人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数135名(単体) 67,454名(連結)
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平均年齢45.0歳(単体)
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平均勤続年数14.3年(単体)
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平均年収15,959,402円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
(2025年12月31日現在)
(注) 従業員数は就業人員数であります。
(2) 提出会社の状況
(2025年12月31日現在)
(注) 1.従業員数は就業人員数(委任契約を締結しているものを除く)であります。
2.平均勤続年数は、当社子会社からの出向者については当該子会社での勤続年数を通算しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社に労働組合はありませんが、一部の連結子会社には、電通労働組合など各社労働組合が組織されており、組合員数は、電通労働組合及びその他の組合を合計した当社グループの組合合計で5,363人であります。
なお、労使関係は円滑で特記事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「―」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)において選択公表をしていない場合、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務がない場合、「労働者の男女の賃金の差異」について男女の両方若しくはいずれかの該当者がいない場合、又は「男性労働者の育児休業取得率」について分母がゼロとなる場合を示しております。
② 連結子会社
当社の主要な国内連結子会社各社の、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づく管理職に占める女性労働者の割合、育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異は以下のとおりであります。また、下記以外の連結子会社につきましては、「第7 提出会社の参考情報 2 その他の参考情報」に記載しております。
(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) 電通グループにとってのサステナビリティ
電通グループのサステナビリティとは、パーパスに掲げる社会や企業の持続的な発展を実現することです。2025年6月、変化する社会情勢を見据えたより強固な経営基盤構築を目的に、当社グループは「2030サステナビリティ戦略」を経営方針B2B2Sの実行プランと位置付けた「2030価値創造戦略」に改訂し、①インテグリティ、②ピープル&カルチャー、③イノベーション、④環境、の4つをマテリアリティとしました。マテリアリティに取り組むことが、サステナビリティ推進の戦略です。
2030価値創造戦略
マテリアリティは、パーパスの実現とともに、ステークホルダーに対する企業価値を最大化するため、「経営視点での重要性」と「ステークホルダー視点での重要性」の2軸の分析によって策定したものであります。策定の過程では、当社グループの現状と将来を見据えた経営戦略やビジネスモデル、グループリスク委員会が管理するグループ経営上のリスク項目、さらには取締役会やサステナビリティ関連会議資料等、SASBをはじめとする情報開示基準などを分析対象としております。マテリアリティ策定過程の詳細については、HPをご覧ください。https://www.group.dentsu.com/jp/philosophy/materiality.html
外部環境を踏まえたマテリアリティと企業価値との関連性については、下記の通りであります。
2030価値創造戦略の進捗と、各マテリアリティの取り組みの状況は、グループサステナビリティ委員会(GSC)を通じて管理しております。全てのアクションプランとKPIが達成されるよう、委員会メンバーと担当部門は相互に連携しております。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① ガバナンス
サステナビリティに関する当社グループのガバナンス体制は以下の通りであります。
・取締役会(BOD)
