事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
-
セグメント別売上構成
-
セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
-
セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
ソリューション事業 | 888 | 45.1 | 58 | 73.1 | 6.5 |
アナリティクス事業 | 1,079 | 54.9 | 21 | 26.9 | 2.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) 事業の特徴
当社は、ビッグデータとAI・機械学習技術で、顧客のマーケティング課題をデータドリブンに解決し、ビジネスの成果創出を支援しています。主たる事業としては、マーケティング用調査・分析・運用ツール「Keywordmap」の開発・提供を行うソリューション事業、「Keywordmap」や社外のプロ人材を活用して、クライアントのマーケティング活動の利益最大化を支援するDXコンサルティングを提供するアナリティクス事業を展開しています。
ソリューション事業では、「Keywordmap」を主軸に、マーケティングにおける調査、分析、運用を支援するソフトウエアの開発・販売を行っています。
「Keywordmap」は、当社が運営するクローラー(※1)や、データサービスプロバイダー(※2)を通じて取得したビッグデータを、自然言語処理(※3)・機械学習・深層学習技術(※4)と統計学を用いて解析を加えながら、分析用のデータを提供することで、クライアントのデータドリブンに基づいたマーケティング活動を支援するプロダクトです。世界最大級である約2,300万以上の検索キーワードの日本語データベースをもとに市場分析から競合調査、改善点抽出まで、Web戦略で次の打ち手に必要となる調査分析の効率化支援ツールです。
「Keywordmap」は、マーケターのプロとして業務を推進するアナリティクス事業のコンサルタント及びデータアナリストに日々活用されており、彼らの声を新サービスの開発や新機能開発に取り入れることで、「Keywordmap」はよりユーザーに使いやすい実践的なツールへと日々進化を遂げています。そして、「Keywordmap」が進化することで、当社が提供するコンサルティングサービスの質も高められ、両事業において良いシナジーが生まれています。
アナリティクス事業では、「Keywordmap」を活用し、マーケティングビッグデータの解析を基盤としたDXコンサルティングを提供しております。当社のデータアナリストが「Keywordmap」が保有するビッグデータを中心に、多量かつ多様なデータを、定量的・客観的に調査・分析し、クライアントの市場における需要・供給の状況や、競合他社の戦略について的確に把握することで、クライアントのデジタルマーケティングの戦略立案・施策実行・効果測定までを統合的にサポートしています。
自社ツール「Keywordmap」は当社のアナリティクス事業本部の生産性向上にも寄与しています。「Keywordmap」を活用することで、コンサルティング及び分析、クリエイティブ制作ディレクションなどの業務フローが統一され、高品質なアウトプットを効率的に提供できるほか、人材の育成期間も短縮できています。例えば、膨大なデータを取り扱うデータアナリストの業務は、サービスの品質に大きな影響を与えますが、「Keywordmap」を活用することで、当社ではほぼ未経験の状態でデータアナリストを採用し、早期の戦力化を実現できています。これにより、コンサルティング事業にありがちな人材育成の遅延を要因とする事業成長の鈍化を回避し、順調な事業成長を実現しています。
(※)
1.クローラー…一定範囲のウェブサイトに対してルールに基づきサイト内を周期的に巡回してデータを収集する機能
2.データサービスプロバイダー…X(旧Twitter)等のデータを有償提供している企業
3.自然言語処理…人間が日常使っている“言葉”をコンピュータで処理できるようにする一連の技術
4.深層学習技術…コンピュータ上に人間の脳の仕組みを模し、コンピュータ自らがデータの特徴を発見できるようにする技術
(2) 具体的な製・商品又はサービスの特徴
(ソリューション事業)
「Keywordmap」
独自に取得したビッグデータや、データサービスプロバイダー企業を通じて収集したデータを活用し、検索エンジンマーケティング(※5)に関わるマーケティング調査、分析を支援するクラウド型ソフトウエアです。月額定額制のサブスクリプション型の料金体系です。
サービスの特徴は以下のとおりです。
(a) 保有データの精度の高さ
本プロダクトが保有するデータは、日本語のビッグデータを基に独自に開発した自然言語処理を施しています。そのため、表示される分析データにノイズ(※6)が少なく、市場分析に利用可能なデータの量が多いのが当社保有データの特徴です。
(b) 効率的な分析作業が可能
当社では、デジタルマーケティングに関するビッグデータを自社サーバーに保有しています。そのため、クライアントのオーダーを受けて分析データの結果を速やかに表示することができ、クライアントの分析作業時間を短縮することができます。
