2025年2月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 35,717 100.0 1,072 100.0 3.0

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社グループは、「クラウドで 世界をもっと はたらきやすく」のビジョンのもと、Amazon.com, Inc.の関連会社 Amazon Web Services, Inc.が提供するクラウドコンピューティング(※1)サービス「AWS」のソリューション販売を主軸とし、2021年からはGoogleが提供するGoogle Cloudにも事業領域を広げてクラウドコンピューティング事業を展開しております。当社は、Amazon Web Services, Inc.の日本法人が設立される以前のクラウド黎明期より、他社に先駆けてAWS導入支援サービスの提供を開始し、AWSへの移行にかかるコンサルティング、クラウド基盤構築、アプリケーション開発、クラウド移行後の運用支援サービス及び運用自動化のためのサービス提供等を一貫して行うことにより、ソリューションを提供しながら、AWSの利用にかかる再販売を行っております。

また、今後クラウドファーストの潮流が一層鮮明化するに伴い、より一層多様化・複雑化する顧客ニーズを的確に把握し、顧客ニーズを満たす適切な商品・サービスを提供し続けていくことやマルチクラウドへ対応するため、2021年8月には、Google Cloud事業を展開する株式会社G-genを子会社として設立、2022年6月にはアプリケーション開発に強みを持つ株式会社トップゲートをM&Aにより連結子会社化し、その後、当該2社を合併することで国内トップクラスのGoogle Cloud事業会社となりました。

そのほかにも、当社グループの企業価値向上に寄与する技術・サービスを保有する事業企業への投資事業を開始する目的で、2022年11月には株式会社SXイノベーション・パートナーズを設立(その後、2024年11月に「株式会社サーバーワークス・キャピタル」に社名変更)いたしました。

クラウドコンピューティングは、サーバー、ソフトウェアライセンス、ネットワーク機器などの初期投資、また運用にあたって多大な運用コストを要する従来型のオンプレミス(※2)と比較し、初期投資を必要とせず、必要に応じてコンピューティング・リソースを柔軟かつ迅速に拡張・縮小することが可能であります。その利便性の高さから、Web・ゲーム・スタートアップ企業のみならず、近年では障害や中断が許されない基幹業務系システム構築の領域においても主要な選択肢となりつつあります。従来の基幹業務系システムに限らず、今後の企業のイノベーションを後押しするビッグデータ(※3)、IoT(※4)、AI(※5)など、柔軟性と変化対応のスピードが要求される新しいビジネス領域はクラウド基盤に支えられた新たなデジタル技術を大前提としたものであり、クラウドをIT基盤の最初の選択肢に据える考え方はもはや常識化しつつあると認識しております。

その中で中核となる当社は、国内外のIaaS/PaaS(※1)の市場で高いシェアを誇るAWSを、顧客企業毎に最適な状態で利用するためのコンサルティング業務、設計・構築業務、および運用支援サービスの開発・提供を行っております。

 


(1) 当社グループサービスの特徴

当社グループの事業は、サーバーワークスによるAWS事業、連結子会社G-genによるGoogle Cloud事業ともに「クラウド事業」単一セグメントであるため、以下については製品・サービス区分別に記載しております。

 

① クラウドインテグレーション

当社グループは、従来のオンプレミス環境で運用されてきた主に企業の基幹業務系システムをクラウド環境へ移行する際のクラウド基盤のデザイン、構築サービス及びアプリケーション開発を提供しています。従来のシステムをクラウド上に移行し(リフト)、コスト効果や生産性を向上するためにクラウドに最適化したシステムの再構築を図る(シフト)、リフト&シフト戦略を顧客企業に提案することにより、クラウドを活用することにより享受できる効用の最大化を図ります。

また、クラウド基盤の構築サービスの提供にとどまらず、顧客企業がクラウドを通じて実現するビジネス目標の設定、クラウドへの移行計画の策定やクラウド導入後の運用計画の策定支援まで、クラウドを導入することによって実現するIT基盤全体の最適化を見据えた上流のコンサルティングサービスも提供しております。

そのほかにも、数多くのクラウド導入に携わってきた実績から得られたナレッジ・ノウハウをデータベース化して社内での技術トレーニングを行うことにより、Amazon Web Services, Inc.等が提供する各種認定技術者資格を保有する数多くのエンジニア(※6)を育成しております。公表実績AWS導入取引社数およびプロジェクト数のうち、クラウドインテグレーションの実績は以下のとおりであります。

