事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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セキュアクラウドシステム事業 | 2,812 | 96.9 | 537 | 97.0 | 19.1 |
エモーショナルシステム事業 | 89 | 3.1 | 17 | 3.0 | 18.5 |
事業内容
3【事業の内容】
当社の事業セグメントは、企業の基幹システムをクラウド化する「セキュアクラウドシステム事業」、特殊な映像技術を用いて空間を仮想化する「エモーショナルシステム事業」の2つのセグメントで構成されております。
(セキュアクラウドシステム事業)
セキュアクラウドシステム事業は、当社が創業間もない時期から取り組んでいる主力事業であります。
同事業は、仮想化技術を基礎とするプライベートクラウドを核としてSaaSとパブリッククラウドを組み合わせた国内クラウド市場が対象であり、目安として売上高100億円~500億円規模の中堅企業、SaaS事業者及び公共団体を主な顧客ターゲットとしております。同事業の属する国内クラウドサービス市場において、単一企業内で利用するクラウドをプライベートクラウドと呼び、当社は、中堅企業、SaaS事業者及び公共団体向けシステムのプライベートクラウド構築を中心とした「基幹システムのクラウド化」と、システム障害やサイバー攻撃被害に対する回復の仕組みを構築する「データ基盤の強靭化」の事業を行っております。
市場規模は2021年の国内プライベートクラウド市場だけでも、前年比32.3%増の1兆2,163億円であり、2021年~2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は20.4%、2026年の市場規模は2021年比2.5倍の3兆711億円と予測されており(出所:IDC Japan株式会社「国内プライベートクラウド市場予測」2022年11月9日プレスリリース)、国内クラウド市場全体では、2022年の市場規模が前年比37.8%増の5兆8,142億円、2022年~2027年の年間平均成長率は17.9%、2027年の市場規模は2022年比約2.3倍の13兆2,571億円になると予測されている(出所:IDC Japan「国内クラウド市場予測」2023年6月27日 プレスリリース)、有望かつ潤沢なマーケットと言われております。
当社は、プライベートクラウドを実現する主要なソフトウエアである、Citrix、VMware、Microsoftの製品とサービス群を熟知、これら各社の戦略を理解し、顧客企業にとって最適な選択を行うことを第一に考えています。その上で、セキュリティ、ストレージ、サーバー等のハードウエア商品及び各種ソフトウエア商品を含めた、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現の前提となるクラウド基盤を提案しています。従来的な設計・構築・維持に留まらず、障害回復・強靭化(必須のレジリエンス)を含めた総合的な提案を行っております。
また、2023年3月には、シトリックス・システムズ・ジャパン㈱とのパートナー契約「Cloud Software Group Fusion Partner Program」(旧称:Citrix Solution Advisor Partner Program)を締結し、同社製品のリセラー最上位であるプラチナ(PLATINUM)の認定を取得しています。日本国内にシトリックス・システムズ・ジャパンのリセラーは282社ありますが、販売実績等の厳しい条件があるプラチナに認定されているリセラーは国内で14社のみであり、中でも当社は有資格技術者数が全国で2番目に多い、主だった仮想化技術企業として評価を得ております。
セキュアクラウドシステム事業は、サーバーの仮想化や強靭なセキュリティ環境の構築を行う「プラットフォーム」、仮想化環境に特化し、現場から発生するニーズを満たした機能を製品化して販売を行う「プロダクツ」、顧客が望む独自機能を満たすためのスクラッチ開発(手作り開発)を行う「カスタマイザー」の3つの区分で構成されており、当社は、企業システム全般を対象とした包括的サービスを顧客に提供しております。
売上区分 |
概要 |
プラットフォーム |
システム仮想化業務(プライベートクラウド化~ハイブリッドクラウド化)にて活用する各種仮想化ソフトウエア(Citrix、VMware、Microsoft等)の導入コンサルティング、設計、実装、保守の技術サービスを行っております。 ランサムウェアや不正アクセスなどのサイバー攻撃対策、ダメージを受け障害に陥ったシステムの回復など、BCP(Business Continuity Planning:企業が災害やサイバー攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において損害を最小限にとどめつつ中核となる事業を継続するための計画)の要となるデジタルレジリエンスの構築も含め、それらに付随するハードウエア、ソフトウエアを販売し、コンサルティングにおいては、上記各種の仮想化ソフトウエアによるシステム構築が可能であることを強みとして、各社製品の特徴を生かした提案を行っております。 特にCitrixについては、2004年4月から継続してシトリックス認定販売パートナーのトップカテゴリ(Citrix Solution Advisor Platinum)にリストされており、その中でも技術面、実績面で極めて厳しい条件が設けられている最上位レベル(Platinum Plus)に、2021年3月、国内で初めて認定されています。 |
プロダクツ |
業務システムの帳票処理とシステム間の情報連携におけるセキュリティ問題を解決する「デルバイ」及び「キトラス」という製品が主力で、Citrixユーザー向けに10年以上使われ続けており、2020年にはCitrixユーザー以外のMicrosoft Windowsユーザー向けに「デルバイ-R」を発売して顧客層を拡大しております。また、2014年には、食品製造業務向けの生産管理業務に特化した生産管理システムパッケージである「イートバイ」を開発し、市場投入しております。 |
