人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数110名(単体) 3,630名(連結)
-
平均年齢43.7歳(単体)
-
平均勤続年数8.8年(単体)
-
平均年収9,377,000円(単体)
-
平均年収の
対前年増減率5.9%(単体)
従業員の状況
人材戦略に関する基本方針等
(1) 【人材戦略に関する基本方針等】
当社グループは、企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」のもと、ジェネリック医薬品事業を中核として、人々の健康への貢献と持続可能な社会の実現を目指しております。この実現に向けた長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」の内容、2026年度(2027年3月期)を最終年度とする中期経営計画「Beyond 2027」の詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において、当社グループが判断したものであります。
<ガバナンス>
当社グループは、人的資本を中期経営計画「Beyond 2027」の実現を支える重要な経営基盤と位置づけております。「信頼される企業基盤の確立」を土台とした持続的成長と企業価値の向上を推進するため、必要な人財の確保・育成・活躍支援を全社的かつ継続的に管理・監督する体制を構築しております。
取締役会は、人事戦略に関する基本方針及び人的資本投資の状況について審議・監督を行っております。人的資本に関するリスクや機会、重要施策の進捗について、後述する「人財戦略会議」から定期的に報告を受け、経営戦略との整合性を担保しております。
人的資本の価値最大化に向けた実質的な審議機能として、「人財戦略会議」を設置しております。人財戦略会議は、部門ごとの個別最適ではなく、グループ全体最適の観点から人財課題を議論することを目的としております。
・役割と審議事項:全社的な視点で人事戦略の策定・具体化を行い、主要な審議事項として、人財に関する新たな企画、サクセッションプラン(後継者計画)、育成目的のローテーション、全社的な評価調整、昇格候補者の検討等を取り扱っております。
・構成メンバー:会長及び社長、主要事業会社の経営陣、各本部長、担当役員及び人事担当役員等が参画し、必要に応じて関係役員、子会社社長及び部門長等が参加する体制としております。経営層が直接関与することで、事業運営と人財育成、組織課題を一体的に捉えた迅速かつ多角的な意思決定を行っております。
・報告ライン:本会議における審議内容や決定事項のうち、経営上の重要事項については、適宜取締役会へ付議または報告を行う体制としております。
<戦略>
1. 人事戦略のありたい姿と基本方針
当社グループは、中期経営計画「Beyond 2027」に掲げる経営戦略の実現に向け、人財を最も重要な経営資源の一つと位置づけております。人事理念「個を育て、個を活かす」のもと、「従業員がイキイキとする活気ある会社」を人事戦略のありたい姿とし、従業員一人ひとりの成長が組織の活力と企業価値向上に直結する状態を目指します。この認識のもと、以下の3点を人事戦略の基本方針としております。
①経営戦略に連動した人財の確保・育成: 採用から処遇に至る各施策を一体的に運用し、中長期的な視点で人財基盤を強化する。
②多様な人財の活躍支援: 多様性を尊重し、従業員が成長意欲と働きがいを持って能力を最大限発揮できる環境を整備する。
③データに基づく戦略的人事マネジメントへの進化: 属人的な運用を脱し、全社視点かつ客観的データに基づいた人財投資の最適化を図る。
2. 経営戦略を実現する「必要人財」の定義
当社グループは、重点テーマである「信頼される企業基盤の確立」や「ジェネリック医薬品事業の持続性確立」「成長分野への継続投資」を支えるため、以下の人財を重点的に確保・育成すべき「必要人財」と定義しております。
3. 人事戦略の3本柱
上記の必要人財を充足し、その価値を最大化するため、以下の3つの柱を体系的に推進しております。
① 人財強化施策
経営戦略の実行主体である人財の質と厚みを高めるため、以下の施策を展開しております。
(1)計画的な登用・育成: 育成目的のローテーションを活性化させるとともに、次世代リーダーを選抜し、具体的な育成計画に基づく継続的な研修を実施します。特に管理職についてはあらゆる事業活動において中核となる人財であると認識し、全社的視点での検討を行い、共通の育成の仕組みを構築してまいります。
