2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 12,516 100.0 1,775 100.0 14.2

事業内容

3【事業の内容】

(1)ミッション

当社グループは、「本気で課題に挑む人たちと、事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションに掲げています。当社の社名に含まれる“Sun”はまさに「太陽」。地球上の全ての生命を育むインフラです。革新的なサービスや、新しいイノベーターの「種」を、私たちの光で照らし、それらを育む最強のインフラになることを目指しています。“*(Asterisk)”は、多くのプログラミング言語で掛け算を表す記号です。当社Sun*は本気で社会課題に挑む様々なチャレンジャーや新しい価値を生みだすクリエイターたちとのコラボレーションを通じて、より大きな課題に取り組み、社会にポジティブなアップデートを仕掛けていきます。

また、Sun*が価値創造をするためのインフラとなることで、全人類が生まれた時から持っているクリエイティブへの情熱を呼び起こし「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンの実現を目指します。

 

(2)事業コンセプト

社会にポジティブなアップデートを仕掛けていく手法には様々なものがありますが、当社グループでは、デジタル・テクノロジーとクリエイティブの活用、そして才能の発掘・育成を柱に据えています。

昨今はたった一つのスマートフォンアプリによって社会インフラを劇的に変化させることができる時代となっています。ただし、そういった革新的なプロダクトを創り出していくためには、最新のIT技術を活用できるアーキテクト、エンジニアはもちろん、アイデアを形にできるプランナー、デザイナー、プロジェクトを円滑に進行できるプロジェクトマネージャー、ディレクターなど、様々なタレントが必要であり、なおかつ、そういったタレントを一つのゴールに向かうチームとして機能させていく必要があります。

当社では、デジタル・テクノロジーとクリエイティブを活用できる最適なチームを編成し、本気で社会課題に挑む様々な「ヒト」「モノ」「コト」とのコラボレーションを通じて新たな価値を創り出していく事業を「デジタル・クリエイティブスタジオ事業」と命名し、展開しています。

 

なお、当社グループは当社と連結子会社である、多数の優秀なエンジニアを有するベトナム拠点のSun Asterisk Vietnam Co.,Ltd、国内でのIT人材の育成・紹介・派遣を行っている株式会社Sun terras、大手企業のニーズに対応するクリエイティブ×ビジネスの領域に特化した株式会社NEWh、エンターテインメント領域のクリエイティブに強みを持つ株式会社Trysの5社(2023年12月31日時点)で構成されています。デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

(3)サービスラインアップ

当社グループのデジタル・クリエイティブスタジオ事業は、クライアントのデジタルトランスフォーメーション(注1)や新規事業開発の支援を、「クリエイティブ&エンジニアリング」と、「タレントプラットフォーム」という2つのサービスラインで実行し、更に各サービスラインの中で顧客の課題やニーズに合わせたサービスを提供しています。

 

① クリエイティブ&エンジニアリング

主に日本のクライアントの事業アイデア創出からプロダクト開発・プロダクトの継続的な成長をクリエイティブとエンジニアリング面で支援するサービスラインです。

本サービスラインでは、クライアントとの準委任契約もしくは請負契約により収益が発生します。3か月以上継続する準委任契約はストック型、3か月未満の準委任契約及び請負契約はフロー型と分類しており、2023年12月期の本サービスラインに占める割合はストック型約73%、フロー型約27%と、安定した収益モデルを実現しています。

クライアントの課題や状況に応じて以下のようなサービスを提供しています。

 

デザイン思考(注2)等を用いた事業アイデアの創出、課題抽出のコンサルティング、リーンスタートアップ(注3)の手法によるMVP(注4)の開発、サービスの価値検証を支援します。デジタルトランスフォーメーションの実績が豊富な事業コンサルタントが要件の整理を行い、スタートアップの立ち上げに特化したCTO経験のあるリードエンジニアやUI/UXデザイナーが、ファーストプロダクトのリリースまでを担当し、本格的なプロダクトの開発とサービス運用に繋げる為の役割を担います。

 

また、サービス立ち上げ後のプロダクトの継続的な開発・運用を、ベトナムのハノイ、ダナン、ホーチミンに拠点を持つ子会社も活用し、豊富な経験・実績を持つグローバルITチームの編成により支援します。アジャイル開発(注5)、独自のDevOps(注6)ツールの活用等により、ユーザーニーズに合わせた素早いプロダクト改善を行うことでサービス成長プロセスを高速で実行し、事業価値の最大化を図ります。日本語対応可能なベトナム人プロジェクトマネージャーやエンジニアと連携し、スムーズなコミュニケーションでの開発が可能です。

