2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 7,653 100.0 775 100.0 10.1

事業内容

3【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社3社(Legend Applications China Holding, Inc.、北京利衆得応用技術有限公司、株式会社ZEST)で構成されております。当社グループは、LaKeel事業の単一セグメントであるためセグメントごとの記載を省略しておりますが、当社グループのサービスは、プロダクトサービス及びプロフェッショナルサービスの2つに区分されます。

 

(1)LaKeel事業

①シェアリングエコノミー時代の到来と企業システムが直面する2つの問題点

PC・スマホ上のさまざまなサービス(動画配信サービス、音楽配信サービス、ストレージサービスなど)の例でも明らかなように、あらゆる業種・業態において資産を所有せず、利用料(サブスクリプション(*2))だけを支払ってサービスを享受するシェアリングエコノミーが2010年頃を境に出現しました。

企業システムの運用において、従来は各企業がデータセンターを所有し、その自社センター内に多くのサーバーを所有することで企業経営を支えてきました。しかし、近年のアマゾン、マイクロソフト、グーグル等の大手クラウド(*3)事業者の出現により、各企業はコンピュータの運用をこれら大手クラウド事業者のサービスに乗せ換える動き(所有から利用)が顕著になり、コンピュータを自社で所有する企業は大きく減少傾向にあります。

一方で、これら大手クラウド事業者サービスの利用を開始すると、新たな問題点が明らかになりました。1つは、その大手クラウドサービスの技術を熟知しないと、そのサービス上で思うようなシステムの開発・改変が出来ないという問題です。これは技術者の不足も相俟って大手企業といえども簡単には解決出来ない課題です。また、もう1つは、大手クラウドベンダー1社に絞ると効率的な運用を可能にするものの、1社のサービス内容の変更により経済合理性が崩れるなど、すべてを依存するのは危険ではないか、との指摘もなされるようになりました。

 

②当社が提供する解決策

上記の問題点を解決するために、当社はLaKeel DXを開発しました。LaKeel DXはアプリケーション開発を効率的に行うための環境です。LaKeel DXを活用することで、ユーザー企業はサーバーやネットワーク機器を準備することなく、アマゾン、マイクロソフト、グーグル等の大手クラウド事業者が提供する、主にサーバー運用のためのクラウドプラットフォームの上で、アプリケーションの開発・運用を行うことができます。

LaKeel DXはさまざまなクラウド事業者のサービスに対応しているため、ユーザー企業は大手クラウド事業者のサービス(安価なコンピュータリソース、安全な環境など)を享受しつつも、他の大手クラウド事業者への乗り換えが困難になることなく、状況に応じて最適な選択肢を得ることが可能になります。

 

③シェアリングエコノミー時代に相応しい開発手法

デジタルトランスフォーメーション(*4)が叫ばれる時代において、各企業は新たなビジネスモデルの創出、それに伴うITシステムの構築が必須となっています。これまでの企業のシステム開発においては、『小さな機能ごとの部品を組み合わせる』という開発手法は存在しておらず、ひとつひとつのシステム全体を手作りで構築していました。また、企業のシステムは自社固有のシステムであるべき、という考え方の下で自社所有が一般的でした。

当社のLaKeel DXは、企業のシステム開発を可能とする細かな部品(ファイル管理、検索、マスタ連携といった機能)を数多く用意しており、これらを自在に組み合わせることで必要な業務機能の実現(システム開発)が可能となります。この開発技術で当社は特許を取得しました。※特許番号 第6850859号及び第7017660号

勿論、LaKeel DX上でユーザー企業の情報システム部が機能部品を開発することも可能です。ユーザー企業は、この組み合わせ自在な機能部品を利用することで、大手クラウド事業者固有の技術に精通することなく、デジタルトランスフォーメーションに対するアプローチを採ることが可能になります。そして、これらを組み合わせることで『使えば使うほど便利になる仕組み』を実現するのがLaKeel DXです。従って、より少ない技術者によるシステムの開発・改変が可能となります。

同時に、ユーザー企業は必要な機能部品などの利用料を払うだけで必要な機能の入手が可能となり、将来ビジネスモデルが変更になり、その時点で不要となるシステムの減価償却を継続する、という必要がなくなります。

以上のような背景から、LaKeel DXは今後当社グループが最も注力していく製品サービスです。

 