当社グループのサステナビリティを巡る取組みについての基本的方針を定め、グループ・マネジメント・ボード(GMB)が決議・承認したサステナビリティに関連する経営上の重要な事項に関して報告を受け、監督する責任を担います。
・グループ・マネジメント・ボード(GMB)
当社グループのサステナビリティに関してグループサステナビリティ委員会(GSC)が策定する戦略、KPI、アクティベーション等について、GSCからの報告を審議し、決議・承認するとともに、その事案を取締役会に報告する責任を担い、GSCの活動をモニタリングします。
・グループサステナビリティ委員会(GSC)
当社はサステナビリティを経営の中核テーマの1つと位置づけており、執行機関としてグループ・マネジメント・ボードの直下にグループサステナビリティ委員会を設置しております。
当社グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーを議長とした同委員会は、当社グローバルCEOをはじめとする8名の多様な専門性と地域性を持つメンバーで構成されており、重要な経営戦略の1つである「2030価値創造戦略」の進捗や、米国を除く当社の役員報酬制度の構成要素となっている温室効果ガス(GHG)排出量削減や女性リーダー比率などの指標の進捗を管理しております。また、人権のテーマは常設議題として取り扱っております。
<2025年度 グループサステナビリティ委員会メンバー>
2025年度において取締役会とグループサステナビリティ委員会で審議・議論された議題は以下の通りであります。
役員報酬との連動
2022年度より、当社グループの役員の年次賞与にサステナビリティ指標を採用しております。詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4) 役員の報酬等」を参照ください。
② リスク管理
当社グループにおけるサステナビリティに関連するリスクは、既存の経営戦略や事業等のリスクを反映して策定したマテリアリティによって識別され、年4回実施されるグループサステナビリティ委員会においてマテリアリティをベースとした「2030価値創造戦略」の推進の進捗状況を評価、管理しております。
推進に当たっては、マテリアリティ毎にグループサステナビリティ委員会のメンバーであるグループ・マネジメント・チームがその責任を負うとともに、グローバル・チーフ・サステナビリティ・オフィサーが全体統括を行います。
なお、同戦略に掲げた目標達成が計画通りに進捗しなかった場合等のリスクについては、グループリスク委員会で評価、管理しております。
③ 指標及び目標
2030価値創造戦略のマテリアリティに定めたアクションプランとKPI、及び2025年度の進捗は以下の通りであります。
2025年度の進捗
インテグリティ:
・研修:コンテンツを新規制作・更新し、全従業員向け研修を実施(※一部テーマは計画立案中)
・窓口:専門人材が対応する運用体制を継続/通報件数・重大インシデント有無等を定期確認
・第三者評価:評価の向上又は維持を確認/ギャップ整理を実施
ピープル&カルチャー:
・女性リーダー比率(米国を除く):25.4%(当社グループが定める等級において、日本ではJapan Job Level 55以上、海外ではJob Level 55以上をリーダーと定義しております。なお、日本におけるリーダーの定義は2025年度に改定されております。)
・グループ・エグゼクティブ・マネジメントの後継者準備率:100%(緊急カバーを含む)
・Check In(CI)サーベイの[成長]スコア:スコア維持(目標達成)
・Check In(CI)サーベイの[エンゲージメント]スコア:スコア維持(目標達成)
・Check In(CI)サーベイの「リスペクト」スコア:2ポイント上昇(目標達成)
イノベーションに導くリーダーシップ:
・社会の明るい未来のための投資と研究開発:6件
・社会のより持続可能な未来に向けた行動を促すソートリーダーシップコンテンツ:(件数非公開)
・社会の未来のためのパートナーシップやエコシステムのイノベーション:9件
環境
・GHG Scope1+2排出量:10,937tCO2e(基準年比69.6%削減)
・GHG Scope3排出量:308,783tCO2e(基準年比43.0%削減)
・再生可能エネルギー比率:86.4%
(2) 気候変動への対応
当社グループは、気候変動を含む環境に関わるリスクと機会、レジリエンスを事業戦略に組み込み、将来にわたって安定的な事業成長を実現することを目指しております。そのためGHG排出量ネットゼロ目標を掲げ、2024年10月には短期・長期の目標がSBTiの企業ネットゼロ基準に照らしてSBTi認定を受けました。この目標を確実に達成するため、2025年度は国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が示したIFRSサステナビリティ開示基準 IFRS S2号(気候関連開示)を参照して分析・報告を行い、その結果を踏まえて2025年9月には「ネットゼロ実現に向けた移行計画」を策定・開示しました。詳細は、電通グループ「気候関連レポート2025」、及び「ネットゼロ移行計画」をご覧ください。
