事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 5,590 | 100.0 | -812 | 100.0 | -14.5 |
事業内容
3 【事業の内容】
1.当社グループの事業概要について
(1) 当社グループの概要
当社グループ(当社及び当社の子会社)は、当社とグローバル・スペシャリティファーマの戦略拠点として設立された連結子会社1社(SymBio Pharma USA, Inc. )で構成されております。
SymBio Pharma USA, Inc.は本年度において経営体制の再構築・経営基盤の充実を行い、その戦略拠点としての役割がより従来に比べ重要性を増しました。
当社は、元米国アムジェン社(注1)本社副社長で、同社の日本法人であるアムジェン株式会社(現在は武田薬品工業株式会社が全事業を譲受)の創業期から約12年間社長を務めた吉田文紀が、2005年3月に設立した医薬品企業です。
経営理念は「共創・共生」(共に創り、共に生きる)で表され、患者さんを中心として医師、科学者、行政、資本提供者を「共創・共生」の経営理念で結び、アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)(注2)に応えていくことにより、社会的責任及び経営責任を果たすことを事業目的としています。
なお、当社の事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
(注1) バイオ医薬品業界最大手。1980年、米国カリフォルニア州サウザンド・オークスにおいて、AMGen(Applied Molecular Genetics)として設立。日本においては、1993年5月にアムジェン株式会社として業務を開始しました。
(注2) アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)とは、未だ満たされない医療上の必要性を意味し、患者さんや医師から強く望まれているにもかかわらず有効な既存薬や治療がない状態を指します。
(2) 当社グループの事業の特徴
がん・血液及びウイルス感染症領域における希少疾病分野(注3)の研究開発の多くは、欧米を中心に、大手製薬企業よりもむしろ、多くの大学・研究所、バイオベンチャー企業により創薬研究・新薬開発が活発に行われ、海外では既に数々の有用な新薬が医療の現場に提供されています。しかし、これらの分野は開発に高度の専門性が求められることから、開発の難度も高く、また大手の製薬企業が事業効率の面、採算面で着手しにくいため日本を初めとして、世界各国において手掛けられていない空白の治療領域となっています。当社グループは、極めて医療上のニーズは高いものの、新薬の開発が遅れている空白の治療領域をビジネスチャンスと捉え、特に、高い専門性が求められ難度が高いために参入障壁の高いがん・血液及びウイルス感染症領域を中心とした日本初のスペシャリティ・ファーマ(注4)です。当社グループは、大型新薬(いわゆる売上高が1,000億円を超える「ブロックバスター」)の追求ではなく、マーケットは相対的に小規模でも医療ニーズの高い希少疾病分野を中心とした新薬開発に取り組み、これらの医薬品及び新薬候補品を数多く保有することにより、強固なパイプライン・ポートフォリオを構築し、高付加価値で高収益を達成し、持続性のある事業展開を行います。
当社グループは、このような空白の治療領域を埋めるための新薬の開発・提供を行うことを企業使命として設立されました。新薬が開発されないことで治療上の問題を抱えている患者さんに対して、短期間で開発をし、迅速に治療薬をお届けすることを最優先に考え、医療への貢献、そして医薬品業界の健全な発展に寄与することにより、持続的成長と安定への道を進んでまいります。
(注3) 希少疾病分野とは、患者数が少ない疾病分野のことで、この分野に対する医薬品は希少疾病用医薬品(Orphan Drug:オーファンドラッグ)と呼ばれます。厚生労働省はオーファンドラッグ制度を設定し、我が国において患者数が5万人未満の重篤な疾病であること、医療上特にその必要性が高いこと等をその指定の基準としています。当該指定を受けると、申請から承認までの期間が短縮され、再審査期間が最長10年になる等の優遇措置があります。
(注4) スペシャリティ・ファーマとは、得意分野において国際的にも一定の評価を得る研究開発力を有する新薬開発企業をいいます(2007年「新医薬品産業ビジョン」(厚生労働省)の定義による)。
(3) 当社グループの事業モデルについて
創薬系事業の特徴として、新薬の開発は長期間にわたり膨大な先行投資を強いられるものの、その研究開発の成功確率は極めて低いことが知られています。一般に、研究所において何らかの生物・生理活性(注5)が認められた化合物が新薬として承認にいたる確率は、2万分の1~2万5千分の1と言われています。また、承認を取得した新薬のうち、上市・販売後において採算が取れるのはそのうちの15~20%以下と言われています。当社グループは、このような創薬系事業の難しさを踏まえた事業モデルを構築しています。
当社グループでは、開発にかかる様々なリスクと費用を軽減するとともに、開発候補品の臨床試験を迅速・確実に進め、開始から承認取得までの期間を短縮するために、主として既にヒトでPOC(Proof Of Concept)(注6)が確立され、前臨床試験データと臨床試験データがある化合物を対象としております。これらの化合物の探索は当社グループ独自の探索ネットワークと評価ノウハウを活用して、当社グループ内の経験を有した専門スタッフによる第1次スクリーニングにより絞り込みを最初に行います。その後、科学的諮問委員会(Scientific Advisory Board:以下「SAB」といいます)(注7)において、第一線で関連分野における治療の研究に携わる経験豊かな社外専門家の厳密な評価を受けた上で、当社において最終的な導入候補品を決定いたします。
