2024年10月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

ソリューション事業 アナリティクス事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
ソリューション事業 783 39.1 133 210.8 16.9
アナリティクス事業 1,205 60.1 -32 -50.5 -2.6
その他 16 0.8 -38 -60.3 -231.6

事業内容

3 【事業の内容】

(1) 事業の特徴

当社は、ビッグデータとAI・機械学習技術で、顧客のマーケティング課題をデータドリブンに解決し、ビジネスの成果創出を支援しています。主たる事業としては、マーケティング用調査・分析・運用ツール「Keywordmap」の開発・提供を行うソリューション事業、ビッグデータ分析や社外のプロ人材を活用して、クライアントのマーケティング活動の利益最大化を支援するDXコンサルティングを提供するアナリティクス事業を展開しています。

ソリューション事業では、「Keywordmap」を主軸に、マーケティングにおける調査、分析、運用を支援するソフトウエアの開発・販売を行っています。

「Keywordmap」は、当社が運営するクローラー(※1)や、データサービスプロバイダー(※2)を通じて取得したビッグデータを、自然言語処理(※3)・機械学習・深層学習技術(※4)と統計学を用いて解析を加えながら、分析用のデータを提供することで、クライアントのデータドリブンに基づいたマーケティング活動を支援するプロダクトです。世界最大級である約2,400万以上の検索キーワードの日本語データベースをもとに市場分析から競合調査、改善点抽出まで、Web戦略で次の打ち手に必要となる調査分析の効率化支援ツールです。

「Keywordmap」は、マーケターのプロとして業務を推進するアナリティクス事業のコンサルタント及びデータアナリストに日々活用されており、彼らの声を新サービスの開発や新機能開発に取り入れることで、「Keywordmap」はよりユーザーに使いやすい実践的なツールへと日々進化を遂げています。そして、「Keywordmap」が進化することで、当社が提供するコンサルティングサービスの質も高められ、両事業において良いシナジーが生まれています。

アナリティクス事業では、マーケティングビッグデータの解析を基盤としたDXコンサルティングを提供しております。当社のデータアナリストが「Keywordmap」や社内外で取得するビッグデータを中心に、定量的・客観的に調査・分析し、クライアントの市場における需要・供給の状況や、競合他社の戦略について的確に把握することで、クライアントのデジタルマーケティングの戦略立案・施策実行・効果測定までを統合的にサポートしています。

自社ツール「Keywordmap」は当社のアナリティクス事業の生産性向上にも寄与しています。「Keywordmap」を活用することで、コンサルティング及び分析、クリエイティブ制作ディレクションなどの業務フローが統一され、高品質なアウトプットを効率的に提供できるほか、人材の育成期間も短縮できています。例えば、膨大なデータを取り扱うデータアナリストの業務は、サービスの品質に大きな影響を与えますが、「Keywordmap」を活用することで、当社ではほぼ未経験の状態でデータアナリストを採用し、早期の戦力化を実現できています。これにより、コンサルティング事業にありがちな人材育成の遅延を要因とする事業成長の鈍化を回避し、順調な事業成長を実現しています。

 

M&A仲介事業では、マーケティングテクノロジーを活用し、主に中堅・中小企業をメインターゲットとして、事業承継ニーズ、または事業再編や「選択と集中」戦略により、自社の企業価値の向上を目的とした譲渡ニーズに対してM&Aの仲介サービスを提供しております。

 

(※)

1.クローラー…一定範囲のウェブサイトに対してルールに基づきサイト内を周期的に巡回してデータを収集する機能

2.データサービスプロバイダー…X(旧Twitter)等のデータを有償提供している企業

3.自然言語処理…人間が日常使っている“言葉”をコンピュータで処理できるようにする一連の技術

4.深層学習技術…コンピュータ上に人間の脳の仕組みを模し、コンピュータ自らがデータの特徴を発見できるようにする技術

 

 

(2) 具体的な製・商品又はサービスの特徴

(ソリューション事業)
「Keywordmap」

独自に取得したビッグデータや、データサービスプロバイダー企業を通じて収集したデータを活用し、検索エンジンマーケティング(※5)に関わるマーケティング調査、分析を支援するクラウド型ソフトウエアです。月額定額制のサブスクリプション型の料金体系です。

 

サービスの特徴は以下のとおりです。

(a) 保有データの精度の高さ

本プロダクトが保有するデータは、日本語のビッグデータを基に独自に開発した自然言語処理を施しています。そのため、表示される分析データにノイズ(※6)が少なく、市場分析に利用可能なデータが多いことが特徴です。

