2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,419名(単体) 5,902名(連結)
  • 平均年齢
    41.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.1年(単体)
  • 平均年収
    7,364,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

モビリティ&イメージング事業領域

3,388

[340]

ファインケミカルズ事業領域

1,317

[128]

ライフサイエンス事業領域

953

[187]

全社(共通)

244

[43]

合計

5,902

[698]

 

(注)1 従業員数は、当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業に区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

2,419

[589]

41.0

15.1

7,364

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

モビリティ&イメージング事業領域

608

[298]

ファインケミカルズ事業領域

668

[92]

ライフサイエンス事業領域

901

[158]

全社(共通)

242

[41]

合計

2,419

[589]

 

(注)1 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2 臨時従業員には、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

3 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

4 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定の事業に区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、日本化薬労働組合(上部団体は日本化学エネルギー産業労働組合連合会)が組織(1,799名)されており、労使関係は良好に推移しております。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)
 (注1)

男性労働者の
育児休業
 取得率(%)
  (注2)

労働者の男女の
賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用
 労働者

パート・
 有期労働者

8.7

78.5

71.4

82.2

70.9

-

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)
 (注1)

男性労働者の
育児休業
 取得率(%)
  (注2)

労働者の男女の
賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用
 労働者

パート・
 有期労働者

㈱ポラテクノ

0.0

20.0

73.5

75.7

61.4

-

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナブル経営基本方針

私たち日本化薬グループは、企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、経営の透明性・公正性を確保し、事業活動を通じて持続可能な環境・社会の実現に貢献することで、全てのステークホルダーの信頼に応えるサステナブル経営を実践します。

 

(2) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは取締役会の直接監督のもと、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議を設置し、グループ全体でサステナビリティの取組を推進しております。サステナブル経営会議は、原則として週1回開催しており、企業・社会・環境のサステナビリティ全般に関わる事項の審議及び報告を受けております。審議事項はサステナブル経営会議の承認を経て、取締役会に審議・報告しております。コーポレート・ガバナンス体制の一環として、倫理委員会、危機管理委員会、環境・安全・品質経営推進委員会、研究経営委員会の4委員会を設置しております。各委員会は定例かつ必要に応じて開催し、サステナブル経営会議へ審議及び報告することにより、経営の透明性・公正性を確保しております。


 

(3) 重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

① 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応

当社グループは化学製品を創出する企業として気候変動を国際社会の重要な課題と認識し、地球環境への責任を積極的に果たしていくべきと考えております。2020年7月には温室効果ガス削減の中期環境目標を定め、サステナブル経営を一層推進する中期事業計画KV25の開始に合わせて、2022年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。

気候変動対応チームは、2050年のカーボンニュートラル達成を基本的な方針として、全社的な温室効果ガス削減の取組を進めております。計画の推進にあたっては、従来からの省エネルギー活動を深化させるとともに、新たに分散型電力を導入する環境投資や、エネルギー転換のための技術的調査などを、計画的かつ着実に実施する必要があります。また、生産部門だけではなく、事業部門はもとより調達や情報開示に係る間接部門を含めて、全社一丸となって取組むことが重要と考えております。

当社グループは気候変動対応の活動を通じて、持続可能な社会実現と将来の事業機会創出の双方を追求することにより、更なる企業価値の向上を目指しながら、グローバルな環境問題の解決に貢献してまいります。

 

<ガバナンス>

当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、将来の気候変動対応を含む事業計画等の審議及び活動状況の総括・評価を行っております。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会の監視・監督を受ける体制としております。また、気候変動対策の推進を統括する環境・安全・品質経営推進委員会(委員長:テクノロジー統括管掌役員)を組織し、グループ横断的な視点から、気候変動に関する課題についてより深めた議論を行っております。

<戦略>

当社グループでは、複数の事業をグローバルに展開しており、事業分野ごとに様々なリスクと機会を有しております。気候変動がもたらす各事業への影響を特定するため、TCFD提言に沿ってグループ全体の気候関連のリスクを評価し、さらに事業分野ごとの機会を検討しました。気候関連のリスクと機会を特定するにあたっては、リスクが出現する時期を以下のように定義しております。