ベトナム子会社でエンジニアを1,000人超抱えているため、エンジニアリソースがボトルネックとなっているクライアントの、事業拡張要請にスムーズに対応できる事も特徴です。

 

クリエイティブ&エンジニアリングによるプロダクト開発支援サービスの流れ(例)

 

当社グループでは、クライアントの事業アイデア創出からプロダクト開発を多数手掛けてきた経験とクリエイティブ分野の幅広いプロフェッショナル人材を活かし、エンターテインメント領域のサービスも展開しています。エンターテインメント領域では現在、プロアーティスト向けにOEMで提供するファンコミュニティシステムの「MOOOS」サービスの運営や、デジタルコンテンツ制作とソーシャル×スマートフォン領域に特化したアプリ開発を強みとしたコンテンツプラットフォーム事業を展開する株式会社Trysを運営しています。

当社グループは、ブロックチェーン技術を中心に据えた、NFTやDeFiなどのソリューションは、まずはエンターテインメント領域で浸透・発展していくと考えています。ゲーム開発・運用の経験が豊富なTrysを軸に既存事業で収益をあげながら、CryptocurrencyやNFTを活用した領域に徐々に展開、ビジネス実装と運営の経験を積み、その後BtoBソリューションや生活・社会インフラへのブロックチェーン技術の活用を当社グループとして推進していきます。

 

② タレントプラットフォーム

クライアントの事業アイデア創出からプロダクト開発・プロダクトの継続的な成長を人材の紹介面で支援するサービスラインです。国内外において以下のようなサービスを提供しています。

 

まず、日本国内でIT人材の紹介・派遣・採用業務そのもののアウトソーシングを行っています。当社内に、日本国内の即戦力人材(国籍問わず)を社員のネットワークや各人材会社の提供するデータベース等を活用して発掘する専門チームを設置し、主にクリエイティブ&エンジニアリングのクライアントの要望に応じて各社に紹介する支援も行っており、子会社の株式会社Sun terrasを通じてIT人材派遣による支援も行っています。

また採用業務そのものをアウトソーシングで提供することでクライアント内のDX推進組織の構築支援も行っています。

本サービスでは、主にクライアントとの人材紹介・人材派遣契約、業務委託契約などにより収益が発生します。

 

更に、日本国内のみならず、海外拠点のあるベトナムをはじめとしたアジア各国のトップ大学と産学連携し、日本でエンジニアとして就職を希望する学生たちを集めた選抜コースを運営しています。2006年から日本のODA事業及び独立行政法人国際協力機構(JICA)による技術協力事業として実施されていたハノイ工科大学向けのプロジェクトが終了するタイミングで、ハノイ工科大学から取り組みの継続のための人的リソース提供の要請を受けて2014年から当社グループが当該選抜コースの運営を行うことになり、現在ではその取り組みが発展し、12校で2,849名(2024年1月1日時点の1〜5年生の合計)の学生が在籍する規模に拡大しています。当社社員を講師として各大学に派遣し、実践的なIT技術と、日本語でのコミュニケーションを教え、その後当社社員が学生メンターとして日本企業への就職のサポートを行います。この産学連携プロジェクトで育成した人材を当社が運営する海外理系トップ大学限定採用選考プラットフォーム「xseeds Hub」を通じて日本国内の企業へ紹介することで、少子高齢化に起因する日本の高度IT人材不足への中長期的な課題解決にも取り組んでいます。

本サービスにおいては、クライアントの「xseeds Hub」の利用料と、採用決定時の成功報酬により収益が発生します。

 

(注)1.デジタルトランスフォーメーション:2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」。IoT、AI(人工知能)、ビッグデータ・アナリティクス(解析)など、デジタル技術を活用することで、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立する。略称は「DX」。

