2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 当社グループのリスク管理体制

当社グループのリスク管理体制は、予見可能なリスクを未然に防止するには各部門間の情報連携が必須との観点から、毎月開催される取締役会において検討・対応を協議し、迅速かつ的確な対応を講じています。更に重要な事項については、適時に取締役会を開催し、協議、対応を講じることをリスク管理体制の基礎としています。

また、内部監査室を設置し、業務の有効性を評価・検証し、リスクを排除する体制をとるとともに、企業倫理及び法令遵守、個人情報を始めとする情報セキュリティの観点から、リスクマネジメント委員会を設置し、特に重要と思われるリスクの回避や軽減施策を実践しています。

 

(2) 特に重要なリスク

①情報セキュリティに関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、事業遂行に当たり、顧客の企業情報や顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があります。不正アクセス、コンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩等、不測の事態が生じてこれらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、従業員や外注先等と秘密保持契約の締結を行い、情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や情報セキュリティ管理規程を整備するとともに、日本ではプライバシーマークと情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証、ベトナムでは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を的確に行っています。この他、「リスクマネジメント委員会」のもと、外部の脅威動向と全社活動状況、課題点を把握し、必要な施策を決定しています。

 

②コンプライアンス及び訴訟等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループはグローバルに企業活動を展開しており、国内だけでなく、海外の法令を遵守する必要があります。国内外における事業運営に必要となる許認可(例えば、有料職業紹介事業許可等)に関わる法令をはじめ、会計基準、税法、取引関連等の様々な法令の適用を受けています。

許認可事業においては、今後何らかの理由により、事業主としての欠格事由や当該許可の取消事由に抵触した場合、許可が取り消され、又は、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

その他、不正な会計処理や横領等といった法令違反が発生した場合は、当該不正等による損害はもとより、課徴金の支払等が必要となる可能性、更には社会的信用やブランドイメージの毀損により、当社グループの経営成績及び財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループを構成する企業及びその役職員の法令違反等の有無にかかわらず、取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。当社グループに対して訴訟が提起された場合には、その訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用やブランドイメージの悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、法令違反等のリスクの顕在化を未然に防ぐため、企業倫理の確立による健全な事業活動の基本方針となる「コンプライアンス・マニュアル」を制定の上、適法性、財務報告の適正性を確保するための内部統制システムを構築しています。また、リスクマネジメント委員会を設置し、役員・社員への教育啓発活動の実施、関連組織との連携による内部統制の運用徹底・改善の取り組みを通じて、グループでの企業倫理の向上及び法令遵守の強化に努めています。

また、事業活動において、取引先や第三者との間でトラブルが発生しないよう、常に注意を払うとともに、トラブル発生時のエスカレーション及び対応のスピードを上げることで、当該リスクの回避・軽減を図っています。

 

 

当社グループの許認可の状況

当社グループ会社

許認可の名称

許可番号

監督官庁

取得年月日

有効期限

株式会社Sun Asterisk

有料職業紹介

13-ユ-306246

厚生労働省

2013年12月1日

2026年11月30日

Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltd

職業紹介事業活動

06/SLDTBXH-GP

ハノイ市

人民委員会

労働傷病兵

社会局

2012年10月29日

2025年1月9日

株式会社Sun terras

有料職業紹介

13-ユ-306144

厚生労働省

2013年10月1日

2026年9月30日

株式会社Sun terras

労働者派遣事業

派13-305384

厚生労働省

2013年10月1日

2026年9月30日

 

③国外での事業展開に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、日本国内のほか、ベトナムに連結子会社Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltdを設置し、事業を展開しています。同社は当社グループとの連携・協働により主に日本の顧客のためにソフトウエア開発等を行っています。さらに、当社グループは、国外のトップ大学との産学連携プロジェクトを通じてIT人材を育成しており、日本での就職を希望する学生に対し卒業後の日本のIT企業への就職支援を行っています。各国の政治・経済・社会情勢の変化に伴い、事業環境の悪化や従業員の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、政治的・経済的要因により、予期できない投資規制、移転価格税制を含む税制や法的規制の変更等が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、今後、ベトナム以外の東南アジア展開や欧米展開等の可能性も視野に入れています。海外での事業は、グローバル経済や為替などの動向、法的規制、商習慣の相違、労使関係、外交関係など、様々な要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、連結財務諸表を作成するに当たっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、海外事業のリスク管理は、現地のグループ会社や拠点が当社主管組織と連携し、状況の的確な把握と速やかな対策の協議等、管理体制の向上に取り組んでいます。