(c) Web上のコンテンツデータが分析対象
当社では独自のクローラーを保有しており、Web上の様々なページのコンテンツデータを自社サーバーに蓄積しています。そのため、競合ツールではデータ抽出の対象が自社サイトや事前に登録したWebサイトに限られる中、Keywordmapでは全てのWebサイトのコンテンツデータを分析対象とすることができます。
(d) マーケター視点での機能設計
デジタルマーケティング上の方法論や有益な示唆を得るための分析手法の実践を想定し、マーケター視点で各機能が設計されています。
主要機能は以下のとおりです。
(a) ユーザーニーズ分析
特定のキーワードを指定し検索することで、共起語(※7)、季節要因による検索ボリューム変動等を抽出し、視覚的に把握できる機能です。特定のキーワードを検索する一般消費者がどのような意図やニーズを背景にそのキーワードを検索しているのか、視覚的に表示します。本機能をKeywordmapユーザーが活用することで、顧客の隠れたニーズなどを見出すことができ、コンテンツマーケティングの企画や改善、商品企画時のアイデア立案などに活用できます。
(b) 記事作成補助機能
一連の流れに沿って、キーワード選定・記事構成案作成・執筆・チェック・記事構成と文章の見直しを行うことができます。ツールのアドバイスをもとに、記事作成を手軽に効率よく行うことが可能です。ツール内で執筆した内容については、共起語等の推奨ワードの含有率や上位サイトの平均文字数との比較などから算出されたスコアを確認することができます。これにより感覚に頼らないロジックに沿った記事執筆が可能となり、検索エンジンマーケティングの観点で重要な要素を抜け漏れなく盛り込むことができます。また、ChatGPTを活用し、書きたい記事のテーマを入力するだけで、AIが自動で記事の構成案を提案する「AI見出し案自動生成機能」を備えており、短時間で、簡単にトピックにあった見出し案を作ることができます。
(c) 運営サイトの評価・レポート
Google Analytics(※8)/Google Search Console(※9)のデータをKeywordmapの順位データと組み合わせ、1つの画面で要点をまとめます。各指標から抽出された課題を、視覚的に短時間で把握できます。
(d) 検索順位の計測
登録済みの注力しているキーワードの日次の動向に加え、サイト全体での想定流入数の推移と検査順位の変動も把握することができ、サイト全体の数値を基にした戦略策定・運用に役立ちます。また、自社のコンテンツ順位の上下から、キーワードグループごとに順位変動を追跡し、競合サイトと比較して重要キーワードの順位勝敗を一目で確認できるなど、キーワードの順位に焦点を当てた様々な調査が可能です。
(e) Google Analytics/Google Search Consoleデータの分析
Keywordmapで登録した記事URLとGoogle Analytics/Google Search Consoleデータを組み合わせて、記事ごとのパフォーマンスを実数値で確認できます。順位などの重要指標が下がっているページがある場合は、すぐに修正作業へ誘導する導線も用意されており、効果検証から改善施策実行までシームレスな運用が可能です。
(f) サイト流入分析
特定のWebサイトのURLを指定し、検索することで、指定したWebサイトの集客に検索エンジン経由で貢献しているキーワードを調査できます。本機能は、自社のWebサイト、他社のWebサイト問わず、URLを指定するだけで、あらゆるWebサイトの分析が可能です。検索エンジンマーケティングでは、競合のWebサイトの集客に寄与するキーワードや流入増減の分析が、自社の検索エンジンマーケティングの成功の可否に影響します。そのため、本機能を通じて効率的な競合調査をすることで、自社にとってより有効なマーケティング施策を推進できます。
(g) 一括分析レポート
検索エンジンマーケティングでは、マーケティング施策対象としているキーワードの検索順位は非常に重要な指標のひとつです。そのため、Webサイトの集客に取り組む多くの担当者が定期的に順位を計測しています。通常、こうした検索順位を示すレポート作成には多大な時間を要しますが、本機能を活用すると、半自動的に精度の高いデータを取得し、Excel形式で出力することが可能です。そのため、一つひとつ順位を確認する必要があった従来のレポーティング作業を大幅に削減できます。
(h) アルゴリズム分析
検索エンジンマーケティングでは、検索エンジンの順位アルゴリズム(※10)の変更がマーケティング成果に大きく影響します。こうしたアルゴリズム変更の詳細は非公開であり、検索エンジンマーケティングの依存度が高い企業ほどアルゴリズム変更をいち早く察知し、適切な対処ができるか否かが死活問題となります。本機能を活用することで、一切公開されていない検索順位決定アルゴリズムの変更を「変動値」から検知することが可能です。また、どのWebサイトがアルゴリズム変更によって優遇されたのかを視覚的に把握できるため、優遇サイトの分析を通じて間接的にアルゴリズムの変更方針を分析できます。これにより、アルゴリズム変更後も、適切に自社のマーケティング施策を策定でき、より精度の高い検索エンジンマーケティングで安定的な集客を支援します。
(i) 広告出稿分析