当社グループ内外の専門家による、こうした“目利き”のプロセスを経て、当社グループはがん・血液及びウイルス感染症領域を中心として、製薬企業、バイオベンチャー企業等から主にヒトでPOCが確立された開発品の日本並びにアジア諸国、さらには欧米を含むグローバルの開発・製造・販売権を継続的に確保することにより、持続性のある事業を展開しています。そのような、開発の成功確率が高く、事業性のある、魅力的な開発候補品を導入するためには、この“目利き”の力に加え、がん・血液及びウイルス感染症という開発の難度が高い治療領域における当社グループの開発力について、開発候補品の提供者であるライセンサーから高い評価を得ることも導入の成否を決める重要なポイントとなります。そのためには、①適切な治験計画の策定、②治療対象となる適切な治験患者の選定、③その領域における医学専門家と公正な関係を維持・構築できる、専門性の高い優秀な開発スタッフが必要となります。これらの総和が開発力となり、開発を着実に、かつ迅速に実行することが可能となります。がん・血液及びウイルス感染症分野で実績のある大手製薬企業の開発部門で経験を積んだ人材を中心に構築された当社グループの開発チームが導入から承認申請までを僅か4年間という短期間でなし得た、抗がん剤 SyB L-0501での実績は、ライセンサー、パートナー企業、導入候補先企業から高い評価を得ています。
なお、開発につきましては、基本的な開発戦略の中枢となる臨床試験のデザイン、海外の試験との連携、医学専門家との調整等は当社グループが主体となって手掛け、定型的な開発業務は、外部資源であるCRO(Contract Research Organization 受託臨床試験実施機関)(注8)へ業務委託し、製造についてはライセンス供給元あるいは信頼できる国内外の製薬企業へ業務委託を行います。
販売につきましては、2008年8月に締結した事業提携契約に基づき、エーザイ株式会社(以下「エーザイ」という)を通じて国内販売を行ってまいりました。事業提携契約が2020年12月に満了となることから、2018年10月よりトレアキシン®の国内販売について自社による販売体制構築の準備を開始しました。2020年12月からの自社販売体制への移行に向けて、がん・血液及びウイルス感染症領域に精通した自社MR(Medical Representative)(注9)を中核とした全国営業体制の構築と流通及び物流機能の整備を推進すると同時に営業戦略・企画の策定及び市場調査を行うマーケティング体制の強化に努めるとともに関係治療領域におけるKOL(Key Opinion Leader)(注10)との良好な関係構築、的確な医療ニーズの把握と市場調査を行い、各種データ、ノウハウの蓄積を図ってまいり、2020年12月の契約満了に伴い自社販売体制へ移行しました。
これらの事業モデルを図示すると以下のようになります。
(注5) 生理活性とは、化学物質が生体の特定の生理的調節機能に対して作用する性質のことです。この生理活性の作用を持つ化学物質を疾病治療に応用したものが医薬品となります。
(注6) POC(Proof of Concept)とは、新薬候補物質の有効性や安全性を臨床で確認し、そのコンセプトの妥当性を検証することを意味します。
(注7) 科学的諮問委員会(SAB:Scientific Advisory Board)とは、世界中から集まる膨大な新薬候補を元に、医療ニーズの高さや収益性などリスクバランスのとれたポートフォリオを、それぞれの専門の立場から意見や提言を交え徹底的に議論した上で、パイプライン戦略を構築する、当社の重要な評価機関です。当社では、SABを年2~3回開催し、世界中から優れた実績と経験をもつ臨床医・基礎科学者の方々に、当社の創薬研究及び新薬開発のアドバイザーとして参画いただいています。
(注8) CRO(Contract Research Organization)とは、製薬企業が、自社で実施する開発業務を遅滞なく進めるために、一部の業務について委託を行う機関です。委託業務の内容としては、治験が実施計画書どおりに遂行されているかをモニタリングするモニター業務や、臨床データを管理するデータ管理業務などがあります。
(注9) MR(Medical Representative)とは、自社医薬品に関する情報の専門家として医療機関を訪問し、医療関係者と面談することにより、医薬品の品質・有効性・安全性等に関する情報の提供・収集・伝達を主な業務とする医療情報担当者をいいます。
(注10)KOL (Key Opinion Leader)とは、担当領域の治療において他の医師に影響力を持つ医師のことをいいます。
(4) 当社グループの事業戦略
当社グループは、中長期的な経営計画を実現すべく、主に以下の5つの事業戦略を展開しています。
(a) ポストPOC戦略による開発リスクの軽減
当社グループの導入候補品(注11)は、主として既にヒトでPOCが確認されていることを原則としています。従って、臨床開発ステージが比較的後期段階にある候補品か、既に海外で上市されている製品が対象となります。これらの導入候補品は既に海外で先行して開発が行われており、新薬としてヒトでの有効性・安全性が確認されていることから、開発リスクを軽減でき、また、先行している海外の治験データを活用することにより開発期間を短縮するとともに開発コストを低減し、成功確率を高めることが可能となります。
