2026年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,870 100.0 102 100.0 5.4

3 【事業の内容】

 当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業や自治体の持続的な成長や業務品質の向上に貢献することを目指しております。

 また、当社データを活用することで、企業は市場への過剰な商品投下を抑制し、在庫削減と廃棄ロス削減を通じてコスト効率を向上させることが可能になります。これにより、大量生産・大量消費の時代からの脱却を促し、顧客と社会のサステナビリティへの貢献を目指します。

 

 日本の小売市場は消費者ニーズの多様化により、海外市場と比較して多数の商品が毎日のように上市されては消える流動性の高い市場構造を有しております。POSシステムやポイントカードの普及により、購買データの蓄積は進んでいるものの、小売業や消費財メーカーがビッグデータやテクノロジーを経営やマーケティングの意思決定において有効活用するためには依然として多くの課題が存在すると認識しております。

 

 データ活用は、①データ、②テクノロジー、③活用するためのノウハウ、この3領域が揃ってはじめて可能になります。企業のデジタル活用支援サービスとしては、AIやコンサルティング、システム構築など専門領域に特化する企業が多い中で、当社の特徴は、この3領域の全てにおいて顧客企業に価値を提供できる力を備えてきたことにあります(注)。

 

(注)①当社が取り扱う小売業の「データ」は合算して全国6,500万人規模に達し、国内最大級のデータエコシステムを構築しております。

②「テクノロジー」はGoogle、SAP、ニールセン、Salesforceなど、グローバルプラットフォーマーやAIスタートアップとテクノロジー領域でのパートナー認定取得や協業が進展しております。

③「活用するためのノウハウ」は教育プログラムとして外部に提供し、高校から大学院まで全国の教育研究機関におけるデータ活用の実践教育を支援しております。

 

 これにより、AIの活用等において指摘されるコールドスタート問題(注)のように、いずれかの領域が不足してデータ活用ができていなかった企業に対してもサービスを提供することが可能であります。

 

(注)コールドスタート問題:AIなどテクノロジーを導入してもデータが準備できずに活用が進まない事例が散見される問題

 

(1)  事業の概要

 当社は主たる事業として、ドラッグストアやスーパーマーケットなど全国の小売業から集信される顧客ID付きPOSデータ(以下、「ID-POSデータ」という)を基軸として、データマーケティングに関わるサービスを提供しております。

 

 その提供領域は、対象や目的に応じ、メーカー向けソリューション、リテール向けソリューション、リテールメディアその他の3領域に分かれております。

 メーカー向けソリューションにおいては、「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」等のサービスを提供しております。

 リテール向けソリューションにおいては、「ショッピングスキャン」等のサービスを提供しております。

 リテールメディアその他においては、広告用購買データを活用した広告配信におけるターゲティング・効果検証等のリテールメディア関連サービス、消費者購買に関わるデータや分析レポート、AI技術を用いたデータ活用支援サービスを提供しております。

 

(2)  当社の変遷

 当社の前身はID-POSデータの将来性に着目して2000年に三菱商事株式会社の新規事業として立ち上げられた企業であります。設立後10余年は小売業のサポートを主たる業務内容として事業を展開しており、2006年3月期以降は、毎年の売上高の減少トレンドの中、コスト削減に注力することで黒字を維持する縮小均衡の経営状況にありましたが、小売業の消費財メーカーへのデータ外販支援までの広範なサポートを行うことで、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が生まれる前から、そのサービスの原型を志向していた企業に位置づけられていました。

 2012年に現行の経営体制への変更とともに、当社は消費財メーカー向けデータマーケティング事業を主軸に据え、小売業をデータ基盤を構成する重要な事業パートナーと定義いたしました。以降、連携するID-POSデータを拡大し、提供するソリューションの価値向上を図りながら持続的な売上成長を目指す成長路線へと経営方針を転換いたしました。

 ガバナンス面では、取締役会の過半数を社外取締役に変更し、監査等委員会設置会社へ移行して経営の透明性と監督機能を強化いたしました。また、第三者割当増資による資本増強を行い、データを管理・保管するシステムインフラや分析機能を刷新し、DX認定の取得やプライバシーマーク認証に基づくデータガバナンス体制を構築してまいりました。さらに、事業拡大に伴う情報資産の管理体制強化を目的として、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得し、顧客企業がより安心してサービスを利用できる体制を盤石なものとしております。

