2024年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    9,885名(単体) 29,334名(連結)
  • 平均年齢
    35.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    5.8年(単体)
  • 平均年収
    8,208,366円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

インターネットサービス

10,206

フィンテック

6,073

モバイル

4,436

全社(共通)

8,619

合計

29,334

 

(注) 1 従業員数は就業人員であり、使用人兼務取締役、派遣社員及びアルバイトを含んでいません。

2 全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない開発部門、管理部門及びシェアードサービス事業に属する従業員数です。

 

(2) 提出会社の状況

2024年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

9,885

35.3

5.8

8,208,366

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

インターネットサービス

5,535

フィンテック

モバイル

33

全社(共通)

4,317

合計

9,885

 

(注) 1 従業員数は就業人員であり、使用人兼務取締役、他社への出向者、派遣社員及びアルバイトを含んでいません。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない開発部門及び管理部門の従業員数です。

 

(3) 労働組合の状況

当社に労働組合は結成されていませんが、連結子会社の一部に労働組合が結成されています。
なお、労使関係は良好で、特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

当社及び連結子会社

管理職に占める
女性労働者の
割合

(%)

(注)1,2

男性労働者の
育児休業等
取得率

(%)

(注)1,3,4,5

労働者の男女の賃金の差異

(%)

(注)1,2,6,7,8

全労働者

正規労働者

非正規労働者

楽天グループ(株)

32.7

71.6

78.8

82.7

59.9

楽天カード(株)

18.2

69.5

67.0

64.9

77.5

楽天カスタマーサービス(株)

14.3

(**)100.0

76.3

76.3

(***)

楽天銀行(株)

20.4

(*)(**)90.9

61.2

62.3

61.2

楽天証券(株)

20.3

66.7

63.2

70.0

59.9

楽天シンフォニー(株)

13.7

50.0

83.7

83.7

(***)

楽天スーパーロジスティクス(株)

57.8

76.6

95.7

楽天生命保険(株)

19.4

42.9

57.5

57.5

57.6

楽天ソシオビジネス(株)

47.8

100.0

90.2

91.8

82.9

楽天損害保険(株)

9.0

66.7

45.9

45.6

46.7

楽天トータルソリューションズ(株)

12.1

67.7

81.5

80.1

97.9

楽天ペイメント(株)

21.0

(**)57.1

76.4

77.6

45.9

楽天モバイル(株)

10.1

58.3

73.9

75.2

47.8

楽天モバイルエンジニアリング(株)

16.0

0.0

76.8

76.4

35.1

 

(注) 1 当連結会計年度における実績を記載しています。なお、楽天銀行(株)、楽天生命(株)及び楽天損害保険(株)については事業年度が4月1日~翌3月31日のため、一部指標の算出時点が当社と異なります。具体的には以下のとおりです。

・管理職に占める女性労働者の割合:楽天銀行(株)は同社の直近の事業年度末時点、楽天生命(株)及び楽天損害保険(株)は直近の事業年度の3月1日時点

・男性労働者の育児休業等取得率:楽天銀行(株)は同社の直近の事業年度末時点

・労働者の男女の賃金の差異:楽天銀行(株)、楽天生命(株)及び楽天損害保険(株)の直近の事業年度末時点

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を記載しています。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載しています。

4 「(*)」については、育児目的休暇の取得者を分子に含みます。

5 「(**)」について、女性活躍推進法に基づく雇用管理区分別の育児休業等取得率は以下のとおりです。

連結子会社

男性労働者の育児休業等取得率

(%)

楽天カスタマーサービス(株)

正社員:100.0

楽天銀行(株)

総合職(無期):88.8

総合職(有期):100.0

楽天ペイメント(株)

従業員(役員、正社員、契約社員):57.1

 

6 男女賃金差異については、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を示しています。

7 「(***)」については、対象となる従業員が無いことを示しています。

8 適用する人事処遇制度において性別による差異はありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1. サステナビリティ全般

当社グループは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というミッションに基づき、これまで歩んできました。現在のエコシステムに表れているように事業は多角化しましたが、社会課題の解決のためにイノベーションの創出に挑むという姿勢は変わりません。サステナビリティ戦略の遂行は、展開する事業の持続的な発展を支えるだけでなく、当社グループのミッションを体現するものでもあります。

 

(1) ガバナンス

サステナビリティのガバナンスを強化し、各重点分野に関する取組の実施を統括することを目的に、国内外の経営陣で構成される「楽天グループサステナビリティ委員会」を2021年に設立し、年2回の頻度で開催しています。グループサステナビリティ委員会では当社グループにとっての重要課題に対し、ステークホルダーの期待やベストプラクティスの共有、戦略や目標設定、イニシアチブへの参画等について、経営レベルの意思決定を行います。また、環境、人権、ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョンは長期的かつ組織横断的な議論が必要な課題であることを踏まえ、それぞれに特化した分科会を設置し、グループサステナビリティ委員会へ活動状況を報告しています。

