2024年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクをすべて網羅するものではありません。

 

(1)リスクマネジメント体制

当社は、当社グループの事業活動に関する諸種のリスク管理を所管するため、代表取締役社長を委員長としたリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、リスク管理体制の構築と運用にあたっております。リスク管理・コンプライアンス委員会は、経営上のリスクの識別・評価、対策立案、状況の確認を定期的に実施しております。

 

(2)リスクマネジメント運用状況

当社は、リスク管理・コンプライアンス委員会を四半期毎及び必要に応じて開催し、リスク状況の報告・対応方針の審議等を行っております。リスク管理・コンプライアンス委員会の協議内容について、経営上、重要なリスクは取締役会に報告し、審議しています。

 

(3)市場環境に関するリスク

①技術革新への対応について(発生可能性:中、影響度:中)

当社グループが属する情報サービス業界においては、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、日々、新しい技術やサービスが生まれております。そのため、当社グループは常に最新技術の習得に努め、目まぐるしい環境変化に迅速に対応できるようエンジニアの採用・教育・能力開発を進めております。しかしながら、当社グループの想定を上回る急激な技術革新等により生じた劇的な環境の変化に対し、当社グループが適切に対応することができない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②景気変動によるリスクについて(発生可能性:中、影響度:中)

当社グループの主たる事業は、国内企業に対するコンピューターシステム及びプログラミングの開発に関する受託業務の運営であるため、国内企業の設備投資(IT投資)の動向に影響を受けやすい傾向にあります。当社グループは、国内外の政治・経済の大幅な変動、又は戦争等による連鎖的な国内景気の悪化により、当社グループが提供するサービス領域が縮小される可能性があります。したがって、国内企業全体のIT投資需要が減少した場合、新規受注の減少や既存契約の解約等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③生成AIのリスクについて(発生可能性:中、影響度:中)

生成AIをコード生成などに活用することで、ITビジネスの生産性を高める事が可能になりますが、機密情報の漏洩や著作権侵害等の懸念があり、ガイドラインや安心して使うための環境整備が必要になります。情報技術の先進的活用で社会に貢献してきた当社は、生成AIを活用し受託案件の生産性を高めると共に新たなサービス開発に向けた検討と知見の蓄積を進めてまいります。しかしながら、生成AIが当社のビジネス環境を崩すような活用がされた場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業に関するリスク

①人材の確保、育成について(発生可能性:中、影響度:大)

当社グループが今後さらなる事業の拡大及び高付加価値サービスの提供を図るためには、優秀な人材の確保及び育成が不可欠となります。高い技術力を有したエンジニアの確保及び育成はもとより、顧客に当社グループのシステム開発能力やサービス力を提案できる技術営業担当者及び事業拡大の基盤となるプロジェクトマネージャーの確保が重要になっております。当社グループでは、上記のような人材の確保及び育成に注力してまいりますが、人材の確保及び育成が当社グループの想定通りに進まなかった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②ビジネスパートナーである協力会社の確保について(発生可能性:中、影響度:大)

当社グループは、コンピューターシステム及びプログラミングの開発に関する受託業務の運営において、案件ごとの必要技術や効率性、収益性の向上の観点から当社グループ内のエンジニアの他、ビジネスパートナーである協力会社を活用することで、機会損失の発生を低減することを目指しております。そのためには、協力会社の確保及び協力会社との良好な取引関係の維持・構築の実現が極めて重要となり、今後、当社グループが事業規模の拡大を図る上で、協力会社との連携強化が必要不可欠となります。したがって、当社グループは協力会社の継続的な確保及び一層の連携強化に努めてまいりますが、協力会社の確保が十分に行えなかった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③大口顧客への依存に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:大)

当社グループには、継続的な販売先である主要取引先として大口顧客が存在します。当連結会計年度における当社グループの総売上高に対するNTTデータグループへの販売額は38.2%、野村総合研究所グループへの販売額は24.5%を占めております。

当社グループは、今後、これらの大口顧客との取引金額の拡大を図りながらも、その他の顧客との取引金額の拡大を図り、大口顧客への取引依存度の低減に努めてまいりますが、経済情勢などの変化により、大口顧客の事業運営が大きく影響を受け、大口顧客による当社グループとの取引の急激な減少を余儀なくされた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④情報システムのトラブル発生に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:大)

当社グループは、業務効率化や社内情報共有のため、情報システムを構築・運用しております。情報システムの構築・運用に当たっては、ISMSの認証取得やプライバシーマークの認定取得を行い、従業員教育や各種の情報セキュリティ対策を講じることで危機管理対応に積極的に取り組んでおりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウィルス侵入、自然災害・事故等による情報システムの深刻なトラブルが発生した場合には、業務効率性の低下を招くほか、被害の規模によっては、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤長時間労働の発生に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:小)

