事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 26,418 | 100.0 | 801 | 100.0 | 3.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) 当社グループの概要
「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。
当社グループは、将来、全ての企業のソフトウェアにAIが搭載され、企業の意思決定がより正確で自動的にかつユーザーの行動を先回りするような形で実行されるようになると想定しています。当社グループは、デジタルマーケティングとセールスの領域のソフトウェアの変革から事業を開始しました。当社グループは、AIマーケティングのソリューションをSaaS(注1)モデルで提供するパイオニアを自負しています。AIによって自動的に消費者の行動を予測するという特徴をもった、マーケティング及びセールスの活動の全領域を支援するソリューションを提供しています。
現在、多くの組織は非常に価値があるデータを持っていながら、そのデータを有効に活用できていません。データの断片化、人材不足という課題があることが背景です。当社グループのAIプラットフォーム(当社グループが提供するソリューションの総体をいいます。以下同じ。)は、まず、深層学習(ディープラーニング)技術(注2)により、様々なソースから得られたフォーマットが異なるデータを統合することで、第一の課題であるデータの断片化という問題を解決します。続いて、この統合されたデータを活用して、最先端のAIモデルを自動的に構築するソフトウェアを提供することで、AI人材不足という第二の課題を解決します。さらに、当社のAIプラットフォームは、AIモデルを容易に利用することが可能であり、様々なアプリケーションと連携できるので、顧客企業のビジネスに好影響をもたらします。このような技術が、当社グループのAI SaaSソリューションに組み込まれています。
当社グループのAIプラットフォーム上で提供されるソリューションは、最先端のAIモデルによって将来予測を行うという特徴を持ち、データが真の価値を発揮することを可能にします。そして、マーケティング及びセールスの領域におけるファネル(注4)の各段階での課題に対応したものになっています。
① 潜在ユーザーの予測及び獲得:CrossX
ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換
② ユーザーの維持及び関係構築:AIQUA、BotBonnie
あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上
③ 購買・アクションへの動機付け:AiDeal
購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現
④ オーディエンス・インテリジェンス:AIXON、AIRIS
様々なソースから得られる顧客企業自身が保有する消費者データを活用して、自動機械学習によって、ユーザーの行動を総合的に予測
当社グループは、顧客企業に次の価値を提供しています。
第一に、最先端のAIを簡単に活用できるようにすることで、AIを業務プロセスに組み込むための開発時間とコストを大幅に圧縮することができます。
第二に、後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社のAIソリューションを用いることで、デジタルマーケティングとセールスの領域の課題を一気通貫で解決することが期待できます。当社のソリューションは、ファネルの各段階で顧客企業の課題に簡単に対応することができます。また、他のファネル段階への展開を容易にするために、データは相互にリンクされています。
最後に、将来予測を行う当社グループのAIソリューションを利用することによって、従来、過去データのみに基づいて実施されていたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができ、顧客企業は、これによりビジネスの機会損失を最小限に抑えることが期待できます。
(注) 1.Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。
2.ニューラルネットワーク(注3)により機械学習技術を実装するための手法の一種
3.生物の神経ネットワークの構造と機能を模倣するという観点から生まれた、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデル
4.「じょうご」の意。後記「(4) 当社グループのソリューション」で述べるとおり、当社グループでは、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを「フル・ファネル」と表現しています。
(2) 当社グループの歴史
当社グループは、2012年6月にAppier, Inc.が、米国のハーバード大学やスタンフォード大学在籍時に四足自立歩行ロボットや自動運転自動車の開発など、AI、データ分析、分散処理システム等分野での研究経験を有するAIサイエンティストとコンピュータプログラムのエンジニアメンバーによって、AIを活用した企業のマーケティングにおけるソリューションの研究開発を台湾で開始したことに始まります。マーケティングとセールスこそがユーザーとの最初の接点であり、全てのビジネスの出発点であると考えたからです。
当社グループは、機械学習やAIの研究で実績を残したAIサイエンティストが技術面を牽引しています。エンジニアの多くがAI、ビッグデータ又はコンピューターサイエンスの領域における博士号又は修士号を有しています。また、当社グループの役員又は従業員が執筆した300以上の論文が、トップジャーナル、カンファレンス、ワークショップ(アルバータ大学の定義に拠ります。)において発表されています。国際的かつ著名なデータ・マイニング・コンテストであるKDDカップにおいて、当社グループの従業員が参加したチームが7回優勝しております。これらのことから、当社グループは、フォーチュン誌から中国本土を除くアジアを拠点とする企業で唯一の「AI革命を牽引する50社(2017年)」(注1)及びガートナーから「AIクールベンダー(2017年)」(注2)に選出される等、AI企業として高い評価を受けて参りました。