監督体制としては、取締役会が本社のサステナビリティ部やグループサステナビリティ委員会から重要事項に関する提案を受け、これを審議するほか、定期的な活動報告を受けることでサステナビリティの推進状況を確認しています。また、これらの内容は、社内の主要な経営層で構成されるコーポレート経営会議にも適宜報告されています。

 


 

全社的に明確なコミットメントやアクションが必要なESG課題については、グループ方針として、「グループサステナビリティインストラクション」を定めています。また、取組の進捗状況を、当社ウェブサイト、統合報告書、株主総会等の媒体を通じて定期的に報告しています。

 

 

(2) リスク管理

当社グループは急速に変わるリスク環境に適応するため、組織全体に影響するあらゆるリスクを統合的に把握し、管理する全社リスクマネジメント手法である統合的リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management、以下「ERM」)に取り組んでいます。サステナビリティに関するリスクもERMに則って、リスクの特定・評価、重要性に応じた対応策の策定と実行、その結果のモニタリングに取り組んでいます。

 

(3) 戦略

サステナビリティは今後の当社グループの発展を支える柱の一つです。ステークホルダーとのエンゲージメントを通じて2021年に当社グループのサステナビリティ戦略(優先的に取り組むESG課題)を改訂し、サステナビリティを推進していく上で重要な「事業基盤」と、優先的に取り組む3つの重点分野「従業員と共に成長」、「持続可能なプラットフォームとサービスの提供」、「グローバルな課題への取り組み」を特定しました。また、2024年には取締役会の承認のもと重点分野の各課題に長期的な目標を設定し、これに沿ってグループ一丸となって取組を進めています。

 


 

 

・各重点分野における目標

「従業員とともに成長」

ESG課題

ビジョン

指標と目標

 

2024

2025

2030

ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン

競争力の源泉である多様な個人が、能力を最大限発揮できるよう後押し

女性管理職比率*

33%

33%

36%

人材の採用・育成・定着

多様なビジネスにおける様々な成長機会の付与を通じて、個人の成長・活躍を促進

エンゲージメント度

83pt

84pt

87pt

責任ある労働慣行

会社と個人が仕事・職場環境・キャリア等について率直に対話することで、より強い組織基盤を構築

コミュニケーション充実度

94pt

97pt

98pt

安全な労働環境と従業員の健康

個人が高い成果を出し続けるために、心身共に良好な状態、誰もがチームの中で最大限力を発揮できる職場環境を実現

ウェルビーイング度

52pt

53pt

58pt

 

*  対象は楽天グループ株式会社

 

「持続可能なプラットフォームとサービスの提供」

ESG課題

ビジョン

指標と目標

 

2024

2025

2030

持続可能な生産と消費

サプライヤーとの良好な取引関係構築を通じた、環境や人権に悪影響を与えない持続可能なサプライチェーンの実現

説明会/勉強会に参加するサプライヤーの割合

53%

80%

90%

自己評価アンケートに回答するサプライヤーの割合

59%

80%

100%

高リスクサプライヤー*1の比率

10%

前年比で比率を削減

パートナーの持続可能な取り組みを支援(仮)

持続可能なパートナーの数(仮)

検討中

責任ある広告・マーケティング・機能表示

デジタルタッチポイントのアクセシビリティの向上

“WCAG AA”に適合するデジタルタッチポイントの割合

追跡システムを開発中

70%*2

100%

アクセシビリティに関するEラーニングの受講率および理解

96%

100%

100%

楽天の製品・サービスにおける公正で信頼性の高いコンテンツの提供

公正かつ信頼性の高いコンテンツ制作に関する社内ガイドラインを、関連する外部基準に沿って策定

達成済み

公正で信頼性の高いコンテンツ提供に関するEラーニングの受講率と理解度

97%

70%

100%

インターネット・ガバナンスと表現の自由

責任あるAIサービスとガバナンス確立によってAIによる社会変革を加速させる

AI倫理憲章の策定:2024年 達成

責任あるAIのガバナンス体制の構築:2025年 

 

*1 自己評価アンケートの回答結果や取引状況等から当社サプライチェーンにとって重大な影響を与える可能性が排除できないと分析されるサプライヤー

*2 優先度の高い点については、2025年内に100%達成を目指す

 

 

「グローバルな課題への取り組み」

ESG課題

ビジョン

指標と目標

 

2024

2025

2030

気候変動とエネルギー

ステークホルダーと環境課題に対する認識を共有し、環境に良い選択が自然にできる未来を実現する

Scope 1,2における温室効果ガス排出量

カーボンニュートラル*1達成

・2032年までに2022年から排出量を99.7%削減*2

Scope 3における温室効果ガス排出量

・2032年までに2022年から30.0%削減*2

・2032年までに販売電力量あたりの排出量を2022年から76.8%削減*2

再生可能エネルギー導入率

100%

100%

100%

対象:楽天グループ株式会社

リスク管理・危機管理

環境変化やインシデントの適時把握によるリスクの未然防止・再発防止の実施、及び緊急事態にも迅速に対応できる体制を整備し、経営目標の達成に寄与する

各組織(カンパニー/サービス/事業)における、インシデント管理体制担当者の設置

76%

(グローバル)

