事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業 | 821 | 80.3 | 381 | 87.9 | 46.3 |
マクロ・テクノロジー関連事業 | 185 | 18.1 | 50 | 11.7 | 27.3 |
その他 | 17 | 1.6 | 2 | 0.5 | 12.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は、高精度・高機能に特化した樹脂製品の提供を事業方針として、次に述べる基幹技術をベースとして、製品に求められるサイズや精度により、事業をナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業及びマクロ・テクノロジー関連事業、その他事業の3つに分けて事業展開しております。
基幹技術
<大きさの単位>
* 樹脂複合材料
複合材料とは、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックをベース材料とし、これに強化剤、機能性付与剤、成形性改質剤、着色剤などを複合させて、用途に応じた様々な特性を発揮させることの出来る材料である。熱特性、電気特性、機械特性などの基本特性に機能性(例えば、高摺動性、表面高精度、熱伝導性など)を付加したものを機能性樹脂複合材料という
* ナノ
1ナノメートル(1nm)とは10-9m(10億分の1メートル)。1ミリの100万分の1
* マクロ
マクロスコピック(Macroscopic)肉眼で見えるという意味。
マイクロスコピック(Microscopic)の対。
1) ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業
1-1) 機能性樹脂複合材料をベースとした機能性精密成形品及び部品
用途、要求特性に応じた熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂をベースとした機能性樹脂複合材料を開発/製造し、その材料を用いて機能性精密成形品の製造/販売を行っております。最近では、絶縁・高熱伝導性などの機能性を付加した材料を用いた新しい用途開発も進んでおります。当社の機能性精密成形品は、厳しい寸法精度や角度精度が要求される下記の用途で使用されております。
● デジタル・カメラ
デジタル・カメラのオートフォーカスセンサーを保持する機構部品に高感度・超高速で進化するCMOSイメージセンサーを支える部品として当社の機能性精密成形品が使われております。
● インクジェット・プリンター
インクジェット・プリンターのインク供給部の機構部品に当社の機能性精密成形品が使われております。
● バーコードリーダー装置
バーコードリーダー装置のレーザー反射ミラーを保持する機構部品に当社の機能性精密成形品が使われております。
● 精密寸法測定器
精密測定器のエンコーダ部品として、当社の機能性樹脂複合材料が使われております。
1-2) 研究開発用及び評価・分析用パルスインジェクター®システム
パルスインジェクター®(以下、PIJ)は、超微量(5ピコリットルから0.8ナノリットル)の多様な溶液(溶液に分散した金属微粒子や生体微粒子)を1秒間に最大20,000滴の高速で吐出することのできる装置です。当社は、基幹技術(樹脂複合材料技術、成形加工技術、金型技術、計測・解析技術、融合技術)を融合させることにより、PIJ(ポリマー製のインクジェットヘッド)を開発しました。また、周辺開発としてPIJを動作させるためのWaveBuilder(専用駆動機器)、液滴を高精度に定点配置できるInkjetlabo(ステージシステム)も開発いたしました。
このシステムは、異種金属を貼り合わせた従来のインクジェットヘッドと異なりポリマー製の特徴を活かして水溶性の試料、溶剤を使用した試料の両方を吐出することができます。また、ピコリットルという微量な液滴制御が可能です。そのうえで、吐出をコントロールしてPIJ(インクジェットヘッド)の高精度な特性を活かして、溶液に分散した金属微粒子、生体微粒子、有機ポリマー、セラミック微粒子など様々な材料の機能を発現させることができる定点配置技術をもっており、エレクトロニクスやバイオテクノロジーに関連する色々なアプリケーションに応用できます。
PIJは、ナノテクノロジーの発展のためのキーとなる装置であり、ナノ粒子を巧みに操作する技術です。
現在、下記のような用途での製品販売が行われております。
◆ DNA、蛋白質溶液を用いた研究
◆ ナノ粒子分散溶液を用いた研究
◆ 細胞チップ、抗原抗体反応チップの研究
◆ 生体組織の製作研究
◆ 接触角計、表面張力計への搭載
2) マクロ・テクノロジー関連事業
2-1) 樹脂成形碍子
日本では、屋外で使用される碍子は、ほとんどがセラミック碍子ですが、屋内用途では樹脂碍子(エポキシ碍子)が使用され、ビルや工場などの受配電設備の中に設置されています。
当社の樹脂成形碍子は、重電機メーカーにおいて40年以上(前身の安達新産業株式会社時代からの事業)の使用実績を持っています。
2-2) 機能性樹脂複合材料
上記成形碍子は、当社が開発したエポキシ樹脂をベースとした複合材料で作られております。顧客の要望に応じて、碍子の販売だけでなく成形材料としての販売も行っております。
3) その他事業
3-1) 現在行われているその他事業としては、当社の基幹技術を活用して、医薬品の容器の異物検査を行っております。
