2024年10月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

迷惑情報フィルタ事業 その他
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」を企業理念として掲げ、この企業理念に基づき、「誰かがやらなければならないが、誰もが実現できていない社会的課題の解決を革新的なテクノロジーで実現すること」を事業方針の軸としております。人々の生活に定着したスマートフォンをはじめとする身近なインターネットデバイスは、生活の利便性を高め、世界一の高齢社会に向かう日本の経済成長を持続可能にするために不可欠なツールとなっています。

その一方で、電話を活用した振り込め詐欺に代表される特殊詐欺や、スマートフォンや携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を悪用したフィッシング詐欺など、インターネットデバイスを通じた社会問題が発生しています。

当社は、こうした多数かつ多額の被害をもたらす特殊詐欺や社会問題等の抑止に効果的な迷惑情報フィルタ事業に注力しています。独自の機械学習サイクルを備えたデータベーステクノロジー(※1)を活用し、スマートフォン利用者が特段意識することなく、犯罪の脅威から安心安全な生活を守れるよう犯罪抑止に効果的なセキュリティ商品・サービスを提供しており、疑わしい電話番号の情報を、警察等の公的機関からの連携、サービス利用者からのフィードバック、インターネットでの情報収集等で網羅的に集積(※2)し、習慣性判定を行うAI技術で迷惑電話番号を抽出(※3)し、迷惑電話番号リストを日々最新化しております。

 

※1 デジタル技術の進化に伴い、様々な情報がデータベースにログ情報として蓄積できるようになりました。当社では、独自の調査とデータ収集活動により収集した様々なデータベースを統合・解析し、機械学習を活用した分析を行うことにより、リスク検知に有用な情報として加工する技術を有しており、このことを「データベーステクノロジー」と表現しております。

※2 2024年10月末現在において、企業や店舗、公共施設等の電話番号情報を563万件以上、うち迷惑電話番号に関する情報を約3万件データベース化しております。また、これらの情報は日々更新され、高品質なデータベースの維持・向上に努めております。

※3 当社では、警察等の公的機関による情報提供、利用者からの着信拒否・許可といったフィードバック情報や、当社による独自の調査活動を通じて、電話番号ごとに迷惑度合いの点数化を行い、データベースに蓄積しております。このデータベースに蓄積された情報から、特殊詐欺など犯罪に利用された電話番号やしつこいセールスの電話番号など、迷惑電話をかける可能性のある番号を、統計や機械学習を用いた当社独自のアルゴリズムにより自動的に迷惑電話番号候補として抽出し、当社技術者が迷惑電話番号リストへの登録要否を最終判断することをもって、迷惑電話番号リストを作成・更新しております。

 

(当社の事業展開)

当社は社会問題の1つである特殊詐欺の防止に有効な商品・サービスとして、迷惑電話番号リストを活用し、利用者にとって未知の迷惑電話番号であっても自動的に着信拒否設定がなされる「迷惑情報フィルタ事業」を主要事業として展開しております。

同事業は、自社の得意分野にリソースを集中するため、プロモーションや販売代金の回収については主に通信キャリアや通信回線事業者といった提携先により実施されており、顧客獲得コストの低い収益モデルとなっております。また、これらの通信キャリアや通信回線事業者、メーカー、自治体等との提携によるBtoBtoCの販路により、安定的な顧客基盤を構築しており、迷惑情報フィルタの月間利用者数(※4)は2024年10月末現在において約1,500万人に上ります。

 

※4 月間利用者数は、当社製品・サービスを利用しているユーザーのうち、電話番号リストの自動更新又はアプリの起動等により、当月に1回以上、当社サーバへアクセスが行われたユーザー数です。なお、1ユーザーが複数の携帯端末等を所有しそれぞれで当社サービスの利用契約を行い、各端末等から当社サーバへのアクセスがなされた場合には、複数ユーザーとして重複カウントしております。

また、月間利用者数は、当社が事業を通じて特殊詐欺被害の撲滅に貢献する上で重要なKPIの一つとしておりますが、主要な取引先である通信キャリアとの契約条件は様々であり、必ずしも月間利用者数の増減が直接的に収益に影響を与えるものではありません。