(2)当社グループの事業モデル

①プロダクトサービス

1)製品サービス

LaKeel DX上で稼働する多くの製品を順次リリースしています。ユーザー企業は、これら製品を自社資産として所有することなく、必要な期間・必要な機能分の利用料を支払うことで、よりスピーディに新たな機能を活用し、自社の業務を支えるITサービスにおけるシェアリングエコノミーのメリットを受けることが可能となります。

これらの製品には、業務アプリケーションだけでなく、それを構成している機能部品群(LaKeel Components)、LaKeel DX上で自在に部品を組み合わせて開発を行う基盤(LaKeel Engine)、製品や開発された機能部品群を最適に運用する基盤(LaKeel Platform)が含まれています。

また、LaKeel DXは、デジタルトランスフォーメーションを加速する仕組みとして、LaKeel DX上で運用されているシステムで生成されたデータに加え、ユーザー企業が開発・運用しているシステムで生成されたデータ、インターネット上に存在するオープンデータ等を収集しこれらを管理・分析する基盤、ワークフローを実行する基盤、及びID管理の基盤を備えています。

なお、本サービスの一部において、仕入先より購入した製品を販売しております。

 

プロダクトサービスで提供している製品サービス

製品サービス

製品サービスの特徴

LaKeel DX

業務アプリケーションとそれを構成している機能部品群(LaKeel Components)、自在に部品を組み合わせて開発を行う基盤(LaKeel Engine)、製品や開発された機能部品群を最適に運用する基盤(LaKeel Platform)が含まれる。

デジタルトランスフォーメーションを加速する仕組みとして、LaKeel DX上で運用されているシステムで生成されたデータに加え、ユーザー企業が開発・運用しているシステムで生成されたデータ、インターネット上に存在するオープンデータ等を収集し、これらを管理・分析する基盤を備える。

LaKeel BI

BI(Business Intelligence)ツール。

経営・会計・人事などの多くのデータを集約・加工し、これを判り易く可視化し、経営戦略のための意思決定を行う製品。

LaKeel Data Insight

データ分析・統合管理プラットフォーム。

クラウド技術を利用し超大規模のビッグデータアナリティクスに対応する他、マイクロサービス(*5)技術により可視化や分析の先にある行動に繋げることが可能。

LaKeel HR

人事戦略実行支援プラットフォーム。

人事戦略の実行支援がコンセプトの人事基幹業務システムです。タレントデータやピープルデータなどの幅広いデータ管理、業務の属人化を防止する業務プロセス管理、分析に加え次のアクションの自動化などの特徴的な機能を提供。

LaKeel Messenger

企業向けのSNS(*6)ツール。

大企業でのコミュニケーションをリアルタイムかつ安全に行えるように、お客様の運用方針に沿った設定に変更することが可能。

LaKeel Commerce

eコマースツール。

新しい決済手段が登場した場合も即座に部品を開発し、既存システムと組み合わせることが可能。

LaKeel Online Media Service

マイクロ・ラーニング(*7)プラットフォーム。

提供するコンテンツの分野は、労働・安全・食品・ハラスメント等。また、多言語(英語・中国語(簡体字)・ベトナム語・ネパール語・ミャンマー語・ポルトガル語(ブラジル))にも対応。

LaKeel Workflow

電子申請プラットフォーム。

すべての企業のあらゆる業務で必要となる「申請と承認」について、電子申請とこれの承認システムを極めて簡単に作成し、速やかに運用を開始することができる機能を提供。

LaKeel Process Manager

業務フロー管理プラットフォーム。

LaKeel Process Managerは、単一システム内だけでなく複数のシステムが提供する機能を、業務の流れにあわせて1つの業務フローとして作成し利用することのできるエンドユーザー・コンピューティング機能を提供します。

LaKeel Passport

ID管理・認証/認可統合管理プラットフォーム。

外部システムとの連携、既存システムとのシングルサインオン、多要素・多段階認証機能を提供し、ユーザーIDの一元管理・セキュリティレベルの強化と統一を実現。

LaKeel Survey

アンケート収集管理プラットフォーム。

一般的なアンケートを作成し収集するだけでなく、収集した結果はグラフで可視化されると共に、アンケートごとに設定された閾値や、繰り返し実施されるアンケート結果の傾向から、異常値を管理者に通知する機能を提供。

LaKeel My Number

マイナンバー管理プラットフォーム。

個人番号登録から法定帳票の出力まで、従業員、及びその家族のマイナンバーを一括でセキュアに管理することが可能。

LaKeel Stress Check

企業向けストレスチェックツール。

厚生労働省「職業性ストレスチェック簡易調査票」に準拠し、ストレスチェックの回答、結果確認、企業への情報提供同意、面接指導の申出、各種分析帳票をWeb上で実施できる。