(注11)導入候補品とは、当社グループの開発候補品として他社より開発権等の権利取得を検討している化合物を指します。
(注12)ブリッジングスタディとは、外国での臨床データを活用するために国内で行われる試験のことをいいます。この国内試験の結果を外国のデータと比較し、同様の傾向があることを確認します。
(b) 高度な探索及び評価能力による、優れたパイプラインの構築
当社グループの新薬サーチエンジンは、国内外の製薬企業及びバイオベンチャー企業等との多様なネットワークによって構築され、膨大な化合物の中から、社内の専門家による厳正な評価を経て、有望な導入候補品が抽出されます。これらの導入候補品はさらに、第一線で研究に携わる経験豊かな専門家により構成されるSABに諮られ、そのアドバイスと評価を受けた上で導入候補品を決定しています。この開発品導入決定までの高度なスクリーニングプロセスは、既に海外において有効性・安全性が確認された開発品を導入するポストPOC戦略と相まって開発リスクの軽減と開発期間の短縮につながることになり、また、候補品が医療の現場において求められるものかどうかの医療ニーズの充足度に対する理解、及び上市後の収益予測の精度向上に貢献しています。
<当社グループの開発品導入プロセス>
(注13)CDAとは、Confidential Disclosure Agreementの略で、秘密保持契約書のことを意味します。
(c) ラボレス・ファブレス戦略による固定費抑制
当社グループは、一切の研究設備や生産設備を保有していません。研究設備・生産設備はともに固定費発生源の代表格ですが、当社グループはこれらを一切保有せずに、開発候補品の探索及び導入後は、開発品の開発戦略策定と実行等の付加価値の高い業務に専念し、そのほかに必要とされる定型的な開発業務は外注しています。研究開発費のうち主なものは業務委託料であり、その金額的・質的重要性は高く、当社グループにおいてはその進捗状況等について厳密な管理を行っております。
(d) ブルーオーシャン戦略(注14)による高い事業効率の実現
海外で標準治療薬として使用されている製品が日本では使用できない、あるいは海外で新薬として承認された製品が5年近くも遅れて日本で承認される、いわゆるドラッグ・ロス、ドラッグ・ラグの問題が深刻化しており、がん患者の難民という言葉も生まれています。これらの問題は、当社グループの戦略的開発領域である難治性のがん・血液及びウイルス感染症領域で特に目立っています。特に抗がん剤の市場自体は大きく、また高齢化に伴い現在も拡大傾向にあるものの、抗がん剤の対象疾患は多岐にわたり、がん腫により細分化されているため、各々のがん腫でみると対象患者数がそう多くはない治療領域が数多く存在します。これらの領域での新薬の開発には、極めて高い専門性が求められ、開発の難度が高い半面、大手の製薬企業では採算性などの問題から開発に着手しにくいことがその理由のひとつといわれています。しかし、ひとたび、そうした領域において新薬の承認を取得し上市できれば、競合が少ないため、これらの領域で適応拡大・新製品上市を着実に積み上げていくことで、高成長・高収益を実現できるものと考えています。
(注14)ブルーオーシャン戦略とは、競合との熾烈な競争により限られたパイを奪い合う市場(レッドオーシャン)を避け、市場を再定義し、競合のいない未開拓な市場(ブルーオーシャン)を創造することで、顧客に高付加価値を与えつつ利潤の最大化を目指す戦略です。
(e) アジアからグローバル展開へ
当社グループはこれまで日本を中心としたアジア各国を対象に事業を展開してまいりました。しかしながら、日本の医療を取り巻く環境が大きく変わっていく中、アジアに留まっていては大きな発展は望めません。今後はグローバルな展開を視野に入れた開発候補品の探索及び評価を実施してまいります。2019年9月にはキメリックス社(本社:米国ノースカロライナ州)との間で抗ウイルス薬ブリンシドフォビルに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、当社グループは天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除くすべての疾患を対象とした世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しております。
抗ウイルス薬ブリンシドフォビルの事業展開については、dsDNAウイルスに対するその広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。
2.当社グループのパイプラインについて
当社グループは現在開発中のパイプラインとして、SyB L-0501、SyB L-1101、SyB C-1101、SyB L-1701及びSyB L-1702、SyB V-1901を有しています。今後も開発候補品を継続的に導入することにより、パイプラインのより一層の拡充及びリスク・リターンのバランスのとれたパイプライン・ポートフォリオを構築してまいります。
<当社グループパイプラインの進捗状況>
① [抗がん剤 SyB L-0501(FD製剤) / SyB L-1701(RTD製剤) / SyB L-1702(RI投与))(一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)]