 

 

当社は従来、「迷惑情報フィルタ事業」を報告セグメントとしており、報告セグメントに含まれないホームページ制作運営支援事業及び受託開発事業を「その他」に区分しておりましたが、当事業年度より「迷惑情報フィルタ事業」の単一セグメントに変更しております。事業の具体的な内容は次のとおりです。

 

(迷惑情報フィルタ事業)

当社は、2011年6月、悪質な迷惑電話や詐欺電話を防止する「トビラフォン」を自社製品として開発し、販売を開始いたしました。同製品の販売以降、「トビラフォン」の電話番号データベース、迷惑電話番号解析アルゴリズムを活用して、スマートフォンやフィーチャーフォン等のモバイル端末及び固定回線向けのアプリやサービスの提供、法人向けに「トビラフォン」の機能を強化した「トビラフォンBiz」、クラウド型ビジネスフォンサービス「トビラフォン Cloud」の販売を行う等、迷惑情報フィルタの新たな商品・サービス展開を行っております。

当社では、常に最新の迷惑電話の活動状況に関する調査を行うことを目的とし、当社の迷惑情報フィルタの利用者が行う着信許可・拒否登録、利用者のアプリやサービスから得られるログ情報、警察等の公的機関による情報提供、及び当社の調査活動等、日々膨大なデータを収集・蓄積しております。

「トビラフォン」は、これらの収集・蓄積されたデータを元に当社独自の迷惑電話番号抽出技術を用いることで、利用者に着信した電話が迷惑電話かどうかの判別を行い、迷惑電話と判別された電話番号について、自動的に着信拒否や警告レベルに応じた「危険」「警告」の表示が適用される従来にはないセキュリティシステムです。また、公的機関や法人の電話番号など公開された電話番号もデータベース化されており、あらかじめ携帯電話の電話帳に登録されていなくても、自動的に発信者情報を表示する仕組みにより、安心して通話できる社会の実現に貢献しております。

 当社は、これらの技術開発について積極的な研究開発活動と知財戦略を行ってきており、本書提出日現在において国内外にて14件の特許を取得しております。

 さらに、モバイル向けの迷惑情報フィルタ機能の向上及びユーザーへの提供価値を高めるため、2021年8月には広告コンテンツをブロックするアプリ「280blocker」を提供していた合同会社280blockerの全持分を取得し、同社を吸収合併いたしました。これにより、当社の迷惑情報フィルタ事業は、迷惑電話・SMS対策に加え、Web閲覧時の迷惑Web広告対策まで全方位でカバーできるようになっております。

 

 


 

 

当社の迷惑情報フィルタ事業は、「モバイル向けフィルタサービス」、「固定電話向けフィルタサービス」、「ビジネスフォン向けフィルタサービス」の3つのサービスから構成されており、サービス別の内容は次のとおりです。

 

① モバイル向けフィルタサービス

ソフトバンク株式会社、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社といった国内の主な通信キャリアと提携し、各通信キャリアが提供するオプションパックに含まれる複数のサービスの1つとして、当社の迷惑情報フィルタアプリを各通信キャリアのアプリという形で、エンドユーザーに提供しております。

オプションパックは、「iPhoneセキュリティパックプラス」や「あんしんパック」等の名称で販売されており、他社が提供するセキュリティ対策サービスとセットで提供されております。携帯電話の利用者の多くは、携帯電話の契約を行う際に、通信キャリアの店頭でオプションパックの商品内容について対面での説明を受けることが多く、当該説明を踏まえてオプションパック加入の是非を検討しております。

各通信キャリアのオプションパックに加入した契約者は当社の迷惑情報フィルタアプリをダウンロードすることで迷惑電話フィルタ機能を利用することが出来るようになるほか、モバイル端末の電話帳等に登録をしていない電話番号であっても、当社の電話番号データベースに蓄積された情報をもとに公共施設や企業等の名称を自動的に表示する機能を利用することが可能となります。

