2024年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    131名(単体) 67,667名(連結)
  • 平均年齢
    44.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.1年(単体)
  • 平均年収
    15,075,028円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

(2024年12月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

23,588

Americas

13,988

EMEA

14,712

APAC

11,903

全社

3,476

合計

67,667

 

 

(注) 従業員数は就業人員数であります。

 

(2) 提出会社の状況

(2024年12月31日現在)

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

131

44.9

14.1

15,075,028

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

全社

131

 

 

(注) 1従業員数は就業人員数(委任契約を締結しているものを除く)であります。

2.平均勤続年数は、当社子会社からの出向者については当該子会社での勤続年数を通算しております。

平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社に労働組合はありませんが、一部の連結子会社には、電通労働組合など各社労働組合が組織されており、組合員数は、電通労働組合及びその他の組合を合計した当社グループの組合合計で5,316人であります。

なお、労使関係は円滑で特記事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の

育児休業等取得率(%)

(注)1

労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1、2

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

17.4

無期雇用社員:100

76.1

76.1

 

 

(注) 1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

.「―」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において選択公表をしていない場合、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務がない場合、「労働者の男女の賃金の差異」について男女の両方若しくはいずれかの該当者がいない場合、又は「男性労働者の育児休業取得率」について分母がゼロとなる場合を示しております。

 

② 連結子会社

 当社の主要な国内連結子会社各社の、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく管理職に占める女性労働者の割合、育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異は以下のとおりであります。また、下記以外の連結子会社につきましては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報」に記載しております。

名称

管理職に占める

女性労働者の

割合(%) (注)1

男性労働者の

育児休業等取得率(%)

労働者の男女の

賃金の差異(%) (注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

㈱電通

10.0

103

(注)3

68.2

76.4

58.4

㈱電通デジタル

22.5

正社員:71.4

(注)1

78.1

77.8

79.1

㈱電通総研

6.0

64.2

(注)2

74.8

76.0

40.8

92.5

(注)3

㈱電通コーポレートワン

33.9

正社員:78.6

(注)1

55.4

64.6

85.2

 

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

(1) 2030サステナビリティ戦略

当社グループにとってサステナビリティとは、パーパスである「an invitation to the never before. 私たちは、多様な視点を持つ人々とつながりながら、かつてないアイデアやソリューションを生み出し、社会や企業の持続的な発展を実現するために存在しています。」を前提とし、経営方針「B2B2S(Business to Business to Society)」のもと、顧客企業と共に社会課題を解決し、社会全体の持続的成長を実現していく経営の中核であります。自社の短期的利益だけでなく、社会の中長期の持続性を重視するという価値観をステークホルダーと共有し、ともに実現していくことを目指しております。

 

当グループのサステナビリティ戦略は、困難な社会課題を解決する未来のアイデアを生み出していくことです。
2024年、新たにアップデートした「2030サステナビリティ戦略」では、「PEOPLE:私たち一人ひとりがもつ力の最大化」「PLANET:地球環境と社会の持続可能性」「INNOVATION:新しいアイデアやソリューションの創造」の3つの重点領域にわたって、①企業倫理とコンプライアンス / データセキュリティ、②DEI、③人的資本の開発、④気候変動へのアクション、⑤イノベーションに導くリーダーシップの5つの取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。

これらの重要課題は、パーパスの実現とともに、ステークホルダーに対する企業価値を最大化するため、「経営視点での重要性」と「ステークホルダー視点での重要性」の2軸の分析によって策定いたしました。策定の過程では、当社グループの現状と将来を見据えた経営戦略やビジネスモデル、グループリスク委員会が管理するグループ経営上のリスク項目さらには取締役会やサステナビリティ関連会議資料等を分析対象としております。

 

また、2030サステナビリティ戦略の進捗と、5つの重要課題への取り組みの状況は、年4回開催されるグループサステナビリティ委員会を通じて管理しております。全てのアクションプランとKPIが達成されるよう、委員会メンバーと担当部門は相互に連携しております。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

2030サステナビリティ戦略 


(注)1.「2030サステナビリティ戦略」の詳細についてはHP(https://www.group.dentsu.com/jp/philosophy/sustainability-strategy-2030.html)をご覧ください。

2.マテリアリティ策定過程の詳細については、HP(https://www.group.dentsu.com/jp/philosophy/materiality.htmlをご覧ください。

 

① ガバナンス

サステナビリティに関する当社グループのガバナンス体制は以下の通りであります。


 

・取締役会(BOD) 

当社グループのサステナビリティを巡る取組みについての基本的方針を定め、グループ・マネジメント・ボード(GMB)が決議・承認したサステナビリティに関連する経営上の重要な事項に関して報告を受け、監督する責任を担います。

 

 