 

100%

(グローバル)

インシデント管理体制の構築

80%

(国内)

100%

(国内)

100%

(グローバル)

インシデント管理に関する従業員研修

100%

(国内)

100%

(国内)

100%

(グローバル)

イノベーションと実業家精神

投資、インキュベーション、M&A等を通じて社会課題の解決とステークホルダーの価値創造に貢献する

投資やM&A等の意思決定の判断軸として、サステナビリティに関する基準を導入する

2024年:段階的な導入とグループ全体の投資案件における導入を達成

2025年以降:-

サステナビリティに関する基準の定期的な見直し

必要に応じて実施

 

*1 GHGプロトコルに沿い算出、第三者保証取得のScope 1,2排出量が対象。各施策実施後も発生する排出量はオフセットを実施

*2 本目標は、国連グローバル・コンパクト、CDP(気候変動対策などに取り組む国際NGO)、WRI(世界資源研究所)およびWWF(世界自然保護基金)が共同で設立した国際的気候変動イニシアチブの「SBTi (Science Based Targets initiative)」によって、科学的根拠に基づいているとしてSBT認定を取得済み

 

2. 重要なサステナビリティ項目

マテリアリティの各重点分野と事業基盤より、課題への取組を紹介します。

 

(1) 従業員と共に成長(人的資本)

当社グループは従業員を大切にし、一人ひとりが自分らしく働ける制度や環境づくりを推進しています。「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というミッションの実現に向けて、優秀な人材の採用、キャリアアップや成長の後押し、多様な従業員にとって働きやすい職場づくり等、全ての従業員がいきいきと活躍できるよう取り組んでいます。

 

① ガバナンス

従業員と共に成長する組織基盤作りのため、グループCOO (Group Chief Operating Officer)を委員長とする「人材開発委員会」を設置し、採用、育成、評価、報酬等の人事課題や具体的な施策について協議しています。また、多様性に関する課題や機会については、「グループサステナビリティ委員会」のもとにある「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン分科会」で議論・検討を重ねています。

 

② リスク管理

人的資本に関するリスクは、「3 事業等のリスク 3 事業運営全般リスク (7) 無形資産に関するリスク ③ 人的資源に関するリスク」をご参照ください。

 

 

③ 戦略

1) 人材マネジメント

当社グループは「採用」、「育成」、「定着」の3つを柱とした「Back to Basics Project」を2017年より実施し、「勝てる人材、勝てるチームを作る」という人事の基本目標に立ち返ることで、強い組織基盤作りに取り組んでいます。

 

・採用

求職者との相互理解の促進が優秀な人材の採用への鍵と捉え、オンラインとオフラインを融合したコミュニケーションの機会を大切にしています。当社グループの採用ウェブページでは勤務する日常をイメージできるよう事業活動や職場環境、キャリア開発に関する従業員のインタビューを掲載しています。また、当社グループの様々な仕事や企業文化を体感できる「インターンシッププログラム」や、求職中のポジションにマッチする知人や友人を従業員から紹介・推薦する「社員紹介プログラム」を実施しています。また、就活生向けの「Rakuten Career Conference」も毎年開催しており、2024年は約2,000人が参加しました。

 

・育成

当社グループは、一人ひとりの力が最大限発揮される「学び続ける組織(Learning Organization)」となることを目指しています。技術的なスキルはもちろん、自己啓発サポートや包括的なビジネススキルの習得を通じて、従業員のキャリア開発を後押しします。また、現場でのコミュニケーションを強化し、組織としての成果を最大化するため、チームメンバーとマネージャーが1対1で行う1on1ミーティングも定期的に実施しています。チームメンバーとマネージャー間の信頼関係の強化につながるだけでなく、相互のフィードバックを通じてお互いが学びを得られるため、例年アンケート結果が90%以上の満足度を維持する効果的な仕組みとなっています。

 

研修制度の一例

オンボーディング

新入社員(新卒・中途)、新任マネージャーを対象に、組織やチーム、その役割にいち早くなじめるよう必要な情報や知識を提供

ビジネス基礎

クリティカルシンキング、リーダーシップ、問題解決手法等、ビジネスパーソンに必要なスキルを学ぶ

グレード・階層別

楽天主義に基づく行動実践の方法や、効果的な1on1ミーティング研修等、組織でより大きな裁量を持ち活躍できるスキルを習得するための研修を提供

データ分析&AI

生成AIのプロンプトの書き方、データ分析の基礎を学ぶ

ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン

「無意識のバイアス」に関する研修や、異なるバックグラウンドを持つ従業員同士が仕事を進める上で必要な考え方を学ぶ

文化&言語

TOEICサポートプログラムや異文化コミュニケーション、インクルーシブリーダーシップ等、グローバルビジネスに必要なスキルとマインドを学ぶ

自己啓発

オンライン学習講座や楽天デジタルライブラリーを通して自己学習を促進する機会を提供

 

