2026年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,267名(単体) 1,626名(連結)
  • 平均年齢
    42.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.6年(単体)
  • 平均年収
    8,220,000円(単体)
  • 平均年収の
    対前年増減率
    3.7%(単体)

従業員の状況

人材戦略に関する基本方針等

(1)【人材戦略に関する基本方針等】

 当社グループの人材戦略については、第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本①戦略を参照ください。

 また、連結会社の従業員の給与その他の給付の額及び内容の決定に関する方針については、従業員の生活基盤を確保したうえで、従業員一人ひとりが努力し、実力を身につけ、意欲を持って能力発揮した結果が、適正に処遇されるべきであると考えています。

 個人ライフスタイルの変化や価値観が多様化する中、仕事の量や質に関係ない慣習的・属人的な処遇を見直すことで、より役割・能力発揮で変動する賃金割合を増やし、貢献した人に報いるとともに、職能資格間の賃金格差を明確に設けることで、中期的な成長目線を持って、日々精進することを促しております。

 具体的には、昇給については資格要件で求める能力発揮に応じて決まります。昇格については、資格要件あるいはランク要件に定められる次期等級あるいはランクに求められる能力を保持しているか否かに応じて決まります。さらに、新卒初任給の引き上げや物価上昇など社会状況への対応については、当社労働組合が加盟する上部団体に属する企業等をベンチマークとした労使協議会を通じて対応し、優秀な人財の獲得・定着を進めています。

 なお、賞与については業績連動型賞与算定式による賞与支給月数を適用することで、全部署がプロフィットセンターであるという考えのもと、業績向上に取り組んでいます。

 

(2)【従業員の状況】

①連結会社の状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)の2026年3月31日現在の従業員数は、1,626人であります。

 なお、同一の従業員が複数のセグメントに従事しているため、従業員数をセグメント別に区分することができません。

②提出会社の状況

 

 

 

 

2026年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

平均年間給与の

対前事業年度増減率

(%)

1,267

42.9

18.6

8,220

3.7

(注)1.従業員数は就業人員であり、社員(出向者を除く)に常勤嘱託を加えた人数で、使用人兼務取締役及び執行役員は含んでおりません。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.同一の従業員が複数のセグメントに従事しているため、従業員数をセグメント別に区分することができません。

 

③労働組合の状況

 当社グループの労働組合は、三洋化成工業労働組合と称し、上部組織である全国化学労働組合総連合に加盟しております。2026年3月31日現在の組合員数は1,083人で、会社との間に特記すべきことはありません。

 

④管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の額の差異

提出会社

当事業年度(注1)

管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合(%)

(注2)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注3)

労働者の男女の賃金の額の差異(%)(注2,4)

全労働者

正規雇用労働者

(注5)

パート・有期労働者

(注6)

5.6

102.5

70.0

74.2

44.1

(注)1.労働者には提出会社から関係会社への出向者を含めております。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

3.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

4.人事制度上、同一の職位・役割における男女間の賃金差異はありません。

5.職位別の男女の賃金差異の要因は次のとおりです。

職位

男女の

賃金差異

賃金差異の要因

管理職

社員

92.2%

役割手当や単身赴任手当が、結果として男性に多く支給されていることが賃金差異の要因となっています。

参考:各種手当を除く基準内賃金における男女の賃金差異は97.0%です。(2026年3月度)

一般

社員

80.2%

交替制勤務を行っている労働者の多くが男性であり交替制勤務手当が支給されていることや、家族手当・単身赴任手当などの家族状況等に応じた各種手当(基準外賃金)が結果として男性に多く支給されていること、女性は過去のコース制度(2017年より一般職コースを廃止)の影響を受けて下位の等級での滞留年数が長い傾向にあることが要因となっています。

参考:各種手当を除く基準内賃金における男女の賃金差異は91.9%です。(2026年3月度)

6.定年後再雇用者、パートタイマーおよび有期の嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。定年後再雇用者のうち、引き続き管理職業務を行っている者の多くが男性であり、賃金水準が高いことや、所定労働時間の短いパートタイマーの多くが女性であることが賃金差異の要因となっています。

 

[男女の賃金差異是正に対する取り組み]

 2026年度より家族手当を段階的に縮小し、2028年度に廃止するなど、個人の事情に基づく手当の縮小・廃止を進め、役割や能力の発揮に応じて変動する賃金割合を増やすことで、努力した成果が適正に処遇される賃金制度の実現を目指しています。

 また、女性の昇進・昇格を促進するため、女性管理職候補者に対してキャリアシートを活用した育成プランの策定や、各種研修の実施など、女性従業員の育成支援策に積極的に取り組みます。

 さらに、生産設備の集約、自動化などの生産設備改革や、AI・DXの活用による業務効率化を推進することで、多様な人財が活躍できる職場環境づくりを促進するとともに、女性従業員の職域拡大にもつなげていきます。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

① ガバナンス

 当社のサステナビリティ推進体制・ガバナンス体制図は次のとおりです。

 

(a)監督体制

 当社グループでは、サステナビリティ課題への対応を経営の重要課題の一つと認識し、サステナブル経営委員会で審議した内容を、適宜取締役会に報告し、取締役会がサステナビリティに関する各種施策について適切に監督できる仕組みを設けています。

 当社は、取締役会が実効性ある監督機能を発揮するうえで、持続的な成長に必要な多様性への理解とサステナビリティについて、全役員が備えるべき共通の価値観として重視しています。当社の各役員はこれらを備えていることを前提とし、2026年4月から始まる「中期経営計画 2030」の遂行と、VISIONとして掲げる“必要不可欠企業”としての中長期的な企業価値向上の実現に向けて取締役会として必要となる経験・スキルの項目を定め、取締役会全体としてのバランス、多様性(ジェンダー、国際性、職歴、年齢等)及び適正規模を踏まえ、候補者の人格等も含め総合的に勘案し、指名・報酬委員会の審議を経て取締役候補者を選任しています。スキル項目は、経営環境や社会情勢等を踏まえて、必要に応じて見直しを行います。

 また、当社の取締役会は、サステナビリティ課題を含む様々な経営課題に対し、多様な観点から分析、対処するために、独立社外取締役によるガバナンス機能を重視しております。多彩な経験・キャリアを持つ人財(地方自治体首長/公益財団法人所長/事業会社経営など)を独立社外取締役として招聘しており、その女性比率も66.7%となります。また、取締役会議長も独立社外取締役から選任し、より透明性の高い取締役会の運営がなされる体制となっており、枠に捉われることなく、あらゆるステークホルダーへの価値提供に繋がる議論が可能となっています。

 

(b)執行体制

 サステナビリティ活動を全社一丸となって推進するため、サステナビリティ担当役員を指名しております。同担 当役員は、常にグループ全体のサステナビリティ活動の実効性や実態をモニターし、不十分な場合は軌道修正を求めたり、進捗状況についても適宜、対外開示を行ったりなど、社内外に対し機動的に働きかける役割を担っております。

