2025年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります

(単一セグメント)
  • 売上
  • 利益
  • 利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 売上
(百万円)
売上構成比率
(%)
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 4,835 100.0 327 100.0 6.8

事業内容

3【事業の内容】

(1)事業の概況

 当社グループは、「あらゆる価値を解放し、ココロ震える体験を世界に。」というグループパーパスのもと、主に自社設計のオリジナルサーバーを基軸としたデータ配信と、そのデータを適切に蓄積・分析・処理するAIソリューションを併せてワンストップで提供するサーバープラットフォームビジネスを展開しております。その中で培ったサーバーインフラ技術、データ処理技術及びコンテンツ処理技術等を強みとして、事業規模を拡大してまいりました。

(注)データセンター及び付随する高速回線についてはハウジングサービスを利用しており、通信事業者が所有するデータセンター設備内に、当社グループのサーバーを設置しております。

 

(2)技術の特徴

 当社グループの「マンガサービス」における、サーバープラットフォーム技術には、以下の特徴があります。

 

①ユーザビリティ

・高速配信が可能

ハウジングで利用しているデータセンターにおいて、インターネット回線が集積する東京都千代田区大手町から当社グループのみが利用する専用線を引き込んでおり、自社のみで使用できる環境にある高速なインターネット回線を通じて配信しているため、他社の利用状況の影響を受けず安定した高速配信により快適なユーザー体験を提供できる能力を有しております。

当社グループは高性能なサーバーを自社で保有していることを利点として、仮想化(注1)やルーティング(注2)によるオーバーヘッド(注3)なくサーバーを稼働させております。

ユーザーに快適な使用環境を提供することは、隙間時間の活用やサービスへの接触機会の増加につながり、ユーザー満足度の向上のために重要であると考えております。

 

・コンテンツ処理

マンガに適した画像とするためのトーンをグラデーションにする処理技術(注4)、画像圧縮技術、ノイズリダクション(注5)技術及びアップコンバート(注6)技術を有しております。

その他、パソコン上のブラウザやスマートフォン上での快適な画面の閲覧が可能になる画像表示ソフトウエア(viewer)、データの大量配信に対応した電子認証システム等の技術を有しております。

動画につきましても、画像と同じく圧縮処理技術・ノイズリダクション等の技術を有しております。

 

・通信量削減

ユーザーの読書履歴及びお気に入り登録などから、大量のデータにより学習した情報を基にユーザーが読むであろうコンテンツを予測し、充電中かつWi-Fiに接続しているユーザーの端末への事前の配信を可能にしております。これにより携帯電話回線接続時にダウンロードが不要になることから画像表示に要する時間及び通信量が削減され、電車の中など電波状態の悪い環境におけるコンテンツ閲覧に要する通信環境のハードルが下がり、パケット制限への抵触が回避しやすくなります。

またユーザーの回線状態に合わせてコンテンツのクオリティを自動調整することにより、通信量の削減も可能となっております。

②安定した運用

・サービス停止の防止策

当社グループではサーバーを3重化、ネットワークを2重化した、単一障害点(注7)のない冗長化(注8)構成を基本としております。突発的なサーバーダウンが発生した場合においてもダウンしたサーバーを自動で除外し、残りの2台のサーバーが相互補完する仕組みとなっており、サービスを中断することなく提供することが可能な体制となっております。同様に、ネットワークダウンが発生した場合においても、予備のネットワークに自動で切り替える体制となっております。

 

・耐障害性の高さ

データベースサーバーにおいて、マルチマスタ方式(注9)を採用しております。一般的にはマスタ・スレーブ方式(注10)が採用されておりますが、マスタデータを更新してからスレーブデータに更新されるまでにタイムラグが発生し、マスタサーバーに不具合が発生した場合、マスタ・スレーブの切替の処理が必要というデメリットがあります。マルチマスタ方式を採用することにより、マスタ・スレーブの切替の処理が不要となり、障害発生時に自動フェイルオーバー(注11)によるサービスの継続が可能となっております。

 

③高コストパフォーマンス

・低コストでの運用

コンテンツの電子配信事業者は、クラウドサーバー事業者を活用することが通常であるなかで、当社グループは用途、配信量に応じたサーバーハードウェアを自社設計する方針としており、画像・動画の高速大量配信に特化したオリジナルサーバーを高性能・低コストで調達することができます。通常、サーバーの台数が増加するほど、サーバー間の連携をとるためのシステムは複雑になり、サーバーの監視に要する人的コストは高まります。当社グループはサーバー1台の性能を高めることにより、少数のサーバーにより運営しております。それにより複雑なシステムを構築する必要がなく、また監視対象が少ないため、保守に要する労力も削減しております。