 現在は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念(パーパス)のもと、人材採用とデータ活用人材への育成を強化しております。小売業や消費財メーカーのみならず、あらゆる産業の意思決定を支える「消費者ビッグデータに基づくマーケティングソリューション」の提供へとビジネスモデルを発展させ、デジタル時代の意思決定基盤(OS)としての役割を担うべく、さらなる進化を遂げております。

 

図表 当社の売上推移

 

 

(注)CVS(コンビニエンスストア)売上:当社は、2010年より大手CVSへのデータ外販支援事業(データ開示システムの開発及びシステム運用業務の受託)を9年にわたり展開しておりましたが、M&AによるCVS親会社の方針転換(同業務のグループ内製化)により、同社との取引を終了いたしました(売上影響が大きいことから個別に記載いたしております)。

 

(3)  サービスの具体的な内容

 「ショッピングスキャン」は、小売業の商品ごと、店舗ごとの購買行動を容易に分析できる小売業向けのID-POSデータ分析ツールであります。

 

 

 小売業は、ポイントカードの利用に伴って日々蓄積される自社の購買データを分析することで、ファンが付いている商品や買い合わせ傾向などを分析し、売場構築や販促施策などのマーケティング意思決定の高度化を図っております。

 

 また、「ショッピングスキャン」のデータ開示機能(注)により、小売業は堅牢なデータガバナンスを確保しながら消費財メーカーへのマーケティングデータの販売が可能となります。消費財メーカーは「ショッピングスキャン」を通じて、小売業の購買データを分析し、小売業との商談資料に活用しております。このように、製販双方が同一のデータに基づいて最適な販売施策を共創するデータ開示の取り組みは、大手小売業を中心に導入が進んでおります。

 

(注)データ開示機能:小売業による消費財メーカーへのデータ外販及び各種分析をフルサポートする機能です。従来、企業間で個別に行ってきたデータの送受信並びにその付随業務を当社が一元的に対応を行います。これにより、各企業は各種マスタデータの管理やデータ精製などの煩雑なメンテナンス業務を各々で行う必要がなくなることから、小売業、消費財メーカーそれぞれの業務効率・費用効率向上を可能とするものであります。

 

 当社は「ショッピングスキャン」のような分析ツールの提供に留まらず、小売業や消費財メーカー向けのデータ活用セミナーの開催やサポートデスクによる伴走支援などデータ活用支援サービスをあわせて提供することで、現場のデータマーケティングを活性化し、小売業のデータ外販収益の最大化にも貢献しております。

 

 なお、「ショッピングスキャン」は年間契約のストック型モデルとして提供しており、データ活用セミナーの開催やサポートデスク設置などのデータ活用支援サービス(一部ケースにおいては入金管理を含む)と組み合わせたパッケージとして小売業へ導入されております。

 

 

 一方で、小売業が自社で保有する購買データのみでは、自社の店舗に来店した顧客の購買行動の把握に限定されます。そのため、「店舗の商圏内に居住しながら来店していない消費者を理解し、来店いただけるようにしたい」「ターゲットとする消費者に効果的にアプローチしたい」「自社の店舗に置いていないが、市場では支持を得ている商品を発掘したい」といった外部環境を包含したニーズは解決できません。

 仮に小売業のレシートデータを収集したとしても、企業により商品名称や商品分類が異なる(同じ商品でも「タンサンインリョウ」「タンサン飲料」「炭酸飲料」というように名称が異なる、あるいは「飲料分類」「炭酸分類」「炭酸水分類」など分類方法が異なる)ため、これらのデータを統合して全国や地域など市場全体を俯瞰した消費者分析を行うことは極めて困難です。

 

 このため当社では、全国の小売業から集信する「大量かつバラバラな仕様のデータ」を独自のマスタ及びクレンジング技術によって「標準化されたデータ」へと精製しております。これにより、全国、地域、商圏単位で生活者の購買行動を可視化できる消費者購買データベースを構築して、小売業、消費財メーカー、政府・自治体、メディア等の幅広い意思決定を支援できるソリューションへと昇華させて提供しております。その主要なサービスが「イーグルアイ」であります。

 大量データを集めて分析する難しさに加えて、データの標準化など精製プロセスに多大な労力とノウハウを要することが当社ビジネスモデルの模倣困難性となっております。

 

