2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,992名(単体) 26,929名(連結)
  • 平均年齢
    43.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.1年(単体)
  • 平均年収
    9,128,795円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

住宅

10,991

環境・ライフライン

4,640

高機能プラスチックス

8,111

メディカル

2,264

報告セグメント計

26,006

その他

491

全社(共通)

432

合計

26,929

 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)である。

    2.全社(共通)として記載されている従業員数は、報告セグメントに属さない管理部門等に所属しているものである。

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

2,992

43.9

16.1

9,128,795

 

セグメントの名称

従業員数(人)

住宅

314

環境・ライフライン

994

高機能プラスチックス

1,043

メディカル

報告セグメント計

2,351

その他

281

全社(共通)

360

合計

2,992

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)である。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。

    3.全社(共通)として記載されている従業員数は、報告セグメントに属さない管理部門等に所属しているものである。

(3)労働組合の状況

 当社グループ従業員が組織する労働組合に加入している組合員数は、5,524人である。

 なお、労使関係について、特に記載すべき事項はない。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)(注3)

全労働者

うち

正規雇用労働者

うち

パート・有期労働者

4.9

69.8

71.7

70.9

110.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも

      のである。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。

3.人事制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差によるものである。

 

②連結子会社

 イ)管理職に占める女性労働者の割合

当事業年度

名 称

管理職に占める女性労働者

の割合(%)(注1)

積水メディカル(株)

14.5

セキスイハイム工業(株)

1.3

東京セキスイハイム(株)

7.1

セキスイハイム近畿(株)

2.6

セキスイハイム九州(株)

6.0

東京セキスイファミエス(株)

3.8

(株)ヘルシーサービス

7.9

セキスイハイム中部(株)

2.9

(株)日本インシーク

3.1

セキスイファミエス近畿(株)

1.3

北海道セキスイハイム(株)

3.8

セキスイファミエス九州(株)

3.1

セキスイファミエス中部(株)

1.1

セキスイハイム東北(株)

4.7

セキスイハイム中四国(株)

1.4

積水ホームテクノ(株)

3.0

セキスイファミエス東北(株)

4.7

積水水口化工(株)

0.0

群馬セキスイハイム(株)

5.0

栃木セキスイハイム(株)

6.3

セキスイハイム信越(株)

9.1

セキスイハイム不動産(株)

6.1

積水武蔵化工(株)

0.0

積水マテリアルソリューションズ(株)

3.5

セキスイファミエス中四国(株)

2.1

積水成型工業(株)

1.3

西日本積水工業(株)

0.0

積水アクアシステム(株)

2.8

積水ポリマテック(株)

1.9

中四国キスイハイム工業株式会社(株)

0.0

東北セキスイハイム工業(株)

0.0

積水多賀化工(株)

0.0

 

当事業年度

名 称

管理職に占める女性労働者

の割合(%)(注1)

九州セキスイハイム工業(株)

5.3

積水フーラー(株)

3.7

積水テクノ成型(株)

0.0

セキスイファミエス信越(株)

6.3

徳山積水工業(株)

6.3

東日本セキスイ商事(株)

0.0

東日本積水工業(株)

0.0

東都積水(株)

0.0

積水化学北海道(株)

3.7

北海道セキスイハイム工業(株)

0.0

山梨積水(株)

0.0

北海道セキスイファミエス(株)

11.1

積水ソフランウィズ(株)

4.8

九州セキスイ商事インフラテック(株)

3.3

奈良積水(株)

0.0

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも

     のである。

   2.連結子会社のうち、常用労働者数が101人以上の国内子会社を記載している。

 

ロ)男性労働者の育児休業取得率

当事業年度

名 称

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注1)

積水メディカル(株)

61.9

セキスイハイム工業(株)

54.5

東京セキスイハイム(株)

29.0

セキスイハイム近畿(株)

4.5

セキスイハイム九州(株)

54.5

東京セキスイファミエス(株)

27.3

セキスイハイム中部(株)

