人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数4,013名(単体) 5,669名(連結)
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平均年齢43.2歳(単体)
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平均勤続年数16.5年(単体)
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平均年収9,935,667円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
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(2024年12月31日現在) |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
医薬 |
5,669 |
合計 |
5,669 |
(注)1.当社グループは、「医薬事業」の単一セグメントです。
2.従業員数は、就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、執行役員及び臨時従業員(再雇用社員、契約社員、パートタイマー等の社員)は除いています。
3.臨時従業員数については、その総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。
(2) 提出会社の状況
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(2024年12月31日現在) |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
4,013 |
43.2 |
16.5 |
9,935,667 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
医薬 |
4,013 |
合計 |
4,013 |
(注)1.従業員数は、就業人員数(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、執行役員及び臨時従業員(再雇用社員、契約社員、パートタイマー等の社員)は除いています。
2.臨時従業員数については、その総数が従業員数の100分の10未満であるため記載を省略しています。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(3) 労働組合の状況
当社グループには、協和キリン労働組合が組織されており、2024年12月31日現在の組合員数は2,822人です。
労使は相互信頼を元に協力的な関係を維持しています。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
女性活躍推進は、少子高齢化に基づく生産年齢人口の減少が進む中で喫緊の課題とされ、政府の成長戦略の一つと位置付けられています。当社グループでは、社会からの期待に応えるとともに、多様性による企業競争力の観点から、女性社員のエンパワーメント、男性の家事・育児等への参画を推進しています。当社のこれまでの取組みが評価され、2016年に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)に基づく、厚生労働大臣認定の評価(えるぼし「3段階目」)を取得し、2024年12月31日現在も維持しています。また、女性管理職比率や男性育児休業取得率も向上しています。
<「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」に関連する当事業年度実績>
提出会社の状況は、以下のとおりです。
(女性管理職比率)
(2024年12月31日現在) |
女性管理職比率 |
15.5% |
(注)当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含み算出しています。
(男女別の育児休業取得率)
(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
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男性 育児休業取得率 |
女性 育児休業取得率 |
115.4% |
97.8% |
(注)1.当社から社外への出向者及び社外から当社への出向者を除いて算出しています。
2.育児休業には出生時育児休暇も含みます。
3.当事業年度に出産した従業員数及び配偶者が出産した従業員数に対して、当事業年度に育児休業を取得した従業員数の割合を算出しています。なお、過年度に出産した従業員又は配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
(男女の賃金差異)
(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
