2024年7月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業内容に関するリスク

①コンテンツ配信市場の動向について

 当社グループの主力サービスが属するコンテンツ配信市場は拡大を続けておりますが、歴史が浅い新しいマーケットでもあります。当社グループとしましては引き続きコンテンツ配信市場へ注力してまいりますが、利用者の嗜好の急激な変化、法制度の改正等により当社グループが関わるサービスが規制対象となった場合、その他、業界における取引慣行や価格体系の変化など、計画策定時の想定を超える不確定要素が顕在化した場合には、当社グループの経営方針や経営戦略の変更を余儀なくされ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、2024年7月期においてもマンガアプリへの依存度が高く、コンテンツ配信市場、特に電子マンガ配信市場の動向が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②Apple Inc.及びGoogle Inc.の動向について

 当社グループのスマートフォンアプリはApple Inc.及びGoogle Inc.が運営する各アプリマーケット上において提供しており、当社グループの売上高に占める当該スマートフォンアプリによる売上高の割合は高くなっております。利用規約の変更など、プラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③スマートフォン及びタブレット端末等関連市場について

 当社グループは、スマートフォン及びタブレット端末上で利用するサービスを主たる事業としていることから、スマートフォン、タブレット端末等の関連市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。当社グループは、今後もより快適にスマートフォンを利用できる環境が整えられていくと考えておりますが、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信事業者の動向など、当社グループの予期せぬ要因によりスマートフォン、タブレット端末等の市場の発展が阻害される場合には、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

④競合他社について

 当社グループの主力サービスが属するコンテンツ配信市場は、法制度や規制又は特許等による参入障壁が低く、コンテンツ提供元である出版社等も非独占的にコンテンツ提供を行っております。このような状況を踏まえ、当社グループでは今後もコンテンツラインナップの充実と当社グループが提供する配信システムの強化により、競合他社との差別化を図ってまいります。しかしながら、今後、当社グループの取扱うコンテンツ及び配信システムで他社との十分な差別化が図れない場合、利用者のニーズに適合したサービスの開発・提供や先進技術への対応等が遅れることによりサービス・技術の陳腐化を招いた場合には、当社グループが関わるサービスの利用者数が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤特定顧客への依存について

 当社グループの売上高は、特定顧客への依存度が高く、2024年7月期においては、主要顧客上位3社向け売上高は全体の31.7%を占める規模となっており、当該売上高が当社グループの売上高全体に占める割合は以下のとおりに推移しております。

 

2022年7月期

2023年7月期

2024年7月期

主要顧客上位3社

37.0%

34.9%

31.7%

 サービスの方針については、各顧客と協議の上、決定しております。しかしながら各顧客の方針、経営成績及び財政状態によっては、売上高や広告宣伝費を含む当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。今後、提供サービスの差別化、新規技術の獲得を促進することで売上高の維持・拡大に努めるとともに、新規顧客開拓を進めてまいりますが、競合企業がさらなる付加価値の創造を行うこと等によって新規顧客開拓が思うように進まなかった場合には、売上の依存度が軽減されず、主要顧客の動向及び取引の動向によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥システムリスクについて

 当社グループが関連するサービスは、スマートフォン等の端末によるインターネット接続によって提供されておりますが、当社グループが関連するサービスに対するアクセスの急激な増加等、一時的な負荷増大によって当社グループ又は携帯電話通信キャリアのサーバーが作動不能に陥った場合や、当社グループのハードウエア又はソフトウエアの欠陥により正常な情報発信が行われなかった場合には、システムが停止しサービス提供が不可能となる場合があります。さらには、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入や当社グループ担当者の過誤等によって、当社グループや取引先のシステムが置き換えられたり、重要なデータを消失又は不正に入手されたりする可能性があります。

 当社グループとしては、侵入防止策、担当者の過誤を防止する体制を採っておりますが、もし上記のような障害等が発生した場合には、当社グループに直接損害が生じる他、当社グループの社会的信用・信頼の低下を招きかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦法的リスクについて

 当社グループの事業は、「個人情報の保護に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」「特定商取引に関する法律」「資金決済に関する法律」等、多岐にわたって関連しております。当社グループではこれらの法令を遵守するため、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおりますが、今後の法改正などにより当社グループの事業分野において新たな法的規制が適用されることになり、当社グループの事業展開が制約を受けたり、対応措置をとる必要が生じたりする場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ユーザーの個人情報が漏洩した場合や意図せず第三者の著作権等の知的財産権を侵害してしまった場合、コンテンツホルダーにおいて著作権の管理に問題があり、著作権者から訴訟等が発生した場合などについて、損害賠償の発生などが生じる他、当社グループの社会的信用・信頼の低下を招きかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧海賊版サイトの台頭について

