人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数398名(単体)
-
平均年齢41.1歳(単体)
-
平均勤続年数14.8年(単体)
-
平均年収6,894,000円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 提出会社の状況
2025年3月31日現在
(注) 1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3 従業員数欄の( )内は、臨時従業員の年間平均雇用人員で外数であります。
(2) 労働組合の状況
当社の労働組合は1946年5月に結成され、現在、UAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)に加盟しております。
労使関係は極めて円満で、組合加入人員は2025年3月31日現在282名であります。
(3) 管理職に占める女性労働者の割合、育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注1) 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律64号)の規程に基づき算出したものであります。
(注2) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
(注3) 男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しております。賃金制度は従事する役割(職務)の大きさに基づく制度としており、従事する役割(職務)レベルが同一の場合の基準賃金に男女間の差はありません。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は「信用と誠実を旨とし、英知と活力を結集して積極果敢に挑戦し、社業の発展を期する。」「独創的技術の開発による有用な製品・課題解決策の提供を通じて社会の発展に貢献する。」を経営理念とし、自社の社業の発展だけでなく、独創的技術の開発により社会の発展に貢献することを目指しております。この経営理念に基づき、持続可能な社会への実現に貢献するため「サステナビリティ基本方針」を制定しております。
(1)サステナビリティ情報全般に関する開示
① ガバナンス及びリスク管理
当社は、サステナビリティに関する取り組みを重要課題と認識しており、その取り組みを加速させるための体制を構築しております。取締役会の諮問機関として、代表取締役社長を委員長、社内取締役及び独立社外取締役をメンバーとする「サステナビリティ委員会」を設置しており、2024年度に計2回開催しております。取締役会に対して課題に対する取り組み方針の提言や進捗に対する評価などの答申を行っております。また、経営会議の中に「サステナビリティ推進統括会議」を設置しており、サステナビリティに関する方策の検討と具体的な取り組みの推進を行うとともに、取り組み内容を定期的に取締役会に対して報告することにより、取締役会の監督が適切に図られる体制としております。本報告書提出日(2025年6月23日)時点での体制は、下図「ガバナンス体制図」のとおりです。
また、当社ではリスク管理の統括機関として、代表取締役社長を委員長とした「内部統制委員会」を設置しており、統合的なリスク管理として「事故・災害リスク」「情報セキュリティリスク」「法令違反・コンプライアンスリスク」「税・財務リスク」「人事・労務リスク」「事業リスク」「政治・社会リスク」の7つのカテゴリーにて管理しております。同委員会では定期的に重要リスクの識別を行い、リスクの対応方針、取り組み計画を策定の上、実施状況について評価、管理しております。一方、機会とリスクの双方の観点からの検討を要するリスクについて、当社の経営戦略等の経営上の重要事項に関しては、経営会議及び取締役会にて都度審議しております。
ガバナンス体制図 2025年6月23日現在
② 指標と目標
当社は、住友化学グループとして設定している持続可能な価値創出のための重要課題(マテリアリティ)を共有しており、各重要課題に対する主要取り組み指標「KPI」を設定しています。社会価値創出に関する重要課題という点では、環境分野への貢献として、CO2排出量(Scope1+2)、エネルギー消費原単位改善をKPIとしており、CO2排出量は2030年度に2013年度対比50%削減を目標にしています。その他、食糧分野への貢献として農薬原料・中間体売上高、ヘルスケア分野への貢献として医薬原料・中間体売上高、ICT関連分野への貢献として電子材料関連製品売上高をそれぞれKPIに設定しております。また、将来の価値創造に向けた重要課題という点では、イノベーションの推進として新製品売上高比率と合理化金額累積、DXによる競争力強化としてデジタル成熟度、人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康として、新卒採用に占める女性社員の割合及び障がい者雇用率をそれぞれKPIに設定しております(表「持続可能な価値創出のための重要課題」)。各KPIに対する2024年度の進捗実績は表「サステナビリティKPI進捗実績」のとおりです。