 

・サーバーコスト抑制

当社グループは圧縮率の高いフォーマットであるAVIF(注12)やWebP(注13)といったフォーマットを採用しております。コンテンツの容量を削減することにより、サーバーを構築するうえで確保する必要のある容量を削減、サーバーに必要なコストを抑制しております。

 

・AIを用いた運用コストの抑制

当社グループはリコメンド作品の選定、サムネイルの切り出しにAIを用いて自動化しております。従来は作品のリコメンドを手動で行っておりましたが、人間が把握できる作品の数には限界があることや、リコメンドスキルの属人化が課題でした。AIを用いることで、これらの課題を解決した上でコストを削減しております。また、サムネイルの切り出しにおいても、AIが候補を複数提示し、その中から最適なものを人間が選ぶことで、手動で切り出していた時と比較し、大幅にコストを削減しております。

 

④マーケティング

・迅速なフィードバック

当社グループは高速なデータベースの集計処理を可能とする技術を有しております。データの高速取得は、データ分析の容易さに直結するため、リアルタイムで取得したユーザーの動向を、サービスに対して迅速にフィードバックを行うことが容易となっております。

 

⑤セキュリティ

・著作権保護技術

動画コンテンツにおいては、DRM(注14)としてGoogle Inc.が提供するWideVine(注15)を採用した実績があります。

 

(注)1.仮想化:サーバーなどのハードウエアリソースを、物理的な構成にとらわれずに、論理的に統合や分割することができる技術のこと。1台のサーバーを複数台のサーバーであるかのように論理的に分割して、それぞれにOSを動作させることが可能。

2.ルーティング:送信元から宛先まで、データを転送すること。

3.オーバーヘッド:コンピューターが処理する際の、当該処理を実行するために必要となる付加的な負荷。

 

4.トーンをグラデーションにする処理技術:目の細かいトーンを潰してグラデーションにすることでデータ量を削減する技術。

5.ノイズリダクション:音声や映像等といった信号に含まれるノイズを抑圧・軽減する、信号処理の一種。

6.アップコンバート:多層構造のニューラルネットワークを用いた機械学習である深層学習を利用して、低解像度の画像を高解像度の画像に近づける技術。低解像度の画像と高解像度の画像を大量に準備し、低解像度を不正解、高解像度を正解とPCに学習させ、低解像度の画像からPCに正解(高解像度の画像)を導き出させる。

7.単一障害点:その単一箇所が停止するとシステム全体が停止するような箇所。

8.冗長化:システムの一部に何らかの障害が発生したケースに備えて、障害発生後もシステム全体の機能を維持するため、予備装置を普段から配置、運用しておくこと。

9.マルチマスタ方式:複数のデータベースサーバーが本番データベースのみで構成される。更新が全てのデータベースに遅延なく反映され、常に同じデータを格納する方式。全てのデータベースは更新/検索ともに可能となっている。

10.マスタ・スレーブ方式:1つの本番データベース(マスタ)と複数の複製データベース(スレーブ)で構成される。アプリケーションからの更新はマスタデータベースが受付け、マスタデータベースの更新データが順次スレーブデータベースに反映される方式。スレーブデータベースは検索用途に限定される。

11.フェイルオーバー:稼働中のシステムで問題が生じてサーバーが停止してしまった際に、待機サーバーに切り替える仕組み。

12.AVIF:動画コーデックを応用した静止画フォーマット。

13.WebP:Google Inc.が開発しているオープンな静止画フォーマット。

14.DRM:動画などのデジタルデータの無制限な利用を防ぎ、コンテンツを保護する技術の総称。

15.WideVine:Google Inc.が提供する著作権保護技術。

 

(3)サービスの内容

 当社グループの事業は「インターネットサービス事業」の単一セグメントであり、当該事業セグメントは、上記の技術を基盤とした3つのサービスから構成されております。3つのサービスとは「リカーリングサービス」、「初期開発・保守開発サービス」、その他にスポットで発生する「その他サービス」であり、それぞれのサービス概要は以下のとおりです。

 