 

期間

採用した理由

短期

2025年度まで

2022年度よりスタートした中期事業計画 KAYAKU Vision 2025KV25)の期間を設定

中期

2030年度まで

日本化薬グループの中期環境目標で定める2030年度目標に合わせて設定

長期

2050年度まで

NDC(国が決定する貢献)目標年に合わせて設定

 

 

気候関連の事業リスクについては、2℃シナリオと4℃シナリオの二つのシナリオに関して、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による代表的濃度経路に関する将来シナリオ(RCP2.6,8.5シナリオ)、並びにIEA(国際エネルギー機関)によるSDS(持続可能な発展シナリオ)及びSTEPS(公表政策シナリオ)に基づき特定しました。

 

2℃シナリオにおける脱炭素経済への移行のリスク

カテゴリー

主なリスク

リスク
出現時期

財務影響

主な対策

政策及び
法規制

排出規制強化の影響による操業コスト増大

短期~長期

各拠点への太陽光発電、高効率コジェネ発電などの分散化電源の導入

MFCAの活用によるマテリアルロスの削減や徹底した省エネ活動

電力及びLNG(液化天然ガス)等の価格上昇

短期~長期

排出規制強化の影響による原料価格上昇

短期~長期

エンゲージメントを通じたサプライヤーの排出削減推進

市場・評判

環境情報開示及びLCA(ライフサイクルアセスメント)算定等のコスト増加

中期~長期

各拠点からの排出量集計方法の合理化やLCA算定のシステム化

 

 

4℃シナリオにおける物理的影響リスク

カテゴリー

主なリスク

リスク
出現時期

財務影響

主な対策

急性的・慢性的な物理的リスク

台風、大雨、高潮等による洪水被害によるコスト増加

短期~長期

工場を新設する際には、洪水被害を想定し、立地条件や設備の構造、配置を考慮

水不足による操業への影響

中期~長期

生産に使用する水の節水対策の強化や、水のリユース、リサイクルの検討

気温上昇による労働生産性の低下

中期~長期

空調の強化などによる労働環境改善や、高温工程の自動化の推進

 

 

<リスク管理>

当社グループは、気候変動関連のサステナビリティ重要課題として「エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減」を特定しております。取締役会、サステナブル経営会議、環境・安全・品質経営推進委員会で構成されるガバナンス体制のもと、気候変動対応チームが中心となって、気候変動リスクの特定・評価を行うとともに、省エネや環境投資を積極的に推進するなど、具体的な計画を実行しております。

 

<指標及び目標>

当社グループでは、2020年度に新たな中期環境目標として2019年度比で2030年度に温室効果ガスを32.5%削減する目標を掲げ、順調に削減を推進してまいりました。一方、世界的に脱炭素社会実現への取組みが加速する中、日本でも温暖化防止、脱炭素化への取組みの加速が求められるようになっています。以上のような状況を鑑み、当社グループでは、気候変動のリスクに対する指標を、2050年度カーボンニュートラルを最終目標とした新たな目標の見直しを行い、2030年度にグループの温室効果ガス排出量(Scope1及び2)の2019年度比46%削減(1.5℃目標)をKPI(長期環境目標)といたしました。この達成のためにまず、KV25中は毎年対2019年度4.2%の排出削減率を目指します。2030年以降、更なる削減を推進するために、サプライチェーン全体で削減を目指すための検討や、水素やアンモニアといったグリーンエネルギーへの転換に向けた事前調査などを行動計画に加えて、2050年のScope1および2のカーボンニュートラルを目指します。

 

項目

目標(2019年対比)

2023年度
(t-CO2)※

Scope1及びScope2

2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減し、排出量70,598t-CO2以下とする

103,076

 

 

 

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

※2023年度は第三者検証中であり、速報値となります。確定値は第三者検証後に当社ホームページ(https://www.nipponkayaku.co.jp/のサステナビリティサイトにて公開されます。