LaKeel eDocument

電子帳簿保存システム

「電子帳簿保存法改正」に準拠し、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(以下、JIIMA)よりJIIMA認証「電子書類ソフト法的要件認証」を取得。法令を遵守した形で、ペーパーレス化による書類の保存コスト削減、電子化・デジタル化による業務の効率化が可能。

MONEY/HUMAN

中堅企業を中心に1,200社以上の導入実績を持つ、IBMiシリーズ(AS400)で稼働する会計・人事給与パッケージ。

  その他、当社以外の製品サービスを提供する取引があります。

 

2)コンサルティングサービス

a. LaKeel DXコンサル

LaKeel DXを最大限に活用するためのコンサルティングサービスを提供することで、ユーザー企業の推進するデジタルトランスフォーメーションの実現とITを通じた経営戦略への貢献の最大化を図ります。

b. LaKeel DX Dataコンサル

LaKeel DX上に収集された膨大なデータを分析し、これを経営判断に活かすためのサービスです。

 

②プロフェッショナルサービス

プロフェッショナルサービスは、主に大手建設会社、大手不動産会社、大手金融機関等(銀行、生損保、リース)向けの基幹システムを対象に、システム開発サービス、システム保守サービスを展開しております。なお、本サービスの一部をビジネスパートナーに委託しております。

1)システム開発サービス

・レガシーマイグレーション(古い設計や仕様、製品に基づいて構築された基幹業務システムや周辺システムを新しい技術や製品をベースとしたものに置き換えるサービス)

・クラウドマイグレーション(自社内に機器を設置して運用してきたシステムをクラウド環境に移行するサービス)

・スクラッチの開発(顧客要望に基づき、一からシステムを開発するサービス)

 

2)システム保守サービス

・前述のシステム開発サービスにより開発されたシステムの運用や機能拡張を図るサービス

・特定アプリケーションの導入に伴うユーザーサポートサービス

 

上記、システム開発サービスに加え、システム保守サービスを併せて提供することにより、売切りの収益モデルであるフロービジネスを、持続的な安定収益モデルであるストックビジネスに転換を図り、より安定した収益を実現しております。

 

また、LaKeel DXを導入するにあたり、専門技術を有するリソースを持たない、もしくはリソースが不足しているユーザー企業向けに開発人材を投入し、LaKeel DXを活用し、ユーザー企業の既存のIT資産の迅速なクラウド化(リフト&シフト)を実現するサービスを提供します。これによりユーザー企業はデジタルトランスフォーメーションを推進するためのIT環境を手に入れることができ、ビジネスの俊敏性とIT投資効率向上、競争力向上が可能となります。

 

 当社のソリューション構成図は以下の通りです。

 

 

また、連結子会社にて以下の事業を行っております。

・北京利衆得応用技術有限公司

主にLaKeel製品の開発拠点としての位置づけを担っており、開発人材の確保と技術面でプロダクトサービスに貢献しています。

 

・株式会社ZEST

コンサルティングサービス向けに開発人材供給を行っている他、金融機関向けの専門エンジニア派遣等といった一部独自のシステムエンジニアリングサービス業務を実施しております。

 

 

(3)当社グループの事業の収益モデル

①プロダクトサービス

1)製品サービス

製品サービスは、ライセンス型(*8)及びサブスクリプション型(*9)レベニューモデルがありますが、当社グループは、継続的に収益が積み上がるサブスクリプション型レベニューモデルを重視しています。サブスクリプション売上高は、市場のニーズに応じた製品ラインナップの拡充により顧客数が増加し、以下の通り順調に成長しております。

LaKeel製品(※1)サブスクリプション売上高/ユーザー数(※2)四半期推移

 

前連結会計年度

当連結会計年度

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

売上高(千円)

191,866

199,569

205,714

217,568

226,350

238,200

247,625

260,112

ユーザー数(社)

263

265

272

278

286

297

310

324

※1 LaKeel製品には、LaKeel DX、LaKeel BI、LaKeel HR、LaKeel Workflow、LaKeel Commerce、LaKeel Online Media Service、LaKeel Data Insight、LaKeel Messenger、LaKeel My Number、LaKeel Stress Check、LaKeel Process Manager、LaKeel eDocumentが含まれます。

※2 ユーザー数は、取引社数(顧客数)ではなくエンドユーザー数です。

 