 コンテンツビジネスにおいては、海賊版が流通することによってコンテンツホルダー、著作権者、ベンダーなどが本来受け取るべき収益について機会損失が発生する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨新技術の活用について

 当社グループでは、AIやIoTなどの新技術を活用することにより、より効率的なビジネスモデルの創出や新たな付加価値の提供に取り組んでおります。今後も、新技術を活用し、競争力の強化に努めていく方針ではございますが、技術革新が極めて速いこれらの新技術について、当社グループが変化への対応が遅れた場合や十分な活用が出来なかった場合には、競争力の低下を引き起こし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)グループ組織管理に関するリスク

①人材の確保と定着化について

 当社グループが成長、拡大するうえで、高度な技術を有する人材やグローバル人材など、ダイバーシティに富む人材確保が極めて重要となります。当社グループはこれに備え、人材の積極採用、福利厚生の充実や管理職のマネジメント能力向上、研修や勉強会の実施などに取り組んでおります。今後も優秀な人材の確保、育成を推し進める方針ですが、いずれも継続的な人材の確保を保証するものではありません。適切な人材を十分に確保できなかった場合や想定を超える人材流出があった場合、人材育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの事業拡大に制約を受ける可能性があります。

 

②小規模組織について

 当社グループ組織は、従業員数が2024年7月31日現在で192名(臨時従業員を除く。)と規模が小さく、現在の社内管理体制や業務執行体制もこの規模に応じたものとなっております。当社グループでは、今後の事業拡大及びそれに伴う人員の増加に対応して、社内管理体制や業務執行体制の強化を進めてまいりますが、これらが順調に進まなかった場合やこれらに要する費用等の負担が想定を超えて増大した場合には、当社グループの事業拡大に影響を与え、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③内部管理体制について

 当社グループは、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるという考えのもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であると認識しております。

 また、当社グループでは、役職員等の内部関係者の不正行為等が発生しないよう、リスク管理規程を制定し、当社グループの役職員が遵守すべきルールを定めており、内部監査等により遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生するといった事態が生じた場合、事業の急速な拡大により内部管理体制の構築が追いつかないという事態が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④特定人物への依存について

当社グループは、代表取締役を含む役員、執行役員等の専門的な知識、技術、経験を有している役職員が、経営戦略や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、特定の人物に過度に依存しない経営体制の構築を目指し人材の育成・強化に注力しておりますが、これら役職員が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他のリスクについて

①投資に関するリスク

 当社グループは、持続的に企業価値を向上させていくため、企業等への出資その他投資を行っております。当社グループは、自社設計のオリジナルサーバーを基軸としたデータ配信と、そのデータを適切に蓄積・分析・処理するAIソリューションを併せてワンストップで処理するサーバープラットフォームビジネスを展開しているため、大多数のIT企業と親和性があり、またこれから電子コンテンツ配信への進出を検討している企業もその対象と考えており、状況に応じて必要資金を調達して出資等することも考えております。その実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等の審査を行い、リスクを検討したうえで決定しておりますが、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断された場合には、のれん等の無形固定資産や投資有価証券等の減損損失を認識することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②配当政策について

 当社グループは、株主に対する配当や自社株買い等の利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、それと同時に内部留保の充実により経営基盤を強化すること、収益力強化及び収益基盤の多様化のための投資に充当することも重要であると認識しております。

 したがって、財政状態と経営成績を総合的に勘案したうえで株主に対する利益還元を実施する方針でおりますが、当面は実施する見込みはなく、当該方針が投資家の支持を得られなかった場合、当社株価の形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

③外的要因(自然災害等)について

 当社グループは、インターネットや通信などの各種サービスの提供に必要な通信ネットワークや情報システムなどを構築・整備しております。地震・台風・洪水・津波・竜巻・豪雨・大雪・火山活動などの自然災害、火災や停電・電力不足、テロ行為、コンピューターウイルスなどの攻撃により、通信ネットワークや情報システムなどが正常に稼働しなくなった場合、当社グループの各種サービスの提供に支障を来す可能性があります。これらの影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。また、通信ネットワークや情報システムなどを復旧するために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、財務体質の強化と事業拡大のための内部留保の充実等を図ることが重要であると考え、過去において配当を行っておりませんが、株主に対する利益還元も経営の重要課題であると認識しております。

 今後の配当政策の基本方針といたしましては、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主への安定的かつ継続的な利益還元を検討していく方針でありますが、現時点では、実現可能性及びその実施時期等については未定であります。内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。

 なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、期末配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。