2024年2月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

1.事業展開について

 本書に記載しております事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、次のようなものがあります。

 ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経済状況の変化について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社は、クラウドに特化したサービスの提供を行っております。各顧客企業の基幹システムに係るIT投資の積極的な取組みを背景として事業を拡大していく方針でありますが、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の取組みが減退するような場合には、当初計画していたような売上成長が見込めず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクは完全に排除できる性格のものではないことから、市況の急変等の場合においては、顕在化する可能性があると認識しております。

 

(2)クラウド市場の動向について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社が事業を展開するクラウド市場は、ICT(情報通信技術)を活用した業務プロセスの効率化やコスト削減への取組み等、「守り」のビジネス・テーマが主体でありましたが、今後は、「事業や経営判断の高速化」「営業力強化」「ソーシャルメディア等を使った顧客との新たな関係構築」「ビジネス領域の拡大/業際市場への進出」等、ビジネスにおける「攻め」のテーマにシフトしつつあるとみられており、クラウドを前提とした取組みは、ビジネスへの期待感を高め、注目は高まってきております。当社は今後もクラウド市場の拡大傾向は持続すると予測しており、クラウド事業の多角化を積極的に展開していく計画であります。しかしながら、クラウド市場は依然として拡大を継続する見通しですが、クラウド市場の環境整備や新たな法的規制の導入後、何らかの要因によってクラウド市場の発展が阻害される場合には、当初計画していたような売上成長が見込めず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社が実施する業界のモニタリング及び影響の分散施策等によって、当該リスクを完全に排除できる性格のものではないことから、市況の急変等の場合においては、顕在化する可能性があると認識しております。当社は、継続してマルチクラウドに取組み、MSP及びクラウドライセンスリセールのストックビジネスを推進・拡大していくことで、収益基盤の強化を図ってまいります。

 

(3)製品・サービスの関連性について

(顕在化可能性:中 / 影響度:中)

当社は、クラウドインテグレーションにおいてクラウド環境の設計・構築を行うだけでなく、環境構築後のクラウドライセンスリセールやMSPのサービスを継続して顧客企業に提供することも主力サービスとしております。そのため、クラウドインテグレーションの案件獲得が困難になった場合には、クラウドインテグレーションの売上高が減少するだけではなく、クラウドライセンスリセールやMSPの売上高の成長が鈍化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、SAPシステムを中心とした基幹システムのオンプレミスからのクラウド移行においても、クラウド移行のコンサルティング、設計・構築と併せて、移行先のクラウドライセンスリセールやMSPのサービスを継続して顧客企業に提供しております。そのため、SAPシステムのクラウド移行の案件獲得が困難になった場合には、SAPシステムのクラウド移行の売上高が減少するだけではなく、クラウドライセンスリセールやMSPの売上高の成長が鈍化し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は高くないと判断しておりますが、当社リスクが顕在化した場合は、一定程度の影響を被るものと認識しております。当社は、クラウドソリューション事業の各サービスの導入実績、ノウハウによる技術優位性を確保できていると認識しており、このまま実績を積み上げ他社との差別化を図り、市場での地位を早期に確立していくことで安定的な案件獲得を図ってまいります。

 

(4)クラウド基盤事業者への依存について

(顕在化可能性:低 / 影響度:高)

当社はパブリッククラウドベンダーの中でもAWS及びAzureのクラウド環境に顧客企業のSAPシステムを中心とした基幹システムのオンプレミスからのクラウド移行に関するビジネス並びにAWS及びAzureのクラウドライセンスリセールの拡大により売上高の持続的成長を実現してまいりました。従いまして、当社の成長はAWS及びAzureの市場拡大に大きく依存しております。当社は、AWS及びAzureを含めたパブリッククラウドの市場規模は継続的に拡大していくものと認識しており、今後もAWS及びAzureを主軸とし、加えてGoogle cloudのクラウド環境への取組み(マルチクラウドへの対応)も強化して事業展開を進めて行く方針であります。

