事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 25,431 | 100.0 | -8,387 | 100.0 | -33.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) ミッション
当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」(注1)をミッションに掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」の実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。
大胆に、スピード感をもってアイデアを具現化することができるスモールビジネスは、様々なイノベーションを生むと同時に、大企業を刺激して世の中全体に新たなムーブメントを起こすことができる存在だと考えております。
一方、日本全体の労働生産性は主要先進7ヶ国中最下位(注2)であり、なかでも中小企業の従業員一人当たり付加価値額は大企業の半分未満(注3)と、スモールビジネスの生産性は低い状況にあります。
当社グループは、AIを始めとする先進的なテクノロジーを用いてスモールビジネスにクラウドERPサービス(注4、5)を提供し、スモールビジネスの生産性向上と経営改善を支援してまいりました。
当社グループは、データとテクノロジーの活用が、スモールビジネスが更なる成長を遂げる鍵であると捉え、スモールビジネスこそがデータとテクノロジーの最先端を活用できる世界を追求することで、より良い社会を実現してまいります。
(注) 1.本書における「スモールビジネス」とは、個人事業主と従業員が1,000名以下の法人を指す
2.公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2023」
3.中小企業庁「中小企業白書(2023年版)」
4.クラウドサービス:ソフトウェアやハードウェアを所有することなく、ユーザーがインターネットを経由してITシステムにアクセスを行えるサービス
5.ERP:Enterprise Resources Planningの略称。日本語では、企業経営において点在するあらゆる情報を一箇所に集め、一元管理を行うシステムを指して一般的に「ERP」「ERPパッケージ」と呼ばれる
(2) サービス概要
当社グループでは、スモールビジネスのバックオフィスの生産性向上に寄与するSaaS(注1)サービスを開発・提供してまいりました。具体的には、2013年に「freee会計」を、2014年に「freee人事労務」をリリースしました。その後も、2015年に「freee会社設立」を、2016年に「freee開業」及び「freee申告」を、2020年に「freee工数管理」及び「freee受発注」を、2021年に「freee勤怠管理Plus」及び「freee経費精算」を、2022年に「freeeカード Unlimited」及び「freee販売」をリリースし、サービスの拡充に努めてまいりました。
更なるサービスの拡充に向けて、M&Aにも積極的に取り組んでおります。2021年には株式会社サイトビジット(注2)を子会社化し、電子契約サービス「NINJA SIGN(現・freeeサイン)」の提供を開始しました。また、2022年にはMikatus株式会社を完全子会社化及び吸収合併し、税理士事務所向け及びその顧問先に電子申告ソフト「A-SaaS(エーサース)」の提供を開始しました。2023年にはsweeep株式会社を子会社化(注3)し、請求書の受取・仕訳・振込・保管を自動化するサービス「sweeep(現・freee支出管理 受取請求書)」の提供を開始したほか、Why株式会社を完全子会社化及び吸収合併し、企業の情報システム部門向けの作業自動化ツール「Bundle」の提供を開始しました。さらに同年、フリーランス管理ツールの「pasture」事業をエン・ジャパン株式会社より承継し、「freee業務委託管理」の提供を開始しました。
なお、当社グループは、当社と連結子会社5社の合計6社(注4)で構成されておりますが、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
(注) 1.SaaS: Software as a Serviceの略称。ユーザー側のコンピューターにソフトウェアをインストールするの ではなく、ネットワーク経由でソフトウェアを利用する形態のサービス
2.2022年8月に株式会社サイトビジットの社名をフリーサイン株式会社に変更。2024年6月にフリーサイン株式会社を完全子会社化
3.2024年1月にsweeep株式会社を吸収合併
4.当事業年度末時点
(3) 統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由
当社グループが提供するサービスは、資本、人材に限りのあるスモールビジネスにおける利用を前提に設計・提供しており、独自性の高い統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトとして、下記の特長がユーザー企業(注)に支持されています。
