2024年5月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

医薬品事業 健康食品事業 化学品事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
医薬品事業 3,259 51.2 476 112.8 14.6
健康食品事業 834 13.1 -38 -9.0 -4.5
化学品事業 2,276 35.7 -16 -3.9 -0.7

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、1917年(大正6年)に売薬の製造販売を目的として創立して以降、医薬品をはじめとしたさまざまな事業に取り組んでまいりました。その結果現在は、医薬品・健康食品・化学品の3つの事業を軸に、長年培ってきた化学技術を活かし、製品・サービスを提供しています。

 

報告セグメント

製品カテゴリ

主要製商品・サービス

医薬品事業

医薬品合成・精製等

高カリウム血症改善薬用原薬、抗凝固薬用原薬

原薬の精製、異物除去

輸入原薬

抗てんかん薬用原薬、抗ヘルペスウイルス薬用原薬

その他

ラジオアイソトープ

健康食品事業

健康食品

スティックゼリー、Tパウチゼリー

化学品事業

イオン交換樹脂・分離膜

ムロマック®、レバチット®、デュオライト™

RO膜(逆浸透膜)、UF膜(限外濾過膜)、MF膜(精密濾過膜)

水処理装置

純水製造装置、分離・精製装置

受託加工

アミノ酸精製、AdBlue®製造

接着剤等機能材料の混合、分散、リパック

その他

水処理部材、機能性接着剤

 

 

(1) 医薬品事業

原薬(医薬品の有効成分)の販売・製造を主に行っております。

中国、インド、オランダなどの原薬メーカーから国内の製薬会社や医薬品商社の求める原薬を調達するほか、自社での原薬合成、原薬の異物除去や精製などの加工を行い販売しています。自社内で日本薬局方に基づいた試験・分析ができる体制も持っており、原薬の輸入・製造・加工・分析・試験と、原薬のトータルサービスを提供しています。

当社は、原薬商社としての機能と原薬メーカーとしての機能をあわせ持ちます。商社としての経験から原薬製造のための原料や中間体を海外メーカーから直接調達でき、メーカーとしての経験から自社試験による時間短縮・コスト削減、開拓した調達先の品質向上指導などにより付加価値を高めることができます。

 

① 医薬品合成・精製等

本社工場に医薬品合成工場を有し、原薬の製造を行っております。また、海外から輸入した原薬の精製や異物除去などの加工や医薬品と同等の環境で製造を必要とする化成品(医薬品の添加剤など)の製造も行っております。

 

② 輸入原薬

中国、インド、オランダなどの原薬メーカーから国内製薬会社の求める原薬を調達し販売しております。

 

③ その他

医薬品や農薬の研究等に使用されるラジオアイソトープ(注)の輸入販売や保管サービスを行っております。

(注)放射性同位元素。放射線を出す性質のある元素であり、化合物の追跡や分析に使用される。

 

(2) 健康食品事業

事業開始当初より、主にスティックゼリータイプの健康食品の企画・製造を行っております。健康食品の通信販売を行う会社や健康食品メーカーなどからの受託製造を主に行っており、商品設計から関わるODM(注)が大多数を占めています。当社は、長年の経験から得た高度なマスキング(味や匂いを包み隠す)技術を有しております。健康・美容成分は苦みや匂いのためそのままでは摂取しづらいケースもありますが、味や香り、食感などを調整し、食べやすく美味しい製品として提供しております。

(注)Original Design Manufacturingの略。発注元企業のブランド名で販売される製品の生産のみを行うOEM(Original Equipment Manufacturing)に対し、ODMは企画や設計、製造までを行う。

 

(3) 化学品事業

液体処理関連製品の販売・加工を主に行っており、主力製品はイオン交換樹脂及び分離膜です。

イオン交換樹脂や分離膜は、純水(不純物を含まない水)の製造をはじめ、液体の精製、濃縮、脱色、金属回収など様々な用途に活用されています。

当社は、国内外のメーカーから様々な性能のイオン交換樹脂や分離膜を仕入販売するほか、用途に合わせて洗浄や加工などを行い、主に国内の化学メーカーや機械メーカー、商社などへ販売しています。

また、イオン交換樹脂や分離膜の再生処理も行っています。

当社は、純水製造以外の用途の液体処理案件への対応を得意としています。自社内の分析・開発部門で、イオン交換樹脂や使用する液体の分析・試験ができ、長年培ってきたノウハウがあります。さらに様々なメーカーからの商品調達に加え、自社で保有する設備を使用して加工をすることで、顧客の求める処理に最適な製品の選定や使用方法の提案を行うことに努めています。

 