また、近年においては、パブリッククラウドベンダーは事業ポートフォリオをIaaSからPaaSまで拡げ、今後も更なる成長と市場の拡大が見込まれると考えております。しかしながら、パブリッククラウドの市場規模が縮小する場合や各パブリッククラウドベンダーの経営戦略に変更がある場合等には、当初計画していたような売上成長が見込めず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

今のところ、当該リスクが短期的に顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、各パブリッククラウドベンダーの市場動向、経営戦略等について情報収集を行い、適切な経営判断ができるように努めております。

 

(5)各パブリッククラウドベンダーとの契約について

(顕在化可能性:低 / 影響度:高)

当社は、顧客企業の基幹システムのクラウド化を行っており、顧客企業のニーズへの対応をより柔軟に行うためにマルチクラウド化への取組みを強化しております。当社は、Amazon Web Services,Inc.及びMicrosoft Corporation並びにGoogle LLCの3社のパブリッククラウドベンダーと契約をしております。

各社の製品のクラウドライセンスリセールについては、各社との契約に基づいて行われております。いずれの契約も、当社又は同社のいずれかが解除事由への抵触を理由に解除を申し出た場合のほか、理由の如何に関わらず事前に解除を申し出た場合を除いて、継続するものとされております。現時点では当該契約の解除事由に該当する事実は生じておらず、良好な関係を築いておりますが、今後当社が解除事由に抵触したこと等を理由に契約を解除された場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、各パブリッククラウドベンダーとの関係が良好なものとなるよう努めております。また、第4、第5のパブリッククラウドベンダーの動向を注視して、国内市場、顧客要望を適宜把握して取組の判断を行ってまいります。

 

(6)パートナー企業との関係について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社の営業活動の一部は、パートナー企業に依存しております。2024年2月期においては、パートナー企業経由での売上高は当社売上高全体に占める割合の概ね2割程度の水準となっており、これらのパートナー企業の営業戦略や販売動向により当社業績は影響を受けております。

現時点では認識しておりませんが、パートナー企業との取引関係継続が困難となった場合や各社の事業戦略に変化が生じた場合、又はパートナー企業の新規開拓が進捗しない場合等においては、当初計画していたような売上成長が見込めず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、その程度につきましては、想定しておりません。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、パートナー企業に対して、営業・技術支援の強化を推進しており、各パートナー企業との契約に基づき、安定的かつ長期的な取引関係の構築に努めております。加えて、当社事業の拡大及び販売網強化を推進するため、アライアンスパートナーの新規開拓を行い、パートナー企業の拡大を図っております。

 

(7)クラウドインテグレーションにおける業績変動等の遅延による業績見通への影響について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社は、クラウドに関するコンサルティング、導入、環境構築、移行並びにアプリケーション開発等を行っており、成果物を引き渡す義務を負っております。当該契約については、開発中のシステム等を他の顧客又は別の用途に振り向けることができず、遂行した作業について対価を受領する権利が発生することから、一定の期間にわたり履行義務が充足されると判断しており、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積り方法は、プロジェクトの見積総原価又は見積総工数に対する発生原価又は発生工数実績の割合(インプット法)で合理的に見積り、その進捗度に基づいて一定の期間にわたり収益を認識しております。

当社では、プロジェクトごとの進捗を管理し、計画通りに売上高及び利益の計上ができるように努めておりますが、プロジェクトの進捗や検収の遅延等により、第4四半期に見込んでいた売上高及び利益が翌期の計上にずれ込む場合には、当社の通期業績及び各四半期の業績に変動が生じる可能性があります。

