2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,370 100.0 -290 - -12.3

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、ネットワークセキュリティ関連商品の販売及び当社セキュリティノウハウを生かした商品組合せ型サービスまでを総合的に提供するセキュリティ・ソリューション・ベンダーです。セキュリティ関連商品の輸入販売及び関連サービス事業を主たる業務としております。

 

 [事業系統図]

事業の系統図は次のとおりであります。

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和など社会経済活動の正常化が進む一方、円安の進行、物価の上昇などにより依然として先行き不透明な状況が続いております。

 サイバーセキュリティ業界においては、テレワークなど働き方の変化やDX推進によるクラウドシフトが進展するなど、サイバーリスクの及ぶ範囲は大幅に拡大しており、実際の被害報告も増加し続けています。特にランサムウェアによる被害公表数は拡大を続けており、2023年の被害公表件数は過去最大となりました。直近1年間の間においても、都市港ターミナルにおける感染事件ではコンテナターミナルが機能停止となる事態となり物流にも大きな影響が及んだことが報道されました。そのような状況の中、2024年2月に経済安全保障上、重要な情報にアクセスできる人を、国が信頼性を確認した人に限定するセキュリティークリアランス制度の創設に向けた法案が閣議決定されました。経済界からは、日本企業の国際的なビジネス機会拡大に期待する声がある一方、対象となる情報の範囲の明確化や運用面についての課題を指摘する声もあります。今後有識者会議で更なる議論が進められることとなりますが、このようにサイバーセキュリティ対策は国民生活や社会経済活動にとって重要な課題となっております。

 当事業年度における主な活動内容としては、「アズジェント中長期成長戦略」の施策として、最新セキュリティ商品の投入やスマートセキュリティサービスの提供に向けたサービスメニューの拡充を加速させるとともに、基盤となるSOC拡張のためのインフラ増強や人材採用などを推進いたしました。具体的には、「アズジェント中長期成長戦略」に沿った施策の第一弾として、攻撃者と同じ視点でIT資産の状態をチェックできる「ASM(Attack Surface Management)チェックアップ無償分析サービス」の提供を2024年1月より開始いたしました。クラウド利用の拡大、リモートワークの増加に伴い、組織のIT資産が増加すると同時にサイバー攻撃の起点も増加しており、攻撃対策としてIT資産を適切に管理し、リスクの洗い出しを行うことが必要です。ASMチェックアップ無償サービスは、情報セキュリティ担当者が不在の組織においても自組織の問題点を理解することが可能となり、リスクへの対策を適切に講じることができるサービスです。当社は、これを機に顧客接点の拡大を図り、今後新たに投入する商品も含めた販路拡大につなげてまいります。また、スマートセキュリティサービスの提供に向け、需要が高まるクラウドセキュリティ分野での運用支援を統合的に実施できるようメニュー拡充を図る第一弾として、クラウドコンテナ環境向け統合セキュリティソリューションSysdig Secure(シスディグ・セキュア 開発元:Sysdig, Inc.)の監視サービス 「セキュリティ・プラス マネージドセキュリティサービス for Sysdig SaaS」(以下、MSS for Sysdig SaaS)の提供開始に向けた準備を進めて参りました。DXの加速に伴いコンテナの利用は増加していますが、コンテナに関する知識に加え最新のセキュリティ知識が求められるため、担当者への負荷が大きくなるといった問題もあり、コンテナを導入する際の課題となっていました。「MSS for Sysdig SaaS」を利用することにより、エンドユーザーはアズジェントの持つ「セキュリティ専門家の眼」によってSysdigのコンテナセキュリティの能力を享受した高いレベルでのセキュリティ対策を実現するとともに、安心して本来の業務に集中することができます。

 この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

a.財政状態

(資産)

 当事業年度末における流動資産は1,357百万円となり、前事業年度末に比べ336百万円減少しました。これは主に現金及び預金が85百万円、売掛金が193百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は302百万円となり、前事業年度末に比べ188百万円減少しました。これは主に投資有価証券が143百万円減少したことなどによるものであります。

 この結果、総資産は1,659百万円となり、前事業年度末に比べ524百万円減少しました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は751百万円となり、前事業年度末に比べ72百万円減少しました。これは主に前受金が90百万円減少したことなどによるものであります。固定負債は130百万円となり、前事業年度末に比べ9百万円増加しました。

