2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    10,350名(単体) 30,830名(連結)
  • 平均年齢
    34.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    5.1年(単体)
  • 平均年収
    7,946,376円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

インターネットサービス

10,831

フィンテック

6,070

モバイル

5,415

全社(共通)

8,514

合計

30,830

 

(注) 1 従業員数は就業人員であり、使用人兼務取締役、派遣社員及びアルバイトを含んでいません。

2 全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない開発部門、管理部門及びシェアードサービス事業に属する従業員数です。

 

(2) 提出会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

10,350

34.4

5.1

7,946,376

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

インターネットサービス

6,151

フィンテック

1

モバイル

29

全社(共通)

4,169

合計

10,350

 

(注) 1 従業員数は就業人員であり、使用人兼務取締役、他社への出向者、派遣社員及びアルバイトを含んでいません。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3 全社(共通)は、特定のセグメントに区分できない開発部門及び管理部門の従業員数です。

 

(3) 労働組合の状況

当社に労働組合は結成されていませんが、連結子会社の一部に労働組合が結成されています。
なお、労使関係は良好で、特記すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業等取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 

当社及び連結子会社

女性管理職

比率

(%)

(注)1,2

男性育児休業等取得率

(%)

(注)1,3,4,5

男女賃金差異

(%)

(注)1,2,6,7,8

全労働者

正規労働者

非正規労働者

楽天グループ(株)

31.5

58.4

78.8

82.8

65.6

楽天カード(株)

15.9

60.6

59.6

58.8

69.5

楽天カスタマーサービス(株)

0.0

(**)50.0

73.7

73.7

(***)

楽天銀行(株)

21.7

(*)(**)91.6

60.4

62.6

60.6

楽天証券(株)

62.3

68.3

62.4

楽天シンフォニー(株)

10.5

91.7

84.1

84.1

(***)

楽天スーパーロジスティクス(株)

53.5

66.0

92.0

楽天生命保険(株)

14.8

59.3

57.4

68.7

楽天ソシオビジネス(株)

40.0

50.0

90.1

91.0

85.7

楽天損害保険(株)

10.1

46.9

46.4

60.1

楽天トータルソリューションズ(株)

9.6

48.5

79.1

76.8

99.4

楽天ペイメント(株)

81.3

82.9

51.9

楽天モバイル(株)

8.6

40.6

68.2

68.5

74.9

楽天モバイルエンジニアリング(株)

14.8

(**)50.0

76.1

75.8

30.3

 

(注) 1 当連結会計年度における実績を記載しています。なお、楽天銀行(株)、楽天生命保険(株)及び楽天損害保険(株)については事業年度が4月1日~翌3月31日のため、男性育児休業等取得率及び男女賃金差異は、同社の直近の事業年度における実績を記載しています。管理職に占める女性労働者の割合は、楽天銀行(株)については同社の直近の事業年度末時点、楽天生命保険(株)及び楽天損害保険(株)については直近の事業年度の3月1日時点における実績を記載しています。

2 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出した実績を記載しています。

3 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出した実績を記載しています。

4 「(*)」については、育児目的休暇の取得者を分子に含みます。

5 「(**)」について、女性活躍推進法に基づく雇用管理区分別の育児休業等取得率は以下のとおりです。

会社名

男性の育児休業等取得率(%)

楽天カスタマーサービス(株)

正社員:70.5

楽天銀行(株)

総合職(無期):90.0

総合職(有期):100.0

楽天モバイルエンジニアリング(株)

技術職:100.0

事務職:40.0

 

6 男女賃金差異については、男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を示しています。

7 「(***)」については、対象となる従業員が無いことを示しています。

8 適用する人事処遇制度において性別による差異はありません。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

1. サステナビリティ全般

当社グループは「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というミッションを大切にし、これまで歩んできました。サステナビリティ課題に取り組むことは、展開する事業の持続的な発展を支えるだけでなく、当社グループのミッションを体現するものでもあります。

 

(1) ガバナンス

サステナビリティのガバナンスを強化し、各重点分野に関する取組の実施を統括することを目的に、国内外の経営陣で構成される「楽天グループサステナビリティ委員会」を2021年に設立しました。当社グループにとって重要なESG課題であるマテリアリティ課題に対し、ステークホルダーの期待やベストプラクティスの共有、戦略や目標設定、イニシアチブへの参画等について、経営レベルの意思決定を行います。委員会の活動内容や提案は、取締役会に報告されます。また、環境、人権、ダイバーシティ&インクルージョンは長期的かつ組織横断的な議論が必要な課題であるため、それぞれに特化した分科会を設置しました。