クラウドインテグレーションにおけるプロジェクトは、想定される工数や難易度を基に見積りを作成し受注をしておりますが、見積り作成時に想定されなかった不測の事態等により、工数が大幅に増加し、プロジェクトの採算が悪化する場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、プロジェクトごとに継続的に進捗状況に応じて見積総原価及び見積総工数並びに予定プロジェクト期間の見直しを実施するなど適切な原価管理に取り組んでおりますが、その見積総原価や見積総工数に基づくプロジェクトの進捗率は見通しに基づき算定しているため、修正される可能性があり、それらの見直しが必要になった場合は、売上計上時期の変更等により、当社の期間損益に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、翌期においてもリスクは常に存在すると認識しております。当社は、プロジェクトごとの進捗管理を徹底しており、計画通りに売上高及び利益の計上ができるように努めております。また、当社は顧客企業との認識のずれや想定工数が大幅に乖離することがないように工数の算定をしており、採算及び工数の予実管理を徹底することで、プロジェクトの採算が悪化しないように努めております。

 

(8)クラウドインテグレーション及びMSPサービスにおける不具合・瑕疵について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社は、クラウドインテグレーション及びMSPサービスの提供・開発過程において、納品・検収完了後において重大な不具合・瑕疵等が発見された場合には、当社に対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、取引先からの信用を失うとともに、不具合・瑕疵等に対する対応費用の発生、損害賠償責任の発生等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、クラウドインテグレーション及びMSPサービスの提供・開発過程において、提供・開発手順の標準化と標準化プロセスを遵守すること等により不具合・瑕疵の発生防止に努めております。

 

(9)通信回線等の外部依存について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社が提供するクラウドライセンスリセール及びMSPにおけるクラウドサービスは、顧客企業からクラウド基盤までの接続サービス等の提供にあたり、他社の通信キャリアから通信回線を調達しております。通信キャリアの提供する電気通信サービスに障害が生じ代替手段の調達ができずに、サービスが長時間にわたり中断する等の事象が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、翌期においてもリスクは常に存在すると認識しております。当社は、障害に対して迅速に対応するべく、システムの稼働状況の監視及び障害検出に関して、管理体制を強化し、障害発生の未然防止及び障害発生時の影響最小化に努めております。

 

(10)サービス中断の可能性について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社が提供するクラウドサービスは、地震等の自然災害、電力不足、停電、通信障害、テロ等の予見し難い事由により、停止或いは遅延等の影響を受ける可能性があります。また、コンピュータクラッキング、コンピュータウイルス、人的過失及び顧客企業等の偶発的或いは故意による行為等に起因するサービスの中断も、当社のサービスの提供を妨げる可能性があります。サービスの提供が中断し当社の信用失墜又は事業機会の逸失が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、翌期においてもリスクは常に存在すると認識しております。当社は、サービスを安定的に提供するためのシステム運用管理体制を整備し、システムの稼働状況の監視、バックアップ、外部からの不正アクセスやコンピュータウイルスの侵入防止のシステム的な対策等を実施して、障害発生の未然防止と障害発生時の影響最小化に努めております。

 

(11)クラウド基盤のシステム障害について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社の事業は、クラウド基盤事業者が提供する各種サービスをインターネットを介して顧客企業に提供することを前提としております。従いまして、自然災害や事故などによる不測の事態が発生し、万が一、クラウド基盤自体にシステム障害が起こるような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、翌期においてもリスクは常に存在すると認識しております。当社は、障害に対して迅速に対応するためのシステム運用管理体制を整備し、システムの稼働状況の監視及び障害検出に関して、管理体制を強化し、障害発生の未然防止及び障害発生時の影響最小化に努めております。

 

(12)クラウドインテグレーションにおける外部協力先の確保について

(顕在化可能性:高 / 影響度:高)

当社は必要に応じて、クラウドインテグレーションにおいて複数の外部協力先に委託を行っております。当社は、今後も外部協力先との安定的な取引関係を保つとともに、十分な技術力を有する新規協力先の開拓を行ってまいりますが、万が一、適切な協力先、技術者数が確保できない場合又は委託単価が高騰した場合には、費用の増加又は納期遅延等が生じ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社は、今後も外部協力先との安定的な取引関係を保つとともに、十分な技術力を有する新規協力先の開拓を行ってまいります。

 

(13)MSPにおける特定の外注先への依存について

(顕在化可能性:低 / 影響度:高)