 

② 人的資本経営の取組

日本化薬は中長期的な企業価値の向上及び持続的な成長に向けて、中期事業計画 KAYAKU Vision 2025(KV25)を掲げ、「ありたい姿」の実現を目指し取組んでいます。その「ありたい姿」実現のためには経営戦略と連動した人材戦略により人的資本の拡充を進めていくことが重要課題であると考えます。強化すべき人的資本として「自ら主体的に行動できる自律型人材」、「失敗を恐れず果敢にチャレンジできる人材」、「世界で活躍できるグローバル人材」の確保を重視しその育成への取組を進めています。

 

中期事業計画 KAYAKU Vision 2025(KV25)での全社重点取組の1つとして展開するM-CFT 働き方改革において、「活き活きとした強い会社いい会社」を目指し、従業員一人ひとりが活力をもって仕事ができる環境を作るために各種施策を実践し人的資本の拡充に努めていきます。

また、2023年度に策定した「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」に基づき、多様性や心理的安全性が確保された生産的で柔軟な組織風土を醸成し、競争力の源泉であるイノベーションを創出する“人”の育成に努め、当社グループの人材戦略を構築し、経営基盤強化を支えていきます。

 

<ガバナンス>

当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、人的資本経営の取組等の審議及び活動状況の総括・評価を行っています。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会による監視・監督を受ける体制としております。

 

<戦略>

当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

人的育成方針

企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、サステナブル経営の実践を通じて、環境・社会的価値および経済的価値を創造し、持続可能な環境・社会の実現と企業価値の向上を目指しています。

当社は、KAYAKU spiritを実現するために以下に掲げる3点を定め取組んでいます。

・創造性・専門性を高め、自ら主体的に行動できる自律型人材の育成

・失敗を恐れず、環境変化に対し果敢にチャレンジできる人材の育成

・グローバルな視点を持って活躍できる人材の育成

人材育成方針を実現するために、当社は階層別集合教育や選抜教育、e-ラーニングなど様々な研修プログラムを用意し、人材の育成強化を推進しています。

 

 

社内環境整備方針

当社は、従業員が健康で快適に働ける労働環境を整備し、生産性向上や従業員満足度向上を目指しています。従業員がKAYAKU spiritに共感し、経営陣と相互に信頼し合いながら、やりがいや熱意を持ち活き活きと働くことができる職場風土を醸成し、従業員エンゲージメントを高めることを重視しています。

人事制度としては、年齢や性別、キャリア、学歴、国籍等にこだわらない職務配置と処遇を可能にする「ポジションクラス(職務等級)制度」や、管理職への登用において自発的にチャレンジできる制度を設け、役割と責任に基軸をおいたシステムを導入しています。

人材育成においても自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通じて、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、個人の希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援していきます。

 

(注) 人材育成方針及び社内環境整備方針は提出会社となります。

当社では従業員のワーク・ライフ・バランスを推進し、柔軟な勤務時間や在宅勤務制度の導入、年次有休暇制度の取得促進等、仕事とプライベートのバランスを整えて従業員の充実した生活を支援しております。

昨年度よりエンゲージメントサーベイを行い、浮き彫りとなった課題や問題点に対し事業場毎に対策を講じより良い職場づくりに向けた改善活動を行っています。今後も定期的に従業員エンゲージメントを調査し、従業員活力最大化に向けて取組んでいきます。

 

上記、人材育成方針及び社内環境整備方針についての取組は以下のとおりです。

[取組1:キャリアの自律支援]

自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通じて、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、キャリアの自律と自ら学ぶ能力開発を重視し、個人の希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援していきます。

従業員自らが目指すキャリアを考え、そのために必要な能力を獲得していくことは重要です。人材育成方針を実現するために、各種研修プログラムにより専門スキルの習得やリーダーシップ能力の向上に至るまで人材の育成強化を推進しております。リーダーシップやマネジメントトレーニングを充実させることで優れたリーダーシップが組織内に育成されます。