https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/climate-related-report2025.pdf
https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/net-zero-transition-plan2025.pdf
① 気候変動に関するガバナンス
気候変動は、「2030価値創造戦略」におけるマテリアリティの1つであり、ガバナンスの体制はサステナビリティ全般と共通であります。
② 気候変動に対する戦略
「電通グループ環境方針」は気候変動がもたらす環境影響(資産やサプライチェーンへの物理的リスク、規制変更による事業運営の移行リスクなど)を軽減するための取組方針を定めております。その根底には、グローバルに事業を展開する当社グループの、世界各地の環境関連法規制の遵守に対する強い責任があります。本方針は、私たちの事業のパーパスである新しいソリューションの創造と、クライアントと社会の持続的な成長を支えるものであります。詳細は当社ウェブサイト「電通グループ環境方針」をご覧ください。
https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/common/pdf/environmental-policy.pdf
1-1 事業及びバリューチェーン全体の気候リスク・機会の評価
当社グループでは、気候変動が短期・中期・長期的に当社グループの事業にインパクトを与えるものと想定し、クライアント、サプライヤー、生活者、その他の主要なステークホルダーに影響が及ぶ可能性があると考えております。このため、当社グループの性質、規模、複雑性に見合った方法で、入手可能な合理的かつ裏付け可能なあらゆる情報を用い、バリューチェーンの上流・下流へのインパクトも考慮して、①1.5℃目標に沿ったシナリオ(2050ネットゼロ排出)、②無秩序な移行シナリオ(移行遅延)、③物理的リスクが最も高いシナリオ(現行政策)、を気候シナリオとして気候リスクの評価を行っております。
採用したシナリオは以下の通りであります。
またシナリオ分析では、気候関連のリスクと機会が、以下の時間軸において電通グループの事業にどのようなインパクトを与えるかを検討しました。
・ 短期:2025~2029年。短期的な事業リスクと即時的な方針変更を想定。
・ 中期:2030~2039年。市場の期待の変化、生活者の行動の変化、技術革新、カーボンプライシング、当社グループのサプライチェーン全体における脱炭素化への取り組みなど、移行によるインパクトの多くが増大すると見込まれる期間を想定。
・ 長期:2040~2050年。経済の構造的な変化、物理的な気候リスク、事業環境を根本的に変える可能性のある抜本的な脱炭素化への軌道を想定。
下表は、さまざまな気候シナリオの下で、各気候リスクと機会に割り当てられた財務的インパクトと評価の結果をまとめたものであります。これらのインパクトと評価が、特に時間軸が短期(2025~2029年)から長期(2040~2050年)にどう変化するかについても示しております。
リスク/機会の区分:
事業及びバリューチェーン全体の気候リスク/機会の評価:
特定したリスクが電通グループのビジネスモデルに及ぼす影響及びリスクの詳細と、その緩和策については、電通グループ「気候関連レポート」をご覧ください。
https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/climate-related-report2025.pdf
1-2 ネットゼロ実現に向けた移行計画
上記のようなシナリオの元、2030価値創造戦略のKPIとなっているGHG排出量の削減と再生可能エネルギー使用比率100%を確実に達成するため、「ネットゼロ移行計画」を策定しております。今後はこの計画に則り、各地域・マーケットにおいて優先度の高い課題から順次実行に移していく予定であります。詳細は、電通グループ「ネットゼロ移行計画」をご覧ください。(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/net-zero-transition-plan2025.pdf)
③ リスク管理