当社のMSPサービスにおいては、株式会社テラスカイの子会社である株式会社スカイ365に対し、障害監視等の基本的な定型業務を委託しております。当社は、自社においても当該業務を一部行っており、今後も自社における運用代行機能を拡大することにより、適正な外注比率を維持し、突発的な事象に対する影響度の低減を図る方針であります。しかしながら、株式会社スカイ365は株式会社テラスカイの子会社であるため、今後株式会社スカイ365及び株式会社テラスカイの経営方針の変更等により、突発的に株式会社スカイ365との取引関係継続が困難になった場合には、当社が株式会社スカイ365に委託している業務を行うこととなりますが、追加的な人員や他の協力先確保に伴う想定外の費用増加によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、自社においても当該業務を一部行っており、今後も自社における運用代行機能を拡大することにより、適正な外注比率を維持し、突発的な事象に対する影響度の低減を図る方針であります。

 

(14)新規事業展開について

(顕在化可能性:高 / 影響度:低)

当社は今後、更なる収益拡大を図るため、既存事業の周辺領域での新たな事業展開や海外市場における事業展開についても取り組んで参りたいと考えております。しかしながら、新規事業展開や海外展開は構想段階であり、先行投資として人件費等の追加的な支出が発生する場合や、これまで想定していない新たなリスクが発生する等、当社の想定通りに進捗せず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社は、新規事業の概況及び市場動向を注視しながら、適切なタイミングで事業の再編や構造改革を実施するよう努めております。

 

2.外部環境について

(1)価格競争について

(顕在化可能性:高 / 影響度:低)

当社が属するクラウド市場における価格競争は、競合企業の新規参入により今後更に激しくなることが予測されます。低価格競争が更に進展し、競合他社との差別化が有効に図れず、当社が提供するサービスの売上高が想定どおりに増加しない、又は経常利益が悪化する場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社は、技術力の強化、サービス品質の向上等により、競争力の維持に努めております。

 

(2)競合について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

クラウドインテグレーションに関する当社の競合優位性としては、大手パブリッククラウドベンダー3社(Amazon Web Services, Inc.及びMicrosoft Corporation並びにGoogle LLC)との契約及び認定資格を保有していることからマルチクラウドの取扱いを可能としている点、かつ、SAPシステムのクラウド移行等の大規模な基幹システムのクラウド移行を専門に行っている点があり、それらにより案件獲得に繋がっております。また、MSPやクラウドライセンスリセールにおける優位性としては、大小問わずクラウドサービスを提供している企業との価格競争が激化していく環境の中でも、クラウド利用を前提としたクラドインテグレーションのサービスでもあるデータ基盤構築やクラウドアプリケーション開発を提供できることがあり、既存顧客のリテンションに繋がっております。

当社が事業を展開するクラウド市場は、規模の大小を問わず競合企業が複数存在しており、クラウドの普及に伴い、今後も競合企業の新規参入が予測されます。これら競合他社の中には、当社に比べ大きな資本力、技術力、販売力等の経営資源及び顧客基盤等を保有している企業が含まれ、競合企業の動向は市場に大きな影響を与える可能性があり、新規参入の拡大等により競争が激化し、類似サービスの出現により当社が競合企業との差別化を有効に図ることが出来ない場合等には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。当社は、技術力の強化、サービス品質の向上等により、競争力の維持に努めております。また、自社開発のクラウド運用サービスツール「BSC:BeeX Service Console」並びにサービスパッケージ「BeeX Plus」を提供し、他社との差別化を強化しており、加えて、大手ERPベンダーのSAPシステムの取扱いをしていることから、その利用している大中規模の企業ユーザーへアプローチが可能である利点を生かし、他社との差別化に努めております。

 

(3)技術革新への対応について

(顕在化可能性:高 / 影響度:低)