① イオン交換樹脂・分離膜

イオン交換樹脂はイオン交換(物質中のイオンと溶液中のイオンを入れ替える)機能を持つ合成樹脂であり、純水の製造や排水中の重金属除去など様々な分野に使用されています。ランクセス社製のレバチット®やデュポン社製のデュオライト™をはじめとした様々なメーカーのイオン交換樹脂に加え、顧客の要求に合わせ、当社で加工をしたイオン交換樹脂の販売を行っております。国内でも数少ないイオン交換樹脂の再生・乾燥・粉砕等の加工設備を保有しており、顧客のニーズにあった処理を行うことができます。

分離膜は細孔の空いた膜で、用途に合わせた孔径の膜を使用し濾過や濃縮などを行うことができます。各種メーカーの分離膜を販売するほか、分離膜の再生・洗浄も行っております。

 

② 水処理装置

イオン交換樹脂や分離膜を組み込んだ水処理装置の設計・製造を行っております。

 

③ 受託加工

当社の製造設備を使用し、顧客から預かった溶液の精製処理のほか、ディーゼル車の排気ガスを浄化するAdBlue®の製造を行っております。また、機能性接着剤(導電性、速乾性、紫外線硬化などの機能を持った接着剤)などの混合及び分散(粉体の粒径が揃い、流体や他の成分中へ均一に混ざること)、使用する分量で小分けするなどのリパック加工も行っております。

 

④ その他

水処理に使用される消耗品や試験用の部材の販売を行っております。また、工業用アロンアルフア®をはじめとした機能性接着剤の販売、主に電子産業向けに帯電防止フィルム(静電気の蓄積を防ぐフィルム)やクリーンルームで使用する消耗品などの販売も行っております。

 

 

事業の系統図は、次のとおりであります。

 


 

 

業績

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う行動制限が緩和され、経済社会活動の正常化が進むに従い、緩やかに持ち直す傾向にありました。一方、世界経済においては、ウクライナ情勢の長期化や中東での紛争を一因とする燃料価格及び原材料価格の高騰や旺盛な需要を背景としたインフレの更なる進行が、景気減速のリスクとして顕在化してきました。このような世界情勢に伴う更なる円安傾向は、わが国におけるエネルギー・原料価格の高騰に拍車をかけ、わが国経済の先行きは不透明さを増しつつあります。

このような状況の下、当社は「健康」と「環境」をテーマに社会に貢献するべく、「中期経営計画2025」の実現に向け、開発強化や収益性改善に取り組んでまいりました。

その結果、当事業年度における経営成績は、売上高6,369,097千円と前年同期と比べ77,718千円1.2%増)の増収、営業利益421,837千円と前年同期と比べ52,424千円14.2%増)の増益、経常利益428,106千円と前年同期と比べ77,216千円22.0%増)の増益、当期純利益は330,197千円と前年同期に比べ73,894千円28.8%増)の増益となりました。

 

セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。

① 医薬品事業

原薬等の自社製造品におきましては、既存主力品の販売が引き続き好調なことに加え、当事業年度に立ち上げた複数の新製品も寄与し、前事業年度の売上を大きく上回りました。しかしながら、主力の抗てんかん薬用原薬の一時的な需要増が収束し、輸入原薬の売上が落ち込んだため、事業全体としては売上が減少しました。また、行動制限解除に伴う海外渡航の再開を含めた営業活動の正常化と開発センターの移転・拡張を含む開発への積極的な投資により、販売費及び開発費が増加しました。

その結果、医薬品事業における売上高は3,258,516千円と前年同期と比べ266,796千円7.6%減)の減収、営業利益は475,903千円と前年同期と比べ63,279千円11.7%減)の減益となりました。

 

② 健康食品事業

減少傾向であったOEM主力品の受注量が回復したことに加え、2月に販売を開始した新規の大型OEM案件も寄与し売上が増加しました。また原価率については、工場稼働率向上による製造効率の改善と、原料仕入価格の高騰分について販売価格への転嫁を進めたことにより、期中において改善傾向にあります。しかしながら、販管費を吸収するには至らず営業損失となりました。

その結果、健康食品事業における売上高は834,465千円と前年同期と比べ176,752千円26.9%増)の増収、営業損失は37,791千円(前年同期は120,257千円の営業損失)となりました。

 

③ 化学品事業

医薬品及び化学品工場向けの新規販売など、イオン交換樹脂の伸長を主因として売上が堅調に推移しました。また、大型装置の販売も売上増加に寄与しています。一方、展示会等への積極参加や新規の海外案件獲得のための営業活動等により販売費が増加した結果、営業損失となりました。ただし、売上の増加と売上構成の変化により原価率は徐々に改善してきており、下期については営業損益がプラスに転じています。

その結果、化学品事業における売上高は2,276,115千円と前年同期と比べ167,763千円8.0%増)の増収、営業損失は16,273千円(前年同期は49,511千円の営業損失)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べて110,956千円増加し、5,059,267千円となりました。