SyB L-0501の主成分であるベンダムスチン塩酸塩(一般名)は、ドイツにおいて非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫及び慢性リンパ性白血病の治療薬(製品名「リボムスチン®」)として長年使用されている抗がん剤です。この製品の導入の背景としては、再発・難治性の低悪性度非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の患者さんには、この分野には優れた薬剤がなく、まさしく当社グループの企業使命である、空白の治療領域を対象とした薬剤であること、また当社グループの強みである分野(血液がん)であることが導入の決め手となりました。日本においては、2010年10月に再発・難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫を適応症として製造販売承認され、同年12月に発売されました(製品名はトレアキシン®)。また、その追加適応として、未治療(初回治療)の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病を目標効能とした一変承認申請を2015年12月に行い、慢性リンパ性白血病については2016年8月に、未治療(初回治療)の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫については同年12月に一変承認を取得しております。再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(r/r DLBCL)については2020年5月に一変承認申請を行い、2021年3月に一変承認を取得しております。さらに製品ライフサイクル・マネジメントを推進することにより、トレアキシン®の事業価値の最大化を図るべく、2017年9月にイーグル社との間でトレアキシン®液剤(RTD製剤及びRI投与)の日本における独占的ライセンス契約を締結しました。RTD製剤は2020年9月に製造販売承認を取得し、2021年1月より販売を開始しました。また、RI投与については、2022年2月に一変承認を取得しました。トレアキシン®に関しては、東京大学や京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな開発の可能性を探索してまいります。
② [抗がん剤 SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)]
リゴセルチブは、ユニークなマルチキナーゼ阻害作用を有する抗がん剤で、現在、オンコノバ社により米国及び欧州等において骨髄異形成症候群(MDS)を目標効能として開発が進められています。MDSは、近年患者数が増加している血液細胞の悪性腫瘍化の前病態であり、高齢者に多く発病し、白血病に移行する可能性が高い難治性疾患です。
特に再発・難治性のMDSに有効な薬剤はないため、未充足の治療領域となっています。オンコノバ社との間で、本剤の日本及び韓国における独占的開発権及び独占的販売権を取得するライセンス契約を2011年7月に締結し、注射剤で再発・難治性の高リスクMDSを目標効能として、さらに、経口剤で初回治療の高リスクMDS(アザシチジン併用)を目標効能としています。
リゴセルチブ及びトレアキシン®に関しては、東京大学との共同研究等を通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っています。
③ [抗ウイルス薬 SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドフォビル>「BCV」)]
2019年9月にキメリックス社との間で抗ウイルス薬BCVに関しての独占的グローバルライセンス契約を締結し、オルソポックスウイルスの疾患(天然痘・サル痘を含む)を除いたすべての適応症を対象としたBCVの世界全域における開発・販売に加えて製造を含む独占的権利を取得しました。
開発については、「空白の治療領域」でアンメット・メディカル・ニーズの高い、造血幹細胞移植後や臓器移植後などの免疫不全状態にある患者のアデノウイルス(AdV)感染症を対象に、IV BCVの前期第Ⅱ相臨床試験を優先的に推進中です。本試験により得られた有効性と安全性に関する知見に基づき、免疫不全状態における各種dsDNAウイルス感染症に対する効果を検討し、抗マルチウイルス感染症へ対象領域を拡大する方針です。2023年5月、本試験においてIV BCVの抗AdV効果について、ヒトPOC(Proof of Concept)を確立しました。2023年12月には、第65回米国血液学会年次総会において当試験の安全性有効性を示すポジティブ・データが口頭発表されました。腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症は、腎機能低下や移植腎の喪失(グラフトロス)など深刻な経過を辿る疾患ですが、腎移植後のBKウイルス感染症患者を対象とした国際共同第Ⅱ相臨床試験の治験を開始し、2022年12月にはオーストラリアにおける第1例目の投与(FPD:First Patient Dosing)を実施しました。一方、同試験は 2025 年の終了を計画しておりましたが、計画に対して症例集積に遅れが生じたことから、 再度研究者の方々とプロトコルの修正の検討を行います。
本剤は、既に欧米における経口剤による臨床試験において高活性の抗ウイルス効果を示し、また広域のスペクトラムを有することが確認されており、各種dsDNAウイルスに対する幅広い抗ウイルス活性は、IV BCVに関しても造血幹細胞移植など免疫不全状態での各種ウイルス感染症の予防及び治療に対する有効性と安全性が期待されます。
なお、キメリックス社は、2020年12月、天然痘の医学的防衛策としてBCV経口剤のNDAの提出をFDAが受理したことを発表しておりましたが、2021年6月にFDAから承認を取得しました。
(参考) 医薬品研究開発の一般的な進行について