当社が属するクラウド業界においては、市場及び顧客ニーズ、技術の変化が非常に速く、それに基づく新サービス等の開発・導入が相次いで生じております。また、クラウド基盤の特性としてサービスの仕様変更、新サービスの追加等頻繁にアップデートを実施しており、クラウドエンジニアの育成プロセスは長期化かつ高難度化しております。当社は、このような変化に迅速にキャッチアップすべく、最新の技術動向等を注視し、最新の技術情報の収集とノウハウの習得に積極的に取り組んでおりますが、技術革新、又はそれに伴い変化する顧客ニーズを捉えた新サービスの開発、導入及び品質確保等にかかる対応が遅れた場合には、当社サービスの競争力が低下する可能性があります。また、技術革新に対応するために必要となる追加投資等の支出が拡大した場合には採算悪化による経常利益の低下に繋がり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社は、常に最新の技術動向や市場動向を分析し、新技術やサービスの研究開発に努め、サービスの競争力向上に取り組むことで、技術や顧客ニーズの変化に対応しております。

 

(4)為替相場の変動について

(顕在化可能性:高 / 影響度:低)

当社のAWSリセールにおいて、当社とAmazon Web Services,Inc.との取引にかかるAWS月額利用料は米ドル建てで計算されます。日本円と米ドル間の為替相場が円高となった場合には売上高・仕入高がともに減少し、円安となった場合には売上高・仕入高がともに増加する為、利益率への影響は緩和されておりますが、急激な為替変動があった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社は、為替予約を行うことにより為替リスクの極小化に努めております。

 

(5)法的規制について

(顕在化可能性:低 / 影響度:高)

当社は電気通信事業法上の電気通信事業者等の業法による規制等を受ける状況にはありませんが、社会情勢の変化等により当社の事業運営を制約する規制強化等が行われる可能性は否定できません。万が一、かかる規制の強化がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、近年、インターネット関連事業を規制する法令は度々変更・追加がなされており、今後新たな法令等の規制がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、法令改正の動向などの情報収集を適宜行い、適時に対応できるようにすることによりリスクの軽減を図っております。

 

 

3.事業運営について

(1)特定人物への依存について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社の代表取締役社長広木太は、当社の創業メンバーであり、経営方針・経営戦略の策定やその実行において重要な役割を果たしております。当社は、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、幹部社員の情報共有や権限移譲等によって同氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、今後何らかの理由で同氏が当社の業務を遂行することが困難になった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、同氏に過度な依存をしない経営体制を構築すべく、幹部社員の情報共有や権限移譲等によって同氏への過度な依存の脱却に努めております。

 

(2)小規模組織であることについて

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社の従業員数は、2024年2月末日現在において166名にとどまっており、小規模な組織であると認識しております。現状はこれに応じた内部管理体制となっておりますが、今後の成長に伴う事業規模の拡大によっては、内部管理体制とのアンバランスが生じ、適切な業務運営が困難となり当社の事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、事業拡大に応じて人員の増強や内部管理体制の一層の充実を図ってまいります。

 

(3)優秀な人的資源の確保について

(顕在化可能性:高 / 影響度:中)

当社の提供するサービスは、当社の技術部門を中心とした従業員による継続した役務に依存しております。当社の事業拡大に伴い、優秀な経営陣及び従業員を内部育成し、技術・営業・企画及び管理面において適切な人材を適切な時期に確保又は維持できなかった場合、必要以上の人員数採用により労務費用を適切にコントロールすることができなかった場合、労働市場において想定よりも人件費が高騰した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社は、今後も事業規模の拡大に応じて、専門技術や知識を有する優秀な人材の中途採用に努めるとともに、教育制度の充実、人事評価制度の見直し、労働環境の整備など、従業員の働きがいを向上させる取組みを強化していく方針です。

 

(4)知的財産権について

(顕在化可能性:低 / 影響度:中)

当社はこれまで、第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差し止めの請求を受けたことはなく、知的財産権の侵害を行っていないものと認識しております。当社は、第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っておりますが、万が一、第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償の負担が生じる可能性があります。当社が属するクラウド市場において知的財産権の状況を完全に把握することは困難であり、当社の事業に関連する知的財産権について第三者の特許取得が認められた場合、あるいは将来特許取得が認められた場合、当社の事業遂行の必要上これらの特許権者に対してライセンス料を負担する等の対応を余儀無くされる可能性があります。このような損害賠償及びライセンス料の多額の負担が生じた場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は低いと予想しております。当社は、第三者の知的財産権を侵害しないよう、社内担当部門で慎重に調査を行っております。また、必要に応じて専門家と連携を取りリスクの軽減を図っております。