 この結果、負債合計は882百万円となり、前事業年度末に比べ62百万円減少しました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は777百万円となり、前事業年度末に比べ461百万円減少しました。これは主に当期純損失448百万円の計上があったことなどによるものであります。

 この結果、自己資本比率は46.8%となり、前事業年度末比で9.9ポイント減少しました。

 

b.経営成績

 売上については、クラウド化の急速な進展に伴うセキュリティニーズの変化によるエンドユーザー側における対策検討の長期化と、既存導入製品のリプレイス需要が端境期に入ったことによる一時的な案件数減少による影響が年間を通して続いたほか、期末に見込んでいた複数の大型案件が来期へずれ込んだことで、売上高は2,369百万円(前年同期比16.3%減)となりました。前述の通り当事業年度からずれ込んだ大型案件の受注確度が高くなっており、今後に期待が持てる状況となっております。

 一方、「アズジェント中長期成長戦略」に沿って人材採用やSOCも含めたサービス基盤増強などの投資を推進していることによりコストが先行して発生しております。その結果、販売費及び一般管理費1,255百万円(前年同期は1,128百万円)となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部について、会計基準に則り保守的に判定を行った結果、減損処理により122百万円を特別損失として計上いたしました。尚、前述の投資有価証券はコロナ禍による影響もあり事業成長が計画より遅延したための減損処理となっており、今後再評価した際の評価額はそのまま含み益となります。更には、これとは別に当社が出資しているVC型インキュベータでは含み益があり、今後前述の特別損失額を上回る利益を計上できる状況です。これらの結果、各段階利益につきましては、営業損失290百万円(前年同期は116百万円の営業損失)、経常損失290百万円(前年同期は123百万円の経常損失)、当期純損失448百万円(前年同期は125百万円の当期純損失)となりました。現状は、新商品の投入に向けた準備やサービス基盤拡張のためのインフラ増強によりコストが先行しているものの、収益力回復に向けた構造変革は着実に進捗を続けています。市場ニーズを先取りしたスマートサービスを早期に展開していくことで業績の回復を図ります。

 なお、当社では事業セグメントをネットワークセキュリティ事業のみとしております

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ85百万円減少し、777百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は4百万円(前事業年度は59百万円の使用)となりました。これは主に、減価償却費100百万円の計上、投資有価証券評価損の計上122百万円と売上債権の減少193百万円があった一方、税引前当期純損失413百万円の計上、前受金の減少90百万円があったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は81百万円(前事業年度は68百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出50百万円、無形固定資産の取得による支出30百万円があったことなどによるものです。(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

64.2

68.2

53.6

56.7

46.8

時価ベースの

自己資本比率(%)

167.5

193.5

122.3

108.2

122.3

キャッシュ・フロー対

有利子負債比率(年)

1.0

8.3

1.6

インタレスト・

カバレッジ・レシオ

(倍)

133.7

17.2

85.2

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

  2.キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

  3.有利子負債は貸借対照表に記載されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象として

    おります。

  4.2023年3月期、2024年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)及びインタレスト・カバ

    レッジ・レシオ(倍)につきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりませ

    ん。

③生産、受注及び販売の実績

a.商品仕入実績

 当事業年度における商品仕入実績は次のとおりであります。

商 品 区 分

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

パッケージソフトウェア商品

(千円)

セキュリティ商品及び

運用関連商品

836,402

70.3

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績は次のとおりであります。

商 品 区 分

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

パッケージソフトウェア商品

セキュリティ商品及び

運用管理商品

2,294,979

80.3

371,699

83.2

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

商 品 区 分

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比

(%)

パッケージソフトウェア商品

(千円)

セキュリティ商品及び

運用管理商品

2,369,742

83.6

 (注)最近2事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社は、事業活動に必要な流動性の維持と資金を確保することと、運転資金の効率的な管理による資本効率の最適化を目指しております。また、営業活動によるキャッシュ・フローを主な源泉と考え、さらに金融・資本市場からの資金調達、銀行との当座貸越契約等を必要に応じて行い、十分な流動性の確保と財務体質の向上を図っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。

 当社の財務諸表の作成においては、損益又は資産の状況に影響を与える見積り、判断を必要としております。過去の実績やその時点で入手可能な情報を基に、合理的と考えられるさまざまな要因を考慮した上で、継続的に見積り、判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。