 また、マテリアリティやサステナビリティ課題についての審議等を行うため、サステナビリティ担当役員を委員長とするサステナブル経営委員会を設置しています。同委員会での審議の内容は年1回以上取締役会に報告するとともに、重要な議題は取締役会で決議もしくは報告することとしています。

 

<サステナブル経営委員会>

開催 :年4回(原則)

委員長:サステナビリティ担当役員

 

役割 :・経済的価値と社会的価値を共に向上させるために、環境・社会・ガバナンスに関して優先して対応すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、その解決に向けた方針や全社施策を審議し、関連部署の施策に展開する。

・上記施策に関する計画、進捗、成果をレビューし、必要があれば、改善、是正等を審議・決定する。

・その他、環境・社会・ガバナンスの観点から、当社グループの持続的な成長や持続的な社会の実現に向けて必要な取り組みについて、審議・決定する。

・ステークホルダーに対し、適切に当社グループのサステナブル経営に関する情報発信を行うために、サステナビリティに関する記載を含む重要な対外発行物の記載内容について審議、決定する。

 

<2025年度の同委員会での主な議題>

分類

議題

全般

・サステナブル経営委員会での取り組み方針について

・マテリアリティの見直しについて

E -環境-

L -生命/生活-

・2025年度の環境活動計画について

・環境貢献製品、QOL貢献製品の貢献インパクトと対外開示について

S -社会-

・人財戦略、人財方針について

G -ガバナンス-

・三洋化成グループ統合報告書2025について

・有価証券報告書のサステナビリティ開示について

 

 

② 戦略

(a)基本方針

 当社グループは、創業以来、社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」を拠り所として企業活動を行ってきました。企業の社会的責任が高まる中、社是に謳った精神と価値創造との結び付きを明確化するため、2022年度にサステナビリティ基本方針を策定いたしました。

 

サステナビリティ基本方針

 三洋化成グループは、創業以来大切にしてきた社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」に基づいて、ステークホルダーと連携しながら、経済的価値と社会的価値を共に向上させて、将来にわたって持続的な成長を目指します。

 

 当社グループはこれまで培った化学技術を元に、社会や人々の生活をもっと快適に、もっと便利にする幅広い製 品を開発し、「よりよい社会の建設」に寄与してきたという自負を持っております。しかし、当社グループが将来に亘って持続的に価値提供を行っていくためには、様々なステークホルダーと連携しながら持続可能なサプライチェーンを構築する必要があることも強く認識しております。今後も経済的価値と社会的価値を共に向上させるサステナブル経営に注力していきます。

 

(b)マテリアリティ

 当社グループでは、マテリアリティを「三洋化成グループの中長期での価値創造に大きな影響を及ぼす重要課題」と定義しています。すべてのステークホルダーの価値創造のため、中長期テーマを特定して優先的に取り組むことが価値創造への最短距離と考え、以下a)~d)のプロセスをたどってマテリアリティを特定しました。

 

<マテリアリティ特定のステップ>

a)課題の特定

 各種ガイドライン(SASBの化学産業の評価基準、GRIガイドライン、持続可能な開発目標(SDGs)、世界経済フォーラム中核指標(WEF))、ステークホルダーとのコミュニケーション、全従業員・役員向け社是アンケートなどを参考に課題を選定しています。

b)優先順位付けとマテリアリティ・マトリックスの作成

 特定した課題の優先順位を考え、企業理念や財務への影響、イノベーション創出の機会、三洋化成グループらしさなどを大株主や従業員等との対話から優先順位付けをし、横軸に経営及び事業目線、縦軸に社会環境課題解決への期待・貢献でマトリックスを作成しています。

 

c)マテリアリティの特定

 E(環境)、L(生命/生活)分野を事業に関するマテリアリティとし、S(社会)、G(ガバナンス)分野を基盤強化に関するマテリアリティとして、計6つを特定しています。(QOLの向上に関する期待・貢献の象徴として従来のESGからLの分野を切り出し分類)

d)妥当性の確認及び取締役会での承認

 サステナブル経営委員会で妥当性の確認などの審議を経て、取締役会で承認を受けています。また、今後起こりうる事業環境の変化に応じて、見直していきます。

 

 上記ステップに基づいて、特定したのが以下の6つのマテリアリティです。

 

<マテリアリティ>

分類

事業に関するマテリアリティ

機会とリスク

(〇機会/●リスク)

E

-環境-

CN

(Carbon Neutral)

Interface Innovatorとしてカーボンニュートラルの達成

◯脱炭素に適した素材への需要シフト

◯循環型経済への移行加速や脱炭素社会に向けた革新技術の登場

●気候変動に対するカーボンプライシング等の政策による規制強化に伴う業績悪化

L

-生命/生活-

QOL

(Quality of Life)

「はたらき」を化学してQOLを向上

◯予防医療と健康増進ニーズの高まり

●社会ニーズへの対応不足による業績悪化

分類

基盤強化に関するマテリアリティ

機会とリスク

(〇機会/●リスク)

S

-社会-

In

(Innovation)

DXをエンジンとして開発を加速しイノベーションを創出(※)

 

〇社会変革・技術トレンドの進展に伴う新市場の立ち上がりと新素材・ソリューション需要の拡大

〇DXにより顧客価値創出を加速する開発・提案基盤の構築

●DX活用遅れやイノベーション不足による既存製品のコモディティ化と開発競争力の低下

HC

(Human Capital)

多様な価値観を認め合って人財育成と職場環境を向上

◯多様化による新たな価値創造

◯職場風土改革による従業員エンゲージメントの向上

●価値観・働き方の多様化への対応不足による従業員エンゲージメントの低下、及び人財の獲得難・流出

G

-ガバナンス-

RM

(Risk Management)

ガーディアン機能を強化してリスク管理を徹底

◯高品質な製品の安定供給による業績向上

◯ステークホルダーの信頼獲得による企業価値の向上

●内部統制の機能不全に伴う事業継続リスク、予期せぬ損失の発生、信用の低下

TM

(Transparent Management)

挑戦を恐れない透明性のある経営

◯ステークホルダーの信頼獲得による企業価値の向上

●コーポレート・ガバナンスの機能不全に伴う信用の低下、企業価値の低下

(※)DX推進の重要性が一層高まる事業環境を踏まえ、2025年度にマテリアリティ表現の見直しを実施しました。

 

