2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,687名(単体) 7,259名(連結)
  • 平均年齢
    42.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.1年(単体)
  • 平均年収
    8,176,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

2,866

(425)

アメリカ

484

(123)

ヨーロッパ

376

(3)

アジア

3,483

(1,078)

7,209

(1,629)

その他

50

(4)

合計

7,259

(1,633)

 

(注) 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

日本

1,687

42.3

14.1

8,176

(224)

 

(注) 1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均雇用人員を外数で記載しております。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

提出会社の労働組合には、1949年に企業内単一組合として結成されたロート製薬労働組合(2024年3月末現在 組合員数1,612名)があります。

会社と組合との間には、特記すべき事項もなく円滑な労使関係を維持しております。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

    当連結会計年度の多様性に関する指標は以下のとおりであります。なお、管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は当連結会計年度末時点、男性労働者の育児休業取得率は育児・介護休業法に基づき当連結会計年度における実績を記載しております。また、集計対象には対象会社から他社への出向者を含み、他社から対象会社への出向者を除いています。

   当社において、採用、評価、昇格、登用、各種手当の支給要件等に際し、性別、国籍、年齢等による賃金体系や制度上における差異はなく、個人の役割、能力、成果・評価、成長を加味した処遇を行っています。現在の当社における労働者の男女の賃金の差異を生んでいる主な要因は、勤続年数が長く給与水準の高い上位等級の男性比率が高いことによるものと考えています。労働者の男女の賃金の差異の解消の取り組みとしては、女性上位等級者比率を引き上げることが重要と考えており、継続して人財育成に取り組んでまいります。

 

 

管理職に占める女性労働者の割合

(注)1

男性労働者の育児休業取得率

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(注)1

全労働者

正規(無期)雇用労働者

非正規(有期)雇用労働者

当社

32.8%

46.4%

62.1%

65.1%

40.3%

クオリテックファーマ㈱

22.4%

53.8%

73.9%

77.1%

55.7%

ロートニッテン㈱

13.1%

37.5%

63.5%

68.1%

43.7%

天藤製薬㈱

11.1%

100.0%

69.7%

70.5%

43.6%

 

(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)」第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社にとってのサステナビリティは、事業を通じて健康に関わる多様な社会課題を解決して、それが企業成長につながる、社会的価値と企業価値の双方を生み出す活動としてとても親和性の高いものであると考えています。中核事業であるOTC医薬品事業とスキンケア事業をはじめとした6つの事業領域を通じて当社のパーパスであるWell-beingな社会の実現を目指して事業活動に取り組み、より一層ESG/SDGsの価値基準を経営に反映させていきます。

 

①サステナビリティ方針

当社は、経営理念、価値行動規範(7つの宣誓)、各種方針等に基づき、生活者、取引先、従業員、株主・投資家、地域社会など全てのステークホルダーの皆様と協働し、Well-beingな社会の実現に向けて社会的責任を果たすとともに、企業価値の向上に努めます。

 

②サステナビリティ行動指針

・事業活動を通じてWell-beingな社会の実現や環境問題の解決に貢献します。

・「社会の公器」たる企業として、すべてのステークホルダーとの共栄を目指します。

・企業活動を健全なガバナンスのもとに行い、公正かつ透明性の高い信頼ある経営を目指します。

 

③ガバナンス

サステナビリティ施策推進のため、取締役会の諮問委員会として、サステナビリティ委員会を設置し、ESG、SDGsをはじめとするサステナビリティ関連の課題や方針、対策等について議論し、特定された課題に対して対策方針、実行計画を策定し、進捗状況のモニタリング評価を行っています。本委員会にて審議された内容は、適宜取締役会に報告・提言され、特に重要な案件については取締役会において議論・決議されます。本委員会の運営体制は、取締役副社長(CFO兼ESG担当)を委員長とし、委員は、委員長が指名した取締役及びアドバイザーとして1名の社外監査役により構成しています。取締役副社長は当社グループのチーフファイナンシャルオフィサー(CFO)の役職も兼ねており、サステナビリティ課題を財務課題として評価・管理する役割を担っております。本委員会の事務局は経営企画部とサステナブル経営推進室が担っており、実務的なサステナビリティ推進体制として、ESG関連の取り組みを推進する専任部署であるサステナブル経営推進室を設置しています。