 「イーグルアイ」は、全国及び地域単位での消費者の購買動向を早期かつ精緻に把握し、企業の意思決定を支援することを目的とした分析ツールであります。本サービスの基盤は購入者属性が紐づくID-POSデータであり、単なる商品の売れ行きに留まらず、顧客の購買行動に関わる様々な指標データを導き出せるほか、当社独自の精製プロセスにより二日前の購買まで検出できる速報性を実現しております。

 また、消費者マーケティングに不可欠な分析機能を搭載しており、簡単な操作で迅速に分析結果を抽出できるため、意思決定の迅速化及び資料作成業務の大幅な効率化に寄与いたします。本サービスはクラウド型として提供しているため、低コストかつ迅速な導入が可能であるだけでなく、サポートデスクを完備し、導入後も継続的に活用を支援する伴走体制を整えております。

 「イーグルアイ」は、主に消費財メーカーにおける商品開発や精緻なターゲティング、戦略的な販促活動から中長期的な事業戦略の立案まで、顧客企業の意思決定における広範なプロセスを高度化し、価値創造を強力に支援しております。

 

 原則として年間契約のストック型モデルとして提供しており、収益基盤としての高い安定性を有しております。2026年3月末時点で「イーグルアイ」導入企業数は180社となり、1企業で約500IDが活用されるなど、企業の意思決定に不可欠な「基盤(OS)」として、組織全体に深く浸透・定着する事例もあります。

 

 

 当社が提供する主なサービスは、以下の通りであります。

 

サービス名

(主な契約形態)

サービス内容

ショッピングスキャン

(年間契約)

インターネットを通じて、小売業向けに、自社のID-POSデータやPOSデータの分析ツールを提供するサービス。小売業が自社データを消費財メーカーに開示できる(自社データの分析を外販する)機能を搭載。

イーグルアイ

(年間契約)

インターネットを通じて、消費財メーカー向けに、消費者の全国や地域の購買行動を詳細に分析できるツールを提供するサービス。

データマーケティングのプロフェッショナルにも対応する定番分析メニューを搭載。

ドルフィンアイ

(年間契約)

インターネットを通じて、ユーザーが知りたい商品のカテゴリーや地域を選択するだけで、消費者の購買情報が表示されるツールを提供するサービス。

消費財メーカー、小売業、教育機関、メディアなど幅広い企業や組織に提供。

ウレコン

(無償)

全国各地域における消費財500カテゴリーの上位100商品の購買情報をグラフで可視化し、まとめて一覧表示してユーザーへ情報提供するインターネットサービス。

POS分析クラウド

(年間契約)

消費財メーカーなどの企業が社内のPOSデータやID-POSデータを分析するために、データ精製、蓄積、管理、分析など機能一式をクラウドシステムとして提供するサービス。

KURASHI 360

(案件により決定)

全国各地域の生活者のID-POSデータに、嗜好価値観や自動車など生活者の消費行動に関わる多様なビッグデータ、政府・自治体などが提供するオープンデータをかけ合わせて、地域毎の生活者のタイプや購買傾向の状況、変化などを読み解き、数値化された「暮らしに関わる地域毎のマーケティングデータ」として提供するサービス。

SalesSensor

(年間契約)

小売業が新規出店計画を検討する際、小売業が独自に持つ売上実績データや店舗情報に加え、競合店の情報、人口や乗降客数、平均世帯年収など外部のオープンデータを AIが分析し、地域特性を加味した出店時売上予測を自動的に算出するサービス。

高精度の売上予測により、売上の最大化と新規出店コストの最適化が可能。

 販促AI

(年間契約)

小売業とメーカーが登録した販促情報に基づき、過去の購買データ等をAIが分析して最適な顧客と配信媒体を自動選出するサービス。小売業は販促業務の劇的な省力化とLTV向上を、メーカーはROI(投資利益率)の可視化による投資効率の最適化が可能。

 

(4)  事業の構造

 国内の消費財メーカーは、従来より複数の小売業から購買データを入手し、その分析に基づいた販促提案を行っています。しかし、入手データのフォーマットや商品・店舗情報の内容は小売業ごとに異なるため、メーカー側での活用は各小売業への個別対応に留まっておりました。

 昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)へのニーズの高まりを受け、消費財メーカーが自社独自のデータ活用基盤の構築を模索する動きも見られますが、膨大な新商品の上市や改廃、店舗の改廃情報をリアルタイムで整備し、異なるデータの質を一定水準に揃え続けることは、一社単独では極めて困難であります。

 

 たとえそれが可能となったとしても、消費財メーカー各社が個別に対応することは、多大な活動の重複を生み出すこととなり、日本の産業界にとって極めて非効率な状況となります。