③ リスク管理

 当社グループは、以下のリスクマネジメント基本方針を掲げ、2025年度に新たに経営会議に紐づく会議体として設置したリスクマネジメント委員会にて、全社のリスクを包括的かつ網羅的に一元管理しています。リスクマネジメントは、(1)リスクの特定・評価、(2)リスク対応策の策定・実施、(3)モニタリング・レビューのプロセスにより運用し、リスク対応策の進捗及び結果を、同委員会で定期的にレビューしています。重要な事項については、取締役会に報告し、監督を受けています。詳細については、「第2 事業の状況」の「3 事業等のリスク」をご参照ください。

なお、サステナビリティに関わるリスクについては、サステナブル経営委員会の主要課題として取り上げ、当社グループへの経済的・社会的インパクトや対応策について議論しています。

 

 

リスクマネジメント基本方針

 当社グループは、全社横断的なリスクマネジメント活動の推進により、経営戦略に影響を与えうる社内外のリスクを包括的かつ網羅的に把握し、適切に対応することで、経営目標の達成を目指します。

 

 

④ 指標及び目標

 当社グループは、特定した各マテリアリティについて、長期的に目指す姿を定めるとともに、その実現に向けた施策を推進し、進捗を測定するサステナビリティ目標を設定しております。

 2026年度から2030年度までの5年間を対象とする「中期経営計画 2030」においては、マテリアリティごとに主な取り組み及び目標を定めており、目標の達成に向けて各種施策を継続的に実行してまいります。

 

<マテリアリティごとの主な取り組み>

 

 

 

<マテリアリティ目標>

 

 

 

(2)TCFD提言への対応

 2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明しています。TCFD提言の4つの開示推奨項目であるガバナンス、戦略(シナリオ分析、製品開発)、リスク管理、指標と目標に沿い適切な情報開示に取り組んでいます。また気候変動のリスクと機会が関連する財務指標に与える影響度を時間軸に基づき評価し、経営戦略に反映させていきます。

 これまで当社グループは政府の方針に基づき、2017年度以降CO2排出量を着実に減少させてきました。日本のNDC(国が決定する貢献)に整合する2030年度CO2排出量50%削減(2013年度比)を前倒しで達成できる見込みとなりましたので、より高い水準の削減を目指し、「2030年度CO2排出量10万トン以下(2013年度比68%削減)、2050年ネット・ゼロ」を目標とし、グループ全体で積極的に取り組んでいます。また、当社グループのCO2排出量を削減するだけでなく、サプライチェーン全体でCO2排出量を削減する製品開発を化学メーカーの責務として果たすことで、持続可能な社会を実現するとともに企業価値の向上につなげていきます。

 

① ガバナンス

 気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティのガバナンスに組み込まれています。詳細については「(1)サステナビリティ①ガバナンス」を参照ください。2025年度はサステナブル経営委員会を3回実施し、気候変動への取り組みの報告を2回行いました。

 

② 戦略

 当社グループは気候変動に関する戦略の策定にあたり、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施しています。シナリオは脱炭素社会への移行が実現する1.5℃シナリオに加え、世界的に経済成長を優先する4℃シナリオを選定しています。

シナリオ分析を踏まえて、製品開発や事業活動の方向性を検討し、様々な気候関連課題の解決を目指します。

 

●シナリオの考え方

1.5℃シナリオ

世界の平均気温が1.5℃上昇で気候変動を抑制する脱炭素移行シナリオ

(国際エネルギー機関における長期的な見通し「Net Zero Emissions by 2050」)を参考としました。

 

4℃シナリオ

世界の平均気温が4℃上昇で気候変動が進行する経済成長シナリオ

(気候変動に関する政府間パネル 第6次統合報告書(IPCC AR6)「SSP5-8.5」)を参考としました。

 

<想定される世界>

1.5℃シナリオで想定される世界

脱炭素社会の実現が最優先、野心的な気候変動政策を実施

・炭素税率の大幅アップ

・内燃機関車の販売禁止、電気自動車や燃料自動車の普及

・エネルギー、原料の脱炭素化

・再生可能エネルギーの主流化

・リサイクル、バイオマス、CO₂原料からの化学品製造

・異常気象による自然災害の発生頻度と影響を抑制

4℃シナリオで想定される世界

化石燃料依存による経済成長が最優先、追加的な気候変動対策を実施しない

・化石エネルギー、原料の需要拡大

・自由貿易や国際投資が活発

・異常気象による自然災害が激甚化

 

 

●2つのシナリオに向けた環境貢献製品

 当社グループは、2つのシナリオ(1.5℃、4℃)を見据え、脱炭素社会や循環型社会への変化に対応していきます。環境貢献製品は、気候関連分野における「気候変動」「環境負荷低減」「資源循環」のいずれかの領域で社会課題に貢献する製品・技術と位置付けています。

 当社グループの環境貢献製品は、バリューチェーン全体を通じてCO2排出量削減や大気汚染防止などに貢献しています。上流ではバイオマス原料やリサイクル原料の積極的な活用により資源循環を推進し、下流では最終製品の使用段階でのCO2削減、省エネルギー、廃棄物削減などを実現しています。環境貢献製品を通じて、当社グループは社会全体の脱炭素社会と循環型社会の実現に幅広く寄与していきます。

 具体的には、自動車の省燃費に貢献する潤滑油添加剤、印刷時の消費電力を低減するトナーバインダー、排ガス中の有害物質を効率よく分解・除去する排ガス浄化触媒用分散材、国産木材をアップサイクルした高機能テキスタイルMOC-TEXなど、多様な製品を展開しています。

 

<環境貢献製品>

貢献領域

分類

主な対応する製品群

気候変動

CO₂排出量削減

潤滑油添加剤、炭素繊維用集束剤、アルミ電解コンデンサ用電解液

省エネルギー、再生可能エネルギー

トナーバインダー

水使用量削減、水質浄化など

凝集剤、有機凝結剤、飛灰用重金属固定化剤、生分解性潤滑油基剤

環境負荷低減

大気汚染防止(VOC低減など)

ホットメルト、排ガス浄化触媒用分散剤、水発泡(ノンフロン)型ポリウレタンフォーム用原料、無溶剤アクリル系粘着剤、無溶剤型UV・EB硬化モノマー

廃棄物削減

樹脂改質剤

資源循環

リユース、リサイクル原料使用

リサイクルPET樹脂含有トナーバインダー

リニューアブル原料使用

高機能テキスタイルMOC-TEX

アップサイクル用原料・製品

高機能テキスタイルMOC-TEX

 

 

③ リスク管理

 シナリオを踏まえたリスクと機会に関する気候変動の影響に対して、当社グループの対応策をさまざまな観点から検討しています。2022年度にシナリオ分析を実施してから継続的なブラッシュアップをしており、2025年度はリスクと機会の選定及び時間軸を考慮した影響度評価を定量的な分析として行いました。

 