国外での事業展開に関わる為替リスクについては、顧客と円ベースでの取引と、外貨ベースでの取引の量的バランスの調整や、国内外の金利差も踏まえたキャッシュ・マネジメント等により、為替変動による経営成績及び財政状態への影響の抑制に努めています。

 

④投融資に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、今後の事業展開の過程において、既存サービスの強化、グローバル展開の加速及び新たな事業領域への展開等を目的として、出資、設備投資、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。投融資については、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言も得ながら投資リスクを十分に検討し、また、当社グループの財政状態等を総合的に勘案して決定していきますが、予定していた投融資が回収できない場合や、減損損失の対象となるような事象が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A等により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、当該事業固有のリスク要因が加わる可能性があります。

[リスクへの対応策]

投融資の意思決定時には、投資対効果の評価や、財務健全性の評価等を判断要素としています。特に重要なリスクと認識している、プライベート・エクイティ投資に当たっては、「プライベート・エクイティ投資業務マニュアル」を制定し、投資前のデューデリジェンスを必須とし、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。

 

⑤大規模災害や重大な感染症等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、日本国内のほかベトナムにおいて事業を展開しており、地震・台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。日本及びベトナムにおいて大規模災害が発生し、当社グループが人的及び物的被害を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、発生を予見することが困難ではありますが起こりうるリスクと認識しています。

また、新型コロナウィルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染等によってサービスの提供が困難になることがあります。さらに、新型コロナウィルス感染症による影響の長期化は、世界的な景気の減速をもたらし、当社事業に大きなリスクを生じさせる可能性があります。具体的には、製造業・航空業・旅行業・飲食業等における消費の落ち込みや金融機関における信用コストの増大等に起因するお客様企業の経営状況の悪化によるIT投資の抑制・先送りや既存案件の規模の縮小、政情不安が誘発されることによる環境変化等により、新規での営業活動の停滞や、IT人材の紹介・派遣ニーズの減少、世界的な景気の減速に伴うお客様企業からの支払猶予の要請等による当社グループのキャッシュ・フローの悪化等のリスクが想定されます。

これらリスクの先行きを正確に見通すのは困難でありますが、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると認識しています。

 

[リスクへの対応策]

被災時における事業継続については、従業員等の安全の確保と事業の継続を目的として、一定の基準を超える災害発生時には代表取締役を執行責任者とする対策本部を設置し、臨機応変な対応を行います。新型コロナウイルス等の感染症対策としては、当社グループは、グローバルチームでリモートワーク環境下においてもサービス提供できる体制・ノウハウをすでに構築しており、サービス提供への影響の最小化を図っています。

また、ビジネスへの影響に対しては、感染の状況やお客様の状況等を注視しながら事業運営を行い、リスクの顕在化時の資金手当等が可能となるように取り組むことはもちろん、社会環境や顧客ニーズの変化を捉えたサービスに注力し、受注の拡大にも取り組んでいきます。

加えて、これまで培ってきたデジタル・クリエイティブスタジオのノウハウや知見を最大限に活用し、アフターコロナにおけるより良い社会の実現に向けて取り組んでいきます。

 

(3) 重要なリスク

①人材の確保と育成について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。これは当社グループ内に限らず、プロジェクトの各局面に応じてタイムリーに適切なパートナー・外注先を確保することも必要と考えています。予定していた人員の確保及び育成が計画どおり進まない場合や既存の人材の社外流出等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、プロジェクトに対するパートナー・外注先の関与割合が高まった場合には、顧客が要求する品質水準に達するまでに、契約時点では予見不能な追加コストが発生する可能性や、要件を満たす人員を選定できない等の理由によりプロジェクトが遅延する可能性があります。これらの場合、プロジェクト業績の採算の低下等により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、中長期的なビジネスを担う人材を、質と量を伴って採用・育成しています。採用においては、事業成長見込みや各部門ニーズを勘案した採用目標数を定義し、テクノロジー、ビジネス、クリエイティブの素養のある人材、即戦力となる経験者採用の強化を推進しています。ストック・オプション等のインセンティブの付与や、人材育成に係るプログラムの強化、人事評価の適正の確保、福利厚生制度の拡充、ワークライフバランスの実現等により、優秀な人材の確保・育成及び流出防止に努めています。