これらのKPIを活用し、取り組み状況の管理と開示を進めるとともに、社内外のステークホルダーとの対話も推進してまいります。各KPIの詳細(実績や進捗状況等)については、2025年10月頃、当社ウェブサイトで公表予定の広栄化学レポート2025をご参照ください。
持続可能な価値創出のための重要課題
サステナビリティKPI進捗実績
※1 売上高当たりのエネルギー消費量を、2020年度実績を100として指数化。
※2 合理化によって創出された製造原価に占める変動費や固定費の改善実績値から算出。2019年度からの累積。
※3 経済産業省のDX推進指標を基に定めた12の項目について6段階で評価しデジタル成熟度レベルを判定。
2025年度からは、持続可能な社会への貢献をよりわかりやすくするために、KPIの見直しを行いました。環境分野への貢献のKPIとして、「CO2吸収材等、排出削減貢献製品の効果」「触媒関連製品売上高」を新設しております。「CO2吸収材等、排出削減貢献製品の効果」は、当社がCO2吸収アミン化合物を供給することによって排出削減できる効果を測るものであり、自社でのCO2排出量削減と当社供給製品による削減の貢献の両輪で環境負荷低減を目指します。「触媒関連製品売上高」は、ハイエンドポリオレフィン用の高性能な有機金属触媒を供給することで石油化学製品の効率的な製造に貢献し、環境負荷低減を目指します。また、人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康のKPIとして、「新卒採用に占める女性社員割合」「障がい者雇用率」に替えて「女性社員比率」及び「ワークライフバランス指標」を設定しました。経験者採用を含め、より多様な人材を確保するとともに、長期にわたり活躍できるキャリア形成を会社として積極的にサポートし、働きがいと生きがいを感じてもらうことを目的としています。
(2)気候変動対応
気候変動対応に関するTCFD提言の4つの開示項目「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」
に沿った当社の気候変動問題への取り組みは以下のとおりです。
① ガバナンス
「(1)サステナビリティ情報全般に関する開示 ①ガバナンス及びリスク管理」に記載の枠組みにおきまして、サステナビリティ推進体制の下、気候変動については特に以下の体制で対応を行っております。
気候変動対応体制
② リスク管理
気候変動問題に関するリスクは、当社の持続的成長を阻害する恐れがある中長期的な主要リスクの一つとして位 置付けられており、当社全体のリスク管理プロセスに統合されております。後述する「3.事業等のリスク」でも記していますが、気候変動問題に関するリスクとしては、炭素税の賦課や排出権取引制度に代表される温室効果ガス排出権規制が導入された場合、原燃料の価格が上昇し、電力価格が上昇する可能性があります。これにより、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。このリスクへの対応策として、当社は、気候変動などの環境問題への対応を経営の重要課題と捉えており、温室効果ガスの削減等に積極的に取り組んでおります。
③ 戦略
当社は、「経営として取り組む重要課題」の一つとして掲げている環境分野への貢献の中に「気候変動の緩和と適応」を明記しており、2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップを策定しております。後述するシナリオ分析で特定した気候変動問題に関するリスクと機会に対して、「責務」(当社の温室効果ガス(GHG)排出量をゼロに近づける)と「貢献」(当社の製品・技術を通じて、世界のGHGを削減する)の両面から気候変動への取り組みを推進しております。
シナリオ分析(抜粋版)
気候変動に関するシナリオ分析とは、複数のシナリオを考慮した上で、気候変動の影響や気候変動に対応する長期的な政策動向による事業環境の変化を予想し、その変化が自社の事業や経営に与える影響を検討する手法であります。現在、当社では、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑制するために様々な施策がとられるシナリオ」「このまま対策を講じず4℃上昇するシナリオ」について、「リスク」「機会」の側面から分析し、当社事業へのインパクトや今後取っていくアクションを検討しております。シナリオ分析の全文については、広栄化学レポート2025をご参照ください。
(カーボンニュートラル実現に向けた投資)