競合他社のURLを検索すると、当該URLが出稿している広告を分析できる機能です。テキスト広告やバナー広告を分析でき、Keywordmapユーザーは、結果から競合他社がよく利用する訴求文(キャッチコピー)を解析できます。広告効果を高めるためには、消費者の興味関心に合致するテーマを広告クリエイティブ(※11)で表現する必要があり、アドプランナーやデザイナーと呼ばれる広告制作者は日々訴求力が高い広告クリエイティブのアイデア不足に悩んでいます。本機能を活用し、競合他社の訴求を分析することで、自社のクリエイティブのアイデア出しや企画の考案をスムーズに進めることが可能です。
(アナリティクス事業)
DXコンサルティング
企業に対してBtoC及びBtoBマーケティング支援を実施しています。検索エンジンやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上のビッグデータ解析を通して、クライアントの対象顧客の顕在的・潜在的な需要を把握し、最適なコミュニケーション戦略及び施策の立案を行います。
また、オンライン上での見込み顧客の獲得、会員登録、購入・成約など全フローにおいて、クライアントのデジタルトランスフォーメーション(DX)(※12)を包括的に支援しています。例えば、見込み顧客の獲得を目指すフローでは、コンテンツマーケティングの手法を活用し、潜在顧客にアプローチします。コンテンツマーケティングを実施するプラットフォームは、コーポレートサイトやECサイト、YouTube、X(旧Twitter)など、様々です。加えて、ブランディング記事(※13)やホワイトペーパー(※14)のディレクション、展開を通じて顧客の会員登録、商品の購入などを後押ししています。原則、初期調査費用+月額定額制のサブスクリプション型の料金体系です。
DXコンサルティングの特徴は、以下の5つです。
(a) ビッグデータの活用
当社が運営するクローラーから取得されるビッグデータを主に、クライアントから提供される事業データやWebサイトのアクセスログといったファーストパーティデータ(※15)など、多様なデータを解析に活用します。季節やトレンド、ターゲットの属性など、さまざまな観点から緻密な分析を重ねることで、データに基づいた説得力の高いアウトプットを提供しています。
(b) スイッチングオプション型のサービス提供
当社では、異なる領域における施策を組み合わせて提供するスイッチングオプション型のサービス形態を採用しています。マーケティングコンサルティング業界では一般的に、検索エンジンマーケティングやソーシャルメディアマーケティング、アクセス解析など、特定の領域の施策を一定期間にわたって縦割りで提供するサービス形態が取られています。しかし、有効なマーケティング施策を見いだすには多角的なアプローチが必要であり、特定の領域に偏ったコンサルティングでは、クライアントの根幹となる課題を解決することは困難です。こうした業界の特徴に対し、当社ではスイッチングオプション型でサービスを提供することにより、各領域の進度に応じて臨機応変に施策を推進しています。そのため、クライアントのビジネス目標の達成に本質的にコミットすることが可能です。また、多岐にわたるマーケティング施策をワンストップで利用できるサービスのため、クライアントにとってはコストの観点からも当社のサービスを採用するメリットがあります。領域ごとに複数の企業へ発注した場合と比較し、コストダウンが図れる点も、本サービスがクライアントから支持される理由の一つです。
(c) 施策の起案から実行までサポートする組織体制
クライアントのビジネス目標に応じて、施策の提案、代行、効果測定、改善まで全フローをサポートしています。当社では、1つのプロジェクトに対しコンサルタント、アナリスト、コンテンツディレクターの3職種で連携し、サービスを提供しています。コンサルタントがプロジェクト全体を管理し、アナリストが戦略・施策の立案、効果測定を担い、コンテンツディレクターは記事や広告など各種クリエイティブのディレクションを担当します。クライアントのビジネス目標達成に向けて3職種が協業することで、全フローでのサポートを可能にし、サービスの最大化を図っています。
また、2021年11月からは当社が提携しているマーケティングプロ人材と共にクライアントの課題解決をサポートする「エキスパートソーシングサービス」の提供を開始しました。既存事業やマーケター向けWebメディア「Marketing Native」の運営を通じて培ってきたネットワークから、様々なマーケティング領域のプロ人材に登録いただいており、施策の企画や代行に加え、クライアント社内のコア業務の強化にも貢献する体制を整備しております。
(d) 施策代行サービスの提供
コンサルタントが提案した施策をクライアントに代わり実行する以下のサービスを提供しています。
コンテンツ制作/ディレクション代行サービス
当社が擁するクリエイティブのプロフェッショナル人材が、コンテンツマーケティングにおけるクライアントの業務プロセスをハンドリングし、実行フェーズをハンズオン(※16)でサポートするサービスを提供しています。
現在、当社ではコンテンツの制作ディレクション領域において、主に下記の業務を必要に応じて組み合わせ、提供しています。
・記事/資料制作
・画像/動画制作
・コンテンツ構成案の作成
・取材/監修ディレクション