 評価プロセスは、各事業本部及び関係会社のもとで毎年見直しを実施しています。各事業共通のリスクと機会及び、各事業固有のリスクと機会を抽出し網羅的に一覧にしました。時間軸※は影響するリスクと機会に対する時期を長期、中期、短期と分類しています。影響度※は影響する利益額を、大、中、小と分類しています。

 

 管理プロセスは、経営会議に紐づくサステナブル経営委員会を中心として監督されています。具体的には各事業本部及び関係会社の定量的な分析に対して、サステナブル経営委員会が定期的に指導と助言を行っています。その上で重要課題は経営会議がモニタリングし、必要に応じて取締役会で決議を行っています。

 

※時間軸は、報告年度の期首を起点として、事業特性をふまえたリスク及び機会が顕在するまでの時間として

長期、中期、短期と分類

影響度は、利益額を大、中、小と分類

区分

分類

定義

 

区分

分類

定義

時間軸

長期

3年以上

 

影響度

(利益額)

大

10億円以上

中期

3年未満~1年以上

 

中

10億円未満~1億円以上

短期

1年未満

 

小

1億円未満

 

●想定される気候変動要因(各事業共通)

 主として脱炭素化に向けたカーボンプライシング等の政策による規制が強まるとともに、脱炭素に適した素材への需要シフトを想定しており、バイオマス資源や持続可能な資源の活用による新市場創出の機会を模索しています。さらに、脱炭素社会や循環型社会に向けた革新技術の登場も想定しており、従来の生産技術に依存するリスクを含め、バイオマス原料・リサイクル原料の活用技術開発や低炭素技術・高エネルギー効率のプロセス開発が競争優位性の向上につながると考えています。

 また、国内外の環境貢献を評価する支援策や補助金の活用が事業ポートフォリオの最適化を後押しする可能性があり、適切な環境関連情報開示や社外評価への対応を重要と捉えています。

 気候変動に伴う異常気象や自然災害は、原料調達や物流に関するサプライチェーンの分断及び自社の生産体制に影響を及ぼすリスク要因ですが、事業継続計画の定期的な整備や物流ネットワークの再構築を図ることで企業の信頼性向上に努めるとともに、防災・衛生・復興関連製品の拡充により社会へ貢献していきます。

 

<気候変動に関する各事業共通の「リスク」と「機会」への対応策>

シナリオ

分類

気候変動による影響

時間軸

影響度

対応策

リスク

1.5℃

政策規制

炭素税の導入・引き上げ

エネルギー調達コストの増加

中長期

大

コージェネレーション導入、太陽光発電導入

省エネ・低炭素規制

リサイクル原料の使用義務

中長期

中

リサイクル原料を使用した製品開発

政策

輸出地域の規制変更によるシェア喪失

中期

大

社外団体と連携した早期規制対応

国の政策変更による生産拠点の移転・撤退

短期

大

生産拠点の見直し

技術

環境貢献

リサイクル対応製品の需要増加

中長期

大

リサイクル材料活用に関する製品開発

市場

市場の変化

各国の政策乖離によるエネルギー・原料の分断化

中長期

大

市場動向のリスクアセスメント、事業の関連多角化

消費行動の変化

低炭素製品需要の動向変化

長期

小

顧客との積極的なコミュニケーション

評判

訴訟

化石燃料による環境悪化

長期

大

バイオマス原料、クリーンエネルギーの活用

4℃

急性

自然災害
(台風・豪雨など)

サプライチェーンの分断、自社拠点の被災

短中長期

大

BCP体制の構築 (雨水対策、建物・設備の防災対策、原料調達の複数化)

慢性

自然災害
(渇水・気温上昇など)

渇水等による取水制限

長期

小

BCP体制の構築
 (水利用の効率化)

機会

1.5℃

政策規制

省エネ・低炭素規制

省エネ設備の投資コスト増加

長期

大

生産プロセス改善と生産設備集約

技術

環境貢献

節約志向によるエシカル消費の拡大

中期

中

アップサイクル材料活用に関する製品開発

市場

市場の変化

ニッチな市場の潜在的発生

長期

小

ユーザー協働の製品開発

評判

業界批判

BtoC市場における環境意識の高まり

短期

小

SDGs取り組みによるイメージ向上
RSPO認証原料使用によるイメージ向上

訴訟

透明性のある環境情報の開示要求

中長期

小

適切な環境情報の開示と社外評価機関の活用による信用獲得

4℃

急性

自然災害
(台風・豪雨など)

自然災害・悪天候における製品需要の拡大

短中長期

小

防災・衛生環境・災害復興関連製品の拡充

慢性

自然災害
(渇水・気温上昇など)

平均気温上昇における生活様式の変化

短中長期

小

包括的な生活環境関連製品の拡充

 

 

●想定される気候変動要因(各事業固有)

 社会全体の環境意識の高まりに伴い、環境負荷の大きい製品への批判が懸念される反面、環境貢献の大きな製品を積極的に開発することが企業価値の向上につながると考えています。製品ライフサイクルの観点から市販品よりも環境性能(高性能化・長寿命化・軽量化など)が優れた環境貢献製品の開発や普及活動などを意識することがカーボンニュートラル社会の実現に不可欠です。

 当社グループがこれまで培ってきた強みと新たに獲得する強みに、外部の知見を組み合わせ、「持続可能な地球環境の実現」と「利便性・快適性の向上」との両立可能な、社会に役立つ製品開発を目指します。

 

<気候変動に関する各事業固有の「リスク」と「機会」への対応策>

シナリオ

分類

気候変動による影響

時間軸

影響度

対応策

リスク

1.5℃

政策規制

省エネ・低炭素規制

バイオマス原料の使用義務化

長期

中

循環経済型ビジネスモデルの構築

政策

医療医薬関連製品の包装廃棄費用増大による顧客利益減少

中長期

中

パッケージの最適化による廃棄物低減

技術

環境貢献

販売製品の環境データ(CO₂排出量、削減貢献量等)の構築遅れによる既存ビジネス減少

長期

中

環境データの整備

市場

市場の変化

認証要求の高まり

中期

小

国内外市場の動向把握

消費行動の変化

ガソリン車の販売減少

長期

大

省燃費型粘度指数向上剤の開発と拡販

消費者の嗜好変化

モノからコトへの価値観の変化

長期

大

環境貢献ストーリー構築による消費者の共感獲得

評判

業界批判

グローバル調達型企業との取引縮小

中長期

大

協業先も含めた現地調達、現地生産の実現

4℃

急性

台風頻発

停電の温調不備による品質劣化

短中長期

小

BCP体制の構築(バックアップ電源、異常検知システム、再起動訓練等)

慢性

降雨パターン変化

天然資源の供給不良

中期

中

石化由来製品の提供を併用

機会

1.5℃

政策規制

炭素税の導入・引き上げ

CCUSの普及

長期

大

CCU関連製品の開発

省エネ・低炭素規制

CO₂排出量に削減貢献する製品市場拡大(軽量化ニーズ)