医薬品研究開発のプロセスは以下のとおりであり、通常、(a)から(f)までに10年から17年程度かかるといわれています。
(医薬品研究開発のプロセス)
(a) 基礎研究
(b) 前臨床試験(非臨床試験)
(c) 臨床試験(治験)
(d) 申請及び承認
(e) 薬価申請・収載
(f) 上市販売
(g) 製造販売後調査
(a) 基礎研究
新薬のもとになる候補物質を探し出すプロセスです。化学物質、微生物、遺伝子などの研究から、将来薬となる可能性がある新しい物質(成分)を発見したり、化学的に作り出したりするための研究であり、一般的には研究所などで実施されます。
(b) 前臨床試験(非臨床試験)
(a)で特定された薬剤候補化合物を対象に、生物学的試験として、動物や培養細胞を用いて安全性や有効性について調べる、いわゆる動物に対して実施する試験です。また、化学的試験として、製造方法、原薬及び製剤の規格・安定性を調べるなどの試験があります。
(c) 臨床試験(治験)
前臨床試験の結果、有効性及び安全性の観点から有用な医薬品になり得る可能性が認められた場合、十分な検討の上で、実際にヒトを対象とした有効性及び安全性の検証を行う、臨床試験(治験)が行われます。治験はさらに3段階にわかれ、それぞれ参加者の同意を得た上で行われますが、その内容は以下のとおりです。
1) 第Ⅰ相臨床試験
第Ⅰ相は、治療効果を見ることを目的とせず、比較的少数の健康な志願者を対象に主に副作用と安全性を確認する試験です。
2) 第Ⅱ相臨床試験
第Ⅱ相は、通常、患者さんにおける治療効果の探索を主な目的とする試験を開始する段階です。少数の患者さんを対象に、有効性と安全な投薬量や投薬方法を確認する試験です。
3) 第Ⅲ相臨床試験
第Ⅲ相は、第Ⅱ相よりも投与患者数をさらに増やし、治療効果の既存薬剤との比較データ、副作用のデータ等を収集することによって、有効性と安全性について検証し、新薬として承認されるための適切な根拠となるデータを得ることを目的とした試験です。
(d) 申請及び承認
治験で有効性や安全性などが証明された治験薬について、新薬承認申請書類を作成し、厚生労働省に製造販売承認の申請を行います。数段階の審査を受け、承認されて初めて「薬」として市場に出ることになります。ちなみに基礎研究段階で新薬候補とされた物質(成分)の内、製造販売承認を得ることができるものはわずか2万分の1から2万5千分の1といわれております。
(e) 薬価申請・収載
新薬の価格(以下「薬価」といいます)を厚生労働省へ申請し、開発コスト、類似薬や諸外国の価格を参考に価格の承認を受けます。これを薬価収載といいます。
(f) 上市販売
薬価収載が完了し、実際に薬を販売できる状況になることを上市といい、この段階から販売が可能になります。
(g) 製造販売後調査
販売を開始した後に、病院などの医療機関でさらに多くの患者さんに投与された結果を元に、臨床開発段階では発見できなかった副作用や適正使用情報などの収集が行われ、厚生労働省に報告を行います。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析の検討内容は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(業績等の概要)
(1)事業の進捗の状況
① 当期の経営成績
当社グループは、2020年12月に自社によるトレアキシン®(一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物)の販売を開始し、2021年度の最重要課題である収益化を達成しました。
全国流通体制を確立するため株式会社スズケン及び東邦薬品株式会社との間で両者を総代理店とする医薬品売買に関する取引基本契約を締結、全国流通体制を構築しております。物流につきましては、株式会社エス・ディ・コラボと提携し、東日本地域と西日本地域の2拠点に物流センターを設置しております。また、全国に医薬情報担当者を配置することで、より科学的な情報提供ができる体制を確立しております。
2022年度においては、トレアキシン®点滴静注液100mg/4mL[RTD (Ready-To-Dilute)製剤]の投与時間を10分間に短縮するRI(急速静注)投与について、2022年2月に承認事項一部変更承認(一変承認)を取得しました。RTD製剤は、従来の凍結乾燥製剤(FD製剤)に比べて手動による煩雑な溶解作業に要する時間を短縮することができ、さらに、RI投与により投与時間が従来の60分から10分へと大幅に短縮されるため、患者さん及び医療従事者の負担を大幅に低減することが可能となります。また、輸液量も50mLと、従来の250mLから大幅に少なくなることから塩分量も軽減できます。
RI投与については、2023年12月末時点において90%を超す医療施設で患者さんに投与が行われており、RI投与への切り替えが進んでおります。
営業活動につきましては、新型コロナウイルス感染症等の流行により、血液腫瘍患者、特に悪性リンパ腫患者への感染リスクの増大と、ベンダムスチン治療中もしくは治療後に感染の遷延や重症化を引き起こす可能性を懸念し、ベンダムスチンの処方が控えられている状況は続いておりました。この結果、ベンダムスチンとリツキシマブの併用療法(以下「BR療法」)及びベンダムスチンとリツキシマブ(遺伝子組換え)、ポラツズマブベドチン(遺伝子組換え)との併用療法(以下「Pola-BR療法」)の再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(以下「r/r DLBCL」)の適応追加によるr/r DLBCLの売上により、売上高は5,589,708千円(前年同期比44.1%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、研究開発費として2,638,234千円(前年同期比3.3%増)を計上し、その他の販売費及び一般管理費との合計では5,222,681千円(前年同期比7.3%減)となりました。