(2)ID&Eの推進: 女性・障がい者・LGBTQ等を含む多様な人財の活躍を推進することにより、企業競争力の強化、組織エンゲージメントの向上、企業価値・ブランドイメージの向上を目指します。
(3)賃金の適正な配分の推進:外部市場水準を反映した処遇体系の整備や、役割と成果に報いる報酬制度への展開を検討し、優秀な人財の確保・定着を推進してまいります。
② 就労上の環境整備
従業員の働きがいとモチベーションを向上させるため、働く環境の整備とキャリア形成支援を一体的に進めております。
(1)主体的なキャリア形成: 社内公募制度やキャリアデザイン研修等を通じ、従業員本人の主体的な意思を尊重した育成機会の提供を行っております。
(2)両立支援と健康経営: 育児・介護休業制度の活用や在宅勤務制度の推進により、ライフイベントに起因する離職やキャリア中断を防止しております。また、従業員が心身ともに健やかに働けるよう、健康診断後のフォロー体制やメンタルヘルスケアの強化を通じ、健康リテラシーの醸成を図っております。
③ 人事戦略基盤の強化
人事戦略を支える基盤を盤石なものとするため、以下の運営体制を整備します。
(1)人財戦略会議の運用:重要な人事戦略を全社的な視点で検討・策定し、それらを着実に具現化するための審議を行っております。
(2)タレントマネジメントシステムの活用: 全ての人事データを集約し可視化することで、客観的データに基づく適材適所の配置や後継者計画の策定、人財ポートフォリオの最適化を推進します。
4. 人事戦略の推進により目指す姿
当社グループは、これらの取り組みを通じて、品質文化の定着、安定供給を支える現場力の強化、及び経営人財の育成を加速させます。エンゲージメント指標の向上や離職率の低減、多様な人財の活躍促進を重要課題として進捗管理を行い、持続的成長を支える人的資本の価値最大化を図ってまいります。
<リスク管理>
1. リスク管理体制と基本的な考え方
当社グループは、人的資本に関する課題を中期経営計画「Beyond 2027」の実現を左右する重要な経営課題と認識しております。人的資本のリスク及び機会の管理にあたっては、人事部門が各本部から収集した情報を集約し、「人財戦略会議」において全社的な視点から識別・評価・モニタリングを行う体制を構築しております。単一の指標にとどまらず、人財ポートフォリオ、専門性、マネジメント力、職場環境、人財データの整備状況などを総合的に勘案し、部門最適ではなく全社最適の観点からリスク低減を図っております。
2. リスクの識別・評価
リスクの識別にあたっては、主として以下の3つの観点から検討し、経営戦略への影響度、発生可能性、緊急性を踏まえて優先順位付けを行っております。
①人員構成の妥当性: 現場人財(製造・品質保証・品質管理等)や重要職種の確保、特定部門への人財偏在、属人的な運用の解消。
②能力・スキルの充足度: 専門人財(研究開発・薬事・生産技術等)の確保、次世代リーダー及び経営人財の育成状況、評価・配置運用の適正性。
③定着と活躍を促す環境: エンゲージメント、離職状況、両立支援・健康経営の推進、ID&Eの浸透度。
特に、品質文化の定着や安定供給に直結する「現場力・管理職の強化」及び「経営人財の計画的育成」は、事業継続に与える影響が大きい最重要事項として重点管理しております。
3. モニタリングと戦略への反映
識別したリスクについては、定量・定性の両面から継続的にモニタリングし、人事戦略の各施策(人財強化・環境整備・基盤強化)に適時反映しております。
4. 今後の取り組み
今後、タレントマネジメントシステムの高度化により人財データの可視化をさらに進め、リスクの把握と対応力を高めてまいります。経営環境の変化に応じ、リスクと機会を継続的に見直すことで、経営戦略と整合した人的資本マネジメントの実効性を向上させてまいります。
<指標・目標>
1. 指標設定の考え方
当社グループは、人事戦略の実効性を高めるため、「従業員がイキイキとする活気ある会社」というありたい姿の実現と、品質・安定供給・成長投資を支える人的基盤の強化を軸に指標を設定しております。特に、エンゲージメントの向上、離職率の低減、多様な人財の活躍を最重要の成果指標(KPI)と位置づけ、これらを補完する各施策の進捗指標とともに、人財戦略会議において継続的にモニタリングしております。