 

 このような環境下、小売業・消費財メーカー双方のデータを多面化・統合化し、意思決定を支える「共通の基盤」を提供するプラットフォーム企業の重要性は飛躍的に高まっております。当社は、データガバナンスとセキュリティを確立しながら、以下のビジネスコアの確立を通じて、次世代のリテール戦略を支える「意思決定基盤(OS)」の構築を推進しております。

 

① 小売業の購買データを、競合他社を凌駕するレベルで集信

② データ精製機能、データガバナンスに基づく蓄積・管理機能、マーケティングに必要な分析機能とともに、当社を経由してクラウドなどで、小売業や消費財メーカーなど企業に一括供給

③ 他の購買データやオープンデータとかけ合わせながら、「顧客の見える化」「ロイヤル顧客や売上の伸びしろの分析」「AI等を活用した多様なマイクロサービスの創出」「オンライン・オフラインの垣根のない(顧客への)さまざまな広告・販促手段へのデータ連携」「新規出店時の売上予測精度向上」を、よりわかりやすく、具体的に提供できるビジネスプラットフォームを提供

 

 ビジネスコアを確立することで、当社は従来のマーケティング領域に留まらず、店舗開発や経営企画といった顧客企業内の意思決定部門へと支援領域を拡大してまいります。あわせて、AIスタートアップとの協業による先端技術の活用を推進し、成長の持続性と費用効率の向上を図ることが、当社が事業成長において目指す姿であります。さらに、消費者購買データは複数の顧客・サービスに何回活用されても消費・減耗することはないため、ストック型サービスの拡充及び売上拡大により収益性が加速度的に向上する構造となっています。

 

 当社は、デジタル時代の新たなマーケティングインフラとして、小売業・消費財メーカー・当社の三者が質・量・コスト効率のすべてにおいて利益を享受できる、次世代のデータエコシステムの形成を主導してまいる所存です。

 

図表 事業系統図

 

 

 

 

 大量データを蓄積・保管・分析し、競争力の高いソリューションをクライアントに提供するためには、テクノロジー面で以下の機能を担保することが必須であります。

①  拡張性・処理性能の向上(膨大なデータ量と外部ツールへの連携)

②  安全性(世界レベルのセキュリティ対応)

③  先進テクノロジー(先進テクノロジーを用いたソリューション・分析メニュー)

 

 このため、当社はテクノロジー面では自社開発にこだわらず、GoogleやSAPなどのグローバルIT企業、ニールセンなど最先端の分析アルゴリズムを持つグローバルマーケティング企業、AIスタートアップとアライアンスを組み、テクノロジーの世界的な進化を取り込む仕組みを構築しております(※)。さらに当社は、データやソフトウエア、データ活用ノウハウを向上させるための人材などテクノロジーを競争力あるソリューションに変えるための経営資源に投資を行う等、競争力向上に向けた投資の最適化を図っております。

 

※ 当社はAIなど製品のパフォーマンスをIT企業と競うのでなく、クオリティの高い製品を選別して採用し、その製品に当社データとプログラムを実装したソリューションとすることで、高い付加価値をお客さまに提供しております。

 

 

 当社は提供するサービスのクオリティを高めることが、当社サービスを継続的に活用いただける成果につながり、持続的に事業成長する力を安定化させていく土台になると考えております。

 

 

(5)  ID-POSデータの特性、多様な消費者ビッグデータとのかけ合わせ

 POSデータは従来、「商品」の売れ行きを見る購買データとして、日本のみならずグローバルで一般的に利用されております。

 ID-POSデータは、ポイントカードなどIDに紐づけたPOSデータ、すなわち「人」を軸とした購買データであり、単なる商品の売れ行きに留まらず、性別や年代別などを切り口とした属性分析、商品を継続して購買する顧客の割合を示すリピート率分析、他の商品から買い替えた顧客の状況を示すスイッチング分析、その商品と一緒に買われている商品を示す併買分析など、マーケティングにおいて購買行動を精緻に分析できるデータとしての強みがあります。

 

図表 POSデータ、ID-POSデータの特性

 

 

 また、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、データマーケティングは、多様なビッグデータを用いて消費者を理解して、顧客企業の価値創造を最大化させる時代に入っております。