社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献すべく、2025年度からGHG排出量の増減が見込まれる投資案件について、インターナルカーボンプライス(1トン当たり10,000円)を反映した経済性指標を算出して投資判断を行うこととしました。これまでも個別投資案件の一部において投資判断の参考に同様の指標を用いた場合がありましたが、今後はカーボンニュートラルを意識した投資判断を徹底することとしたものです。
④ 指標と目標
(気候関連のリスクに対する指標)
前述のシナリオ分析において特定した気候関連のリスクに関する指標と取り組みは以下のとおりです。
当社は、GHG排出削減目標を「(1)サステナビリティ全般」に記載の「経営として取り組む重要課題」の目標として設定し、「環境負荷低減への貢献」の取り組みを進めており、これまでの生産プロセス改良や排熱の回収・利用等の省エネ推進、事業ポートフォリオの見直しによる拠点集約・高付加価値製品化により、順調に削減をしてきております。2023年度のGHG排出量(Scope1+2)は44,740トンであり、2013年度比33%削減を達成いたしました。広栄化学レポート2025で開示予定の2024年度分は、千葉事業所での住友化学との連携による省エネルギー事業や、太陽光発電システムの運用開始などの効果も加わりましたが、電力排出係数の悪化があり、暫定値として44,230トン(2013年度比34%削減)となっています。詳細については、広栄化学レポート2025をご参照ください。なお、当社は住友化学グループの一員としてサステナビリティ活動を推進していることから、当社のGHG排出量(Scope1+2)は住友化学グループの実績報告値に加算され、第三者保証対象項目となっております。(※)
当社の2030年のGHG排出量(Scope1+2)の削減目標は2013年度比50%であり、2030年までは、既存プラントの製造プロセスにおける徹底した省エネと、現時点で利用可能な最善の技術の活用による目標達成を目指します。一方、2050年のネットゼロに向けては、既存技術のみでの対応は難しいことから、カーボンネガティブやCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage、工場等から排出されたCO2の回収・有効利用・貯留 )等、革新的な技術の開発と早期の実装を目指し、検討を進めてまいります。
GHG排出量の削減(Scope1+2)ロードマップ
※)2024年度実績については、第三者保証手続き実施中のため暫定値であり、確定実績値は広栄化学レポート
2025に掲載します
(気候関連の機会に対する指標)
前述のシナリオ分析のプロセスにおいて特定した気候関連の機会に関する指標と取り組みは以下のとおりです。
当社は、気候関連の機会に対する指標として、GHG削減貢献量を集計し、公表することといたしました。具体的には、当社製品・技術のカーボンニュートラルに対する貢献度合いをより明確に示す指標として、当社が製品として市場に供給したCO2吸収アミン化合物のCO2吸収パフォーマンス※の累計を、「CO2吸収材等・排出削減貢献製品の効果」として集計・公表することとしました。この指標は、「(1)サステナビリティ全般」に記載の「経営として取り組む重要課題」の目標として2025年度より新たに設定し、「環境負荷低減への貢献」の取り組みを進めます。
アミン化合物は代表的なCO2吸収材であり、100種類を超える多様なアミン化合物ライブラリーを有する当社に対して、近年、CO2吸収材向けアミン化合物の引き合いが増加しております。こうした動きを反映して、2023年度の「CO2吸収材等・排出削減貢献製品の効果」は、2021年度からの累計実績値で「55,900トン-CO2」と、2022年度の累計実績値から「14,200トン-CO2」増加しております。広栄化学レポート2025で開示予定の2024年度の数値は、2023年度から「26,600トン-CO2」増加の「82,500トン-CO2」です。詳細については、広栄化学レポート2025をご参照ください。
CO2吸収材等排出削減貢献製品の効果
※)CO2吸収材等・GHG排出削減貢献製品の効果、算出方法
CO2吸収材として代表的なモノエタノールアミン(MEA)の一般的なCO21トン当たりのアミン補充量を、当社が市場に供給した製品重量から算定した。
(3)人的資本に関する開示
① 戦略
当社は、1917年の創業以来、幾多もの試練や危機を乗り越え、その中で、①大胆な挑戦、②ファーストペンギンとなる勇気、③飽くなき探求心、④オープンイノベーション(外部機関との連携)、⑤一致団結、⑥臨機応変といった「広栄スピリット」とも言うべき無形資産を培ってきました。この貴重な資産をさらに磨きながら活かしていくことで企業価値向上を図ることはもちろんのこと、 リスクマネジメント、 コンプライアンス遵守、 サステナビリティ活動の推進のためには人材こそが最も重要な経営資源と捉えています。当社では、求める人材像として 「自己成長を通じたプロフェッショナル人材」 「当事者意識と主体性をもち、 自らの意思で高い目標を設定し積極的に挑戦する人材」 「One KOEIでベストパフォーマンスを生み出す担い手」を掲げ、人材一人ひとりのエンゲージメント向上に資するよう、以下の3項目を中心に人的投資の充実に取り組んでいきます。