 

[取組2:チャレンジできる人材の育成]

多彩なチャレンジによる従業員一人ひとりの成長を支援しております。従業員の多様なチャレンジを認め、その成長を支援し、個人の能力を最大限に活かすことで組織の活力につなげていきます。

キャリアプランニングのサポート、社内公募、異動希望シートを活用した人事異動やプロジェクト参加の機会の提供などを通して、個々の従業員のニーズや目標に合わせた開発支援を柔軟に行っています。

年齢や性別、キャリア、学歴等にこだわらない職務配置と処遇を可能にする人事制度として「ポジションクラス制度(職務等級制度)」を導入しております。年功序列などによって単純に職位が決まるのではなく、能力に応じた担当業務に基づき責任を明確化し、人事評価の根拠とする制度です。業績評価制度では組織のミッションを個人の目標に落とし込んだ通常の評価のほかに、自身で目標を設定するチャレンジ評価や、業務遂行の過程を評価するプロセス評価があり、従業員一人ひとりが個性を磨きながら知識と能力を伸ばす仕組みづくりを導入しております。

また、管理職への昇格時には、自ら設定した挑戦的なテーマに対し計画的に取組み、当社グループの管理職として相応しい創造性を発揮し成果を出すことができたかが審査されます。

 

[取組3:グローバル人材の活躍推進]

日本化薬グループは日本を含め海外12ヵ国・地域に拠点を持ち、国内従業員よりも海外従業員が多数となっています。このような環境の中で素早く的確に企業としての活動を進めるために、国内外という意識を取り払いグローバルな視点を持ち、世界中どの場所でも活躍できる人材の育成が重要と考えております。

M-CFT 働き方改革において新たにグローバル人材育成プログラムを策定し、活躍する人材の質・量の充実を目指しております。若手社員、海外勤務経験者及び日本化薬経営スクール(NBA:Nippon Kayaku Business Academy)受講者等から海外志向性の強い人材をリストアップし、英会話スキルのボトムアップや、業務別実務英語の研修などによってグローバル業務推進力を強化しております。また海外駐在員・出向者向けに、赴任前教育や異文化、商習慣についての教育などのサポート体制を拡充しました。

OJTや拠点ローテーション、複数の海外赴任を組み合わせるなど効果的な教育を立案するとともに、グローバル人材の新卒採用も検討していきます。さらに、海外グループ会社の現地採用者の中からもグローバル人材を育成するために、当社グループの経営方針の浸透と理解を進め、サーベイ等でキャリア志向を調査・分析しなら必要な育成をサポートしていく予定です。KV25の重点課題として、グローバル人材の活躍に向けた採用・育成体制の確立に注力していきます。

 


 

[取組4:適切な人材配置 タレントマネジメントシステムの運用]

人材情報を見える化し、タイムリーで的確な人員配置を可能にすることを目的として、タレントマネジメントシステムを導入しました。2022年9月から運用を開始し、人材に関する必要な情報を簡単に素早く把握できる特徴を活かして適宜人事関連活動への運用を拡げています。2024年度からはシステム上で業績評価を開始します。メリットとして、システム上で業績評価を完結でき、業績評価の結果がタレントマネジメントシステム上に蓄積され、過去のデータを容易に確認することができます。また、従業員の意識調査を行う手法の1つであるパルスサーベイによる従業員満足度・健康度の可視化などもシステム上で完結できるようになります。ペーパーレスですので、環境への負荷の軽減や収納スペースの節約にも貢献します。

さらに、タレントマネジメントシステムの人事情報を一元管理することで、「働きやすく働きがいのある職場風土の醸成やグローバル人材の育成」とのスムーズな連携ができるようになると考えています。

 

[取組5:次世代の経営幹部候補の育成 日本化薬経営スクールの実施]