 

・定着

近年、多様なキャリアの選択肢が増えたことや、働き方改革等の社会的変化に伴い、個人の労働観が大きく変化しています。このような中で、従業員が一つの組織で長くキャリアを築きたいと感じるかどうかには、様々な要因が影響しています。当社グループでは、従業員の満足度を高め、キャリアアップを奨励するために、公平で適切な報酬と福利厚生、柔軟なワークスタイル、快適かつ魅力的・健康的な職場を整備しています。また、新卒入社社員に対しては、入社後3年までのフォローアップ研修の内容や時期を見直すことで、楽天でのキャリア形成及び人材の定着を図っています。様々な取組の結果、当社の従業員のエンゲージメント度は83ptとなっています。

 

 

2) ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(Diversity, Equity and Inclusion、以下「DEI」)

人種・国籍・性別・婚姻歴・子女の有無・宗教や政治思想・年齢・障がいの有無・性的指向・性自認等にかかわらず、全ての人に機会を提供する文化を醸成しています。世界中の従業員一人ひとりの多様な個性と価値観を尊重し、誰もが能力を最大限に発揮できる環境づくりにも努めています。また、グローバル展開を進める中、社内公用語を英語にし、世界中の優秀な人材の採用・登用が更に加速したことで、世界を舞台にしたビジネス展開の原動力となっています。

従業員一人ひとりの違いに配慮し適切な職場環境を整えることも重要です。子育て世代に対しては、キャリアセッションや産休前後セミナー等を実施しています。また、復職後の支援として搾乳室や託児所を設置しています。文化や宗教等異なるニーズを持つ従業員には、ハラルメニューの提供及び祈禱室を設置し、障がいの有無にかかわらず快適に働けるようユニバーサルデザインを取り入れたオフィス環境を整備しています。また、女性管理職比率を高めるため、2024年度は社内外で活躍する女性リーダーたちを招いてリーダーシップ、キャリア、ライフステージに関するセミナーを行い、登壇者の経験から従業員がより高いパフォーマンスを発揮するためのマインドセットやスキルを学んでもらいました。

 


* データ範囲:従業員の国籍数は当社グループ。障がい者雇用率は、楽天コミュニケーションズ(株)、楽天モバイル(株)、楽天シンフォニー(株)、楽天カスタマーサービス(株)及び楽天ソシオビジネス(株)。その他は当社。
データ抽出時期:楽天におけるダイバーシティに関するデータは2024年12月31日時点のもの。障がい者雇用率のみ2025年1月1日時点のもの。

 

従業員の多様性を最大限に生かすためには、世界共通言語を持つだけではなく、全ての従業員が企業文化の根底にある価値観を理解し、共有することが必要不可欠です。当社ではグループの価値観・行動指針である「楽天主義」を理解し実践できるよう、全従業員を対象とする「楽天主義ワークショップ」を開催しています。このワークショップには全従業員の52.1%にあたる17,000名以上がこれまでに参加しています(2025年1月1日時点)。2023年から比較し、ワークショップへの参加率は0.8ポイント改善しました。

 

 

3) 健康・ウェルネス

安全で健やかな職場環境を醸成することは、従業員の身を守るだけでなく、仕事に対する満足度を高め、優秀な人材の獲得・定着につながるため、従業員の心身の健康の増進や、健康的に働き続けられる組織風土づくりを目指しています。「ウェルビーイングサーベイ(調査)」を定期的に実施しており、従業員の心身の健康状態や課題を把握した上で、ウェルネス推進活動の効果測定をしています。これまでの調査結果から、個人のウェルビーイングにおいて、メンタルウェルネスが大きな影響をもつことが確認されています。2024年度は、従業員のメンタルヘルスケア向上を目的に、従業員がメンタルヘルスの観点での不安等を相談できる専門窓口として公認心理師(メンタルサポーター)を配置しました。また、新卒入社社員向けのメンタルヘルス研修や職場内での円滑なコミュニケーション方法や自己認知の歪みについて学ぶセミナー、自己理解を深めるためのワークショップ等を開催し、従業員一人ひとりが心身ともに健やかで前向きに働ける環境の構築を図っています。

 

④ 指標及び目標

当社はサステナビリティ戦略における重点分野の一つに「従業員と共に成長」を設定し、人的資本に関して人材マネジメント、DEI、健康・ウェルネスの観点から長期的な目標を設けています。指標及び目標と2024年の実績は以下のとおりです。

 

ESG課題

指標

2024年実績

2025年目標

2030年目標

ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン

女性管理職比率*1

33%

33%

36%

人材の採用・育成・定着

エンゲージメント度

83pt

84pt

87pt

責任ある労働慣行

コミュニケーション充実度

94pt

97pt

98pt

安全な労働環境と従業員の健康

ウェルビーイング度

52pt

53pt

58pt

 

*1 対象は楽天グループ株式会社

 