また、事業面でも経験豊富なメンバーが在籍しており、技術の強み、事業経験、顧客中心主義の文化が組み合わされたユニークな企業文化を有しています。
・2014年に、当社グループ初のソリューションである「CrossX」の提供を開始しました。
・2014年から2015年には、台湾だけでなく日本と韓国にも事業を拡大しました。北東アジア地域は、2023年12月期の当社グループの売上収益の65%を占めています。また、東南アジア各国の急激な経済成長を受け、各国への進出を進めています。
・2018年には、インドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することで、「AIQUA」を立ち上げました。
・2019年には、日本のベンチャー企業であるEmotion Intelligence株式会社を買収しました。同社のソリューションにさらに最先端の機械学習技術を追加することで、「AiDeal」を立ち上げました。
・2020年以降には、中国での事業活動を強化し、欧州、米国地域へと拡大しました。
・2021年には、台湾のベンチャー企業である邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)を買収し、会話型のエンゲージメント・マネジメント・プラットフォーム「BotBonnie」の提供を開始しました。
・2022年には、米国のベンチャー企業であるWoopra, Inc.を買収し、AIを搭載しした次世代CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)「AIRIS」の提供を開始しました。
現在、当社グループは、東京の他、台北、シンガポール、シドニー、香港、ムンバイ、ニューデリー、ソウル、クアラルンプール、ホーチミン、マニラ、ジャカルタ、バンコク、大阪、北京、パリ及び米国カリフォルニア州といった15の国・地域に17のオフィス(2023年12月末時点)を構え、1,625の企業グループ(注3)に直接もしくは代理店経由にてサービスを提供しております。当社の本社所在地は東京ですが、当社グループの開発拠点は主に台湾です。
主要な関係会社(AISaaS事業)
開発の拠点:Appier, Inc.
グループ会社の統括本社機能:Appier Pte. Ltd.
販売を行っている子会社:Appier Japan株式会社、Appier, Inc.等
(注) 1.2017年にCBインサイツが多様な健全性・成長性指標に基づき選出した「世界で最も有望なAIスタートアップ企業100社」(「AI100」)の中から、資金調達額の多かった上位50社。なお、当社グループは2018年にもAI100に選出されている。
2.東アジア地域で優れたAIソリューションを提供している企業として2017年にガートナーが選出したもの。
3.2023年12月末時点で当社グループと契約しており、当社グループのソリューションを1種類以上利用している企業グループの総数。有償・無償のトライアル、デモ使用、M&Aにより獲得した顧客は含まない。複数のブランドで当社グループの同一のソリューションを利用している企業は、1社としてカウント。複数のブランドで当社グループの複数のソリューションを利用している企業は、利用している当社グループのソリューションの数ごとに個別の顧客企業としてカウント。
(3) 当社グループのAIプラットフォームができること
近年の経済情勢を見ると、以下の3点を主な理由として、データを利活用したビジネスの需要が高まっており、ビッグデータ(注1)を収集・解析・活用し、経営判断に役立てることがますます重要になっていると当社グループは考えております。
① デジタルデバイスの普及・浸透:スマートフォン、タブレット等を中心とした個人が所有するデジタルデバイスの普及
② 技術革新:クラウドコンピューティング(注2)、ビッグデータ解析技術、深層学習(ディープラーニング)技術等におけるイノベーション
③ データの利用可能性の拡大:検索エンジンやeコマースを通じたトランザクション・データ(注3)及びソーシャルメディア等を通じて生成された画像・動画等の非構造化データ(注4)の増加
とりわけ、マーケティング領域においては、ユーザーに関するビッグデータを分析、活用することにより、ウェブサイト又はモバイルアプリケーションを通したより効果的なマーケティングが可能となりました。また、AIソフトウェアを用いて企業が保有するカスタマーデータからより有意義な知見を抽出して理解を深めることや、既存の又は潜在的なカスタマー等とのマーケティング・コミュニケーションにAIソフトウェアを活用して、個人に対して最適にパーソナライズされた提案を行い、エンゲージメントを高める取り組みも進んでおります。
このようにデータの利活用の重要性やAIに対するニーズが高まる一方、現実のビジネスにおいては以下のような困難が待ち受けており、多くの組織ではデータを有効に活用できていないと当社グループは考えております。
① データは複数のソースやデバイスに分断されており、大量の異なるデータを管理し、統合することは難しく調査対象の包括的な理解が得られない
② AIを十分に活用し、ビジネスの意思決定にAIを役立てるには、高度な訓練を受けた専門家が必要
③ AIやデータサイエンティストを組織に融合させることは容易ではなく、事業に良い影響をもたらすことは難しく、また、価値を生み出すAIアプリケーションを開発することには困難を伴う
この点において、当社グループの開発したAIプラットフォームは、これらの社会的課題に以下のように対応します。
① データ統合の自動化:ディープラーニング技術により、様々なソースやデバイスから得たフォーマットが異なるデータを統合してデータの価値を高め、広範に利用できるデータを自動的に生成します。
② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:高度な機械学習(注5)を用いたAI予測モデルを自動的に構築し、企業は社内でデータ・サイエンスチームを立ち上げることなく、自社の課題解決に集中することが可能になります。