・グループ・マネジメント・ボード(GMB)

当社グループのサステナビリティに関してグループサステナビリティ委員会(GSC)が策定する戦略、KPI、アクティベーション等について、GSCからの報告を審議し、決議・承認するとともに、その事案を取締役会に報告する責任を担い、GSCの活動をモニタリングします。

 

・グループサステナビリティ委員会(GSC)

当社はサステナビリティを経営の中核テーマの1つと位置づけており、グループ・マネジメント・ボードの直下にグループサステナビリティ委員会を設置しています。

当社グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーである北風祐子を議長とした同委員会は、当社グローバルCEO五十嵐博をはじめとする8名の多様な専門性と地域性を持つメンバーで構成されており、アジェンダに応じて各リージョンのCEOも参加します。

 

<2024年度 グループサステナビリティ委員会メンバー>

議長

北風祐子

グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサー

メンバー

五十嵐博

グローバル CEO

 

曽我有信

グローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサー

 

アリソン・ゾルナー

グローバル・ゼネラル・カウンセル

 

ジーン・リン

グローバル・プレジデント-グローバル・プラクティス

 

ジェレミー・ミラー

グローバル・チーフ・コミュニケーションズ・オフィサー

 

マヌス・ウィーラー

チーフ・ブランド & カルチャー・オフィサー

 

谷本美穂

グローバル CHRO

 

 

同委員会では、年4回の会議を通じて当社の重要な経営戦略の1つである「2030サステナビリティ戦略」の進捗や、2021年以降当社の役員報酬制度の構成要素となった温室効果ガス(GHG)排出量削減や女性リーダー比率などの指標の進捗を管理、評価しています。また、人権のテーマは常設議題として取り扱っています。

 

2024年度におけるグループサステナビリティ委員会のアジェンダは、以下の通りです。

・2030サステナビリティ戦略のアップデート、KPI/アクションプランの進捗確認

・電通グループの人権方針、人権デューディリジェンス、人権と責任あるメディア

・第三者評価機関による評価の現状分析と改善の取り組み

・EUの非財務開示規制であるCSRDへの対応

 

役員報酬との連動

2022年度より、当社グループの役員の年次賞与にサステナビリティ指標を採用しております。詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。

 

② リスク管理

当社グループにおけるサステナビリティに関連するリスクは、既存の経営戦略や事業等のリスクを反映して策定したマテリアリティによって識別され、年4回実施されるグループサステナビリティ委員会においてマテリアリティをベースとした「2030サステナビリティ戦略」の推進の進捗状況を評価、管理しております。

推進に当たっては、マテリアリティの項目別にグループサステナビリティ委員会のメンバーであるグループ・マネジメント・チームがその責任を負うとともに、グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーが全体統括を行います。

なお、同戦略に掲げた目標達成が計画通りに進捗しなかった場合等のリスクについては、グループリスク委員会で評価、管理しております。

 

 

③ 指標及び目標

2030サステナビリティ戦略のマテリアリティに定めたアクションプランとKPI、及び2024年度の進捗は以下の通りであります。

 

2030サステナビリティ戦略 アクションプランとKPI


 

2024年度の進捗

企業倫理とコンプライアンス /データセキュリティ:

・6つのテーマについての研修計画立案

・6つのテーマ全ての相談窓口を設置完了

・第三者評価の向上と認証獲得達成

 

DEI:

・女性リーダー比率32.5% 

・Check In(CI)サーベイの「Respect」スコア1ポイントダウン

 

人的資本の開発:

・GEMの後継者準備100%

・「People Discussion」実施時間:グループマネジメントレベルで約13時間

・Check In(CI)サーベイの[エンゲージメントスコア」 前年度と変化なし

 

気候変動へのアクション:

・Scope1+2 GHG排出量 △65.1%(2019年比)

・Scope3   GHG排出量 △28.2%(2019年比)

・再生可能エネルギー比率 79.5%

 

イノベーションに導くリーダーシップ:

・社会の明るい未来のための投資・研究開発 6件(前年比120%)

・社会のより持続可能な未来に向けた行動を促すソートリーダーシップコンテンツ(KPI見直し中)

・未来のためのパートナーシップやエコシステムのイノベーション 8件(前年比160%)

 

 

(2) 気候変動へのアクション

① 気候変動に関するガバナンス

気候変動は、「2030サステナビリティ戦略」におけるマテリアリティの1つであり、ガバナンスの体制はサステナビリティ全般と共通であります。

 

② 気候変動に対する戦略

 1-1 重大な影響を及ぼし得る気候関連のリスクと機会の特定プロセス

当社グループは、現在および将来予測される気候条件の下での異常気象がもたらす気候関連リスク(物理的リスク)と、低炭素経済への移行に伴う気候関連リスクと機会(移行リスクと機会)に対する事業への影響について、シナリオ分析を実施し、その結果を気候変動に対する戦略と目標に反映しています。