 


 

全社的に明確なコミットメントやアクションが必要なESG課題については、グループ方針として、「グループサステナビリティインストラクション」を定めています。取組の進捗状況を、当社ウェブサイト、コーポレートレポート、株主総会等の媒体を通じて定期的に報告しています。

 

(2) リスク管理

当社グループは急速に変わるリスク環境に適応するため、組織全体に影響するあらゆるリスクを統合的に把握し、管理する全社リスクマネジメント手法である統合的リスク管理(ERM:Enterprise Risk Management、以下「ERM」)に取り組んでいます。サステナビリティに関するリスクもERMに則って、リスクの特定・評価、重要性に応じた対応策の策定と実行、その結果のモニタリングに取り組んでいます。

 

 

(3) 戦略

サステナビリティは今後の当社グループの発展を支える柱の一つです。ステークホルダーとのエンゲージメントを通じて2021年に当社グループのサステナビリティ戦略(優先的に取り組むESG課題)を改訂し、「事業基盤」、「従業員と共に成長」、「持続可能なプラットフォームとサービスの提供」、「グローバルな課題への取り組み」の4つの分野を特定しました。今後は各課題ごとに長期的な目標を設定し、また、その進捗状況を社内外のステークホルダーに定期的に報告します。

 


 

2. 重要なサステナビリティ項目

マテリアリティの各重点分野と事業基盤より、課題への取組を紹介します。

 

(1) 従業員と共に成長(人的資本)

当社グループは従業員を大切にし、一人ひとりが自分らしく働ける制度や環境づくりを推進しています。「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」というミッションの実現に向けて、優秀な人材の採用、キャリアアップや成長の後押し、多様な従業員にとって働きやすい職場づくり等、全ての従業員がいきいきと活躍できるよう取り組んでいます。

 

① ガバナンス

従業員と共に成長する組織基盤作りのため、COO(Chief Operating Officer)を委員長とする「人材開発委員会」を設置し、採用、育成、評価、報酬等の人事課題や具体的な施策について協議しています。また、多様性に関する課題や機会については、「サステナビリティ委員会」のもとにある「ダイバーシティ&インクルージョン分科会」で議論・検討を重ねています。

 

② リスク管理

人的資本に関するリスクは、「3 [事業等のリスク] 3 事業運営全般リスク (7) 無形資産に関するリスク ③ 人的資源に関するリスク」をご参照ください。

 

 

③ 戦略

1) 人材マネジメント

当社グループは「採用」、「育成」、「定着」の3つを柱とした「Back to Basics Project」を2017年より実施し、「勝てる人材、勝てるチームを作る」という人事の基本目標に立ち返ることで、強い組織基盤作りに取り組んでいます。

 

・採用

求職者との相互理解の促進が優秀な人材の採用への鍵と捉え、オンラインとオフラインを融合したコミュニケーションの機会を大切にしています。当社グループの様々な仕事や企業文化を体感できる「インターンシッププログラム」や、求職中のポジションにマッチする知人や友人を従業員から紹介・推薦する「社員紹介プログラム」を実施しています。また、就活生向けの「Rakuten Career Conference」も毎年開催しており、2023年は約2,800名が参加しました。

 

・育成

当社グループは、一人ひとりの力が最大限発揮される「学び続ける組織(Learning Organization)」となることを目指しています。技術的なスキルはもちろん、自己啓発サポートや包括的なビジネススキルの習得を通じて、従業員のキャリア開発を後押しします。また、現場でのコミュニケーションを強化し、組織としての成果を最大化するため、チームメンバーとマネージャーが1対1で行う1on1ミーティングも定期的に実施しています。チームメンバーとマネージャー間の信頼関係の強化につながるだけでなく、相互のフィードバックを通じてお互いが学びを得られるため、例年アンケート結果が90%以上の満足度を維持する効果的な仕組みとなっています。

 

