの推進に注力してまいります。また、DX宣言書作成サービスをきっかけにした新規顧客開拓及び営業活動地域の拡大に取り組み、業容拡大を進めてまいります。これらに加えて、社内の全ての業務において生成AIを積極的に活用して生産性向上を図るとともに、将来的な収益化やサービス品質向上を見据えてノウハウや効果の蓄積に取り組んでまいります。

これらの結果、2026年2月期の業績見通しは、売上高3,400百万円(前期比12.5%増)、利益面では、採用活動費やソリューション開発に関する費用増加があるものの、コンサルティング事業とDX・地方共創事業の売上総利益増加によって営業利益220百万円(前期比10.0%増)、経常利益212百万円(前期比7.2%増)、法人税等調整額(益)の計上により当期純利益249百万円(前期比3.0%減)を見込んでいます。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。