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男性の賃金に対する 女性の賃金の割合 |
正社員 |
78.2% |
パート・有期社員 |
64.8% |
全従業員 |
77.4% |
(注)1.当社では正社員及びパート・有期社員のいずれにおいても、男女では賃金規程等の制度上、昇進・昇給等の運用上及び採用基準上の差を設けていません。
2.正社員は、当社から社外への出向者、社外から当社への出向者及び執行役員を除いて算出しています。当社は、職群及び等級により異なる賃金水準を設定しています。等級及び職群毎の人数分布が男女で異なるため、男女の賃金差異が生じています。
3.パート・有期社員は、臨時従業員(再雇用社員、契約社員、パートタイマー等)を対象に算出しています。再雇用社員、契約社員、パートタイマー等の雇用形態の区別による賃金の差異があります。比較的給与水準が低い雇用形態(契約社員やパートタイム)において女性の比率が高いため、男女の賃金差異が生じています。なお、パートタイマーについては若干名のため、フルタイム換算をせず実際に支給した賃金に基づき算出しています。
4.賃金には、賞与及び基準外賃金を含んで算出しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年12月31日現在)において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ
当社グループにとってのサステナビリティとは、社会のステークホルダーとともに、“病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値”を共創していくことを意味しています。私たちは、ビジョンの実現を通して、当社グループのサステナビリティと社会のサステナビリティを両立していきます。
当社グループのサステナビリティを推進することは、我々の掲げるCSV経営とつながっています。私たちは、社会的価値(病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値を提供し、社会課題を解決すること)と、経済的価値(当社グループがさらにLife-changingな価値を生み出していくために人的資本と知的資本に投じる原資となりうる利益)という2つの価値創造の両立を実現していきます。
社会的価値を提供し、さらに次の社会的価値を創出するための経済的価値を得て、世界中の病気と向き合う人々に必要とされる企業であり続けること、これをサステナブルな事業活動と考えています。
また、私たちがサステナブルに事業活動を継続していくという観点から、未来世代を重要ステークホルダーと捉え、地球環境への負荷の低減に取組んでいきます。
2024年にはPSCI (Pharmaceutical Supply Chain Initiative)に加盟いたしました。当社グループだけでは人権・環境・コンプライアンスといった観点からのサードパーティマネジメントに関して実施できる範囲に限りがありますが、PSCIに加盟することで、グローバルの製薬企業等と連携しながらより大きなインパクトを出していきたいと考えています。
(2)協和キリンのビジョン実現に向けたストーリーとマテリアリティ(重要経営課題)
① 協和キリンのビジョンと価値創造ストーリー・Story for Vision 2030
当社グループは、2021-2025年の中期経営計画策定時に、ビジョン2030を策定し、我々の創造する価値がLife-changingな価値であることを明確化しました。
また、競争戦略としてのCSV経営を掲げ、社会的価値(病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値を提供し、社会課題を解決すること)と、経済的価値(当社グループがさらにLife-changingな価値を生み出していくために人的資本と知的資本に投じる原資となりうる利益)という2つの価値創造を両立し、病気と向き合う人々に笑顔をもたらしていくことをアウトカムとして明確化し、これを当社グループの“価値創造ストーリー(下図参照)”として示しています。
当社グループの“価値創造ストーリー”では、社会的価値と経済的価値の両立を目指すLife-changingな価値の創出にはイノベーションへの挑戦が不可欠であり、それを支える人的資本と知的資本が我々の競争力の源泉であることをインプットとして示しています。人的資本については、協和キリンのビジョン・価値観に共感する従業員、多様性の輝くチーム力、KABEGOEの企業文化として、後述の(3)④「Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化」の項目に詳細記述しています。知的資本については、抗体技術の進化と多様なモダリティの取り込み、疾患サイエンスの解明と理解、社内外のイノベーションの融合として、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の項目に記述しています。