研修制度の一例

オンボーディング

新入社員、新任マネージャーを対象に、組織やチーム、その役割にいち早くなじめるよう必要な情報や知識を提供

ビジネス基礎

クリティカルシンキング、リーダーシップ、問題解決手法等、ビジネスパーソンに必要なスキルを学ぶ

階層別

楽天主義に基づく行動実践の方法や、効果的な1on1ミーティング研修等、組織でより大きな裁量を持ち活躍できるスキルを習得するための研修を提供

データ&AI

課題の特定、KPIの設定、仮説立案と検証、そして分析したデータを元に実践するまでの流れを学ぶ

ダイバーシティ&インクルージョン

「無意識のバイアス」に関する研修や、異なるバックグラウンドを持つ従業員同士が仕事を進める上で必要な考え方を学ぶ

文化&言語

TOEICサポートプログラムやビジネス英語プログラム等、効果的なコミュニケーション方法を構築するためのスキルを学ぶ

自己啓発

オンライン学習講座や楽天デジタルライブラリーを通して自己学習を促進する機会を提供

 

 

・定着

近年、多様なキャリアの選択肢が増えたことや、働き方改革等の社会的変化に伴い、個人の労働観が大きく変化しています。このような中で、従業員が一つの組織で長くキャリアを築きたいと感じるかどうかには、様々な要因が影響しています。当社グループでは、従業員の満足度を高め、キャリアアップを奨励するために、公平で適切な報酬と福利厚生、柔軟なワークスタイル、快適かつ魅力的・健康的な職場を整備しています。様々な取組の結果、当社グループの2023年の離職率は、2017年時から2.4ポイント減少しています。

 

2) ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(Diversity, Equity and Inclusion、以下「DEI」)

人種・国籍・性別・婚姻歴・子女の有無・宗教や政治思想・年齢・障がいの有無・性的指向・性自認等にかかわらず、全ての人に機会を提供する文化を醸成しています。世界中の従業員一人ひとりの多様な個性と価値観を尊重し、誰もが能力を最大限に発揮できる環境づくりにも努めています。また、グローバル展開を進める中、社内公用語を英語にし、世界中の優秀な人材の採用・登用が更に加速したことで、世界を舞台にしたビジネス展開の原動力となっています。

従業員一人ひとりの違いに配慮し適切な職場環境を整えることも重要です。子育て世代に対しては、キャリアセッションや産休前後セミナー等を実施しています。また、復職後の支援として搾乳室や託児所を設置しています。文化や宗教等異なるニーズを持つ従業員には、ハラルメニューの提供及び祈禱室を設置し、障がいのある従業員に対してはユニバーサルデザインを取り入れたオフィス環境を整備しています。

 


* 従業員の国籍数のデータ範囲は当社グループ。障がい者雇用率の対象組織は当社(単体)、楽天ソシオビジネス(株)及び楽天コミュニケーションズ(株)。その他は当社(単体)のデータ。当社におけるダイバーシティに関するデータは2024年1月1日時点のもの。

 

従業員の多様性を最大限に生かすためには、共通言語を持つだけではなく、全ての従業員が企業文化の根底にある価値観を理解し、共有することが必要不可欠です。当社グループの価値観・行動指針である「楽天主義」を理解し実践できるよう、全従業員を対象とする「楽天主義ワークショップ」を開催しています。2023年は、楽天主義ワークショップに全従業員の51.3%、これまでに17,000名以上が参加しました。ワークショップへの参加率は2022年から9.4ポイント改善しました。

 

3) 健康・ウェルネス

安全で健やかな職場環境を醸成することは、従業員の身を守るだけでなく、仕事に対する満足度を高め、優秀な人材の獲得・定着につながるため、従業員の心身の健康の増進や、健康的に働き続けられる組織風土づくりを目指しています。「ウェルビーイングサーベイ(調査)」を定期的に実施しており、従業員の心身の健康状態や課題を把握した上で、ウェルネス推進活動の効果測定をしています。これまでに実施した調査の結果、当社の従業員における3大健康課題として、運動不足、睡眠の質、体重管理が特定されました。今後は、それぞれの課題を感じている従業員数の低減を図っていきます。

 

 

④ 指標及び目標

人的資本に関する戦略を踏まえ、人材マネジメント、DEI、健康・ウェルネス、それぞれの観点から、以下の指標の維持・改善を図っていきます。


*1 当社(単体)