 

④リスク管理

サステナビリティ委員会において、気候変動や人的資本など、サステナビリティに関するリスクと機会について協議し、取り組み方針の決定を行い、その方針をグループに展開する体制を取っております。取締役会はその検討・協議内容について報告を受け、当社グループのサステナビリティ対応について、ステークホルダーへの開示および対話、長期視点での資本支出計画など検討を行い、また実行に際して監督を行う体制としております。

 

 

(2)人材への取組

①人財育成方針(ダイバーシティ・マネジメント方針)

Well-beingな社会の実現に貢献しつつ、会社が持続的に成長するためには、常に新しい価値を創造し、世の中から必要とされる存在でなくてはなりません。その担い手はもちろん社員一人ひとりであり、社員の成長なくして組織の成長はありません。事業の多様化、グローバル化が急速に進む中、当社がこれからも継続的に価値を創出するには、多様な人財が価値観を共有し、切磋琢磨しながら成長していくことが不可欠です。当社はWell-being経営推進のため、社員が主体的に事業活動に参画し、プロの仕事人として自律的にキャリアビジョンを実現できるようダイバーシティ・マネジメントを推進するとともに、多様な“個”を活かした組織づくりを通じて、社員個人と会社が共に成長することで、Well-beingな社会の創造を目指します。

 


 

②社内環境整備方針

当社は、会社とは“所属する場所”ではなく“志を同じくする個人が参画する共同体”であり、従業員は「プロの仕事人」として自律(自立)し、未来を自らの意思で切り拓いていくことが必要だと考えています。そのうえで、当社が人財マネジメントで重要と考えている点は、当社のパーパス(存在価値)と従業員個々人のパーパスとの連動です。「Well-being な社会の実現」という当社グループのパーパスと、多様な従業員一人ひとりのパーパスとの共鳴が高まれば高いエンゲージメントが得られると考えています。そのために会社は、多様な価値観を持つ自律した個人が、自己成長のために学び続ける意思を持ち続けられるよう、自己成長機会の提供や、チームワークやコミュニケーションの向上を促進するとともに、不当な差別なく快適に働くことができる環境や選択肢を整備・提供していくことも併せて重要だと考えています。具体的には、多様な働き方の推進、人権の尊重 、ダイバーシティ推進、教育研修、労働災害の防止や健康経営の推進による安全・安心な職場環境の提供など、社員のWell-being を向上させるような環境整備を推進していきます。

 

 

③人的資本に関連する指標及び目標(当社単体)

 

 

KPI

実績

目標

2023年度

2030年度

人権の尊重

全従業員に対する人権・ハラスメント教育の実施

不定期実施

100%

ダイバーシティの推進
(働き方改革含む)

男性育児休暇取得率

46.4%

100%

障がい者雇用率

2.50%

3.0%以上

50歳以上の従業員に対するキャリア研修実施

未実施

100%

自社所有事業所内におけるジェンダーフリートイレ設置

設置済み

有給休暇取得率

80.0%

80%以上

5日以上連続した有給休暇取得率

36.9%

80%以上

労働安全衛生の確保

休業労働災害発生件数

3件

0件

従業員エンゲージメント向上

Well-being アンケートスコア
※従業員のWell-beingに関する自己評価
(各項目10点満点)

5項目平均6.89pt

全項目満点

健康経営の推進
(※太枠内は2024年に向けた
健康経営目標値)

健康診断受診率

100.0%

100%

ストレスチェック受検率

98.8%

100%

メタボリックシンドローム該当者の割合(メタボ+予備軍)

14.2%(6.1%+8.1%)

0%

貧血該当者(女性)の割合

15.9%

0%

健全年齢<実年齢の割合

65.0%

80%

喫煙者の割合

2.2%

0%

適正飲酒量を守っている割合

76.5%

100%

睡眠6.5時間以上の割合

33.5%

50%

30分の運動を週2回以上実践者の割合

41.4%

50%

1日8,000歩及び20分早歩き実践者の割合

14.4%

50%

 

 