中央に配したビジネスモデルにおいては、全ての従業員がPatient Centricity(患者さん中心)という考えを基に、病気と向き合う人々の笑顔につながる価値創造を行うことを示しています。それは、「研究開発によるアンメットメディカルニーズを満たす価値創造」のプロセスだけでなく、「製品・品質・流通」、さらに、「患者さんに医薬品を届けるプロセス」においても、一人ひとりが価値創造に取組むこと、そして各バリューチェーンが相互に連携することでさらに大きな価値の創出につなげることを意味しています。
このように、人的資本と知的資本を競争力の源泉とし、大きな価値創造のサイクルを生み出し、アウトプットとしてLife-changingな価値の継続的な創出と提供に繋げていきます。そして、これらのアウトプットが、病気と向き合う人々の笑顔というアウトカムにつながります。協和キリンは、従業員を含む全てのステークホルダーとともに、笑顔をもたらす価値創造に取組んでいます。
また、この価値創造ストーリーは「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載したStory for Vision 2030と相互に強く関連しています。Story for Vision 2030は当社グループがビジョン実現のために、Life-changingな価値を創出・提供する戦略をうちだしたものであり、価値創造ストーリーは競争力の源泉を含む全体のビジネスモデルを示したものになります。
② マテリアリティとガバナンス
2030年に向けたビジョンの実現のため、SASB(Sustainability Accounting Standards Board), Access to Medicine Index, PSCI等を参照し、社会の持続性へのインパクトとグループの事業へのインパクトの観点から、当社グループが優先的に取組むべきマテリアリティを特定しています。
マテリアリティの選定プロセスは、以下のとおりです。
マテリアリティは、2021-2025年中期経営計画及び連動する年度経営計画に組み込まれています。また、計画の進捗は四半期ごとにモニタリングされ、グローバル経営戦略会議及び取締役会に報告されています。なお、中長期的な経営課題の解決を推進するために、2024年からの業績指標には年度経営計画で定めた非財務目標(マテリアリティに関連する目標を含む)の達成度を加えることとしています。
マテリアリティの見直しは、社内外の環境変化を踏まえ、毎年実施し、グローバル経営戦略会議で承認後、取締役会で決定されています。
③ 戦略及び指標と目標
当社グループは、マテリアリティを“2030年ビジョン実現のための重要経営課題”と位置づけています。
特定した当社グループのマテリアリティは「価値創造トピック」と「価値向上トピック」とに分類され、2030年ビジョン実現のための戦略の幹「アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供」「患者さんを中心においた医療ニーズへの対応」「社会からの信頼獲得」「Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化」とも対応しています。その上で、マテリアリティについて目標を定め、戦略的に取組んでいくことがビジョンの実現、ひいては、当社グループと社会のサステナビリティの両立につながると考えています。
マテリアリティごとの機会・脅威と指標(及び目標)
価値創造トピック
戦略の幹 |
マテリアリティ |
定義 |
取組むことで得られる機会 |
取組まないことで生じる脅威 |
指標*2 |
アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供 |
革新的な医薬品の創出 |
短期的な収益性との適正なバランスを保ちながら、中長期的な視点に基づく研究に対する積極的な投資(オープンイノベーション活動を含む)を通じ、アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品(Life-changingな価値)を創出し続ける |
・日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての存在意義 ・新たな価値の創出による企業価値の向上 ・当社グループの強みとする領域の拡大 ・共同研究や開発機会の増加 |
・当社グループの存在意義の低下 ・ビジョンの未達 ・新たな価値の創出機会の逸失 ・共同研究機会の減少 |
・Life-changingな価値としての革新的医薬品の創出数(承認) ・それぞれの売上 |
製品の価値最大化 |
創出した医薬品の真の価値を見極め、LCM(Life Cycle Management)を推進し、パートナリングの機会も活用しながら価値の最大化を図る |
・適応/剤型拡大:開発試験/製造における期間短縮及び効率化、医療ニーズへの対応による薬剤価値の増加 ・上市国・地域の拡大:病気と向き合う人々の経済的負担軽減(保険償還)を伴う提供価値のインパクト増加 |
・本来の製品価値を最大化しないことによる、病気と向き合う人々の負荷の増加 ・経済的価値の低下 |
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パイプラインの充実 |
ポートフォリオ分析に基づき、自社で注力する疾患領域を中心にパイプラインを充実する |