(2) 持続可能なプラットフォームとサービスの提供(持続可能な生産と消費)

当社グループは持続可能なプラットフォームとサービスを提供するため、サプライヤーとともにサプライチェーンにおけるネガティブなインパクトを低減させる仕組みが重要だと考えています。以下では、持続可能な社会の実現に向けた、当社グループのサステナブル調達活動についてご紹介します。

 

① ガバナンス

当社グループはサプライヤーとサステナビリティに関する共通の認識を深めるために、法令・社会規範の遵守、汚職・賄賂等の禁止、公平・公正な取引の推進、環境への配慮等について「楽天グループサステナブル調達インストラクション(以下、サステナブル調達インストラクション)」及び「楽天グループサステナブル調達行動規範(以下、サステナブル調達行動規範)」を規定しています。また、重要なサプライヤーとして特定したサプライヤーにはこれらの遵守をお願いしています。さらに、質問票を通じたサプライヤーへの実態調査とモニタリングによって実際の取組を確認しているほか、相談窓口として「サプライヤーホットライン」を設置し、サステナブル調達インストラクション及びサステナブル調達行動規範に対する違反又はその恐れがある行為を把握できる体制を構築しています。

また、国内外の経営陣で構成されるグループ横断的なサステナビリティ委員会下の「人権分科会」では、サステナブル調達活動について報告・議論し、サステナビリティ委員会へもこれらの取組を定期的に報告しています。

 

 

② リスク管理

当社グループは前述のとおり、サステナブル調達インストラクション及びサステナブル調達行動規範の遵守を重要サプライヤーにお願いしています。

しかしながら、サプライヤーと当社グループとの業務の中での故意又は過失による法令違反、不正行為、人権侵害等が発生する可能性を完全には排除できないため、万が一これらの事態が発生した場合、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、サプライヤーは当社グループのサービス・商品を取り扱っていることから、上述のような事象により当該サプライヤーの信頼性や企業イメージに悪影響が出た場合に、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

このため、自己評価アンケートを通じたサプライヤーへの実態調査とモニタリングによるサステナブル調達活動に取り組んでいます。

 

③ 戦略

当社グループのサービスや商品に携わるサプライヤーは多岐にわたります。当社グループは、以下を重要サプライヤーとして定め、段階的な働きかけをしています。

 

<重要な製品・事業のサプライヤー>

・楽天のロゴや公式キャラクターを使用した製品のサプライヤー

・楽天にとって戦略的に重要な事業のサプライヤー

 

<取引量の多いサプライヤー>

一定の金額以上の取引があるサプライヤー

 

<リスクの高い業種・業務に携わるサプライヤー>

環境、社会、倫理的リスクの高い産業*1に携わるサプライヤー

 

*1 紛争鉱物や社会的な保護及び対策が不十分な国に関わる産業及び事業

 

1) サステナブル調達の方針の浸透

サステナブル調達インストラクション及びサステナブル調達行動規範の周知と理解促進のため、重要サプライヤーを対象としたオンライン説明会を開催し、これらの方針の遵守並びに誓約書への署名をお願いしています。また、調達側である当社グループの従業員に対しても前述のサステナブル調達活動に関するEラーニング研修を実施しています。

 

2) サプライヤー調査とモニタリング

サプライチェーンにおける問題発生の未然防止及び課題の把握と解決を進めるため、定期的にサプライヤーへ自己評価アンケートを送り、必要に応じて監査を実施する等の調査やモニタリングを行っています。さらに、調査の結果を受け、当社グループがサプライヤーに期待する改善アクションの提示を含めたフィードバックを提供しています。

 

 

④ 指標及び目標

当社グループはサステナブル調達の方針の周知とサプライチェーンにおける課題把握を重要と考え、以下を指標としています。

 

指標

2024年度

実績

目標

2025年

2030年

サステナブル調達に関する説明会/勉強会に参加したサプライヤーの割合

53%

80%

90%

自己評価アンケートに回答するサプライヤーの割合

59%

80%

100%

高リスクサプライヤー*の割合

10%

前年比で比率を削減

 

* 自己評価アンケートの回答結果や取引状況等から当社サプライチェーンにとって重大な影響を与える可能性が排除できないと分析されるサプライヤー

 

(3) グローバルな課題への取り組み(気候変動)

当社グループは、脱炭素社会の実現に向けたグローバル社会からの要請の更なる高まりに対応し、2019年度より「TCFD(気候関連財務開示に関するタスクフォース)」や「RE100(「Renewable Electricity 100%」)」等の国際イニシアチブに賛同しています。事業活動における温室効果ガス排出量の削減はもちろん、テクノロジーとイノベーションを活かし環境に配慮したサービスの提供を通して、ステークホルダーと環境課題に対する認識を共有し、環境に良い選択が自然にできる未来の実現を目指します。

また、当社グループは気候変動対策を含む、環境保全の推進に向けた方針・体制整備等の基本指針となる「環境ポリシー」を定めています。当該ポリシーには気候変動対策のほか、資源管理に向けた取組や生物多様性に関する基本方針、組織体制について定めています。