2.デザイン思考:IDEO創始者であるデビット・ケリーによって開始された問題解決のためのフレームワーク。デザイン思考は、非連続なイノベーションを実行するに当たり、問題をいかに解決するかではなく、問題の所在、本質を明らかにするためのアプローチ。デザイン思考を実施する際には、1.Empathies(共感)、2.Define(定義)、3.Ideate(概念化)、4.Prototype(プロトタイプ)5.Test(テスト)の5つのステップで行われ、修正不可能な直線的な進め方ではなく、常に修正可能で、状況に応じてそれぞれのプロセスが行き来する進め方をする。問題発見と問題解決を明確化することによりイノベーティブなサービスを展開するための手法。

3.リーンスタートアップ:2008年にアメリカの起業家であるエリック・リースによって提唱された、企業や新規事業立ち上げのためのマネジメント手法。リーンスタートアップを活用することで、事業運営者のバイアスを最大限排除するためにユーザーからのフィードバックを中心とした事業創造が可能となる。リーンスタートアップを実施する際には、仮説を策定し、その仮説を検証するための最低限の機能を持ったサービスを試作品として短期間で作成し、ユーザーに提供することでユーザーとの対話を進め、ユーザーからの反応、結果を分析し、サービスが市場に受け入れられるか否かを判断し、市場に受け入れられることが確認できれば、サービス改善、機能追加を行うというサイクルを高速で繰り返すことで、起業、新規事業の成功率を上げることが可能。

4.MVP:Minimum Viable Product 。必要最低限の機能を持つ製品や、それを使ったアプローチ。MVPを利用することによって、限られた時間で顧客のニーズに基づく商品・サービスを構築することができるため、無駄なコストの削減にもつながる手法として注目されている。

5.アジャイル開発:アジャイル(agile)は「素早い」「機敏」「回転が早い」といったニュアンスの単語。常に変化をし続けることを前提として、重要度の高い機能から、短い期間で仕様策定、開発、テスト、リリースの一連のプロセスを行い、それを繰り返していきながら改善していく開発手法。ビジネスのスタートを早めることが出来、仕様や要件変更にも柔軟に対応することが可能。ユーザーニーズを優先させ、より良いプロダクトを効率的かつ素早く開発運用することが可能となる。

6.DevOps:デベロップメントアンドオペレーションズの略称。開発と運用を連携しコードレビューやテスト、Webセキュリティのチェック、リリース作業などを自動化することで、信頼性の高いコードをスピーディーに、かつ安定して配信するための開発手法。従来のシステム保守という考え方ではなく、継続的に開発をしながらサービスを運用し、変化の早いユーザーニーズに合わせたサービスの改善を素早く行うことが可能となる。シリコンバレーをはじめとした企業の運営する超巨大サービスの開発手法としても取り入れられており、多いときには1時間に1,000回を超えるようなコード改善を実現させるためには必須の環境となっている。

 

当社グループでは、「クリエイティブ&エンジニアリング」は主に当社とSun Asterisk Vietnam Co.,Ltdにより推進されています。また、「タレントプラットフォーム」は、株式会社Sun terrasも含めたグループ全体で推進されています。なお、各期末時点における当社グループ各社の就業人数は以下のとおりとなっています。

(単位:人)

 

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

株式会社Sun Asterisk

64

(1)

125

(1)

172

(1)

249

(1)

338

(2)

Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltd

(注)1

1,122

(250)

1,095

(205)

1,269

(193)

1,537

(191)

1,396

(197)

株式会社Sun terras

(注)2

77

(19)

78

(13)

79

(5)

99

(5)

101

(5)

株式会社NEWh

(注)3

9

(1)

17

(1)

18

(-)

株式会社Trys

(注)4

104

(12)

130

(29)

116

(19)

(注)1.2018年2月23日付で全株式を取得し、連結子会社としています。

2.2018年12月31日付で全株式を取得し、連結子会社としています。

3.2021年1月4日付で100%子会社を設立し、連結子会社としています。

4.2021年9月15日付で全株式を取得し、連結子会社としています。

5.臨時従業員数は()内に外書で記載しています。

 

[事業系統図]

当社グループの事業系統図は、次のとおりです。

 

 

(4)当社グループの特徴及び強み

当社グループの主な特徴及び強みは以下のとおりです。

 

