事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 4,072 | 100.0 | -519 | - | -12.7 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) ミッション
当社グループは、「“働く”にもっと『楽しい』を創造する。」をミッションとし、お客様の課題を解決していく喜びや楽しさを通じて仕事にもっと夢中になれる世の中を作り続けていくことを目標にしています。
私たちは、“働く”を心底楽しいと思えることが最も生産性を向上させると信じています。
(2) 事業概要
当社グループは、熱絶縁工事事業にて創業し、自社の生産性改善に真摯に向き合った結果、ITを活用する必要性を感じ、自社のみならず建設業界全体の生産性改善に貢献すべく2010年にICT事業(ICT:Information and Communication Technologyの略称で、情報通信技術を表します。)を開始いたしました。
ICT事業では、建設現場の現場業務をDX(デジタルトランスフォーメーション)によって生産性向上に寄与する建設DXサービス「SPIDERPLUS」を開発・販売しております。
「SPIDERPLUS」は、タブレットやスマートフォンで施工図面のペーパーレス化や、検査業務のデジタライゼーションにより業務効率化を実現するサービスです。ビルやマンションなど大規模な建設現場で施工管理を行う、総合建設業及び電気・空調設備業の現場監督が主な利用者です。
建設業界は、一般財団法人建設経済研究所「建設投資の中長期予測(2035年度までの見通し)」によると、都市部の再開発や老朽インフラの修繕等により、建設投資額が2021年の62.7兆円から2035年には71.3兆円まで拡大すると考えられる一方で、高齢化・若手入職者の減少などを背景に働き手は減少の一途を辿っています。
また、建設業界における慢性的な人手不足や長時間労働が常態化している課題に加えて、人件費や建設資材価格の高騰、2024年4月から適用開始された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」による残業時間上限規制への対応など、経営や業務の変革が求められています。これらの市場環境から、DXや業務のデジタル化など、生産性向上を実現するための重要な施策の1つとして、ITツールやSaaS等のソフトウエアへの投資意欲が旺盛に推移しており、当社グループの「SPIDERPLUS」は、建設現場の生産性向上に資するサービスとして、2024年12月末時点では大手企業を中心として2,100社以上、約75,000人のユーザーに利用されております。
ICT事業の各指標は、上記のような建設業界の環境下で、以下のとおり順調に推移しております。
「SPIDERPLUS」は、1ID毎に月額利用料をお支払いいただくサブスクリプションモデルとなっており、利用開始後は継続的な売上高となります。
当社グループは、建設業界でのDXサービス浸透にはフォローアップ体制の充実が特に重要であると考えております。そのため、営業が直接建設現場に赴いて現場説明会を実施、更に建設現場のニーズをヒアリングし、開発チームと連携して「SPIDERPLUS」の機能に反映するとともに、カスタマーサポートが顧客の困りごとをメール及び電話で対応するなど、フォローアップ体制を強化しております。その結果として、導入初期及び日々の問合せ対応について顧客満足度が高く、契約社数に対する2024年12月期の月次平均解約率(注3)は0.9%と低い水準となっております。
(注) 1.MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。月末時点における顧客との契約において定められたID単位で毎月課金される月額利用料の合計額(一時収益は含まない)。
2.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各年12月のMRRを12倍して算出。
3.月次平均解約率:「(n月の解約社数)÷(n-1月末時点の契約社数)」により算出した月次解約率の年平均。
(3) 「SPIDERPLUS」の特徴、選ばれる理由
当社グループが提供する建設DXサービス「SPIDERPLUS」は、2011年9月にリリースしてから10年超にわたって建設業界大手顧客と共に様々な機能を開発し、建築工事や設備工事における様々なDXニーズに対応できる機能群を有していることが特徴です。当社グループが顧客に行った導入効果に関する調査によれば、「SPIDERPLUS」を活用することで1日2.5時間の業務効率化に繋がるという結果が表れています。
また、当社グループが建設事業に従事してきた経験から「建設現場に対してDXサービスを使っていただくためには、サポート体制が重要である。」と考え、「SPIDERPLUS」と同様に10年超にわたってサポート体制も強化してまいりました。そして今では、様々なDXニーズに応えることができる機能群の他、充実したサポート体制も「SPIDERPLUS」が導入される理由の一つとなっております。
(4)「SPIDERPLUS」の機能紹介
① 基本機能
「SPIDERPLUS」には、現場監督の施工管理業務において基本となる業務を効率化するための下記のような機能が「基本機能」として備わっています。
a. 図面管理機能
建設現場では、設計図や業種別の施工図など、多くの図面が存在します。また、工事の進捗や設計の変更によって図面の更新が頻繁に発生します。