0.0

(株)日本インシーク

100.0

北海道セキスイハイム(株)

100.0

セキスイファミエス九州

27.3

セキスイハイム東北(株)

100.0

セキスイハイム中四国(株)

22.2

積水ホームテクノ(株)

0.0

積水水口化工(株)

72.7

群馬セキスイハイム(株)

33.3

栃木セキスイハイム(株)

16.7

セキスイハイム信越(株)

28.6

セキスイハイム不動産(株)

20.0

積水武蔵化工(株)

100.0

積水マテリアルソリューションズ(株)

100.0

セキスイファミエス中四国(株)

40.0

西日本積水工業(株)

33.3

中四国セキスイハイム工業(株)

100.0

積水多賀化工(株)

50.0

セキスイファミエス信越

50.0

当事業年度

名 称

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注1)

徳山積水工業(株)

81.8

東日本積水工業株)

50.0

東都積水(株)

100.0

北海道セキスイハイム工業(株)

0.0

(注)1.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の

     規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」

     (平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものである。

 

ハ)労働者の男女の賃金の差異

当事業年度

名 称

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注1)(注2)(注3)

全労働者

うち正規雇用

労働者

うちパート

・有期労働者

積水メディカル(株)

61.0

74.0

47.1

セキスイハイム工業(株)

66.9

69.8

53.9

東京セキスイハイム(株)

60.9

63.1

41.9

セキスイハイム近畿(株)

65.3

68.7

53.4

セキスイハイム九州(株)

55.6

61.6

31.6

東京セキスイファミエス(株)

56.1

63.9

58.0

(株)ヘルシーサービス

67.2

84.6

85.3

セキスイハイム中部(株)

51.0

53.1

33.0

(株)日本インシーク

67.2

65.9

65.5

セキスイファミエス近畿(株)

47.0

55.9

52.2

北海道セキスイハイム(株)

54.4

60.4

27.6

セキスイファミエス九州(株)

56.7

61.1

45.7

セキスイファミエス中部(株)

59.6

61.4

57.8

セキスイハイム東北(株)

64.3

68.3

23.2

セキスイハイム中四国(株)

56.4

60.0

38.9

積水ホームテクノ(株)

60.0

61.9

92.7

セキスイファミエス東北(株)

63.4

62.8

53.6

積水水口化工(株)

76.0

74.8

151.2

群馬セキスイハイム(株)

60.1

61.0

39.5

栃木セキスイハイム(株)

55.1

58.1

32.6

セキスイハイム不動産(株)

56.4

56.1

69.1

積水マテリアルソリューションズ(株)

64.5

60.7

46.0

セキスイファミエス中四国(株)

57.1

56.0

59.3

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したも

     のである。

   2.連結子会社のうち、常用労働者数が301人以上の国内子会社を記載している。

   3.人事制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差によるものである。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、様々な要因により実際の結果とは異なる可能性がある。

 

(1) サステナビリティ課題全般

①ガバナンス

 当社グループでは、監督機能としての取締役会と、執行機能としての「サステナビリティ委員会」および傘下の8分科会からなる監督・執行体制により、ESG経営をグループ一体で進めている。

 取締役会:

 サステナビリティ委員会で審議した方針・戦略、全社リスクについて年2回報告を受け、最終決定するとともに、サステナビリティに関する執行側の取り組みを監督している。

 サステナビリティ委員会:

 社長を委員長、ESG経営推進部担当専務執行役員を副委員長とし、住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーの各プレジデントを含む業務執行取締役で構成され、年2回開催している。

 委員会では、将来当社グループが直面する可能性のある全社的なリスクや機会を抽出・特定してマテリアリティを適宜見直すとともに、全社方針やKPIの決定、全社実行計画を策定している。また各分科会委員長による報告を受け、各マテリアリティの取り組み状況をモニタリングしている。

 分科会:

 サステナビリティ委員会の傘下組織として、当社グループのマテリアリティに関わる「環境」「CS品質」「人材」「安全」「コンプライアンス」「サイバーセキュリティ」「DX」と2024年4月新設の「人権」の8分科会を設置している。人権分科会を除く7つの各分科会は、コーポレートの担当役員を委員長とし、3カンパニーの担当役員および各カンパニー、コーポレート、コーポレート傘下のメディカル事業の主管部門長で構成され、原則として年2回開催している。人権分科会は、コーポレートの執行役員人事部長を委員長とし、関係するコーポレート各領域を担当する執行役員で構成されている。各分科会は「サステナビリティ委員会」の決定内容に基づいたカンパニー別の具体施策立案と実行計画への落し込み、取り組み状況のモニタリングを行っており、その結果を各分科会委員長が「サステナビリティ委員会」に参加して報告、審議を行っている。

 

②戦略

 当社グループでは、社会課題解決に取り組むことは、社会の持続性向上に直結しており、貢献の対価である売上高は、社会課題解決貢献量であると考えている。そしてその貢献の質・量を向上させることで当社グループの持続的な利益ある成長を図ることができ、またそのことで、お客様、株主、従業員、取引先、地域社会・地球環境といったすべてのステークホルダーへの貢献をさらに拡大していくことができると考えている。

 ・積水化学のESG経営

  “Innovation for the Earth”というステートメントを中心に捉え、「サステナブルな社会の実現」と「グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる「Ⅰ.際立ち」「Ⅱ.社会課題解決」「Ⅲ.未来につづく安心」の3つのステップをステークホルダーとともに実践していくことを、当社のESG経営としている。

  そして長期ビジョン「Vision 2030」実現のため、ガバナンス(内部統制)、DX、環境、人的資本、イノベーションをESG重要課題(マテリアリティ)と特定し、各マテリアリティにそれぞれKPIを設定してESG経営の取り組みを進めている。

 

積水化学グループのESG重要課題

 

  <3つのステップ>

Ⅰ.際立ち

 社会に信頼される企業体制を「ガバナンス(内部統制)」と通じて実現し、際立つ「人材」の挑戦を原動力に「環境」「CS品質」で圧倒的な差異を持つ製品・サービスを生み出していく

Ⅱ.社会課題解決

 「際立ち」をもとに、3つのアプローチ(貢献の量を増やす、質を高める、これらを持続的に提供していく)で社会課題解決を加速

Ⅲ.未来につづく安心

 未来の世代も含めたあらゆる世代に安心してもらえるよう「未来につづく安心」という価値を、4事業領域(レジデンシャル、アドバンストライフライン、イノベーティブモビリティ、ライフサイエンス)で創出・拡大

 

 ・SEKISUI環境サステナブルビジョン2050

  気候変動を含む環境課題に関しては、2050年に向けた方向性を「SEKISUI環境サステナブルビジョン2050」の通り描いている。また、“環境”における重要課題を認識し、2050年の到達目標からバックキャストして、中期にやるべきことを考え、環境中期計画を策定している。

  当社グループが2050年に目指す地球の姿は、気候変動、資源循環、水リスクのすべての環境課題のゴールが同時に実現することで、生物多様性が健全な状態に保たれた、“生物多様性が保全された地球”である。企業活動において、地球上の自然資本、社会資本を利用していることを認識し、(1)サステナビリティ貢献製品の市場拡大と創出、(2)環境負荷の低減、(3)環境の保全、の3つの活動によって自然資本、社会資本のリターンに貢献し、気候変動、資源循環、水リスク、生物多様性といった地球上の課題解決に貢献する。そしてリターンへの貢献を加速していくために、当社グループのみならずステークホルダーの皆様と連携し、取り組みを推進していく。

 

③リスク管理

 当社グループでは、リスクと機会の重要性を踏まえて、定期的にモニタリングを実施している。まず、各国の法規制・ソフトロー・開示規制、ステークホルダーエンゲージメント、有識者ダイアログ等から、社会と当社グループにとっての課題を網羅的に把握。そしてそれらの課題を、「起こりやすさ」と「インパクト」「バリューチェーン上における波及効果」の3軸から点数づけするなどして、全社リスクマップに落とし込み、各分科会委員長が参加する全社リスク検討部会(年1回開催)で議論の上、社会の持続性と当社グループの持続的成長にとってリスクまたは機会となりうる短中長期の課題を特定するとともに、優先順位付けを行っている。