・編集業務
広告運用代行サービス
当社のアナリストがインターネット広告の出稿戦略立案から運用まで、ワンストップで代行し、クライアントの獲得顧客数の増加及び顧客獲得効率の改善に寄与します。インターネット広告には、リスティング広告(※17)、ネイティブ広告(※18)、SNS広告、動画広告などが挙げられます。
通常の運用代行サービスで活用されるプラットフォームデータに加え、「Keywordmap」のデータを活用することにより、クライアントが競合とする企業の出稿戦略及び対象顧客のニーズを把握できます。そのため、競合先の施策に応じた出稿戦略の立案・実行が可能です。
料金体系は、出稿金額に一定の料率を乗じた金額を、運用手数料としていただいています。
(e) 3職種の専門性の高さ
コンサルタント、アナリスト、コンテンツディレクターの3職種は、それぞれが担当する領域でPDCAを繰り返し、実践的なノウハウを豊富にストックしています。役割分担を明確にし、3職種が強みを伸ばすことで、高い専門性を担保しています。
コンサルタント
成果創出を重視したプロジェクトマネジメントを推進しています。クライアントのビジネス目標達成に向けてロードマップの設計、KPIを設定し、進捗に応じて有効な施策を提案・実行しています。
アナリスト
データ解析力の高さが大きな強みです。当社が保有する膨大なビッグデータを主な分析対象として、客観的かつ定量的な戦略・施策を立案します。
コンテンツディレクター
編集・デザインに強みを持った編集経験豊富な社員が多く在籍しています。論旨明快な記事は、クライアントの評価を得るとともにクライアントのWebサイトへの訪問者数の増加にも貢献しています。また、クライアントのニーズに応じて、ブランディング記事の作成やWebサイトの改修提案、ホワイトペーパーのディレクションなど、多様なアプローチでコンテンツマーケティングを推進しています。
(※)
5.検索エンジンマーケティング…検索エンジン上で実施する、Webサイトへの訪問者を増やすためのマーケティング手法
6.ノイズ…日常で使用される頻度が低いキーワードを指します。
例:「コンテンツ」「こんてんつ」「contentsu」の場合、言葉としての意味は同じものですが、「こんてんつ」「contentsu」に関しては、精度が低いデータ「ノイズ」と定義しています。
7.共起語…指定したキーワードを含む文章、あるいはその周辺に同時かつ頻繁に出現する他の単語を指します。情報網羅性・専門性が高い文章を作成する際に必要なデータとなります。
8.Google Analytics…Googleが無料で提供するWebページのアクセス解析サービス
9.Google Search Console…Googleが無料で提供する検索流入や検索順位の計測サービス
10.アルゴリズム…アルゴリズムという単語自体は「問題を解決するために考えられた手順や計算方法」と訳されますが、Webマーケティング領域においてはWebサービスを構成する各々のルールやメカニズムを意味します。このアルゴリズムに沿って検索結果の表示順位が決まります。
11.広告クリエイティブ…Web広告の形式や表現を指します。主に広告テキスト、広告静止画、広告動画などが広告クリエイティブとして挙げられます。
12.デジタルトランスフォーメーション(DX)…企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することを言います。
13.ブランディング記事…企業あるいは商品・サービスのブランディングに寄与させる目的で作成する記事
14.ホワイトペーパー…企業が抱える課題を解決するために役立つ資料のことです。一般的に資料提供と引き換えにリード情報を獲得することを目的として作成・配布されます。
15.ファーストパーティデータ…顧客やサイト訪問者などに関する企業の自社データ
16.ハンズオン…直接手を動かす形で介入/関与するという意味
17.リスティング広告…検索エンジン上で、検索キーワードに関連した広告を、検索結果画面に表示するもの。検索連動型広告とも呼ばれる。
18.ネイティブ広告…デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告(一般社団法人インターネット広告推進協議会の定義)
〔事業系統図〕
当社の事業系統図は、以下のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度(2022年11月1日から2023年10月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する制限の緩和とそれに伴う経済活動の正常化が進む一方で、ウクライナ情勢の長期化による国際情勢不安を背景に、エネルギー価格や原材料価格の高騰、各国における金融政策の引き締めなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
一方で、当社が展開するサービスを取り巻く環境は、インターネット、スマートフォン、SNSの普及によりデジタルチャネルでの購買が一般化してきたことにより、企業のマーケティング活動のデジタルシフトが続いており、当社が事業を展開するDXコンサルティングや「Keywordmap」シリーズ等のデジタルマーケティングを支援するサービスへの需要は引き続き拡大傾向にあり、堅調な成長を続けております。