 

(b) 効率的な分析作業が可能

当社では、デジタルマーケティングに関するビッグデータを自社サーバーに保有しています。そのため、クライアントのオーダーを受けて分析データの結果を速やかに表示することができ、クライアントの分析作業時間を短縮することができます。

 

(c) Web上のコンテンツデータが分析対象

当社では独自のクローラーを保有しており、Web上の様々なページのコンテンツデータを自社サーバーに蓄積しています。そのため、競合ツールではデータ抽出の対象が自社サイトや事前に登録したWebサイトに限られる中、「Keywordmap」では全てのWebサイトのコンテンツデータを分析対象とすることができます。

 

(d) マーケター視点での機能設計

デジタルマーケティング上の方法論や有益な示唆を得るための分析手法の実践を想定し、マーケター視点で各機能が設計されています。

 

主要機能は以下のとおりです。

(a) ユーザーニーズ分析

特定のキーワードを指定し検索することで、共起語(※7)、季節要因による検索ボリューム変動等を抽出し、視覚的に把握できる機能です。特定のキーワードを検索する一般消費者がどのような意図やニーズを背景にそのキーワードを検索しているのか、視覚的に表示します。本機能をKeywordmapユーザーが活用することで、顧客の隠れたニーズなどを見出すことができ、コンテンツマーケティングの企画や改善、商品企画時のアイデア立案などに活用できます。

 

(b) 記事作成補助機能

一連の流れに沿って、キーワード選定・記事構成案作成、執筆、チェック、記事構成と文章の見直しを行うことができます。ツールのアドバイスをもとに、記事作成を手軽に効率よく行うことが可能です。ツール内で執筆した内容については、共起語等の推奨ワードの含有率や上位サイトの平均文字数との比較などから算出されたスコアを確認することができます。これにより感覚に頼らないロジックに沿った記事執筆が可能となり、検索エンジンマーケティングの観点で重要な要素を抜け漏れなく盛り込むことができます。また、ChatGPTを活用し、書きたい記事のテーマを入力するだけで、AIが自動で記事の構成案を提案する「AI見出し案自動生成機能」を備えており、短時間で、簡単にトピックにあった見出し案を作ることができます。

 

(c) 運営サイトの評価・レポート

Google Analytics(※8)/Google Search Console(※9)のデータを「Keywordmap」の順位データと組み合わせ、1つの画面で要点をまとめます。各指標から抽出された課題を、視覚的に短時間で把握できます。

 

 

(d) 検索順位の計測

登録済みの注力しているキーワードの日次の動向に加え、サイト全体での想定流入数の推移と検査順位の変動も把握することができ、サイト全体の数値を基にした戦略策定・運用に役立ちます。また、自社のコンテンツ順位の上下から、キーワードグループごとに順位変動を追跡し、競合サイトと比較して重要キーワードの順位勝敗を一目で確認できるなど、キーワードの順位に焦点を当てた様々な調査が可能です。

 

(e) Google Analytics/Google Search Consoleデータの分析

「Keywordmap」で登録した記事URLとGoogle Analytics/Google Search Consoleデータを組み合わせて、記事ごとのパフォーマンスを実数値で確認できます。順位などの重要指標が下がっているページがある場合は、すぐに修正作業へ誘導する導線も用意されており、効果検証から改善施策実行までシームレスな運用が可能です。

 

(f) サイト流入分析

特定のWebサイトのURLを指定し、検索することで、指定したWebサイトの集客に検索エンジン経由で貢献しているキーワードを調査できます。本機能は、自社のWebサイト、他社のWebサイト問わず、URLを指定するだけで、あらゆるWebサイトの分析が可能です。検索エンジンマーケティングでは、競合のWebサイトの集客に寄与するキーワードや流入増減の分析が、自社の検索エンジンマーケティングの成功の可否に影響します。そのため、本機能を通じて効率的な競合調査をすることで、自社にとってより有効なマーケティング施策を推進できます。

 

(g) 一括分析レポート

検索エンジンマーケティングでは、マーケティング施策対象としているキーワードの検索順位は非常に重要な指標のひとつです。そのため、Webサイトの集客に取り組む多くの担当者が定期的に順位を計測しています。通常、こうした検索順位を示すレポート作成には多大な時間を要しますが、本機能を活用すると、半自動的に精度の高いデータを取得し、Excel形式で出力することが可能です。そのため、一つひとつ順位を確認する必要があった従来のレポーティング作業を大幅に削減できます。