特定された物理的リスクにはそれぞれに、潜在的な損害および/またはそれに伴い事業損失を表す「リスクの影響評価」と、気候ハザード/事象の発生可能性を表す「可能性評価」を割り当て、移行リスクと機会については、TCFDが示している分類(現在の規制、新たな規制、技術、法律、市場、レピュテーション)に沿って特定し、潜在的な時間軸も検討しています。

さらに重大な影響を及ぼし得る気候関連のリスクと機会については、社内の重要な意思決定に対するインタビュー、対話型ワークショップ、ステークホルダーとのエンゲージメントを組み合わせて評価を実施し、さらにそれらに発生の可能性、重大性、財務的影響のスコアを割り当て、最も影響の大きい気候関連リスク・機会を判断しております。

当社グループの影響の区分は下記の表のとおりで、「低/中/高」は当社グループの事業に与えうる影響の度合いを示しております。シナリオ分析の定量的な分析のうち、任意の年に任意のリスクまたは機会が営業利益に与えうる影響については、該当するリスクまたは機会が顕在化した場合に生じる日本円(\)建て営業利益への影響を基礎とする「影響の区分」を割り当てております。

 

 <電通グループの影響区分> 

影響の区分

調整後営業利益へ影響(%)

電通グループが設けている

同等のグローバル区分

(財務関連の区分)

非常に高いリスク

5~10%、または10%以上

4(大)/5(極大)

高いリスク

2.5~5%

3(中)

低い/中程度のリスク

1~2.5%

2(小)

現状維持

1%未満

1(軽微)以下

小さな/中程度の機会

1~2.5%

2(小)の逆数

大きな機会

2.5~5%

3(中)の逆数

非常に大きな機会

5~10%、または10%以上

4(大)/5(極大)の逆数

 

 

 

 またシナリオ分析の実施に用いた時間軸と、物理的シナリオ、移行シナリオの詳細は以下の通りであります。

物理的シナリオ

移行シナリオ

高炭素排出

シナリオ

 

 

 

IPCC SSP5-8.5

追加的な気候政策がなく、2100年までにGHG排出量が3倍になると仮定した「現状維持」の軌道をたどる。今世紀末までに3.8℃以上気温が上昇する想定。

高炭素排出シナリオ

 

 

現行政策シナリオ(CP)/公表政策シナリオ(STEPS)

現在実施されている政策のみが保持される想定。今世紀末までに気温が3℃上昇し、大きな物理的気候リスクをもたらす。

低炭素排出

シナリオ

 

 

 

 

IPCC SSP1-2.6

パリ協定に基づく現行の約束に沿って、2100年までの気温上昇は2℃以内に抑えられる。今世紀の後半にはネットゼロ排出になる。

中程度炭素排出シナリオ

移行遅延シナリオ/表明公約シナリオ(APS)

2030年まで、世界の年間排出量は減少しないと想定。2030年以降には、新たな気候政策が実施されるものの、現在実施されている政策がベースになるため、そのレベルは国や地域によって大きく異なる。今紀末までの気温上昇は1.6℃と想定。

低炭素排出シナリオ

2050ネットゼロ排出/2050年までのネットゼロ排出シナリオ(NZE)

厳しい気候政策、イノベーション、2050年までのGHGネットゼロ排出達成により、今世紀末までの地球における気温上昇が1.5℃以内に抑えられる。

時間軸

基準年、2030年および2050年

時間軸

2030年、2040年および2050年

 

 

 

 1-2 気候関連のリスクと機会が電通グループにもたらす影響の概要

当社グループでは前述のプロセスに基づき、3つの物理的リスクと8つの移行リスク・機会を、事業に最も重要な関連性を持つものと判断しました。

すなわち、物理リスクについては、i)異常気象に関連する直接的な業務への影響リスク(オフィス操業への影響、従業員の健康被害など)、ⅱ)サプライチェーンの混乱リスク、ⅲ)地震と気候変動の複合影響による事業中断のリスク、の3点であります。当社グループの事業の特性上、その影響はいずれも限定的と見積もっております。

また、移行リスク/機会については、i)世界的な(脱炭素に向けた)経済変動による減収、ⅱ)規制と開示要請の強化による対応コストの上昇、ⅲ)低炭素商品やサービスを求める生活者行動/嗜好の変化、ⅳ)セクター・エクスポージャー(炭素強度の高いクライアントとの取引)、ⅴ)経済の脱炭素化に合わせた優秀な人材の維持・確保、ⅵ)脱炭素経済への移行による新たな市場へのアクセス、ⅶ)脱炭素経済への移行による新興セクターのクライアントとの取引、ⅷ)自社やクライアントへのサービス提供に資する新たな脱炭素テクノロジーの登場、を特定しております。