(注)当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す
① カンタン、自動化
一般的な会計ソフトは、すべての取引を複式簿記形式の仕訳として手動で入力する必要があり、多くの手間を要するという課題があります。「freee会計」においては、例えばクレジットカードや銀行の口座との同期(データ連携を指し、以下、「同期」という。)を行うことで、金融機関のトランザクションデータを自動的にサービス上に取り込み、AIにより自動で仕訳を行うことができます。これにより、ユーザー企業は手作業や手入力にかけてきた時間と工数を削減し、生産性を向上させることが可能です。
また、「freee会計」は、簿記の知識がない人でも直感的に使用可能なユーザー・インターフェイスを提供しており、専門人材の確保が容易でないスモールビジネスが自社で財務会計(会計帳簿の作成)や管理会計までを実施することも可能にしております。一方で、高い専門性を有する会計事務所向けに複式簿記対応のインターフェースも提供するなど、幅広いニーズに対応しております。
さらに当社グループでは、会計ソフト業界において早期よりモバイル対応の開発を行ってまいりました。「freee会計」のモバイルアプリは、直感的に操作しやすいユーザー・インターフェイスを有し、簡単かつ効率的に業務を行うことができます。その結果、このモバイルアプリは、8万件超のユーザー評価をいただくなど、多くのユーザーに利用頂いていることに加えて、5段階評価で平均4.5の高評価(注1)を獲得しております。また、2022年に主要3社を対象として実施されたモバイルアプリの市場調査においても、シェア1位を獲得しております。(注2)
また、スモールビジネスにおいて、会計業務に次ぐ大きな負担となっていると当社グループが考えているのが、給与計算及び給与計算に関連する人事労務業務です。例えば、社会保険や源泉所得税などの専門的知識が求められる上に、勤怠情報や従業員の扶養状況などの詳細を把握することが求められ、さらに、申告や様々な届け出が必要となります。
「freee人事労務」では、従業員が必要な情報を登録し、勤怠をつけるだけで、会社の給与計算やそれに付随する申告書類の作成などを自動化することができるため、専門的知識がなくても利用可能です。
(注)1.Apple社が運営するApp Storeにて「freee会計」のiPhoneアプリが5段階評価で平均4.5のスコアを獲得。ユーザー評価数は8万件超(いずれも2024年8月末時点)
2.リードプラス株式会社「検索キーワードから紐解く業界分析:クラウド会計ソフト編」(2022年8月公開、2023年6月更新)。調査対象は、当社、株式会社マネーフォワード及び弥生株式会社
② バックオフィスオートメーション
一般的な単機能型会計ソフトが担う領域は経理業務全体の一部である記帳処理に留まり、上流工程である業務は別のソフトウェアやソリューションを使用する必要があります。例えば、販売業務に関連する請求書発行や入金消込、仕入業務に関連する購買申請や支払業務は、それぞれ会計ソフトとは異なるソフトウェアや、紙と印鑑などを使用したオペレーションが用いられていたため、各業務が分断され、非効率な業務構造となっています。加えて、同一の取引に係る情報について、会計ソフトへの転記作業を要し、さらに手入力ミスを防止するための確認作業を要するという課題があります。
「freee会計」は、スモールビジネス向け統合型会計ソフトであり、請求書機能やワークフロー機能(注)を同一のソフトウェア上で提供しているユニークな設計を特長としており、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化にも寄与します。例えば、「freee会計」上にて作成した請求書の情報は、売掛金として自動で帳簿に登録され、かつ債権管理台帳にも登録されます。その債権情報と、銀行のオンライン口座の入金情報との連携により、自動的に債権の消込が行われます。一方、仕入取引又は経費支払の場合も、受領した請求書をスキャンして取り込むと、買掛金や未払金として自動で会計帳簿及び債務管理台帳に登録されます。加えて、登録された債務は「freee会計」の中から一括で振込指示を行うことができ、債務の消込も自動的に行われます。
このように、統合型会計ソフトである「freee会計」のソフトウェア上で上流工程にあたる業務を行うことで自動的に会計帳簿が作成されるため、経理業務自体も大幅に効率化されます。
同様に、人事労務の領域においても、従来は、従業員基礎情報、勤怠管理、給与計算、保険・行政手続、マイナンバー等の人事関連の定型業務に係る情報のマスタ(データベース)が別個のソフトウェアに散逸し、マスタ間の転記及び整合性担保に手間とコストが生じているケースが見られました。
「freee人事労務」も統合型人事労務ソフトとしての性質を持ち、従業員基礎情報の構築から給与計算及び行政手続等に至るまでのデータを一元管理することで、人事労務に係る定型業務を単一のソフトウェア上で完結し、人事労務担当者の負荷を軽減するとともに、従来の転記に伴うミスを避けることが可能となります。これにより、人事労務に係る定型業務の大幅な効率化につながります。