カスタマイザー |
業務ロジックのプログラミング及び、DX(デジタルトランスフォーメーション)等で必要となるデータベース構築の業務を行っております。 幅広い業種の企業にビジネスの根幹を処理するソフトウエアと、データ活用基盤となるデータベースの構築サービスを提供し、販売管理や在庫管理、物流管理等の業務システムを作成しているため、対象クライアントは多岐にわたっています。既存パッケージのカスタマイズは殆ど行わず、顧客ニーズと顧客状況に応じたシステムを手作りで構築できることが特徴となっております。 |
[セキュアクラウドシステム事業:事業系統図]
(※1)元請け企業は、エンドユーザから受注したシステム構築の専門的な分野を当社に再委託する「大手SIer」などです。 なお、SaaSサービス提供用のクラウド基盤構築を当社に委託する「SaaS事業者」は、当社と直接取引の場合も元請け企業としてカウントしています。 その理由は、「SaaS事業者」がエンドユーザーを拡大することで当社の継続的な販売機会の増加につながる点で「大手SIer」と共通しているためです。
なお、元請け企業の社数は2023年9月期のセキュアクラウドシステム事業の実績値を表示しています。
(※2)(※3)売上構成比は2023年9月期のセキュアクラウドシステム事業の実績値です。
(※4)エンドユーザーの社数は2023年9月期のセキュアクラウドシステム事業の実績値を表示しています。
(エモーショナルシステム事業)
エモーショナルシステム事業は、VR(Virtual Reality:仮想現実)装置MetaWalkersⓇ(旧称:4DOH)の技術開発及び製造販売を中心に行っております。
MetaWalkersⓇは特許(特許第4166260号:立体映像の投影方法及び立体映像の投影装置)を取得しており、360度スクリーンに切れ目なく3D映像を投影する特許技術を基にした移設可能なVRの表現装置であります。円筒形のスクリーンの中に客席が設置され、スクリーンに囲まれた空間に映像が縦横無尽に飛び回り、観客を突き抜ける特殊効果と、映像に同期した立体音響、突風、地面の揺れによって、360度に展開するストーリーに観客を没入させる、独自のVR空間を作り上げる仕組みとなっております。ヘッドマウントディスプレイ型のVRと異なり、軽量な3D眼鏡を使用することで仲間と感動を共有する、体験共有型VR装置と言えます。
2017年には装置の運搬・設置・解体を簡易化し、これらの時間を大幅に短縮させた可搬型のギャロップを製品化し、2020年には視聴者の操作により上映中の映像のストーリー分岐等を行えるインタラクティブ機能を追加したMetaWalkersⓇ Advanced(旧称:i4DOH)を投入。新型コロナウイルス感染拡大への予防対策が求められるニューノーマル社会において、ご家族や親しいご友人同士など少人数のグループ単位でお客様が安心してVRを楽しめるよう、少人数向けに小型化し換気性能を強化した「MetaWalkersⓇ:ATOM(旧称:i4DOH:ATOM)」を2020年11月に販売開始しております。
その他、MetaWalkersⓇにおいて上映するコンテンツ制作も行っており、有名なキャラクターを用いたコンテンツとして、2017年3月の「ウルトラマンゼロ Another Battle ~光と力~」を皮切りに、2017年8月には「頭文字D project VR -疾駆-」、2019年3月には「新幹線変形ロボ シンカリオン360°ザ・ムービー」をリリースしました。また、解像度が高い8k360度カメラで撮影した実写によるミュージックビデオや、ドローン等による空撮映像、各地の風景映像など、新たなコンテンツ制作にも取り組んできました。
また、2022年1月にメタバース推進部を設置し、企業向けメタバース構築サービスの開発や、MetaWalkersⓇのメタバース事業者向けの販売を推進しております。
[エモーショナルシステム事業:事業系統図]
(※1)MetaWalkersⓇ運営者は、遊園地・テーマパークや博物館・科学館などの施設を運営する企業や公共団体です。
(※2)代理店は当社と販売代理店契約を締結し、MetaWalkersⓇ運営者へMetaWalkersⓇを販売する企業です。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産の部は、前事業年度末に比べて69,801千円増加し、1,980,179千円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の減少(前事業年度末に比べて454,016千円の減少)、現金及び預金の増加(前事業年度末に比べて400,103千円の増加)、預け金の増加(前事業年度末に比べて57,725千円の増加)、商品及び製品の増加(前事業年度末に比べて43,048千円の増加)、仕掛品の増加(前事業年度末に比べて5,106千円の増加)によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債の部は、前事業年度末に比べて300,279千円減少し、718,832千円となりました。これは主に、買掛金の減少(前事業年度末に比べて280,340千円の減少)、長期借入金の減少(前事業年度末に比べて41,810千円の減少)、長期前受金の減少(前事業年度末に比べて34,179千円の減少)、前受金の増加(前事業年度末に比べて32,837千円の増加)、未払法人税等の増加(前事業年度末に比べて21,793千円の増加)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産の部は、前事業年度末に比べて370,081千円増加し、1,261,347千円となりました。これは、当期純利益205,502千円を計上したことによる利益剰余金の増加、新株発行による資本金及び資本剰余金の増加(前事業年度末に比べてそれぞれ103,369千円の増加)、自己株式の取得により42,158千円減少したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度(2022年10月1日~2023年9月30日)におけるわが国経済は、緩やかな回復基調で推移しました。個人消費が持ち直し、高水準の企業収益を背景に、設備投資も増加しました。情報通信業界も高い水準で好調に推移しています。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展し、基幹システムの刷新需要により、従来型ITからクラウドへの移行も順調に進んでいます。企業のソフトウェア投資額も拡大の傾向です。