中期

大

燃料電池自動車用炭素繊維集束剤の販売拡大

政策

環境配慮型農業政策の推進(化学肥料低減など)

中期

中

非化学肥料農業向けバイオスティミュラント機能を有する製品開発

技術

環境貢献

リサイクル材利用拡大に伴う匂い品質管理の重要性増加

中期

大

リサイクル材の匂い品質管理システム開発

市場

市場の変化

未病ビジネス拡大、在宅医療ニーズ増大

中期

中

未病デジタル診断関連の製品、在宅医療関連の製品サービス開発

消費行動の変化

電気自動車の需要増加(車載電池の軽量化促進)

長期

大

自動車の電装化に伴う電解液の販売増加

消費者の嗜好変化

日用品市場の環境志向の高まり

中長期

小

天然由来原料使用界面活性剤の開発

評判

業界批判

環境関連情報の透明性がある開示要求

長期

小

先進的な取り組み、情報開示による評判の向上

訴訟

石化事業批判による非化石市場の拡大

長期

大

非化石事業への事業ポートフォリオ転換

4℃

急性

台風頻発

海面養殖、池養殖の供給不安による陸上養殖の市場形成

長期

小

陸上養殖事業の立上げ

慢性

海面上昇

農地の塩害リスク対策

長期

中

耐塩性の機能を有するバイオスティミュラント資材の開発

 

④ 指標と目標

 当社グループは気候関連課題を解決するために種々の指標と目標を掲げ、「2030年度CO2排出量10万トン以下(2013年度比68%削減)、2050年ネット・ゼロ」を目標としています。日本のNDC(国が決定する貢献)に整合する2030年度CO2排出量50%削減(2013年度比)を前倒しで達成できる見込みとなりましたので、より高い水準の削減を目指していきます。また削減貢献量(バリューチェーン下流におけるCO2排出量の削減)に関連する目標として、環境貢献製品売上高を設定しています。

当社グループの経営方針であるサステナブル経営を力強く推し進めるために実効性のあるCO2排出量削減活動として、コージェネレーションや太陽光発電の導入を推進するとともに、将来的にCCU(CO2回収・利用)やグリーン水素の導入を検討していきます。

 

●事業所からのCO2排出量(Scope1, Scope2)

 当社グループは京都議定書が発効された2005年に「京都議定書に関する活動方針」を定めるとともに、国内各事業所のCO2削減活動としてエネルギー使用の効率化、生産プロセス改善や燃料転換などに取り組んできました。

 近年では、当社グループは2018年度から高付加価値製品の販売に重点を置く経営方針により、低付加価値製品の販売をやめたことで、生産量の減少及びプロダクトミックスが変化し、国内の生産量あたりのCO2排出原単位は減少に転じました。また、2023年度に高吸水性樹脂事業からの撤退を決断し、事業ポートフォリオが大きく変わった結果、2024年度以降の自社事業所からのCO2排出量を大幅に削減できました。

 2025年度は日本のNDCに整合する「2030年度CO2排出量50%削減(2013年度比)」を前倒しで達成できる見込みです。引き続き日本のNDC(2035年度60%削減、2040年度74%削減)を見据えた削減活動を計画的に行っていきます。

 今後、当社グループでCO2排出量が多い名古屋工場と鹿島工場に注力していきます。CO2排出量削減対策として製品単位の抜本的な製造プロセスの見直しを行うとともに、CCUの活用や水素等のエネルギー転換を検討していきます。

 

<Scope別CO2排出量(Scope1, Scope2):実績と目標>

 

 

 

●カーボンニュートラルに向けた中期ロードマップ

 CO2排出量削減策として非化石エネルギー転換(太陽光発電、グリーン水素)や設備維持管理(コージェネレーションの設備更新)を行うとともに、環境価値取引や環境活動計画による計画的な削減を進めています。さらにものづくり大改革(生産プロセス改革、生産設備改革)やCCU関連製品の開発により「2050年ネット・ゼロ」実現を目指します。

 

 

●サプライチェーンを通じたCO2排出量(Scope3)

 当社グループは自社事業所からのCO2排出量以外に、上流・下流のサプライチェーンを通じた排出(Scope3)を算定しています。2024年度のサプライチェーンを通じた排出(Scope3)は175万トンです。

 また、2022年度より、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンが策定した標準アンケートツール(共通SAQ)を活用し、サプライチェーンを通じたCO2排出量削減に取り組んでいます。

 

 出典:環境省ホームページ(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/estimate.html)

 

<Scope別CO2排出量(Scope3):実績>

Scope3

排出区分

2013年度

2024年度

2024年度比率

Category

トンCO2

トンCO2

(Scope3全体)

Cat1

原材料

1,381,942

922,054

52%

Cat2

資本材

42,280

20,662

1%

Cat3

Scope1,2以外のエネルギー関連活動

29,447

30,286

2%

Cat4

輸送・配送

32,071

21,843

1%

Cat5

廃棄物

8,500

12,301

1%

Cat6

出張

183

204

0%

Cat7

通勤

442

511

0%

Cat12

製品の廃棄

1,072,153

698,266

40%

Cat15

投資

-

48,432

3%

合計

 

2,567,017

1,754,559

100%

*Cat8-11,13-14はデータ収集が困難なので算定していません

 

●CO2削減貢献量(環境貢献製品)

 当社グループは、自社排出量の削減にとどまらず、社会全体の脱炭素社会の実現に貢献していきます。そのために環境貢献製品によるバリューチェーン下流(使用段階)のCO2削減貢献量を独自に算定し開示しています。

 CO2削減貢献量とは、従来製品と新製品のCO2排出量の差分であり、社会全体の気候変動の緩和への貢献を定量化したものです。

 使用段階でのCO2削減貢献の考え方として、製品ライフステージにおける使用段階や廃棄段階でのCO2排出削減量のインパクトをもとに、「直接貢献」及び「間接貢献」を定義しています。

 

<CO2削減貢献量>

製品名

貢献区分

削減貢献量(CO₂/年)

主な貢献ポイント

アクルーブ

直接

約77万トン

潤滑油の省燃費化によるCO₂削減

サンエレック

約13万トン

コンデンサ長寿命化による過剰生産抑制

ケミチレン

間接

約1,300万トン

風力発電設備の軽量化・再エネ普及

※これらの削減貢献量は、国際的なガイドライン(WBCSD等)に準拠し、外部専門家のチェックを受けています。

 ・直接貢献:当社製品単体の性能がCO2排出量の削減に貢献するもの

 ・間接貢献:当社製品が搭載された顧客の製品や装置がCO2排出量の削減に貢献するもの

 