 

(h) アルゴリズム分析

検索エンジンマーケティングでは、検索エンジンの順位アルゴリズム(※10)の変更がマーケティング成果に大きく影響します。こうしたアルゴリズム変更の詳細は非公開であり、検索エンジンマーケティングの依存度が高い企業ほどアルゴリズム変更をいち早く察知し、適切な対処ができるか否かが死活問題となります。本機能を活用することで、一切公開されていない検索順位決定アルゴリズムの変更を「変動値」から検知することが可能です。また、どのWebサイトがアルゴリズム変更によって優遇されたのかを視覚的に把握できるため、優遇サイトの分析を通じて間接的にアルゴリズムの変更方針を分析できます。これにより、アルゴリズム変更後も、適切に自社のマーケティング施策を策定でき、より精度の高い検索エンジンマーケティングで安定的な集客を支援します。

 

(i) 広告出稿分析

競合他社のURLを検索すると、当該URLが出稿している広告を分析できる機能です。テキスト広告やバナー広告を分析でき、Keywordmapユーザーは、結果から競合他社がよく利用する訴求文(キャッチコピー)を解析できます。広告効果を高めるためには、消費者の興味関心に合致するテーマを広告クリエイティブ(※11)で表現する必要があり、アドプランナーやデザイナーと呼ばれる広告制作者は日々訴求力が高い広告クリエイティブのアイデア不足に悩んでいます。本機能を活用し、競合他社の訴求を分析することで、自社のクリエイティブのアイデア出しや企画の考案をスムーズに進めることが可能です。

 

 

 

(アナリティクス事業)
DXコンサルティング

企業に対してBtoC及びBtoBマーケティング支援を実施しています。検索エンジンやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上のビッグデータ解析を通して、クライアントの対象顧客の顕在的・潜在的な需要を把握し、最適なコミュニケーション戦略の設計、施策の起案及び実行を行います。

また、オンライン上での見込み顧客の獲得、会員登録、購入・成約など全フローにおいて、クライアントのデジタルトランスフォーメーション(DX)(※12)を包括的に支援しています。例えば、見込み顧客の獲得を目指すフローでは、コンテンツマーケティングの手法を活用し、潜在顧客にアプローチします。コンテンツマーケティングを実施するプラットフォームは、コーポレートサイトやECサイト、YouTube、X(旧Twitter)など、様々です。加えて、ブランディング記事(※13)やホワイトペーパー(※14)のディレクション、展開を通じて顧客の会員登録、商品の購入などを後押ししています。原則、初期調査費用+月額定額制のサブスクリプション型の料金体系です。

DXコンサルティングの特徴は、以下の5つです。

 

(a) ビッグデータの活用

当社が運営するクローラーから取得されるビッグデータを主に、クライアントから提供される事業データやWebサイトのアクセスログといったファーストパーティデータ(※15)など、多様なデータを解析に活用します。季節やトレンド、ターゲットの属性など、さまざまな観点から緻密な分析を重ねることで、データに基づいた説得力の高いアウトプットを提供しています。

 

(b) スイッチングオプション型のサービス提供

当社では、異なる領域における施策を組み合わせて提供するスイッチングオプション型のサービス形態を採用しています。マーケティングコンサルティング業界では一般的に、検索エンジンマーケティングやソーシャルメディアマーケティング、アクセス解析など、特定の領域の施策を一定期間にわたって縦割りで提供するサービス形態が取られています。しかし、有効なマーケティング施策を見出すには多角的なアプローチが必要であり、特定の領域に偏ったコンサルティングでは、クライアントの根幹となる課題を解決することは困難です。こうした業界の特徴に対し、当社ではスイッチングオプション型でサービスを提供することにより、各領域の進度に応じて臨機応変に施策を推進しています。そのため、クライアントのビジネス目標の達成に本質的にコミットすることが可能です。また、多岐にわたるマーケティング施策をワンストップで利用できるサービスのため、クライアントにとってはコストの観点からも当社のサービスを採用するメリットがあります。領域ごとに複数の企業へ発注した場合と比較し、コストダウンが図れる点も、本サービスがクライアントから支持される理由の一つです。

 