① 成長性の高いデジタルトランスフォーメーション市場でのユニークなポジション

デジタルトランスフォーメーションは、業務プロセスをデジタル化するデジタイゼーションと、ビジネスモデルそのものをデジタル化するデジタライゼーションに分類されます。前者は、企業内の課題を整理し、要件を定義し、システムを開発してそれを保守していくという従来のウォーターフォール開発等の手法を用いた課題解決型のプロセスが有効ですが、後者は、ユーザーの潜在ニーズを中心に据えてコンセプト設計し、仮説検証しながらサービス化してそれを進化させていくという新しい価値創造型のプロセスが必要となります。企業のIT予算のうち約80%は、既存システムに投資(注1)、つまり、前者への支出が大半となっていることから、現状は、日本国内においては、後者の知見が豊富な企業は極めて少ないことが俔えます。

当社グループは、グループのミッションに基づいて、創業以来、数百件を超えるスタートアップや新規事業の開発支援をしてきた経験から、この価値創造型のプロセスについての豊富なナレッジを蓄積しています。具体的には、オープンイノベーション(注2)による事業共創、デザイン思考・リーンスタートアップ・アジャイル開発といったフレームワークの活用、機能追加やUI(注3)/UX(注4)改善を高速で回し続けるためのDevOpsの環境の構築などが挙げられます。

当社グループは、数多くのスタートアップ/新規事業支援により蓄積した豊富な知見を事業の構想から開発・運用までの価値創造プロセスにおいて連続的に提供できること、また、それを約1,400名の規模で展開し、エンジニア等のリソースがボトルネックとなっているクライアントの事業拡張要請にスムーズに対応できるという点から、この市場内でユニークなポジションにいると考えています。

 

(注)1.一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査2019」

2.オープンイノベーション:自社だけでなく他社や異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組合せ、革新的なビジネスモデル、研究成果、製品開発、サービス開発、組織改革、行政改革、地域活性化、ソーシャルイノベーション等につなげるイノベーションの方法論。

3.UI:User Interfaceの略称。サービスやプロダクトなどの利用者の間で情報のやり取りをするための画面のデザイン。

4.UX:User Experienceの略称。サービスやプロダクトなどの利用を通じてユーザーが得る経験・体験。

 

デジタルトランスフォーメーションの二つの要素

 

② デジタライゼーション実現のためのエコシステム

当社グループでは、数多くのスタートアップ/新規事業支援により蓄積した価値創造プロセスのノウハウとナレッジをデータとして蓄積し、エンジニアやクリエイターに常時展開することで、事業成功の再現性をもたせるために、以下のような独自のデータプラットフォームを開発・運用しています。

 

ナレッジ共有プラットフォーム「Viblo」

当社グループでは、ベトナム国内のクリエイター・エンジニア向けに、クリエイター・エンジニア同士が互いにナレッジやノウハウ(知恵や知識)を共有できるSNSサービス(注)「Viblo」を無料で提供しています。2023年12月時点で月間平均59万人(直近6ヶ月間の平均)のユーザーが利用しています。

自ら学び、それをアウトプットするコミュニティスペースをオンライン上に提供することでエンジニアの成長を加速させることが可能です。なお、本サービスは社外含めたエンジニアに提供するサービスであり、当社の持っているナレッジを積極的に配信することで、ベトナム国内のエンジニアの能力の底上げにも寄与していると考えています。また、当社のナレッジを提供し、外部のクリエイター・エンジニアとディスカッションして行くことにより、ユーザー中心設計でのプロジェクト推進手法を伝達・洗練して行くことが可能となります。

 

 

最適な人員配置を可能にするタレントマネジメントプラットフォーム「Rubato」

「Rubato」は当社グループのクリエイター・エンジニアのスキルセットや、人物評価、ポートフォリオの蓄積とプロジェクト稼働管理を行うタレントマネジメントシステムです。Rubato内に蓄積されたデータをもとに、どのプロジェクトにどのエンジニアやクリエイターをアサインするべきか、どんなチーム体制でプロジェクトを進行するべきかを管理者が判断し稼働の管理を行っています。このシステムとデータの蓄積により、より人員配置を最適化し生産性を高め、プロジェクトの成功再現性をあげることが可能となります。

 