 

(単位:社/件)

 

2023年2月

2024年2月

2025年2月

取引社数

226

297

355

プロジェクト数

642

854

1,067

 

主として検収時まで一定の期間にわたり売上が計上される一過性の売上が中心となっており、当社ではフロー売上と位置づけております。

 

② リセール
(AWSリセール/Google Cloudリセール)

当社は2011年7月に Amazon Web Services LLC(現Amazon Web Services, Inc.)とVAR契約(付加価値再販売契約)を締結して以来、日本におけるAWSのリセラーとしてAWSの再販売を行っております。顧客企業は、当社が提供する付加価値としての課金代行サービス経由でAWSを利用することにより、従来ハードウェアの調達やその管理に費やしていた時間やコストを削減することができます。また、当社がAWS利用料に手数料を加算した日本円建ての請求書を発行することにより、顧客企業は一般的な銀行振込による支払いが可能となります。

当社では、2016年6月より、既存の課金代行サービスに新たな付加価値サービスをパッケージとして組み合わせたAWS請求代行サービスを展開しておりますが、各種構築支援やコンサルティングサービスが利用可能な「アドバンスドプラン」のほか、複数のAWSアカウントを適切に統制するフルパッケージプランである「ガバナンスプラン」や基本サービスのみの提供でAWSをおトクに利用できる「ディスカウントプラン」、スタートアップ向けの「スタートアッププラン」など豊富なサービスメニュー提供しております。また、AWS利用料の決済機能だけでなく、「Cloud Automator」(当社のAWS運用自動化サービス)も併せて提供するなど、当社独自の付加価値を付与して提供しております。

当社が取扱う稼働するAWSアカウント数の実績は以下のとおりであります。

 

AWSアカウント数

(単位:個)

2023年2月

2024年2月

2025年2月

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

第1

四半期

第2

四半期

第3

四半期

第4

四半期

2,405

2,653

3,075

3,323

3,534

3,778

4,029

4,296

4,566

4,902

5,375

5,706

 

AWSは、基本的には初期費用が不要であり、顧客企業のAWS利用時間に応じたオンデマンドかつ従量型課金制となっておりますが、利用するサーバースペックと利用期間を予約することにより大幅な割引を得ることのできるReserved Instance(リザーブド・インスタンス)およびSavings Plans(セービング・プラン)と呼ばれる取引形態が存在します。

また、連結子会社である株式会社G-genでは、日本におけるGoogle CloudのリセラーとしてGoogle Cloudの再販売を行っております。

 

(AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」)

「Cloud Automator」は、AWSのAPI(※7)を、当社が提供するWebアプリケーションの画面上からプログラムレスで直感的・視覚的に操作することにより、クラウド運用の自動化・最適化による運用品質の向上を実現するための当社独自のSaaS(※1)であります。AWSの運用に欠かせないバックアップ、EC2(仮想サーバー)やRDS(リレーショナル・データベース)の起動・停止といった「ジョブ自動化機能」と、顧客企業が利用するAWS環境が安全に運用されていることを自動的にレビューする「構成レビュー自動化機能」の2つの機能を実装しており、ヒューマンエラーを極小化しながら運用・保守管理コスト削減と安定運用を実現します。

 

(ソフトウェアライセンス販売)

情報漏洩対策など顧客企業の関心が高いセキュリティ対策ソフトウェア・サービスは、クラウド環境を安全に運用し顧客企業の不安を払拭するうえで不可欠なものとなっております。当社グループは、顧客企業のAWS及びGoogle Cloud環境を運用する上で有効な各種ソフトウェア・サービスの仕入れ販売を行っております。

 

リセール、AWS運用自動化サービス「Cloud Automator」、ソフトウェアライセンス販売ともに、主に利用時間・期間に応じサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。なお、AWSリセール及びGoogle Cloudリセールは取引の性格上、利用料金の総額を売上高に計上しております。

 

③ MSP(マネージドサービスプロバイダー)

顧客企業がAWS及びGoogle Cloud上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスを提供しております。