パートナー・外注先についても、定期的な会合等を通じた状況の把握や深いパートナーシップ関係の構築を図ることで、当社のニーズにマッチした対応が可能な優良パートナー・外注先の確保等に努めています。

 

②システム開発プロジェクトに関する採算性等について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、柔軟性とスピードが求められる価値創造型の取り組みを支援するケースが多いため、原則として、準委任型の契約締結をしていますが、一部請負型の契約締結をするケースが存在します。受注の準備段階において、あらかじめ、顧客の要求する仕様・機能その他の顧客のニーズに応えるために必要な延べ作業時間(作業工数)の見積りを出し、その見積りに基づいて契約を行いますが、その開発作業において何らかのトラブル等が発生した場合や、開発したシステムのリリース後に不具合が発生した場合、その解消のために追加作業が必要となり、その追加費用の一部もしくは全部を当社グループが負担することになった場合には、システム開発案件の採算性が悪化する可能性があります。

また、請負契約においては、顧客の検収に基づき売上を計上しています。当社グループは、プロジェクトごとに進捗管理を行い、計画通りに検収が行われるよう努めています。しかし、プロジェクトの進捗状況如何により、顧客の検収時期が当初計画と乖離した場合は、当社グループの各四半期あるいは連結会計年度の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、受注の準備段階から顧客と丁寧なコミュニケーションをとり、プロジェクトの特性を踏まえて、適切な形態での契約締結を行うことを基本としています。また、請負契約かつ一定以上の規模の案件は「高リスク案件」として選定し、顧客への提案内容の実現性確認・契約内容の明確化等のリスクへの早期対応、受注時計画や原価見積りの妥当性チェックと納品までの進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算及び遅延案件の抑制に努めています。

 

③景気動向、業界動向及び顧客動向の変動による影響について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

企業を取り巻く環境や企業経営の効率化などの動きにより、デジタル・クリエイティブスタジオ事業は、関連市場が今後急速に拡大すると予測されるものの、経済情勢の変化に伴い、企業のIT投資、DX投資及び人材に対する投資が抑制される等、事業環境が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループを取り巻く市場の競争環境が激化し、コスト面や技術力等で競合他社に対し、現在の競争優位性を確保することが困難となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、経営計画等において継続的に環境分析を実施して、社会基盤、法制度、競争環境等の変化によりもたらされる機会やリスクを予見し、我々が提供するサービスを進化させていくことで、市場やお客様ニーズの変化へ柔軟に対応していきます。総合力を更に高め、サービスの高付加価値化等により他社との差別化・市場におけるユニークなポジション取りを図るとともに、稼働率の向上や不採算案件の抑制等を通じて生産性向上にも取り組んでいます。

また、引き続き、大手企業からスタートアップに至るまでの数多くの企業との取引関係の実績を積み上げ、国内外でのブランドを向上し、ノウハウを蓄積することにより、さらなる競争力の向上に努めています。

 

④今後の事業展開について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは今後も引き続き、企業価値の継続的な向上を目指し、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、当社グループのノウハウを活かした新規事業・サービスの創出及び協業・戦略的提携に積極的に取り組んでいきますが、新規の取り組みが安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、事前に十分な検討をしたにもかかわらず、期待した成果があがらない場合や、将来の事業環境の変化、予想困難なリスクの発生等により、当初の計画どおりに推移せず、投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、新規事業・サービスの創出及び協業・戦略的提携の検討に当たっては、事前に複数のシナリオを作成し、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。一方で、新たな取り組みにおいては一定のリスクを取って進めなければ、機会を逸することにもなりかねないため、主力事業によって経営の安定基盤を作りつつ、リスク許容度を上げながら、バランスの取れた意思決定に努めています。