③ 簡単に利用可能なSaaSプラットフォーム:システム環境に依らず利用可能なプラットフォームであるSaaSのプラットフォームとして提供することで、初期投資を抑えながらAIを用いてデータを直ちに利活用し、顧客企業の利用者が自分で分析を行うことを可能にしております。
そして、当社グループでは、多数の顧客企業が進んだAIモデルに容易にアクセスできるSaaSのAIソリューションこそが、AIの潜在能力を最大限に引き出すと考えています。
このように様々なソースやデバイスから入手したデータを自動で統合することでユーザーのプロファイルを作成し、断片的な情報しかなかったデータから包括的なユーザーの情報を得ることを可能にしております。その際、ユーザーのウェブサイトの訪問履歴やアプリの使用履歴等を自然言語処理(注6)とディープラーニングにより解析することで、データがない領域があったとしても、周辺領域に対するユーザーの嗜好の理解を基に当該未開拓の領域に対する興味・関心の有無について予測することで、より広範なトピックに対するユーザーの行動を予測することを可能にしております。
当社グループのソリューションを使用して現実世界における企業の課題を解決した具体例な事例として以下が挙げられます。
① データ統合の自動化:例えば、顧客企業である化粧品ブランドのアプリ・Webサイト、CRM(注7)からのストリーミングデータ(注8)を統合しユーザーのプロファイルを生成します。当該ユーザーの行動パターンと興味・関心といったデータを統合、更には商品の閲覧や購入等のユーザーのWebサイトやアプリ上での行動データ等を統合することで、包括的なユーザーのプロファイルを作成します。
② 機械学習を用いたAI予測モデルの自動構築:包括的なユーザーのプロファイルに基づきユーザーがいつ、何を、どのように購入したいのかを予測する機械学習を用いたAI予測モデルを自動構築することで、例えばこの閲覧したユーザーは、例えば、日焼け止めUVカットのファンデーションを購入する可能性が高いと、高い精度で予測してマーケティングを実施することが可能になります。
③ パーソナライズされた提案:最もユーザーにマッチする商品を自動的にWebサイトやアプリに表示させることによって提案します。
(注) 1.従来のデータベース管理システム等では記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群
2.インターネット等のコンピューターネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスの形で提供する利用形態
3.業務に伴って発生した出来事の詳細を記録したデータ
4.文書データ、電子メール、写真、動画等、定型的に扱えないデータ
5.データから規則性や判断基準を学習し、それに基づき未知のものを予測、判断する技術
6.人間が日常的に使っている自然言語をコンピューターに処理させる一連の技術
7.顧客との良好な関係を構築し、顧客価値を高めるためのマネジメント
8.多数のデータソースによって継続的に生成されるデータ
(4) 当社グループのソリューション
当社グループは、企業と価値あるエンドユーザーを結びつけるためのAIベースのソリューションを提供しています。当社の顧客の多くは消費者向けの企業であるため、潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセスを一気通貫でサポートできるソリューションを揃えております。
当社グループでは、このコンセプトをマーケティングとセールスのプロセスの「フル・ファネル」と呼んでいます。このアプローチにより、マーケティングとセールスの各段階で、顧客企業の課題解決を支援することができると考えています。また、SaaSのプラットフォームとして提供することで、AIでこれらの課題を解決するために必要な開発時間とコストを大幅に削減することができます。
当社グループのソリューションは、顧客企業に以下のような価値を提供しています。
① 企業レベルでは、完全に自動化されたデータの統合とAIモデルの自動構築の技術により、AIの導入を容易にします。
② CMO(Chief Marketing Officer)やマーケティング責任者には、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を提供します。これにより、従来、過去データのみに基づいて実施されてきたマーケティング上の意思決定を、ユーザーの行動を予測して先回りするものに変えることができます。また、投資額に対してどれだけのリターンがあったかを測定可能なものにします。
③ マーケティング実務者には、日々の業務課題に合わせたフル・ファネルのソリューションを提供します。当社グループのAIソリューションは、デジタルマーケティングに伴う様々な手作業を自動化し、マーケティング実務者がより戦略的な意思決定に集中することを可能にします。
そして、顧客企業が当社のソリューションを使用すればするほど、顧客企業はより多くの価値を得て、当社グループはより多くのロイヤルティを得ることができると考えています。
また、CrossXは、AIが自動的にユーザー獲得のためのマーケティングキャンペーンを実施し、その実施結果等について顧客企業は当社のプラットフォーム上にあるレポートを通じて確認することができます。それに対して、AIQUA、AiDeal及びAIXONは、顧客企業が自ら利用できるプラットフォームを提供するものです。
顧客企業は、そのニーズに応じて、当社グループのソリューションを1つだけ利用することも、複数利用することも可能ですが、各ソリューションが高度に連携・統合されていることから、組み合わせて使うことによって、時には、これまで想定していなかった知見や気づきを得ることができます。そして、当社ソリューションから得たデータや気づきを他の分野で活用することも可能です。
① ユーザーのライフタイムバリュー(生涯価値)を予測し、最も価値の高いユーザーを獲得することを可能にすることで、マーケティング投資を予測可能なリターンに転換:ソリューション名 CrossX(クロスエックス)