(注)経費精算、支払依頼、各種稟議など、各種業務フローに係る申請・承認を行う機能
③ 経営者の意思決定をナビゲート
一般的な会計ソフトは、税務を中心とした制度会計のための財務諸表作成とそのための記帳を主な目的として利用されています。経理業務は、会計ソフトだけでなく、様々なソフトウェアや紙と印鑑によるオペレーションの組み合わせにより行われていることが多く、販売や仕入れなどの取引発生から会計処理の完了までのリードタイムは長期化しています。また、様々なソフトウェアやアナログ手法の組み合わせによって経理業務が行われていることで、取引の発生から財務諸表までのデータは断絶されています。
そのため、会計ソフトを、経営指標のモニタリングや、元取引及び証憑に遡って深掘りする目的に利用することは難しいのが現実です。
当社グループの「freee会計」は統合型会計ソフトであるため、上流工程と会計帳簿を一体で扱うユニークな設計を有しており、リアルタイムに経営状況が記録され可視化されます。また、財務情報のみならず、財務諸表や各種レポートから、上流工程業務の証憑、取引先、部門等の情報を一元化して可視化し分析することができます。
例えば「予算・実績管理」機能を用いることで、予算と実績の差異について、財務諸表から個々の取引情報まで遡って分析することができます。さらに、蓄積された財務データを基に将来の資金繰りを示し、今後の経営の意思決定をサポートします。
人事労務ソフトの領域においても、従来は、従業員情報及び勤怠情報等のデータが別個のソフトウェアに散逸し、意思決定に有用なデータをリアルタイムで把握することが困難な状況が珍しくありませんでした。
当社グループの「freee人事労務」は、統合型人事労務ソフトであり、人事労務に係る情報を単一のソフトウェアに集約することで、適時に情報を把握することが可能となり、さらに「freee会計」の各種機能と連携することでより経営の意思決定への活用が可能となります。
④ 組織全体での利用による効率化と内部統制整備
一般的な会計ソフトは、経理業務に携わる従業員のみがライセンスを有して使うことが想定されています。
「freee会計」は、上述のワークフロー機能の提供を通じて、経理業務の枠組みを超えた企業のあらゆる事業活動において全従業員が活用することが可能な設計となっております。特に中堅規模以上の企業において、全従業員が利用することで「カンタン、自動化」「オペレーション効率化」の更なる追求につながる他、ワークフロー機能が有する承認プロセスの証跡を活用することで内部統制の整備にも貢献します。
また、「freee人事労務」と併せて利用することで、人事データ及び組織構造をリアルタイムにワークフローや経営分析に反映し、一層の業務効率化と高度な経営の可視化の両立を図ることが可能となります。
⑤ パブリックAPI(注1)による拡張性
従来のスモールビジネスでは、その企業特有の業務プロセスを自動化するために、独自のシステムを開発するしかありませんでした。しかし、独自のシステム開発は多額な開発コストとメンテナンスコストがかかり、IT投資の体力が限られるスモールビジネスにとって、大きな負担になっていました。また、そもそも独自のシステム開発自体が難しい規模の企業においては、市販のソフトウェアにアナログのプロセスを加えて補う運用がなされてきました。
このように自社開発された独自システムや、市販のソフトウェアと別のソフトウェア間でのデータ連携も容易ではなく、システム間のデータ連携はファイルの取り込み等の手作業によってなされ、工数が増大する上、転記ミス等の原因にもなっていました。
当社グループは、2013年に日本国内の会計ソフト業界では初めてパブリックAPIを公開して以来、クラウドとAPIを活用したオープン・エコシステム(注2)の構築を進めております。パブリックAPIの公開により、「誰でも、自由に」当社グループのサービスとデータ連携を行うためのアプリケーション開発を行うことができます。
そのため、スモールビジネス向けの業務ソフトウェアを提供する企業が、当社グループのサービスとの連携機能を自発的に開発することが容易になります。このような他社製品との連携機能が多く提供されることにより、スモールビジネスが社内業務のための独自のシステムやソフトウェアを開発する負担を大幅に削減することができます。
また、もし独自要件を追加したい場合でも、パブリックAPIを活用すれば、ユーザー企業が自社の業務プロセスに合わせて、カスタマイズ開発を従来より簡単に行うことができます。
2019年1月には「freeeアプリストア」をリリースしました。freeeのユーザー企業は、必要な業務カテゴリーごとにfreeeと連携可能なソフトウェアを検索することができ、数回のクリックで簡単にfreeeと連携させることができます。業務ソフトウェアを提供する企業にとっては、当社グループの顧客基盤にアクセスできる「freeeアプリストア」への掲載は、魅力的な販促手段となりえます。
(注) 1.組織内部のみでの利用を想定したAPIをプライベートAPIと呼び、他方で、組織外の主体にも利用を認めるものをオープンAPIと呼ぶ。オープンAPIの中でも、特定の提携企業のみでなく、幅広い外部企業が利用可能なものをパブリックAPIと呼ぶ