(注) 環境ポリシーを含む当社グループの取組は当社ウェブサイトもご参照ください。

https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/library/

 

以降はTCFDフレームワークに準拠して記載しています。

 

① ガバナンス

2022年1月に、環境問題へ対応するための戦略を立案・実行する環境経営推進部を設立し、グループ横断での推進体制や報告ラインを整備しました。気候変動に関する課題はグループCOO(Group Chief Operating Officer)がマネジメントしており、グループサステナビリティ委員会のもとに、環境分科会を設置し、四半期毎に会議を開催しています。環境経営推進部及び環境分科会は、様々な関連チーム・組織・国際的イニシアチブと綿密に連携し、楽天の全事業部門に対して自組織が環境に与える影響に責任を持つよう働きかけています。

 

② リスク管理

気候変動に関するリスクの識別・評価は、環境経営推進部が行っています。リスク管理は、「1. サステナビリティ全般 (2) リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略

当社グループは、気候変動に関連する移行リスク(脱炭素社会への移行に関連したリスク)、物理リスク(気候変動の物理的影響に関連したリスク)、機会を特定するため、楽天グループ全体を対象にシナリオ分析を実施しました。

 

 

設定したシナリオと参照資料

シナリオ

参照資料

急速に脱炭素社会が実現するシナリオ

(1.5℃シナリオ)

国際エネルギー機関(IEA)のNet Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)

物理的影響が顕在化するシナリオ

(4℃シナリオ)

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書の

Representative Concentration Pathways (RCP8.5)

 

 

TCFD提言に基づくリスクと機会の分類

1.5シナリオ

区分

種別

主なリスク・機会

時間軸

影響度

対応策・取り組み

移行リスク

政策・

法規制

環境関連指標に関する報告義務強化

短~長

・環境データ収集に係る社内体制の見直し、強化

カーボンプライシング(炭素税等)導入

中~長

・エネルギー効率改善/再生可能エネルギー導入によるGHG排出量削減の取り組み強化

市場

脱炭素製品・サービスの開発・提供遅延による売上機会喪失

中~長

・環境配慮型サービスの取り組み強化

・環境意識向上に資するキャンペーンの実施促進

評判

気候変動対策が不十分とみなされた場合の売上減少、評価低下

中~長

・ESG関連情報開示の積極化

・GHG排出量削減の取り組み強化

機会

資源の

効率性

気候変動対応に向けた新技術導入の拡大

短~長

・人工知能(AI)技術を活用した資源配分の最適化に向けた取り組み強化

エネルギー源

炭素価格の上昇を受けた再生可能エネルギー利用増加

短~長

・RE100加盟を通じた再生可能エネルギーの利用促進

製品/

サービス

環境意識の高まりによる顧客の環境配慮行動増加

短~長

・GHG排出量削減の取り組み強化を通じたブランドイメージ向上

・社外への情報発信強化

市場

公共セクターのインセンティブ増加

短~長

・自治体等の公的プロジェクト参画によるレピュテーション向上

 

 

4℃シナリオ

区分

種別

主なリスク

時間軸

影響度

対応策・取り組み

物理リスク

急性

異常気象(干ばつ、洪水、台風、ハリケーン等)発生による事業被害増加

短~長

・BCP(事業継続計画)の見直し、強化

・防災対策強化

慢性

気温上昇によるデータセンター機器冷却用の電力コスト増加

中~長

・データセンターにおけるエネルギー効率向上の取り組み強化

・エネルギー効率向上に向けた研究開発促進

 

 

時間軸と影響度に関する定義

時間軸

短期

直近3年

中期

-2030年

長期

2030年以降

影響度
(リスク)

ほとんど影響しない

サービス・業務遅延

サービス・業務一時停止

影響度
(機会)

ほとんど影響しない

一部のサービス・業務に影響

グループ横断的に影響

 

 

 

④ 指標及び目標

当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、2023年度の連結子会社を含めたグループ全体の事業活動における温室効果ガス排出量*1を実質ゼロにする、カーボンニュートラル*2を達成しました。

また、2024年以降の温室効果ガス排出量の削減目標は以下のとおり定めています。本目標は、国際的気候変動イニシアチブの「SBTi (Science Based Targets initiative)」によって、パリ協定の目標に合致する科学的根拠に基づいているとして、SBT認定を取得しています。

(注) 当社グループの気候変動に関する指標及び目標は当社ウェブサイトもご参照ください。

https://corp.rakuten.co.jp/sustainability/climate/

 

スコープごとの目標(SBT目標)

対象項目

目標

Scope 1排出量

自らによる温室効果ガスの直接排出量

・2032年までに排出量を2022年から99.7%削減

Scope 2排出量

他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量

Scope 3排出量

Scope 1、Scope 2以外の間接排出量

・2032年までに排出量を2022年から30.0%削減
・2032年までに販売電力量あたりの排出量を2022年から76.8%削減

 

 