(c) 施策の起案から実行までサポートする組織体制

クライアントのビジネス目標に応じて、施策の提案、代行、効果測定、改善まで全フローをサポートしています。当社では、1つのプロジェクトに対しコンサルタント、アナリスト、コンテンツディレクターの3職種で連携し、サービスを提供しています。コンサルタントがプロジェクト全体を管理し、アナリストが戦略・施策の立案、効果測定を担い、コンテンツディレクターは記事や広告など各種クリエイティブのディレクションを担当します。クライアントのビジネス目標達成に向けて3職種が協業することで、全フローでのサポートを可能にし、サービスの最大化を図っています。

また、2021年11月からは当社が提携しているマーケティングプロ人材と共にクライアントの課題解決をサポートする「エキスパートソーシングサービス」の提供を開始しました。既存事業やマーケター向けWebメディア「Marketing Native」の運営を通じて培ってきたネットワークから、様々なマーケティング領域のプロ人材に登録いただいており、施策の企画や代行に加え、クライアント社内のコア業務の強化にも貢献する体制を整備しております。

 

(d) 施策代行サービスの提供

コンサルタントが提案した施策をクライアントに代わり実行する以下のサービスを提供しています。

コンテンツ制作/ディレクション代行サービス

当社が擁するクリエイティブのプロフェッショナル人材が、コンテンツマーケティングにおけるクライアントの業務プロセスをハンドリングし、実行フェーズをハンズオン(※16)でサポートするサービスを提供しています。

コンテンツマーケティングで成果創出できない理由のうち、大きな割合を占めるのは「施策の実施に割ける時間がない」「質の高い実行ができない」といった問題が挙げられます。こうした状況を解消すべく、クライアントのコンテンツの企画や制作を代行しています。ライターへの発注を含むコンテンツ制作全体のディレクションを実施するため、クライアントは、コンテンツマーケティング業務において生じる多様で膨大な実務の削減が可能です。

現在、当社ではコンテンツの制作ディレクション領域において、主に下記の業務を必要に応じて組み合わせ、提供しています。

・記事/資料制作

・画像/動画制作

・コンテンツ構成案の作成

・取材/監修ディレクション

・編集業務

 

広告運用代行サービス

当社のアナリストがインターネット広告の出稿戦略立案から運用まで、ワンストップで代行し、クライアントの獲得顧客数の増加及び顧客獲得効率の改善に寄与します。インターネット広告には、リスティング広告(※17)、ネイティブ広告(※18)、SNS広告、動画広告などが挙げられます。

通常の運用代行サービスで活用されるプラットフォームデータに加え、「Keywordmap」のデータを活用することにより、クライアントが競合とする企業の出稿戦略及び対象顧客のニーズを把握できます。そのため、競合先の施策に応じた出稿戦略の立案・実行が可能です。

料金体系は、出稿金額に一定の料率を乗じた金額を、運用手数料としていただいています。

 

(e) 3職種の専門性の高さ

コンサルタント、アナリスト、コンテンツディレクターの3職種は、それぞれが担当する領域でPDCAを繰り返し、実践的なノウハウを豊富にストックしています。役割分担を明確にし、3職種が強みを伸ばすことで、高い専門性を担保しています。

 コンサルタント

成果創出を重視したプロジェクトマネジメントを推進しています。クライアントのビジネス目標達成に向けてロードマップの設計、KPIを設定し、進捗に応じて有効な施策を提案・実行しています。

 

 アナリスト

データ解析力の高さが大きな強みです。当社が保有する膨大なビッグデータを主な分析対象として、客観的かつ定量的な戦略・施策を立案します。

 

 コンテンツディレクター

編集・デザインに強みを持った編集経験豊富な社員が多く在籍しています。論旨明快な記事は、クライアントの評価を得るとともにクライアントのWebサイトへの訪問者数の増加にも貢献しています。また、クライアントのニーズに応じて、ブランディング記事の作成やWebサイトの改修提案、ホワイトペーパーのディレクションなど、多様なアプローチでコンテンツマーケティングを推進しています。

 

 

(※)

5.検索エンジンマーケティング…検索エンジン上で実施する、Webサイトへの訪問者を増やすためのマーケティング手法

6.ノイズ…日常で使用される頻度が低いキーワードを指します。

  例:「コンテンツ」「こんてんつ」「contentsu」の場合、言葉としての意味は同じものですが、「こんてんつ」「contentsu」に関しては、精度が低いデータ「ノイズ」と定義しています。