また、一部の通信キャリアに対しては、当社独自のアルゴリズムにより収集・分析した迷惑メールデータベースを活用し、詐欺につながるテキスト情報を含むメールやSMSをフィルタする「迷惑メールフィルタ機能」の提供も行っております。迷惑メールデータベースは、利用者に届くメールやSMS情報を収集・分析し、迷惑URLとして出現頻度の高いURLや、迷惑メールとしての特徴を持つ本文情報から、独自のアルゴリズムにより危険な疑いのあるURL情報等をパタン抽出し、それらの情報について社内調査を行った上で構築されております。

当社は、通信キャリアと定額又は従量課金による契約を締結しており、通信キャリアが提供するオプションパックの契約数又は利用者数に応じた収益モデルにより、継続的かつ安定的な収益基盤を確立しております。 

当社は、これら3社グループと提携することで各社の顧客基盤にアプローチすることができておりますが、機種変更等による買い替えや契約内容の見直し等に伴うオプションパックへの加入需要を取り込むこと等で、モバイル向けフィルタサービスの利用者数・契約者数が増加していくことを期待しております。

 

主要なアプリ・サービス一覧

通信事業者

対象機器

オプションパック

アプリ・サービス

アイコン

KDDI㈱

Android・

iPhone

Pontaパス

UQ mobile 安心セキュリティセット

迷惑メッセージ・

電話ブロック


㈱NTTドコモ

Android・

iPhone

あんしんセキュリティ

あんしんパック

あんしんセキュリティ
(迷惑SMS対策)

あんしんセキュリティ


ソフトバンク㈱

Android・

iPhone

iPhoneセキュリティパックプラス

スマートフォンセキュリティ
パックプラス

セキュリティOne


かんたん

スマホシリーズ

(Y!mobile)

なし

(機能標準搭載)

迷惑電話対策


JCOM㈱

Android・

iPhone

迷惑電話・メッセージブロック

MY J:COM


 

 

 

 

② 固定電話向けフィルタサービス

当社は、通信回線事業者のオプションパックとして、IP電話向けの迷惑情報フィルタサービスを提供しており、通信回線事業者のオプションサービス契約数に応じた従量課金による契約を締結しております。

IP電話を利用するためには通信回線事業者が提供するホームゲートウェイ(※5)を介して、インターネットと固定電話の接続が必要となりますが、通信回線事業者が提供するホームゲートウェイに当該サービスに係るアプリケーションが内蔵されており、利用者はオプションパックの利用申し込みを行うことで、迷惑情報フィルタサービスの利用が可能となります。利用者の固定電話に着信があった際に、着信電話番号が迷惑電話に該当するかどうか当社データベースに自動的に照会をすることで判別を行い、迷惑電話と判別された電話番号については自動的に呼び出し音を鳴らさない仕組みとなっております。

 

※5 ホームゲートウェイとは、光回線によるインターネットサービスにおいて、複数の機器を相互に接続する光電話対応ルータを指します。 

 

 


 

固定電話の全体の契約数は2024年6月末時点において約4,930万件であり、契約数は年々減少傾向にあります。一方、IP電話の利用番号数は2024年6月末時点には約4,530万件であり、2025年頃にNTT東日本・西日本の交換機等が維持限界を迎えることから、従来の電話回線による加入電話から、インターネット回線を使用するIP電話への移行需要が増加しております。(出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和6年度第1四半期(2024年9月27日公表))」)

 

主要なサービス一覧

通信回線事業者

対象機器

オプションパック

サービス

KDDI㈱

ホームゲートウェイ

電話オプションパックEX

迷惑電話発着信

ブロック

中部テレコミュニケーション㈱

光電話付加サービス

割引パックPlus

セキュリティパック

あんしん電話

着信サービス

㈱オプテージ

あんしん電話パック

あんしん

発着信サービス

KDDI㈱

ネットワーク

(CATV)

オプションお得パック

迷惑電話自動

ブロック

 

 

 

また、従来の電話回線向けの製品として「トビラフォン」の電話機外付け型端末を販売しており、自治体等の実証実験事業における外付け型端末の販売・レンタルを主たる商流としております。

当該実証実験は、特殊詐欺被害防止施策として自治体等が地域住民に対して「トビラフォン」を無償貸与し、その効果を検証するものであり、当社は「トビラフォン」の提供のほか、パンフレットやレポートの作成、アンケートの実施等を行っております。