(3)環境への取組

地球環境を守り、それを次世代に継承することは私たちの責務です。当社は「環境方針」を定め、企業活動を通じて地域及び地球環境の汚染の予防と継続的な改善を行っています。当社は環境に関するサステナビリティ課題のマテリアリティとして、「環境に配慮した商品開発を続けること」を掲げ、国内外のサプライヤー、小売店、代理店とも協働しながら、地球の健康寿命の延伸に挑戦しております。また地球温暖化による自然災害の影響を重く見て、2021年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同を表明するとともに、CO2排出削減目標を設定しております。TCFDの推奨する項目に沿った当社の気候関連情報は以下の通りであります。

 

1.戦略

当社の気候変動に関するリスクおよび機会が事業に及ぼす影響を主に財務面でのインパクトを中心に評価いたしました。当社は主要な展開国においては現地に開発・生産拠点を保有し、気候変動に伴うバリューチェーンの分断に強い体制を築いております。シナリオ分析では、主要なグローバル拠点である日本、中国、ベトナム、米国等を総合し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオ等を参照の上、1.5℃/2℃シナリオと4℃シナリオのそれぞれについて影響を検討しました。TCFDの定義する分類(移行リスク、物理的リスク、機会)に基づき、気候変動が事業に及ぼす可能性のある影響度および現時点での対応は以下の表の通りであります。今後も継続的に分析と評価を進め、多様なシナリオにおいての対策検討を実施するとともに、不確実な将来に向けてのレジリエンスを高めてまいります。

 

<想定されるシナリオ>

1.5℃/2℃
 シナリオ

・世界的な脱炭素への要求の高まりにより、炭素税導入やプラスチックをはじめとする化石燃料由来原料に対する規制が強化され、脱炭素な過程で生産された原材料や容器包材の仕入、再生エネルギーの使用など、更なる環境配慮を前提とする企業活動への転換が進む

・消費者や小売業者の志向変化により、低カーボンな製造方法により生産された製品や持続性に配慮した調達品の取引や販売が求められる。またその技術革新が進む

4℃
 シナリオ

・異常気象による台風などの自然災害の激甚化に伴い、想定以上の風水害被害の発生リスクが高まる

・自然災害の激甚化や気温上昇に伴う環境や生態系の変化により、資源の生産や収穫量の減少リスクが高まることで、原材料の枯渇リスクや感染症の発生リスクが高まる

・紫外線増加や、気温変化により、QOLが悪化することでQOLニーズを満たすヘルスケア製品に対する要望が高まる

 

 

移行リスクと機会

リスク項目

事業インパクト

影響度

リスク・機会への対応

 

大分類

小分類

1.5℃

/2℃

4℃
 

移行

政策/規制

炭素税の導入

世界各国における炭素税の導入により、工場の操業コストや輸送コストの増加

・スコープ1,2の排出量削減目標を掲げ、削減活動を推進中

CO2排出量の制限規制の導入(プラスチックや石油由来原料の使用規制や課税など)

再生原材料の使用の規制や義務化等により調達コストの上昇

・プラスチック使用量の削減や循環型素材の使用率増加
 ・容器・包材の簡素化、軽量化
 ・再生原料を使用した容器等への変更

再生エネルギーの使用義務化や使用量増加

再生可能エネルギーへの切替えなどに係る電力代上昇に伴うエネルギー調達コストの上昇

・エネルギー使用量の削減目標を掲げ、削減を推進
 ・再生可能エネルギーへの使用切替や環境配慮型設備への投資を推進

市場

原材料価格の上昇

世界的な環境配慮対応型原材料の供給不足や、炭素税の適用による原材料への価格転嫁等による原材料調達コスト価格の上昇

・分散調達、代替原材料の検討とその品質への影響評価

 

 

リスク項目

事業インパクト

影響度

リスク・機会への対応

 

大分類

 