CrossXは、一般消費者を対象とする企業がマーケティングの最初の段階で直面する最大のチャレンジのひとつである、マーケティングのコストに見合う高いリターンが期待できるユーザーを獲得する、という課題を解決するためのもので、マーケティング・ファネル図の一番上の「潜在ユーザーの予測及び獲得」のためのソリューションです。
従来のソリューションでは、コストと時間をかけてマニュアル作業によるA/Bテスト(注1)を繰り返すことも多い中、CrossXは、AIが最も生涯価値の高い潜在的ユーザーを高い精度で予測し、当該潜在的ユーザーのターゲティングにフォーカスすることが可能であることから、顧客企業は高い投資対効果を実現することが期待できます。
CrossXは2014年に提供を開始した当社初のソリューションであり、当社の売上収益への貢献度が最も大きいソリューションです。
顧客企業がCrossXとの連携を開始すると、最初にユーザーデータの取り込みを行います。ユーザーのプロファイル、サイトデータ、ユーザー行動などの1万以上のデータの組み合わせが、当社グループのマルチタスク型ディープラーニングモデルに入力され、質の高いユーザーを見つけるだけでなく、「サイト訪問」「ユーザー登録」「購入」などの複数の重要な目標を達成するユーザーや、生涯価値などの将来の行動やパターンを予測し、顧客企業に最高のROI(注2)をもたらすユーザーを予測することができます。予測はこれで終わりではなく、獲得したデータに対して、繰り返し機械学習を行い、予測モデルの改善を継続し続けます。
そして、そのような生涯価値の高いユーザーを実際に取り込むために、当社グループは、Google等の主要なマーケティング・プラットフォームと接続し、当社グループがマーケティング・プラットフォーム利用料を負担して、顧客企業に代わってマーケティングキャンペーンを実施すること等のマーケティング活動をAIが自動的に行います。
また、CrossXのソリューションの一環として、AIが推奨する様々なアクションを顧客企業自身が行うことができるユーザー獲得の自動化ツール「AIXPERT(アイエクスパート)」を発表しました。AIXPERTは、顧客企業のサービスを理解した上で、ターゲティングの候補となるユーザーを選定することができます。AIXPERTのAIは、予算の配分方法など、望ましい結果を得るためのパラメーターの調整方法を定期的に提案し、顧客企業が最終決定を下すことができます。これにより、AIの意思決定プロセスが顧客企業にも見えるようになります。すべての判断が自動的に適用される「マーケティングの自動運転」を行うことも可能です。
CrossXは、通常、特定のキャンペーンやマーケティング活動のために利用量ベースの価格体系で顧客企業に提供しています。その場合、当社グループに支払われる費用は、当該キャンペーンやマーケティング活動の結果として顧客企業が獲得したユーザーの数やアクティブユーザーの増加数に応じて算出されます。
② あらゆるコミュニケーションチャネルを最適なタイミングで活用し、AIによって パーソナライズ化された、プロアクティブで効果的なメッセージを用いて、ユーザーとのエンゲージメントの質を向上:ソリューション名 AIQUA(アイコア)、BotBonnie(ボットボニー)
一般消費者を対象とする企業は、ユーザーを獲得した次の段階として、マーケティング・ファネル図における上から2番目にあたる「ユーザーの維持及び関係構築」という課題に直面します。(1)複雑な内容のメッセージを作成し、複数のチャネルを管理するための手作業の負担が掛かる、(2)ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを適切なタイミングで送ることができない、(3)ユーザーとの関係性構築のためのチャネルが不適切でロイヤルティの高いユーザーに変えることが出来ない、などが、一般消費者向けの事業を行う企業で良く見られるエンゲージメントの課題です。
従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションは、ユーザーの行動を基にして事前に定めたルールに合致した場合に、例えば、所定のメッセージを自動で送信するというものです。このため、ユーザーにメッセージを届ける理想的なタイミングを逃してしまって無視されたり、もはや関心がなくなってしまったメッセージを送信しているということが生じています。
AIQUAは、これを解決するために当社が提供するAIソリューションです。2018年にインドのベンチャー企業であるQuantumgraph Solutions Private Limitedを買収し、そのソリューションを再設計しAI機能を追加することでAIQUAを立ち上げました。
従来のマーケティング・オートメーション・ソリューションと異なり、AIが組み込まれているAIQUAは、ユーザーの取りうる行動を予測し、ユーザーに最適にパーソナライズされたメッセージを最適なタイミングで提供することで、ユーザーとのエンゲージメントを強化することが可能です。
AIQUAには以下の特徴があります。
(1) Webプッシュ通知、Eメール、SMS、メッセンジャーアプリといった多様なコミュニケーションチャネルを簡単に利用することが可能です。
(2) AIアルゴリズムが、当該ユーザーにとって最適にパーソナライズされたメッセージやお薦め情報を自動的に作成します。
(3) AIアルゴリズムが、読まれる可能性が高いと予測されるチャネルから、かつ、高い成果を達成すると予測される最適な送信タイミングでメッセージを自動送信します。
当社グループは、AIQUAをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘わらず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、アクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。
更に、当社グループは、邦妮科技有限公司(BotBonnie Inc.)の買収に伴い、2021年6月にBotBonnieの提供を開始しました。BotBonnieの提供開始により、カスタマーエンゲージメントに関する製品ラインアップをメッセンジャー領域まで拡大しました。また、これにより当社グループは会話型コマースとカスタマーサポート領域に進出することとなり、これは当社グループのフルファネルマーケティングとビジネスソリューションに対する顧客中心のアプローチに沿った動きです。