なお、2021年より楽天グループ株式会社単体の事業活動に使用する電力においては、再生可能エネルギーの導入率100%*3を達成しており、今後も継続していきます。各指標の実績は、毎年6月頃にコーポレートページに掲載のESGデータブックにおいて更新する予定です。

 

*1 温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量を算定・報告する際の国際的な基準である「GHGプロトコル」に沿って算出・第三者保証を取得した、Scope 1排出量(自らによる温室効果ガスの直接排出量)とScope 2排出量(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出量)の合計

*2 温室効果ガス排出量削減に向け、グループ横断で省エネルギー化・再生可能エネルギー導入に取り組み、その上で削減しきれない温室効果ガス発生量については、削減活動に投資するカーボン・オフセットを実施し相殺しています。

*3 各社状況に応じ、電力の再エネ属性を証明する「FIT非化石証書」を利用し、実質100%再生可能エネルギー化達成。

 

(4) 事業基盤(情報セキュリティとプライバシー)

当社グループは、情報セキュリティの確保を、経営上の最重要課題の一つに位置づけています。お客様の個人情報をはじめとする各種情報と、ソフトウエア等の情報システムから成る情報資産を適切に保護・管理し、情報セキュリティの継続的な維持・向上に努めています。

また、プライバシーは、テクノロジーの利用、イノベーションの促進、ステークホルダーの信頼獲得等、持続可能な「楽天エコシステム」の構築に欠かせない重要な要素であり、単なるコンプライアンス上の問題に限りません。全てのお客様に安心してサービスをご利用いただけるよう、当社グループはプライバシー対策の実施、強化、徹底に努めます。

 

① ガバナンス

ファンクションCISOを委員長とする楽天グループ情報セキュリティ&プライバシー委員会を毎月開催し、情報セキュリティ及びプライバシーの要求事項等に準拠した体制を整えています。本委員会での主な協議事項は、経営会議や取締役会への報告及び、各グループ会社、事業部門へと展開されます

情報セキュリティに関しては、リージョナルCISO、カンパニーCISO、グループ各社のCISOで構成されるCISOコミュニティを設け、グループ横断での情報セキュリティに関する議論や情報共有を行っています。

また、当社グループ内のプライバシーの状況を監督、モニタリングする専門の職位として、グローバルプライバシーマネージャーを任命しています。グローバルプライバシーマネージャーは、リージョナルプライバシーオフィサーや各社で任命されたローカルプライバシーオフィサーと連携することにより、強固なプライバシーネットワークを構築し、当社グループに適用されるコンプライアンスの遵守状況とリスクの有無をモニタリングしています。

 

② リスク管理

当社グループは、大切なユーザーの個人情報をはじめとする各種情報と、ソフトウエア等の情報システムから成る情報資産を適切に保護、管理し、情報セキュリティの維持と継続的な向上に努めています。

 

1) 個人情報に関するリスク

当社グループは、『楽天市場』に代表される、当社グループが提供する一般ユーザー向けのサービスの利用にあたり、ユーザーに「楽天ID」を付与し、当社グループがそのデータを保有して、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループは、「楽天ID」をユーザーの氏名及び住所と結びつけられた個人情報として取り扱っており、当社グループの各種ハードウエア、ソフトウエア等の情報システムからなる情報資産とともに、事業展開をする上で不可欠な資産であると認識しています。したがって、当社グループでは、全てのユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できることを最優先とし、情報セキュリティ体制及び個人情報の保護の観点から、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を確立するとともに、各種国際基準や展開する該当国の個人情報に関する各種法令への準拠を徹底しています。

しかしながら、各国の個人情報管理に関する法令、グローバルなデータの移管に関する法令、情報セキュリティに関する法令等、プライバシー関連法令等はますます複雑化しています。これらに適時適切に対応できず、当該法令等に違反した場合には、行政機関による制裁金・課徴金、業務停止命令等を受ける場合があるほか、レピュテーションリスクの発生、訴訟等を含む紛争に発展する可能性があります。

上記リスクが顕在化した場合には、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反、補償費用の発生等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、プライバシー関連法令及び企業の自主的な規制強化への対応が円滑かつ適切に行えない場合には、当社グループのデータ活用ビジネス及び収益に影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクの発生を回避するため、当社グループでは前述の取組に加え、社内規程の整備、プライバシー関連法令の周知及び社内教育を実施しています。また、連絡や相談のための体制を確立することで、違反リスクの早期発見等に努めるとともに、関係部署とプライバシー担当部門が緊密な連携を図ることで、法令等の内容を情報セキュリティシステム及び業務運営に迅速かつ的確に適用するように努めています。

 

2) サイバーセキュリティに関するリスク

当社グループのサービスの多くは、インターネットを通じて提供されています。サービス利用のために提供しているネットワーク若しくはコンピュータシステム上のハードウエア又はソフトウエアの不具合、欠陥、コンピュータウイルス、フィッシングメール、外部からの不正な手段による当社グループのコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為等により、情報システムの可用性又は情報の機密性及び完全性を確保できず、サービスの不正利用、重要なデータの消失及び不正取得等が発生する可能性があります。