2. 人的資本に関する主要指標と実績
主要な成果指標及び人事戦略の3本柱(人財強化、環境整備、基盤強化)に紐づく補完的指標の状況は以下のとおりです。
3. 指標の活用と今後の展開
当社グループは、これらの指標を単なる人事管理のツールではなく、経営戦略の進捗を支える重要指標として位置づけております。
①PDCAサイクルの回動: 指標の進捗を継続的に確認し、必要に応じて人事施策や制度運用の見直しを行うことで、戦略の実効性を高めてまいります。
②指標体系の拡充: 今後は、品質・安定供給を担う重要職種の充足率、次世代リーダーの育成状況、後継者計画の充足状況など、経営戦略との連動性をより精緻に測定する指標の拡充を図ります。
③データ基盤の高度化: タレントマネジメントシステムの活用により人財データを全社的に可視化し、人財投資に対する効果検証の精度を向上させてまいります。
以上の取り組みを通じて、人財の確保・定着・活躍を推進し、持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。
<従業員給与等の決定方針>
1. 基本的な考え方
当社グループは、従業員給与を単なる労務コストではなく、経営戦略の実現を支える「人的資本への重要な投資」と位置づけております。人事理念「個を育て、個を活かす」のもと、従業員一人ひとりの役割、能力、成果及び成長への期待を適切に反映し、「成果を上げた人に報いる」納得感のある処遇を実現することを基本方針としております。
2. 給与体系と評価・昇格との連動
当社グループの給与体系は、役割・等級・能力に基づく「基本給」と、会社業績及び個人の成果に応じた「賞与」、及び諸手当により構成されています。
3. 戦略上の重要テーマ
① 必要人財の確保・定着に向けた処遇
品質・安定供給を支える人財や高度な専門性を有する人財については、労働市場環境を注視し、競争力のある処遇を提示するように努めております。また、入社時のみならず、中長期的な定着と成長意欲を維持できる処遇運用となるように注視しております。
② 管理職処遇の最適化
管理職は経営戦略実行の中核を担うことから、その役割と責任の重さにふさわしい処遇のあり方を重要課題としております。現在、マネジメント力の強化と人財登用の納得性向上を目的に、「役割と報酬の連動性をより高める給与体系への見直し」を検討しております。
4. 人事戦略との一体運用と今後の展望
給与決定方針は、人事戦略の3本柱(人財強化、環境整備、基盤強化)を支える基盤です。適正な処遇を通じて挑戦意欲を醸成し(人財強化)、納得感のある評価を通じてエンゲージメントを高め(環境整備)、データに基づいた公正な運用を徹底する(基盤強化)ことで、人的資本投資の効果を最大化させます。
今後も経営環境の変化や採用競争力の動向を踏まえ、人的資本の価値向上に直結する、より実効性の高い給与体系への進化を図ってまいります。
(2) 【従業員の状況】
① 連結会社の状況
(注)1.当社グループは医薬品等の製造及び販売の単一セグメントであるため、グループ全体での従業員数を記載しております。
2.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。
② 提出会社の状況
(注)1.当社は医薬品等の製造及び販売の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はしておりません。
2.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。
3.平均勤続年数については従前の沢井製薬からの勤続年数を引き継いで計算しております。
4.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
③ 最大人員会社の状況
当事業年度における従業員数が最も多い会社
沢井製薬㈱
(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
④ 労働組合の状況
当社グループには「化学一般・沢井製薬労働組合」があり、一部の連結子会社を含め労働組合は日本化学エネルギー産業労働組合(JEC連合)にも加盟しております。
労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。
