2025年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

1 リスクマネジメントの考え方

当社では、リスクマネジメントを「リスクの顕在化に備えて、リスクの特定、分析および評価を行い、当社グループの財務的状況や社会的信用に与える影響度に応じて、予防および軽減の事前準備の対策をとること」と定義し、以下の取り組みを行っております。

① 具体的リスクを積極的に予見し、これを定期的に評価し、最小のコストで最良の結果が得られるよう、その回避、軽減、その他必要な措置を講じ、必要に応じて対応を検討すること

② リスクマネジメントを確実に実施するため、リスクに関わる情報収集を行うこと

③ リスクの顕在化に備えて、計画を立てて、教育訓練を実施すること

これらにより、リスクへの適切な対応を進めてまいります。

 

2 主要なリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、ここに記載した事項は、当連結会計年度末現在において当社グループがリスクとして判断したものでありますが、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1)経営判断や事業戦略に関するリスク

①市場環境

当社グループが販売する製品群は、事業を展開する市場において、国内外の競合企業による当該市場への参入、安価な輸入品の流入など、様々な理由により今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想されます。また、吸水性樹脂事業の主要な市場の一つである中国においても、価格競争、現地メーカー製品の品質向上などによる吸水性樹脂のコモディティ化や出生数の低下などにより当社グループの競争環境が激化する可能性があります。当該リスクへの対応策として、コストの削減、製品品質の向上および新製品開発による製品競争力の強化や市場分析による販売力の向上に努めております。

 

②原材料調達

当社グループの購入する原材料の一部は、特定の購入先に依存しております。当該リスクへの対応策として、購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めておりますが、原燃料等の仕入価格は、需給バランスや市況により急激な価格変動を起こすことがあり、仕入価格が急激に上昇した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③為替レート変動

当社グループは、グローバルに生産販売活動を展開しており、為替の変動が外貨建て売上や原材料の調達コストに影響を及ぼします。連結財務諸表作成上、海外の連結子会社の業績は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。特に、人民元レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、為替予約などによりリスクを最小限にするように努めております。

 

④固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等により投資額の回収が見込めなくなった場合、その認識時点において減損損失を計上することで、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤気候変動

気候変動の進行は、当社グループの持続可能性に大きな影響を与えると考えております。温暖化の進行にともなう極端現象の増加、激甚化によって、沿岸地区に立地する生産拠点では、高潮等による影響により生産活動が停滞し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、GHG排出への政策規制が強化されることへの対応策として、再生可能エネルギーの導入、低炭素燃料への転換、製造プロセスの改修、省エネ機器の導入などがありますが、その反面、これらに係る費用が増加することも想定され、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、カーボンニュートラルな世界では、環境負荷の低い製品・サービスが求められるなど、市場での価値観や競争軸が変わっていくことが想定されます。この変化への対応が当社の将来的な課題ですが、これに遅れるようなことがあれば、当社グループの製品・サービスは競争力を失い、業績に大きく影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

(2)経理・財務に関するリスク

①退職給付債務

当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の長期期待運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されております。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合や退職給付信託に拠出している上場株式の株価の下落は、将来の退職給付費用の増加になり、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他経営全般に関するリスク

①災害・事故

当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するためすべての製造設備において定期的な点検を実施しておりますが、自然災害、事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与えるリスクがあります。

 

②情報セキュリティ

当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、その対応として、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めておりますが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与える可能性があります。

 

③法令及び規制

当社グループが事業活動を遂行している各国で将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たなコストが発生する可能性があります。当該リスクへの対応として、世界的な規制の動向について注視し、必要な対応を講じてまいります。

 

④人事労務

労働災害、感染症・伝染病の蔓延などにより、業務遂行が停滞する可能性、従業員の人権問題、メンタルヘルス問題、ハラスメントによる就労環境が悪化する可能性、これらにより当社が損害賠償義務を負うなどの可能性があります。当該リスクへの対応として、人権の尊重の基本的な考え方を社内に浸透させ、人権尊重を図るための仕組みを構築・運用いたします。

 

⑤法令違反、コンプライアンス

国内外の法令等に抵触するなどのコンプライアンス違反が発生した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、また損害賠償責任や罰金が課されるなど、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、コンプライアンス教育や違反を生じさせない仕組みづくりに取り組んでおります。

 

⑥製品の品質

当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来にわたってリコールが発生しない保証はありません。大規模な製品事故が発生した場合、多額のコストが発生する恐れや、当社グループの評価に重大な影響を与える可能性があります。当該リスクへの対応として、品質マネジメントシステムを有効に機能させ、品質保証の仕組みと運用を継続的に改善してまいります。また、グループ全体で「お客様目線」「品質目線」での事業運営を行う組織風土の醸成に引き続き取り組んでまいります。

 

⑦知的財産権

当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきましたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、特定の地域において完全な保護が不可能で、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、現在及び将来の知的財産に係る紛争の結果、当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。当該リスクへの対応として、知的財産戦略を策定の上、その着実な実行を進めております。

 

⑧人的資本

当社グループは、多様な人財によって支えられております。主たる研究開発・生産拠点である日本においては、少子化等による労働人口の減少が予測されます。採用者数の減少、離職者が増加するなどして事業運営に必要な人財の確保ができない場合や、中期的な成長を牽引する人財の育成が遅れるなどした場合、事業計画を達成できず、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、人財育成方針を定めて計画的に人財を確保し、個々人が能力を発揮できる組織文化の醸成に努めております。

 

⑨その他

当社グループが事業活動を遂行している各国において、法律や規制等の変更、人財の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・疫病・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、剰余金の配当に関しては、株主還元を経営上の最重要課題の一つと考え、配当性向30%以上を基準に、安定的な配当の実施および今後の事業展開に備えるための内部留保などを勘案して決定することを基本としております。また、内部留保につきましては、業績の向上と経営基盤の強化につながる生産体制拡充、コスト競争力の強化および市場ニーズに対応した製品の研究開発に投資してまいります。

この方針のもと、2025年3月期(第112期)の期末配当金は1株当たり100円とすることに決定しました。この結果、中間配当金(1株当たり100円)を含めた当期の1株当たり配当金は200円となりました(連結配当性向44.4%)。

なお、当社の剰余金の配当は、当面は中間配当と期末配当の年2回の配当を継続する予定であります。

当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行う旨、また、剰余金の配当については、期末配当は毎年3月31日、中間配当は毎年9月30日を剰余金の配当の基準日と定めて配当することができる旨、定款で規定しております。

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2024年11月11日

取締役会

1,330

100.00

2025年5月12日

取締役会

1,310

100.00