システム及びプログラミングの開発プロジェクトにおいては、当初計画に見込まれていない不測の事態の発生に起因して、品質保持や納期厳守の観点から長時間労働が発生することがあります。当社グループでは適切な労務管理に努め、長時間労働の発生を未然に防ぐべく事業部門と管理部門の双方によるチェック体制を整備しております。しかしながら、上述のような不測の事態の発生に伴う不可避的な長時間労働が発生した場合には、システム及びプログラミング開発における労働生産性の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他のリスク

①法的規制に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:小)

下請代金支払遅延等防止法に対しましては、支払代金の遅延等を未然に防止する体制を構築し、法令遵守に努めておりますが、法令違反に該当する事態が発生した場合、又は法律等の改正等が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社は監督官庁より労働者派遣事業者として許可を受けておりますが、今後、偽装請負と見做されること、あるいは何らかの事由により当該許可の取消事由に該当し、業務の全部もしくは一部の停止処分を受けた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②知的財産権に関するリスクについて(発生可能性:小、影響度:小)

当社グループは、第三者の知的財産権を侵害することがないよう常に注意を払っており、現時点において第三者の知的財産権の侵害の事実はないものと認識しておりますが、無体財産に係る財産権の場合には、意図せずに侵害することは容易に起こりえます。この場合、社会的信用力の低下、当該第三者からの損害賠償請求により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。第三者の知的財産権を侵害し、金銭的損害が発生する、あるいは第三者に知的財産権を侵害され競争力が低下した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③情報セキュリティについて(発生可能性:小、影響度:中)

当社グループでは、事業遂行上、顧客の企業情報並びにビジネスパートナーである協力会社及びエンジニアの個人情報等、多くの機密情報を取扱う機会を有しております。当社グループでは、情報セキュリティに関する取り組みとして、情報セキュリティ管理に関する規程の制定、社内教育を実施し、情報管理への意識向上を図るとともに、ISMS認証やプライバシーマークの認定を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を行っておりますが、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの社会的信用力の低下や損害賠償請求の負担等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④事務リスクについて(発生可能性:中、影響度:中)

当社グループはお客様や協力会社様との間で様々な取引を行っており、取引ごとに様々な事務処理が発生いたします。これらの事務処理においては事務ルールを定め定期的モニタリング及び適時のルール見直しを実施していますが、ミスや不正等により、受注・発注等の業務の中断による営業活動の停止、取引先からの信用の失墜等が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤自然災害や感染症に関するリスクについて(発生可能性:中、影響度:中)

当社グループが事業展開する地域において、地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、各種感染症の拡大等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの主要な事業拠点である首都圏において大規模な自然災害等が発生した場合には、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、自然災害等が発生した場合に備え、業務フローの見直しやITツールの活用及び情報セキュリティ強化等を図って、円滑にリモートでの業務活動を可能とする態勢整備を拡充していますが、自然災害等による人的、物的損害が甚大である場合には、当社グループの事業の継続そのものが不可能になる可能性があります。

 

⑥気候変動リスクについて(発生可能性:小、影響度:小)

当社グループは、持続的に成長する上で優先的に取り組むべきテーマとして、「事業活動を通した脱炭素社会への貢献」をマテリアリティ(重要課題)として認識しており、当社グループの事業活動から発生する温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、国際的イニシアティブ「Science Based Targets Initiative(SBTi)」による中小企業向けSBT認定を取得しています。また、情報サービス産業協会(JISA)のCO2削減自主行動計画の取り組みにも賛同し、当社はこのイニシアティブに協力・参加しています。しかしながら、社会的に多大な影響を与える気候変動が生じた場合には当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動リスクへの対応や情報開示が不十分であった場合又はそのように見做された場合には、当社グループの企業価値の毀損に繋がるおそれがあります。

 

⑦不採算案件の発生可能性について(発生可能性:小、影響度:大)

原価が受注額を上回る不採算案件の発生については、品質保証委員会活動にて未然に防止を図りますが、予測できない要因により不採算案件が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、創業時より積み重ねてまいりました大手SI事業者からの信頼と実績、継続的なリレーションにより、ICT業界の変化を早くに察知し、新しい分野に躊躇せず挑戦し、その先取性により事業を拡大してまいりました。この事業特性により、安定した収益確保を可能としています。今後も、持続的な成長を株主の皆様とともに実現するとともに、株主層の拡大を図るべく、配当性向30%以上を目安に、利益成長に合わせて増配する累進配当の実施を基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨定款に定めております。

当事業年度の配当につきましては、2024年7月11日に開示した「2024 年5月期 決算短信」のとおり、売上高・利益ともに前期を上回る業績等を勘定し、1株当たり48円の配当を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は32.1%となりました。内部留保資金につきましては、経営基盤の長期的安定に向けた財務体質の強化、継続的な事業の拡大、発展に有効活用していく所存であります。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年8月29日

139,488

48

定時株主総会決議