特定した課題は、サステナビリティ委員会での審議、取締役会での承認を経て、重要課題として認定し、戦略および全社と各カンパニーの実行計画に反映させている。中でも、重大インシデントにつながる可能性が高い「全社重大リスク」に関しては、組織別リスク管理活動におけるアセスメントの実施を必須化し、重大インシデント発生の抑止を図っている。

 

④指標及び目標

 当社グループは、ESG経営(社会のサステナビリティ向上と当社グループの持続的な成長の両立)を象徴するKPIとして、「サステナビリティ貢献製品の売上高」を置き、現中期経営計画における目標を1兆円超と設定している。また、重要課題であるガバナンス(内部統制)、DX、環境、人的資本、イノベーションにおいても、それぞれにKPIと目標を定め、取り組んでいる。

マテリアリティ

KPI

中長期目標

ガバナンス(内部統制)

5領域重大インシデント発生件数

2025年度 ゼロ

DX

直接/間接人員あたり売上高

2030年度 直接生産性30%増、

間接生産性43%増、

(2019年度比)

環境

気候変動 GHG排出削減率

2025年度  △33%(2019年度比)

資源循環 廃プラマテリアルリサイクル率

2025年度 国内65%

人的資本

挑戦行動の発現度

2025年度   60%

後継者候補準備率

2025年度   100%

定着率

前年比維持・向上

イノベーション

オープンイノベーション件数

非公開

(アウトプット)

サステナビリティ貢献製品売上高

2025年度 1兆円超

 ※サステナビリティについての取り組みの詳細は、サステナビリティレポート2023を発行し、当社webサイトで開示を行っている。なお、サステナビリティレポート2024の発行は2024年7月を予定している。

  <サステナビリティレポート>

  https://www.sekisui.co.jp/sustainability_report/

 

(2) 気候変動への対応(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)

①ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、前述のサステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれている。特に、気候変動を含む環境課題の監督・執行体制については以下の通りである(2024年4月1日現在)。

 環境責任者会議:

 再生可能エネルギーや資源循環など、重要案件ごとに設定し、定期的に開催(1回/月)。コーポレートとカンパニーの環境責任者が参加し、課題解決の進捗を確認し、解決策を検討している。

 

②戦略

 気候変動が当社グループおよび当社グループ事業に及ぼすリスクの抽出と、長期リスクに備えるための戦略を確認するにあたっては、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次・第6次評価報告書を参考にし、気候変動シナリオ設定を行っている。

気候変動シナリオ

 設定した気候変動シナリオをもとに、気候変動リスクがもたらす事業領域ごとのインパクト分析を実施し、長期リスクに備える戦略を検討している。分析に際しては、1.5℃シナリオと4℃シナリオを元に、気候変動の緩和が進む/進まないという軸と社会システムが地方に分散する/大都市に集中するという軸の2軸を設定し、さらに他の環境課題が気候変動課題と相互に及ぼし合う影響も考慮して、4つの気候変動シナリオを想定している。

 

気候変動リスクのインパクト分析結果

緑字:1.5℃シナリオ見直しに伴った改定事項

太字:イノベーション関連項目

 

 

 これら想定される社会において、考えられる当社グループのリスクと機会の分析を行い、各シナリオで描いた社会が実現した場合に適応するための当社グループの戦略について検討した結果の概要は以下の通りである。

 

A) 脱化石スマート社会/1.5℃×集中化シナリオ

 

B) 循環持続社会/1.5℃×分散化シナリオ

 

C) 地産地消社会/4℃×分散化シナリオ

 

D) 大量消費社会/4℃×集中化シナリオ

 

③リスク管理

 気候変動に関するリスク管理は、前述のサステナビリティ課題全般のリスク管理に組み込まれている。

 