・日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての注力する疾患領域での存在意義の増大(患者さんへの提供価値の増大) ・資本の効率的な有効活用による企業価値の増大 |
・当社グループの強みとする領域における存在意義の低下 ・競合に対する競争力の低下 |
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患者さんを中心においた医療ニーズへの対応 |
医薬へのアクセス向上 |
病気と向き合う人々の声を聞き、アンメッドメディカルニーズを満たす医薬品を創出し、一人でも多くの患者さんにできるだけ早く届けることを自分たちの使命と捉え、医薬品アクセス基本方針*1に則った活動(特に医薬品へのアクセス向上)に取組む |
・企業の存在意義の増大 ・各地域の患者支援団体との関係の維持強化による企業認知と信頼性の向上 |
・Life-changingな価値を創出する会社としての存在意義の低下 ・患者さんの声を聞く機会の逸失、疾患に対する社会の理解不足による、マーケット拡大機会の逸失 |
・注力する疾患領域品の、上市国・地域、薬剤提供患者数(若しくは比率) |
医薬品にとどまらない価値の創出 |
患者さんからのインサイトに基づく医薬品にとどまらないヘルスケアソリューションの取組みを進めるとともに、キリングループとしてのシナジーも活かし、医薬品にとどまらない新たな価値を創出する |
・新たな価値の提供 ・新市場への進出 |
・Life-changingな価値とイノベーション創出機会の逸失 |
・医薬品にとどまらない新たな価値の提供 |
Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化 |
人材ポートフォリオ |
Life-changingな価値の継続的な創出に向け、価値創造を促進する組織と人材のポートフォリオを描き、その実現に向けて、多様性を活かした人材マネジメントを推進する |
・イノベーション創出、グローバル事業展開の基盤の強化 ・多様な人材確保、変化対応力の強化 |
・事業と個人の成長が描けないことによる人材の流出 ・モチベーション、心身の健康悪化による労働生産性の低下 |
・Life-changingな価値を創出するための基盤強化 |
企業文化 |
Life-changingな価値の継続的な創出に向けて、日本発のグローバル・スペシャリティファーマに相応しい「壁を乗り越える/KABEGOE」企業文化を醸成する |
・2030年ビジョンの実現、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長・発展 |
・改めたい企業文化(対話不足、枠に閉じる、他人事)へ逆戻りし、社会からの信頼失墜、競争力の低下 |
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デジタルトランスフォーメーション |
医薬品の研究・開発から販売後まで、全てのバリューチェーンから得られたデータを活用し、病気と向き合う人々をはじめとする様々なステークホルダーとの共創を進めることで、デジタルによる新たな価値を提供する |
・DXによるプロセスの変革や効率化を通じた、事業機会の拡大 |
・生産性低下、外部環境への対応遅れ等による競争上の劣後 |
*1:医薬品アクセス基本方針の詳細は、当社ホームページ(https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/patient/access_to_medicine/index.html)を参照ください。
*2:価値創造トピックに関する戦略及び目標についての詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」と、本項目に後述の(3)協和キリンのビジョン実現に向けた取組み①「アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供」及び②「患者さんを中心に置いた医療ニーズへの対応」を参照ください。
価値向上トピック
戦略の幹 |
マテリアリティ |
定義 |
取組むことで得られる機会 |
取組まないことで生じる脅威 |
指標及び目標 |
社会からの信頼獲得 |
製品の品質保証と安定供給 |
自社が供給する製品の品質保証・安定供給を継続する体制・手順を構築し、適切に運用する |
・ステークホルダー(医療関係者・患者さん・行政)からの製薬メーカーとしての信頼の獲得 ・確実な販売地域拡大/グローバル事業の展開 |
・ステークホルダー(医療関係者・患者さん・行政)の当社グループへの信頼失墜 ・販売機会の損失 ・当局査察の厳格化等による新規承認の確度の低下 ・製造権を含めたパートナリング、ライセンス契約機会の逸失 ・従業員の業務負荷増による健康安全・モチベーション低下、人材の流出 |
・自社事由による欠品、限定出荷発生数ゼロ |
地球環境への負荷の低減 |
製品の研究開発段階から製造・販売・使用・廃棄に至る全ライフサイクルに亘り、サプライチェーンの環境影響にも配慮し、次世代に引き継ぐ地球環境の保護に積極的に取組む |