気候変動に関連したリスクは、サステナビリティ関連のリスクと機会の一つとして前述のサステナビリティ全般のリスク管理において統合的に管理しております。
④ 目標と実績
前述の気候関連のリスクと機会の分析に基づき、当社グループでは最もインパクトが大きいと考えられる5つの領域に注力して気候変動に取組みます。
‐私たち自身のサステナビリティ・トランスフォーメーションを加速する
‐業界の変革を推進する
‐異業種間でパートナーシップを組む
‐社会の持続可能な選択を促す
‐社会の仕組みを変える提案をする
1-1 気候変動に関する目標と実績
当社グループは、2040年までにバリューチェーン上の温室効果ガス(GHG)排出量のネットゼロ達成を目標に掲げており、当社グループの科学に基づく短・長期的なGHG排出削減目標値は、SBTi(Science Based Targets initiative)の企業ネットゼロ基準に従ってSBTiに認定されております。
当社グループのGHG削減目標は次の通りであります。
●短期目標(~2030年)
当社グループは、2030年までにScope1とScope2のGHG絶対排出量を2019年ベースラインから46.2%削減します。また、グループ全体の購入した製品・サービス、出張、雇用者の通勤から発生するScope3のGHG絶対排出量を、同じ期間内に46.2%削減します。
●長期目標(~2040年)
当社グループは、Scope1とScope3のGHG絶対排出量を、2019年ベースライン比で2040年までに90%削減します。さらに、Scope3のGHG絶対排出量も同じ期間内に90%削減します。
2040年までにネットゼロを達成するために、当社グループはまず追加的な排出削減活動を実施しますが、残りの排出量(10%未満)は、信頼できる検証可能な GHG 削減スキームを通して削減します。
●再生可能エネルギー比率100%
当社グループは、2030年までに再生可能エネルギー比率を100%にすることにコミットしております。
2025年度のGHG排出量、及び再生可能エネルギーの導入実績は以下の通りであります。なお、㈱電通グループの経営支配力が及ぶ日本国内・海外連結子会社(「電通グループ」)を対象としております。従業員数・拠点の利用形態等により影響が軽微と判断できる連結子会社は対象外としております。
GHG排出量(tCO2e)
(注)1.マーケット基準は、Scope2について適用しております。
2.2025年実績に含まれるScope1、Scope2及びScope3の各合計数値については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社による第三者保証を取得しております。HP(https://www.group.dentsu.com/jp/sustainability/common/pdf/third-party-assurance.pdf)
再生可能エネルギー使用量(kWh)
(注)1.当社グループのサステナビリティ戦略とコミットメントにおける再生可能エネルギーとは、再生可能な資源から発電された電力を指します。この定義は、当社グループもメンバーである国際的なイニシアチブRE100に準拠しています。
2.再生可能エネルギー使用量に関するデータは、第三者保証対象外です。
1-2 事業における取り組み
上記の方針に基づく2025年度の主な事業の取り組みは、以下の通りであります。
●日本の広告・マーケティング業界におけるカーボンカリキュレーターの共同開発を始動
2023年、当社グループは国内広告業界標準の温室効果ガス(GHG)排出量可視化と削減を目指すマーケティング領域の脱炭素化イニシアティブ「Decarbonization Initiative for Marketing(DIM)」を立ち上げました。2025年には、一般社団法人 日本広告業協会(JAAA)、一般社団法人 日本アド・コンテンツ制作協会(JAC)、一般社団法人 日本イベント産業振興協会(JACE)とともに、日本の広告・マーケティング業界における炭素削減を目指し、広告制作やイベント等の広告に関わる炭素(カーボン)排出量を可視化・算出する「カーボンカリキュレーター」の共同開発に参画しました。現在、国際的な算定基準や国内外の実務に基づいて設計を進めており、今後は精緻化と実証を重ねながら、業界全体での実運用を目指します。
●サステナビリティに配慮したイベントの実現を支援するワークショップの試験運用を開始
株式会社電通ライブは、株式会社丹青社、株式会社乃村工藝社、株式会社博報堂プロダクツ、株式会社ムラヤマの5社で構成される「サステナブルイベント協議会」を立ち上げ、イベント業界におけるサステナビリティ促進と業界全体のリテラシー向上を目的に活動してきました。2025年度は、イベントに関わる全ての人々にサステナビリティに配慮したイベントについて考えるためのオリジナル・ワークショップツールを開発し、イベント業界全体のサステナビリティ推進に貢献しました。詳細はプレスリリースをご覧ください。https://www.dentsulive.co.jp/ss/2025/05/20250508.pdf