④指標及び目標

 当社グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、これまで老朽設備の更新、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換を進めてきた。今後は、さらに「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みも進め、中長期のGHG排出量削減目標の達成を目指す。なお、下記の目標値はSBT認証(注)を取得している。

(注)SBT(Science Based Targets)認証:企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策への

貢献と科学的に整合していると、国連グローバル コンパクトをはじめとする共同イニシアチブにより認証

されたもの。

 ・GHG排出量削減目標

 

目標

目標達成の手段

Scope1+2

基準年:2019年

目標年:2030年

削減率:50% (1.5℃目標)

購入電力の再エネ化、低炭素燃料へ転換、電化、生産革新による燃料由来GHG削減の取り組みを推進

Scope3

基準年:2019年

目標年:2030年

削減率:30%

資源循環の取り組み(非化石原料へ転換、再生材料の使用拡大、廃棄物の再資源化)を追加し、原材料起因や生産プロセス、お客様での廃棄の際の削減を促進

(注)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

   Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

   Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

 ・2022年度の進捗

 

排出量合計

(千t-CO2)

削減率

Scope1

187

24.4%削減(2019年度比)

Scope2

468

Scope3

3,917

 4.8%削減(2019年度比)

 

※サステナビリティについての取り組みの詳細は、サステナビリティレポート2023を発行し、当社webサイトで開示を行っている。サステナビリティレポート2024の発行については2024年7月を予定している。

  <サステナビリティレポート>

  https://www.sekisui.co.jp/sustainability_report/

 

※TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示の詳細は、TCFDレポート2023を発行し、当社webサイトで開示を行っている。TCFDレポート2024の発行は、日本語版を2024年8月、英語版を9月に予定している。

  <TCFDレポート>

  https://www.sekisui.co.jp/sustainability_report/report/#tcfd

 

(3) 人的資本に関する開示

 「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、従業員が活き活きと働くことができる環境づくりに取り組むとともに、一人ひとりが自分の“得意技”を磨き、挑戦を通じて成長していくことを支援するさまざまな機会を提供する。

 

①考え方

 Vision 2030 の実現に向けて、「全従業員が挑戦したくなる会社」すなわち「革新や創造がなされ、社会課題解決への貢献が拡大する姿」を目指し、人材マネジメントを転換(役割軸の人材マネジメント、挑戦の促進)する。計画的な人材の獲得や抜擢と合わせて、事業の成長スピードや変化に対応する人材を育成し、「適所適材」を実現する。また従業員のキャリア拡大や労働条件改善など、人的資本への重点的な投資(中期経営計画3年間で120億円規模)を開始した。

 

②ガバナンス

 人的資本戦略の実現に向けて、2022年度に「ダイバーシティ推進委員会」を設置した。委員会は年2回開催され、監督側と執行側の役割を明確にし、戦略や情報開示、ダイバーシティ推進の強化に取り組んでいる。監督側は、人的資本経営や人材の多様性確保に関する事項につき、監理ならびに執行に関する助言を行う。執行側は、サステナビリティ委員会のもと設置された、各カンパニーの人事部門長で構成する「人材分科会」にて、監督機関で決定した人的資本経営施策の執行内容を決定する。そしてコーポレート・カンパニーの人事部門が労働組合と連携しながら、迅速に取り組みを執行している。

 

③戦略

 全員が挑戦したくなる活力あふれる会社の実現に向け、人材育成方針(※1)のもと、事業の成長スピードや変化に対応する人材を育成する。また社内環境整備方針(※2)のもと、各国・地域に対応した多様な働き方・安心して働ける職場づくりを図る。

 具体的な人的資本戦略(※3)としては、「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を掲げている。万全な備え(人的資本)を活かして果敢にチャレンジし、経営戦略である「戦略的創造」と「現有事業強化」を実現する。