⑤ 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
ア 提出会社
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表をしていないことから記載を省略しております。
イ 連結子会社
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、2026年4月1日時点で算出したものであります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等の取得割合を算出(「2025年度中に育児休業等及び育児を目的とした休暇制度を取得した男性労働者数」÷「2025年度中に配偶者が出産した男性労働者数」)したものであります。なお、前連結会計年度に配偶者が出産した労働者が、当連結会計年度に育児休業等及び育児目的休暇を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
3.男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであり、賃金制度における性別による処遇の差はなく、同等の役割であれば大きく賃金の差異が生じることはありません。なお、賃金は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、通勤手当等を除く、平均年間賃金を用いております。
4.正規雇用労働者のうち出向者については、当社グループと当社グループ外における出向者及び出向受入者を除き、当社グループ内においては出向先の会社に含んでおります。
5.有期契約社員、パートタイマーを含み、派遣社員は除いております。
6.「労働者の男女の賃金の差異」の「うちパート・有期労働者」には、高度な技能、技術等を有し、かつ、特別な任務を担当する契約社員は除いております。
7.正規社員の男女の賃金の差異の主な要因は、男女の管理職比率の差が影響しています。男女の賃金差異の解消に向けて、採用において女性比率を高めているほか、年齢や性別に関係なく能力による登用を行い、女性活躍推進の取り組みに注力しております。女性管理職比率の目標(2027年度末までに女性管理職比率15%以上)を目指す中で、中長期的には賃金の差異は縮小していくものと見込んでおります。具体的な取り組みについては、「5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。
今やジェネリック医薬品は医療においても必要不可欠なインフラとなり、その公共性は極めて高くなりました。当社グループは、中核事業であるジェネリック医薬品の提供を通じて、患者さんの医療へのアクセス向上と医療財政の健全化に貢献することが最大の社会貢献であり、当社の存在意義であると考えています。
近年、医薬品全体で生じている供給不安を踏まえ、患者さんや医療関係者を始めとするステークホルダーの皆様に安心してご使用いただけるように取り組んでいる事項、例えば、高品質の原薬の確保、生産人員をはじめとする雇用・人財育成、省エネかつ低炭素排出の製造機器の導入、健康的な職場環境の整備等は、サステナビリティの取り組みと密接に関連しております。
(基本的な考え方)
1.当社グループにとって、「健全な社会の存在とその持続的(サステナブル)な発展」こそがその存立の基盤である。
2.「持続可能な社会の実現」のために、当社グループが必要な存在(=「社会の公器」)であると認められ、かつ、当社グループがすべてのステークホルダーとの間でしっかりとした信頼関係を継続できてこそ、当社グループのサステナビリティが実現できる。
3.社会は絶えず変化するものであり、当社グループも社会の変化に即応して絶え間ない進化を遂げることにより、サステナブルな存在であり続けることができる。
(基本方針)
1.「なによりも健やかな暮らしのために」という企業理念のもと、事業そのものを通じて、人々の健やかな暮らしと優れた医療制度等の維持・発展に貢献することで、サステナブルな社会実現の一翼を担うこと。
2.患者さん・生活者、医療機関等ヘルスケア従事者、取引先、社員、株主、地域社会、地球環境など、すべてのステークホルダーとの継続的なエンゲージメント(相互信頼に基づく絆の構築)に努めること。
3.当社グループがサステナブルな存在であり続けるために、創造性を追求し、社会とともに絶え間ない進化を遂げること。