●国内グループ8社で企業間の資源循環で地域と企業の成長促す「産業共生コーディネーション」サービスの提供開始
株式会社電通と国内電通グループ8社(株式会社電通総研、株式会社電通ライブ、株式会社電通北海道、株式会社電通東日本、株式会社電通西日本、株式会社電通九州、株式会社電通沖縄、株式会社電通名鉄コミュニケーションズ)は、企業と地域のサーキュラーエコノミーを支援する「産業共生コーディネーション」の提供を開始しました。これは、BtoB企業が排出する廃棄物や副産物を資源として相互活用する異業種間の連携機会を特定・マッチングし、企業成長と地域経済の活性化の実現を支援するものであります。「産業共生」の実現に向けて特につまずきやすい「共生機会の特定」や「マッチング」に関して、国内電通グループ各社のサーキュラーエコノミーやビジネスコンサルティングの専門人財の経験を生かして支援し、社会全体での循環型経済の実現を目指します。詳細はプレスリリースをご覧ください。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2025/0724-010919.html
(3) 人権の尊重
電通グループにとって人権の尊重は自社グループの存立基盤、倫理的かつ持続可能なビジネスの根幹をなす重要事項です。国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権の擁護に努めてまいります。「電通グループ人権方針」(2018年制定。2024年改訂)策定しており、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的なフレームワークに則ることも明文化しております。詳細はHP(https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/common/pdf/human-rights-policy.pdf)に開示しております。
① 戦略
電通グループ全体のガバナンス体制と部門横断的な取組みを推進し、法令遵守とあらゆるステークホルダーからの要請への準備を開始しております。また、「2030サステナビリティ戦略」との整合も図ってまいります。
② ガバナンス
電通グループでの人権への取組みの統括はグローバル・チーフ・ガバナンス・オフィサーが担っており、業務上の人権対応は専門部署の担当者が行っております(グループ全体をカバーするべく、日本及び海外の両方に配置して連携しております)。対応状況については、個別事案も含めて取締役会にも報告しております。
また、グループサステナビリティ委員会では各回必須で「人権」を議題として取り扱い、日本固有の課題についてはdentsu Japanのマネジメントで構成する「電通グループ人権委員会」で対応しております。
③ リスク管理
2024年にグループ全体を対象にした人権課題の特定(人権デューディリジェンス)を外部専門家を交えて実施。その結果以下の6項目を特定しております。
(1) 業務における平等と無差別の原則
(2) 思想、意見、宗教、信仰の自由、表現の自由、情報へのアクセスに基づいたビジネス
(3) 労働上の権利とハラスメント
(4) 業務上のプライバシー・個人情報の保護
(5) 子どもの権利
(6) 健康的で持続可能な環境への権利
④ 指標と目標
指標と目標は、以下の2項目となっております。
・ グループ全体での人権デューディリジェンスの実施を通じた課題の更なる明確化とそれらを反映した人権啓発活動の更新(人権方針、研修等)。
・ 人権に関する取組みの積極的な情報公開と外部ステークホルダーとの対話。
当社グループとしての人権の取組みは、HP(https://www.group.dentsu.com/jp/about-us/governance/human-rights.html)でも公開しており、順次アップデートしております。
(4) 人的資本に関する方針と取り組み
① 基本方針
当社グループのビジョン<「人起点の変革」の最前線に立ち、社会にポジティブな動力を生み出す>には、「人」が創り出す可能性を信じ、そこから生まれる新たな力で社会に貢献していきたいという思いが込められております。この実現のためには、我々の最大の資産であるユニークで多様な人財の力を解き放ち、その力を掛け合わせていくことが重要と考えております。
