リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1)不動産・住宅業界市場の動向について
当社は、「不動産プラットフォーム事業」として不動産・住宅業界に特化したインターネットサービスを提供しております。このため、景気の後退、大幅な金利の上昇、住宅税制の変化、その他予期せぬ要因の影響により、各種不動産取引が低迷し、不動産・住宅業界における広告出稿が大幅に減少した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)技術革新について
当社が運営するサービスは、インターネット関連技術を基盤としております。インターネット業界における技術革新のスピードは著しく、当社では、これらの変化等に迅速に対応できるよう、最新技術への迅速な対応や情報の蓄積・分析に注力しておりますが、今後の技術革新や顧客ニーズの変化に伴い、最新技術への対応が困難となった場合、当社の提供するサービスが陳腐化し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合について
当社ではITを活用した不動産バーティカルメディア『リビンマッチ』を運用しております。当該サービス分野は当社だけでなく他社も事業を展開しておりますが、新サービス開発、ブランディング等により、他社との差別化を図っております。
また、当該事業分野は多額の広告宣伝費を投下する必要があることから、一定の参入障壁はあるものと考えております。
しかしながら、競合他社との競争激化による収益力の低下や、広告宣伝費の増加等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)広告宣伝費について
「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 損益計算書関係」に記載のとおり、2023年9月期において、当社が運営する不動産バーティカルメディア『リビンマッチ』に係わる広告宣伝費が営業収益に占める割合は52.4%に達しており、当社の事業において、広告宣伝費は集客数・営業収益増加のための重要な投資であると認識しております。広告宣伝費の支出に関しては、広告効果を測定し、最適な広告宣伝活動を実施するように努めておりますが、各種広告媒体における広告掲載基準の変更、検索エンジンの表示結果、広告手法などにより、広告宣伝費が大きく変動する可能性があります。
当社では、日常的に集客数・営業収益と広告宣伝費の費用対効果を分析することで、最適な広告宣伝活動を行っておりますが、何らかの理由により、広告宣伝費の費用対効果が悪化した場合には、集客数・営業収益の減少や、広告宣伝費の追加的な支出により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)個人情報保護について
当社では、当社サイトのエンドユーザーに関する大量の個人情報を取り扱っております。当該情報の漏洩を回避するため、「プライバシーマーク」登録証の取得・更新、社内規程、業務マニュアル等のルールの整備、社員教育の徹底等により、個人情報を保護する体制の維持に努めておりますが、万一、個人情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜や当該事象に起因する多額の経費発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制について
当社のインターネットサービスにおいては各種法的規制を受けており、具体的には、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「電気通信事業法」等といった法的規制の対象となっております。
当社では、当該規制に対して、遵守体制の整備・強化、社員教育、顧問弁護士との定期的な情報交換等の対応を行っておりますが、今後、新たな法令等の制定や、既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、その内容によっては当社の事業が制約を受けたり、新たな対応が必要になったりする可能性があり、そのような場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)公序良俗に違反する広告及びサイトに対する対応について
当社が運営するサービスは、数多くの広告媒体及びアドネットワークを含む広告代理店(以下「広告媒体等」という。)へ広告の掲載を委託しており、広告の内容や広告のリンク先については広告媒体等の裁量に任せる部分が多く、公序良俗に反する広告が掲載されてしまう可能性があります。当社といたしましては、広告媒体等との取引開始時における審査の実施や社内にて広告掲載基準を設定するなど、広告及びリンク先のサイトの内容についての管理を実施しております。また、当社の社員が既に掲載されている広告及び広告のリンク先サイトを定期的に巡回し、広告掲載基準の遵守状況を監視しております。広告掲載基準に違反する行為が発見された場合には、警告や契約解除などの措置をとっております。
しかしながら、広告媒体等が公序良俗に反する広告や商品・サービスの提供を当社の意図に反して継続することにより、当社の提供するサービスや当社のアカウントがGoogle LLCやヤフー株式会社(現 LINEヤフー株式会社)等の運営する大手広告媒体より削除された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権の管理について
当社は、運営するインターネットサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制としては、当社の管理部門及び顧問弁護士等による事前調査を行っております。
当事業年度末現在において、当社では第三者の知的財産権を侵害していないものと認識しておりますが、当社の事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であり、万一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や差止請求等を受ける可能性があります。また、当社が保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、当社が保有する知的財産の権利化が困難な場合もあります。こうした場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)システム障害について
当社の事業はインターネット環境において行われており、サービスの安定運用のために適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、アクセス数の突発的な増加、人的ミス、コンピュータウィルス、第三者によるサーバーやシステムへのサイバー攻撃、自然災害等の様々な要因により、当社の想定範囲を超えるシステム障害等が発生した場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)新型コロナウイルス感染拡大による影響について
2023年5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行したことに伴い、行動制限が緩和され、経済活動の回復に向けた動きが見られます。もっとも、再度感染が拡大する可能性もあり、今後の推移は依然として不透明な状態にあることから、仮に、当社の想定を超えて経済活動が長期的に停滞した場合には、対面による営業活動が制限されることにより、当社の事業活動に支障をきたし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)新規事業への取り組みについて
当社では、事業展開の対象領域としている不動産・住宅業界において、事業規模の拡大と収益源の多様化を目的として、新規サービスの提供や新規事業開発を検討しております。
これにより、人材採用、広告宣伝費、システム投資等の新たな費用が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規サービスの提供や、新規事業開発が計画通りに進まない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)経営管理体制について
① 内部管理体制の整備について
当社は、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 小規模組織における管理体制について
当社は小規模な組織であり、当事業年度末現在の内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社では今後の事業拡大に対応すべく人員増強等によりさらなる組織力の充実を図ってまいりますが、事業の拡大に応じた組織整備や内部管理体制の拡充が順調に進まなかった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の採用、育成及び定着について
当社では、優秀な人材の確保、育成及び定着は、今後の継続的な成長を実現させるための重要課題であると認識しております。このため、積極的な採用活動を通じ、優秀な人材を確保するとともに、社内研修や人事制度の改善、福利厚生の拡充等により、人材の育成や定着率の向上を図っておりますが、当社が求める人材を計画通りに確保できなかった場合、採用・育成した人材が当社の事業に寄与しなかった場合、優秀な人材が社外に流出した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長である川合大無は当社の創業者であり、創業以来代表者を務めております。同氏は、不動産プラットフォーム事業に関連する豊富な経験と知識を有しており、当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社では取締役会や定例の経営会議において、役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を行うことが困難となった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ コンプライアンス体制について
当社では、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、今後、万一役職員の不正や不法行為が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の取締役及び従業員等に対するインセンティブを目的として、新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。今後、これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。本書提出日の前月末現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は2,124株であり、発行済株式総数1,343,588株の0.2%に相当しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。しかしながら、現在当社は成長拡大の過程にあると考えており、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化と事業拡大に向けた投資に充当することで、更なる事業拡大を実現することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
このことから創業以来配当は実施しておらず、現時点において配当の実施及びその時期等については未定でありますが、将来的には、財政状態、経営成績、事業計画等を勘案し、株主への利益還元策を決定していく所存であります。
なお、剰余金の配当を行う場合には、年1回の期末配当を基本方針としております。当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨定款に定めております。