当社グループは、24時間365日体制でインフラからアプリケーション層をカバーする性能監視、障害監視・復旧、バックアップ等の運用サービスを提供できる体制を整えております。サービス設計にあたっては、安定的なサービス提供と継続的な改善を管理するためにITIL(※8)に準拠した運用設計、運用フローとサービスレベルを規定しております。当社グループは、顧客エンゲージメントライフサイクル(計画、設計、移行または構築、実行および最適化)全体を通して、顧客企業をサポートするために持ち合わせておくべき能力を保有するとしてAmazon Web Services, Inc.に認定された最新の「MSPプログラム」を取得しております。主に利用期間に応じてサービス料金を課金するサブスクリプション型のビジネスモデルとなっており、持続的かつ長期的に安定的な収入を見込めるため、当社グループはストック型の売上と位置づけております。

また、近年、クラウド環境の普及とサイバー攻撃の高度化により、企業のリスクマネジメントを戦略的に支援する役割へのシフトに伴い、従来のMSPにおいて「可用性の確保」に加え、「セキュリティ対応」までを包括的に担うことが求められています。こうした背景から、MSPは単なる運用支援から、脅威監視やインシデント対応を含むMSSP(マネージド・セキュリティ・サービス・プロバイダー)へと進化しております。

 

④ その他

主に、AWS及びGoogle Cloud上で稼働する特定顧客企業のサービスにおけるシステム運用等を行っております。

 

(2) 当社グループのビジネスモデルについて

当社グループでは、クラウドインテグレーションによる売上を「フロー売上」(主に、顧客企業へのコンサルティング、基盤デザイン及び基盤構築等クラウドインテグレーションサービス提供時における役務提供による売上であって、主として顧客企業の検収時に売上が計上される一過性の売上)として位置付け、導入企業を開拓することによりフロー売上を拡大させるとともに継続利用企業を蓄積することにより、前述の「ストック売上」(主に、顧客企業がAWS及びGoogle Cloudを継続的に利用するにあたり発生するAWS及びGoogle Cloudの月額利用料及び「Cloud Automator」をはじめとする自社サービスの月額利用料及びサードパーティーソフトウェア・サービスの継続利用に伴うライセンス料(前述(1)② リセール)並びにAWS及びGoogle Cloud上のサーバーの監視・バックアップ等の運用代行利用料及び保守料等(前述(1)③ MSP)による継続的な売上)の拡大による安定収益化を図っております。

 


〔用語解説〕

※1 クラウドコンピューティング: ソフトウェア、データベース、サーバー及びストレージ等をインターネットなどのネットワークを通じてサービスの形式で必要に応じて利用する方式のことを意味し、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の大きく3つの種別に分類されます。

 

クラウドの種別

代表例

説明

IaaS (Infrastructure-as-a-Service)

AWS、Google Cloud

インターネットを経由して、CPUやメモリなどのハードウェア、サーバーやネットワークなどのITインフラを提供するサービス

PaaS (Platform-as-a-Service)

AWS、Microsoft Azure

インターネットを経由して、アプリケーションを実行するためのプラットフォームを提供するサービス

SaaS (Software-as-a-Service)

Salesforce.com、Office365

インターネットを経由して、従来パッケージ製品として提供されていたソフトウェアを提供・利用する形態

 

※2 オンプレミス:顧客企業が情報システムを自社で保有し、自社の設備において自社運用する形態を意味します。

※3 ビッグデータ:従来のツールやアプリケーションで処理することが困難な巨大・膨大で複雑なデータ集合のことを意味します。

※4 IoT: Internet of Things の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。

※5 AI:Artificial Intelligenceの略称であり、日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、ロボティクス同様、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯び始めています。

 

※6 2025年2月末日現在、AWS認定資格取得者数は以下のとおりであります。

(単位:名)

AWS認定資格種別

資格取得者数(重複有り)

AWS認定ソリューションアーキテクト・プロフェッショナル

129

AWS認定DevOpsエンジニア・プロフェッショナル

90

AWS認定ソリューションアーキテクト・アソシエイト

169

AWS認定デベロッパー・アソシエイト

119

AWS認定システムオペレーションアドミニストレーター・アソシエイト

118

AWS認定セキュリティ-専門知識

93

AWS認定SAP on AWS-専門知識

37

AWS認定高度なネットワーキング-専門知識

67

AWS認定AI-初級

65

AWS認定機械学習-中級

39

AWS認定機械学習-専門知識

50

AWS認定データベース-専門知識

49

AWS認定データアナリティクス-専門知識

42

 