こうした前提のもと、当社グループの人的資本のとらえ方の根幹にあるのは「人は誰でも『貢献したい。成長したい。』という気持ちを持っており、仕事を通じて自身の成長を実感することに喜びを感じる」という信念であります。こうした人の自律的な成長意欲を信じ、誰もがチャレンジし成長する機会が得られる環境を実現することで、人的資本、つまり「人」の可能性に投資し、そのケイパビリティを拡張していく経営を進めてまいります。
② 戦略
「人起点の変革」を推進し社会に貢献していくために、当社グループは従業員のユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合し、顧客の持続的成長を実現する「インテグレーテッド・グロース・ソリュ―ション(IGS)」に注力しております。
この経営戦略と関連する重要課題に応えていくためには、「人」の可能性をどのように拡張していくかが大きな焦点ですが、これには、大きく二つの望ましい状態の実現が必要と考えております。まず、様々な人財が繋がり合い、ともに学び、互いの専門性を掛け合わせることで組織・個人ともに高いケイパビリティを持っている状態であります。これは当社グループならではの「統合」されたソリューションの提供に不可欠なものであります。そしてもう一つは、従業員一人ひとりがインテグリティを持ちチームに前向きに貢献しようとする意識、つまりエンゲージメントが高まっている状態であります。この二つの状態をグローバルに実現することが、One dentsuで「人」の可能性を高め、経営戦略実現を支援している姿であり、我々の目指すところでもあります。
これを実現すべく2023年度から始まったOne dentsu体制を人事部門にも取り入れ、チーフ・HR・オフィサー(CHRO)を中心としたグローバル横断的な人事リーダーシップチームが組成されております。この体制のもと、グローバルで一貫した戦略体系を構築・実行しております。
・人事ミッションと戦略概要
グローバル人事戦略の起点となるのは、人事領域の担当者が何を目指して仕事をするのかを定めたミッションであります。人事リーダーシップチームで議論し確立したものが、「1つのチームになり、仲間の力を引き出す」です。これには、人事領域の各チームが垣根無くそれぞれの力を出し合い、従業員一人ひとり、そして組織全体の秘める可能性を解き放つ、という我々の役割を明確に表しております。この人事ミッションのもと、経営戦略の支援・ビジョンの実現に向けた具体的な注力領域などを定めた三つの柱から成る人事戦略体系を構築しております。
この基本戦略のもと、2025年度には特に優先的に投資する領域を定め、グローバルリーダー人財育成、インテグレーテッド・グロース・ソリューション(IGS)領域のケイパビリティ強化、AIを活用した生産性向上といった領域を加速させてきました。これらの投資により、当社グループならではの「人の可能性の拡張」を推進してまいります。
・人事戦略1: People Growth(人の成長)
人の成長をどのように実現するかは、言うまでもなく人財戦略の最重要な柱であります。従業員一人ひとりの成長はもちろんのこと、組織が変革を求められている状況においては、リーダーがいかに成長をドライブできるかが重要であります。組織が発揮できる能力は、それを率いるリーダーの行動が与える影響により、大きく異なると考えるためです。
当社グループにおいても、人と組織の成長を加速する鍵となるのはリーダーシップの在り方であると考え、人的資本投資の中でも優先的に取り組みを進めております。
ⅰ) dentsu Leadership Attributes
「dentsuの目指す姿」を牽引するリーダーシップを見極め、育てることを重点課題と捉え、dentsuのリーダーが持つべきリーダーシップ行動要件を「dentsu Leadership Attributes(dLA)」として言語化・定義しています。dLAは組織としてどのような行動が推奨され評価されるべきなのかを示す6つの要素と全ての素地となるインテグリティから構成されております。具体的には、未来を切り拓くための戦略的思考とイノベーション、強いチームを作るための人財育成と組織文化醸成、結果を出すための顧客中心主義の実践と仕事の推進力といった項目であり、それぞれに対して従業員がどのように行動を発揮しているかを確認するツールとしても活用できるものです。2025年度にはdLAを各種人事制度に組み込み、人財選定・評価・育成の指針として活用を推進しつつ、グローバルで社員への浸透活動を行いました。
ⅱ) 人財を見極め、育てるためのディスカッション