カスタマーチャーンレート(グロス(※3)及びネット(※4))は以下のとおりであります。

四半期カスタマーチャーンレート(ネット)は、継続してマイナスとなっており、ユーザーの獲得が安定して解約を上回っていることを示しております。

 

LaKeel製品のユーザー数解約率(カスタマーチャーンレート(グロス及びネット))四半期推移

 

 

※3 カスタマーチャーンレート(グロス):

  「月中に解約したLaKeel製品サブスクリプションユーザー数÷前月末時点でのLaKeel製品サブスクリプションユーザー数」の対象期間の平均

※4 カスタマーチャーンレート(ネット):

  「(月中に解約したLaKeel製品サブスクリプションユーザー数-月中に新規契約したLaKeel製品サブスクリプションユーザー数)÷前月末時点でのLaKeel製品ユーザー数」の対象期間の平均

 

また、LaKeel製品、及びこれを構成するLaKeel DXとLaKeel Appsの年間売上、ユーザー数、MRR(※5)、ARPU(※6)はそれぞれ以下のとおりであります。LaKeel製品において前述した4つの指標すべてが増加しており、サブスクリプションビジネスが順調に成長していることを示しております。

 

LaKeel DX及びLaKeel Appsの販売データ年度推移

 

前連結会計年度

当連結会計年度

LaKeel製品

サブスクリプション売上高(千円)

814,719

972,288

サブスクリプションユーザー数

278

324

MRR(千円)

72,522

86,704

ARPU(千円)

260

267

LaKeel DX

サブスクリプション売上高(千円)

172,491

228,389

サブスクリプションユーザー数

8

12

MRR(千円)

15,180

20,415

ARPU(千円)

1,897

1,701

LaKeel Apps

サブスクリプション売上高(千円)

642,228

743,898

サブスクリプションユーザー数

270

312

MRR(千円)

57,342

66,288

ARPU(千円)

212

212

※5 MRR:月間経常収益のことです。各年度第4四半期のサブスクリプション売上高を3で割ることで算出しています。

※6 ARPU:ユーザー平均単価のことです。MRRを各年度末のユーザー数で割ることで算出しています。

 

2)コンサルティングサービス

コンサルティングサービスは、LaKeel DXユーザー向けの「DXコンサルティング」と、LaKeel BIまたはLaKeel Data Insightユーザー向けの「データ分析コンサルティング」があり、サービスの提供によりその対価を受領するフロービジネスです。

特に、LaKeel DXの拡大に伴いDXコンサルティングが大きく伸長しており、この結果コンサルティングサービスの売上は大きく拡大しております。

 

②プロフェッショナルサービス

プロフェッショナルサービスは、システム開発及びシステム保守を提供するモデルです。新規顧客向けのシステム開発案件はフロービジネスです。また、既存顧客向けのシステム開発案件、及び保守案件は持続的な安定収益をもたらすリカーリング型レベニューモデル(*10)です。それらの売上の比率は以下の通りとなっており、リカーリング型レベニューモデルがサービス全体の大半を占め、安定した収益確保に貢献しております。

売上区分

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

フロービジネス

131,464

4.6

85,961

2.7

リカーリングレベニュー

2,753,958

95.4

3,123,376

97.3

合計

2,885,422

100.0

3,209,337

100.0

 

 

<用語集>

用語

説明

*1 eコマース

ネットショッピングに代表される、インターネット上での電子商取引のこと。

*2 サブスクリプション

顧客に対し提供するサービスの対価を使用した期間に応じて受領する契約方式のこと。料金は定額。

*3 クラウド

インターネットなどを経由して、コンピュータ資源をサービスの形で提供する形態のこと。

*4 デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタルテクノロジーにより企業の収益構造の転換、新たな事業創造等を図ること。

*5 マイクロサービス

アプリケーションを単一の機能を行う小さな単位(サービス)に分割し、それぞれを独立して開発し利用できるようにする、というソフトウエア開発の考え方のこと。

*6 SNS

社会的なネットワークや、人と人とのつながりを促進・サポートする仕組み。

元々は個人利用が中心だったが、近年では各国の企業だけでなく政府機関など多くの分野において利用が進んでいる。

*7 マイクロ・ラーニング

1回5分程の動画や、Webコンテンツなどの教材を使って学ぶ方法。

すき間時間での学習が可能となり反復学習がしやすくなるため、学んだ内容が記憶に定着しやすく、高い学習効果が期待できるメリットがある。

*8 ライセンス型レベニューモデル

顧客に対しサービスの提供を開始した時点で受領し、一時的に収益を上げるモデル。

*9 サブスクリプション型レベニューモデル

顧客に対し提供するサービスの対価を使用した期間に応じて受領し、継続的に収益を上げるモデル。

*10 リカーリング型レベニューモデル

単体の製品を売って終わりではなく、販売後も顧客から継続的に収益を上げるモデル。

 

