リスク
3【事業等のリスク】
当社の事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なものとしては、以下の内容が挙げられます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。なお、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。また各リスク以外にも、現時点では予測できないリスクの発生により、当社の経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社では、下記で各リスクに関する記載の中の対応等を講じておりますが、それらの対策が当社の意図する通りに実現できない可能性もあります。
当社では、リスク・コンプライアンス委員会にて事業その他に関する様々なリスクを抽出して「発生頻度・影響度」にて重要性を評価し「重要リスク一覧表」として明確化した上で、対応策を策定し取り組んでおります。
リスク分類はリスクが与える影響として、①事業活動への悪影響、②財務状況への悪影響、③信用の失墜、④損害賠償を識別しております。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
リスク分類 |
リスクの内容 |
主な取り組み |
①事業活動への悪影響 ②財務状況への悪影響 |
「景気変動によるリスク」 当社事業であるソフトウエア受託開発及びソフトウエア開発に係る役務の提供は、景気の影響を受けやすい傾向にあります。国内外の政治・経済の大幅な変動及び地震等の広域大規模災害・パンデミック等による国内外景気の大幅な悪化により、顧客企業における事業縮小・撤退及び設備投資・製品開発・情報システム等の計画見直しや縮小による受注・売上の減少は、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。 |
当社では、営業及び技術部門が収集した情報や政府発表の景気動向指数等指標から景気情勢の的確な把握に努め、景気悪化に迅速かつ的確な対応をとることで当社の業績や財政状態に与える影響の抑制に努めております。また組込み関連事業、製造・流通及び業務システム関連事業、金融・公共関連事業の3つの事業分野を有しており、事業領域を分散しバランスをとることにより業績の安定化を図っております。 |
①事業活動への悪影響 ②財務状況への悪影響 |
「大口顧客依存に関するリスク」 当社の各事業部門には、それぞれ大口取引先が存在します。大口取引先の事業方針及びソフトウエア開発投資計画の変更など、何らかの理由により、大口取引先との取引が終了又は大幅に縮小した場合には、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。 |
当社では、大口取引先との取引関係を継続するために、顧客の開発及び品質手法の習熟に努め、品質・コスト・納期等に対する顧客満足度の向上を通して信頼関係の維持に努めると共に、新規顧客開拓を進めることにより顧客基盤の拡大に努めております。 |
①事業活動への悪影響 |
「協力会社依存に関するリスク」 当社は、生産性向上及び外部企業の持つ専門性の高いノウハウ活用等の目的で、受託したシステム開発における一部プログラム作成業務を協力会社(外注先)に外部委託又は派遣による役務の提供を受けることがあります。また、協力会社への委託は、受注の機会損失を無くし顧客要請への迅速な対応を可能にすることから、当社の事業拡大において協力会社の確保や良好な取引関係の維持は不可欠であります。今後、協力会社技術者の需給バランスの変化による、協力会社の要員の確保難や発注価格の高騰等が、当社の業績に影響を与える可能性があります。 |
当社では、協力会社社員の教育・研修等の施策を実施し協力会社との協力関係をより強固なものにするために努めております。また新規協力会社の開拓に取り組むための専門の部署を設けて、既存の取引先との関係強化及び新規取引先の開拓を進め、優秀な技術者の確保に努めております。 |
①事業活動への悪影響 |
「人材確保のリスク」 当社事業の継続、拡大、及び付加価値向上において、一定水準以上のスキルを有する優秀な技術者の確保は不可欠なものであります。しかし、こうした技術者の獲得競争は年々厳しさを増し、収益の要となるプロジェクトマネジメント技術を有する技術者の育成にも時間がかかるのが現状であります。こうした中で、景気変動をはじめ諸般の事情により採用人員が計画数を大きく下回った場合及びプロジェクトマネジメントやプロジェクトを支える技術の要となる従業員が離職した場合には、ソフトウエア開発力の低下を招き、当社の業績に影響を与える可能性があります。 |
当社では、新人・中途採用を問わず計画的かつ継続的に人材の採用と育成を行い技術者の要員確保及び技術レベルの向上に努めております。また、優良な協力会社の開拓と関係維持に努め外部人材の活用にも積極的に取り組んでおります。 |
リスク分類 |
リスクの内容 |
主な取り組み |
①事業活動への悪影響 |
「価格競争に関するリスク」 当社の属する受託ソフトウエア開発業界は、価格による差別化が競争優位を確保する大きな要因の一つであります。今後はソフトウエア開発のグローバル化による海外企業を交えた価格競争や開発効率の向上による価格競争が激化することが予想されます。こうした競合相手との価格競争による受注の減少や収益性の低下等が当社の業績に影響を与える可能性があります。 |
当社では、価格競争に対して継続的なプロジェクト管理や品質管理の強化を通じて、開発効率の向上に努め開発コストの低減を進めると共に、価格競争に左右されない新しく高度なソフトウエア技術の習得等により、常に収益性の向上に努めております。 |
