2025年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    390名(単体) 450名(連結)
  • 平均年齢
    42.5歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.6年(単体)
  • 平均年収
    6,277,862円(単体)

従業員の状況

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

薬品事業

362

(41)

建材事業

58

(56)

全社(共通)

30

(2)

合計

450

(99)

 

(注) 1  従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は(  )内に当連結会計年度の平均人員を外数で記載しております。

2  臨時従業員は、臨時工及びパートタイマーであります。

3  全社(共通)は、管理本部等の従業員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

390

42.5

16.6

6,277,862

(99)

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

薬品事業

302

(41)

建材事業

58

(56)

全社(共通)

30

(2)

合計

390

(99)

 

(注) 1  従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は(  )内に当事業年度の平均人員を外数で記載しております。

2  臨時従業員は、臨時工及びパートタイマーであります。

3  平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4  全社(共通)は、管理本部等の従業員であります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループの労働組合には、日本化学産業社員協議会(企業内組合)があり、2025年3月31日現在の組合員数は258名であります。

なお、労使関係は安定しており、特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

3.9

60.0

80.4

80.1

労働者の男女の賃金の差異に関する補足説明

  当社の全労働者に占める女性労働者の比率は20.0%となっておりますが、男女別労働者に占めるパート・有期労働者の比率は、男性が18.1%、女性が56.7%と、男性労働者に比べて女性労働者はパート・有期労働者の割合が高くなっております。

 このため、雇用形態別にみた男女の賃金の差異に比べ、全労働者の男女の賃金の差異は60.0%と更に低くなっております。

 

(注)1.「女性活躍推進法」の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児・介護休業法」の規定に基づき、「育児・介護休業法施行規則」第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

当社は、サステナビリティ基本方針として「新たな価値を創出、提供する事業活動を通じて、環境、社会、経済における中長期課題の解決と持続可能性の実現に貢献し、全てのステークホルダーとともに成長を確実なものにする」を掲げております。

創業以来金属の可能性を追求し、事業活動を行ってきた当社にとりまして、非鉄金属等資源の枯渇問題は事業活動に密接に関わる問題であると同時に、当社が持続可能な社会の実現に向けて貢献可能な課題であると認識しております。現在、非鉄金属を取り巻く環境はリサイクル等を通じた資源循環が目指される一方で、脱炭素社会への移行に伴う需要の高まりに直面しており、資源需給環境の不確実性が高まっております。また、このような環境下におきまして企業として持続的成長を実現していくためには、人的資本経営が重要となってくると考えております。

このことから、基本戦略の一つである社会課題の解決に向けた重要なサステナビリティ課題として、「資源循環の推進」「気候変動対応」「人的資本経営の推進」が挙げられます。

 

地球温暖化に起因する気候変動問題に対処すべく、脱炭素社会の実現が目指されております。脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーやEVの普及が加速しており、それらの設備、機器には銅をはじめ金属が多く使用されております。当社は金属を主原料とした製品の開発・製造事業を展開しており、脱炭素社会への移行に伴う社会や経済の変化は、原材料である金属の資源枯渇や調達コスト増加といった事業上のリスクをもたらす一方で、需要を満たす製品開発等適切に対策を講じることで、事業成長の機会にもつながると認識しております。

そのため、気候変動財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づいた分析及び体制整備を実施することで、当社のレジリエンス性の向上並びに持続的成長を目指すとともに、情報開示を通じたステークホルダーとの対話を目指し、適切な情報開示を行ってまいります。

 

(1) ガバナンス

当社はサステナビリティに関する諸課題を、サステナビリティ基本方針に沿って毎月開催されるサステナビリティ推進委員会で取り扱っております。本委員会の委員長はサステナビリティ推進担当執行役員が務めており、社長やその他執行役員も全員参加しております。

気候変動関連課題におきましては、中長期戦略への組み込みの検討や取組みの進捗状況のレビュー、リスク・機会の洗い出し及び評価、再エネ電力の購入等について議論を行っております。  

また、非鉄金属等資源枯渇問題並びに人的資本に関わる課題に対しても、サステナビリティ推進委員会で中長期戦略の策定、予算編成への反映の検討等を行っております。

これらサステナビリティに関わる議論内容は都度取締役会に報告され、取締役会の監督が適切に図られる体制をとっております。取締役会で審議・決定された事項は委員会を通じて各部門に共有され、対策を実施しております。