2.複数の企業同士が非排他的に提携することで、複数の企業が提供するサービスが共存共栄できる生態系のような環境を指す
以上の「選ばれる理由」を背景に、有料課金ユーザー企業数(注1)及びARPU(注2)の双方が伸長した結果、当社グループのARR(注3)は堅調に成長し、2024年6月期末には26,087百万円(うち法人19,536百万円、個人事業主6,551百万円)に到達するなど、事業は順調に拡大しております。
(注)1.当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す
2.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出
3.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)
(4) サービスラインナップ
①「freee会計」
個人事業主及び法人向けに提供している統合型クラウド会計ソフトです。
銀行口座やクレジットカード等との連携、請求書発行から入金管理、各種稟議や支払依頼など日々行われる経理の上流工程業務との統合により、手入力によるミスを防ぎ、経理作業にかかる時間を大幅に削減することが可能となります。同時に、上流工程業務まで含めた日々のデータを活かして、リアルタイムでの経営指標のモニタリングや詳細かつ打ち手に繋がる経営分析を可能としております。
さらに、従業員に個別アカウントを付与し、ワークフロー機能を利用することで、更なる業務の効率化と内部統制の整備にも寄与します。なお、ワークフロー機能は、承認プロセスの証跡を有していることから、上場企業に求められる内部統制報告制度に対応しており、上場準備企業及び上場企業における利用も非常に効果的です。
また、個人事業主向けプランにおいては、所得税の確定申告までを完結することが可能です。
加えて、freee会計で提供してきた経費精算機能及びワークフロー機能が利用可能な「freee経費精算」をリリースしています。さらに、インボイス制度に対応したプロダクトとして「freee会計」から特定の機能を切り出した「freee経理」と「freee請求書」をリリースしました。
②「freee人事労務」
法人向けの統合型クラウド人事労務ソフトです。
人事労務業務においては、給与計算、勤怠管理、保険・行政手続、マイナンバー管理等と多岐にわたり、かつ従来は業務ごとに使用するツールが異なるなど、複雑に分断されているという課題がありました。
従業員一人一人が、「freee人事労務」の従業員用アカウントを用いて、個人情報や勤怠情報を入力することにより、給与計算や年末調整の自動化に加えて、労務の諸手続の自動化や従業員マスタとなるデータベースの構築を可能とします。
また「freee会計」と「freee人事労務」を連携することで、給与情報を「freee会計」に自動で転記できるほか、「freee会計」にて申請した経費精算について「freee人事労務」にて計算した給与と一緒に支払うことが可能です。さらに、従業員マスタにおける役職や組織構造を反映したワークフローを、「freee会計」において自動で運用することが可能です。
加えて、幅広いニーズに適した勤怠管理プロダクトである「freee勤怠管理Plus」をリリースし、店舗数や拠点数が多いユーザーや、組織階層が複雑なMid領域(注) のユーザーにおけるニーズに対応します。また、「freee人事労務」のマスタと連携し健康診断等の管理が行えるサービス「freee健康管理」をリリースしました。
(注) 従業員が20名以上1,000名以下の法人を指す。
③「freee販売」
個人事業主及び法人向けに提供している統合型クラウド販売管理ソフトです。
販売管理業務においては、従来商談の発生から売上の入金等のプロセスが紙やエクセルで管理されることが多く、業務ごとに紙や表計算ソフト等の異なるツールを使用するなど、案件を獲得するまでの一連の工数の把握が難しいという課題がありました。
「freee販売」では請負型ビジネスにおける商談の開始からサービスの受注・発注後の納品の管理まで、一連の販売管理業務の全てを案件単位で管理することを可能とします。
また「freee会計」との連携により「freee会計」と共通の取引先マスタを利用することが可能になり、「freee人事労務」との連携により「freee人事労務」と共通の従業員マスタを「freee販売」で利用することができるため、「freee販売」において新たにマスタの初期設定作業を行うことなく利用を開始することができます。
④「freee申告」
「freee申告」は、会計事務所や小規模法人に提供している、「freee会計」とシームレスに連携したクラウド型税務申告ソフトです。
従来の税務申告ソフトは、会計ソフトとは分断されていたことから、会計ソフトから出力したデータを税務申告ソフトに入力する必要があるなど、多大な労力や時間がかかるという課題がありました。