②財務状況への悪影響 ③信用の失墜 |
「不採算プロジェクト及びトラブル・クレーム発生に関するリスク」 ソフトウエアによるシステム開発においては、開発規模の大型化、顧客の要求の高度化、複数のメーカーのソフトウエア製品を組み合わせて活用するソフトウエアのオープン化の進展等によるシステムの複雑化が進み、開発の難易度がますます高くなっております。顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的にも重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、これらシステム開発における品質や納期遅延の問題は、顧客の信頼を失うと共に大きな赤字を計上するだけでなく、顧客との間でトラブル・クレームとなり訴訟や商流の喪失・風評被害につながる可能性があり、結果として当社の業績に影響を与える可能性があります。 |
当社では、PMBOK等の工程管理手法を活用し、商談発生時から納品、検収までのプロジェクトの進行を監視することで、品質の保持、生産性の維持に努めております。またプロジェクトの振り返りにより品質改善や生産性向上に取り組み、システム開発における品質不良や納期遅延による赤字計上の業績への影響や顧客満足度の低下の抑制に努めております。 |
①事業活動への悪影響 ③信用の棄損 |
「労務管理のリスク」 ソフトウエアによるシステム開発は、知識集約型かつ労働集約型の業務であります。また、顧客の要求するシステムに係る開発は、社会的な重要性が高く、納期厳守と高い品質の確保が要求されるため、ソフトウエア開発に当たるエンジニアへの負担が増加するケースが多く、精神的なストレスや長時間労働による健康問題につながる可能性があります。 また、予想外のトラブルや開発環境等の変化により、一時的に特定の従業員に業務負荷がかかるリスクがあります。こうした状況が労務問題に発展した場合には、他の従業員の士気の低下をはじめ、風評被害を含む社会的・法的問題につながり、結果として当社の業績に影響を与える可能性があります。 |
当社では、政府の掲げる働き方改革の方針を受け、過重労働の撲滅を最重要課題とし、総務人事部主催による各部門の部長以上が参加する衛生委員会を毎月開催し、残業時間をはじめ常に従業員の健康に配慮した労働環境の整備に努めております。 |
①事業活動への悪影響 ②財務状況への悪影響 ③信用の棄損 ④損害賠償 |
「法的規制に関するリスク」 当社は、法令等を遵守しておりますが、法的規制の変更があった場合や法令に違反した場合等において、当社が的確に対応できなかった場合には、当社の事業活動が制限されると共に、社会的な信用の失墜や損害賠償等により当社の業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 |
当社では、顧客先に社員を派遣してシステム開発等を行う場合があります。当社は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を遵守し、労働者派遣事業者として監督官庁への必要な届出を行っております。前記の他法令等を遵守する取り組みの一つとして、内部統制を確立させることで、法令他、その他独自のルール違反について未然に防ぐ仕組みを整備し、運用しております。また、社員の行動指針において法令遵守と違反時の罰則を明記し内部通報制度を設け、内部監査室、監査等委員、社外顧問弁護士等と連携して、法令遵守に努めております。 |
①事業活動への悪影響 ②財務状況への悪影響 ③信用の棄損 ④損害賠償 |
「知的財産権に関するリスク」 近年のソフトウエア開発は、多様化・複雑化しており、商業用に開発されたものではなく、比較的自由に参照・利用できるソフトウエアであるオープンソースの利用等により、当社の認識の範囲外で他者の所有する著作権及び特許権を侵害する可能性があります。このように、第三者の知的財産権を侵害してしまった場合、多額の費用負担の発生や損害賠償請求を受けるなど、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。 |
当社では、ソフトウエア開発等において、他社の所有する著作権及び特許権を侵害しないように、著作権管理規程を整備した上で開発者に対し十分な啓蒙活動を行うと共に、営業会議・幹部会議等においても該当する事案がないか常に注意を払っております。 |
リスク分類 |
リスクの内容 |
主な取り組み |
①事業活動への悪影響 |
「自然災害に関するリスク」 気候変動に伴う大型台風や洪水、大型地震などの大規模な自然災害により、当社や当社の主要顧客が被災した場合、 ①当社顧客事業所や当社及び当社開発担当者の被災による、顧客のIT投資計画及び製品開発計画の延伸や中止による受注・売上の減少 ②開発関連資料やソースコードの棄損による既受注案件の納期遅延や開発スケジュールの混乱によるトラブルの発生 ③当社及び協力会社社員が被災した場合における、新規開発受注の機会損失及び既受注案件の納期遅延や開発スケジュールの混乱によるトラブルの発生 が当社の業績や財務状態に影響を与える可能性があります。 |
当社では、営業会議・幹部会議・取締役会におきまして平時より顧客及び業界を取り巻く環境について広く情報を集め議論しており、災害発生時におきましても同様の手段により顧客、協力会社と当社の被害状況について共有・議論を行って参ります。また災害により移動が困難な場合におきましても十分なコミュニケーションが保てるようリモートアクセス環境を整えております。個別の対応につきまして、災害によるプログラムコード等の重要なデータにつきましては、2拠点間の相互バックアップを行いデータの安全性を確保しております。また、従業員の安全を確保する目的で大規模災害時の対応マニュアルを整備し、社内に周知しております。 |