詳細については、「電通グループ TCFDレポート2024」(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/TCFDreport2024.pdf)をご覧ください。


 

 

③ 事業方針

2024年度は以下の事業方針を展開しました。前述の気候関連のリスクと機会の分析に基づき、当社グループでは最もインパクトが大きいと考えられる5つの領域に注力して気候変動に取組みます。

 ‐私たち自身のサステナビリティ・トランスフォーメーションを加速する

 ‐業界の変革を推進する

 ‐異業種間でパートナーシップを組む

 ‐社会の持続可能な選択を促す

 ‐社会の仕組みを変える提案をする

 

  2024年度の主な取り組みは、以下の通りであります。

・人の考え方や行動に変革をもたらす サステナビリティ推進支援プログラム 「SUSTAINABILITY TO IMPACT」の提供開始

2024年8月、電通グループの国内事業を担う dentsu Japanは、人の考え方や行動に変革をもたらす統合的なソリューションをとりまとめたサステナビリティ推進支援プログラム「SUSTAINABILITY TO IMPACT」の提供を開始しました。このプログラムは、dentsuが自社のサステナビリティ戦略で掲げる「困難な社会課題を解決する未来のアイデアを生み出していく」方法によって、人の考え方や行動に変革をもたらし、企業と社会の未来の可能性を創っていくことの象徴的なソリューションであります。

 ―サプライチェーン全体を診断し、戦略や施策を策定する「CHECK & PLAN」、

 ―施策や事業アイデアを伴走しながら実行し、変革を起こす「ACT & CHANGE」、

 ―アップデートされた情報をステークホルダーや世の中に伝える「REPORTING & DISCLOSURE」、

の3つのプロセスからなり、それらが循環することで人が動き、好循環を生み出し企業価値の向上につながっていくことをめざしております。具体的な対応テーマには「脱炭素」の他、「生物多様性」「サーキュラーエコノミー」などがあります。詳細は下記HP(https://www.japan.dentsu.com/jp/sustainability/)をご覧ください。


 

 

・マーケティング領域の脱炭素化イニシアティブ「Decarbonization Initiative for Marketing」

日本国内のマーケティングコミュニケーションに伴い排出されるGHGの削減を目的に、2023年6月に立ち上げたイニシアティブ「Decarbonization Initiative for Marketing」においては、2024年9月、一般社団法人日本広告業協会(JAAA)内に電通グループの主導で「脱炭素化研究会」を設立しました。一般社団法人日本イベント産業振興協会(JACE)、一般社団法人日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)等の関連業界団体との連携により、業界全体のGHG排出の可視化・削減の実装に向けた議論を進めてきます。

 

・次世代撮影スタジオ「FACTORY ANZEN STUDIO」におけるオンサイトPPA導入

株式会社電通クリエイティブピクチャーズは、2024年1月にオープンした持続可能性に配慮した撮影スタジオ「FACTORY ANZEN STUDIO」において、オンサイトPPAによる蓄電池併設型太陽光発電システムを導入し、2025年1月1日より稼働開始しました。本システムの導入により、年間約22.8tの温室効果ガスを削減することができます。同スタジオで使われる電気は、購入したエネルギーも含めて再生可能エネルギー100%となり、廃棄物も2025年度内にはリサイクル率90%を目指すなど、スタジオ全体で環境負荷の低減を進めております。

詳細はニュースリリース(https://www.dcrp.co.jp/news/2195/)をご覧ください。

 

④ 目標と実績

 気候変動に関する目標

当社グループは、2040年までにバリューチェーン上の温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロ達成を目標に掲げており、当社グループの科学的に基づく短・長期的なGHG排出削減目標値は、科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi, Science Based Targets initiative)の企業ネットゼロ基準に従ってSBTiに認定されております。

当社グループのGHG削減目標は次の通りであります。

 

 ●短期目標(~2030年)

当社グループは、2030年までにScope1とScope2のGHG絶対排出量を2019年ベースラインから46.2%削減します。また、グループ全体の購入した製品・サービス、出張、雇用者の通勤から発生するScope3のGHG絶対排出量を、同じ期間内に46.2%削減します。

 

 ●長期目標(~2040年) 

当社グループは、Scope 1とScope 2のGHG絶対排出量を、2019年ベースライン比で2040年までに90%削減します。さらに、Scope 3のGHG絶対排出量も同じ期間内に90%削減します。

2040年までにネットゼロを達成するために、当社グループはまず追加的な排出削減活動を実施しますが、残りの排出量(10%未満)は、信頼できる検証可能な GHG 削減スキームを通して削減します。

 