これらのリスク発生の回避又は低減のため、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種対応策を講じていますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招くのみならず、損害賠償請求等がなされる可能性のほか、監督官庁から行政処分等を受ける可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3) 営業秘密等の情報漏洩に関するリスク

当社グループは、役職員や業務委託先等の業務遂行上の不備、アクセス権等の悪用等により、当社グループにおける営業秘密等の情報が漏洩するリスクがあります。それにより漏洩した営業秘密等が外部の第三者に悪用、又は競合他社に利用された場合には、当社グループの収益機会が喪失する可能性があります。リスクの発生の回避又は低減のため、役職員や業務委託先等への教育、啓発活動を行うほか、管理体制を定め、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的な各種対策を講じています。しかしながら、営業秘密等の情報漏洩リスクが顕在化した場合には、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招くのみならず、損害賠償請求等がなされる可能性のほか、監督官庁から行政処分等を受ける可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 戦略

1) 情報セキュリティ

情報セキュリティ確保のため、以下の5つの方針を設け取り組んでいます。

1. 情報セキュリティ体制の構築

2. 情報資産の適切な管理

3. 情報セキュリティ確保のための規定等の策定

4. 法令・規範の順守

5. 継続的な改善

 

・国際基準への準拠

情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO/IEC 27001に基づく社内規程を定め、当社及びグループ会社に適用し、情報セキュリティの維持に努めています。現在、ISO/IEC 27001認証の適用範囲は、当社グループ全体で35社、全従業員が対象となり、継続的な拡大を目指しています。また、クレジットカードを含むペイメントカードを取り扱うビジネスにおいては、カード会員データのセキュリティに関する国際標準であるPCI DSS (Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠を徹底しています。

 

・情報セキュリティ教育

当社グループでは、全従業員を対象に情報セキュリティ教育を毎年実施しています。実際に発生したインシデントの事例等を交えて情報セキュリティの重要性への理解を深めることに加えて、受講者は社内規程の遵守を宣誓します。

 

・サイバーセキュリティの強化

セキュリティオペレーションセンター(SOC:Security Operations Center)やセキュリティ対策専門のチーム(Rakuten-CERT)の体制を整えてインシデントに備えているほか、サービス開発者へのセキュリティ教育、ソフトウエア開発プロセスへのセキュリティレビュー及び脆弱性検査と、開発プロセスの段階ごとにセキュリティに関する確認を組み込むことで、脆弱性を排したサービス開発体制を構築しています。

 

 

2) プライバシー

国内外のプライバシー法の遵守に加え、独自の運用基準を設けることで、法令要件を上回るプライバシー保護対策に取り組んでいます。全てのお客様に安心して楽天のサービスをご利用いただけるよう、「教育」、「透明性」、「信頼」に重点を置いています。

 

・国内関連法への準拠

2024年度には令和4年改正電気通信事業法への対応を行いました。加えて、一部のグループ会社は、日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合し、個人情報について適切な保護措置を講じる体制を整備している事業者として、外部機関から認定され、プライバシーマークの付与を受けています。

 

・拘束的企業準則(BCR)の導入

当社グループはGDPR(General Data Protection Regulation)に準拠することを目的として、楽天グループは内部のプライバシー行動規範である拘束的企業準則(Binding Corporate Rules:BCR)を導入し、欧州のデータ保護当局から正式な承認を得ています。BCRに準じたデータの取り扱いをすることによって、当社グループ全体で個人のプライバシーとデータの保護に取り組んでいます。

 

・ユーザーへの透明性の向上

当社グループのプライバシーへの取組や、関連情報を紹介する「プライバシーセンター」ページでは、グループ各社の個人情報保護方針、プライバシー保護やテクノロジーの理解に役立つ情報をお届けすることで、お客様自身にプライバシーについて考えていただく機会を提供しています。

 

・プライバシー教育

プライバシーの重要性を全従業員の共通意識として浸透させるために、プライバシー教育・啓発の専門チームを設け、グループの全従業員を対象とした年次の研修や入社時の研修に加え、国際的なデータ・プライバシーの日に合わせた啓発イベントを開催しています。

 

④ 指標及び目標

情報セキュリティとプライバシーに関する戦略を踏まえ、お客様が安心してサービスを利用できるような認証取得とサービスを提供する従業員への教育を重要と捉え、以下の指標の維持・改善を図っていきます。

 

指標

実績

ISO/IEC 27001 認証を取得したグループ会社の数

PCI DSS に準拠しているサービス

35社

41サービス

JIS Q 15001 プライバシーマーク認証を取得したグループ会社の数

33社

BCR(拘束的企業準則)を締結したグループ会社の数

72社

情報セキュリティに関する研修時間(2024年度情報セキュリティ教育)

対象者25,619名、49社

プライバシーに関する研修時間(全社員に対する Privacy Basics 研修)

対象者13,986名、25社