これらの結果、営業損失は811,668千円(前年同期は営業利益1,963,625千円)、経常損失は736,130千円(前年同期は経常利益1,999,878千円)、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく回収可能性を検討した結果による減損損失等として560,590千円を計上したこと、繰延税金資産の取り崩しにより法人税等調整額を744,728千円計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は1,962,817千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益1,179,238千円)となりました。
2022年2月に当社製品トレアキシン®RTD製剤を先発医薬品とする後発医薬品の製造販売承認を4社が取得し、内2社が後発医薬品の販売を開始しました。その後、両社がRI(急速静注)の承認を得て販売を開始したことを期して、当該製品のライセンス元であるイーグル社の持つ特許に対する侵害及び当社が同製品について有する独占的な特許実施権に対する侵害の可能性が生じたことから、ライセンス元であるイーグル社と協議し、2022年12月に、イーグル社と共同でファイザー株式会社及び東和薬品株式会社に対して特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止及び損害賠償請求訴訟を提起いたしました。両社に対する裁判は現在係属中であり、権利保全を目的として鋭意対応中です。
なお、当社グループの事業は医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
② 研究開発活動
当連結会計年度においては、各開発パイプラインにおいて、以下のとおり研究開発を推進しました。
(ⅰ) 抗がん剤SyB L-0501(FD製剤)/ SyB L-1701(RTD製剤)/ SyB L-1702(RI投与)(一般名:ベンダムスチン塩酸塩又はベンダムスチン塩酸塩水和物、製品名:トレアキシン®)
イーグル社から導入したRTD製剤についてRI投与の安全性に関する臨床試験が終了し、2022年2月に一変承認を取得しました。これによってRTD製剤のすべての適応症への投与方法としてRI投与が可能となりました。
また、トレアキシン®に関しては、東京大学や京都大学との共同研究等に積極的に取り組み、新たな開発の可能性を探索してまいります。
(ⅱ) 抗がん剤SyB L-1101(注射剤) / SyB C-1101(経口剤)(一般名:リゴセルチブナトリウム)
オンコノバ・セラピューティクス社(本社:米国ペンシルベニア州)から導入したリゴセルチブ注射剤については、リゴセルチブとトレアキシン®に関して、東京大学との共同研究及び社会連携講座の設置などを通じて、両化合物あるいは他の既存薬との併用により新たな有用性を見出すとともに新規適応症の探索を行っております。
(ⅲ) 抗ウイルス薬SyB V-1901(一般名:brincidofovir<ブリンシドフォビル>「BCV」)
グローバル展開を見据えキメリックス・インク社(本社:米国ノースカロライナ州、以下「キメリックス社」)から導入した抗ウイルス薬BCVの注射剤及び経口剤(SyB V-1901、以下各々「IV BCV」及び「Oral BCV」)の事業展開については、二本鎖DNAウイルス(dsDNAウイルス)に対し広範な活性を有することから、国内及び海外の専門領域の有力な研究施設と共同研究を進めており、研究成果である科学的知見を基にグローバルの臨床試験を検討、実施してまいります。
IV BCVについては、造血幹細胞移植後や臓器移植後などの免疫不全状態にある患者のアデノウイルス感染および感染症の治療を対象に、日本・アメリカ・ヨーロッパを中心としたグローバル開発を優先的に進めることを決定し、2021年3月に、主に小児対象(成人も含む)のアデノウイルス感染および感染症を対象とする前期第Ⅱ相臨床試験を開始するため、米国食品医薬品局(FDA)に治験許可申請(Investigational New Drug(IND)Application)を行いました。本開発プログラムについては、2021年4月に、FDAからファストトラック指定を受けています。2023年5月、本試験において、IV BCVの抗アデノウイルス活性を認め、ヒトPOC(Proof of Concept)を確立しました。2023年12月には、第65回米国血液学会年次総会(The 65th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition)において当試験の有効性を示すポジティブ・データが口頭発表されました。また、この結果に基づき出願したアデノウイルス感染および感染症の治療に関するBCVの用途特許が2024年1月に日本において成立し登録されました。
腎移植後のBKウイルス(BKV)感染症は、腎機能低下や移植腎の喪失(グラフトロス)など深刻な経過を辿ることがあり、レシピエント、ドナー、医療者、また社会にとって深刻な結果を招く疾患ですが、2022年5月には独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、2022年8月にはオーストラリア保健省薬品・医薬品行政局(TGA:Therapeutic Goods Administration)に、それぞれ腎移植後のBKウイルス感染症患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験の治験計画届を提出し、オーストラリアにおける第1例目の投与(FPD:First Patient Dosing)を開始しました。一方、同試験は 2025 年の終了を計画しておりましたが、計画に対して症例集積に遅れが生じたことから、 再度研究者の方々とプロトコルの修正の検討を行います。