7.共起語…指定したキーワードを含む文章、あるいはその周辺に同時かつ頻繁に出現する他の単語を指します。情報網羅性・専門性が高い文章を作成する際に必要なデータとなります。

8.Google Analytics…Googleが無料で提供するWebページのアクセス解析サービス

9.Google Search Console…Googleが無料で提供する検索流入や検索順位の計測サービス

10.アルゴリズム…アルゴリズムという単語自体は「問題を解決するために考えられた手順や計算方法」と訳されますが、Webマーケティング領域においてはWebサービスを構成する各々のルールやメカニズムを意味します。このアルゴリズムに沿って検索結果の表示順位が決まります。

11.広告クリエイティブ…Web広告の形式や表現を指します。主に広告テキスト、広告静止画、広告動画などが広告クリエイティブとして挙げられます。

12.デジタルトランスフォーメーション(DX)…企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを言います。

13.ブランディング記事…企業あるいは商品・サービスのブランディングに寄与させる目的で作成する記事

14.ホワイトペーパー…企業が抱える課題を解決するために役立つ資料のことです。一般的に資料提供と引き換えにリード情報を獲得することを目的として作成・配布されます。

15.ファーストパーティデータ…顧客やサイト訪問者などに関する企業の自社データ

16.ハンズオン…直接手を動かす形で介入/関与するという意味

17.リスティング広告…検索エンジン上で、検索キーワードに関連した広告を、検索結果画面に表示するもの。検索連動型広告とも呼ばれる。

18.ネイティブ広告…デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告(一般社団法人インターネット広告推進協議会の定義)

 

 

(M&A仲介事業)

当社のM&A仲介サービスは、会社売却を希望されている経営者に、初期のご相談から、売却見込額の査定、買い手候補企業・譲渡スキームの提案、必要資料の準備、買い手候補の選定、買い手候補への提案、買い手候補との面談、条件交渉、基本合意、デューデリジェンスのアレンジ、最終契約に至るまでワンストップで支援するサービスです。

当社では、マーケティングテクノロジーを活用し、主に中堅・中小企業をメインターゲットとして、事業承継ニーズ、または事業再編や「選択と集中」戦略により、自社の企業価値の向上を目的とした譲渡ニーズに対してM&Aの仲介サービスを提供しております。

ビッグデータ収集と活用という当社の強みを活かして、上場企業・未上場企業問わず3万件以上のM&A実績データの自動収集機能と、買い手企業データを自動収集して分析する独自システム「CAMM DB(キャムディービー)(※19)」を開発いたしました。これにより、マッチング業務の効率化を行い、新規案件の創出を加速させており、業界歴10年以上・業界特化のプロアドバイザーがこのビッグデータを最大限活用しご提案を行っております。

また、2024年8月16日開催の取締役会の決議に基づき、2024年11月1日を効力発生日として、当社のM&A仲介事業の権利義務を、新設分割により設立された当社の完全子会社である新設会社、株式会社CINC Capitalに承継しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

(※)19.「CAMM DB(キャムディービー)」とは「CINC AI M&A Matching DataBase」の略称

 

〔事業系統図〕

当社の事業系統図は、以下のとおりであります。

 


 

 

業績

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当事業年度(2023年11月1日から2024年10月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が克服されていく中、経済社会活動の正常化が進みつつある一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格の高騰や世界的な物価上昇、円安の進行など先行きは依然として不透明な状態が続いております。

当社が展開するサービスを取り巻く環境は、インターネット、スマートフォン、SNSの普及によりデジタルチャネルでの購買が一般化してきたこと、新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけにオフラインでのマーケティング活動が制限されたこと等により、企業のマーケティング活動のデジタルシフトが続いており、当社が事業を展開するDXコンサルティングや「Keywordmap」等のデジタルマーケティングを支援するサービスへの需要は引続き拡大傾向にあります。一方で、2023年3月に発表されたX社のAPIの仕様変更、API利用料金の有料化などの既存プラットフォーマーの方針変更、米国のOpenAI社が提供する「ChatGPT」(文章生成モデル)の台頭に代表されるような技術的な進化など劇的な変化が起きています。