①リカーリングサービス

 「リカーリングサービス」は、当社の持続的な収益基盤となるレベニューシェア(注16)収益及び月額固定収益(サブスクリプション)で構成されております。①サーバーの調達、システムの構築及びデータセンター設置のサーバー保守運用、②継続するスマートフォンアプリケーションの開発・アップデート並びに③サービス運用及び広告運用の組み合わせ、もしくは単体でこれらのサービスを提供しております。これら開発・運営サービスの提供の他、コンテンツの調達・提供サービスも提供しております。

 事業領域としては、電子書籍配信サービスに注力しております。電子書籍配信サービスでメインのサービスは、その配信者(コンテンツホルダー)又は配信者からサービス運営を受託した企業とのレベニューシェア契約を締結しているサービスであり、株式会社小学館が提供するマンガアプリである「マンガワン」及び株式会社集英社が提供するマンガアプリである「ゼブラック」においては上記サーバー、アプリ開発及びサービス運用の3サービスをまとめて提供しており、株式会社スクウェア・エニックスが提供する「マンガUP!」及び株式会社白泉社が提供する「マンガPark」では、サーバーサービスを提供しております。電子書籍配信サービスではマンガコンテンツをメインに配信しておりますが、その他に当社グループの技術を活用しながら動画コンテンツ、小説コンテンツ及び音声コンテンツも配信し、他サービスとの差別化を図り、付加価値の向上に努めております。

 

(注)16.レベニューシェア:企業間の提携手段のひとつ。支払額が固定された委託契約ではなく、企業が互いにパートナーとして提携し、リスクを共有しながら、相互の協力で生み出した利益を予め決めておいた配分率で分け合うこと。

 

 マンガアプリの主な収益構造は、ユーザーからの課金及び広告収入となっております。

 「マンガワン」については、ライフ、SPライフ、チケットの3種類のポイントがあり、それぞれのポイントを使用することでマンガを閲覧することが可能となっております。ライフは1日に2回4ポイントまで回復します。SPライフは広告主の提供するサービスの利用、課金の際のおまけポイント等により入手可能です。チケットは、ユーザーがApple Inc.やGoogle Inc.といったプラットフォーム運営事業者による課金決済を通じて入手できるポイントになります。

 当社グループが提供するマンガアプリは無料ポイントを付与するフリーミアムモデル(注17)により、ユーザーのマンガ閲覧に対する敷居を下げ、アプリに慣れ親しんでもらいたいと考えております。またアプリオリジナル作品を提供するアプリもあり、ユーザー獲得に努めております。

 なお、「マンガワン」の収益は、まずユーザーの課金額からプラットフォーム手数料を差し引いた金額がプラットフォーム運営事業者からコンテンツホルダーへ、また広告料が広告代理店からコンテンツホルダーへ支払われます。次に両者を合計した金額から、レベニューシェア料率に基づいた配分額がコンテンツホルダーから当社へ支払われます。また「マンガUP!」等の共同開発があるサービスの収益は、コンテンツホルダーから共同開発先へ支払われた配分額からサービス運用のための諸費用を控除したうえで、レベニューシェア料率に基づいた配分額が共同開発先から当社へ支払われます。

 

(注)17.フリーミアムモデル:制約の範囲内では無償でサービスを利用でき、制約以上のサービス利用のために課金等が必要となるモデル。

 

 当社グループはもともとクラウドサーバーを独自の技術で効率的に運用することにより、顧客のサーバー費用の削減を提案し、収益化に繋げてきました。その成長により得た資金でオンプレミスサーバー(注18)での管理が可能になり、ビジネス規模を拡大してまいりました。レベニューシェアのコンテンツ配信サービスはオンプレミスサーバーでの配信を核とし、画像処理技術やデータ分析を付加価値として提供することが評価され獲得した案件であり、今後も当社グループ事業の中核をなしていくと考えております。しかしながら、クラウドサーバーからオンプレミスサーバー管理へ環境は変わりましたが、従来営んできたような顧客のサーバー費用の削減に貢献し、当社グループの収益化に繋がるサーバー保守運用サービスについても、ストック型のビジネスとして案件を拡大してまいります。その一例として、株式会社メディアシークが運営する、QRコードリーダーアプリ「ICONIT」のサーバー保守運用を行っております。

 

(注)18.オンプレミスサーバー:自社運用サーバー。

②初期開発・保守開発サービス

 「初期開発・保守開発サービス」は、リカーリングサービス案件獲得のための受託開発を提供するサービスです。取引先の新規サービス立ち上げ時、既存サーバーからの乗り換え時に、当社グループがその後のサービス保守運用も見据えたサーバープラットフォームやアプリケーション等をワンストップで提供します。またサービスのアップデートのための開発も請け負っております。