 ●再生可能エネルギー比率100%

当社グループは、2030年までに再生可能エネルギー比率を100%にすることを目標としています。2023年12月からは汐留ビルの使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替えるなど、順次取り組みを進めております。進捗の詳細については、HP(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/climate-action/)をご覧ください。

 

 

 2024年度のGHG排出量、及び再生可能エネルギーの導入実績は以下の通りであります。

GHG排出量(tCO2e)

 

 2030年
(連結目標値)

2019年

(基準値)

2024年実績

2024年

(対基準値)

日本

海外

合計

日本

海外

合計

合計

Scope1+2

 基準値に対して46.2%削減

17,828

18,189

36,017

7,476

5,108

12,584

△65.1%

Scope3

176,117

365,912

542,029

169,214

219,935

389,149

△28.2%

Scope

1+2+3

193,945

384,101

578,046

176,690

225,043

401,733

△30.5%

 

(注)1.マーケット基準は、Scope2について適用しています。

2.2024年実績に含まれるScope1、Scope2の各合計数値については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しております。第三者保証報告書はHP(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/third-party-assurance.pdfで開示しております

3.M&Aによる連結対象範囲の変更等に伴い、基準年(2019年)の数値の遡及修正を行いました。修正後の数値をベースにグループ全体を対象とした削減目標を制定し、科学的根拠に基づいた目標としてSBTi(Science Based Targets initiative)の認定を取得しました。


 

再生可能エネルギー使用量(kWh)

2030年
  (連結目標値)

2024年実績

100%

総電力使用量

  再生可能エネルギー

使用量

再生可能エネルギー比率

65,620,130

52,141,260

79.5%

 

(注)1.当社グループのサステナビリティ戦略とコミットメントにおける再生可能エネルギーとは、再生可能な資源から発電された電力を指します。この定義は、当社グループもメンバーである国際的なイニシアチブRE100に準拠しています。

2.再生可能エネルギー使用量に関するデータは、第三者保証対象外です。

 

(3) 人権の尊重

電通グループにとって人権の尊重は自社グループの存立基盤、倫理的かつ持続可能なビジネスの根幹をなす重要事項です。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権の擁護に努めてまいります。「電通グループ人権方針」(2018年制定。2024年改訂)策定しており、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的なフレームワークに則ることも明文化しております。詳細はHP(https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/common/pdf/human-rights-policy.pdf)に開示しております。

 

① 戦略

電通グループ全体のガバナンス体制と部門横断的な取組みを推進し、法令遵守とあらゆるステークホルダーからの要請への準備を開始しております。また、「2030サステナビリティ戦略」との整合も図ってまいります。

② ガバナンス

電通グループでの人権への取組みの統括はグローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサーが担っており、業務上の人権対応は専門部署の担当者が行っております(グループ全体をカバーするべく、日本及び海外の両方に配置して連携しております)。対応状況については、個別事案も含めて取締役会にも報告しております。

また、グループサステナビリティ委員会では各回必須で「人権」を議題として取り扱い、日本固有の課題についてはdentsu Japanのマネジメントで構成する「電通グループ人権委員会」で対応しております。

 

③ リスク管理

2024年にグループ全体を対象にした人権課題の特定(人権デューディリジェンス)を外部専門家を交えて実施。その結果以下の6項目を特定しております。

 (1) 業務における平等と無差別の原則

 (2) 思想、意見、宗教、信仰の自由、表現の自由、情報へのアクセスに基づいたビジネス

 (3)  労働上の権利とハラスメント

 (4)  業務上のプライバシー・個人情報の保護

 (5)  子どもの権利

 (6)  健康的で持続可能な環境への権利

④ 指標と目標

指標と目標は、以下の2項目となっております。

・ グループ全体での人権デューディリジェンスの実施を通じた課題の更なる明確化とそれらを反映した人権啓発活動の更新(人権方針、研修等)。

・ 人権に関する取組みの積極的な情報公開と外部ステークホルダーとの対話。

当社グループとしての人権の取組みは、HP(https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/governance/human-rights.html)でも公開しており、順次アップデートしております。

 

(4) 人的資本に関する方針と取り組み

① 基本方針

当社グループのビジョン<「人起点の変革」の最前線に立ち、社会にポジティブな動力を生み出す>には、「人」が創り出す可能性を信じ、そこから生まれる新たな力で社会に貢献していきたいという思いが込められております。この実現のためには、我々の最大の資産であるユニークで多様な人財の力を解き放ち、その力を掛け合わせていくことが重要と考えております。

こうした前提のもと、当社グループの人的資本のとらえ方の根幹にあるのは「人は誰でも『貢献したい。成長したい。』という気持ちを持っており、仕事を通じて自身の成長を実感することに喜びを感じる」という信念であります。こうした人の自律的な成長意欲を信じ、誰もがチャレンジし成長する機会が得られる環境を実現することで、人的資本、つまり「人」の可能性に投資し、そのケイパビリティを拡張していく経営を進めてまいります。