このような経営環境のもと、当事業年度の売上高は1,945,153千円(前期比7.8%増)、売上総利益は1,366,154千円(前期比4.2%増)となりました。一方、積極的な人材投資及び信託型ストックオプション関連費用の計上により人件費が増加したこと、新オフィス移転により一過性の費用が発生したことなどにより、営業利益は78,792千円(前期比73.1%減)、経常利益は77,911千円(前期比73.3%減)となりました。また、「Keywordmap for SNS」のサービス縮小の決定に伴い減損損失を計上したため、当期純利益は5,263千円(前期比97.4%減)となりました。
事業ごとの売上高及びセグメント利益は以下のとおりになります。
(ソリューション事業)
ソリューション事業においては、「Keywordmap」については、営業部員の人材育成が計画通りに進捗しなかったこと、新規の顧客層が従来のハイリテラシー層からライトユーザー層にまで拡大したことで、顧客のニーズの中心が分析の精度から使いやすさ、わかりやすさに変化したことにより、当社の競争優位性が低下したため、新規案件の獲得が鈍化しました。また、カスタマーサクセスチームに関しても人材育成が計画通りに進捗しておらず、十分なサポート・サクセス支援品質を提供できなかったことにより、解約率が上昇しました。
「Keywordmap」については、企業の多様化するニーズに対応することを目的とし、ハイリテラシー層からライトユーザー層まで幅広いユーザー層に対応するために、初心者向けのガイド機能の追加やコンテンツの制作・運用のサポート対象範囲を拡張するなど、大幅な刷新を行いました。
「Keywordmap for SNS」については、X社(旧Twitter社)から提供されるAPIの仕様変更の発表によりサービス提供環境の厳しさが増したため、2023年5月19日開催の取締役会にて「Keywordmap for SNS」のサービス縮小を決定し、7月1日以降、提供する機能の縮小、料金の値下げ、開発・営業体制の縮小を行いました。
その結果、当セグメントの売上高は前期と同水準の888,230千円(前期比0.2%増)を確保したものの、円安によるサーバー費の増加、営業人員増による人件費の増加により、セグメント利益は57,615千円(前期比72.1%減)となりました。
(アナリティクス事業)
アナリティクス事業は、既存のDXコンサルティングサービスにおいては、ウェビナーやSNSを活用したマーケティング施策が順調に推移したものの、営業人員の人材育成が計画通りに進捗しなかったことで受注率が鈍化し、新規獲得案件が減少しました。また、コンサルタントの採用遅延及び退職者の増加により、対応できる案件数が減少し、売上高の成長が鈍化しました。一方、新規サービスであるSNSマーケティングコンサルティングサービスやエキスパートソーシングサービスにおいては、人員採用が遅延したものの、案件獲得が堅調に進捗しました。
その結果、当セグメントの売上高は1,079,248千円(前期比15.5%増)となったものの、営業人員増による人件費の増加により、セグメント利益は21,176千円(前期比75.5%減)にとどまりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産については、前事業年度末に比べて184,611千円減少し、1,840,978千円となりました。
これは主に現金及び預金の減少(前事業年度末比245,791千円の減少)、敷金及び保証金の減少(前事業年度末比23,101千円の減少)、本社移転に伴う建物の増加(前事業年度末比57,897千円の増加)、未収還付法人税等の増加(前事業年度末比15,457千円の増加)、工具、器具及び備品の増加(前事業年度末比11,913千円の増加)によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債については、前事業年度末に比べて169,019千円減少し、358,622千円となりました。
これは主に、借入金の減少(前事業年度末比80,012千円の減少)、未払法人税等の減少(前事業年度末比70,086千円の減少)、未払消費税等の減少(前事業年度末比31,676千円の減少)と、資産除去債務の増加(前事業年度末比22,270千円の増加)、人件費の増加に伴う未払費用の増加(前事業年度末比12,201千円の増加)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産については、前事業年度末に比べて15,591千円減少し、1,482,356千円となりました。
これは主に、自己株式の取得による減少(前事業年度末比21,880千円の減少)、当期純利益の計上による利益剰余金の増加(前事業年度末比5,263千円の増加)と、ストックオプションの行使による資本金及び資本準備金の増加(前事業年度末比1,030千円の増加)によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,277,717千円となり、前事業年度末残高に比べ245,791千円減少いたしました。なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は17,016千円(前事業年度は185,501千円の収入)となりました。