<環境貢献製品売上高>

 当社グループでは、環境貢献製品売上高を一つの指標としています。2030年度の環境貢献製品の売上高は2025年度比22%増加を目指しています。今後も社会ニーズに適合する環境貢献製品の開発に尽力し、社会課題の解決と当社グループの成長につなげていきます。

 

 

⑤ 今後について

 当社グループは適切な環境関連情報開示を行い、ステークホルダーの皆さまに説明責任を果たしていきます。

 複数の気候変動シナリオによるリスクと機会が事業活動に与える影響を認識し、対応策を準備することで事業のレジリエンス向上を図り、社是に基づいた事業活動を継続していきます。また自社の2050年ネット・ゼロ達成にとどまらずサプライチェーン全体でのCO2排出量削減に貢献し、持続可能な社会の実現に努めます。

 

(3)人的資本

①戦略

 社是「企業を通じてよりよい社会を建設しよう」のもと、長期的に目指す姿の実現に向けた変革を推進していくために、人事理念を「多様性の尊重と協働」としました。この人事理念のもと、「従業員が最も活躍できる環境を作り出すこと」を人事ポリシーとして従業員の働きがいや誇りへ繋げていきたいと考えています。具体的には能力をより活かせる等級制度、能力・役割に応じた報酬制度、公正で透明な評価制度を策定するとともに、マネジメント力強化や専門性の深化、リスキリングなど個々が求める学びを意識した人財育成を実施してまいります。

 

人事理念

多様性の尊重と協働

人事ポリシー

従業員が最も活躍できる環境を作り出す

 

 また、当社グループでは「あらゆる立場の多様な従業員一人ひとりが主役」という考えのもと、全員にスポットライトを当て、従業員一人ひとりが輝き、また達成感を味わえるような会社を目指していきます。その思想を表明するスローガンとして『全部署がプロフィットセンター』を策定しています。当社グループは常に新たな目標に向かい、グループスタッフを含めた従業員一人ひとりの働きがいを大切にしながら、すべてのステークホルダーとともに“ワクワクする未来”に向かって挑戦していきます。

 

 

 

②具体的な取り組み、指標及び目標

前中期経営計画(2023~2025年度)期間における取り組みについては、以下のとおりです。

 

<人財育成>

 当社グループでは従来から「“人”中心の経営」を掲げ、従業員一人ひとりが会社とともに成長し、働きがいや幸せを実現できる会社を目指し、誰もが自主的にチャレンジができる制度を整えてきました。この「“人”中心の経営」をさらに深化させ、全員にスポットライトをあて、ワクワクしながら変革を推進している状態を目指し、a)「全員が活躍する仕組みづくり」、b)「リーダーが自然に育つ環境づくり」、を人財育成方針として取り組みました。

 

a)全員が活躍する仕組みづくり

施策

目標

達成目標年度

全員が活躍

全社員がコースの区別なく活躍できる環境を提供するため、等級制度を現在の総合職、専任職からアソシエイト職に一本化します。

コース一本化

2023年度(達成)

主体的に挑戦、主体的に学ぶ

●興味のある業務にチャレンジできる「社内複業制度」や主体的にチャレンジすることを奨励する「本部長等奨励賞」、「社長賞」「JET」「合宿OJT」等の制度を積極的に利用できるよう、現場の意見も取り入れながら、より使い易い制度にブラッシュアップします。

●キャリア開発研修を継続実施し、自分の強みや弱みを理解し、自分の価値を高める努力をし、成長し続けるキャリアを描けるよう支援します。また、描いたキャリアを実現できるよう社内の制度を整えていきます。2025年度は、各部署が人財を公募し、従業員自らの意思で応募する「社内公募制度」の運用を開始し、数名の異動が実現しました。

●本部(機能)間・内を問わず、積極的にローテーションを実施することで、多様で幅広い知見や経験を習得する機会を提供します。また、全従業員の適性検査を実施し、一人ひとりの特性に基づいたローテーション(適材適所)ができるように人事データを揃えていきます。2025年度は、従業員の異動希望、社内経歴、有技能資格者を経営層が閲覧できるようシステム改修しました。

●グローバルに活躍できる人財を育成するため、「海外留学制度」「海外実務者研修」や「語学研修」を継続して実施します。

●社内ポータルサイト「Sanyo Learning Square~学びの広場~」を開設し、人財育成に関するコンテンツの集約・充実化により、従業員の学びを支援しています。

●管理職候補者に対するアセスメント研修を導入し、評価結果のフィードバックを通じて、候補者と上司が候補者の強みや改善点を相互認識し、今後の学習目標や行動計画を立てる支援をしています。

チャレンジ精神を持ち成長意欲の高い人財であふれている状態

2027年度

組織評価

組織のパフォーマンスを最大化することを目的に、「部」以上の組織を評価する仕組みを導入し、2024年度から運用を開始しました。各組織がありたい姿に向けた組織目標を立て、その組織目標に組織の全員がアクションしている状態をつくりあげていきます。

組織目標の達成率80%以上

2025年度

(達成)

 

 

b)リーダーが自然に育つ環境づくり

 経営を担う、あるいは主要な事業、機能のキーポジションの候補が自然に育っている理想的な環境をつくることを目指して、まず計画的にリーダーを育てる施策を行い、次に、リーダーに成長していくキャリアをみて、リーダーを目指したいと自ら思い、実践する従業員が増える環境をつくっていきます。

施策

目標

達成目標年度

計画的なリーダー育成

●人財育成開発会議を定期的に開催し、次期リーダー候補の選定と育成計画を議論することで不足している人財要件の可視化を行います。

●リーダー候補者に対して選抜研修を実施し、経営者視点で会社を見ることができ、かつ戦略を立案するスキルの習得を図ります。研修受講者には、本人の意思も確認しながらローテーション等を実施するなど、個別に育成計画を立て、実行していきます。

●不足している人財要件を埋めるため、ローテーションを実施します。

●キャリア開発研修を継続的に実施し、若いうちにキャリアプランを描き、リーダーになるために挑戦したい人を発掘します。

各ポジションのリーダー候補が充足している状態

2027年度

 

 

<社内環境整備>

 当社グループでは、すべての従業員が自分らしさを大切にしながら、健康で、安心して働きやすい企業を目指して、働き方改革や、人財の多様化と、すべての人権や多様な価値観を尊重して受け入れ活躍できる職場環境の実現に向けた取り組みを進めました。具体的には、a)健康経営、b)DEI、c)従業員エンゲージメントの向上、d)働き方改革に取り組みました。

 

a)健康経営

 2018年に「健康経営宣言」を制定、2020年度より、社長を筆頭に経営幹部が参画する「健康経営会議」が方針や取り組み内容の審議・決定を行い、各地区の従業員をメンバーとした「健康推進チーム」が地区ごとに従業員への健康経営の周知・浸透ならびに具体的施策を推進する体制とし、会社・労働組合・健康保険組合の三位一体で、全社一丸となり健康への取り組みを推進しています。その結果、「健康経営優良法人」に8年連続で認定されました。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