「freee申告」の利用により、これまでプロセスごとに分断されていた会計と申告の業務がシームレスに連携し、「freee会計」に入力された財務情報をもとに税務申告書を自動的に作成することができ、更に、作成した申告書を電子申告することができます。
また、会計事務所は、顧問先とともに「freee会計」を利用し、更に「freee申告」を利用することで、会計事務所における記帳業務、顧問先の決算、申告書類作成等の多岐にわたる業務について、ワンストップでクラウド上で効率的に管理することが可能となります。
⑤「freeeサイン」
「freeeサイン」は、個人事業主及び法人向けに提供している電子契約サービスです。
スモールビジネスにおいては、法務専任者を自社に抱えていないことが多く、担当者が他の業務と兼務しながら契約業務を行うことが一般的であり、本来注力すべき業務に時間を割けないなどの課題がありました。
「freeeサイン」は、法務の知識が浅い方や、業務に時間を割けない方でも、迷わず簡単に利用できるユーザー・インターフェイスを提供しており、契約書のひな形やテンプレートをご利用いただくことで簡単にドラフトを作成いただけます。契約書の新規作成から、社内承認プロセス、電子契約の締結、契約書管理まで、契約業務をカバーしているため、契約業務をワンストップでクラウド上で管理することが可能になります。
⑥金融サービス
スモールビジネスの資金繰り改善を企図した金融サービスとして、「freeeカード」や「freeeカード Unlimited」等を提供しております。
「freeeカード」は、従来クレジットカードを作成することが容易でなかった個人事業主や中小企業に特化した事業用クレジットカードです。経費精算や仕入れなどの現金取引のキャッシュレス化によりバックオフィス業務の効率化を、またクレジットカード明細を自動で「freee会計」と同期することにより経営状況の可視化を実現します。
さらに法人顧客の資金ニーズに対応すべく、自社の与信モデルを活用した「freeeカード Unlimited」を提供しております。「freeeカード Unlimited」を利用することで、資金効率改善及びクレジットカード明細を自動で「freee会計」と同期することによる経営状況の可視化を実現します。
これらの金融サービスは、資金繰りの実態を把握できる場所である会計ソフト上で、資金繰り改善のアクションまでを可能にするものであり、従来の会計ソフトからは一線を画した価値を提供するものです。
以上に述べたプラットフォーム事業を事業系統図によって示すと、次のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 業績等の概要
当社グループは、スモールビジネス(注1)向けのクラウド会計ソフトとクラウド人事労務ソフトのTAM(注2)について、合計で約1.6兆円(注3)と推計しております。一方、財務関連ソフトウェアを利用する従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主におけるクラウドソリューションへの支出額比率は46.3%であり(注4)、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。当社グループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」の実現を目指してサービスの開発及び提供をしております。
当連結会計年度において、当社グループは、主要サービスである「freee会計」及び「freee人事労務」を中心に機能改善を目的とした開発投資を実施しました。2023年10月から開始したインボイス制度に向けて、「freee支出管理 受取請求書」(注5)において請求書の明細をOCRで自動で読み取れる機能等を開発し提供開始しました。また、フリーランス管理ツールの「pasture」事業をエン・ジャパン株式会社より承継し、「freee業務委託管理」としてリリースするなど、M&Aを活用したプロダクト拡充を進めました。さらには、インボイス制度に対応したサービス拡充に向けてsweeep株式会社の吸収合併を行いました。また、「freee TOGO world 2024」や「freee Advisor Day 2024」といったイベントを開催するなど、マーケティング活動を推進しました。
このような取り組みの結果、当連結会計年度末におけるプラットフォーム事業(注6)のARR(注7)は前連結会計年度末比26.8%増の26,087百万円、有料課金ユーザー企業数(注8)は同18.1%増の532,637件、ARPU(注9)は同7.4%増の48,977円、当連結会計年度における同事業の売上高は前連結会計年度比32.3%増の25,430百万円、調整後営業損失(注10)は7,562百万円(前連結会計年度は7,195百万円)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比32.3%増の25,430百万円、調整後営業損失は7,562百万円(前連結会計年度は7,195百万円)、営業損失は8,386百万円(同7,919百万円)、経常損失は8,638百万円(同7,982百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は10,150百万円(同12,338百万円)となりました。