このような経営環境のもと、当事業年度の売上高は1,985,268千円(前期比2.1%増)、売上総利益は1,316,358千円(前期比3.6%減)となりました。利益面につきましては、広告宣伝費、外注費、社内開発費用の増加により営業利益は62,979千円(前期比20.1%減)、経常利益は65,042千円(前期比16.5%減)となりました。当期純利益につきましては、51,924千円(前期比886.5%増)となりました。当期純利益が前期から大幅に増加した要因としては、前事業年度に「Keywordmap for SNS」のサービス縮小の決定に伴い特別損失(減損損失)の計上があったことによるものであります。

事業ごとの売上高及びセグメント利益は以下のとおりになります。

 

(ソリューション事業)

ソリューション事業は、「Keywordmap」については、企業の多様化するニーズに対応することを目的とし、ハイリテラシー層からライトユーザー層まで幅広いユーザー層に対応するために、初心者向けのガイド機能の追加やコンテンツの制作・運用のサポート対象範囲を拡張するなど、2023年11月に大幅な刷新を行いました。

第1四半期会計期間は営業人員の不足により新規案件の獲得が鈍化していましたが、営業体制強化を行ったことが功を奏し新規案件の獲得が回復しました。また、カスタマーサクセスチームに関しては、2023年11月の大幅リニューアルによりユーザーの利便性が向上したこと、ツールの提供に加えて顧客のマーケティング業務の実行支援を行うサービスの提供を強化したことで、既存顧客からのアップセルが増加しました。

「Keywordmap for SNS」については、X社から提供されるAPIの仕様変更の発表によりサービス提供環境の厳しさが増したため、2024年4月30日をもって「Keywordmap for SNS」の提供を終了しました。

その結果、当セグメントの売上高は783,420千円(前期比11.8%減)と減収となった一方で、サーバー費用、データ購入費、広告宣伝費、営業人員の人件費が減少したため、セグメント利益は132,788千円(前期比130.5%増)となりました。

 

(アナリティクス事業)

アナリティクス事業は、マーケティングDXコンサルティングサービスにおいては、顧問サービスを活用したマーケティング施策が順調に推移し、大手企業との取引が拡大しました。また、生成AIを活用した業務効率化のシステム開発を行いました。これにより、コンサルタント1人当たりの生産性が向上しました。一方、離職及び採用遅延により、営業人員とコンサルタント人員が不足し、新規案件の獲得及び既存顧客からの案件継続が減少しました。

エキスパートソーシングサービスにおいては、顧客獲得のための営業体制の構築、プロ人材の効率的な獲得のための広告宣伝活動、自動マッチング機能などの営業効率改善のためのシステム投資を行いました。 

その結果、当セグメントの売上高は1,205,217千円(前期比11.7%増)と増収となった一方で、広告宣伝費、人件費、業務効率化のための開発費用が増加したため、セグメント損失は31,819千円(前期はセグメント利益21,176千円)となりました。

 

(その他)

その他は、当社が2023年11月に開始したM&A仲介事業により構成されています。

第3四半期会計期間には、初めての案件が成約しました。また、M&A仲介歴10年以上のM&Aコンサルタントとパートナーシップを形成し、新規案件の創出を行っており、仲介契約の締結も順調に進捗しています。さらに、上場企業・未上場企業問わず3万件以上のM&A実績データの自動収集機能と、買い手企業データを自動収集して分析する独自システム「CAMM DB(キャムディービー)(※1)」を開発いたしました。これにより、マッチング業務の効率化を行い、新規案件の創出を加速させています。

その結果、当セグメントの売上高は16,400千円、セグメント損失は37,989千円となりました。

 

(※1)「CAMM DB(キャムディービー)」とは「CINC AI M&A Matching DataBase」の略称

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の資産については、前事業年度末に比べて69,588千円増加し、1,910,567千円となりました。

これは主に現金及び預金の増加(前事業年度末比74,736千円の増加)、繰延税金資産の増加(前事業年度末比14,780千円の増加)、従業員に対する長期貸付金の増加(前事業年度末比13,000千円の増加)、前払費用の減少(前事業年度末比11,917千円の減少)によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末の負債については、前事業年度末に比べて37,003千円増加し、395,625千円となりました。

これは主に、未払金の増加(前事業年度末比35,772千円の増加)、未払消費税等の増加(前事業年度末比16,206千円の増加)、買掛金の増加(前事業年度末比14,879千円の増加)、未払法人税等の増加(前事業年度末比13,667千円の増加)、借入金の減少(前事業年度末比54,924千円の減少)によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産につきましては、前事業年度末に比べて32,585千円増加し、1,514,942千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加(前事業年度末比51,924千円の増加)、自己株式の取得による減少(前事業年度末比21,946千円の減少)によるものであります。