EBウイルス(EBV)の関連疾患であることが近年証明された難病の多発性硬化症について、2022年8月には、米国国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)に所属する国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS:National Institute of Neurological Disorders and Stroke)との間で、共同研究試料提供契約(Collaboration Agreement for The Transfer of Human Materials)を締結しました。2023年3月には、多発性硬化症の治療におけるBCVのEBウイルスに対する効果を検証し、今後の臨床試験の実施に向けて必要とされる情報を得ることを目的として共同研究開発契約(CRADA:Cooperative Research and Development Agreement)を締結し、2023年10月にはその研究成果がDr. Maria Chiara Monacoにより、イタリア・ミラノで開催された第9回ECTRIMS-ACTRIMS合同学会(9th Joint ECTRIMS-ACTRIMS Meeting)において発表されました。また、2023年4月には、米国国立衛生研究所に所属する国立アレルギー・感染症研究所(NIAID:National Institute of Allergy and Infectious Diseases)との間でEBウイルス関連リンパ増殖性疾患に対するBCVの有効性を評価する共同研究開発契約(CRADA)を締結しました。
ポリオーマウイルス、特にJCウイルス(JCV)は、dsDNAウイルスの中でも、その感染によって脳に重篤な疾患を引き起こすことが知られており、既存の抗ウイルス薬ではほとんど効果が見られないため、有効な治療薬の開発が待ち望まれています。2022年11月に米国ペンシルバニア州立大学医学部との間で試料提供契約(MTA:Material Transfer Agreement)を締結し、マウスポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCVの効果を検証する非臨床試験を開始しました。
dsDNAウイルスの中には単純ヘルペスウイルス1型(HSV1)をはじめ水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)等、脳神経組織への指向性を有するものがあり、アルツハイマー型認知症を含めた様々な脳神経領域の重篤性疾患に、それらの潜伏しているウイルスの再活性化が関与している可能性についての研究がこの数年進み、知見が増えています。2022年12月に米国タフツ大学により確立されたヒト神経幹細胞を培養した脳組織を3次元に模倣したHSV感染・再活性化モデルを用いて、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染に対するBCVの効果を検証するための委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、共同研究を開始しました。
BCVは高い抗ウイルス作用に加え、抗腫瘍効果も期待されており、シンガポール国立がんセンター(NCCS: National Cancer Centre Singapore)やカリフォルニア大学サンフランシスコ校脳神経外科脳腫瘍センターとの共同研究等を通じて、EBウイルス陽性リンパ腫、難治性脳腫瘍等、がん領域における新規適応症の探索も行っています。現在有効な治療方法が確立していない進行の早いNK/T細胞リンパ腫に対するBCVの治療効果に関するNCCSとの共同研究成果については、2022年12月、米国ニューオリンズで開催された第64回米国血液学会年次総会(The 64th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting)において口頭発表されました。さらに、2023年6月にはスイス・ルガーノで開催された第17回国際悪性リンパ腫会議(17th International Conference on Malignant Lymphoma: ICML)でBCVの抗腫瘍効果を予測するバイオマーカーに関する研究成果が発表されました。
2022年9月、キメリックス社はエマージェント・バイオソリューションズ社(本社:米国メリーランド州)へのBCVに関する権利の譲渡手続きの完了を発表しましたが、当社の取得したBCVに関する、天然痘・サル痘を含むオルソポックスウイルスの疾患を除いたすべての適応症を対象とした全世界での独占的開発・製造・販売権に対する影響はありません。
③ 海外事業
IV BCVについて、米国においてアデノウイルス感染および感染症を対象とする第Ⅱ相臨床試験を実施中です。2023年度において、シンバイオファーマUSAの社長兼 CEOを始めとする経営幹部の採用を進め、グローバル開発体制の拡充を行いました。シンバイオファーマUSAを国際臨床試験の推進役として、BCVのグローバル開発計画を進めてまいります。
④ 新規開発候補品の導入