次世代経営幹部の育成を目的とする日本化薬経営スクール(NBA)を実施しております。次世代の幹部候補を育成するプログラムとして第7代社長中村輝夫の発案で始まり、2001年を第1回として2023年度は第13回を実施しました。経営企画部及び人事部を事務局として、海外グループ会社を含めた全ての部門から受講者を選抜し、月1回の集合研修を軸として約1年間かけて実施します。ワークショップを通じて、経営戦略の策定や、社会課題から将来のビジネスをイメージするなど必要なスキルを身につけながら、KAYAKU spiritを礎とした経営者マインドを醸成します。第14回目の開催となる2024年度は、KV25後の中長期的な事業戦略立案という意欲的なワークショップを盛り込むほか、一人ひとりの経歴に合わせて習得するスキルをカスタマイズするなど、より効果的な学習方法を導入しております。これまで受講者から多くの経営幹部を輩出しており、経営に関わる人材の育成に有効な教育として継続していく予定です。

 

[取組6:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進]

多様な人材、多様な働き方が受け入れられ、従業員が活き活きと働き、それぞれの能力を発揮し、活躍できる組織風土や働く環境づくりに取組んでいます。性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がい、民族、肌の色、文化、思想、信条、政治的見解、性的指向などの多様性を認め、また育児期、介護期など、多様な属性を持った方たちをダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの視点で活躍を推進しています。意思決定の場に多様な視点が入るよう、異なる背景を持った人材の活用を推進していきます。

ダイバーシティ推進のKPIとなる女性管理職比率は、2024年度目標10.0%以上に対し2023年度は8.7%になりました。今後も女性活躍に向けた異業種交流・研修等の実施や継続的な勤務制度見直しによって、女性の管理職へのチャレンジ啓蒙を進めるとともに女性が活躍し働きやすい環境を整備していきます。また、男性の育児休業取得率は継続的な取得向上に向けた働きかけの結果、2023年度は78.5%に到達しました。

 

 


 


 

 

[取組7:柔軟な働き方の実現]

2020年の新型コロナ感染症拡大を契機として在宅勤務制度の導入や時差勤務制度の適用範囲拡大が実施され、働く時間だけでなく働く場所や環境も多様となりました。業務の効果としては、リモートワークの導入により、地理的な制約がなくなり、会議や商談等も目的に応じて開催することが可能となりました。従来の定型的な勤務形態にとらわれず、個々人のニーズやライフスタイルに合わせてより柔軟に働くことで、生産性の向上につながりました。

 

[取組8:ワーク・ライフ・バランスの充実]

ワーク・ライフ・バランス充実のKPIとしての有給休暇取得率は、目標70%以上のところ2023年度は72.3%となりました。一方で管理職及び男性の有給休暇取得率が低いことから、5日以上の有給休暇取得プランを個人毎に作成し職場内で共有するなど管理職、男性の取得率向上を目指します。また、社内報やイントラネット等を活用し定期的に取得促進を呼びかけるなど、2024年度は取得しやすい風土・環境づくりによって従業員の生産性・モチベーションの向上や、優秀な人材の獲得に結び付くように努めます。

 


 

取組9;心理的安全性の向上

日本化薬グループは心理的安全性の高い企業風土の醸成が重要と考えています。KAYAKU spiritを体現する健全な企業であり続けるためには、良好なコミュニケーションを実践することが重要です。トップダウンという一方通行のアクションだけでなく、現場の声をよく聞き、双方向の密接なコミュニケーションを実現することによって、お互いの考えをありのままに発言し議論できる健全な職場こそが、心理的安全性を確保し、組織の生産性を高められると考えています。

コンプライアンス活動の継続によって、パワーハラスメントやその他のハラスメントは減少傾向にありますが、その撲滅は役員・従業員に共通する関心の高い課題です。内部統制推進部と人事部が中心となりセミナーや研修をとおして心理的安全性が確保された安心して働くことができる職場風土の醸成に取組んでいきます。

 

[取組10:生産性を高める企業風土の醸成 A3活動(KAIZEN)]