①事業活動への悪影響 ②財務状況への悪影響 ③信用の棄損 |
「不適切な会計処理に関するリスク」 当社は、顧客の情報システムや顧客の製品開発等に係るソフトウエア開発の受託開発及び開発に係る技術者の派遣(役務の提供)を事業としており、その成果物は一般にソフトウエアプログラムという無形物であります。当社は上場企業として会計監査人の監査により当社会計処理の評価・指導を受けると共に、社内におきましても内部統制制度の整備・運用に努めておりますが、個々のソフトウエア開発案件におきまして、原価が正しく賦課されていない場合や収益認識に関する会計基準に従わない売上等の計上が行われこれが看過された場合には、有価証券報告書の虚偽記載等の事案を引き起こし当社の信用を損ない、当社の事業や資金調達等に影響を与える可能性があります。 |
当社では、当社事業がソフトウエア開発という無形物を成果とし、その開発工程が可視化されにくいという特性を十分に理解し、工程及び原価管理システムを自社開発し長年にわたり個々のソフトウエア開発案件の個別原価や工程進捗の可視化に努めて参りました。また内部統制制度の整備・運用におきましても事業の特性を意識した統制を行い、ソフトウエア開発事業に係る適切な会計処理に努めております。なお、2022年5月期の期首から適用されております「収益認識に関する会計基準」につきましても、社内関係部署への周知と教育を行い適切に対応できる体制を整えております。 |
①事業活動への悪影響 ②財務状況への悪影響 ③信用の棄損 ④損害賠償 |
「情報等漏洩のリスク」 当社は、顧客の情報システムや顧客の製品開発等に係るソフトウエア開発を行うに当たり、顧客の個人情報、機密情報、及び重要な顧客情報等を含んだ情報資産を取り扱っております。万が一にも、当社又はその協力会社(外注先)より顧客情報資産の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社の信用失墜等により、当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。 |
当社では、顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、ISMSの認証やプライバシーマークの認定を取得すると共に外部機関に当社ネットワーク等のセキュリティ診断を依頼しセキュリティに係るリスク低減に努めております。また、社内においては各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じ常に情報漏洩のリスクの回避に努めております。 |
①事業活動への悪影響 |
「情報システムに関するリスク」 当社は、業務効率化や社内情報共有のため、情報システムを構築・運用しておりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルス侵入、自然災害・事故等による情報システムの深刻なトラブルが発生した場合には、業務効率性の低下を招く他、被害の規模によっては、当社事業の継続に影響を与える可能性があります。 |
当社では、顧客情報資産の漏洩、紛失、破壊のリスクに対処するために、ISMSの認証やプライバシーマークの認定を取得すると共に外部機関に当社ネットワーク等のセキュリティ診断を依頼しセキュリティに係るリスク低減に努めております。また、社内においては各部門担当者と管理者で構成される情報セキュリティ委員会を設置し、従業員教育及び各種の情報セキュリティ対策を講じ常に情報漏洩のリスクの回避に努めております。 |
配当政策
3【配当政策】
当社の配当政策は、株主への利益還元を経営における重要課題の一つと位置づけ、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、業績向上に応じて継続的かつ安定的な利益還元を行っていくことを基本方針としております。
当社は定款の定めにより、会社法第459条第1項に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず、取締役会の決議によって定めることとしております。また、剰余金の配当の基準日として期末配当の基準日(5月31日)及び中間配当の基準日(11月30日)の年2回の他、基準日を定めて剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。
配当を実施する場合の回数につきましては、年1回の期末配当を行うことを基本方針としております。
当事業年度の配当金につきましては、上記方針に基づき当期の業績及び中長期計画を勘案した結果、1株当たり47円の期末配当とすることを決定いたしました。これにより当事業年度の配当性向は30.4%となりました。
内部留保資金につきましては、技術者の新規採用や教育及び新技術・新事業に係る研究開発等に充当する方針であります。
当社の自己株式の取得については、経済情勢の変化に対応して財務政策等の経営諸施策を機動的に遂行することを可能とするため、会社法第165条第2項の規定に基づき、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨を定款に定めており、配当による利益還元と合わせ対応を検討して参ります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下の通りであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年7月12日 |
224,240 |
47 |
取締役会 |