このような事業環境の中、当社は「勇者たらんと。」の経営理念の下、積極的な事業展開を図りました。
その結果、当事業年度における売上高は2,900,955千円(前事業年度比15.9%増)、営業利益は301,505千円(前事業年度比11.6%増)、経常利益は295,759千円(前事業年度比12.7%増)、当期純利益は205,502千円(前事業年度比11.9%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
(セキュアクラウドシステム事業)
セキュアクラウドシステム事業においては、首都圏のSaaS事業者やAI事業者向けの需要増に応え、顧客開拓を進めました。レジリエンス対応の需要も含め、高度ノウハウを要する顧客を積極的にサポートし、高付加価値ハードウェア、ソフトウェアの販売増加に努めました。そして、企業に差し迫る「2025年の崖」対策の需要獲得に注力しました。また、前期よりスライドした特定案件(製造業向けのVDI構築案件)はエンジニアの集中投入と顧客及びメーカーとの連携により技術的な問題を解決し、システム構築を完了しています。
その結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は、2,811,595千円(前事業年度比14.7%増)、営業利益は537,008千円(前事業年度比6.6%増)となりました。
(エモーショナルシステム事業)
エモーショナルシステム事業においては、MetaWalkersⓇ(旧称:4DOH)における大手通信事業者との協業を継続して推進し、見込み顧客の拡大と複数のイベント案件を実行しました。また、国内のレジャー産業や博物館・科学館などの施設需要の回復を受け、遊園地向け新規コンテンツを販売しました。制作した新規コンテンツを複数地域に展開して販売拡大する営業活動も進めました。一方では、国土強靭化の国策で推進されている防災・減災需要を獲得するため、防災関連の業界団体を通じた販路開拓を推進しました。
当事業年度に販売した企業向けメタバースの初号機は、導入先企業で一般向けの活用が始まりました。構築実績ができたことにより、企業向けメタバースの今後の受注活動にも弾みがついています。
その結果、エモーショナルシステム事業の売上高は、89,360千円(前事業年度比73.1%増)、営業利益は16,544千円(前事業年度は営業損失3,561千円)となりました。
なお、全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用252,047千円を差し引いた数値となっています。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費です。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が385,321千円、投資活動による資金の減少が24,795千円、財務活動による資金の増加が97,302千円であったことにより、前事業年度末に比べ457,828千円増加し、1,117,934千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は385,321千円(前事業年度は73,115千円の減少)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少451,962千円、税引前当期純利益の計上295,759千円、買掛金の減少280,340千円、法人税等の支払額69,832千円、棚卸資産の増加48,154千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は24,795千円(前事業年度は4,636千円の減少)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出13,835千円、有形固定資産の取得による支出7,959千円、投資有価証券の取得による支出3,000千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は97,302千円(前事業年度は56,093千円の減少)となりました。これは、株式の発行による収入206,738千円、長期借入金の返済による支出51,818千円、自己株式の取得による支出42,158千円、上場関連費用の支払額15,459千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
セキュアクラウドシステム事業(千円) |
2,166,300 |
108.7 |
エモーショナルシステム事業(千円) |
45,468 |
139.8 |
合計(千円) |
2,211,768 |
109.2 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
セキュアクラウドシステム事業 |
2,893,912 |
103.4 |
989,081 |
109.1 |
エモーショナルシステム事業 |
97,701 |
184.2 |
9,934 |
623.6 |
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
セキュアクラウドシステム事業(千円) |
2,811,595 |
114.7 |
エモーショナルシステム事業(千円) |
89,360 |
173.1 |
合計(千円) |
2,900,955 |