小分類

1.5℃

/2℃

4℃
 

物理

慢性

平均気温上昇

天然原材料の供給不足などの影響で調達コストが上昇

・分散調達、代替原材料の検討とその品質への影響評価

海面の上昇

調達先を含めた低海抜拠点の工場やオフィスが浸水し、操業停止などの甚大な影響が出る

・現時点で当社グループ内拠点における影響はないと考えられる

・取引先の状況把握に努める

水使用の逼迫

地下水を利用した生産地域における地下水の枯渇により、水の使用が困難になった場合、取水排水制限の導入や調達コストの増加による商品の生産制限やコストの増加

・水使用量に関する定量的な把握を進める
 ・水資源の効率的な使用を推進

急性

自然災害による生産機能停止や物流機能の断絶

サプライチェーンの寸断による調達および供給が停止し、販売機会の損失により収益が減少

・BCPの見直し
 ・分散調達の推進ならびに在庫水準の適正化
 ・サプライヤーおよび販売代理店との緊密な連携

機会

市場

消費者ニーズ・行動の変化

環境に配慮した製品のニーズ拡大に伴う売上拡大と、企業の環境配慮に対する市場からの評価向上

・環境、生態系への影響に配慮した製品の開発
 ・外部評価機関と連携した環境影響の評価指標の開発

慢性

平均気温上昇

日やけ止め、シミ対策商品など紫外線対策関連ニーズの拡大。また年間における最需要期の長期化による売上拡大

・日やけ止めにおける技術開発の推進
 ・化粧品、内服を含めた対策商品の開発検討

 

 

 

2.リスク管理

① 気候関連リスクの識別・評価プロセス

TCFDが提唱するフレームワークに則り、外部環境の変化を予測し、当社のリソースおよび提供サービスを踏まえて、気候変動が事業に与えるリスクについてその影響度をサステナビリティ委員会において識別しています。

② 気候関連リスクを管理するプロセス

識別したリスクはサステナビリティ委員会において管理し、対応について協議を行います。必要に応じて関連部門の責任者を委員会に招集し、より具体的な施策を確認、機動的に推進する体制を取っています。

③ 上記プロセスが当社総合的リスク管理に統合される体制

環境課題以外のリスクも含めて総合的に当社事業の継続性に影響を与えるものについてもサステナビリティ委員会において評価・管理します。案件に応じて代表取締役社長を委員長とするコンプライアンス委員会とも協議を行い、BCPを策定します。

 

3.指標と目標

① 気候リスクと機会を評価するために用いる指標と目標

当社の非財務KPIとしてのCO2排出量削減目標は以下の通りであります。

・Scope1と2の合計CO2排出量を2030年度に2013年度比△46%にする

・中間目標として、2025年度に2013年度比△30%にする

 

その目標達成に向けてのアクションおよび達成目標は以下の通りであります。

・CO2フリー電力の購入(Scope2)

水力、風力、太陽光等CO2を発生しない再生可能エネルギーで発電された電気を購入し、買電電力消費によるCO2排出量を2030年度まで27.6%削減。主要事業所(本社工場、上野テクノセンター、リサーチビレッジ京都)においては2025年度までに100%の購入比率を目指す。なお、2023年度の主要事業所におけるCO2フリー電力の購入比率は55.5%となっています。

・上野工場の新工場棟への太陽光発電設備の設置(Scope1&2)

稼働状況に合わせ、2023~2024年度に太陽光発電設備を設置し、発電及び買電電力消費によるCO2排出量を既存と合わせ毎年1~2%削減

・保全・運用改善、排熱利用、エネルギー転換(Scope1&2)

エネルギー消費を2030年度まで年間1%以上削減

 

またReduce・Reuse・Recycleを意識した商品仕様の実現、返品の削減、良品廃棄の削減についても取組みを進めており、今後具体的な目標設定とその進捗を開示してまいります。

 

② 2023年度のCO2排出量実績(速報値)

当社におけるScope1、Scope2(マーケット基準のCO2排出量は以下の通りであります。

 

 

2023年度

2013年度比

Scope1・2排出量計

12,722t

△19.6%

内訳

Scope1排出量

7,613t

+25.0%

Scope2排出量

5,109t

△47.5%

 

 

Scope1・2排出量合計の2013年度比は△19.6%であります。将来的には、Scope1、Scope2につきましては主要な生産拠点を持つ国内外子会社の排出量を合計して算定する方向で取り組みを進めます。またScope3についても、今後集計の精緻化を図るとともに目標設定に向けて取り組んでまいります。