この基本方針に沿って、当社グループで進めるサステナビリティに関する取り組みは次のとおりであります。
(1) サステナビリティ共通
当社グループの企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」には、ジェネリック医薬品事業を中核に、社会とともに持続的に発展するヘルスケア企業グループとして、ひとりでも多くの人々の健康に貢献していきたいという願いを込めています。この実現のため、当社グループが取り組むべきテーマがサステナビリティの推進であり、気候変動及び生物多様性への取り組みやダイバーシティ&インクルージョンの推進、コーポレート・ガバナンスの強化などについて、定期的に取締役会及びグループサステナビリティ委員会等で議論しております。
<ガバナンス>
サステナビリティは、環境、社会、従業員、人権の尊重、贈収賄・腐敗防止、ガバナンス、サイバーセキュリティ、データセキュリティ等、多岐にわたる重要課題を包含することから、当社ではテーマごとにグループサステナビリティ委員会、グループリスクマネジメント委員会、グループコンプライアンス委員会、グループ情報セキュリティ委員会等を設置し、全社的なサステナビリティ推進体制を構築しています。これらの委員会は、各テーマを所管する部門の担当役員を委員長とし、グループ各社の代表者等で構成され、サステナビリティに関する課題の特定、施策の検討及び実行状況の評価を行っています。
取締役会は、これらの委員会の活動を通じて特定されたサステナビリティ関連のリスク、機会、戦略及び目標に対する達成状況等について、少なくとも年1回の報告を受け、重要施策や対応方針等の承認を行うことで監督責任を果たしています。加えて、委員会での協議内容や対応状況については、必要に応じて経営会議等での議論を経て取締役会に報告され、経営層との間で議論や意見交換が行われるほか、委員会を通じて各担当部門へ経営層からのフィードバックがなされ、改善される仕組みになっています。こうしたプロセスを通じて、取締役会はサステナビリティに関する意思決定や施策の実行に対する適切な統制と監督を実現しています。
また、これらの取り組みを統括・支援するため、グループサステナビリティ推進部を設置しており、担当役員のもと、全社方針の策定、KPIの設定とモニタリング、各委員会・各社との連携、情報収集・共有などを担う実務部門として機能しています。グループサステナビリティ推進部は、各委員会と連携しながら、施策の実効性を高めるとともに、全社的なサステナビリティ推進を着実に進めています。
<サステナビリティに関する取締役会への報告内容>
<戦略>
当社グループでは、企業理念やグループビジョンのもと、「ジェネリック医薬品を通じて、すべての人々の健康に貢献する」という社会的使命を果たすとともに、環境・社会・経済に対する影響を踏まえたサステナビリティ経営を推進しています。その一環として、様々な社会課題の中から、当社グループが中長期的に優先して取り組むべき重要な課題(マテリアリティ)を特定し、持続的成長の実現と企業価値の向上につなげています。
マテリアリティごとに目指す姿や中期的な目標を設定し、これらを新たな中期経営計画に戦略として反映することで、経営とサステナビリティの一体化を図っています。また、マテリアリティに関する取り組み状況は、関係部門の連携のもとグループサステナビリティ委員会にて定期的に確認し、PDCAを通じて実効性のある対応に取り組んでいます。
2024年度からの新中期経営計画の策定にあたっては、「ステークホルダーの関心」と「当社グループにとっての重要度」の双方を踏まえ、マテリアリティの見直しを行いました。その結果として、2023年度に「価値創造につながるマテリアリティ」と「持続的成長の基盤となるマテリアリティ」の観点から整理及び見直しを行ったマテリアリティは、2025年度も継続させることを確認しました。
マテリアリティの特定にあたっては、外部評価や国際ガイドラインも参照しながら、次のステップで進めました。
STEP1:課題のリストアップ
SASBスタンダード(バイオテクノロジー・医薬品)、GRIスタンダード、SDGsなどの国際的イニシアチブ、並びに当社グループの企業理念・行動基準、事業特性やバリューチェーンに基づいて、ESGの各観点からグループサステナビリティ委員会メンバーによるワークショップを行い、中長期的な企業価値に関連する課題を抽出しました。