・未来世代に対する貢献を通じた当社グループに対する信頼性の向上 ・物理的/移行リスクと機会の適正な管理による事業活動の維持 |
・規制強化(炭素税含む)による新たなコストの発生 ・異常気象による災害や健康被害の増加。それに伴う事業活動への影響 |
・バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロ |
Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化 経営基盤 |
コーポレートガバナンス |
経営理念及び価値観のもと、ビジョンの実現を通じて持続的成長と中長期的な企業価値向上を効果的・効率的に図ることができるコーポレートガバナンス体制を実現する |
・ステークホルダーからの信頼獲得と、それに伴う企業価値の向上 ・安定的な事業基盤の獲得 |
・信頼の失墜と、それに伴う企業価値の低下 |
・経営基盤強化 |
事業活動における倫理と透明性 |
国内外の関係法令、社内外の諸規則・ルール及び社会規範を遵守し、法的責任と社会が求める倫理的責任を果たす行動をとる。また、ステークホルダーに対して適示適切かつ公正な情報開示を行う。なお、「患者さんの安全性の確保と適正使用の推進」「従業員の健康と安全」「人権の尊重」「責任あるマーケティングと倫理的広告」「研究開発倫理と信頼性の確保」「適正な納税」「贈収賄・腐敗防止」「個人情報・秘密情報の保護」を含む |
・ステークホルダーからの信頼獲得と、それに伴う企業価値の向上 ・安定的な事業基盤の獲得 |
・事業活動の制限や停止(研究開発、生産活動や販売活動等) ・信頼の失墜 |
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リスクマネジメントの強化 |
必要なリスクを適切に取るとともに、当社グループ及びステークホルダーを脅威から守るための行動を取る |
・適切なリスクテイクによる企業価値の向上 ・安定的な事業基盤の獲得 |
・事業活動の制限や停止(研究開発、生産活動や販売活動等) ・信頼の失墜 |
④ リスク管理
当社グループのマテリアリティにおける「取組むことで得られる機会」及び「取組まないことで生じる脅威」は、マテリアリティごとに③「戦略及び指標と目標」の表に記載しています。また、当社グループは、お客さまと社会から長期的に信頼を獲得し、事業を継続して経営目標を達成するために、「協和キリングループ リスクマネジメント基本方針」のもと、サステナビリティに関するリスクも含めて、グループ全社でリスクマネジメントを実施しています。
詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
(3)協和キリンのビジョン実現に向けた取組み
① アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供
①-1 革新的な医薬品の創出
①-2 製品の価値最大化
①-3 パイプラインの充実
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
② 患者さんを中心に置いた医療ニーズへの対応
②-1 医薬へのアクセス向上
協和キリンは医薬へのアクセス向上を健康と福祉に関する重要な社会課題と捉えており、さまざまな取組みを進めています。医薬品を一人でも多くの患者さんにできるだけ早く届けることを自分たちの使命と捉え、外部のステークホルダーとも連携して取組みを推進しています。
通常、医薬品を世界の患者さんに提供するためには各国での承認取得・保険償還を経て上市する必要があります。そのため、当社ではアクセス向上のために、グローバルで上市国を増やすことを第一に取組んでおり、Crysvita、Poteligeoにおいては上市国・地域数が50を超えるなど取組みが進んでいます。また、2024年1月に買収したOrchard Therapeutics社が保有する造血幹細胞遺伝子治療の技術プラットフォームを活用した遺伝性疾患・希少疾患におけるアクセス向上にも取組んでおり、Libmeldy/Lenmeldyでは10か国で上市に至っています。本治療が対象の一つとしているMLD(異染性白質ジストロフィー)で治療が手遅れにならないようにするためには、発症前、特に生まれた直後に疾患を見出すことが重要であり、Orchard Therapeutics社ではMLDの患者さんを1人でも多く救うために、各国の新生児スクリーニングにMLDの原因遺伝子変異の検査が追加されるように政府や関連学会等との連携を進めています。
一方、各国の規制状況が異なるなどの理由により、上市までに時間がかかってしまうことがあり、そのため有効な医薬品があってもその国の状況により、必要とする患者さんがタイムリーに医薬品にアクセスできない場合があります。このような状況に対する取組みとして協和キリンでは医師からの要請に対して適格性を判断したうえで、医薬品を提供する取組みを行っています。また、低中所得国を含め製造販売承認取得を予定していない国においても、患者さんの医薬品アクセスの可能性を確保するためにCrysvitaの「指定患者プログラム」を行っています。
協和キリンでは上市国を増やすだけでなく、地域特性に合わせて取組むことにより、患者さんにLife-changingな価値をお届けしていきます。