※7 API:Application Program Interfaceの略称であります。あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータを、外部の他のプログラムから呼び出して利用できるようにする仕組みを意味します。

※8 ITIL: Information Technology Infrastructure Libraryの略称であります。ITサービスマネジメントの成功事例(ベストプラクティス)を体系化したITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインであります。

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度末における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は15,222,436千円となり、前連結会計年度末に比べて1,694,637千円増加しました。これは主に、売掛金及び契約資産が940,512千円増加、前渡金が927,659千円増加、有価証券が590,451千円増加した一方で、現金及び預金が838,646千円減少したことによるものであります。また、固定資産は5,271,350千円となり、前連結会計年度末に比べて742,295千円増加しました。これは主に、投資有価証券が512,096千円増加、関係会社株式が225,190千円増加した一方で、のれんが113,234千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は8,709,173千円となり、前連結会計年度末に比べて1,589,429千円増加しました。これは主に、買掛金が1,070,777千円増加、契約負債が726,968千円増加の一方で、短期借入金が100,000千円減少したことによるものであります。また、固定負債は324,185千円となり、前連結会計年度末に比べて54,411千円増加しました。これは主に、繰延税金負債が54,411千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は11,460,428千円となり、前連結会計年度末に比べて793,091千円増加しました。これは主に、利益剰余金が677,331千円増加、その他有価証券評価差額金が200,502千円増加したことによるものであります。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度(自 2024年3月1日 至 2025年2月28日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、一部に足踏みが残るものの、緩やかな回復が続くことが期待されています。一方で、アメリカの政策動向や欧米における高い金利水準の継続など、海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスクとなっています。また、為替相場の円安基調等を影響とする物価上昇を背景に、依然として先行き不透明な状況が続くと想定されます。

当社グループを取り巻く日本国内のクラウド市場は急速に成長しております。その背景や要因には、顧客サービス・顧客サポートの向上、顧客接点の多様化などを目的としたデジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)やオムニチャネル(注2)化の推進、また、IoT(注3)やAI(注4)、特に大規模言語モデル(注5)に代表される生成AI(注6)などの最新技術が急激に進化したことによる大量のデータ収集や処理・分析など、企業が競争力強化や業務効率化のために様々な分野でクラウド技術やクラウドサービスの活用が増加していることが挙げられます。さらに、働き方改革やリモートワークの普及がクラウドを通じた業務環境の改善を後押しし、政府や自治体によるDX推進政策も市場拡大を支える要因となっています。これらの背景から、日本国内のクラウド市場は今後も成長が見込まれております。

また、世界的には、パブリッククラウド市場をけん引するAmazon Web Services(以下「AWS(注7)」)が、技術の進化とイノベーションを繰り返しながら、依然高い成長率と圧倒的シェアを維持して順調に市場を拡大しています。追随するGoogleやMicrosoftとの競争は、それぞれが独自の強みを活かしてクラウドサービスの拡充や改善に力を入れることで多様な選択・オプションが利用可能になり、顧客にとって多くの利益をもたらすとともにクラウドサービスの性能向上やクラウド市場の拡大に大きく寄与しております。

このような状況の中、当社グループは、クラウド専業インテグレーターとして、AWSを中心としたクラウド基盤に関するコンサルティング、基盤構築・運用、クラウドサービスの機能強化、並びにシェア獲得によるビジネスの拡大に尽力してまいりました。また、2024年7月1日付で、Google Cloud事業を展開する連結子会社である株式会社G-genと株式会社トップゲートの合併が完了し、Google Cloud事業において国内ナンバーワンを目指すべく新たにスタートいたしました。

さらに、企業のITインフラがますます複雑化し、その運用管理には高度な専門知識と技術が求められている中、高度なクラウド運用管理を専門的に運営する株式会社サーバーワークス・スマートオペレーションズを2025年3月に新潟市に設立することを決定いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は35,717,021千円(前期比29.8%増)、営業利益は1,072,076千円(前期比19.5%増)、経常利益は1,066,240千円(前期比3.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益677,331千円(前期比6.1%増)となりました。

なお、当社グループの事業はクラウド事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりませんが、製品・サービス別の業績の概要は以下のとおりであります。