 

② 戦略

「人起点の変革」を推進し社会に貢献していくために、当社グループは従業員のユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、顧客の持続的成長を実現する「インテグレーテッド・グロース・ソリュ―ション(IGS)」に注力してまいります。このIGSによる成長をグローバル各地域で実現していくことを目指した体制として、2023年より、世界の4つの地域が一体となった経営体制を構築しております。更にグローバル共通の事業の枠組みとして「One dentsu オペレーティング・モデル」を導入することで、地域/事業領域ごとの協業を促し、より統合されたサービスが提供しやすい業務体制を整えつつあります。一方で、このビジネス変革を規律をもって遂行するために、ガバナンスと内部統制の再構築も経営戦略の要として位置付けました。体制整備とともに、インテグリティを重視した組織風土の醸成を鍵とし、意識行動改革に向けた取り組みを進めております。

これらの経営戦略、重要課題に応えていくためには、「人」の可能性をどのように拡張していくかが大きな焦点ですが、これには、大きく二つの望ましい状態の実現が必要と考えております。まず、様々な人財が繋がり合い、ともに学び、互いの専門性を掛け合わせることで組織・個人ともに高いケイパビリティを持っている状態であります。これは当社グループならではの「統合」されたソリューションの提供に不可欠なものであります。そしてもう一つは、従業員一人ひとりがインテグリティを持ちチームに前向きに貢献しようとする意識、つまりエンゲージメントが高まっている状態であります。この二つの状態をグローバルに実現することが、One dentsuで「人」の可能性を高め、経営戦略実現を支援している姿であり、我々の目指すところでもあります。

これを実現すべく2023年度から始まったOne dentsu体制を人事部門にも取り入れ、チーフ・HR・オフィサー(CHRO)を中心としたグローバル横断的な人事リーダーシップチームが組成されております。この体制のもと、グローバルで一貫した戦略体系を構築・実行しております。

 

 

・人事ミッション

グローバル人事戦略の起点となるのは、人事領域の担当者が何を目指して仕事をするのかを定めたミッションであります。CHROと4地域の代表、またタレントや報酬、人財データなどの専門分野のリーダーが議論し確立したのが、「1つのチームになり、仲間の力を引き出す」というミッションです。これには、人事領域の各チームが垣根無くそれぞれの力を出し合い、従業員一人ひとり、そして組織全体の秘める可能性を解き放つ、という我々の役割を明確に表しております。この人事ミッションのもと、経営戦略の支援・ビジョンの実現に向けた具体的な注力領域などを定めた三つの柱から成る人事戦略体系を構築しております。

 


 

 

・人事戦略1: People Growth(人の成長)

人の成長をどのように実現するかは、言うまでもなく人財戦略の最重要な柱であります。従業員一人ひとりの成長はもちろんのこと、組織が変革を求められている状況においては、リーダーがいかに成長をドライブできるかが重要であります。組織が発揮できる能力は、それを率いるリーダーの行動が与える影響により、大きく異なると考えるためです。

当社グループにおいても、人と組織の成長を加速する鍵となるのはリーダーシップの在り方であると考え、人的資本投資の中でも優先的に取り組みを進めております。

 

ⅰ) dentsu Leadership Attributesの策定

「dentsuの目指す姿」を牽引するリーダーシップを見極め、育てることを重点課題と捉え、dentsuのリーダーが持つべきリーダーシップ行動要件を「dentsu Leadership Attributes(dLA)」として言語化・定義しました。dLAは組織としてどのような行動が推奨され評価されるべきなのかを示す6つの要素と全ての素地となるインテグリティから構成されております。具体的には、未来を切り拓くための戦略的思考とイノベーション、強いチームを作るための人財育成と組織文化醸成、結果を出すための顧客中心主義の実践と仕事の推進力といった項目であり、それぞれに対して従業員がどのように行動を発揮しているかを確認するツールとしても活用できるものです。2024年度には各要素を検証・吟味し、dLAが人財選定・評価・育成の指針として制度に組み込めるよう磨き上げ完成させることができました。

 

ⅱ) 人財を見極め、育てるためのディスカッション

今後のリーダー人財候補者の特定・育成に向けては、dLAに基づいた「People Discussion」(人財についてレビューし、育成方針を議論する場)をグループ・各リージョンで実施しました。活動の2年目となる本年度には前年より議論の対象となる従業員層を経営層から数段階まで広げ、特に日本においては延べ3,000名以上をカバーすることができました。この活動の結果、2024年度におけるグループ・エグゼクティブ・マネジメントの全ポジションについて、少なくとも1名以上の後継者候補が特定できている状況を担保しております。また各部門における有力人財の可視化、後継者候補の選定を行うとともに、育成投資について議論を推進し、人財パイプラインの強化を行っております。