プラットフォーム事業のARR、有料課金ユーザー企業数及びARPU推移
(注) 1.「スモールビジネス」とは、個人事業主と従業員が1,000名以下の法人を指す
2.TAM:Total Addressable Marketの略称。当社グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、当社グループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではない。各プロダクトのTAMは、一定の前提の下、外部統計資料をはじめ、プロダクトラインナップ拡充やプラン改定等の当社ビジネスの取り組み状況も踏まえ、国内における全潜在ユーザー企業において各プロダクトが導入された場合の年間支出総金額を当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性がある
3.国内における当社グループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」及び「freee人事労務」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(「freee会計」及び「freee人事労務」の全潜在ユーザー企業数(国税庁「令和4年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 従業員規模別の「freee会計」及び「freee人事労務」の想定年間課金額)
4.International Data Corporation(IDC)「Worldwide Software and Public Cloud Services Spending Guide_2024V2」
5.2024年3月に受取請求書管理サービス「sweeep」から名称変更
6.スモールビジネス向けに展開するクラウドERPの提供や金融サービス等から構成される事業。2022年6月期においては、当社グループの事業全体から、連結子会社である株式会社サイトビジット(現・フリーサイン株式会社)が提供していた「資格スクエア」事業(2021年12月に売却)を除いたもの
7.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)
8.当社グループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す
9.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各四半期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出
10.調整後営業利益=営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用。なお、調整後営業利益については有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比2,833百万円減少の39,953百万円となりました。これは主に、現金及び預金が4,654百万円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末比7,272百万円増加の23,000百万円となりました。これは主に、短期借入金が4,700百万円、前受収益が2,416百万円それぞれ増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末比10,106百万円減少の16,952百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が10,150百万円減少したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、31,750百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は6,767百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失10,076百万円、前受収益の増加額2,296百万円及び減損損失1,472百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,088百万円となりました。これは主に、吸収分割による支出794百万円及び有形固定資産の取得による支出662百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は3,705百万円になりました。これは主に、短期借入金の純増額4,700百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが営む事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績は前連結会計年度比32.3%増の25,430百万円となりました。なお、当社グループは当社と連結子会社5社の合計6社で構成されておりますが、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、セグメントごとの記載はしておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績の分析