BotBonnieは、オムニチャネルの会話型マーケティング・プラットフォームであり、メッセンジャープラットフォームにおける複雑なカスタマージャーニーを賢くナビゲートできるよう設計され、当社グループのAIを活用したソリューション群を強化しています。通常、企業がメッセンジャープラットフォームを通じてパーソナライズされた顧客サービスを生成し、顧客との望ましい関係を構築するためには、多大な労力が必要です。BotBonnieは、ビジュアルビルダーを使用して、パーソナライズされた顧客サービスを簡単に作成することができます。さらに、BotBonnieはInstagram、Facebook Messenger、LINEといった世界で最も人気のあるソーシャルメディアプラットフォームと統合しており、顧客エンゲージメントのカバー範囲を拡大するだけでなく、AIが会話データから得たインサイトよりアクションを強化することができます。
当社グループは、BotBonnieをサブスクリプション方式(顧客企業の利用量に拘らず一定額の料金が支払われる方式)で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、顧客企業のソーシャルメディアアカウントの登録者数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いただいております。
③ 購入を躊躇するユーザーを予測し、そのユーザーだけにインセンティブを付与し、収益性を維持しつつ売上の最大化を実現:ソリューション名 AiDeal(アイディール)
既存ユーザーとのエンゲージメントが維持・強化された次の課題は、ユーザーに購入等の取引を行ってもらうことです。マーケティング・ファネル図における上から3番目の「購買・アクションへの動機付け」にあたります。
一般消費者を対象とするeコマース企業の大きな課題のひとつに、カートに入れられた商品の多くが最終的に購入されずに終わるという問題があります。その理由は、ECサイト間の切り替えに手間とコストがかからないため、一般消費者が実店舗での購買に比べて、躊躇することが多いからです。そのため、多くのECサイトではクーポン等を配布することが増えています。
しかし、クーポン等の配布には2つの問題があります。一つは、クーポンが無差別に配られたり、間違ったユーザーセグメントに向けられたりすると、利益率が低下する一方で、全体の収益や利益が必ずしも増加するわけではないことです。また、クーポンを過度に配布すると、ブランドイメージを損なう可能性もあります。もう一つは、eコマース企業内の能力が限られているために非効率的な手作業が発生しており、適切なツールの活用や分析ができていないため、どのセグメントをターゲットにしてクーポンを配布すべきかを効果的に把握することができません。
AiDealは、この問題を解決するAIソリューションです。日本のEmotion Intelligence株式会社を買収し、同社のソリューションに最先端の機械学習技術を追加することで、購入をためらっているユーザーを特定し、売上の最大化と購入の動機付けをもたらすプラットフォームである「AiDeal」を立ち上げました。
AiDealは、AIによって、ユーザーのモバイル画面へのタッチやスワイプ方法、カーソルの位置、スクロールの量など、サイト全体でのユーザーのリアルタイムでの挙動に関するデータを処理し、ユーザーが製品やサービスの購入を決定するに至るトリガーを見つけ出し、購入をためらっているユーザーを検出します。その上で、当該ユーザーに対し、カスタマイズされた効果的なオファー(期間限定のディスカウントなど)を提案し、購入まで導くことで、購買の頻度及び確度の向上並びに収益性の向上を可能にします。また、カートの中に放置されていた商品を購入させるために、限られた時間内にクーポンの有効期限を設定する機能も提供しています。
これにより、顧客企業は、クーポン等を提供すれば購入に至る可能性が高い、購入をためらっているユーザーを推定し、効率的にターゲットにすることができます。
このように、AiDealは、データに基づいて適切なオファーをすることで、ディスカウントやクーポンなどのコストを抑えながらも売上を増やすことを企図するものです。
AiDealは、eコマース企業のみならず、何らかの登録や申込みのフォームを書きかけたままにしているユーザーに対して、それを仕上げるように促すことにも利用可能であり、他の領域での活用事例を拡げているところです。
当社グループは、AiDealをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、取引量に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。
④ AI予測モデルを自動的かつ簡単に構築し、容易にオーディエンスの行動予測を行うことを可能にするデータサイエンスプラットフォーム:ソリューション名 AIXON(アイソン)、AIRIS(アイリス)
一般消費者を対象とする企業は、ユーザーに対するデータ分析により得られる知見をビジネスに有効利用したいと考えた際に、(1)データは複数のソースや異なるフォーマットでバラバラに分断されていること、(2)正確なAIモデルを構築するには時間とコストがかかること、(3)行動に移せるような実用的な知見がデータサイエンティストからは提示されないこと、という課題に直面します。マーケティング・ファネル図の上から4番目の「オーディエンス・インテリジェンス」にあたります。
AIXONは、この3つの課題を解決するために設計された、導入しやすいデータサイエンス機能を持つAI搭載の予測分析プラットフォームです。これを用いることにより、顧客企業は、自社でデータサイエンティストを抱えることなく、膨大なユーザーデータを統合・強化して、機械学習モデルを用いたシナリオに基づいてターゲットとなるオーディエンス(注3)の行動予測を自動的に行うことが可能となります。また、AIXONは、AIが導き出した結論の論拠を、顧客企業に分かりやすく説明・表示することができます。