STEP2:課題の抽出と重要度評価
STEP1でリストアップした課題を、「ステークホルダーの関心」と「当社グループにとっての重要度」の2軸で評価・マッピングし、影響度の大きい領域を「価値創造につながるマテリアリティ」と「持続的成長の基盤となるマテリアリティ」に分類・評価しました。
STEP3:妥当性の確認と戦略への反映
特定されたマテリアリティに対しては、それぞれに関連する目標・取り組み・モニタリング指標を設定し、グループサステナビリティ委員会にて妥当性を検証。経営陣との議論を経て、取締役会で承認されたうえで、中期経営計画へ戦略として統合しました。
今後も、社会課題やステークホルダーの期待の変化に応じてマテリアリティの見直しを行いながら、企業としての責任を果たすとともに、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長を両立させてまいります。
<リスク管理>
当社グループでは、収益や損失に影響を与えると考えられる事象発生の不確実性をリスクと定義し、これらを低減・回避・移転、戦略的保有するためのリスクマネジメント体制を整備しています。
全社的なリスク管理は、グループリスクマネジメント委員会が統括しており、各部門や関連委員会と連携しながら、当社グループを取り巻く環境を踏まえたリスク及び機会の洗い出しと現状分析を行っています。これらのリスク及び機会については、過去の発生事実、他社事例その他様々な公開資料を参考に、発生頻度と事業に与える影響度の二軸で評価を行い、グループ全体として重要性の高いものを合理的と考えられる範囲で特定します。特定された事項に関しては、各担当部門が対応策を策定し、その進捗状況や有効性を定期的にモニタリングし、継続的な改善に取り組んでいます。これらの状況は、グループリスクマネジメント委員会での審議を経て、年1回、取締役会に報告され、経営層による監督の下で適切な統制が図られる体制を構築しています。
主要なリスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
また、サステナビリティ課題に係るリスク及び機会についても、全社的なリスク管理の枠組みの中で特定・評価・管理・対策等の対応を行っています。具体的には、当社が特定したマテリアリティのうち、「環境に配慮した事業」「働き方・働きがい・人権尊重」「コーポレート・ガバナンス」「人財育成」などの領域は、対応を誤ると企業価値の毀損につながる重大なリスクであると同時に、適切に対応することで新たな機会の創出につながる可能性を持った重要分野であると認識しています。
例えば、生活に必要なインフラとしてのジェネリック医薬品の社会的役割の拡大に伴い、当社が医療アクセスの向上に貢献し続けることによって、ステークホルダーからの信頼獲得につながる可能性があります。また、安全・品質管理を徹底し、信頼性の高い医薬品を安定的に供給することで、顧客ロイヤリティの向上につながります。さらに、CO2排出量の削減などの環境対応は、社会的責任を果たす企業としてのブランド価値向上にも寄与します。
こうした機会の特定と対応にあたっては、グループサステナビリティ推進部が中心となり、関係部門と連携しながら横断的な情報共有や取り組み状況の把握を行っています。これにより、サステナビリティに関するリスクと機会を包括的に捉え、持続可能な成長に資するマネジメントを推進しています。
<指標及び目標>
当社グループが特定したサステナビリティ重点課題(マテリアリティ)に対し、それぞれの目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取り組みを推進しております。「気候変動」及び「人的資本」に関する目標及び実績は、それぞれの項目をご確認ください。
(2) 気候変動
気候変動が社会や経済にもたらす影響は大きく、当社グループに重大な財務的影響を与える可能性があるため、気候変動への対応を当社グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の1つと捉えております。そのため、当社は、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2021年9月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。
