2023年10月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社はこれらのリスクの発生可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針です。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

①経営環境の変化について

当社は、企業のマーケティング活動をより高品質かつ効率的に進めるための課題解決ソリューションを提供しております。しかし、経済情勢や景気動向の変化、顧客企業の業績悪化等により、コスト削減が推し進められる場合は、当社の売上が減少し、業績に影響を与える可能性があります。

 

②競合リスクについて

デジタルマーケティング市場においては、新興企業やプロダクトも多く参入してきております。新たな集客プラットフォームの出現や、当社の開発の遅れ、既存マーケティング手法の劣化、弱体化が見られる場合は、当社の経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

当社は、最先端のマーケティング手法を提供できるように、様々な情報ソースから最新の情報を取得し、サービスに組み込むことで、こうした脅威の軽減を図っております。

 

③技術革新によるリスク

当社は、ビッグデータ活用技術及びAI技術に基づく事業を展開しておりますが、当該分野は新技術の開発が相次いでおり、変化の激しい業界となっております。当社は、顧客ニーズに応じた競争力のあるサービスを提供できるよう、人材の採用・育成や技術、ノウハウ等の取得に注力しておりますが、当社サービスに代わる競合他社の代替サービスが登場し、当社の競争力に影響を与えた場合は、当社の事業に影響を与える可能性があります。

また、当社が事業を展開するデジタルマーケティング領域は、米国のOpenAI社が提供する「ChatGPT」(文章生成モデル)の台頭に代表されるような技術的な進化など劇的な変化が起きています。当社では、こうした市場環境の変化を捉え、常に最適解を模索しながら経営しておりますが、予期しない技術の進歩、新たなプラットフォームの出現等により、当社のサービスの優位性を保つことが困難になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ プラットフォームへの対応についてのリスク

当社の事業において、「Yahoo!JAPAN」や「Google」等の主要なプラットフォームが定期的に行なう、検索エンジンのアルゴリズムの判定要素の更新については、その判定要素が対外的に公開されていないため、その更新への対応を適時適切に行なう必要があります。しかし、その更新への対応が適切でなかった場合、あるいは更新への対応が遅れた場合等には、顧客の満足するサービスを提供することができず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

これらのメディアが大型の更新を行う際は、事前に告知されることが多い為、当社はその情報をタイムリーに入手し、適切にサービスに反映することで、こうした脅威の軽減を図っています。

 

⑤ ビッグデータの利用規制の厳格化のリスク

今般、ソーシャルメディアの普及により、データが日々大量に生成されるようになり、ビッグデータに関するビジネスが推進されるようになってまいりました。一方、データの不正利用やプライバシーを侵害する事例も散見されるようになってきております。このため、収集する情報に個人が特定できる情報が含まれていて、無意識のうちにそれらの情報が分析対象となっていた場合に何らかの規制対象となることや、今後の新たな法律の制定や既存の法律の変更により、自主規制が求められるようになる可能性があります。このように当社のサービスを提供するうえでの情報収集やサービスの提供の仕方自体に何らかの制約を受けた場合等には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 当社ビジネスモデル(SaaS型)についてのリスク

当社は顧客にとっての使いやすさを追求した、ビッグデータを処理し、活用するためのプラットフォームの提供を行っております。このため当該ツールは、顧客業種に依存しない汎用性の高いサービスとなっていることに加え、SaaS形態での提供となっていることから顧客側において大規模なシステム環境を構築する必要もなく、容易に導入できる仕組みとなっております。

本提供マーケティング分析ツールは、継続して活用することでマーケティング改善の効果確認ができ、多くの顧客が継続的なクライアントとなっているものと認識しておりますが、SaaSによる提供となっていることから、解約自体は容易に可能であります。

したがって、①当社の提供するサービスが継続的に顧客ニーズに応えられない場合や、②技術革新により競合他社がより良いサービス提供を行う場合等においては、顧客離れが生じ当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、クライアントにサービスの改善要望をヒヤリングし、プロダクトの改善をおこなっていくことで、こうした脅威の軽減を図っています。

 

⑦ 顧客需要の変化について

近年、ソーシャルメディアをマーケティングや商品開発に活かすニーズが高まっております。その背景のもと当社は、ソーシャルメディアを活用した分析ツールやソフトウエア、レポート等を顧客に提供する事業に力を入れており、ビッグデータ解析の新技術の開発などにより、顧客側のニーズに応え続けていく方針ですが、顧客側のソーシャルメディアの活用ニーズの変化に対して適時適切に対応できない場合等には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ システムリスク

当社の事業は、提供サービスの基盤をインターネット通信網に依存しております。そのため当社では、コンピュータウィルスへの感染、ネットワークへの不正侵入、サイバー攻撃等の妨害行為によるシステムダウン、大地震や火災等の自然災害発生によるシステム障害等、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステムトラブルを回避すべく、外部業者によるシステムサーバーの管理・監視体制の構築や、バックアップ、システムの二重化等により未然防止策を実施しております。しかしながら、何らかの障害により大規模なシステムトラブルが顕在化し、復旧遅延が生じた場合は、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 情報取得の制限リスクについて