今後のリーダー人財候補者の特定・育成に向けては、dLAに基づいた「People Discussion」(人財についてレビューし、育成方針を議論する場)をグループ・各リージョンで実施しました。活動の3年目となる本年度には前年より議論の対象となる従業員層を更に広げ、仕組みとして定着させることができました。この活動の結果、2025年度におけるグループ・エグゼクティブ・マネジメントの全ポジションについて、少なくとも1名以上の後継者候補が特定できている状況(緊急カバー含む)を担保しております。また各部門における有力人財の可視化、後継者候補の選定を行うとともに、育成投資について議論を推進し、人財パイプラインの強化を行っております。
この活動が定着してきたことで、人財を見極めるプロセスにリーダーシップの観点を、グループ一貫して反映させることができました。これにより、業績とリーダーシップの両面からの人財評価・育成を実現しつつあります。
ⅲ) 高ポテンシャル人財、戦略領域人財への投資
People Discussionを通じて可視化された人財に対してはそのポテンシャルを最大化すべく、グローバルで多様な環境で自身をストレッチさせる業務の経験機会、スキルや視野を広げる育成プログラムを提供しております。One dentsuオペレーティング・モデルをより強固に体現すべく年間を通じてグローバルリーダーの登用、組織再編を行っておりますが、新リーダーの抜擢の際には、重点人財の成長につながる体験をさせることも意図されております。また育成プログラムの代表的なものとして、本年度は重点地域である日本人財のグローバル活躍を支援する、新たな育成プログラムを立ち上げました。また、将来のグループ経営層の育成を目指した人財の配置・派遣計画も推進しております。また、経営戦略として掲げるIGSの提供力強化を目指し、特に海外各地域でのケイパビリティ強化を推進しました。地域・市場ごとに異なる顧客状況、ケイパビリティ成熟度に応じ、ローカライズした投資を行っています。
並行して、従業員のキャリアの選択肢を増やすことで長く働けるキャリアを形成することも目指しております。その基盤として、グループ統一の職務・等級フレームの導入を進めており、特に等級(ジョブレベル)の共通化に向けた取り組みが進捗しています。これにより、グループ内で「リーダー層」として定義されるべき人財を可視化し、そこから得られるデータによって人財育成課題をさらに明確化することができました。この基盤を継続して固めていくことで、地域や個社を超えた人財の流動化を促進し、従業員一人ひとりのキャリアアップを支援していくことを目指します。
ⅳ) 人を育てる仕組みと文化の定着に向けて
今後継続的に十分な効果を出していくため、ここまでに挙げた各種施策は継続的なサイクルの仕組みとして設計されており、今後はこれを通じた「リーダーがリーダーを育てる」文化を定着させていくことを目指します。具体的には、dLAの各種人事施策への組み込みと定期的なPeople Discussionの運営・対象範囲の拡大を通して、人財の可視化や戦略的人財配置などの直接効果にとどまらず、議論に参加する各リーダー自身の人財育成意識に働きかけてまいります。今後はこの成果を確認するべく、プロセスとしての対話時間や結果としての後継者準備率をモニタリングする一方で、エンゲージメント調査を通じ、従業員側の成長実感がどの程度得られたのかも併せて計測してまいります。これら複合的な指標を用いて、People Growthの進捗を確認してまいります。
・人事戦略2:Winning as One Team(ワンチームとなって勝つ組織)
当社グループの強みは、多様でユニークな個の力が掛け合わさり、そこから我々ならではのクリエイティビティ、そしてイノベーションが生まれることであると考えます。その価値の実現に向け、グローバルに存在する人財の一人ひとりが強みを発揮するに留まらず、同じ目的に向かってコラボレーションすること、つまりワンチームになることを重視しております。その素地となるのはインテグリティに基づくdentsuらしいカルチャーづくりと生産性高く活性化された組織であると捉えて、重点的に活動を行っております。
ⅰ) エンゲージメント調査と組織カルチャーへの取り組み
従業員がチームとして前向きに協力し合う文化の形成には、エンゲージメントは最も重要な要素の一つです。当グループでは毎年の調査で、従業員の満足度と推奨度からエンゲージメントスコアを算出しており、全グループ単位と地域・会社などの部門単位で課題を特定した上で改善に取り組んでおります。また役員報酬のKPIにも組み込んでおります。
前年度の調査結果からは、経営戦略やメッセージの明確性・透明性などの項目が重点課題であると捉えられ、それらに対する打ち手として経営からのコミュニケーション改善に取り組みました。具体的には、国内・海外ともに経営層からメッセージなどの情報発信・Town Hall Meetingなどの直接インタラクションの機会を数多く設定しました。