施工は最新の図面をもとに工事を進めなければならないため、現場監督の業務として図面の管理は重要になります。「SPIDERPLUS」の図面管理機能を使うことで、常に最新図面をもとに工事を進めることが可能となり、図面の取り違いによる施工ミスなどが防止できます。
b. 写真管理機能
建設現場では、工事に不備がないことの証拠として現場写真を撮影します。現場によっては数百枚、数千枚の写真を撮影することもあります。
また、現場で写真を撮影したのち、撮影した写真の整理や報告書に写真の添付などを行います。施工中の工事写真は画像が似通っているため、写真整理の段階になって、「この写真は図面のどこに該当するのか」と撮影場所を失念してしまうことも多くあります。「SPIDERPLUS」の写真管理機能を使うことで、タブレットで工事写真を撮影すると同時に図面情報と紐づけることができます。これにより、多くの時間を要していた工事写真の管理業務を効率化することができます。
c. 資料閲覧機能
現場監督は、図面や業務マニュアルなど、様々な書類を携行しなければなりませんでした。「SPIDERPLUS」の資料閲覧機能を活用することで、現場に携行しなければならない書類がタブレットに集約され、携行品を減らすことが可能となります。
d. 帳票作成機能
現場監督は、自社や元請け企業(または施主)に対する報告書や協力会社に対する作業指示書など、工事の進捗に応じて多くの報告書を作成します。また、事務所で行う報告書の作成は現場が閉所してから取り掛かることが一般的であるため、業務負担も相まって現場監督の長時間労働を誘発しておりました。「SPIDERPLUS」の帳票作成機能を活用することで、現場にいながら報告書を作成することが可能になり、またクラウドを通じてそのまま報告書の提出が可能となります。
② 検査機能
「SPIDERPLUS」は、上述の施工管理における基本業務に対応する機能群の他、建築工事や電気設備工事など、業種に応じた検査機能を豊富に有しております。
検査機能を活用することにより、これまで複数人で実施していた検査の省人化や、検査モレや記録の誤記入など検査時に発生するヒューマンエラーを解消することが可能になります。
検査機能の中で、業種問わず活用可能な「指摘管理機能」を下記にて説明いたします。
「指摘管理機能」とは、工事の是正指示など現場監督が協力会社に対して行う品質管理業務を効率化する検査機能です。本機能を活用することで、数社、数十社の協力会社ごとに作成していた指示書の作成を効率化し、また指示した是正工事の進捗管理や完了報告のとりまとめが効率化されます。
また、指摘管理機能の他、風量測定器、絶縁抵抗器など各種検査機器との連携機能や、建設現場で現場監督と協力会社との情報共有が「SPIDERPLUS」で完結する追加機能「S+Partner」など、豊富なラインナップを備えております。
(5)今後のプロダクト/サービス開発の展望
「SPIDERPLUS」は現在、建築工事、設備工事における様々なDXニーズに対応しておりますが、今後も建設業界のDXニーズは多様化、高度化していくと当社グループは考えております。
そのため、今後も「SPIDERPLUS」の機能開発を進めるだけでなく、より多くの業務効率化ニーズに対応するサービス開発を行ってまいります。
取り組み事例:「BPOサービス」の展開
当社グループが提供する「SPIDERPLUS」はデジタル活用によって施工管理業務を効率化しておりますが、現場監督の業務ではデジタル活用ができないものの生産性改善の余地がある業務が多く存在します。
そこで当社グループは、デジタル活用ができないものの効率化の余地が残る業務を代行するBPOサービスを提供しております。「SPIDERPLUS」と「BPOサービス」を活用することによって、施工管理業務の効率化と外部化が可能となり、デジタル活用だけにとどまらない業務効率化が可能となります。
(6) 事業系統図
当社事業を、事業系統図によって示すと次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a 経営成績
当社グループが事業を提供する建設業界は、慢性的な人手不足や長時間労働が常態化している構造的な課題に加えて、人件費や建設資材価格の高騰、2024年4月から適用開始された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」による残業時間上限規制への対応など、経営や業務の変革が求められています。
これらの市場環境から、DXや業務のデジタル化など、生産性向上を実現するための重要な施策の1つとして、ITツールやSaaS等ソフトウェアへの投資意欲が旺盛に推移しております。
当社グループは、拡大する建設業界のDXニーズを捉えて早期に市場シェアを拡大するため、2021年12月期から2024年12月期までを先行投資期間と位置づけ、戦略的なコスト投下を行ってまいりました。先行投資期間においては黒字化よりも売上高成長率を重視していく方針として、人的投資を中心とした組織の強化、特に顧客基盤拡大のための営業力強化や販売パートナーとの協力体制の強化に重点的に取り組んでまいりました。
以上の事業環境および経営判断のもと、建設業界のDXを推進し生産性の向上とコスト削減に貢献するサービスである「SPIDERPLUS」は、建設業界のIT投資需要を取り込み、ユーザー数(ID数及び契約社数)と1ID当たりの契約単価(ARPU)が順調に増加しました。