②-2 医薬品にとどまらない価値の創出
より長期的な視点で患者さんからのインサイトに基づく医薬品にとどまらない価値の創出についても取組みを進めます。キリンホールディングス株式会社との共同出資のベンチャーとしてCowellnex株式会社(コヴェルネクス)を2024年9月に設立しており、両社の強みを融合したイノベーションにより健康を取り巻く社会課題を解決していきます。
③ 社会からの信頼獲得
③-1 製品の品質保証と安定供給
当社は、医薬品をグローバルに安定的に供給するために、強固な生産体制を確立するとともに、品質保証体制及びサプライチェーンマネジメントの強化に努め、自社や委託先での生産における課題についても引き続き適切に対処していきます。
③-2 地球環境への負荷の低減
当社グループは、マテリアリティとして「地球環境への負荷の低減」を特定しており、気候変動への対応や水資源管理等の環境に対するさまざまな施策を実行しています。
気候変動への対応の詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 気候変動に関するリスク」に記載しており、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)が提言したフレームワークを活用した情報開示を行っています。
④ Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化
④-1 人材ポートフォリオ
④-2 企業文化
人的資本に関する取組みは、以下のとおりです。
(ア)当社グループの人的資本に関する考え方
当社グループは、経営理念とビジョンの実現と、新しい価値を創造し続ける人・組織づくりの強化に向けて「協和キリングループ 人材マネジメント基本方針」を定め、その中で人材を「イノベーションの源泉」と位置づけています。また、価値創造ストーリーにおいては、人的資本を競争力の源泉の一つと位置付け、「協和キリンのビジョン・価値観に共感する従業員」「多様性の輝くチーム力」「KABEGOE(後述)の企業文化」を重要視していることを明確に謳っています。社員一人ひとりの能力と挑戦を結集し、2024年に発表したビジョン実現のための戦略ストーリー「Story for Vision 2030」に沿って、Life-changingな価値に繋がる「価値創造活動」を推進することが、ビジョンの実現につながると考え、個々の人材の能力を最大限引き出し、挑戦できる機会を提供することに注力しています。研究、開発、製造、販売の各バリューチェーンにおいて、「患者さんの笑顔のため」という使命感と責任感、高い専門性を持って変革に挑み続け、やりきる人材の輩出を目指し、健康で多様な人材が活躍できる職場環境整備や組織風土、企業文化の醸成など社内環境を整備しています。
(イ)人材育成方針と施策
『価値創造活動の推進』
全社が一丸となってLife-changingな価値に繋がる「価値創造活動」を行うためには、高い専門性と情熱を持って自ら新たな挑戦に取組むと同時に、チームメンバーの挑戦を後押しし、サポートする強いリーダーシップが求められます。こうした組織の価値創造活動を主導する人材を育成するため、グローバルなOne Kyowa Kirinの枠組みの中で、業務を通じた成長機会の提供だけでなく、職位や目的に合わせた具体的な人材育成プログラムも提供しています。
『キャリアオーナーシップ』
日本リージョンでは、グローバルグレードに基づいたジョブ型の等級・報酬制度を導入しました。この制度により、One Kyowa Kirin体制の下で適材適所の人材マネジメント実現を目指しています。全管理職のジョブディスクリプション公開を通じて、社員一人ひとりがキャリアオーナーシップを持って自身の現在地とありたい姿を再認識し、キャリア目標を見出すことの重要性を社員に示しました。また、管理職を対象とした「メンバーのキャリア自律支援を行うための研修」をすでにスタートさせており、今後についても、全社員が利用可能な「キャリア個別相談」を設け、社員が主体的に学びを実践できるよう「チャレンジ支援制度」・「応募型研修」を拡充していく予定です。このように、当社グループは、社員のキャリア実現に向けた努力を支援し、お互いの成長にコミットした対等な関係に基づき、さまざまな関連施策を企画実行しています。
『患者さんの笑顔のため』
当社グループは、Patient Centricityを価値創造ストーリーに掲げており、社員全員がPatient Centricityのマインドを高めることができるよう、機会作りに力を入れています。具体的には、病気と向き合う患者さんをお招きして社員と対話いただく「病気と向き合う人々の今を知るセミナー」の開催や、海外における「Sharing Patient story」を紹介する企画を行っています。これらの機会を通じて、患者さんの声を取り入れていくことの大切さを社員が再認識し、日々の行動にPatient Centricityのマインドが反映されることを期待しています。
『DX人材育成』