・長期にわたり活躍できるキャリア形成
一人ひとりのキャリア形成やステップアップのために、次への成長機会に繋がる評価、部門間連携の強化に資するローテーションを実施するとともに、生涯にわたって活躍できるよう健康増進施策をより一層充実させていきます。
・自ら学び成長し続けてもらうための機会の提供
業務のプロフェッショナルを目指して自律的に学び、生涯にわたって成長し続けてもらうために、2025年春からスタートさせた社内大学「広栄MANABIYA」において、さまざまな階層や分野のニーズに即した教育カリキュラムを「コア研修」「階層研修」「専門研修」といった形で用意するとともに、研修やスキルの見える化のための教育関連システムを導入しました。
・働きがいのある環境の構築
当社を再び成長軌道に乗せるために、立場や部署などに関係なく、互い(個人、組織両面)の多様な価値観を尊重しながら、現状打破に繋がる多彩な意見やアイデアを出し合い、実現に結び付けられる組織風土を醸成し、心理的安全性の高い職場環境を構築します。
当社は、前中期経営計画(2022年度~2024年度)において、「人材育成強化・加速」を基本方針の一つとして、従業員一人ひとりのパフォーマンスが最大限に発揮されることや社員のやりがい、ワークエンゲージメントの向上に繋げることを目的に、「マネジメント強化」、「中堅社員育成・若手社員の早期戦力化」、「人事制度見直し」を3本柱として人材育成に取り組んできました。
「マネジメント強化」は、執行役員や管理社員のマネジメント力強化に向けた各種研修や研鑽の場の創設を検討 してきており、2024年度は、2023年度に執行役員を対象にスタートしたコーチング研修を部長層を対象に実施しました。また、経営層との対話により課長層の視座をあげることを目的としたセッションも実施しております。
「中堅社員育成・若手社員早期戦力化」に関しては、近年の大幅な生産能力増強に対応して受け入れた多数の社員の早期戦力化を最優先に考えて、入社から一人前になるまでのきめ細かいカリキュラムを用意するなど、教育体系を抜本的に見直し、2025年4月に「一人ひとりが自己成長するためのプラットフォーム」をコンセプトとした社内大学「広栄MANABIYA」としてスタートさせました。当社人材戦略に掲げた「長期にわたり活躍できるキャリア形成」「自ら学び成長し続けるための機会の提供」の実現を目的としており、幅広い主体参加型教育カリキュラムによって、自己成長の機会を社員に提供します。また、「広栄MANABIYA」の開講に合わせてスキルマネジメントシステム「Skillnote」を導入しました。社員が習得すべき知識・スキルや資格を可視化することで、必要なタイミングでの学習を促し、全社員の早期戦力化を図ります。
「人事制度見直し」については、社員一人ひとりがこれまで培ってきた人脈や経験・ノウハウ、知識・スキルといった貴重な無形資産を活用して、思う存分力を発揮し、活力を持って働けるような機会を提供するという観点から制度検討を重ねてきました。その結果、現行60歳である定年年齢を65歳へと段階的に延長し、合わせて定年退職後の再雇用制度の雇用上限年齢についても段階的に延長し、最終的には、一定の要件を満たせば最長70歳までの継続雇用が可能となる制度へと見直しました。
価値創造の基盤づくりという点では、社員の生活の安定や一人ひとりが生き生きとして仕事に取り組める環境づくりを目的に、研修・教育分野以外でも人的資本に関する投資を積極的に進めております。2024年2月に運営を開始した独身寮や専任の看護保健師を中心とした健康増進活動により、社員が健康で生き生き仕事ができる体制を強化しております。
② 指標と目標
当社は、多様な人材が活躍できる環境づくりを目的に、「人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康」のKPIとして、2024年度まで新卒採用に占める女性社員割合及び障がい者雇用率を設定していました。女性社員の割合という点では、2025年3月末時点で13.7%、管理職に占める女性割合は8.6%、係長級に占める女性割合は17.1%となっております。また、障がい者雇用率は、2023年度・2024年度とも3.4%と、目標である2.5%を大きく上回りました。
2025年度からは、さらに積極的に人材面に関する取り組みを強化すべく、 「(1)サステナビリティ情報全般に関する開示 ②指標と目標」に記載の通り、人材:ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、育成・成長、健康に関するKPIとして、「女性社員比率」及び「ワークライフバランス指標」を設定しました。経験者採用を含め、より多様な人材を確保するとともに、長期にわたり活躍できるキャリア形成を会社として積極的にサポートし、働きがいと生きがいを感じてもらうことを目的としています。
人的資本及び多様性についての詳細は、広栄化学レポート2025をご参照ください。