 

(クラウドインテグレーション)

旧来のオンプレミスシステムから新たなクラウド環境への移行や複数のクラウドサービスを統合するハイブリッドクラウド戦略などを推進する企業が増加していることによってクラウド需要が更に拡大しており、また、生成AIやIoTなど高度な技術の活用により多様なデータ連携やシステムの最適化が必要となり、専門的な技術支援を求める企業が増え顧客獲得と受注が堅調に推移しました。以上の結果、売上高は2,272,750千円(前期比23.7%増)となりました。

 

(リセール)

既存顧客からの継続的な受注及び大口顧客のAWS利用料の増加によりARPU(注8)が堅調に推移するとともに、新規顧客の獲得もあってアカウント数も増加、また、セキュリティを中心とするサービス・ソフトウェアのライセンス販売、自社サービスの販売も堅調に推移しました。以上の結果、売上高は31,766,931千円(前期比31.4%増)となりました。

 

(MSP(注9))

クラウド需要の高まりに伴い、クラウド環境の運用や管理に関するニーズが拡大しており、企業はクラウド導入後の運用効率化やセキュリティ確保、コスト最適化のため、専門知識を持つ外部パートナーに依頼するケースが増えております。また、生成AIやIoTなどの先進技術の導入によりシステムの複雑性が増し、運用負担が高まっていることなどから受注が堅調に増加しました。以上の結果、売上高は1,665,057千円(前期比11.3%増)となりました。

 

(その他)

その他は、特定顧客向けサービスの縮小により、売上高は12,281千円(前期比70.5%増)となりました。

 

〔用語解説〕

(注1)  デジタルトランスフォーメーション(DX): 企業がデジタルテクノロジーを活用して、ビジネスプロセスやカスタマーエクスペリエンス、組織文化などの様々な領域において革新的な変革を実現する取り組みのことを指します。

(注2)  オムニチャネル: 企業が複数の販売チャネル(店舗、ウェブサイト、モバイルアプリなど)を統合して、顧客にとってシームレスな購買体験を提供する戦略のことを指します。

(注3) IoT:「Internet of Things」の略称であります。コンピュータなどの情報通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、相互に通信を行うことにより認識や制御を自動的に行うことを意味します。

(注4) AI:「Artificial Intelligence」の略称であります。日本では「人工知能」として知られております。従来から概念として広く知られた言葉ですが、膨大なデータの分析・解析・学習処理をクラウドベースで実現することにより現実味を帯びはじめています。

(注5) 大規模言語モデル:自然言語処理の分野で使用される深層学習モデルの一種であり、大量のテキストから言語パターンを学習するAIモデルで、テキスト生成や質問応答など多様なタスクに使用されます。

(注6) 生成AI:コンピュータが学習したデータを元に、新しいデータや情報をアウトプットする技術で、データからパターンを学び新しい情報やアイディアを生成するAIの一分野です。これには、テキスト、画像、音楽などの生成が含まれます。

(注7) AWS:「Amazon Web Services」の略称であります。Amazon.comの関連会社であるAmazon Web Services, Inc.が提供する、Webサービスを通じてアクセスできるよう整備されたクラウドコンピューティングサービス群の総称であります。

(注8) ARPU:「 Average Revenue Per User 」の略称であります。1社あたりの平均売上金額を表す数値であります。

(注9) MSP:「Managed Service Provider」の略称であります。顧客がAWS上に展開した仮想サーバーやネットワークの監視・運用・保守等を請け負うサービスであります。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ8,206,275千円増加し、35,717,021千円(前期比29.8%増)となりました。これは主に、リセールが7,595,903千円増加したことによるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ7,637,466千円増加し、31,612,857千円(前期比31.9%増)となりました。これは主に、リセール売上にかかる仕入高の増加によるものであります。

以上の結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ568,808千円増加し、4,104,164千円(前期比16.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ394,217千円増加し、3,032,088千円(前期比14.9%増)となりました。これは主に、人件費の増加によるものであります。

以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ174,590千円増加し、1,072,076千円(前期比19.5%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ37,608千円増加し、229,478千円(前期比19.6%増)となりました。これは主に、受取利息が63,989千円増加した一方で、為替差益が41,004千円減少したことによるものであります。

また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ178,645千円増加し、235,314千円(前期比315.2%増)となりました。これは主に、持分法による投資損失が141,656千円増加したことによるものであります。

