リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 市場動向について
当社グループは、主にAP(人工知覚)市場を主要な事業活動の領域としております。AP(人工知覚)市場は、次世代ソリューション(第1 企業の概況 3 事業の内容 参照)への社会的な期待と現実的な発展可能性により、将来的な拡大が想定される市場でありますが、AP技術の発展が当社の想定どおりに進まなかった場合には、当該市場の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、技術商社・ソリューション企業、センサ・半導体企業等各技術階層における多くのプレーヤーを顧客に持ち、インダストリーとしては物流・製造・建設・小売等の幅広い領域において、ロボティクス・自動運転・ドローン・AR/VR等の自動化技術の支援を行い、地域としても日本・中国を含むアジア、欧州・北米等グローバルでの事業開発活動を行い、これにより今後のあらゆる地域・産業におけるオペレーション自動化の事業機会を捉え、中長期的な成長を目指してまいります。
(2) 当社グループの技術について
当社グループは、顧客や市場ニーズに対応した技術の提供を目的として、中長期的な研究開発方針を定め、当社グループの成長を牽引する研究開発課題に取組み、適切な時期に市場投入することに全力を挙げております。しかし、当社グループが属する情報通信業は、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、代替技術の急激な進歩、競合する技術提供者の出現、依存する技術標準・基盤の変化などにより、当社グループの技術優位性が継続的に維持できない可能性や、最適な市場投入ができない可能性があります。
当社グループにおいては、当該技術革新への対応を常に講じておりますが、万が一、当社グループが新しい技術に対応できなかった場合、あるいは当社グループが想定していない新技術や競合先が出現した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、AP(人工知覚)市場における技術動向を今後も継続的に注視し、必要に応じてM&A・事業出資・事業提携を含む経営戦略を推進し、AP(人工知覚)市場における専業独立企業としてのシェアの維持・更なる拡大を進めると共に、AP(人工知覚)以外のDeep Tech(深層技術)の研究開発・M&Aを含む出資等も推進し、有望なDeep Tech(深層技術)における確実なポジション固めを進めてまいります。
(3) 知的財産権の侵害
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業展開していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、その第三者から損害賠償請求及び差止め請求等の訴訟を起こされることにより賠償金の支払い等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、顧問弁護士・監査等委員会等とも連携し、当該リスクの低減に適切に努めてまいります。
(4) 小規模組織であることについて
当社グループは小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強並びに内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針であります。
(5) 人材の獲得、育成及び確保について
当社グループが継続的に成長を成し遂げていくためには、柔軟かつグローバルに対応できる組織作りが重要であり、それを支える優秀な人材の獲得及び育成は重要な要素のひとつとして挙げられます。これら要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合には、当社グループの成長を阻害する要因となる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループは、優秀な人材の採用を進めており、人材育成・新規採用も含めて一層の人材の強化に努めてまいります。
(6) KudanSLAMの提供を開始してから間もないことについて
当社グループは、第3期(2017年3月期)まではKudan AR SDKが収益の主たる源泉であったところ、第4期(2018年3月期)よりKudanSLAMの提供を開始し、第5期(2019年3月期)からは、グループの経営資源のほとんど全てをKudanSLAM及び関連する研究開発に投入しております。
当社グループが提供するKudanSLAMは、顧客が評価目的で利用する評価ライセンス、研究開発目的で利用する開発ライセンス、研究開発後、製品を市場投入する際に利用する製品ライセンスから構成されていて、顧客の研究開発計画が継続すれば、開発ライセンス、製品ライセンス(ロイヤリティ収入等)の双方に係る収益の発生が期待されます。ただし、顧客の研究開発計画の変更等に伴いライセンスの利用が継続されない場合には、当該顧客からの収益が継続しない可能性があります。本書提出日現在においては、KudanSLAMの提供開始から間もないことから、開発ライセンスが販売実績件数のうち多くを占めております。
一度当社のAP (人工知覚)技術が顧客製品に組込まれると、技術アップデート、カスタマイズ、製品化後のロイヤリティなど長期に亘り収益が発生することが期待されますが、顧客の研究開発計画、販売計画の進展如何により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、「(1) 市場動向について」に記載の通り、今後のあらゆる地域・産業における事業の拡大を推進し、中長期的な成長を目指してまいります。
(7) 収益の変動について
中長期の事業成長を見据えた長期案件に注力する経営体制への転換等の影響により、ライセンスフィーの他マイルストーン毎に収受する取引が増加し、受注から納品までの期間が長期に亘り収益計上まで時間を要する大型契約が増加しております。その結果、各案件の進捗の遅れにより収益認識のタイミングが当初計画したタイミングから変動する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、事業開発人員及び顧客開発案件を支援するエンジニアの増加により、適切に各案件の進捗を管理し、進めてまいります。
(8) 海外における事業展開、及び法規制等に伴うリスク
当社グループは、海外における事業展開を積極的に進めております。これらの事業展開においては、為替リスクだけではなく、現地における法規制を含む諸制度、取引慣行、経済事情、企業文化、消費者動向等が日本国内におけるものと異なることにより、日本国内における事業展開では発生することのない費用の増加や損失計上を伴うリスクがあります。海外における事業展開にあたっては、これに伴うリスクを十分に調査や検証した上で対策を実行しておりますが、事業開始時点では想定されなかった事象が起こる可能性があり、この場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、海外事業経験豊富な管理人員の増員を進めるとともに、各国の弁護士・税理士等の専門家と顧問契約を締結する等当該リスクの低減に努めてまいります。
(9) 為替リスク管理について
当社グループでは、海外市場での事業拡大を積極的に進めており、為替に関する潜在的リスクが存在し、為替の大幅な変動の際は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクを最小限にするために、為替の変動状況を注視し、状況に応じ為替予約等によるリスクヘッジの検討を進めてまいります。
(10) 情報管理について
当社グループは、事業を通じて取得した顧客が保有している機密情報(経営戦略上重要な情報等)及び個人情報を保有しております。当社グループの人的オペレーションのミス、その他不測の事態等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、情報の取り扱いについては、情報セキュリティ管理規程を整備し、適切な運用に努めております。
(11) 自然災害等のリスクについて
当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、台風、洪水等の自然災害または感染症の流行等が発生した場合、被災状況によっては正常な事業活動が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、勤務場所をオフィスに限定せず、各従業員の判断でリモートワークを可能とする社内管理体制及びそれを可能とする業務システムの運用を行い、それにより当該状況でも従来通りの事業継続が可能となる事業運営を行っております。
(12) 社歴が浅いことについて
当社は、2014年11月に設立されており、設立後の経過期間は9年程度と社歴の浅い会社であります。当社グループの過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分である可能性があります。当社は今後も適時開示・その他任意の説明資料の開示、IR活動などを通じて経営状態を積極的に開示してまいります。
(13) 配当政策について
当社グループは、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
しかしながら、現時点では配当を行っておらず、また今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、利益配分に関する基本方針について、独立の社外役員が出席した取締役会における討議を経て決定しております。
当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来、当事業年度を含め配当は実施しておりません。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への剰余金の配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針です。
内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用していく所存であります。
配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。