 当社グループはリカーリングサービスの拡大による持続的な成長に努めております。そのためには初期開発においてクオリティの高い成果物、納期の遵守等の顧客ニーズを確実に満たす必要があります。また、その後の保守運用において、安定的なサービス運用及びユーザー動向をサービスに反映するための適時のアップデート対応なども必要となってまいります。今後も技術力を基礎とした開発サービスの提供により取引先からの信頼を獲得し、リカーリングサービス案件の獲得に努めてまいります。

 

③その他サービス

 「その他サービス」は、上記の2サービスには分類されないWebサイト開発などスポットの開発案件を主として構成されております。

 

 サービスの収益構造としては、初期開発売上及び保守開発売上と、レベニューシェア収益及び月額固定収益(サブスクリプション)から構成されるサーバープラットフォームの継続利用料になります。

 取引先のニーズに合わせてサービス毎に自社で設計したオリジナルサーバーを提供しており、クラウドのサービス等へスイッチングする場合には、最適化された環境から汎用的な環境へと移行することによるコストが高くなるため、案件の失注を防ぎ安定的な収益の獲得に貢献しております。

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

(1)リカーリングサービス

① リカーリングサービスで主力になっている「マンガワン」の事業系統図は以下のとおりです。

 

(注)1.ユーザーの課金額からプラットフォーム手数料(Apple Inc.やGoogle Inc.などのプラットフォーム運営事業者による代金回収代行業務及び売上管理業務に対する手数料)を差し引いた金額が、プラットフォーム運営事業者からコンテンツホルダーへ支払われます。

2.プラットフォーム運営事業者及び広告代理店から支払われた収益額のうち、当社グループへの配分額がコンテンツホルダーより支払われます。

 

② 上記レベニューシェア契約の他に、取引先企業に対する継続開発及びサーバー保守運用等、継続した収益が見込める案件をリカーリングサービスとしております。

 

 

(2)初期開発・保守開発サービス

 リカーリングサービス案件獲得のための開発案件になります。

 スマートフォンアプリケーション、Webシステム等の開発やサーバーシステムの構築等の案件となっております。取引先に納入する単純な取引であるため、事業系統図の記載を省略しております。

 

(3)その他サービス

 その他サービスについては、売上金額が小さくまたその商流が多様であるため、事業系統図の記載を省略しております。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、当連結会計年度よりIFRS会計基準を適用しており、前連結会計年度の数値もIFRS会計基準に組み替えて比較分析を行っております。

 なお、財務数値に係るIFRS会計基準と日本基準との差異については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.初度適用」をご覧ください。

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、「あらゆる価値を解放し、ココロ震える体験を世界に。」というグループパーパスのもと、高性能オリジナルサーバーを中心としたインフラ技術を強みに、多くのコンテンツホルダーのDX推進パートナーとして取り組んでまいりました。国内の複数のマンガサービスの開発・企画・運用に取り組むほか、マンガやWebtoonの制作・流通、コンテンツのローカライズ、グローバルマンガサービスの運営、マーケテイングを通じたコンテンツやサービスのグロースなど、コンテンツを軸に事業領域を拡大してまいりました。

当社グループの主な事業領域である情報通信産業は、総務省発行の「令和7年版情報通信白書」によると、2023年時点で名目GDP57.4兆円となっており、全産業の10.0%を占めております。

当社グループが注力する電子書籍市場につきましては、2024年度の市場規模は6,703億円と推計され、2023年度の6,449億円から254億円(3.9%)増加しております。日本の電子出版市場は2025年度以降も拡大基調で、2029年度には8,000億円弱になると予測されております(インプレス総合研究所「電子書籍ビジネス調査報告2025」)。

このような経営環境の中、当社グループは、リカーリングサービス及び初期開発・保守開発サービスにおいて、既存サービスの収益力拡大及び新規サービスのリリースに注力してまいりました。この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益4,835,406千円(前年同期比131.7%)、営業利益326,968千円(前年同期比104.7%)、税引前当期利益308,943千円(前年同期比99.5%)、親会社の所有者に帰属する当期利益147,986千円(前年同期比94.0%)となりました。

なお、当社グループはインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の状況は、次のとおりです。

 

(リカーリングサービス)

「リカーリングサービス」は、レベニューシェア収益及び月額固定収益(サブスクリプション)で構成されており、ストック型のビジネスモデルとなります。

当連結会計年度においては、前第4四半期より新たに連結子会社となった、株式会社ビューン及び株式会社Romanzにおける収益の加算及び、地震予測AIサービス「ゆれしる」やインハウスによる広告運用収益、昨年度リリースをしたサービスの月額固定収益などが順調に伸長いたしました。