俊敏かつ安定したサービスのDevOpsを実現するための独自の「Sun* CI」

ユーザー中心設計でのサービス開発では、サービスのリリース後もユーザーとの対話型でニーズに合わせた素早いプロダクト改善を行うことでサービスを成長させていくため、サービスの運用設計と開発を同チームで密に連携して行っていく手法(DevOps)を取り入れる必要があります。デジタライゼーションの成功事例となるような先進的な超巨大サービスでは、ヒューマンオペレーションでは対応しきれないくらいのスピードで開発とリリースが行われています。このDevOpsを実現するためのプラットフォームとして当社では「Sun* CI」という独自のシステムを構築しています。このシステムにより、ソースコードレビュー、セキュリティチェック、機能ごとのテスト、プロダクトビルドなどの作業を自動化し、生産性を高めエンジニアが事業成長に集中できる環境を提供しています。サービス運用・開発時に新たに必要になった付加的な作業は他のプロジェクトでも同様に発生する可能性があります。当社ではこのような作業をどんどん自動化し、「Sun* CI」の機能に追加して行くことで、サービスの俊敏かつ安定した運用を再現します。

 

上述のとおり、当社グループでは、事業の核となるエコシステムの基盤は既に構築済みであり、今後更にブラッシュアップをしていくことで、デジタル・クリエイティブスタジオ事業を更にスピーディーにスケールアップ出来るフェーズに入っていると考えています。

 

(注)SNS:Social Networking Serviceの略称。登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービス。

 

③ 人材教育及び育成による価値創造人材の輩出力

当社グループのタレントプラットフォームでは、クリエイティブ&エンジニアリングで蓄積したノウハウを、教育カリキュラムに反映するサイクルが構築されており、常に時代のニーズにあった高度IT人材を育成できるところが強みです。

ベトナムを中心としたアジア各国のトップ大学との産学連携による人材育成プログラムの参加者数は下表のとおり増加を続けています。提携大学の一つであるベトナムの理系大学トップのハノイ工科大学情報工学部から最重要パートナーとして表彰された実績もあります。

これらの取り組みを通じて各国のトップタレントにいち早くリーチし、多くのIT人材を日本企業に輩出するとともに、自社でも優秀な人材を採用していくことで、クリエイティブ&エンジニアリングのサービス拡大における重大なボトルネックとなりかねないエンジニアリソース課題の解決につながっています。

 

産学連携によるプログラム参加人数の推移

(単位:人)

 

2017年度

(1月1日時点)

2018年度

(1月1日時点)

2019年度

(1月1日時点)

2020年度

(1月1日時点)

2021年度

(1月1日時点)

2022年度

(1月1日時点)

2023年度

(1月1日時点)

2024年度

(1月1日時点)

産学連携によるプログラム参加人数

571

720

914

1,387

1,867

2,248

2,695

2,849

 

また、当社グループ入社後も、デジタライゼーションを実現するためのフレームワーク(事業共創→デザイン思考→リーンスタートアップ→アジャイル開発・DevOps・UI/UXの改善)を活用し、プロジェクトを通じた実践型の育成により、事業成長に必要なスキル・ノウハウの獲得による再現性を実現する育成を行っています。

 

④ 安定的な収益モデルと顧客数及び顧客単価の拡大余地

デジタル・クリエイティブスタジオ事業の最大のサービスラインである、クリエイティブ&エンジニアリングにおいては、必要最小限の機能でプロダクトをリリースし、ユーザーの反応を見ながら継続的に追加機能の開発を行うことでクライアントの事業成長を支援するというサービスの特性から、クライアントの事業が継続する限り、継続的にサービスの利用が続くケースが多く、ストック型の収益モデルが主体となっています。

クリエイティブ&エンジニアリングの売上高の合計に占めるストック型売上の割合は2023年12月末時点で、73%と、安定的かつ継続的な収益構造にあります。また、月次平均解約率(注1)は、3.58%と低い解約率を実現しています。月額平均顧客売上(注3)もアップセルやクロスセルにより、順調に推移しています。当社サービスの月額平均顧客売上の変動要因は、既存顧客からの増員・減員又は、既存顧客における新たなプロジェクト立ち上げに伴うチームラインの増加になります。当社グループでは、デジタライゼーションを推進する大企業、スタートアップ企業などを、エンタープライズ企業、SMB企業の2セグメント(注2)に分類し、それぞれのニーズに即したサービスを提供していますが、今後は、これまで注力してきたスタートアップ企業を中心としたSMB企業で培ったノウハウを大企業のデジタルトランスフォーメーション分野へも大きく展開し、大企業のデジタライゼーション実現のノウハウも積み上げていくことで顧客単価が拡大する余地があると考えています。

 

 

クリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数の推移

(単位:社数)