当社グループは2019年に導入した抗ウイルス薬BCVのグローバル開発を推進するとともに、従来からの取り組みである複数のライセンス案件の検討を進め、新規開発候補品のライセンス権利取得に向けた探索評価の実施を通じて、収益性と成長性を兼ね備えたバイオ製薬企業として中長期的な事業価値の創造を目指してまいります。
⑤ 設備投資等の状況
当連結会計年度中に実施いたしました当社グループの設備投資等の総額は、232,797千円で、その主なものは、事務所設備・什器、ネットワーク機器及び業務用ソフトウエアの購入等であります。
⑥ 財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は8,170,243千円となりました。流動資産は8,082,526千円となり、主な内訳は、現金及び預金が6,517,007千円、売掛金が913,094千円、商品及び製品が231,650千円であります。
固定資産は収益予測を見直した結果、その全額を当期末にて減損しております。また、本社移転に伴う新本社の敷金及び保証金が増加し、これに対する原状回復費用を減損した結果、87,716千円となりました。
負債の部については、総額960,334千円となりました。流動負債は956,625千円となり、主な内訳は、未払金が853,825千円であります。固定負債は3,709千円となり、内訳は、退職給付に係る負債3,709千円であります。
純資産の部については、総額7,209,909千円となりました。主な内訳は、資本金が17,952,692千円、資本剰余金が17,927,584千円、新株予約権が277,044千円であります。
この結果、自己資本比率は84.9%となりました。
⑦ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、6,517,007千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失1,195,387千円の計上、売上債権1,171,821千円の減少、棚卸資産237,277千円の減少、未払又は未収消費税等212,814千円の減少等により、全体では194,685千円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出204,250千円、無形固定資産の取得による支出28,547千円等により、全体では376,696千円の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
新株の発行による収入692,400千円等により、全体では680,160千円の増加となりました。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1. 当社グループは、第18期より連結財務諸表を作成しているため、第17期以前の各数値は記載しておりません。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
3. 2022年12月期及び2023年12月期は利払いがないため、債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載していません。
⑧ 生産、受注及び販売の状況
(生産実績)
当社グループは生産を行っていないため、該当事項はありません。
(仕入実績)
当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。
(注) 当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(受注実績)
当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントである ため、セグメント別の記載を省略しております。
2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
⑨ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、新規開発品の導入と、その研究開発に対して積極的に資金を投下して参りました。
また、安定的に運転資金を確保することを目的として銀行から融資枠の設定を受けております。
当面の資金需要に関しては、事業から生じるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄うことを基本方針としております。
一方、今後の資金需要を想定し、内部資金を充当することに加え、資金調達と共にグローバル製薬会社との業務提携を中長期的に検討いたします。
⑩ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当社グループの事業は、医薬品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一のサービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一のサービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、該当事項はありません。
3.主要な顧客ごとの情報
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当社グループは、医療薬品の研究及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであり、記載を省略
しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。