これは主に、法人税等の支払いにより109,540千円の減少、未払消費税等の支払いにより31,676千円の減少、売上債権の増加により17,720千円の減少、仕入債務の減少により6,018千円の減少、一方で増加要因は、減損損失56,821千円、減価償却費47,365千円、税引前当期純利益20,863千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は127,908千円(前事業年度は174,806千円の支出)となりました。
これは主に、無形固定資産の取得による支出92,167千円、有形固定資産の取得による支出58,914千円を計上、敷金及び保証金の返還による収入24,361千円を計上したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は100,867千円(前事業年度は91,055千円の支出)となりました。
これは、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金含む)の返済による支出80,012千円、自己株式の取得による支出21,880千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,024千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、生産実績の記載を省略しております。
(b) 受注実績
当社はインターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、また、受注生産形態をとらない事業も多いため、受注実績の記載を省略しております。
(c) 販売実績
第10期事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度における当社の売上高は、1,945,153千円(前事業年度比7.8%増加)となりました。これは、主に、ソリューション事業の「Keywordmap for SNS」はサービス縮小を行った一方、アナリティクス事業の新規サービスであるSNSマーケティングコンサルティングサービスやエキスパートソーシングサービスの案件獲得が堅調に進捗したことによるものであります。
(営業利益)
当事業年度における当社の営業利益は、78,792千円(前事業年度比73.1%減少)となりました。これは、主に、新オフィスへの移転費用、信託型ストックオプション関連費用の計上等、一過性の費用が増加したことによるものであります。
(営業外損益・経常利益)
当事業年度における営業外収益は、補助金収入等により84千円となりました。また、営業外費用は、支払利息等964千円を計上しました。経常利益は、77,911千円(前事業年度比73.3%減少)となりました。
(特別損益・税引前当期純利益・法人税等・当期純利益)
当事業年度における特別利益は新株予約権戻入益を0千円計上しました。特別損失は、「Keywordmap for SNS」のサービス縮小に伴い減損損失56,821千円を計上しました。その結果、税引前当期純利益は、20,863千円(前事業年度比92.9%減少)となりました。また、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計15,600千円を計上したことにより、当事業年度の当期純利益は、5,263千円(前事業年度比97.4%減少)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の所有資金は、運転資金及び事業拡大に伴う、新サービスに関連するソフトウエア等の投資資金となっています。これらの資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した自己資金を充当することを基本としておりますが、資金需要及び金利動向等の調達環境を考慮し、金融機関からの借入等、外部資金を調達する場合があります。
また、資金の流動性については、当事業年度末現在、現金及び預金が1,277,717千円あり、事業運営上、必要な資金は確保されていますが、より一層、十分な流動性を維持していく考えであります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、常に、事業環境に留意するとともに、組織体制の整備、優秀な人材の確保等により、リスク要因に対応してまいります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社は、あらゆるデータを様々な分析手法で活用し、革新的ソリューションを提供することにより、マーケティングソリューションで日本を代表する会社を創るというビジョンのもと、マーケティングの効率化・品質向上を支援するソリューション事業、データアナリストによるデータ解析、コンサルテーションを実施するアナリティクス事業を拡大してまいりました。
今後の方針としましても、引き続き市場の拡大が見込まれる当該事業領域へ経営資源を投入することで中長期の持続的な成長を目指してまいります。経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。