「トビラフォン」の電話機外付け型端末は、本体正面のLED発行色によって着信電話の安全度をお知らせする機能を搭載しており、電話を取る前に一瞬で着信電話の安全度を確認することができます。またボタンひとつで、着信拒否を行うことができ、利用者の拒否ボタンは当社の管理サーバに記録され、迷惑電話判定における調査対象データの参考となります。

なお、その他の商流としては、当社からエンドユーザーへの直接販売等もあります。

 


 

③ ビジネスフォン向けフィルタサービス

「トビラフォン」にクラウドサーバにおける通話録音システムや集中型管理システムの機能等を追加した「トビラフォンBiz」と、クラウド型ビジネスフォンサービスの「トビラフォン Cloud」を販売しております。

モバイル向けフィルタサービス、固定電話向けフィルタサービスが一般消費者(個人)を対象としている一方、これら商品は企業を対象としております。「トビラフォンBiz」は、通話情報の録音、着信履歴の管理・共有、不要なセールス電話等迷惑電話の自動拒否による業務の効率化やサービス品質の向上、カスタマーハラスメント対策としてコンプライアンスの強化を図ることができます。「トビラフォン Cloud」は、お持ちのスマートフォンに専用アプリをインストールすることで、市外局番や「050」で始まるIP電話番号を利用できるクラウド型ビジネスフォンです。外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話の文字起こしなど、ビジネスフォンに必要な機能を標準搭載しています。

当社は、迷惑情報フィルタ事業における法人向け市場の開拓拡大を目指し、営業活動を行っております。

 

 

(その他)

システムの受託開発等を行っております。なお、今後は迷惑情報フィルタ事業に注力する方針のため、積極的に展開はしない方針です。

 

 

<事業系統図>

○ 迷惑情報フィルタ事業

 


 

 

○ その他

 


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

 

 (1) 経営成績の状況

当社は「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」を企業理念として掲げ、この企業理念に基づき、「誰かがやらなければならないが、誰もが実現できていない社会的課題の解決を革新的なテクノロジーで実現すること」を事業方針の軸としております。当社事業は、電話を活用した振り込め詐欺、特殊詐欺グループが犯行前に資産情報を聞き出すアポ電、パソコンのウイルス感染を装った偽の警告画面で不安を煽り虚偽のサポート窓口へ連絡させて金銭を盗むサポート詐欺等の特殊詐欺や、スマートフォンやショートメッセージサービス(SMS)を悪用したフィッシング詐欺などの抑止に効果的な迷惑情報フィルタ事業です。当期は毎月「特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート」を発行したことにより、多数各種メディアへ取り上げられました。また、総務省主催の「不適正利用対策に関するワーキンググループ」への出席や、警視庁主催のサイバーセキュリティ有識者研修で講師を務めるなど、特殊詐欺防止に向けた活動を積極的に行いました。

迷惑情報フィルタ事業は、モバイル向け、固定電話向け及びビジネスフォン向けの3つのサービスを展開しております。モバイル向けフィルタサービスでは、一部の通信キャリアとの契約において価格条件を引き上げて更改いたしました。また、JCOM株式会社の「J:COM MOBILE」のオプションサービスに、当社のデータベースの提供を新たに開始しました。迷惑広告コンテンツをブロックするアプリ「280blocker」は認知拡大に努め、販売促進を行いました。

固定電話向けフィルタサービスでは、ケーブルプラス電話における当社サービスの販売が順調に推移いたしました。

ビジネスフォン向けフィルタサービスでは、カスハラ対策として有効な自動通話録音、録音告知メッセージ機能等、オフィス電話に必要な便利機能を搭載したビジネスフォン向け製品「トビラフォンBiz」の販売が順調に推移いたしました。クラウド型ビジネスフォンサービス「トビラフォン Cloud」は通話の文字起こし機能である音声テキスト化を標準搭載機能とすることや、当社独自の音声認識エンジンの提供を開始し、その販売は順調に推移いたしました。