当社グループは、Life-changingな価値実現のためのデジタルトランスフォーメーションとして「デジタルビジョン2030」を掲げ、オペレーショナルエクセレンスの実現と、デジタルトランスフォーメーション推進基盤の強化を通じて、継続的に新たな価値を創造していきます。人とデータに焦点をあて部門横断でのデジタル人材強化とデータ利活用基盤づくりを推進しており、人材強化の面では「データ循環型バリューチェーンの転換」を支えるデジタル人材の獲得・強化に向けて、デジタルプロジェクトプランナー、データサイエンティストやデータスチュワードなど、各部門や領域をリードできる人材を育成するとともに、全社員を対象としたデジタルリテラシー教育による底上げも行い、“トップダウン”と“ボトムアップ”の両側面からデジタル人材を育成しています。
(ウ)社内環境整備
『グローバルタレントマネジメント体制の整備と推進』
One Kyowa Kirin体制を発展させるため、各地域や機能部門の将来を担う次世代リーダー候補を発掘し、育成、抜擢する仕組みを推進しています。2021年から始まった現在の中期経営計画では、グローバルタレントマネジメントを戦略的に進めるべくグローバル共通の人事基盤整備としてグローバルキーポジションとその人材要件の特定、グローバル共通のグレーディングの整備、リーダーシッププリンシプルの策定、グローバル人事システム(HRIS)の導入等に取組んできました。これらは、採用、育成、評価、異動配置・登用などのタレントマネジメントにおいて重要な役割を果たします。グローバルでリアルタイムに人事データを共有し、データに基づいたタレントマネジメントを推進し、適材適所の人材配置を実現することで、持続的にグローバルリーダーを育成していくことを目指しています。また、具体的な人材パイプラインの強化策として、サクセッサーごとの個別の育成計画(グローバルサクセッションプラン)の策定、次世代リーダー候補の可視化や個別育成計画、グローバルでの短期派遣による人材育成プログラム(グローバルエクスチェンジプログラム)などに取組んでいます。各ファンクションやリージョン人材戦略との連携を図りながら、グローバルHRビジネスパートナー体制を構築しており、これにより人材戦略を統合し効果的に活用することができるようにしています。
『多様性の輝くチーム力』:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)
当社グループでは、ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)・インクルージョン(受容)をLife-changingな価値を創出し世界中の患者さんにお届けするための企業文化の基盤と捉えています。「私たちのDE&I宣言」というグローバルの目標を掲げており、さまざまな個性を持つ人材が互いを認め合い、社員全員が能力を最大限に発揮できる組織づくりのため、グローバル及び各リージョンにおける優先課題を特定し、積極的な施策を推進しています。特に女性活躍推進については、グローバルの優先課題として女性リーダーの確実な輩出を目指し、2021年度末で29%のグローバル女性リーダー比率を、2030年度末までに40%とすることを目標としています。また、日本国内では、女性管理職比率を2025年度末に18%以上にすることを目標としており、女性管理職向けメンタリング・プログラムを実施しています。2024年には営業本部の女性社員を中心とした従業員リソースグループが発足しました。また、企業内保育園の開設や育児休職からの復職支援フォーラム開催など、女性のキャリア形成支援や仕事と育児の両立にかかわる取組みを行っています。
その他の多様性に関する指標は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりです。
『協和キリンのビジョン・価値観に共感する従業員』:エンゲージメント
従業員のエンゲージメントを測る指標として、毎年エンゲージメント調査(Global Engagement And Motivation Survey)を実施し、組織課題の把握や組織活性化に向けての施策検討に活用しており、特に、会社に対する貢献意欲やロイヤルティ、自発的努力の指標である「社員エンゲージメント」、自分のスキルや能力を活かす機会や働きやすい環境の指標である「社員を活かす環境」、に着目しています。調査結果を受けては、各組織で分析を行い、従業員一人ひとりがエンゲージメント高く働けるよう、見出された課題に対する改善案を立案・実行しています。
2024年の調査では、「社員エンゲージメント(±0pt)」・「社員を活かす環境(+1pt)」ともに肯定回答70%で昨年と概ね同水準の結果となりました*3。
*3:調査対象者数・回答率 対象者数:5,499名 回答者数:5,359名 回答率:97%
設問カテゴリー 社員エンゲージメント/戦略・方向性/リーダーシップ/品質・顧客志向/個人の尊重/成長の機会/報酬・福利厚生/社員を活かす環境/業績管理/権限・裁量/リソース/教育・研修/協力体制/業務プロセス・組織体制/経営理念・価値観/行動規範・コンプライアンス/期待される働き方/ダイバーシティ&インクルージョン/会社のクオリティーカルチャー/KABEGOE
ベンチマークデータ 世界企業平均、世界好業績企業平均、製薬企業平均、リージョン別平均、地域・国別平均
『KABEGOEの企業文化』:企業文化改革