他方、ガバナンス観点で重視される個人のインテグリティやコンプライアンス意識についての回答は、日本・海外とも経年で高いスコアを記録しました。これを前向きな機会と捉え、更なる意識向上や活動改善の取り組みを進めてまいります。
ⅱ) フレキシブルで生産性の高い働き方ができる環境の整備
従業員が十分に活躍できる環境整備として、労働環境の改革にも継続的に取り組んでおります。ハイブリッドワークから得られる柔軟性の高い働き方を継続しつつ、当社が目指す「人起点の変革」にはリアルコミュニケーションも重要であることから、各地域・部門ごとに最適な出社バランスを検討し、対面での社員交流機会も増やしております。ワンチームとなって能力を最大限発揮するには、生産性の高い働き方を志向し、テクノロジーも取り入れた新しい方法を積極的に取り入れる姿勢も欠かせません。日常業務へのAI活用を通じた現場レベルでの学びやアイディア創発の支援は、引き続き重視してまいります。
日本で継続してきた労働環境改革においては、勤務管理や従業員見守りなどに関する意識・活動のベースを保ちつつ、ハイブリッドな働き方などの現場実態に即し、今後の持続的成長に向けた活動を継続しております。
ⅲ) 多様な能力のコラボレーションを高める従業員意識
多様な従業員が安心して能力を発揮し、コラボレーションを通じてより良いソリューションを生み出していく組織文化では、それを育む従業員の意識が重要であります。様々な「違い」のある従業員同士がその差を理解し、互いに尊重し合いながら働くことができる意識と、そのための場づくりの活動にも注力しております。この成果を確認するべく、エンゲージメント調査に盛り込んでいる「敬意/Respect」のスコアを指標とし、各従業員が職場で他者から尊重されていると感じられているかどうかを注視しております。
同様に、コラボレーションに対する意識、インテグリティに対する意識についても、対応するエンゲージメント調査のスコアをモニタリングし、関係施策のPDCAに繋げてまいります。組織文化の状況を一つの指標で定量的に測定していくことは困難ではあるものの、当社グループの目指す状態を構成する要素として、互いへの敬意、コラボレーション意識、インテグリティ意識の水準を把握し、総合値としてのエンゲージメントとの関係性にも着目することで、Winning as One Teamの推進に活用してまいります。
・人事戦略3:HR Service Excellence(最良の人事サービスとパートナーシップ)
People Growth、Winning as One Teamの各戦略に基づく一連の施策を具現化していく際、人事部門は事業領域と質の高いパートナーシップを築くことが重要であります。この実現のため、人事部門の専門性と生産性を高め、人と組織の面から経営戦略や意思決定を支えていくグローバル体制を構築しております。具体的には、経営・事業に寄り添うHRビジネスパートナー(HRBP)と、人財マネジメントや報酬設計などの専門チームから成るCenter of Excellence(CoE)を両輪とし、組織的なケイパビリティを高めております。
ⅰ) 事業変革に対応したHRBPサポート
ビジネスに最も近い位置で様々な支援を行うHRBPは、人事パートナーシップの要であり、その能力を向上させることが人事サービスの質に直結します。2025年度は当社を中心とした日本におけるHRBP活動を本格化し、サービスの幅を広げてきました。引き続き人事パートナリングの範囲を広げつつ、日本における機能の定着化を図ります。
ⅱ) HRサービスインフラの整備
人事部門の活動やサービスを支える人財データ領域への投資・活動も継続しており、直近では特にデータの精度向上、及びグループ共通のデータ項目整備に注力しております。中でも日本には数多くの法人が存在するため、他地域と比べて人財情報の共通定義を設けることが困難な状況でしたが、過去数年で統一データテンプレートの開発と各社導入を進め、徐々にデータベースを確立してまいりました。これにより、2025年度の各種人事KPIモニタリングの精度の向上、開示情報の拡大を実現することができました。今後は、グループ単位での戦略的な意思決定に寄与できる情報基盤への活用に向けて、データの精度とカバー範囲を継続的に向上させてまいります。
もう一つ重要な柱として日常業務の効率性を高める取り組みも継続しており、作業量の多いオペレーション業務についてはプロセスの最適化や自動化、コスト効率の高いニアショア・オフショア地域でのシェアードサービスの活用を推進しております。2025年度は海外地域において、AIをプロセスに組み込んだ効率化、従業員からの問い合わせへのチャットボット活用などに取り組みました。今後も地域間の業務の違いも考慮しながら、全体最適化が望ましい業務についてはプロセスやシステムを見直し、グローバルでの統合、標準化などを通じ、更なる生産性の向上を進めていく考えであります。