この結果、リカーリングサービスの売上収益は4,309,574千円(前年同期比128.9%)となりました。

 

(初期開発・保守開発サービス)

「初期開発・保守開発サービス」は、リカーリングサービス案件獲得のための受託開発を提供するサービスです。取引先の新規サービス立ち上げ時、既存サーバーからの乗り換え時に、当社グループがその後のサービス保守運用も見据えたサーバープラットフォームやアプリケーション等をワンストップで提供します。

当連結会計年度においては、初期の開発案件の対応及び既存サービスのメンテナンス等を進めて参りました。

この結果、初期開発・保守開発サービスの売上収益は525,832千円(前年同期比160.5%)となりました。

 

財政状態については次のとおりです。

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は5,720,877千円となり、前連結会計年度末と比較して679,947千円の増加となりました。

 その主な要因は、現金及び現金同等物の減少252,423千円、使用権資産の増加130,999千円、のれんの増加527,463千円及び無形資産の増加158,429千円によるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は3,091,459千円となり、前連結会計年度末と比較して936,414千円の増加となりました。

 その主な要因は、借入金(流動)の増加795,567千円によるものであります。

(資本)

 当連結会計年度末における資本合計は2,629,418千円となり、前連結会計年度末と比較して256,466千円の減少となりました。

 その主な要因は、利益剰余金の増加147,986千円、資本剰余金の減少161,932千円及び非支配持分の減少256,795千円によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末と比較して252,423千円減少し、1,654,662千円(前連結会計年度末1,907,085千円)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は222,561千円(前年同期は264,316千円の獲得)となりました。その主な要因は、税引前当期利益の計上308,943千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は112,808千円(前年同期は30,459千円の支出)となりました。その主な要因は、無形資産の取得による支出246,566千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は362,034千円(前年同期は86,440千円の支出)となりました。その主な要因は、長期借入による収入1,100,000千円があったものの、長期借入金の返済による支出245,849千円及び連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,040,567千円があったこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりです。なお、当社グループはインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

初期開発・保守開発サービス

649,897

230.68%

222,070

515.33%

 (注)リカーリングサービス及びその他サービスで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりです。なお、当社グループはインターネットサービス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

リカーリングサービス

4,309,574

128.9

初期開発・保守開発サービス

525,832

160.5

合計

4,835,406

131.7

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

    なお、当連結会計年度においては連結売上収益の10%以上を占める顧客の該当がないため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社小学館

496,362

13.6

株式会社集英社

438,256

12.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要性がある会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRS会計基準に準拠して作成しております。

 この連結財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針及び重要な見積りは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。また経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 当社グループの資金需要は、事業規模の拡大に係る人件費、その採用費、広告宣伝費及び主にサーバー購入に係る設備投資資金等の運転資金並びにM&A等の戦略的投資資金となります。財政状態等を勘案しながら、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等による資金調達を考えております。

 流動資産と流動負債のバランスを注視し、財政状態の健全性を評価しており、当連結会計年度末時点で健全な財務体制であると判断しております。なお、資金の短期流動性確保のため、金融機関と合計1,000,000千円の当座貸越契約を締結しております。

 

(3)並行開示情報

 連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりです。

 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

 

① 要約連結貸借対照表(日本基準)

(単位:千円)

 

 

前連結会計年度

(2024年7月31日)

当連結会計年度

(2025年7月31日)

資産の部

 

 

流動資産

3,418,018

3,265,864

固定資産

 

 

有形固定資産

136,880

172,900

無形固定資産

656,522

1,338,693

投資その他の資産

426,004

429,356

固定資産合計

1,219,407

1,940,951

繰延資産

708

479

資産合計

4,638,134

5,207,295

 

 

 

負債の部

 

 

流動負債

1,105,923

1,858,934

固定負債

756,620

867,343

負債合計

1,862,543

2,726,277

 

 

 

純資産の部

 

 

株主資本

2,476,573

2,431,057

その他の包括利益累計額

8,978

9,007

新株予約権

420

189

非支配株主持分

289,618

40,764

純資産合計

2,775,590

2,481,017

負債純資産合計

4,638,134

5,207,295

 

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)