 ※1.人材育成方針

A) ダイバーシティの促進

一人ひとりが持ち味を発揮し、活き活きと活躍できる風土をつくる

B) 挑戦の奨励

自ら手を挙げ、挑戦し続ける人材を応援する

C) 際立つ人材の育成

学び自ら成長し、得意技を持つ人材を支援する

※2.社内環境整備方針(ダイバーシティマネジメント方針)

 「100年経っても存在感のある企業グループであり続ける」ためには多様性が不可欠との認識に立ち、従業員一人ひとりの「仕事・生活両面における志向」や「持ち味」が異なることを理解し、認め、積極的に活かす。その組織風土創りに向け、雇用や活躍機会の提供、成長を支援する様々な環境整備を、従業員との対話を通じて図り続ける。

※3.人的資本戦略

 

④主な取り組み

イ) 「挑戦する風土の醸成」

1) 挑戦の場づくり

・手挙げによるキャリア実現の加速

 「従業員個人の自己実現」と「会社の成長」を両立する仕組みとして、2000年に人材公募制度を開始した。年4回の実施を通じ、従業員と部署のマッチングを実現している。従業員は自身のキャリアを考え、それに向けた能力開発、自己研鑽を行う。そして自ら活躍する場(機会)に対して手を挙げ、挑戦する人がステップアップのチャンスを得る。会社は手を挙げた人材の中から、必要な人材を決定する。

・チャレンジ機会の提供

 定年延長の実施(60歳から65歳に延長)に伴い、60歳以降を対象に兼業制度を新設した。働き方の選択肢を増やし、一人ひとりの活躍機会の拡大や、セカンドライフへの助走に繋げている。

 

2) 挑戦の後押し

・挑戦風土醸成活動の更なる強化

 従業員の挑戦意欲を引き出すためには「自律的なキャリア開発」が重要であり、全従業員に対し「キャリア面談」を実施している。従業員一人ひとりのキャリア志向を、上長に加えて部門長や人事部門も把握することで、従業員のキャリア開発を検討している。面談を効果的に運用するため、上司向け研修と本人向け研修を実施している。また、従前は年代別に開催していたキャリア教育は、人材マネジメントの転換に合わせて、役割別に開催している。

・キャリア自律に向けた風土醸成

 挑戦の土台となる会社に対してのエンゲージメントを、毎年測定している。2023年度のスコアは133と、前年に比べて改善した(2019年度のスコアを100とする。2022年度は114)。調査結果は各組織単位で分析し、組織ごとの課題に対応した改善施策を実施している。また組織横断の取り組みとして、国内グループ会社の人事部門が集まり「エンゲージメントDriveプロジェクト」活動を行っている。先進他社事例や社内好事例の共有、組織開発手法のセミナーなどを実施し、活動のレベルアップを図っている。

 

ロ) 適所適材の実現

1) 両利きのビジネスリーダーの育成

・経営幹部候補の抜擢・育成強化

 「新規事業の創出(探索)」と「現有事業の着実な成長と磨き上げ(変革)」を両利きで推進するビジネスリーダーの確保が重要となる。

 経営幹部候補の抜擢・育成強化を推進するため、「人材コミッティ」を設置している。経営戦略の実現に必要な役割を適切に管理し、それを担う人材と後継者が継続的に育成されている状態を目指している。役割軸のグレード制度の導入や登用の見極め期間廃止により、年齢に捉われない抜擢を加速している。

・経営幹部の役割見える化と多面評価

 「役割の見える化」を推進するため、人事システムを活用して、各ポストの役割とミッション要件を定義し、順次公開を進めている。社内でのキャリアの見える化を図り、目指すべき領域の特定と自律的なキャリア形成を促進している。

 

2) 際立つプロ人材の確保強化

・高度専門人材の確保強化

 高度専門人材を社内に確保し続ける仕組みとして、S職(スペシャリティ職)制度を設けている。競争力の源泉となる専門性の深耕に加え、技術強化の牽引を通じて後進を育成し、事業貢献を推進する。2023年度は弁護士などに対する専門資格手当の導入や、DXや法務などスタッフ部門における専門人材の定義を行い、高度専門人材の確保を加速した。