*2 当社を含む当社グループ(国内のみ)。心身の体調不良が原因による遅刻や早退、就労が困難な欠勤・休職等、業務自体が行えない状態。病欠日数をウェルビーイングサーベイ(独自に定めた従業員調査)にて取得。

*3 当社を含む当社グループ(国内のみ)。出勤しているにも関わらず心身の健康上の問題が作用して、パフォーマンスが上がらない状態。病気やけががないときに発揮できる仕事のパフォーマンスを100%として、過去4週間の仕事を1‐100%で評価。ウェルビーイングサーベイにて取得。

*4 当社を含む当社グループ(国内のみ)。従業員の仕事に対する活力・熱意・没頭の度合い。ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度超短縮版3項目をウェルビーイングサーベイに組み込み、取得。

 

(2) 持続可能なプラットフォームとサービスの提供(持続可能な生産と消費)

持続可能な生産と消費には、サプライヤーとビジネスパートナーとともに取り組む必要があります。そのためには、まず当社グループがサプライチェーンマネジメントを通じて、ネガティブなインパクトを低減させることが重要だと捉えています。以下では、持続可能な社会の実現に向けた、当社グループのサプライチェーンマネジメントについてご紹介いたします。

 

① ガバナンス

国内外の経営陣で構成されるグループ横断的なサステナビリティ委員会下の「人権分科会」では持続可能な生産と消費に関連するサプライチェーンマネジメント等のテーマについて議論を深め、サステナビリティ委員会で報告をしています。また、重点事業におけるサプライヤーの取組を確認するために、サプライヤー調査とモニタリングを行っています。サプライヤーの相談窓口として「サプライヤーホットライン」を設置し、楽天グループサステナブル調達インストラクションに対する違反又はそのおそれがある行為を把握できる体制を構築しています。

 

② リスク管理

サプライチェーンに関するリスク管理は、「3 [事業等のリスク] 3 事業運営全般リスク  (5) サプライチェーンに係るリスク」をご参照ください。

 

 

③ 戦略

当社グループのサービスや商品に携わるサプライヤーは多岐にわたります。当社グループは、楽天ブランドを象徴する製品を取り扱う事業、直販型事業、BtoB事業を重点事業として特定し、段階的にサプライヤーへ働きかけています。

 

1) サステナブル調達の方針の浸透

サプライヤーとサステナビリティに関する共通の認識を持つため、「楽天グループサステナブル調達インストラクション」、「楽天グループサステナブル調達行動規範」を策定し、サプライヤーに期待する行動を規定しました。サプライヤーにサステナブル調達の方針の周知と理解促進のためオンライン説明会を開催し、これらの方針の遵守並びに誓約書への署名をお願いしています。また、調達側である当社グループの従業員に対してもサステナブル調達に関するEラーニング研修を実施しています。

 

2) サプライヤー調査とモニタリング

サプライチェーンにおける問題発生の未然防止及び課題の把握と解決を進めるため、定期的にサプライヤーへ質問票を送り、必要に応じて監査を実施する等の調査やモニリングを行っています。更に、調査の結果、期待する改善アクションを含めたフィードバックを提供しています。

 

④ 指標及び目標

当社グループはサステナブル調達の方針の周知とサプライチェーンにおける課題把握を重要と考え、以下を指標としています。


* 当社及び特定のグループ会社の重要な製品・事業のサプライヤー、一定額の取引実績があるサプライヤー等の基準を設け、説明会及び質問票の対象サプライヤーを特定。

 

(3) グローバルな課題への取り組み(気候変動)

当社グループのサービスと環境は密接につながっています。『楽天市場』で販売される様々な商品から『楽天トラベル』で予約できる旅行先まで、質の高いサービスや商品を継続的にお客様にお届けするためには、豊かな環境が必要不可欠です。また、当社グループの事業活動は、環境に多大な影響を与える可能性があります。

当社グループは、事業活動による環境への負荷の低減はもちろん、テクノロジーとイノベーションを生かして、環境に配慮したサービスをお客様に提供します。

 

① ガバナンス

サステナビリティ委員会下に「環境分科会」を設置し、月次で社内各組織向けに環境戦略を展開し、具体的な行動へ移行しています。環境問題に対応するための戦略を策定するため、2022年1月に環境経営推進部を設立しました。同部は、環境分科会と共に、関連チームや組織、国際的なイニシアチブと緊密に連携しながら、各事業部門や部署がそれぞれの活動に伴う環境への影響に責任を持つよう取り組んでいます。気候変動に関する課題はCOO(Chief Operating Officer)がマネジメントしています。