 

(5)情報管理体制について

(顕在化可能性:高 / 影響度:中)

当社は、クラウド基盤の導入や運用、又はクラウドサービス提供の過程において、顧客企業の機密情報やユーザーの個人情報を取り扱う可能性がありますが、万が一、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意等による機密情報や個人情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が発生し、当社がそのような事態に適切に対応できず信用失墜又は損害賠償による損失が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクが顕在化する可能性は、翌期においても相応に存在すると認識しております。当社では、システム上のセキュリティ対策やアクセス権限管理の徹底に加え、親会社である株式会社テラスカイが2010年8月に認証取得した情報セキュリティマネジメントシステム「ISO/IEC27001(JIS Q 27001)」に事業部門として参加、認証取得、当該公的認証に準拠した規程・マニュアルの整備・運用等を行うことで、情報管理体制の強化に努めており、今後、当社単独で認証取得するよう準備を進めております。

 

(6)配当政策について

(顕在化可能性:高 / 影響度:低)

当社は、剰余金の配当につきましては、創業以来実施しておりませんが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。配当政策の基本方針としましては、業績、配当性向及び当社を取り巻く事業環境を総合的に勘案し、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、当面の間につきましては、今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。

当社は未だ成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先することが、株主への最大の利益還元に繋がるものと判断しております。

 

(7)当社株式の流動性について

(顕在化可能性:中 / 影響度:中)

当社の大株主には親会社である株式会社テラスカイ、事業法人、当社役職員が含まれており、当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は2024年2月末現在において19.8%にとどまっております。今後は、親会社からの売出し協力、役員・事業会社様への一部売出しの要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4.親会社との関係に関する事項

(顕在化可能性:低 / 影響度:高)

当社の親会社である株式会社テラスカイ(東京証券取引所プライム市場)は、当社の発行済株式総数の68.2%(2024年2月末現在)を保有する筆頭株主であり、クラウドにおける「ソリューション事業」及び「製品事業」を行っております。

当社は、独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行っております。しかしながら、上場後も同社の株式保有比率は過半数を超えており、同社は筆頭株主として基本事項に関する決定権又は拒否権を保有しているため、当社の意思決定に対して同社が影響を与える可能性があります。

 

(1)テラスカイグループにおける当社グループの位置付けについて

当社は、テラスカイグループにおいて、SAPソフトウエア基盤のクラウドに特化したサービス及びAWSを中心として、Azure、Google Cloudに対応したマルチクラウドインテグレーションの提供によるクラウドシステムの導入サービスを行う唯一の会社として位置づけられており、テラスカイグループ各社の業務内容、事業領域は明確に区分されており、当社と類似事業を営む会社はありません。

 

 

(2)テラスカイグループとの取引について

 当事業年度(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)

種類

会社等の名称

又は氏名

所在地

資本金

又は出資金

(千円)

事業の内容又は職業

取引の内容

取引金額

(千円)

親会社

株式会社テラスカイ

東京都中央区

1,252,993

クラウドに特化したソリューション事業及び製品事業

システム運用に係る役務提供/AWS利用料の課金代行サービスの提供(注1、2)

598,508

親会社の子会社

株式会社スカイ

365

北海道札幌市北区

105,237

クラウドに特化したMSP事業

クラウドの運用・監視・保守業務の委託(注2)

142,486

親会社の関係会社

株式会社キットアライブ

北海道札幌市北区

125,820

北海道を中心としたクラウドに特化した事業

AWS利用料の課金代行サービスの提供(注2)

731

親会社の子会社

株式会社リベルスカイ

東京都中央区

50,000

クラウドに特化したコンサルティング事業

クラウドインテグレーションの業務委託(注2)