A3活動(KAIZEN)は「いつも(Always)3%の原価低減を意識しよう」の意が活動名称の由来です。全グループの従業員が日常的かつ能動的に、業務効率化や生産性向上を通じて、「常にムリ・ムダ・ムラを省き原価低減を意識する価値観の定着」を目的に意識改革に取組んでいます。各事業場や工場・研究所で活動を推進するメンバーと、全社横断的に取り組むコアメンバーが一体となって推進し、情報発信やキャンペーン、情報交換会の開催など多角的な活動によって考え方・習慣の浸透を図っています。

 

●第63回A3活動(KAIZEN)発表大会

2023年11月に「第62回 A3活動(KAIZEN)発表大会」を東京の会場で開催し、国内外のグループ会社から会場・オンライン参加を含め476名が参加しました。海外グループ会社6件、国内事業場15件の合計21件のさまざまなA3活動事例が発表および活発な質疑・応答によって共有され、それぞれの活動のヒントを得ることができました。今後もさまざまなA3活動を通じて「A3マインドの浸透」に取組み、一人ひとりがKAIZEN意識を主体的に高めていくことで、強い部門、強い会社となる企業風土を醸成していきます。

 

 

<リスク管理>

人材の流動化が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、離職により組織力が低下することが最大のリスクと考えております。当社グループの活動の主役は“人”であるとの考えのもと、サステナビリティ重要課題として従業員一人ひとりの人権を尊重し、安心して働ける職場の中で仕事を通して成長することができる会社を目指して、働き方改革を推進することでリスク低減に努めています。

また、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進により、異なるバックグラウンドや視点を持つ人材を積極的に活用し、多様性を尊重し、包括的な職場環境を整備し、人材の意欲や生産性を向上させることやテクノロジーを積極的に活用し、人材データの分析や予測、効果的な人材配置に取組むことでリスクの軽減を図っています。

 

<指標及び目標>

前述の<戦略>において記載した当社の人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標の管理と具体的な取組は当社では行われているものの、当社グループ全体としての記載は困難であり、指標に関する目標及び実績は提出会社のものを記載しております。

当社において、指導的立場にある女性人材の割合を示す「女性管理職比率」をダイバーシティ推進のKPIとして追跡しております。少子化が進む日本においては、女性活躍の場を増やすことが社会的な課題です。女性が働きやすい環境を整備し、女性管理職を増やすことを目指し女性管理職比率は2024年度の目標を10.0%と定め、2023年度実績は8.7%でした。

男女共同参画のKPIとして、男性の育児休業取得率を追跡しております。男性の育児休業取得率は女性に比べて低いのが実情ですが、男性の育児休業取得を促進することが従業員の働き方やキャリア人材の獲得等へ良い効果をもたらすと考えられますので積極的に促進しております。プラチナくるみんの特例認定基準である50%を目標に設定しましたが、男性の育児休業取得を推進するための社内整備を更に進めた結果、2023年度実績は目標を超える78.5%となっています。

また、ワーク・ライフ・バランスの充実のKPIとして、有給休暇取得率を追跡しており2023年度は目標としている70%を超え72.3%の取得率となっています。従業員の生産性及びモチベーションの向上、また優秀な人材の獲得に向け更なる有給休暇取得率の向上を目指していきます。

今年度よりエンゲージメントサーベイを開始しました。2024年度のエンゲージメントスコアの目標値を全国平均のスコア50と定め取組を進めています。

女性管理職比率、男性の育児休業取得率、有給休暇取得率及びエンゲージメントスコアの目標は以下のとおりです。

 

 

指標

目標

2023年度

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進

女性管理職比率

2025年3月までに10%以上

8.7

参考)グループ全体17.3

男女共同参画

男性の育児休業取得率

2025年3月までに50%以上

78.5

ワーク・ライフ・バランスの充実

有給休暇取得率

2026年3月までに70%以上

72.8

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイでのエンゲージメントスコア

2024年度実施スコア50以上

47.1

 

 

「男女間賃金格差」の実績につきましては、第一部「企業情報」第1「企業の概況」の5「従業員の状況」に記載しております。