 

2018年

12月期末

2019年

12月期末

2020年

12月期末

2021年

12月期末

2022年

12月期末

2023年

12月期末

ストック型顧客数

62

72

85

95

110

121

ストック型

エンタープライズ

顧客数

11

16

22

26

33

41

ストック型

SMB顧客数

51

56

63

69

77

80

 

月額平均顧客売上の推移(注3)

(単位:千円)

 

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

顧客

月額平均顧客売上

304

308

389

475

506

518

エンタープライズ

月額平均顧客売上

572

581

668

786

728

751

SMB

月額平均顧客売上

247

241

298

358

424

404

 

(注)1.月次平均解約率:2015年1月から2023年12月までの108ヶ月を対象に、各月で月次の解約率(解約社数÷顧客数)の108ヶ月の平均値

2.顧客セグメントについて

エンタープライズ:

・上場企業のうち、日経225、日経400、日経500のいずれかに採用されている企業

・上記企業のグループ企業や上記企業に準ずる時価総額、売上規模、従業員数規模を有している企業

SMB:スモール・ミッドサイズビジネスの略称。

・当社がエンタープライズと定義した以外の全ての企業

3.期中のストック型売上÷期中の各月におけるストック型顧客数の合計

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。連結財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の決算数値に影響を与える見積り項目について、過去の実績や状況に応じて合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。

 

(2) 経営成績等の概況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①経営成績の概況及び経営者の視点による分析・検討内容

当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果により経済活動は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、急激な為替変動や物価の上昇など先行き不透明な状況が続いています。

こうした経営環境の中、当社グループは、顧客の課題に応じて必要なサービスを提供すべく、「デジタル・クリエイティブスタジオ事業」という単一セグメントの中で、顧客と共にデジタルプロダクトを創造していく「クリエイティブ&エンジニアリング」と、デジタルプロダクトの創造に必要な人材を発掘・育成し、顧客に輩出していく「タレントプラットフォーム」という2つのサービスラインを展開し、顧客数及び顧客単価の拡大を重点課題として取り組んでいます。

「クリエイティブ&エンジニアリング」においては、既存顧客からの受注増加と、新規顧客の増加が継続していることにより、当連結会計年度末におけるストック型顧客数は121社、月額平均顧客売上は5,183千円、売上高は10,840百万円(前連結会計年度比16.8%増)となりました。

「タレントプラットフォーム」においては、企業の採用意欲が回復基調にあり、売上高は1,676百万円(前連結会計年度比14.0%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は12,516百万円(前連結会計年度比16.5%増)、営業利益は1,775百万円(同96.8%増)、経常利益は2,279百万円(同99.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,569百万円(同90.4%増)となりました。

なお、当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載していません。

 

(連結損益計算書 前年比較分析)

以下のとおり、全体として高い売上高成長を実現。

 

②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するための、クリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数、月額平均顧客売上を重要な経営指標と位置づけています。当該指標については、下表のとおり継続的に増加しており、2023年12月期末におけるストック型顧客数は、リードジェネレーション及びリードナーチャリングの強化により前年同期比10.0%増、月額平均顧客売上は、既存顧客との連携深化及び安定的なサービス提供によるアップセルの成功やエンタープライズ企業との取引増加により、前年同期比で2.4%増となっており、売上高成長率の継続に向けた事業展開も順調に推移しているものと認識しています。

 

クリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数の推移

(単位:社数)

 

2019年12月期末

2020年12月期末

2021年12月期末

2022年12月期末

2023年12月期末

ストック型顧客数

72

85

95

110

121

 

月額平均顧客売上の推移(注)

(単位:千円)

 

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

2023年12月期

月次平均顧客売上

308

389

475

506

518

 

(注)期中のストック型売上÷期中の各月におけるストック型顧客数の合計

 

③財政状態の概況及び経営者の視点による分析・検討内容

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は、10,047百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,127百万円増加しました。これは主に、「クリエイティブ&エンジニアリング」売上の増加に伴う、現金及び預金の増加1,682百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加256百万円によるものです。

固定資産は1,811百万円となり、前連結会計年度末に比べ56百万円増加しました。これは主に、長期貸付金46百万円、繰延税金資産40百万円増加したことによるものです。

この結果、当連結会計年度末における総資産は11,859百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,184百万円増加しました。

 