事業ニーズに即したリスキル強化

 事業にニーズの変化に合わせ、グローバル・DX・ものづくり等における専門スキル教育を進めている。特にグローバル教育については、実務に直結したスキル研修に加え、グローバルな仕事をより身近に感じてもらうため、駐在員から直接話を聞くキャリアイベントを開催している。また、短期トレーニーや海外研究機関への学術派遣等、海外で働く機会を多く提供している。

 

ハ) ダイバーシティの実現

1) 多様な人材の活躍推進

・多様な人材の雇用と定着促進

 持続経営力強化に向け、長期視点での採用規模による新卒採用を進めている。同時に事業環境の変化に合わせ、キャリア採用の拡大にも注力している。定着促進については、女性・障がい者・シニア等の多様な人材が定着できるよう、フレックス勤務や在宅勤務制度など働き方の多様化に対応した制度の整備や、介護・育児・病気などのライフイベントと仕事の両立支援を推進している。

・ダイバーシティ推進と両立支援

ジェンダーダイバーシティの推進

 女性活躍推進としては、「女性採用の強化」「定着と活躍」「管理職創出」「基幹職登用後の育成」の4段階に分け、取り組みを進めている。2023年度の採用比率は単体31.4%(前年度+3.3%)となった。さらなる加速に向けて採用HPを刷新し、ダイバーシティの取り組みを紹介するページを設けた。管理職登用に向けた支援では、2014年からキャリアディベロップメントプログラム研修を継続開催し、これまでに116名が管理職に昇格した。またグループ一体での女性活躍を後押しする取り組みとして、全従業員を対象に毎年様々なセミナーを開催している。

・障がい者の活躍推進

 障がい者の活躍推進としては、採用、定着の2つの面から取り組みを進めている。採用では、障がい特性を考慮しながら、職場見学・体験実習・採用実習の複数のステップを通じ、業務や職場との適性を考慮した配属を実施している。2023年度は就農モデル(農園)を開始し、職域の拡大を実現した。定着については、グループ全体の人事担当者を対象とした情報交換会を実施している。障がい特性や採用でのポイントなどを共有し、雇用促進と定着支援に取り組んでいる。

 

2) 個と職場の活力を高める環境に実現

・安心して働ける環境の整備

 労働時間削減の取り組みに加え、仕事の生産性向上に取り組んでいる。限られた時間で成果を最大化する生産性の高い働き方を追求するためには、従業員が自律的に働くことと上司による自律支援型マネジメントが重要であり、「働き方改革ガイドライン」「働き方改革e-ラーニング」「自律支援型上司研修」を展開している。柔軟な働き方の実現に向けては、グループ全体で在宅勤務やフレックス勤務などの制度を展開しており、出社とリモートワークの共存が定着した。

・健康で働きやすい環境の確保

「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考えのもと、従業員の心身の健康推進に取り組んでいる。2019年3月には当社グループが目指す健康経営の理念やあり方をまとめた「健康宣言」ならびに「健康経営基本方針」を策定し、各種施策を展開している。

 

⑤指標と目標

 当社グループでは下記に記載した、人的資本における14の指針については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難である場合は、提出会社単体の指標と目標を開示している。

※1 長期ビジョン達成に向けた挑戦行動を、従業員が実際に発現したかをアンケートで測定。

※2 ビジネスリーダー最上位ポストの後継候補者数÷同ポスト数

※3 (1-(1年間の離職者数/当該年4月時点の従業員数))×100

※4 エンゲージ関連行動質問6問(6点満点)の平均が4.5点以上の従業員の割合について、2019年度の実績を100としたときの指数

※5 年度における従業員一人当たりの研修受講時間

※6 制度上の賃金格差はなく、労務構成(年齢および資格)比による格差

※7 所定内労働時間(7.5時間)+所定外労働時間-有給休暇取得時間

※8 当該年においてメンタルヘルス不調を理由に1か月を超える休暇をした従業員の比率