●5つの健康増進の取り組み(運動、睡眠、食事、飲酒、喫煙)に対する健康投資策とその効果検証の評価指標を定め、目標値を設定し各地区で計画・実行します。

●健康診断結果で精密検査を要すると産業医が判定した従業員に対しての受診勧奨や、特定健診及び人間ドックの結果、「積極的支援」または「動機付け支援」対象となった対象者全員へ特定保健指導を継続して行っています。

●ストレスチェックの実施及び集団分析結果(ワークエンゲージメン ト)から必要時には組織へ個別介入し、職場環境改善指導を実施しま す。

私傷病休業者率

1%以下

1.7%

2025年度

(未達)

労働生産性損失率

30%以下

35%

2025年度

(未達)

※対象者は当社従業員および当社から関係会社への出向者です。

 

b)DEI(Diversity, Equity&Inclusion)

施策

目標(※1)

現状

達成目標年度

女性活躍

●当社グループは、2014年度より女性の活躍推進を会社施策の一つに掲げ、継続就業から活躍推進へと支援の軸足を移しました。2016年に施行された女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し、さまざまな取り組みを実施しています。

また、内閣府が支援する「輝く女性の活躍を加速するリーダーの会」に参加や、イクボス宣言・イクボス企業同盟への加盟なども行っています。

●男女共に働きやすく働きがいのある職場づくりのための各種施策を実施しているほか、女性のモチベーションアップや能力向上のための各種セミナーや研修の機会を設けています。

●男性の育休取得を推進し、男女共に性別役割分担意識をなくすことで、仕事と家庭生活の両立を実現し、女性の就業意欲の促進にもつなげます。(男女問わず育休開始後28日間給与支給)

女性管理職比率

15%以上

5.6%

2030年度

男性育休取得率

100%(※2)

102.5%

2025年度

(達成)

プラチナくるみん

認定(※3)

認定

2025年度

(達成)

えるぼし3つ星

認定

認定

2025年度

(達成)

LGBTQ

●社内外にLGBTQ相談窓口を設置しています。誰でも安心して相談できるよう相談者のプライバシー保護と相談による不利益取り扱い禁止を定めています。

●配偶者は同性・異性を問わない制度を適用しています。

また、就職時のエントリーシートから性別記入欄を無くし、ユニフォームにおいても男女統一(性別に関係なく同じ作業服や白衣の選択が可能)としています。

●LGBTQについての正しい理解を促進するため、各種研修やイベントを実施しています。2020年8月からは、LGBTQ当事者でLGBTQに関する啓発活動を行っているYouTuberのかずえちゃんを従業員に迎え、活動しています。

●LGBTQなどの性的少数者を含むすべての方が生きやすい、多様性・包摂性のある社会を目指して、国内事業所のある地域を中心としたレインボープライドイベントへの参加や、高校や大学での出張授業、企業などに向けた講演を実施しています。

PRIDE指標のGOLD

認定(※4)

認定

2025年度

(達成)

障がいのある従業員

●役員及び人事・各事業所総務担当者を対象に社外講師による「障がい者雇用理解推進研修」を実施するとともに、全従業員を対象に動画配信を行いました。

また、障がいのあるメンバーと共に働くことへの理解を促進するため、障がいの基本知識や合理的配慮について学ぶオンライン講座(動画)を作成し、全従業員に受講を呼びかけています。

●障がいのあるメンバーや共に働くメンバーが安心して活躍の場を広げていけるような支援体制を構築し、入社時のサポートや入社後のフォロー、定期面談を実施しています。

また、働くうえでの障がいによる不安や、現場の悩みに対する社外相談窓口「ワークサポート相談室」を開設しています。

障がい者雇用率

2.7%以上

2.4%

2026年度

外国籍従業員

当社グループは、グローバルな事業展開を目指しており、さまざまな文化をもった多様な人財が不可欠であると考えています。そのため、第一言語を日本語としない従業員が活躍できる環境づくり(社内制度・方針・人事制度説明、社内文書の英訳化、ビザ手続き支援など)を進めています。

外国籍従業員採用数

毎年2人以上採用

3人

(2025年度)

2024年度

(達成)

※1.対象者は当社従業員及び当社から関係会社への出向者です。

※2.女性活躍推進法の定義にかかわらず、子供が生まれた従業員全員が育児休業を取得することを目指します。

※3.対象は当社のみです。

※4.対象は当社及び国内関係会社です。

 

c)従業員エンゲージメントの向上

 従業員がやりがいや誇りを持ち、会社に対して高い貢献意欲を持ちながら、自らの力を自発的に発揮している状態を創り出すため、役員をはじめ組織のさまざまな立場の人としっかりと対話することが大切だと考えており、対話の機会を多く設けております。2024年度からは、従業員の経営方針の一層の理解・浸透や目標達成に向けた前向きなアクションを引き出すことを目的に、自由闊達な意見交換を行う場である「くるま座」を開始しました。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

役員との対話

●「道場」とは役員が道場主として、門下生(従業員)を募り、毎月1回、6カ月~1年間の期間で対話する制度です。1つの道場の参加者(門下生)は6~8人で、対話するテーマ(従業員に伝えたいこと)は道場主に一任されています。2025年度は13名の道場主のもと開催しており、今後も継続します。

●毎月1回、全従業員向けに役員が講話する「全員朝会」を継続して実施します。

エンプロイエンゲージメント(ストレスチェック)

51以上

45.2

2025年度

(未達)

合宿OJT

事業部や部単位で、1~2日かけて組織の夢や課題などを話し合う制度です。

サロン

部長職以上がサロンのリーダーとなり、数名の従業員と対話する制度

くるま座

上下関係無く自由に意見を交換ができる場。世代間での「関係の質」を高める=心理的な距離感を縮めることも目的としています。

●2025年度は、2026年度から開始する「中期経営計画 2030」の

策定にあたり、対話・共創を通じて自分ごと化された中期経営計画を目指して全従業員を対象に「中計くるま座」を実施しました。

※対象者は当社従業員及び当社から関係会社への出向者です。

 

d)働き方改革

 柔軟な働き方、業務改革、IT化・AI化の3つの切り口で働き方改革を推進しています。多様な働き方を提供することで、従業員一人ひとりが誇りややりがいを感じながら成果を創出できる職場環境を目指します。

施策

目標(※)

現状

達成目標年度

柔軟な働き方

時間単位有給休暇制度、スーパーフレックスタイム制度、在宅勤務制度、フレキシブル休職制度、介護支援制度、服装の自由化

ワークエンゲージメント(ストレスチェック)

51以上

50.4

2025年度

(未達)