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は2,035百万円となり、前連結会計年度末に比べ429百万円増加しました。

これは主に決算にあたり確定した未払法人税等231百万円の増加、未払消費税等151百万円の増加、賞与引当金105百万円の増加等によるものです。

固定負債は324百万円となり、前連結会計年度末に比べ7百万円減少しました。これは主に、長期借入金の返済31百万円の減少等によるものです。

この結果、当連結会計年度末における総負債は2,359百万円となり、前連結会計年度末に比べ421百万円増加し

ました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は9,499百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,762百万円増加しました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,569百万円によるものです。

 

(連結貸借対照表 前年比較分析)

以下のとおり、利益計上により資産が増加。

自己資本比率は引き続き高水準で財務基盤の安定性を確保。

 

④キャッシュ・フローの概況及び経営者の視点による分析・検討内容

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,346百万円増加し、4,633百万円

となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは1,883百万円の収入(前連結会計年度は807百万円の収入)となりまし

た。これは、税金等調整前当期純利益の計上2,107百万円や業務用PC及び事務所内装費用等にかかる減価償却費、のれん償却額及び引当金の増加額などの非資金費用436百万円の増加要因があった一方で、売上債権256百万円の増加、その他の資産516百万円の増加等の減少要因があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは326百万円の支出(前連結会計年度は1,287百万円の支出)となりました。これは、定期預金の預入による支出5,902百万円や投資有価証券の取得による支出51百万円等の減少要因があった一方で、定期預金の払戻による収入5,725百万円等の増加要因があったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは224百万円の支出(前連結会計年度は62百万円の支出)となりました。こ

れは、短期借入金と長期借入金の返済によるものです。

 

 

(連結キャッシュ・フロー計算書 前年比較分析)

以下のとおり、主に税金等調整前当期純利益の増加により、現金及び現金同等物の期末残高が増加。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける主な資金需要は、顧客獲得、受注拡大のための人件費や広告宣伝費、人員獲得のための採用費です。必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としています。

資本政策については、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、会社の将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としています。また、内部留保については、将来の成長のための事業展開と経営体質の強化に優先的に充当していきます。既存事業の成長に加え、今後の事業展開の過程において、出資、アライアンス、M&A等の投融資の可能性も積極的に追求します。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしていません。

 

b.受注実績

当社グループの提供するサービスは、受注から販売までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績とがほぼ一致するため、記載を省略しています。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。なお当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしていません。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

デジタル・クリエイティブスタジオ事業

12,516

116.5

 

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営上の重要指標としているクリエイティブ&エンジニアリングにおけるストック型顧客数、月額平均顧客売上は、今後も成長させていく必要があると認識しており、マーケティング強化と既存顧客との連携深化及び安定的なサービス提供の施策を引き続き行っていきます。

また、その他で当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり様々な要因があると認識しています。そのため、当社グループでは、市場動向に留意しつつ、内部体制の強化、情報管理体制の強化、リスク管理体制の強化等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスクを低減する対策を引き続き行っていきます。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針に関して

当社グループは、「本気で課題に挑む人たちと、事業を通して社会にポジティブなアップデートを仕掛けていくこと」をミッションとし、「誰もが価値創造に夢中になれる世界」というビジョンを掲げ、革新的なビジネスや、新しいイノベーターの「種」を、私たちSun*の光で照らし、それらを育む最強のインフラになることを目指しています。

当社グループがこのビジョンの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しています。

既存のサービスラインについては、重要指標の向上施策を継続しつつ、企業価値の継続的な向上を目指し、当社グループのノウハウを活かした収益力の高いサービスの創出及び協業・戦略的提携に積極的に取り組んでいきます。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:百万円)

 

 

クリエイティブ&エンジニアリング

タレントプラットフォーム

合計

外部顧客への売上高

9,275

1,469

10,745

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しています。

 

(2)有形固定資産

(単位:百万円)

 

日本

ベトナム

合計

207

60

267

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手がいないため、記載を省略しています。

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:百万円)

 

 

クリエイティブ&エンジニアリング

タレントプラットフォーム

合計

外部顧客への売上高

10,840

1,676

12,516

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しています。

 

(2)有形固定資産

(単位:百万円)

 

日本

ベトナム

合計

196

55

252

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手がいないため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

当社グループは、デジタル・クリエイティブスタジオ事業の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。