以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ33,553千円増加し、1,066,240千円(前期比3.2%増)となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度における特別損失は、前連結会計年度に比べ64,751千円減少し、97,523千円(前期比39.9%減)となりました。これは、主に特別功労金が49,100千円、役員退職特別功労引当金繰入額が34,000千円減少した一方で、投資有価証券評価損が21,502千円増加したことによるものであります。また、特別利益の発生はありません。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における法人税等合計は、前連結会計年度に比べ24,274千円増加し、269,705千円(前期比9.9%増)となり、非支配株主に帰属する当期純利益は35,058千円増加し、21,680千円(前期は非支配株主に帰属する当期純損失13,377千円)となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ38,971千円増加し、677,331千円(前期比6.1%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は6,041,973千円となり、前連結会計年度末に比べて838,646千円減少しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は906,594千円(前連結会計年度は1,725,470千円の収入)となりました。これは主に仕入債務の増加額1,070,777千円税金等調整前当期純利益968,717千円、契約負債の増加額726,968千円、利息及び配当金の受取額149,331千円、持分法による投資損失143,409千円等があった一方で、売上債権及び契約資産の増加額940,512千円、前渡金の増加額927,659千円、法人税等の支払額444,816千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,453,379千円(前連結会計年度は439,401千円の支出)となりました。これは主に有価証券の取得による支出598,520千円、投資有価証券の取得による支出423,466千円、関係会社株式の取得による支出300,600千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は227,252千円(前連結会計年度は121,436千円の収入)となりました。これは非支配株主からの払込みによる収入450,020千円株式の発行による収入7,734千円があった一方で、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出585,007千円短期借入金の返済による支出100,000千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループは受注から販売までの期間が短いため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社グループは「クラウド事業」の単一セグメントとしておりますが、当連結会計年度の販売実績を製品・サービス区分ごとに示すと次のとおりであります。

 

製品・サービス区分の名称

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

  至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

クラウドインテグレーション(千円)

2,272,750

123.7

リセール(千円)

31,766,931

131.4

MSP(千円)

1,665,057

111.3

その他(千円)

12,281

170.5

合計(千円)

35,717,021

129.8

 

(注) 1.製品・サービス区分間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」及び「② 経営成績の状況」に記載しております。また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、リセールにおける仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資、継続的なソフトウエアの開発及び投資有価証券の取得等によるものであります。なお、当社グループの資金の源泉は主に新株の発行及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものであります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

a.受注損失引当金

 受注損失引当金は、受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約のうち、将来の損失発生が見込まれ、かつ、当該損失を合理的に見積ることが可能なものについては、翌連結会計年度以降の損失見込額を計上しております。当該損失見込額は将来の工数等の見積りに依存するため、見積りの前提となる条件や仮定に変更が生じた場合には引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

b.投資有価証券

 投資有価証券のうち時価のあるものについては、期末時点で市場価格が取得価額に対して著しく下落している場合、時価のないものについては、投資先の純資産価額の当社持分が当社の帳簿価額に対して著しく下落している場合につき、将来の回復の可能性を検討し、評価損を計上することとしております。将来、時価又は実質価額が下落し、回復可能性がないと判断した場合には、減損処理する可能性があります。

 

c.株式会社G-genののれんの評価

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループの事業セグメントは、クラウド事業のみの単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

【関連情報】

前連結会計年度(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)

1.製品及びサービスごとの情報

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

クラウドインテグレーション

リセール

MSP

その他

合計

外部顧客への
売上高

1,836,963

24,171,027

1,495,554

7,201

27,510,746

 

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2024年3月1日 至 2025年2月28日)

1.製品及びサービスごとの情報

 

 

 

 

 

(単位:千円)

 

クラウドインテグレーション

リセール

MSP

その他

合計

外部顧客への
売上高

2,272,750

31,766,931

1,665,057

12,281

35,717,021

 

 

2.地域ごとの情報

(1) 売上高

本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

(2) 有形固定資産

本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。

 

3.主要な顧客ごとの情報

外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日

当社グループの事業セグメントは、クラウド事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

当連結会計年度(自 2024年3月1日 至 2025年2月28日

当社グループの事業セグメントは、クラウド事業のみの単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

該当事項はありません。