なお、第3四半期会計期間に減資を実施し資本金467,443千円をその他資本剰余金に振り替えております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,352,454千円となり、前事業年度末残高に比べ74,736千円増加いたしました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は205,421千円(前事業年度は17,016千円の支出)となりました。

これは主に、税引前当期純利益65,043千円、減価償却費53,593千円、未払金の増加により29,964千円の増加、法人税等の還付21,934千円の収入、一方で減少要因は、未払法人税等の減少による15,429千円の減少、法人税等の支払いによる14,848千円の支出によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は56,423千円(前事業年度は127,908千円の支出)となりました。

これは主に、無形固定資産の取得による支出42,929千円、従業員に対する長期貸付けによる支出13,000千円、有形固定資産の取得による支出771千円、敷金及び保証金の返還による収入277千円を計上したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は74,261千円(前事業年度は100,867千円の支出)となりました。

これは、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の返済による支出54,924千円、自己株式の取得による支出21,946千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入2,608千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績の記載を省略しております。

 

(b) 受注実績

当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、受注実績の記載を省略しております。

 

 

(c) 販売実績

第11期事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソリューション事業

783,420

△11.8

アナリティクス事業

1,205,217

+11.7

その他

16,400

合計

2,005,038

+1.9

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

3.「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、M&A仲介事業であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度における当社の売上高は、1,985,268千円(前事業年度比2.1%増加)となりました。ソリューション事業の「Keywordmap for SNS」はサービス終了となりましたが、アナリティクス事業のDXコンサルティングサービス等の案件獲得が堅調に進捗したことによるものであります。

 

(営業利益)

当事業年度における当社の営業利益は、62,979千円(前事業年度比20.1%減少)となりました。ソリューション事業においては、「Keywordmap for SNS」の終了に伴い、サーバー費、データ購入費、営業人員などの費用も減少したため営業利益は前期に比べ増益となりました。一方で、アナリティクス事業においては人件費、業務効率化のための開発費用、エキスパートソーシングサービスの広告宣伝費が増加し、営業損失となりました。また、新規事業(M&A仲介事業)の立ち上げに伴う人件費、広告宣伝費等先行投資を行ったことにより、全体として前年同期比で営業利益が大きく減少しました。

 

(営業外損益・経常利益)

当事業年度における営業外収益は、2,708千円(前事業年度比3,107.4%増加)となりました。これは主に助成金収入によるものです。

また、営業外費用は、645千円(前事業年度比33.0%減少)となりました。これは主に支払利息の減少によるものです。

以上の結果、当事業年度の経常利益は、65,042千円(前事業年度比16.5%減少)となりました。

 

 

(特別損益・税引前当期純利益・法人税等・当期純利益)

当事業年度における特別利益は新株予約権戻入益を1千円計上、特別損失の計上はありませんでした。その結果、税引前当期純利益は、65,043千円(前事業年度比211.8%増加)となりました。

また、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計13,118千円を計上したことにより、当事業年度の当期純利益は、51,924千円(前事業年度比886.5%増加)となりました。

税引前当期純利益、及び当期純利益が前期から大幅に増加した要因としては、前事業年度に「Keywordmap for SNS」のサービス縮小の決定に伴い特別損失(減損損失)の計上があったことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社の所有資金は、運転資金及び事業拡大に伴う、新サービスに関連するソフトウエア等の投資資金となっています。これらの資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した自己資金を充当することを基本としておりますが、資金需要及び金利動向等の調達環境を考慮し、金融機関からの借入等、外部資金を調達する場合があります。

また、資金の流動性については、当事業年度末現在、現金及び預金が1,352,454千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、より一層、十分な流動性を維持していく考えであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、常に、事業環境に留意するとともに、組織体制の整備、優秀な人材の確保等により、リスク要因に対応してまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

当社は、あらゆるデータを様々な分析手法で活用し、革新的ソリューションを提供することにより、「マーケティングソリューションで日本を代表する企業へ」というビジョンのもと、マーケティングの効率化・品質向上を支援するソリューション事業、データアナリストによるデータ解析、コンサルテーションを実施するアナリティクス事業を拡大してまいりました。

今後の方針としましても、引き続き市場の拡大が見込まれる当該事業領域へ経営資源を投入することで中長期の持続的な成長を目指してまいります。経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

 経営戦略の現状と見通し

経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。