当社は、SNS等により日々大量に生成されるインターネット上のビッグデータを収集しております。しかしながら、法的規制の強化や、SNS等の運営者側の方針転換により、情報の取得に制限が加わったり、禁止されたりする可能性があります。このような事象が生じた場合、当社は他の方法により同様のデータの入手に努める方針ですが、現在入手できているデータを取得できなくなることでサービスの品質が低下したり、情報の収集に対して追加コストが発生したりする場合には、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 知的財産権の侵害リスクについて

第三者の著作権を含めた知的財産権に関しては、当社はこれまで、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社のビジネス領域において、第三者が保有する知的財産権を網羅的に把握することは困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。当社では、過去において、他社の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止めの請求を受けたことはなく、引き続き、当社ガイドラインに基づいて、チェック体制を強化してまいりますが、知的財産権を侵害した場合には、当社に対する損害賠償や使用差止め等が行われることにより、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 法的規制等について

現時点においては、当社の事業を直接制限する法的規制はないものと判断しております。しかし、今後、当社の事業を直接的、又は、間接的に制限する法的規制がなされた場合や、従来の法的規制の運用に変更がなされた場合においては、当社の事業は法的な制約を受け、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 新規事業推進に係るリスク

当社では今後、デジタルマーケティング領域の新規サービスを継続的に展開していく方針です。

しかしながら、新規事業は現状構想段階であり、結果的に実現しない又は実現したとしても十分な収益が獲得できず撤退する可能性があります。当社といたしましては事前に十分な検証を行ったうえで開発等を開始する方針ではありますが、結果的に新規事業に失敗した場合、コストのみが計上されることから当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)会社組織に関するリスク

① 人材の確保について

当社の属するインターネット業界の最大の特徴は、急速な技術進歩と環境変化にあります。こうした変化の激しい環境において、当社では、技術進歩や環境変化で陳腐化しない、必要とされ続ける課題解決力と新しい事業の創出に挑戦し続けることができる人材が不可欠となっています。また、当社が事業を拡大するうえでは、ビッグデータとテクノロジーを駆使する高い技術力が極めて重要と認識しております。そのため、優秀な人材の確保と既存の人材のスキルアップを図れない場合は、当社の経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 

② 特定の人物への依存に係るリスク

当社の代表取締役社長である石松友典は、当社の創業者であり、経営方針や事業戦略の決定とその実行において重要な役割を果たしております。また、当社の共同創業者であり取締役副社長である平大志朗は、新規サービス開発の推進等において重要な役割を果たしております。

このため当社では、事業拡大に伴い積極的な権限委譲を実施し、各人に過度に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により各人に不測の事態が生じた場合、又は同氏が退任するような事態が生じた場合には、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

③ 情報セキュリティ体制について

当社は、インターネット上のビッグデータを収集し、分析を行い、顧客に提供しております。そのため、当該データに関する情報セキュリティ体制の強化が必要不可欠となっています。また当社の提供する解析結果については、顧客の経営戦略上極めて機密性の高い情報が含まれているものと認識しております。収集したデータの社内での機密性確保並びに漏洩防止の強化を行い、セキュリティ管理体制の構築、整備、運用に注力してまいりますが、万が一これらの機密情報が漏洩した場合には、当社への社会的信用の失墜により、当社事業及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ コーポレート・ガバナンス体制、内部管理体制について

当社が継続的に成長するためには、コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の更なる強化が必要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスについては、経営の健全性及び効率性を確保するため、監査役監査及び内部監査、内部統制システムの整備に努めております。また、内部管理体制については、人員の増強等を図っておりますが、財務報告の適正性、適時開示の重要性が高まる中、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他のリスク

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社では、役員、従業員及び社外協力者に対するインセンティブを目的として、当社の新株予約権(以下、「ストック・オプション」という。)を付与しております。また、今後におきましても、役員、従業員及び社外協力者に対してインセンティブとしてストック・オプションを付与する可能性があります。これらのストック・オプションが権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。当事業年度末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は221,460株であり、発行済株式総数3,381,520株の6.55%であります。

 

 

② 配当政策について

当社は、更なる財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置付けております。当社の配当に関する基本方針は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、現時点においては、内部留保の充実を図り、事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。そのため、今後の配当実施の可能性及び実施時期等につきましては未定であります。

 

③ 調達資金の使途について

当社の公募増資による調達資金の使途については、更なる成長に向けた開発投資や広告宣伝活動、社内リソース獲得のための人員の増員及び採用関連費用に充当する予定であります。しかしながら、当社の遂行する業務においては急速に事業環境が変化することも考えられ、環境変化に柔軟に対応することを優先し、現時点における資金計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定した投資効果が得られない可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、更なる財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置付けております。当社の配当に関する基本方針は、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、現時点においては、内部留保の充実を図り、事業拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。そのため、今後の配当実施の可能性及び実施時期等につきましては未定であります。

なお、当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる旨、また、期末配当の基準日は毎年10月31日、中間配当の基準日は毎年4月30日とし、このほか基準日を定めて剰余金の配当をすることができる旨を定款に定めております。