また、AIXONとAIQUAを同時に活用することで更に大きなシナジーがもたらされます。例えば、AIXONが予測するユーザーの潜在的な解約リスクや潜在的な購買行動などに対して、AIQUAを活用してユーザーに対するエンゲージメントをただちに実施することで、将来の損失を回避し、売上を増加させることが可能となります。このためAIQUAはAIXONと併売されることが多く、顧客に大きな価値をもたらすだけでなく、当社顧客の維持にも貢献しています。
AIXONには3つの独自性のある強みがあります。
データの統合と自動処理による導入の容易さ
分かりやすいビジュアル化されたインターフェースを使うことで、簡単にデータをつなぎこむことができます。当社のディープラーニング技術により、異なるソースの異なるフォーマットのデータをリアルタイムで統合し、AI予測モデルが必要とするデータを自動的に抽出し処理することが可能です。
自動でのAI予測モデルの構築
AIXONは、自動でシナリオベースのAI予測モデルを構築することができます。この予測を用いることで、データサイエンティストチームを介さずに、ユーザーの行動を予測することができ、実際のビジネスの問題解決に集中することができます。例えば解約予測などのシナリオを選択すると、AIXONが最適なAI予測モデルを自動的に選択し、更にモデルの強化のためのトレーニングを自動で行います。
AIXONの画面上で希望する予測精度等を簡単に設定することが可能であり、ニーズに応じて予測内容を調整することができます。そして、AIXONの予測結果は、顧客管理データベースやマーケティングオートメーションシステムなど、顧客が選択した先に即座に出力することができます。
説明可能なAI
AIXONは、顧客が使用するためのプロファイルとAIの意思決定内容をテキストで表示し、AIモデルの中で最も重要な変数と、特定の選択と意思決定が行われる理由を示すことができます。AI分析の要因を説明できることは、AI技術への信頼を醸成し「ブラックボックス」とみなされることを避けるために重要です。
また、当社グループは米国のWoopra, Inc.を買収し、同社が保有していたソリューションとAIXONを組み合わせることにより、2022年12月にAIRISの提供を開始しました。
AIRISは、AppierのAIによる予測アプローチと、Woopraの直感的なデータの可視化を組み合わせた、AIベースのカスタマーデータプラットフォーム(CDP)です。直感的なリアルタイムデータの可視化と予測により、インサイトを得るまでの時間を大幅に短縮することができます。
当社グループは、AIXON及びAIRISをサブスクリプション方式で提供しています。その契約期間は一般的には1年又は複数年単位であり、このプラットフォームを使って顧客企業が行った予測の件数及びアクティブユーザーの総数に応じて段階的に定めている定額の料金をお支払いいただいております。
(注) 1.キャンペーンのバリエーションを複数用意し、それぞれにオーディエンスを振り分けて、結果が良くなるバリエーションを検証するマーケティング実験の手法
2.マーケティングへの投資額に対して得た利益の額の比率
3.マーケティングメッセージの受け手
[事業系統図]
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」が当社グループのミッションです。
当連結会計年度の売上収益は26,418百万円(前連結会計年度比36.0%増)となりました。これは、ROIを重視する既存顧客の利用量が増加したことによる売上収益の拡大、地域及び顧客業種の拡大による新規顧客からの売上収益の拡大によるものであります。また、2023年12月におけるARR(注1)は28,641百万円となり、2022年12月の21,095百万円からの成長率は35.8%となりました。
当連結会計年度の売上総利益は13,708百万円(前連結会計年度比37.1%増)となり、売上総利益率は51.9%(前連結会計年度は51.5%)となりました。売上総利益率の改善は、継続的な技術革新への取り組みによるものであります。
事業規模の拡大に伴い、営業費用(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費)の金額は増加していますが、売上収益に対する比率は低下しており、コスト構造は改善しております。その結果、EBITDA(注3)は2,834百万円(前連結会計年度は1,363百万円)、営業利益は801百万円(前連結会計年度は50百万円)となりました。また、税引前当期利益は1,063百万円(前連結会計年度は111百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,002百万円(前連結会計年度は21百万円)となりました。
(注) 1.Annual Recurring Revenueの略。年間経常収益。利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、関連する期間における1か月平均のリカーリング売上収益(注2)を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、関連する期間の最終月のリカーリング売上収益を12倍することで年換算して得られた金額です。2023年12月のARRは、利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては2023年7月から2023年12月のリカーリング売上収益の1か月平均を12倍し、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては2023年12月のリカーリング売上収益を12倍して算出しております。
2.リカーリング顧客(利用量ベースの価格体系で提供するソリューションについては、①当社グループのソリューションを4四半期以上連続で使用している顧客企業及び②直近1年以内の新規顧客企業で当社グループのソリューションを3カ月以上連続で使用している顧客企業を、サブスクリプション方式で提供するソリューションについては、当社グループと1年以上の契約を締結している顧客企業をいいます。)からの売上収益
3.EBITDA=営業利益+減価償却費及び無形資産償却費+営業費用に含まれる税金費用