当社グループは、ビジョンの実現に向けたKey Behaviorとして「壁を乗り越える(KABEGOE)」を掲げ、グローバル・スペシャリティファーマに相応しい「ありたい企業文化」を実現すべく、2020年より企業文化改革に真摯に取組んでいます。企業文化は社員一人ひとりの日々の判断や行動の積み重ねであり、経営層の強いコミットメントと現場の継続的な活動が必要不可欠であることから、その両面からの取組みを展開しています。グローバルのトップリーダーについては、One Kyowa Kirin Culture Workshopを年2回開催し、2024年に新たな戦略的方向性として発表されたStory for Vision 2030に沿って病気と向き合う人々に笑顔を届けるためにはKABEGOEの実践が不可欠であることを確認し合い、その定着に向けたディスカッションを行いました。また、経営層が現場に赴いて従業員の生の声をきき、また経営の立場から会社や方向性について語ることで相互理解を深める場としてMeet Upを開催し、役職や立場、所属リージョンの壁を越えた対話を行っています。現場における取組みとしては、KABEGOEリーダー(日本リージョン)、Culture ambassador(北米リージョン)を任命し、企業文化改革の理解浸透や職場でのKABEGOEを促進しています。こうした取組みの進捗は、エンゲージメント調査(Global Engagement And Motivation Survey)や企業文化改革に関する簡易調査等でモニタリングしてグローバル経営戦略会議等で結果を共有する他、ダッシュボードサイト経由で組織長へ公開し、各職場の課題の分析やアクションに反映して、Life-changingな価値を実現する人材・基盤の強化に繋げています。また今般、“KABEGOE”の具体的な行動としてまとめた「KABEGOE Principles」を策定し、さらなる「KABEGOEの企業文化」の浸透を図ります。
『従業員のウェルビーイング』:健康経営/ハイブリッドワーキングモデル
全社員がその能力を最大限発揮し価値創造するにあたっては、心身の健康が不可欠であり、社員の「健康で質の高い豊かな人生の実現」を目指して「協和キリングループ Wellness Action」を策定し、健康経営の推進にも取組んでいます。また、従業員一人ひとりが主体となって、機能ごと、リージョンごとに最適な働き方を考える「ハイブリッドワーキングモデル」を提唱しています。
<協和キリン ハイブリッドワーキングモデル3つの基本方針>
● Nothing that costs our well-being is worth it(ウェルビーイングを第一の判断基準に)
● Flexibility within a framework(価値創造に向けた枠組みの中で柔軟に)
● Employees are the architects of the new Model(意思をもって自分たちの働き方をつくる)
こうした取組みと成果が評価され、経済産業省が実施する「健康経営度調査」において、所定の基準を満たしたことから、「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」に認定され、制度開始以降8年連続で認定を受けています。
(エ)人的資本に関するリスク管理
詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク 人的資源に関するリスク」に記載のとおりです。
④-3 デジタルトランスフォーメーション
マテリアリティの一つとして特定した“デジタルトランスフォーメーション”については、2021年に「デジタルビジョン2030*4」を作成し、その実現のためのデジタル戦略の3つの柱である「Digital for Operation:オペレーショナルエクセレンスの実現」「Digital for Innovation:データ循環型バリューチェーンへの転換」「Foundation for Digital:DX推進基盤の強化」に沿ってDX推進活動を実施してきました。「Story for Vision 2030」では、自社で注力する疾患領域のアセットと戦略的パートナリングアセットを明確化しましたが、これを機にDX推進活動について改めて振り返るとともに、上記3つのデジタル戦略の柱を「Story for Vision 2030」に沿って解像度を上げ、さらにDX活動を推進しています。本年4月からはChief Digital Transformation Officer (CDXO)を設置し、体制を強化いたします。Life-changingな価値の創出・提供のためのデジタルトランスフォーメーションとして掲げた「デジタルビジョン2030」のもと、オペレーショナルエクセレンスの実現と、DX推進基盤の強化(Operational & Digital transformation)を一層進めていきます。
*4:デジタルビジョン2030の詳細は、当社ホームページ
(https://www.kyowakirin.co.jp/sustainability/human_resources_infrastructure/dx/index.html)をご参照ください。