 

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は4,009,313千円と前連結会計年度末比174,011千円の減少となりました。これは主に投資有価証券の取得などにより現金及び預金が526,154千円減少した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が308,287千円増加したことによるものであります。また、固定資産は2,398,788千円と前連結会計年度末比794,547千円の増加となりました。これは主にソフトウエア等の開発により無形固定資産が163,028千円、投資有価証券の取得などにより投資その他の資産が647,692千円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は6,408,102千円と前連結会計年度末比620,535千円の増加となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,112,611千円と前連結会計年度末比322,850千円の減少となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が467,100千円減少した一方で、買掛金が106,625千円増加したことによるものであります。固定負債は470,764千円と前連結会計年度末比390,216千円の増加となりました。これは主に長期借入金が391,396千円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は2,583,375千円と前連結会計年度末比67,366千円の増加となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の合計は3,824,727千円と前連結会計年度末比553,169千円の増加となりました。これは主に、利益剰余金が539,576千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度(2023年1月1日から2023年12月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する制限の緩和による社会経済活動の正常化やインバウンド需要による人手の増加など景気回復の傾向がみられる一方で、原材料価格の高騰による物価高、世界的な金融引き締めによる経済の下振れ懸念など依然として先行きは不透明な状況となっております。

 当社グループが属する情報サービス業においては、企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)化の取り組みが進んでおり、様々な情報サービスに対するニーズが益々高まっております。

 このような環境のもと、当社グループは、アプリケーション開発プラットフォーム LaKeel DXと、このプラットフォーム上で稼働する製品群 LaKeel Appsを提供し、顧客企業のデジタル化・DX推進をサポートしてまいりました。LaKeel DXは、すべてのソフトウエアを部品単位で開発しこれを組み合わせてシステムを作るという、マイクロサービス技術を活用した当社独自の開発手法を採用しており、顧客企業は自社の業務に合ったシステムを短期間で開発することが可能になります。また、LaKeel DXでは部品の更新だけでソフトウエアを最新の状態に保てるため、システムが陳腐化することなく継続して利用できるという特徴があります。

 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,653,414千円(前連結会計年度比11.2%増)、営業利益は774,580千円(同0.3%増)、経常利益は806,955千円(同10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は539,576千円(同15.5%増)となりました。

 

 なお、当社グループはLaKeel事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、サービス別の売上高は次のとおりであります。

 プロダクトサービスの売上高は4,444,076千円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。LaKeel製品の新規ライセンス販売とサブスクリプションによる使用料収入、及びこれに付随するコンサルティングサービスが成長しております。

 プロフェッショナルサービスの売上高は3,209,337千円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。過去に当社が提供した既存システムの保守運用といった収益基盤により、リカーリングレベニューが安定して推移しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,704,061千円と前連結会計年度末比526,154千円の減少となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は668,483千円(前年同期は1,238,067千円の獲得)となりました。これは主に、増加要因として税金等調整前当期純利益805,853千円の計上、減価償却費324,769千円、仕入債務の増加額116,991千円があった一方で、減少要因として売上債権の増加額327,191千円、法人税等の支払額265,524千円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,102,382千円(前年同期は359,364千円の使用)となりました。これは主に、減少要因としてLaKeel製品のソフトウエア開発を含む無形固定資産の取得による支出490,768千円、投資有価証券の取得による支出600,000千円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は94,863千円(前年同期は205,406千円の使用)となりました。これは主に、減少要因として長期借入金の返済による支出575,704千円、リース債務の返済による支出21,563千円があった一方で、長期借入れによる収入が500,000千円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。なお、当社グループはLaKeel事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高

(千円)

前年同期比(%)

プロダクトサービス

4,509,141

+9.3

1,344,738

+5.1

プロフェッショナルサービス

3,433,376

+11.5

827,728

+37.1

合計

7,942,518

+10.2

2,172,466

+15.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはLaKeel事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

プロダクトサービス

4,444,076

+11.2

プロフェッショナルサービス

3,209,337

+11.2

合計

7,653,414

+11.2

 