 

取締役会

 

 

議長:代表取締役社長

開催頻度:月一回

役割:上申されたサステナビリティに関する検討、決議、

決議事項の報告

 

 

報告↑↓監督

 

 

サステナビリティ推進委員会

 

 

委員長:取締役 常務執行役員

開催頻度:月一回

取締役会への報告頻度:重要事項について都度報告

役割:気候変動等サステナビリティ課題に関する審議、

中長期戦略の策定、進捗状況のレビュー、

取組み内容報告

 

 

    報告↑↓進捗レビュ

 

 

各部門

 

 

 

 

 

 

 

(2) 戦略

(ⅰ)気候変動

当社の事業活動における主原料となる金属は、脱炭素社会実現に向けた再生可能エネルギーやEVの導入によって需要が増加傾向にある一方で、生産にかかる環境負荷の大きさから代替素材が模索される等、将来の不確実性が高まっております。いかなる社会に推移したとしても持続的成長を実現するためには事業上の対応の幅を広げることが重要であると認識しており、気温上昇の観点で極端なシナリオを想定し、当社への影響を分析いたしました。

なお、シナリオ分析実施にあたり、想定したシナリオは以下のとおりです。

 

1.5℃シナリオ

世界観

世界の平均気温の上昇を産業革命期以前と比べて1.5℃に抑えるため、気候変動に対する政策・規制が積極的に導入される世界。

・炭素税の導入

・再生可能エネルギー需要の拡大

・EV等環境配慮製品の需要の高まり

参照シナリオ

・IEA NZEシナリオ, APSシナリオ, SDSシナリオ

・IPCC RCP2.6シナリオ

4℃シナリオ

世界観

気候変動に対する政策・規制は進展せず、産業革命期以前と比べて21世紀末までに世界の平均気温が最大4℃上昇する世界。

・気温上昇に伴う物理的被害の拡大

・化石燃料への依存の継続

参照シナリオ

・IEA STEPSシナリオ

・IPCC RCP8.5シナリオ

 

上記シナリオに基づき、当社グループへの財務的影響という観点で定量、定性の両側面から評価した主要リスク・機会は以下のとおりです。

 

<主要リスク一覧>

リスク項目

事業への財務的影響

影響度

発現

時期

内容

2030年

2050年

1.5℃

4℃

1.5℃

4℃

炭素価格

(炭素税)

中長期

事業活動で生じるGHG排出量に応じてコストが発生し、操業コストが増加する。

リサイクル

規制

中長期

調達コストが高いリサイクル材の使用で、操業コストが増加する。

再エネ・

省エネ政策

短中長期

発電コストの高い再生可能エネルギーへの転換が進み、購入を増やすことで操業コストが増加する。

エネルギー効率の高い設備への投資コスト等が増加する。

低炭素技術の進展

中長期

EV市場の競争激化に伴う技術開発対応のため追加的な開発コストが発生し、対応が遅れた場合には収益が減少する。

原材料コストの変化

中長期

非鉄金属資源の需要が急激に増加することで原材料調達コストも急激に増加する一方で、販売価格への転嫁が間に合わず利益が減少する。

脱炭素化を目指し原材料である鉄の製造工程が変更され、製造単価が上昇、原材料調達コストが増加する。

異常気象の激甚化(台風、豪雨、土砂、高潮等)

中長期

保有資産が被災し、設備の修繕コストが発生する。

自社拠点の被災により操業が停止し、収益が減少する。

サプライヤー拠点の被災により原材料調達が難化し、収益が減少する。

 

 

 

<主要機会一覧>

機会項目

事業への財務的影響

影響度

発現

時期

内容

2030年

2050年

1.5℃

4℃

1.5℃

4℃

リサイクル

規制

短中長期

リサイクル製品の需要増加により収益が増加する。

低炭素技術の進展

中長期

EVや蓄電技術進展に伴い、二次電池関連の需要が増加し、収益が増加する。

-

-

原材料コストの変化

中長期

非鉄金属資源の需要増加に伴い調達価格が増加する一方で、適切に製品の販売価格への反映を行うことで収益が増加する。

 

・発現時期

 短期:~2025年、中期:2026年~2030年、長期:2030年~2050年

・影響度閾値

 大:2億円以上、中:2億円未満2000万円以上、小:2000万円未満

 