またこの活動を定着させることで、人財を見極めるプロセスにグループとして一貫したリーダーシップの観点を反映させることができます。これにより、業績とリーダーシップの側面から複眼的に人財評価・育成を実現しつつあります。

 

ⅲ) 高ポテンシャル人財、戦略領域人財への投資

People Discussionを通じて可視化された人財に対してはそのポテンシャルを最大化すべく、グローバルで多様な環境で自身をストレッチさせる業務の経験機会、スキルや視野を広げる育成プログラムを提供しております。One dentsuオペレーティング・モデルをより強固に体現すべく年間を通じてグローバルリーダーの登用、組織再編を行っておりますが、新リーダーの抜擢の際には、重点人財の成長につながる体験をさせることも意図されております。また育成プログラムの代表的なものとして、本年度は次世代グローバルリーダー育成プログラムを新たに立ち上げ、世界から約40名を東京に集めて刺激的な学びの場を提供しました。加えて、将来のグループ経営層の育成を目指した人財の配置・派遣計画も推進しており、より実経験を通じた人財成長支援を加速化します。

並行して、従業員のキャリアの選択肢を増やすことで長く働けるキャリアを形成することも目指しております。その基盤として、グループ統一の職務・等級フレームの導入を進めており、特に等級(ジョブレベル)の共通化を進めることができました。これにより、グループ内で「リーダー層」として定義されるべき人財を可視化し、より精緻な人事施策を可能にするとともに、従業員のキャリアの「物差し」も明確にすることができました。この基盤を更に固めることで、地域や個社を超えた人財の流動化を促進し、従業員一人ひとりのキャリアアップを支援していくことを目指します。

 

 

ⅳ) 人を育てる仕組みと文化の定着に向けて

今後継続的に十分な効果を出していくため、ここまでに挙げた各種施策は継続的なサイクルの仕組みとして設計されており、今後はこれを通じた「リーダーがリーダーを育てる」文化を定着させていくことを目指します。具体的には、dLAの各種人事施策への組み込みと定期的なPeople Discussionの運営・対象範囲の拡大を通して、人財の可視化や戦略的人財配置などの直接効果にとどまらず、議論に参加する各リーダー自身の人財育成意識に働きかけてまいります。今後はこの成果を確認するべく、プロセスとしての対話時間や結果としての後継者準備率をモニタリングする一方で、エンゲージメント調査を通じ、従業員側の成長実感がどの程度得られたのかも併せて計測してまいります。これら複合的な指標を用いて、People Growthの進捗を確認してまいります。

 

・人事戦略2:Winning as One Team(ワンチームとなって勝つ組織)

当社グループの強みは、多様でユニークな個の力が掛け合わさり、そこから我々ならではのクリエイティビティ、そしてイノベーションが生まれることであると考えます。その価値の実現に向け、グローバルに存在する人財の一人ひとりが強みを発揮するに留まらず、同じ目的に向かってコラボレーションすること、つまりワンチームになることを重視しております。その素地となるのはインテグリティに基づくdentsuらしいカルチャーづくりと生産性高く活性化された組織であると捉えて、重点的に活動を行っております。

 

ⅰ) エンゲージメント調査と組織カルチャーへの取り組み

従業員がチームとして前向きに協力し合う文化の形成には、エンゲージメントは最も重要な要素の一つです。当グループでは毎年の調査で、従業員の満足度と推奨度からエンゲージメントスコアを算出しており、全グループ単位と地域・会社などの部門単位で課題を特定した上で改善に取り組んでおります。また役員報酬のKPIにも組み込んでおります。

前年度の調査結果からは、ビジョン・戦略、経営リーダーシップ、経営からのコミュニケーションなどの項目へのスコアが重点課題であると捉えられ、それらに対する打ち手として経営からのコミュニケーション改善に取り組みました。具体的には、国内・海外ともに経営層からメッセージなどの情報発信・Town Hall Meetingなどの直接インタラクションの機会を数多く設定しました。また特にグループ内の主要職を担う幹部がビジョン・戦略を十分理解し自部門に共有していくことが重要と考え、2024年度にはコロナ禍後初めての対面形式でのシニアリーダーシップミーティングを実施するなど、より密度の濃い活動を展開しました。

他方、ガバナンス観点で重視される個人のインテグリティやコンプライアンス意識についての回答は、日本・海外とも比較的高いスコアを記録しました。これを前向きな機会と捉え、更なる意識向上や活動改善の取り組みを進めてまいります。

 