 

⑤ゲーム領域に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、成長戦略の一環として、エンターテインメント領域の強化を図っています。その中で、ゲーム領域においては、コンテンツの供給会社及びタイトル数が技術革新などを背景に急増していることから競争が激化しており、収益を拡大する難易度は高まっています。また、ユーザーの嗜好の変化によるコンテンツの陳腐化も早いため、技術革新やユーザーの嗜好の変化に適時適切に対応できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ゲーム領域においては、Apple Inc.が運営するApp Store、Google Inc.が運営するGoogle Play等のプラットフォーム事業者との契約に基づきコンテンツやサービスを提供していますが、契約条件の変更、契約の解除やその他の不測の事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、ゲーム領域は様々な先進技術の活用や浸透が進めやすいエンターテイメント領域の1カテゴリと認識し、この領域で先進技術・ソリューションの実装と運営の経験を積み、将来的にはそれらをBtoBや生活・社会インフラ領域等にも活用していく狙いを持って取り組んでいます。そのため、ゲーム領域単体での大きなリスクテイクは避け、自社の既存タイトルや優良なコンテンツを有する他社とのコラボレーション等を通じて安定的な収益モデル構築に努めています。事前に複数のシナリオを作成し、発見された各リスクの検証、対応策を踏まえた意思決定を実施することにより、当該リスクの低減に努めています。

 

⑥技術革新への対応について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが属する情報サービス産業では、技術革新のスピードが速く、新言語・新技術によるサービスの導入が加速しています。当社グループのデジタル・クリエイティブスタジオ事業の領域やその周辺で、予想を超える技術革新があり、それらへの対応が遅れた場合、あるいは想定を上回る速度での技術革新や新技術が出現し普及した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。以下に記載の対応をしているため、対応が遅れるというリスクが顕在化する可能性は僅少であると認識しています。

[リスクへの対応策]

当社グループでは、R&Dの専門組織を設置し、情報技術や生産、開発技術等の調査、研究を不断に進めており、競争力の持続的向上につながるコア技術の選定、研究開発の推進及び自社のデータプラットフォームへの成果の展開、ナレッジの共有化にも力を入れ、技術革新への迅速な対応に努めています。

 

⑦知的財産権について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

近年は様々なデジタルサービスが増加し、当社グループの認識していない第三者の知的財産権が既に成立している可能性や当社グループの事業分野で新たに第三者の知的財産権が成立する可能性があること等から、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求及びロイヤリティの支払要求等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。

[リスクへの対応策]

当社グループは、事業活動において、第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう、常に注意を払い、社員への教育・研修を通じて意識向上に努めるとともに、当社グループの知的財産権についても、重要な経営資源としてその保護・活用に努めています。

 

⑧特定人物への依存について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社代表取締役小林泰平は、当社グループの経営戦略の立案・決定や業務上の提携先及び取引先との交渉において中心的な役割を担うほか、実務レベルでの事業運営の推進においても重要な役割を果たしています。同氏の経営判断、行動力及び営業力等に一定程度依存している傾向にあるため、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。

[リスクへの対応策]

当社グループは、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、マネジメントチーム内での適切な役割分担、権限委譲等を行うとともに、経営人材の育成・強化に努めています。

 

(4) その他

①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社は、当社グループの役員、従業員並びに社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しています。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は2,504,500株となっており、発行済株式総数38,075,500株の6.58%に相当します。

これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。

更に、潜在株式の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

なお、新株予約権の詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

②配当政策について

当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的配当を実施していくことを基本方針としていますが、いまだ内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っていません。

将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針です。内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していきます。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としています。しかしながら、本書提出日現在では事業の成長段階にあることから財務体質の強化及び事業拡大のための内部留保の充実を図り、事業拡大のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えています。このことから、創業以来配当を実施しておらず、内部留保資金につきましては、財務体質の強化及び事業拡大のための財源として利用していく予定です。

剰余金の配当を行う場合、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としています。なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、剰余金の配当に係る決定機関を取締役会とする旨を定款で定めています。