以上の結果、当事業年度における売上高は2,405,885千円(前期比16.7%増)、営業利益は831,784千円(前期比21.8%増)、経常利益は829,589千円(前期比22.1%増)、当期純利益は601,854千円(前期比16.2%増)となりました。

なお、当事業年度より、「迷惑情報フィルタ事業」の単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における総資産は4,355,634千円となり、前事業年度末に比べ708,732千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金811,050千円増加したこと、売掛金28,946千円増加したこと、商品及び製品21,104千円減少したこと、のれん65,904千円減少したこと、ソフトウエア24,958千円減少したこと、投資有価証券19,955千円増加したこと及び繰延税金資産が22,687千円減少したこと等によるものであります。

(負債)

当事業年度末における負債合計は1,914,305千円となり、前事業年度末に比べ404,240千円増加いたしました。これは主に、契約負債462,880千円増加したこと、未払法人税等24,050千円減少したこと及び長期借入金50,040千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は2,441,329千円となり、前事業年度末に比べ304,491千円増加いたしました。これは主に、配当金の支払いによる利益剰余金179,490千円の減少及び自己株式190,196千円の取得に対し、当期純利益を601,854千円計上したこと、自己株式を61,677千円処分したこと及びその他有価証券評価差額金13,848千円増加したこと等によるものであります。

なお、自己資本比率は56.0%(前事業年度末は58.6%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて811,050千円増加し、3,215,658千円となりました。各キャッシュ・フローの主な状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は1,305,889千円(前年同期は1,220,958千円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払額265,303千円、売上債権及び契約資産の増加が27,993千円、投資有価証券売却益の計上が29,999千円あったものの、税引前当期純利益860,276千円減価償却費133,734千円のれん償却額65,904千円計上したこと、棚卸資産の減少が22,991千円、長期前払費用の減少が37,776千円、未払金の増加が23,892千円あったこと及び契約負債の増加が463,684千円あったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は78,339千円(前年同期は91,470千円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出46,070千円投資有価証券の売却による収入30,000千円無形固定資産の取得による支出63,150千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は416,498千円(前年同期は160,645千円の減少)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出50,040千円自己株式の取得による支出188,171千円及び配当金の支払179,369千円によるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

② 受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

③ 販売実績

当社は、「迷惑情報フィルタ事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年11月1日

  至 2023年10月31日)

当事業年度

(自 2023年11月1日

  至 2024年10月31日)

販売高

(千円)

割合

(%)

販売高

(千円)

割合

(%)

KDDI株式会社

584,322

28.3

594,997

24.7

ソフトバンク株式会社

484,718

23.5

540,914

22.5

株式会社NTTドコモ

415,405

20.2

493,583

20.5

インバースネット株式会社

194,480

9.4

355,926

14.8

 

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に見積り、計上しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、通信費等の費用であります。投資を目的とした資金需要はサーバ等インフラ設備、機器や本社移転に伴う敷金の差入等によるものであります。

運転資金は自己資金を基本としており、投資資金は自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。なお、当事業年度末における借入金残高は195,710千円となっております。また、当事業年度末の現金及び現金同等物は3,215,658千円であり、流動性を確保しております。

 

③ 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」をご参照ください。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3(事業等のリスク)」をご参照ください。

 

⑤ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度の経営成績については、「(1) 経営成績の状況」に記載の通りであり、売上高は2,405,885千円(前期比16.7%増)、営業利益は831,784千円(前期比21.8%増)、経常利益は829,589千円(前期比22.1%増)、当期純利益は601,854千円(前期比16.2%増)となりました。

当社が対処すべきと認識している課題は、「第2 事業の状況 1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)」に記載のとおりです。その中でも、当社の迷惑情報フィルタ事業は、通信キャリアのオプション契約に組み込まれるサービス運営を中心とするビジネスモデルに依存している状況にあることから、新規・周辺ビジネスの立ち上げが課題であると認識しております。

そのため、中長期的な経営戦略においては、複数のビジネスモデルを持ち、より頑強な組織へと成長していくことが今後の発展において重要であると考えております。迷惑情報フィルタ事業で培ったデータベースのノウハウを活用し、新たな事業領域への拡張のみならず、新しいビジネスモデルの展開も積極的に検討してまいります。