② 財政状態の状況
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は37,852百万円であり、前連結会計年度末に比べて1,914百万円増加しております。流動資産は前連結会計年度末に比べて434百万円減少しており、主な減少要因は定期預金の払戻による減少(前連結会計年度末比5,929百万円減)であり、主な増加要因は営業活動によるキャッシュの獲得等による現金及び現金同等物の増加(同2,330百万円増)、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得によるその他の金融資産の増加(同1,364百万円増)、売上収益の増加による営業債権及び契約資産の増加(同1,592百万円増)であります。非流動資産は前連結会計年度末に比べて2,347百万円増加しており、主な増加要因は資産化の要件を満たす開発費用の資産計上によるのれん及び無形資産の増加(同2,410百万円増)であり、主な減少要因は使用権資産の償却による減少(同196百万円減)であります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は8,761百万円であり、前連結会計年度末に比べて976百万円減少しております。流動負債は前連結会計年度末に比べて740百万円減少しており、主な減少要因は借入金の返済による減少(前連結会計年度末比1,549百万円減)であり、主な増加要因は売上原価の増加に伴う営業債務の増加(同602百万円増)、未払給与・税金等の増加によるその他の債務の増加(同133百万円増)であります。非流動負債は前連結会計年度末に比べて236百万円減少しており、主な減少要因はリース負債の返済による減少(同237百万円減)であります。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は29,091百万円であり、前連結会計年度末に比べて2,890百万円増加しております。主な増加要因は為替変動によるその他の資本の構成要素の増加(前連結会計年度末比1,701百万円増)、当期利益の獲得による利益剰余金の増加(同1,002百万円増)であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、6,134百万円(前連結会計年度末比2,330百万円増加)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,224百万円となり、前連結会計年度と比べ、収入が1,228百万円増加しました。主な収入の増加要因は、非資金損益調整後の税引前利益の増加(前連結会計年度比1,273百万円増)、利息の受取額の増加(同436百万円増)であり、主な減少要因は運転資本の増加(同418百万円増)であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は1,971百万円となり、前連結会計年度の支出3,772百万円と比べ、収入が5,744百万円増加しました。主な収入の増加要因は定期預金の純減による収入の増加(前連結会計年度比3,268百万円増)、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取得による支出の減少(同2,522百万円減)、子会社の取得による支出の減少(同856百万円減)であり、主な収入の減少要因は無形資産の取得による支出の増加(同899百万円増)であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は2,250百万円となり、前連結会計年度と比べ、支出が1,730百万円増加しました。主な支出の増加要因は短期借入による収入の減少(前連結会計年度比1,622百万円減)であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、AIテクノロジー企業として、AIプラットフォームを活用した各種ソリューションを提供しており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.AISaaS事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
3.株式会社サイバーエージェント及びKeystone Marketing Company向けの販売金額には、当社グループのデジタルマーケティングソリューションのエンドユーザーの販売代理店としての売上収益を含んでおります。
4.前連結会計年度において、Coupang, Inc.は販売代理店を通じて当社グループのデジタルマーケティングソリューションを利用していましたが、当連結会計年度は当社グループと直接契約をしております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び判断を必要としております。当グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって行っている重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記事項 5.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
② 目標とする客観的な指標等の推移
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3) 目標とする客観的な指標等」に記載の指標等に着目しております。そこで、当社グループにおいては、当該目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上収益成長率、ARR及びARR成長率を重視し、また、これらに関連する指標として、売上総利益成長率、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率に着目しております。