11,954

親会社の子会社

株式会社Cuon

東京都中央区

10,000

webシステム開発

AWS利用料の課金代行サービスの提供(注2)

51,013

親会社の子会社

株式会社Quemix

東京都中央区

206,000

量子コンピューターの応用研究

AWS利用料の課金代行サービスの提供(注2)

3,967

親会社の子会社

株式会社DiceWorks

東京都中央区

50,000

クラウドに特化したソリューション事業

クラウドインテグレーションの業務委託(注2)

400

親会社の子会社

株式会社テラスカイテクノロジーズ

東京都中央区

214,351

クラウドエンジニアの派遣事業

AWSに関するトレーニングサービスの提供/AWS利用料の課金代行サービスの提供(注2)

11,853

(注)1.株式会社テラスカイとの取引は、外部顧客へのサービス提供について、同社を通じて受注・サービス提供したものであります。

2.取引を継続する場合、新たに取引を行う場合には、親会社等から独立した立場の社外取締役も参加する取締役会において、事業上の必要性及び他社との取引条件等を比較し、その取引の合理性及び条件の妥当性の検証を行なった上で決議することとしています。

 

(3)親会社等との役員の兼務関係について

本書提出日現在における当社の役員9名(取締役6名、監査役3名)のうち、親会社である株式会社テラスカイの役員を兼ねる者は1名であり、豊富な経営及び監督経験から、その知見の活用及び当社事業に関する助言を得ることを目的として就任しており、当社独自の経営判断を妨げるものではなく、当社の経営執行に与える影響は限定的であると認識しております。今後、親会社との役員兼務者は1名のみを継続する方針であります。

また、当社職員のうち、テラスカイグループである株式会社スカイ365の取締役を兼ねる者は1名であり、当社MSPにおける同社への委託業務の遂行状況の監視等を目的としております。今後も同社への取締役の派遣は1名のみを継続する方針であります。

なお、兼務者の当社における役職、氏名及びテラスカイグループ会社における役職は以下のとおりであります。

氏名

当社における役職

テラスカイグループ会社における役職

塚田 耕一郎

取締役

株式会社テラスカイ 取締役CFO常務執行役員

株式会社キットアライブ 取締役

株式会社テラスカイベンチャーズ 代表取締役

株式会社Cuon 取締役

株式会社Quemix 取締役

Terrasky Thailand co.itd 取締役

株式会社リベルスカイ 取締役

株式会社テラスカイ・テクノロジーズ 取締役

株式会社エノキ 取締役

株式会社DiceWorks 取締役

緒方 裕康

執行役員インテリジェントエンタープライズ本部長

株式会社スカイ365 取締役

 

 

(4)親会社等からの独立性の確保について

当社が事業活動を行う上で、「重要な決議事項」のうち「テラスカイグループ内の資本政策に関わる事項」に限り親会社である株式会社テラスカイに事前相談することとなっております。一方で、当社は、新たにテラスカイグループ外の会社と資本提携又はM&A等をする場合を含め、親会社の指示、承認及び事前相談に基づいて意思決定を行うのではなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員、及び過半数を占める専任役員を中心とする経営陣の判断のもと、当社独自に意思決定を行っております。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、将来の事業展開と経営基盤の更なる強化に向けて必要となる内部留保資金の確保を図ることが重要であると考えております。内部留保資金につきましては、優秀な人材の採用等の必要運転資金や、今後予想される経営環境の変化に対応するための資金として、有効に活用していく方針であります。剰余金の配当につきましては、創業以来実施しておりませんが、株主に対する利益還元も今後の経営の重要課題であると認識しております。

 今後の配当政策の基本方針としましては、業績、配当性向及び当社を取り巻く事業環境を総合的に勘案し、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。

 当社が剰余金の配当を行う場合、中間配当及び期末配当の年2回を基本方針と考えております。配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当については取締役会であります。なお、当社は、「取締役会の決議により、毎年8月31日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。

 当事業年度の配当につきましては、成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先していることから配当を行わない予定であります。