上記主要リスク・機会の中でも特に当社への影響が高いことが予測されるリスクに対し、現在以下のような対応策を実施することでリスクの低減、並びに機会の最大化を目指しております。

 

当社にとりまして最も大きな影響が予測されるリスクとして、EVをはじめとする低炭素技術や太陽光発電パネル等の再生可能エネルギー発電設備の需要増加に起因した金属需要の増加による、原材料コストの高騰が挙げられます。本リスクに対しては、リサイクル原料の活用推進や、新技術・新製品の創出を行い対応しております。

 

また、その他にも脱炭素社会への移行に伴うリスクにつきましては、気温上昇の一因であるGHG(温室効果ガス)排出量を抑制するため、炭素税の導入が大きな財務インパクトとなる可能性があります。本リスクに対しては、拠点の照明のLED化、埼玉工場でのコージェネレーションシステム運用やボイラー効率改善機器の導入、福島第一工場での太陽光発電パネルの設置等を行っております。これら取組みにより、電力や都市ガス等のエネルギー使用量の削減、並びに電力の再エネ化を推進しております。再エネ化につきましては更に、再生可能エネルギーの段階的な導入を開始しており、毎年増加させる計画です。

 

一方で、脱炭素社会への移行に伴ってはEV向け蓄電池の需要が拡大することが予測されており、これにより当社の二次電池関連製品、並びにEVの使用済み二次電池の金属リサイクル需要が増加することが見込まれ、大きな事業機会となり得ます。この機会に対しては、現在EVの使用済み二次電池の金属リサイクルのための技術実証から事業化に向けた取組みの一環として、福島県いわき市にパイロットプラントの建設を2025年1月より開始しております。完成は2026年3月予定であり、完成次第、稼働を開始する予定です。

 

気候変動課題としては、気温上昇に伴う自然災害等の物理リスクも大きなリスクとなる可能性を認識しております。洪水の発生によりビルや工場が被災することで、資産への直接的な影響や営業停止による営業利益の減少が考えられます。これらリスクに対し、東日本大震災及びタイ洪水における教訓を踏まえたBCPの定着や実行を行っております。具体的には拠点ごとの対応マニュアルを定期的に見直すことや、被災した拠点を早期復旧させた経験を踏まえ部材のストックを行うこと等で対応しております。

 

(ⅱ)人的資本

① 人材育成の基本方針

「企業における人材育成は、人的資本経営及びサステナビリティの実現にあたり最も重要な取組みであるとの考えに基づき、一人ひとりが能力を高め多様性を活かして役割期待に能動的に応えつつ成長し、企業の持続的成長とサステナビリティ実現に向け主体的に活躍する人材を育成する」ことを基本方針としております。

また、人材育成基本方針を達成するために、当社は以下のとおり、社内環境整備方針を策定しております。

1)経営戦略並びに事業戦略と有機的に連動する人材育成課題を全社並びに各組織で明確化し、OJTとOFF-JTを組み合わせて効果的な人材育成を進める。OJTにおいては、上司と部下はともに育成課題にチャレンジし,取組み過程における対話と適切なジョブローテーションを通じて成果を共有化する。

2)OFF-JTについては経営戦略並びに事業戦略展開に資するOFF-JTプログラム・機会を階層別、役職別に設け、全階層へ積極的に展開、運用する。

3)自己啓発については、職能、キャリア、年齢、ジェンダー等に応じ多面的に支援し自発的な取組みを推奨していく。

この人材育成方針及び社内環境整備方針に基づき人材育成並びに人的資本の充実を進めてまいります。

 

② 人材育成の強化

社内環境整備方針に基づき研修制度を改革し、人材育成の更なる強化に取り組んでおります。

1)研修体系の再構築

研修制度の全体構造を整理し、継続的に実施可能な研修体系に見直しいたしました。新入社員から新任管理職までの計画的な階層別研修に加えて、次世代経営層の候補者育成を目的とした部長層の選抜型変革研修を実施しており、従業員一人ひとりのスキルアップとモチベーションを維持するための研修を行っております。

2)コンプライアンス・ハラスメント防止研修

人的資本経営のためには、コンプライアンス遵守、ハラスメント防止が不可欠です。定期的に従業員全員がコンプライアンス研修を受講するよう、eラーニングでの配信を行っております。