これらの指標のうち、ARR、NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率の近時の推移は以下のとおりです。2023年12月におけるARRは28,641百万円となり、2022年12月の21,095百万円からの成長率は35.8%となっています。2023年12月期のNRR(米国ドルベース)は120.3%であることから、継続利用する顧客による当社グループのソリューションの利用の拡大が示されています。月次顧客解約率は2023年12月は0.604%と2022年12月の0.617%から改善しており、顧客の継続性が強まっていることを示しています。
ARR
NRR、月次顧客解約率及び月次顧客収益解約率
なお、当社グループが経営上の目標達成状況を判断するために用いている客観的な指標(ARR、NRR、解約率等)の中には、第三者の監査等を受けていない社内データを基礎とするものや、一定期間の実績を通年に換算したものなどが含まれており、当社グループの事業及び業績の実態を正確に表していない可能性があります。
③ 経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は26,418百万円(前連結会計年度比36.0%増)となりました。これは、ROIを重視する既存顧客の利用量が増加したことによる売上収益の拡大、地域及び顧客業種の拡大による新規顧客からの売上収益の拡大によるものであります。また、2023年12月におけるARRは28,641百万円となり、2022年12月の21,095百万円からの成長率は35.8%となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は12,710百万円(前連結会計年度比34.8%増)、売上総利益は13,708百万円(前連結会計年度比37.1%増)となり、売上総利益率は51.9%(前連結会計年度は51.5%)となりました。売上総利益率の改善は、継続的な技術革新への取り組みによるものであります。
(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)
当連結会計年度における販売及びマーケティング費用は8,263百万円(前期比29.2%増)、研究開発費は3,141百万円(同37.5%増)、一般管理費は1,829百万円(同14.1%増)となりました。販売及びマーケティング費用の増加要因は主に採用活動の強化に伴う営業人員の増加、研究開発費の増加要因は主に研究開発活動の強化及び円安によるサーバー関連費用の増加、一般管理費の増加要因は主に会社規模の拡大によるバックオフィス人員の増加やオフィス関連費用の増加であります。
その他の収益は334百万円(前期比0百万円増)、その他の費用は9百万円(同7百万円増)となりました。
上記の通り営業費用(販売及びマーケティング費用、研究開発費、一般管理費)の金額は増加したものの、売上収益に対する比率は低下しており、コスト構造は改善しております。この結果、営業利益は801百万円(前期比750百万円増)となりました。
(金融収益、金融費用、税引前利益)
当連結会計年度における金融収益は547百万円(前期比333百万円増)、金融費用は285百万円(同132百万円増)となりました。金融収益の増加は主に定期預金等の利息収入の増加によるものであり、金融費用の増加は主に為替差損の増加によるものであります。この結果、税引前利益は1,063百万円(同952百万円増)となりました。
(法人所得税費用、当期利益)
当連結会計年度における法人所得税費用は61百万円(前期比29百万円減)となりました。税引前利益は増加しましたが、2023年12月期に回収可能性が高まった繰延税金資産の計上をしたため、法人所得税費用が減少しております。この結果、当期利益は1,002百万円(同980百万円増)となりました。
④ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
⑤ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの主な資金需要は、当社グループの業容拡大のための研究開発活動や営業活動に係る人件費です。これらの資金需要に対しては、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出超過、並びに営業活動によるキャッシュ・フローが収入超過の状況を踏まえ、自己資金を基本としております。
⑦ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメント情報
28.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの事業セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、AISaaS事業による単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(2) セグメント収益及び業績
当社グループは単一セグメントであるため、記載を省略しております。
(3) 製品及びサービスに関する情報
外部顧客への収益実績の内訳は以下のとおりであります。
(4) 地域に関する情報
地域別売上収益は、主に顧客の拠点や所在地及び識別可能なブランドの所在地に基づいて集計しております。当該基準は注記「18.売上収益」における地域別開示とは異なる可能性があります。また、金融資産及び繰延税金資産以外の非流動資産の地域別内訳は、当社グループ各社の所在地に基づいて集計しております。
上記基準による前連結会計年度の日本における収益は5,131,392千円であります。金融資産及び繰延税金資産を除く非流動資産の前連結会計年度末時点の残高は10,011,187千円であり、そのうちシンガポールが6,709,861千円、台湾が2,043,061千円、日本が1,239,139千円であります。
上記基準による当連結会計年度の日本における収益は5,603,724千円であります。金融資産及び繰延税金資産を除く非流動資産の前連結会計年度末時点の残高は12,260,918千円であり、そのうちシンガポールが6,442,981千円、台湾が1,763,008千円、日本が1,100,761千円であります。
(5) 主要な顧客に関する情報
2022年12月期及び2023年12月期の当社グループの主要な顧客に関する売上収益は以下のとおりであります。