3-2) 微細加工技術を応用して、精密部品の組立を行っております。
[事業系統図]
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、中国及び欧州経済の停滞は続いているものの、米国経済は堅調に推移し、多くの国でインフレが落ち着き、実質賃金が改善し、底堅い成長を維持しております。
一方、米政権による関税政策や地政学的緊張など不透明要因は続いております。
わが国においては、大企業製造業の業況は改善し、インバウンド消費やデジタル化投資等も堅調に推移しております。大手企業の春闘交渉は、高額満額回答が相次ぎ、経済の好循環へ前進している気配です。また国内の長期金利(新発10年物国債利回り)は1.5%台と2008年10月以来の水準となり、更なる円安は一旦歯止めがかかりました。
原材料高及び人件費上昇によるコスト増や人手不足は続いており、中小企業への影響が懸念される状況です。また4月以降の米政権による高関税政策は今後の企業業績への懸念となっております。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業については、OA機器分野の売上高は伸び悩んだものの、映像機器分野、産業機器分野、レジャー分野の売上高は前年同期比で増加いたしました。
同関連事業の分野別状況は以下のとおりです。
映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式デジタルカメラの総出荷台数(2024年1-12月累計)は、約660万台となり、前年比110.2%と好調に推移しました。ミラーレスカメラはレンズ交換式デジタルカメラ全体の約85%を占め、同総出荷台数は約561万台となり、前年比116.1%と大幅な伸びとなりました。当社においては、ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、売上高は前年同期比で予想を大幅に上回り増加いたしました。
OA機器分野は、複写機向け成形品が予想していたほどには回復せず、前年同期比で減少しました。
産業機器分野は、遅れていた新機種(産業用インクジェットプリンターヘッド)が量産に寄与したことなど前年同期比で大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、新機種の売上高が寄与したことから、成形品の売上高は当初予想より好調に推移し、前年同期比では増加となりました。
パルスインジェクター®(以下、PIJという)は、引き続き、大学研究室及び各企業の研究・開発部門を中心に研究開発を支えるツールとして多分野への展開を推進いたします。
マクロ・テクノロジー関連事業については、国内の積極的な設備投資やバブル期からの受電設備のリニューアル需要もあり、樹脂成形品、樹脂成形材料ともに前期の売上高は堅調に推移しておりました。前期の反動もあり当事業年度前半の受注は低調に推移していましたが、当事業年度後半は回復し、前年同期比の減少幅は縮小しました。
その他事業は、主にインフルエンザ治療薬容器のキャップ検査を行っております。当第3四半期会計期間以降においては受注が増加し、前年同期比で大幅に増加しました。
「新規開拓に向けた営業力の強化」については、顧客訪問件数及び進捗状況の共有化、見える化を推進しております。自社活動と商社連携活動の両輪により、顧客との直接対話を増やしながら、積極的な受注活動を行ってまいります。
展示会(東京ビッグサイトにて開催)は、5月「New 環境展」、10月「エヌプラス(N-Plus)2024」に出展いたしました。
以上、ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業の映像機器分野や産業機器分野の売上高が当第3四半期会計期間以降、予想以上に好調に推移しました。またマクロ・テクノロジー関連事業においても当事業年度後半の売上高は回復しました。
その結果、全社の売上高は、前中期経営計画(2022年3月期から2024年3月期)の最終年度2024年3月期売上高目標10億円超を1年遅れで達成するとともに過去最高を更新しました。
利益面におきましては、売上高が好調に推移し、工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品が好調に推移したこと、製造費用や販売費及び一般管理費は抑えられたことから、営業利益及び経常利益は過去最高を更新しました。
以上の結果、当事業年度の全社の売上高は1,022百万円(前年同期比11.3%増)、売上総利益433百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は108百万円(前年同期比57.9%増)、経常利益は110百万円(前年同期比57.6%増)、当期純利益は100百万円(前年同期比75.5%増)となりました。
当事業年度のセグメントの業績は次のとおりであります。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料及び機能性精密成形品並びにPIJ関連製品の当事業年度の売上高は821百万円(前年同期比14.4%増)、セグメント利益は380百万円(前年同期比15.6%増)となりました。
マクロ・テクノロジー関連事業
マクロ・テクノロジー関連事業につきましては、機能性樹脂複合材料、樹脂成形碍子及び金型・部品の当事業年度の売上高は184百万円(前年同期比4.4%減)、セグメント利益は50百万円(前年同期比17.6%減)となりました。