 

③ 多様な人材の活躍

DEI推進の取組みとして、外国人及び女性の活用を進めております。

外国人活用については、これから当社が海外展開を強化するうえで、その重要度は増しております。当社では従前より外国籍人材の受入れを定期的に行っております。

ここ5年の新卒採用においては、52名中13名が女性で、女性の採用数は一定数を確保しております。

現在、社外取締役及び社外監査役のうち女性は3名でありますが、女性の管理職については4名と管理職全体に占める女性の割合は3.9%に過ぎないことから、上位職をめざす土壌を形成し、管理職への登用を図っていきます。

更に、キャリア採用も積極的に進めており、この5年間で採用したキャリア採用者も54名(内、女性7名)となる等、さまざまな視点から多様な人材が活躍できる土壌の形成に取り組んでおります。

なお、障害者雇用については、事業所近隣の特別支援学校からの職場実習生受け入れを通じて継続的な採用を行っており、法定雇用率で定められた障害者雇用数12人を維持しております。

 

④ 多様な働き方を実現する取組み

多様な人材が働きやすい環境整備の一環として、テレワーク勤務制度による在宅勤務を推進しております。また、仕事と育児を両立するための支援策として、男女を対象とした育児休業制度による取得を推進しております。その結果、女性の育児休業取得率は100%で推移しておりますが、取得実績のない男性の取得については、引き続き、取得率を増加させるよう努めてまいります。

 

(3) リスク管理

当社では、非鉄金属等資源枯渇問題に係るリスク、及び気候変動に係るリスクについてはサステナビリティ推進委員会で、また、人的資本に係るリスクについてはリスク管理委員会で、リスクの洗い出しと重要リスクの絞り込みをしたうえで、モニタリング及び再評価を行い、適切に管理しております。

特に、気候変動に関するリスクに対しては、特定・評価プロセスとしてシナリオ分析を実施しております。シナリオ分析ではまずサステナビリティ推進委員会にて、予測される気候変動課題に起因したリスクを、IEAやIPCCが公表する文献等も参考に洗い出し及び整理を行います。次に、特定されたリスクごとに事業インパクト評価を実施し、営業利益への影響度という観点でリスクの大きさを評価しております。

サステナビリティ推進委員会では、リスクの評価と併せて重要リスクに対してはリスク低減に向けた施策も検討し、評価結果と併せて取締役会に報告されます。取締役会によって承認された施策については、サステナビリティ推進委員会主導のもと各事業部門で実行に移され、対応の進捗状況は定期的にサステナビリティ推進委員会に集約されます。そしてリスクの再評価まで行うことで、適切な管理プロセスを構築しております。

 

(4) 指標と目標

(ⅰ)気候変動

当社はシナリオ分析を通じ、カーボンプライシング制度導入によるコスト増加リスクを、重要リスクの一つとして評価しております。そこで、本リスク低減のための施策の進捗を図る指標として、GHGプロトコルに基づきScope1,2排出量の算定を実施しております。

また、2050年カーボンニュートラル達成に向け、2030年度のScope1,2排出量を2019年度比60%以上削減するという目標を策定いたしました。この目標達成のために、省エネルギー技術の導入や再生可能エネルギーの活用等の削減の取組みを推進してまいります。

Scope1,2算定結果は以下のとおりです。

GHG排出量

項目

2019年度

2024年度

 

Scope1

7,385

6,294

t-CO2

Scope2(マーケット基準)

7,860

7,103

Scope2(ロケーション基準)

8,522

5,858

Scope1+2合計

15,245

13,397

マーケット基準

・タイ拠点は1月~12月のデータで集計しております。

・社有車と以下拠点の専有部分による排出量は全体に比べ軽微なため、除外しております。

(ハノイ駐在員事務所、越谷社宅(賃貸部除く専用部分)、保養所、松原独身寮、新田寮)

 

 

(ⅱ)人的資本

人的資本に関する戦略において記載しております、方針及び施策に係る指標につきましては、連結対象が海外子会社であり、連結グループ全体での記載が困難であることから、当社単体での記載となっております。

指標

実績

実績

目標

2024年3月

2025年3月

2026年3月

女性管理職比率

3.1

     3.9%

4.0

女性育児休業取得率

100.0%

     100.0%

100.0%