 

② リスク管理

気候変動に関するリスクの識別・評価は、環境経営推進部が行っています。リスク管理は、「1. サステナビリティ全般 (2) リスク管理」をご参照ください。

 

③ 戦略

当社グループは、シナリオ分析を用いて気候変動が当社に与えるリスクと機会を分析しています。低炭素社会へ移行するに伴い、政策・法規制、技術、市場及びレピュテーションリスクに対応する必要があります。中でも当社グループの事業活動に伴うCO2排出量の90%以上が電力消費によることから、特に政策・法規制リスクを重要なリスクの一つと認識しています。炭素価格が増加することで、電力調達コストが増加し、財務に影響する可能性があります。当社グループは、省エネルギーや再生可能エネルギーへの切り替え、CO2排出量の削減に努めています。

気候変動によってもたらされる災害等は、「3 [事業等のリスク] 3 事業運営全般リスク (10) 自然災害等の危機的な事象発生に関するリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、グローバル企業としての責任を果たし、企業理念を実現するため、事業活動から排出されるCO2排出量(スコープ1及び2)を2023年までにカーボンニュートラルにすることを目指しています。当社グループのカーボンニュートラル戦略は、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギー100%への切り替え、カーボンクレジットの調達の3つの施策から構成されています。2022年の実績は、スコープ1は1,745t-CO2、スコープ2(マーケット基準)は268,476t-CO2、再生可能エネルギーの比率は11.6%でした。各指標の実績は、毎年6月頃にコーポレートページに掲載のESGデータブックにおいて更新する予定です。

 

(4) 事業基盤(情報セキュリティとプライバシー)

当社グループは、情報セキュリティの確保を、経営上の最重要課題の一つに位置づけています。お客様の個人情報をはじめとする各種情報と、ソフトウエア等の情報システムから成る情報資産を適切に保護・管理し、情報セキュリティの継続的な維持・向上に努めています。

また、プライバシーは、テクノロジーの利用、イノベーションの促進、ステークホルダーの信頼獲得等、持続可能な「楽天エコシステム」の構築に欠かせない重要な要素であり、単なるコンプライアンス上の問題に限りません。全てのお客様に安心してサービスをご利用いただけるよう、当社グループはプライバシー対策の実施、強化、徹底に努めます。

 

① ガバナンス

CISO(Chief Information Security Officer、以下「CISO」)を委員長とする楽天グループ情報セキュリティ&プライバシー委員会を毎月開催し、情報セキュリティ及びプライバシーの要求事項等に準拠した体制を整えています。本委員会での主な協議事項は、コーポレート経営会議にて経営陣に報告しています。

情報セキュリティに関しては、リージョナルCISO、カンパニーCISO、グループ各社のCISOで構成されるCISOコミュニティを設け、グループ横断での情報セキュリティに関する議論や情報共有を行っています。

また、当社グループ内のプライバシーの状況を監督、モニタリングする専門の職位として、グローバルプライバシーマネージャーを任命しています。グローバルプライバシーマネージャーは、リージョナルプライバシーオフィサーと連携することにより、強固なプライバシーネットワークを構築し、当社グループに適用されるコンプライアンスの遵守状況とリスクの有無をモニタリングしています。

 

② リスク管理

情報セキュリティとプライバシーのリスク管理は「3 [事業等のリスク] 3 事業運営全般リスク (1) 情報セキュリティに関するリスク」をご参照ください。

 

 

③ 戦略

1) 情報セキュリティ

情報セキュリティ確保のため、以下の5つの方針を設け取り組んでいます。

1.情報セキュリティ体制の構築

2.情報資産の適切な管理

3.情報セキュリティ確保のための規定等の策定

4.法令・規範の順守

5.継続的な改善

 

・国際基準への準拠

情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO/IEC 27001に基づく社内規程を定め、当社グループ会社に適用し、情報セキュリティの維持に努めています。現在、ISO/IEC 27001認証の適用範囲は、当社グループ全体で44社となり、継続的な拡大を目指しています。

 

・情報セキュリティ教育

当社グループでは、全従業員を対象に情報セキュリティ教育を毎年実施しています。実際に発生したインシデントの事例等を交えて情報セキュリティの重要性への理解を深めることに加えて、受講者は社内規程の遵守を宣誓します。