その他事業
その他の事業につきましては、医療薬品容器の異物検査事業などにより、当事業年度の売上高は16百万円(前年同期比120.5%増)、セグメント利益は2百万円(前年同期比192.8%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ96百万円増加し、当事業年度末には358百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、148百万円の増加となりました。
これは、主に税引前当期純利益と棚卸資産によるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、49百万円の減少となりました。
これは、有形固定資産の取得による支出によるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは2百万円の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は1,022百万円(前年同期は918百万円)となりました。
ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業において、映像機器分野は、デジタルカメラ市場において、レンズ交換式デジタルカメラの総出荷台数は好調に推移しました。ミラーレス機種や人気機種の好調に支えられ、売上高は前年同期比で予想を大幅に上回り増加いたしました。
OA機器分野は、複写機向け成形品が予想していたほどには回復せず、前年同期比で減少しました。
産業機器分野は、遅れていた新機種(産業用インクジェットプリンターヘッド)が量産に寄与したことなど前年同期比で大幅に増加いたしました。
レジャー分野は、新機種の売上高が寄与したことから、成形品の売上高は当初予想より好調に推移し、前年同期比では増加となりました。
(売上総利益)
当事業年度における売上総利益は433百万円(前年同期は391百万円)となりました。これは主に、工場の稼働率が向上したことや利益率の高い製品が好調に推移したこと、製造費用は抑えられたことによるものです。
(営業利益)
当事業年度における営業利益は108百万円(前年同期は68百万円)なりました。これは主に、売上高の増加と販売管理費及び一般管理費が抑えられたことによるものです。
(経常利益)
当事業年度における経常利益は110百万円(前年同期は70百万円)となり、営業利益及び経常利益ともに過去最高を更新しました。営業外収益は3百万円(前年同期は2百万円)、営業外費用は0百万円(前年同期は1百万円)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は100百万円(前年同期は57百万円)となりました。法人税等合計は10百万円(前年同期は13百万円)となりました。
財政状態の分析
(資産)
当事業年度末の資産は、前事業年度より92百万円増加し、1,836百万円となりました。
これは、主に現金及び預金の増加96百万円によるものです。
(負債)
負債合計は、前事業年度より7百万円減少し、184百万円となりました。
これは、主に未払消費税等の減少3百万円、未払費用の減少3百万円によるものです。
(純資産)
純資産は、前事業年度より100百万円増加し、1,651百万円となりました。
これは、当期純利益100百万円の計上によるものです。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
当社の当事業年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の運転資金需要のうち、主なものは製品の製造にかかる原材料の購入、金型及びその労務費、販売並びに一般管理、研究開発の労務費や経費などの販売費及び一般管理費です。
また、成形機をはじめとする生産設備の更新、増強による設備投資、情報システムの更新のための資金需要が生じております。
(財務政策)
当社の運転資金につきましては、現在、借り入れを行うことなく、内部資金(現金及び預金)にて調達しております。なお、2025年3月期の資産における流動比率は764.9%となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。健全な財務報告を行うためには、財務諸表の作成にあたって収益・費用又は資産・負債の状況に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは、過去の実績やその時点において入手可能な情報及び合理的であると判断した一定の前提に基づいて行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果とは異なることがあります。
当社の財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、見積りによって重要な影響を受ける可能性がある会計方針は、貸倒引当金、賞与引当金、繰延税金資産、固定資産の減損評価であり、その金額は過去の実績や将来予測に基づく一定のルールや内規に基づいて合理的に決定しております。繰延税金資産については毎期慎重に回収可能性を判断し、将来の事業年度において回収が見込まれない税金の額は、繰延税金資産から控除しております。なお、貸倒引当金は貸倒実績及び貸倒懸念債権等の回収不能見込額がないため計上しておりません。