 (注)1.プロダクトサービスにおける売上区分別の販売実績は、次のとおりであります。

売上区分

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

製品サービス

ライセンス

370,820

9.3

394,490

8.9

サブスクリプション(LaKeel製品)

814,833

20.4

972,288

21.9

サブスクリプション(LaKeel製品以外)

136,918

3.4

132,535

3.0

その他

87,293

2.2

107,965

2.4

コンサルティングサービス

2,585,557

64.7

2,836,797

63.8

合計

3,995,422

100.0

4,444,076

100.0

 

2.プロフェッショナルサービスにおける売上区分別の販売実績は、次のとおりであります。

売上区分

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

フロービジネス

131,464

4.6

85,961

2.7

リカーリングレベニュー

2,753,958

95.4

3,123,376

97.3

合計

2,885,422

100.0

3,209,337

100.0

 

3.金額は販売価格によっております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

プロダクトサービスの売上高は4,444,076千円(前年同期比11.2%増)となりました。LaKeel製品の開発・販売に経営資源を集中しており、製品サービス、コンサルティングサービスともに引き続き順調に成長いたしました。

プロフェッショナルサービスの売上高は3,209,337千円(前年同期比11.2%増)となりました。新規開発の受注のほか、既存顧客向けのシステム保守運用などのリカーリングビジネスが中心となっております。

この結果、当連結会計年度の売上高は7,653,414千円(前年同期比11.2%増)となり、前連結会計年度比で772,569千円増加いたしました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は5,013,102千円(前年同期比12.0%増)となり、前連結会計年度比で537,158千円増加いたしました。これは、売上高の増加に伴い外注費が431,298千円増加したことが主な要因となります。

この結果、売上総利益は235,410千円増加し、2,640,311千円(前年同期比9.8%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,865,731千円(前年同期比14.3%増)となり、前連結会計年度比で233,025千円増加いたしました。これは、給与手当21,336千円、福利厚生費17,610千円といった人件費の増加のほか、募集採用費72,871千円、支払手数料14,593千円といった費用の増加、及び広告宣伝費13,754千円、接待交際費16,555千円といった販売費の増加が主な要因となります。

この結果、営業利益は2,385千円増加し、774,580千円(前年同期比0.3%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は46,099千円(前年同期比478.9%増)となり、前連結会計年度比で38,136千円増加いたしました。これは受取和解金が35,500千円増加したことが主な要因となります。

当連結会計年度における営業外費用は13,724千円(前年同期比71.9%減)となり、前連結会計年度比で35,148千円減少いたしました。これは為替差損が22,375千円減少したことが主な要因となります。

この結果、経常利益は75,670千円増加し、806,955千円(前年同期比10.3%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益の発生はありませんでした。(前連結会計年度の特別利益はなし)

また、当連結会計年度における特別損失は1,102千円(前連結会計年度の特別損失はなし)発生いたしました。これは連結子会社における固定資産の除却により発生したものであります。

当連結会計年度における法人税等(法人税等調整額を含む)は265,840千円(前年同期比0.2%減)となり、前連結会計年度比で399千円減少いたしました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は72,525千円増加し、539,576千円(前年同期比15.5%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、サービス提供のための人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要はソフトウエアの開発費であります。

当社グループは、これらの資金需要に対して、事業上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保することを基本方針とし、資金使途や金額に応じて自己資金又は金融機関からの借入といった資金調達を柔軟に検討し、確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。この見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

当社グループは経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、LaKeel製品サブスクリプションのユーザー数、売上高、営業利益、営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。各指標の進捗状況については、以下のとおりであります。

今後も引き続きユーザー数の増加と、これに伴う売上高及び営業利益の増加、営業利益率の上昇を目指してまいります。

経営指標

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

 

前年同期比

ユーザー数

278社

324社

+46社

売上高

6,880,844千円

7,653,414千円

+11.2%

営業利益

772,194千円

774,580千円

+0.3%

営業利益率

11.2%

10.1%

△1.1ポイント

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは、LaKeel事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:千円)

 

プロダクトサービス

プロフェッショナルサービス

合計

外部顧客への売上高

3,995,422

2,885,422

6,880,844

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

本邦に所在する有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

1.製品及びサービスごとの情報

(単位:千円)

 

プロダクトサービス

プロフェッショナルサービス

合計

外部顧客への売上高

4,444,076

3,209,337

7,653,414

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

(2)有形固定資産

本邦に所在する有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 当社グループは、LaKeel事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 当社グループは、LaKeel事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)

 該当事項はありません。

 

当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

 該当事項はありません。