 

・サイバーセキュリティの強化

セキュリティオペレーションセンター(SOC:Security Operations Center)やセキュリティ対策専門のチーム(Rakuten-CERT)の体制を整えてインシデントに備えているほか、サービス開発者へのセキュリティ教育、ソフトウエア開発プロセスへのセキュリティレビュー及び脆弱性検査と、開発プロセスの段階ごとにセキュリティに関する確認を組み込むことで、脆弱性を排したサービス開発体制を構築しています。

 

2) プライバシー

国内外のプライバシー法の遵守に加え、独自の運用基準を設けることで、法令要件を上回るプライバシー保護対策に取り組んでいます。全てのお客様に安心して楽天のサービスをご利用いただけるよう、「教育」、「透明性」、「信頼」に重点を置いています。

 

・拘束的企業準則(BCR)の導入

当社グループは拘束的企業準則(BCR:Binding Corporate Rules)と呼ばれる世界水準のプライバシー保護基準を導入しています。当社グループのBCRは、GDPRに基づきルクセンブルクにあるEUのデータ保護機関によって承認された拘束的企業準則及び英国一般データ保護規則(UK GDPR)に基づき英国のデータ保護機関によって承認された拘束的企業準則の2つで構成されています。BCRに準じたデータの取り扱いをすることによって、当社グループ全体で個人のプライバシーとデータの保護に取り組んでいます。

 

・ユーザーへの透明性の向上

当社グループのプライバシーへの取組や、関連情報を紹介する「プライバシーセンター」ページでは、グループ各社の個人情報保護方針、プライバシー保護やテクノロジーの理解に役立つ情報をお届けすることで、お客様自身にプライバシーについて考えていただく機会を提供しています。

 

・プライバシー教育

プライバシーの重要性を全従業員の共通意識として浸透させるために、プライバシー教育・啓発の専門チームを設け、グループの全従業員を対象とした年次の研修や入社時の研修に加え、国際的なデータ・プライバシーの日に合わせた啓発イベントを開催しています。

 

 

④ 指標及び目標

情報セキュリティとプライバシーに関する戦略を踏まえ、お客様が安心してサービスを利用できるような認証取得とサービスを提供する従業員への教育を重要と捉え、以下の指標の維持・改善を図っていきます。


*1 対象会社:24社
1. 楽天グループ(株) (*1)
2. ターゲット(株)
3. (株)楽天野球団
4. 楽天インサイト(株)
5. 楽天トラベルサービス(株)
6. 競馬モール(株)
7. 楽天コミュニケーションズ(株)
8. 楽天ソシオビジネス(株)
9. 楽天チケット(株)
10. (株)ケイドリームス
11. 楽天ヴィッセル神戸(株)
12. ハングリード(株)
13. 楽天ウォレット(株)
14. 楽天カー(株)
15. 楽天ビジネスサポート(株)
16. 楽天スクリーム(株)
17. 楽天エナジー(株)
18. リンクシェア・ジャパン(株)
19. 楽天ANAトラベルオンライン(株)
20. 楽天ステイ(株)
21. 楽天データソリューションズ(株)
22. 楽天ドローン(株)
23. 楽天トータルソリューションズ(株)(5/17~)
24. ワールドトラベルシステム(株)(10/18~)
(*1) ロジスティクスビジネス:販売部門のみ

*2 対象会社:23社
1. 楽天グループ(株)
2. (株)楽天野球団
3. 楽天インサイト(株)
4. 楽天トラベルサービス(株)
5. 楽天コミュニケーションズ(株)
6. 楽天ソシオビジネス(株)
7. 楽天チケット(株)
8. 楽天スーパーロジスティクス(株)
9. (株)ケイドリームス
10. 楽天インサイト・グローバル(株)
11. 楽天ヴィッセル神戸(株)
12. ハングリード(株)
13. Rakuten Direct Logistics(株)
14. (株)Monzen Corporation Japan
15. (株)エグゼクティブゴルフ
16. (株)クリップス
17. 楽天カー(株)
18. 楽天ビジネスサポート(株)
19. 楽天エナジー(株) 
20. リンクシェア・ジャパン(株)
21. 楽天ステイ(株)
22. 楽天ドローン(株)
23. ワールドトラベルシステム(株)