 なかでもID-POSデータは、消費者ビッグデータの代表格としてグローバルに活用が拡大しており、多様な消費者ビッグデータをかけ合わせる結節点としての重要性が高まっています。当社は、ID-POSデータに多様な消費者ビッグデータをかけ合わせ、独自のAIアルゴリズムを用いることで、単なる購買傾向の把握に留まらない「ライフスタイル」や「潜在ニーズ」の可視化を推進しております。こうした「リテールデータ×AIインサイト」を核とした取り組みにより、実効性の高いマーケティング施策を導き出し、企業の持続的な成長に貢献してまいる所存です。

 

図表 消費者ビッグデータのかけ合わせによる消費者理解

 

 

 

 

業績状況

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a. 経営成績の状況

 当事業年度のわが国経済は、円安の影響等による物価上昇の継続などにより景気の下振れリスクがあるものの、各種政策の効果もあって雇用・所得環境が改善する中で緩やかな回復がみられました。一方で、欧米における高い金利水準の継続、それに伴う日本との金利差による円安基調、中国における不動産市場及び個人消費の停滞継続、ウクライナ問題の長期化や中東情勢のさらなる緊迫、米国の通商政策動向など海外の政治・経済の諸課題による影響も大きく、景気の先行きに対する不透明感は継続いたしました。

 当社は、全国に広がるドラッグストアやスーパーマーケット等の小売店における消費者購買ビッグデータとAI等テクノロジーを活用し、小売企業や消費財メーカーなど顧客企業の収益拡大に貢献するソリューションの提供を主力事業としております。当社の事業領域はビッグデータを用いた社会構造変革や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの台頭というメガトレンドの追い風を受け、中長期的な成長が見込まれております。当社においてもこのような追い風を背景に、小売企業や消費財メーカーの顧客企業の開拓・深耕が進み、成長トレンドが継続しております。

 当事業年度においては、大手小売向けリテールDXサービスやAIソリューションの垂直展開による業績貢献に加え、主力サービスである「イーグルアイ」の契約社数を着実に積み上げ収益基盤の強化が進みました。また、前事業年度に実施した伊藤忠商事株式会社との資本業務提携に加え、さらなる販路の拡大やサービスの水平展開を強力に推進するため、アルフレッサ ヘルスケア株式会社との協業を開始するとともに、株式会社あらたとの戦略的業務提携契約を締結いたしました。これにより、食品、医薬品、日用品という消費財における主要3領域をカバーする国内トップクラスの卸商社との協業パートナー網が完成いたしました。リテールメディア領域では、ソニーグループのSMN株式会社や三井物産グループの株式会社MBKデジタルが提供する広告ソリューションに、当社の広告用購買セグメントデータの連携を開始いたしました。また、事業の拡大に伴い、情報資産を適切に管理し、顧客企業が安心してサービスを利用できる体制を構築するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC 27001:2022+Amd1:2024(JIS Q 27001:2025)」の認証を取得いたしました。一方で、中長期的なさらなる収益拡大を見据え、人材投資やAIソリューションの業務洗練化を優先して進めた結果、運営・稼働費等の先行費用が嵩んだことにより、2025年5月14日に公表いたしました通期業績予想を下回る結果となりましたが、前事業年度比で大幅な増収増益となりました。

 

 以上の結果、当事業年度における当社の売上高は1,870,468千円(前事業年度比20.3%増)となり、営業利益は101,600千円(前事業年度比109.6%増)、経常利益は108,959千円(前事業年度比121.6%増)、当期純利益は80,508千円(前事業年度比508.5%増)となりました。

 

 なお、当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

b. 財政状態の状況

(資産の部)

 当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ171,438千円増加し1,534,079千円となりました。流動資産は、現金及び預金や売掛金の増加により、1,315,188千円と前事業年度末に比べ172,915千円増加いたしました。固定資産は、ソフトウエア開発及び出資金の払込みを行った一方で、ソフトウエアの減価償却が進んだことにより、218,890千円と前事業年度末に比べ1,477千円減少いたしました。

 

(負債の部)

 当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ88,319千円増加し370,161千円となりました。流動負債は、買掛金や契約負債の増加により、366,305千円と前事業年度末に比べ88,284千円増加いたしました。

 