業務革新

社外からイントラネットが利用できる仮想デスクトップサービス、決まった作業を自動化・効率化できるRPA(Robotic Process Automation)、社内情報を効率的に活用できるBI(Business Intelligence)システム、生成AIを利用した当社独自のデジタルプラットフォーム

※対象者は当社従業員及び当社から関係会社への出向者です。

 

 2026年度から2030年度までの5年間を対象とする「中期経営計画 2030」において、当社グループは、長期的に目指す姿である「界面でイノベーションを起こす“必要不可欠企業”へ」の実現に向け、人的資本を最も重要な経営基盤の一つと位置付けています。成長戦略、構造改革、デジタル活用戦略及び研究開発戦略を着実に実行し、変化の激しい事業環境の中で継続的に価値を創出していくためには、従業員一人ひとりが戦略実行の当事者として、必要不可欠な価値提供に挑戦し続けるとともに、組織を越えて協働できる状態を実現することが不可欠であると考えています。

このため、「中期経営計画 2030」では、「DEI×One Team」を軸に、多様な知と経験を持つ人財が互いの違いを活かしながら価値を共創する基盤の強化を進めます。あわせて、提供価値最大化のドライバーとなる人財の育成・活躍を重要施策として位置づけ、「自律挑戦」、「共創」、「専門性×DX」の強化に向け、人財ポートフォリオの変革と、主体的な挑戦に報いる環境づくりに注力してまいります。

 

<「中期経営計画 2030」における人財戦略(人財育成方針、社内環境整備方針)>

 

 

 

(4)人権問題への取り組み

三洋化成グループは、一人ひとりの人権を理解し、個性や価値観を認める土台があってこそ、多様な人財の活躍につながると考えています。また、世界のさまざまな地域で事業活動を進めていくためには、事業活動にかかわるステークホルダーやサプライチェーン全体における労働に関する権利も含めた人権課題への取り組みが求められています。こうした考えのもと、2023年3月に当社グループ「人権方針」を策定しました。今後は、社内外における人権リスク低減のために積極的に情報開示し、人権デュー・ディリジェンスや救済の仕組み構築などの取り組みを進めます。

三洋化成グループの人権方針のリンク

https://www.sanyo-chemical.co.jp/sustainability/social/human-rights/

 

サプライチェーン上で想定される人権問題

 

<サプライチェーンにおける人権配慮>

 サプライヤーを対象として、2022年1月に改定した「サステナブル調達ガイドライン」にサプライチェーンにおける人権配慮を明記し、周知を図りました。事業活動を通じて直接的、間接的にかかわらず人権侵害への加担や助長につながることに関わらないように活動していきます。原料調達においては、国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」に詳述されている手順に従うよう努めます。当社は2022年から国連グローバル・コンパクト「CSR調達セルフ・アセスメント・ツール」に基づくサプライヤーアンケートを実施し、重大な人権問題の把握に取り組んでいます。

 

 2025年度は、2024年度実施企業を除く原料サプライヤーから調達金額上位150社を対象にアンケートを実施しました(2024年度及び2025年度実施企業合計で全調達金額基準の95%)。

 2025年度に実施した本ガイドラインに基づくアンケートとフィードバックを通じてサプライチェーン全体での人権尊重への理解を促しました。

 今後も継続的な評価・フィードバックを実施し、リスク低減を図ります。2026年度末でほぼ全てのお取引先様へのアンケートが完了する予定です。

 

<予防策と軽減策>

 三洋化成グループは、思想、信条、年齢、社会的身分、国籍、出身、民族、宗教、移民、性別、性的指向、性自認、妊娠、貧困、疫病及び障害の有無等の理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為は行いません。また、それらの理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為に苦しむ社会的弱者が抱える課題の把握に努め、行政や自治体、社会福祉団体等の多様なステークホルダーと連携し、その支援に協力することを宣言しています。

 

<是正・救済処置>

 人権侵害が経営上のリスクとなることを十分に認識し、人権侵害を予防し、万一人権侵害があった場合は、これに公正・適切に対応し、児童労働や強制労働には反対するだけでなく、それらによって製造されたと思われる原材料等は使用しません。また、匿名で通報可能な社内従事者用の通報窓口を設置し、通報者や通報内容の秘密を適切に取り扱い、必要な処置を講じます。通報者に対する不利益な取り扱いや報復を禁止し、通報者の保護を徹底します。

 

●内部通報窓口

 社内の通報窓口は、通報者が特定されることのないよう、通報者の保護に十分配慮しなければならないことを規定に定め、運用しています。内部通報窓口の運用状況は、コンプライアンス委員会に報告しています。

 

●セクハラ・マタハラ・LGBTQ相談窓口

 従業員からのあらゆる相談を受け付けるため、社内外にハラスメントやLGBTQに関する相談窓口を設置しています。

 

 

 

 

<人権教育・啓発>

 当社グループは「人権方針」に関する正しい理解が社内外に浸透し、効果的に実行されるよう、適切な教育を継続的に行うことを、本方針の中で明示しています。

 

DEIに関わる2025年度の教育

項目

教育・研修名

対象者

講師

参加人数

(人)

研修時間

(時間)

人権/コンプライアンス

コンプライアンス研修

新入社員

法務部員

31

15.5

主任職昇格者

法務部員

46

46

経補職昇格者

法務部員

34

51

企業倫理勉強会(グループディスカッション形式)

従業員

(グループ毎に実施)

1,596

1,596

ハラスメント撲滅活動(グループディスカッション形式)

1回目:パワーハラスメント

2回目:セクシュアルハラスメント

役員・従業員

(グループ毎に実施)

1回目:1,555

2回目:1,543

合計:3,098

1回目:777.5

2回目:771.5

合計:1,549

DEI推進

4社協同企画講演会

役員・従業員

社外有識者

168

252

DEI理解研修

新入社員

社内担当者

20

20

オンラインミニ講座「なぜDEI推進が必要?」

役員・従業員

社内担当者

75

22.5

女性活躍

社外公募制研修「女性のためのエンパワーメント21世紀塾」

従業員(女性・主にリーダー職)

社外有識者

2

78

「仕事と育児」両立支援セミナー

子が誕生した従業員と上司

社外有識者

75

37.5

阪大スタイル産学共創教育事業 育成プログラム

従業員(女性・プログラム内容に適する者)

社外有識者

6

117

LGBTQ

LGBTQ当事者によるサロン

従業員

社内有識者

14

14

LGBTQ採用・受け入れ対応セミナー

役員・従業員(主に採用・受け入れに携わる者)

社外有識者

56

56

 

LGBTQ当事者による講演

役員・従業員

(主に人事本部員・DEIアライネットワークメンバー)

社外有識者

19

19

障がい者雇用

オンラインミニ講座「障がいのある人とともに働くために」

役員・従業員

社内担当者

108

32.4