① 流動資産

電子記録債権214,135千円減少商品及び製品158,483千円減少現金及び預金197,820千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて101,474千円減少し、3,480,521千円となりました。

 

② 固定資産

投資有価証券176,485千円増加建設仮勘定142,944千円増加繰延税金資産87,866千円減少したことなどから、前事業年度末に比べて212,430千円増加し、1,578,745千円となりました。

 

③ 流動負債

短期借入金490,000千円減少買掛金201,339千円減少1年内返済予定の長期借入金127,180千円増加その他の流動負債が124,411千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて462,614千円減少し、1,592,921千円となりました。

 

④ 固定負債

長期借入金227,100千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて217,578千円増加し、1,195,125千円となりました。

 

⑤ 純資産

繰越利益剰余金255,662千円増加したことなどから、前事業年度末に比べて355,991千円増加し、2,271,221千円となりました。

その結果、自己資本比率は44.9%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は1,050,427千円となり、前事業年度末に比べ197,820千円増加しました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、637,701千円の収入(前年同期は317,189千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益468,586千円、減価償却費136,187千円、売上債権の減少額221,635千円などによるキャッシュの増加、仕入債務の減少額279,573千円などによるキャッシュの減少によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、232,230千円の支出(前年同期は162,408千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出225,495千円、投資有価証券の取得による支出58,425千円、保険積立金の解約による収入68,305千円などによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、209,954千円の支出(前年同期は172,390千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,400,000千円、長期借入金の返済による支出1,045,720千円、短期借入金の返済による支出490,000千円、配当金の支払いによる支出74,488千円などによるものです。

 

 

(4) 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

医薬品事業

784,358

117.0

健康食品事業

609,616

113.0

化学品事業

1,046,909

105.6

合計

2,440,884

110.9

 

(注) 金額は、製造費用によっております。

 

(5) 受注実績

当社は一部受注実績の記載になじまない商材があるため、当該記載を省略しております。

 

(6) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

医薬品事業

3,258,516

92.4

健康食品事業

834,465

126.9

化学品事業

2,276,115

108.0

合計

6,369,097

101.2

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

第77期事業年度

(自 2022年6月1日

 至 2023年5月31日

第78期事業年度

(自 2023年6月1日 

 至 2024年5月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

不二化学薬品株式会社

766,559

12.2

873,642

13.7

 

 

(7) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

当事業年度における経営成績の状況の概要は「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりでありますが、主要な表示科目に沿った認識及び分析は次のとおりであります

 

・売上高

当事業年度における売上高は、6,369,097千円と前年同期と比べ77,718千円の増収1.2%増)となりました。医薬品事業で輸入原薬の取引量が減少したものの合成等の自社製造品の売上が増え、健康食品事業のOEM製品や化学品事業でのイオン交換樹脂の販売が好調に推移しました。

 

・売上総利益

当事業年度における売上総利益は、1,854,811千円と前年同期と比べ102,754千円の増益5.9%増)となりました。医薬品事業で自社製造品が伸長したことや、健康食品事業や化学品事業で工場稼働率が向上したこと等により、利益率が上昇しました。

 

・営業利益

当事業年度における営業利益は、421,837千円と前年同期と比べ52,424千円の増益14.2%増)となりました。人件費の増加に加え、荷造運賃の増加及び活動制限の緩和に伴う営業活動の活発化や、医薬品開発センター移転に伴う費用により、販売費及び一般管理費合計は1,432,973千円と前年同期と比べ50,329千円の増加3.6%増)となりました。

 

・経常利益

当事業年度における経常利益は、428,106千円と前年同期と比べ77,216千円の増益22.0%増)となりました。

 

・当期純利益

当事業年度における当期純利益は、330,197千円と前年同期と比べ73,894千円の増益28.8%増)となりました。役員保険の解約により、保険解約返戻金を計上しています。

 

経営成績等の状況を踏まえた、経営方針及び課題への取り組みについては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態の分析

財政状態の分析・検討内容については、「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。これらの短期及び長期的な必要資金は自己資金や金融機関からの借入金を中心とし、金融商品等での運用や投機的な取引を行わないことを基本としています。金融機関からの借入金については、取引金融機関との間で運転資金として借入枠総額2,200,000千円のコミットメントライン契約(対3社)及び借入枠総額300,000千円の当座貸越契約(対2社)を締結し、安定的な資金調達の体制を構築しております。

 

資金の流動性については、事業計画、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じて外部資金の調達を行うことにより維持していきます。なお、通常時は、月商の1.5倍を目安に現預金の残高を確保することとしております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の課題について

経営者の問題意識と今後の課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び優先的に対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標達成を判断するための客観的指標等については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中期経営計画」に記載しております。