ⅱ) フレキシブルで生産性の高い働き方ができる環境の整備

従業員が十分に活躍できる環境整備として、労働環境の改革にも継続的に取り組んでおります。ハイブリッドワークから得られる柔軟性の高い働き方を継続しつつ、当社が目指す「人起点の変革」にはリアルコミュニケーションも重要であることから、各地域・部門ごとに最適な出社バランスの検討を進めております。また生産性の高い働き方には、テクノロジーも取り入れた新しい方法を積極的に取り入れる姿勢も欠かせません。dentsuらしくクリエイティブに、そしてスマートな働き方をこれからも追求し発信してまいります。

日本で継続してきた労働環境改革においては、勤務管理や従業員見守りなどに関する意識・活動のベースを保ちつつ、ハイブリッドな働き方などの現場実態に即し、今後の持続的成長に向けた活動を継続しております。

 

 

ⅲ) 多様な能力のコラボレーションを高める従業員意識

多様な従業員が安心して能力を発揮し、コラボレーションを通じてより良いソリューションを生み出していく組織文化では、それを育む従業員の意識が重要であります。様々な「違い」のある従業員同士がその差を理解し、互いに尊重し合いながら働くことができる意識と、そのための場づくりの活動にも注力しております。この成果を確認するべく、エンゲージメント調査に盛り込んでいる「敬意/Respect」のスコアを指標とし、各従業員が職場で他者から尊重されていると感じられているかどうかを注視しております。

同様に、コラボレーションに対する意識、インテグリティに対する意識についても、対応するエンゲージメント調査のスコアをモニタリングし、関係施策のPDCAに繋げてまいります。組織文化の状況を一つの指標で定量的に測定していくことは困難ではあるものの、当社グループの目指す状態を構成する要素として、互いへの敬意、コラボレーション意識、インテグリティ意識の水準を把握し、総合値としてのエンゲージメントとの関係性にも着目することで、Winning as One Teamの推進に活用してまいります。

 

 ・人事戦略3:HR Service Excellence(最良の人事サービスとパートナーシップ)

People Growth、Winning as One Teamの各戦略に基づく一連の施策を具現化していく際、人事部門は事業領域と質の高いパートナーシップを築くことが重要であります。この実現のため、人事部門の専門性と生産性を高め、人と組織の面から経営戦略や意思決定を支えていくグローバル体制を構築しております。具体的には、経営・事業に寄り添うHRビジネスパートナー(HRBP)と、人財マネジメントや報酬設計などの専門チームから成るCenter of Excellence(CoE)を両輪とし、組織的なケイパビリティを高めております。

 

ⅰ) 事業変革に対応したHRBPサポート

ビジネスに最も近い位置で様々な支援を行うHRBPは、人事パートナーシップの要であり、その能力を向上させることが人事サービスの質に直結します。2024年度は当社を中心とした日本におけるHRBP活動を立ち上げ、徐々に知見を蓄えてまいりました。またOne dentsuの実現に向け、日本と海外のHRBP同士が連携し協力し合いながらより包括的な人事パートナリングの範囲を広げる活動も推進しております。

また当社のHRBP活動の一環として、グローバル本社機能としてあるべき組織設計の見直しを行った事も大きな成果です。各部門長とHRBPが議論を重ね、組織設計上の"As is"と"To be"を洗い出し課題を明確化し、2025年度の組織再編などに反映することができました。

 

ⅱ) HRサービスインフラの整備

人事部門の活動やサービスを支える人財データ領域への投資・活動も継続しており、直近では特にデータの精度向上、及びグループ共通のデータ項目整備に注力しております。中でも日本には数多くの法人が存在するため、他地域と比べて人財情報の共通定義を設けることが困難な状況でしたが、2023年度に統一データテンプレートを開発、そして2024年度にはこのテンプレートに各社データを集約し運用を開始しました。これにより、各社の人財状況を同じデータ項目で俯瞰することが可能になり、今後の各施策のKPIモニタリングの精度が上がるだけでなく、ファクト情報に基づいた将来の組織戦略を描くことが可能になります。これらの取り組みを通じ、従来は地域・個社ごとにあった情報の統合が可能になり、グループ単位での戦略的な意思決定に寄与できる基盤を整えつつあります。

もう一つ重要な柱として日常業務の効率性を高める取り組みも継続しており、作業量の多いオペレーション業務についてはプロセスの最適化や自動化、コスト効率の高いニアショア・オフショア地域でのシェアードサービスの活用を推進しております。2024年度はインドや南米におけるオフショア拠点のサービス強化に取り組みました。今後も地域間の業務の違いも考慮しながら、全体最適化が望ましい業務についてはプロセスやシステムを見直し、グローバルでの統合、標準化などを通じ、更なる生産性の向上を進めていく考えであります。