(売上高)
売上高は25,430百万円となりました。これは「freee会計」及び「freee人事労務」の有料課金ユーザー企業数の増加、ARPUの上昇によるARRの拡大を主因とした売上高の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は4,439百万円となりました。これは主に、サービスの利用ユーザーの増加に伴う、サーバーに係る
費用やカスタマーサポートに係る費用の増加によるものであります。この結果、売上総利益は20,991百万円(前連結会計年度は16,066百万円)となりました。
(調整後販売費及び一般管理費、調整後営業損失(注1))
調整後販売費及び一般管理費は28,554百万円となりました。これは主に、中長期成長戦略に伴う先行投資による人件費、マーケティング費用を増加させたことによるものです。この結果、調整後営業損失は7,562百万円(前連結会計年度は7,195百万円の損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
営業外収益は8百万円となりました。営業外費用は259百万円となり、主な内容は支払手数料及び譲渡制限付株式報酬償却損であります。この結果、経常損失は8,638百万円(前連結会計年度は7,982百万円の損失)となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純損失)
特別利益は36百万円となり、主な内容は新株予約権戻入益であります。特別損失は1,475百万円となり、主な内容は減損損失であります。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は10,150百万円(前連結会計年度は12,338百万円の損失)となりました。
(単位:百万円)
(注)1.調整後営業利益=営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用。なお、調整後営業利益及び調整後販売費及び一般管理費については有限責任 あずさ監査法人による監査又はレビューを受けておりません
2.株式会社サイトビジット(現・フリーサイン株式会社)が提供していた事業で、2021年12月に売却
3.Research and Developmentの略称。研究開発に係るエンジニアの人件費や関連する経費及び共通費等の
合計
4.Sales and Marketingの略称。販売促進に係る広告宣伝費やセールス人員の人件費や関連する経費及び共通費等の合計
5.General and Administrativeの略称。コーポレート部門の人件費や関連する経費及び共通費等の合計
③ 財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析については、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、前記「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、当社グループの業容拡大を企図した、M&Aや戦略的投融資のほか、研究開発活動や営業活動にかかる人件費や広告宣伝費です。これらの資金需要に対しては、主に自己資金を充当することを基本としております。また、クレジットカード事業においては、運転資金の効率的な調達を行うため当座貸越契約等を締結しております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)
当社グループは、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)
当社グループは、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が、損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦以外の外部顧客への売上高がないため、該当事項はありません。
(2)有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)
当社グループは、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)
当社グループは、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)
当社グループは、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)
当社グループは、プラットフォーム事業を主な事業としており、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。