115.9 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当事業年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
エヌ・デーソフトウェア株式会社 |
919,610 |
36.7 |
1,309,089 |
45.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
②経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境をはじめとした様々なリスクが存在していることを認識しております。当社が属する情報通信業界においては、技術革新のスピードが早いため、業界動向や環境変化等を把握しながら技術を堅実に積み重ねることで、高品質なサービスを提供し続けることができるよう対応してまいります。
③経営者の問題意識と今後の方針
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した様々な課題を適切に対処することが必要であると認識しております。常に業界動向等の変化を捉えながら主力事業であるセキュアクラウドシステム事業の事業基盤の強化と、エモーショナルシステム事業の黒字転換を図るとともに、優秀な人財の確保をはじめとした内部管理体制の充実を図ることで、持続的な成長及び効率的な事業運営を実現させる所存であります。
④当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度におけるわが国経済は、緩やかな回復基調で推移しました。個人消費が持ち直し、高水準の企業収益を背景に、設備投資も増加しました。情報通信業界も高い水準で好調に推移しています。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進展し、基幹システムの刷新需要により、従来型ITからクラウドへの移行も順調に進んでいます。企業のソフトウェア投資額も拡大の傾向です。
このような事業環境の中、当社は「勇者たらんと。」の経営理念の下、積極的な事業展開を図りました。
その結果、当事業年度における売上高は2,900,955千円(前事業年度比15.9%増)、営業利益は301,505千円(前事
業年度比11.6%増)、経常利益は295,759千円(前事業年度比12.7%増)、当期純利益は205,502千円(前事業年度比
11.9%増)となりました。
当社の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業においては、首都圏のSaaS事業者やAI事業者向けの需要増に応え、顧客開拓を進めました。レジリエンス対応の需要も含め、高度ノウハウを要する顧客を積極的にサポートし、高付加価値ハードウェア、ソフトウェアの販売増加に努めました。そして、企業に差し迫る「2025年の崖」対策の需要獲得に注力しました。また、前期よりスライドした特定案件(製造業向けのVDI構築案件)はエンジニアの集中投入と顧客及びメーカーとの連携により技術的な問題を解決し、システム構築を完了しています。
その結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は、2,811,595千円(前事業年度比14.7%増)、営業利益は
537,008千円(前事業年度比6.6%増)となりました。
一方、エモーショナルシステム事業においてはMetaWalkersⓇ(旧称:4DOH)における大手通信事業者との協業を継続して推進し、見込み顧客の拡大と複数のイベント案件を実行しました。また、国内のレジャー産業や博物館・科学館などの施設需要の回復を受け、遊園地向け新規コンテンツを販売しました。制作した新規コンテンツを複数地域に展開して販売拡大する営業活動も進めました。一方では、国土強靭化の国策で推進されている防災・減災需要を獲得するため、防災関連の業界団体を通じた販路開拓を推進しました。
当事業年度に販売した企業向けメタバースの初号機は、導入先企業で一般向けの活用が始まりました。構築実績
ができたことにより、企業向けメタバースの今後の受注活動にも弾みがついています。
その結果、エモーショナルシステム事業の売上高は、89,360千円(前事業年度比73.1%増)、営業利益は16,544千
円(前事業年度は営業損失3,561千円)となりました。
なお、全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用
252,047千円を差し引いた数値となっています。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費です。
当社は、2024年9月期を規模拡大に舵を切るファーストステップとして位置づけ、セキュアクラウドシステム事業の人財採用と拠点開設への大型投資を計画しています。セキュアクラウドシステム事業を「必須のレジリエンス」という事業コンセプトのもと、障害やサイバー攻撃、自然災害等に対する情報システムの防御と回復の仕組みである「レジリエンス」を「基幹システムのクラウド化」と並ぶ、セキュアクラウドシステム事業の柱として発展させていきます。
また、エモーショナルシステム事業については、MetaWalkersⓇの販売に加え、企業向けメタバース構築サービスを更に充実し、売上高と営業利益の拡大を図って参ります。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の主な資金需要は、各事業の営業活動に必要な商品の仕入、販売費及び一般管理費の営業費用並びに各種税金の納付等であります。これらの資金需要は、営業キャッシュ・フローから生じる自己資金、株式の発行による収入等によって賄っております。
資金の流動性につきましては、経常運転資金に十分対応できる手元資金の確保に努めており、当期末現在の現金及び現金同等物は、1,117,934千円となっております。また、資金の流動性に支障をきたす事態の発生に備えて、金融機関との間で合計330,000千円の当座貸越契約を締結し、一定の流動性を維持できる体制を確保しております。