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ83,118千円増加し1,163,917千円となりました。利益剰余金が80,508千円増加したほか、ストック・オプションの行使により資本金が1,305千円増加し、さらに資本剰余金も1,305千円増加いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は971,079千円と、前事業年度末に比べ111,521千円増加いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況及び変動要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末における営業活動により獲得した資金は189,052千円(前事業年度は37,153千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益102,963千円、減価償却費65,829千円、売上債権の増加額65,387千円、仕入債務の増加額44,921千円があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末における投資活動により使用した資金は74,205千円(前事業年度は104,905千円の支出)となりました。これは主に、出資金の払込による支出32,500千円及び有形固定資産の取得による支出15,899千円及び無形固定資産の取得による支出15,518千円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度末における財務活動により使用した資金は2,870千円(前事業年度は10,220千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出5,480千円があった一方で、新株の発行による収入2,610千円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b. 受注実績

 生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。

 

c. 販売実績

 第26期事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

サービスの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

メーカー向けソリューション

952,697

107.99

リテール向けソリューション

509,726

165.19

リテールメディアその他

408,045

112.24

合計

1,870,468

120.34

(注)1.当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、取扱データ分野別に記載しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。

3.当事業年度より、事業戦略に伴う顧客属性別開示を目的として、従来、「あらゆる産業向けソリューション」としておりました項目を、「リテールメディアその他」に名称変更しております。この変更により、「メーカー向けソリューション」に含まれていた事業に係る収益の一部を、「リテールメディアその他」に組み替えております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①  重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

 経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

 

②  経営成績等分析

(売上高)

 当事業年度の売上高は前事業年度に比べ316,183千円増加し、1,870,468千円となりました。

 当社ストック型売上の主力サービスのうち、消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の販売拡大に注力するとともに、小売業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しても、提携先も含めた販売体制を強化し、新規取引先開拓のための取り組みを進めてまいりました。加えて、当社の強みである消費者購買ビッグデータの更なる活用を目指し、ビジネスアナリティクスや広告領域等の新規領域の開拓にも注力してまいりました。

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は新基盤システムの減価償却費等により、前事業年度に比べ162,121千円増加し、821,563千円となりました。

 この主な内訳は、労務費203,000千円、減価償却費49,018千円、データセンター使用料166,445千円であります。

 以上の結果、当事業年度における売上総利益は前事業年度に比べ154,061千円増加し、1,048,904千円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は業務委託費の増加等の影響により、前事業年度に比べ100,929千円増加し、947,304千円となりました。

 この主な内訳は、給与手当447,775千円、役員報酬66,640千円であります。

 以上の結果、当事業年度における営業利益は101,600千円(前事業年度は48,468千円)となりました。

(経常利益)

 当事業年度における営業外収益は12,773千円(前事業年度は2,657千円)を計上しております。これは、主に受取保険金であります。

 当事業年度における営業外費用は5,414千円(前事業年度は1,959千円)を計上しております。これは主に支払手数料であります。

 以上の結果、当事業年度における経常利益は108,959千円(前事業年度は49,166千円)となりました。

(当期純利益)

 当事業年度の税引前当期純利益は102,963千円(前事業年度は22,831千円)となりました。

 また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む)は22,455千円(前事業年度は9,599千円)であります。

 以上の結果、当事業年度における当期純利益は80,508千円(前事業年度は13,231千円)となりました。

 

③  財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当社の資金需要のうち主なものは、システムの運用費及び人件費であります。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行うこととしております。

 また、資金の流動性については、当事業年度における現金及び現金同等物の残高が、前事業年度末より111,521千円増加し、971,079千円となっており、流動比率は359.0%と高い水準となっております。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようにすること、そしてあらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。現在は、当社が保有するビッグデータ、そしてオープンデータや協力企業が保有するデータ等、ビッグデータ同士をかけ合わせるプロジェクトを推進しております。これにより、小売業、消費財メーカーのみならず、業種や企業規模を問わず多様な産業において当社のデータが活用される機会が拡大しております。

 

 当社の経営指標につきましては、成長性については売上高の対前期成長率、収益性については営業利益及び営業利益率を設定しております。当事業年度における当社の売上高は、複数の大手小売り向け大型案件の立ち上がり等により、前事業年度比20.3%増の1,870,468千円と伸長する結果となりました。また当事業年度の営業利益も前事業年度比109.6%増の101,600千円と伸長するとともに、営業利益率は5.4%(前事業年度3.1%)を確保し、収益性についても向上することとなりました。

 また、小売業の購買データは当社ビジネスの基盤であることから、購買データ量を主要な経営指標としております。小売業向け主要サービスであります「ショッピングスキャン」の分析対象となる小売業の購買データ(一年間に集信された購買データの合計金額)が、10兆6,055億円となりました。