その結果、「SPIDERPLUS」の2024年12月末における契約ID数は75,555(前年同期比10.3%増)、契約社数は2,117社(前年同期比15.0%増)、ARPUは4,997円(前年同月比16.7%増)と堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は4,072,136千円、営業損失は519,192千円、経常損失は525,977千円、親会社株主に帰属する当期純損失は771,659千円となりました。なお、2025年12月期以降のプロダクト戦略に基づいた開発方針の変更に伴い、先行投資の一環として取り組んでいる「SPIDERPLUSの開発基盤を刷新するプロジェクト(リニューアルプロジェクト)」に係る開発費の一部(ソフトウエア仮勘定)について、減損損失229,999千円を特別損失として計上しております。
b 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、3,395,612千円となりました。主な内訳は、現金及び預金2,740,772千円、売掛金572,362千円等であります。
固定資産は、815,848千円となりました。主な内訳は、建物233,010千円、ソフトウエア335,459千円、敷金及び保証金231,988千円等であります。
この結果、総資産は、4,211,460千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、1,217,548千円となりました。主な内訳は、短期借入金500,000千円、未払金216,735千円等であります。
固定負債は、348,143千円となりました。主な内訳は、長期借入金336,677千円等であります。
この結果、負債合計は、1,565,691千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、2,645,769千円となりました。主な内訳は、資本金2,496,082千円、資本剰余金2,773,640千円、利益剰余金△2,617,673千円等であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、2,740,772千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況と主な内訳は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は、369,092千円となりました。主な内訳は、人的投資を中心とした先行投資等に起因した税金等調整前当期純損失760,230千円、減損損失229,999千円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、52,411千円となりました。主な内訳は、無形固定資産の取得による支出31,793千円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は、322,639千円となりました。主な内訳は、短期借入金の純増減額(△は減少)250,000千円、長期借入による収入389,651千円、長期借入金の返済による支出109,668千円、預り保証金の返還による支出243,501千円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループは、生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b 受注実績
当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c 販売実績
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が
100分の10未満であるため、記載を省略しております。
2.当社グループは、ICT事業の単一セグメントのためセグメント別の記載はしておりません。
3.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比の記載はしておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積りを必要とされております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に会計上の見積りを行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金は自己資金及び金融機関等からの借入金を基本としております。また、持続的な成長を図るため既存事業の拡大と新規開発を行っており、これらに必要な資金については必要に応じて多様な資金調達を実施しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
当社グループは、単一セグメントであるため、記載を省略しております。
【関連情報】
1 製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービス区分の売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の90%を超えるため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
当連結会計年度(自 2024年1月1日 至2024年12月31日)
当連結会計年度において、今後のプロダクト戦略に基づいた開発方針の変更に伴い、投資額の回収が見込めなくなったため、一部のソフトウエア仮勘定の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失(229,999千円)として特別損失に計上しております。
なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。