要約連結損益計算書

(単位:千円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

売上高

3,662,056

4,835,406

売上原価

1,552,657

2,526,238

売上総利益

2,109,398

2,309,168

販売費及び一般管理費

1,755,721

2,074,463

営業利益

353,677

234,704

営業外収益

37,835

79,965

営業外費用

16,033

21,148

経常利益

375,480

293,521

特別利益

133,016

31,202

特別損失

126,775

3,807

税金等調整前当期純利益

381,721

320,916

法人税等合計

92,912

120,824

当期純利益

288,808

200,092

非支配株主に帰属する当期純利益

59,061

85,959

親会社株主に帰属する当期純利益

229,747

114,133

 

要約連結包括利益計算書

(単位:千円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

当期純利益

288,808

200,092

その他の包括利益合計

△13,592

57

包括利益

275,216

200,149

(内訳)

 

 

親会社株主に係る包括利益

216,087

114,161

非支配株主に係る包括利益

59,128

85,987

 

③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)

前連結会計年度(自 2023年8月1日 至 2024年7月31日)

(単位:千円)

 

 

株主資本

その他の包括

利益累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

2,246,655

22,638

420

44,045

2,313,759

当期変動額

229,917

△13,659

245,572

461,831

当期末残高

2,476,573

8,978

420

289,618

2,775,590

 

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

(単位:千円)

 

 

株主資本

その他の包括

利益累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

2,476,573

8,978

420

289,618

2,775,590

当期変動額

△45,516

28

△231

△248,854

△294,573

当期末残高

2,431,057

9,007

189

40,764

2,481,017

 

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)

(単位:千円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

115,306

58,971

投資活動によるキャッシュ・フロー

△29,855

△105,809

財務活動によるキャッシュ・フロー

56,130

△198,444

現金及び現金同等物に係る換算差額

2,500

△141

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

144,081

△245,423

現金及び現金同等物の期首残高

1,756,004

1,900,086

現金及び現金同等物の期末残高

1,900,086

1,654,662

 

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)

前連結会計年度(自 2023年8月1日 至 2024年7月31日)

(連結範囲の変更)

 当連結会計年度より、株式会社Link-U Technologies及び株式会社Link-U Marketingの株式を設立により取得したことにより連結の範囲に含めております。また、株式会社Romanz及び株式会社ビューンの株式を新たに取得したことにより連結の範囲に含めております。

 

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

(連結範囲の変更)

 前連結会計年度において連結子会社であったリベラルマーケティング株式会社は、当連結会計年度において全株式を売却したため、連結の範囲から除いております。

(持分法適用の範囲の重要な変更)

 前連結会計年度において持分法適用の関連会社であった株式会社アムリンク及びITFホールディングス株式会社は、当連結会計年度において全株式を売却したため、持分法適用の範囲から除いております。

(会計方針の変更)

(「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」等の適用)

 「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を当事業年度の期首から適用しております。

 法人税等の計上区分に関する改正については、2022年改正会計基準第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っております。なお、当該会計方針の変更による財務諸表に与える影響はありません。

(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRS会計基準により作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。

 

前連結会計年度(自 2023年8月1日 至 2024年7月31日)

 「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 35.初度適用」に記載のとおりです。

 

当連結会計年度(自 2024年8月1日 至 2025年7月31日)

 のれんの償却については、実質的に償却年数を見積り、その年数で均等償却しておりましたが、IFRS会計基準では移行日以降の償却を停止しております。この結果、IFRS会計基準では日本基準に比べて販売費及び一般管理費が15,699千円減少しております。

 

セグメント情報

6.セグメント情報

(1)報告セグメントの概要

 当社グループの報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 なお、当社グループの事業内容はインターネットサービス事業であり、区分すべきセグメントが存在しないため、インターネットサービス事業の単一セグメントとなっております。

 

(2)製品及びサービスに関する情報

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 21 売上収益」をご参照ください。

 

(3)地域別に関する情報

外部顧客への売上収益

 本邦の外部顧客への売上収益が連結損益計算書の売上収益の大部分を占めるため、記載を省略しております。

 

非流動資産

 本邦に所在している非流動資産の金額が連結財政状態計算書の非流動資産の金額の大部分を占めるため、記載を省略しております。

 

(4)主要な顧客に関する情報

 連結売上収益の10%以上を占める顧客の売上収益は、以下のとおりです。

  なお、当連結会計年度においては連結売上収益の10%以上を占める顧客の該当がないため、記載を省略しております。

(単位:千円)

 

 

前連結会計年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

当連結会計年度

(自 2024年8月1日

至 2025年7月31日)

株式会社小学館

496,362

株式会社集英社

438,256