当社グループは、パリ協定を始めとする国際的方針、日本国が決定する貢献(NDC)や気候変動に関連する法規制や政策を支持し、温室効果ガス排出量の低減に取り組むとともに、TCFDの開示枠組みに沿った情報開示を行ってまいります。
<ガバナンス>
当社グループでは、環境課題への対応を企業の重要な責務と位置づけ、取締役会の監督のもとでサステナビリティに関する体制を整備・運用しています。気候変動への対応や生物多様性の保全、ネイチャーポジティブの達成に対する責任は、グループCOO(GCOO)及びグループサステナビリティ推進部担当役員に割り当てられており、取締役会がその職務執行状況を監督しています。
執行面では、GCOO、統括役員、担当役員及びグループ各社の代表者で構成される「グループサステナビリティ委員会(以下、委員会)」を設置し、年4回の開催を通じて、気候変動課題やその他の自然関連課題を含むサステナビリティ全般に関する方針や施策について協議・検討を行っています。委員長はグループサステナビリティ推進部担当役員が務め、委員会の審議内容は取締役会へ年1回以上定期的に報告されます。また、取締役会からの指示・助言を受けながら、必要な意思決定を迅速に行う体制としています。
委員会の下部組織として、グループ各社の実務担当者で構成される「地球環境チーム」を設置し、省エネルギーや再生可能エネルギーの導入、温室効果ガス排出量の削減等の気候変動対応と生物多様性の保全及び復興を含む環境課題への具体的な施策を推進しています。同チームは四半期ごとに委員会へ報告を行い、委員会からの指示や助言をもとに取り組みや改善活動を継続しています。
なお、グループにおいてCO2削減効果の高い設備投資を促進することを目的として、2024年度に導入を決定したインターナルカーボンプライシング(以下、ICP)について、2025年度より運用を開始しました。定期的な見直しと委員会による承認を通じて、グループ全体の意思決定への活用を推進しています。
<戦略>
当社グループは、企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」及び中核企業である沢井製薬の企業理念「なによりも患者さんのために」のもと、ジェネリック医薬品の製造販売を主たる事業として展開しています。人々の生命と健康に深く関わる事業を担う企業として、医薬品やヘルスケアサービスの安定供給を果たしつつ、気候変動リスクにも対応していくことが極めて重要な責務であると認識しています。
一方、事業活動の拡大に伴い、当社グループにおける温室効果ガスの排出量も増加傾向にあります。当社では、短期的には原単位ベースでの排出量削減、中長期的には再生可能エネルギーの導入なども含めた排出量削減の取り組みを進めており、気候変動への対応と事業の持続的成長の両立を図っています。
こうした認識のもと、当社グループではサステナビリティ課題への対応を経営の重要テーマと位置づけ、日本国のNDCも念頭に2030年度及び2050年に向けたCO2排出量削減目標を中期経営計画に明記しております。これらの目標に向けた具体的施策として、省エネルギー設備への更新や、再生可能エネルギー電力の活用検討、また排出量の削減効果を定量的に把握し投資判断に活かすため、ICPを設定し、省エネ投資に反映する仕組みを整えています。ICPは国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロシナリオを達成するために必要な2050年時点の予想炭素価格を参考とし、WACC及び社内為替レートをもとに毎年算出・設定しています。これにより、CO2排出量に価格を付けて将来的なコストとして見積もることで、省エネ設備の導入によりどれだけのCO2排出量の削減効果が見込めるかを比較評価して投資判断材料として活用します。
また、当社ではIEAやIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提示するシナリオを参照し、気温上昇が1.5℃に抑えられるケース(脱炭素が進む社会)と、対策が進まず平均気温が4℃程度まで上昇するケース(物理的リスクが顕在化する社会)の両シナリオを想定し、短期(1年~3年)、中期(4年~9年)、長期(10年以上)の3期に分類した分析を実施しています。これにより、規制強化に伴うコスト増加(例:カーボンプライシング)や、災害リスクの増大によるサプライチェーンへの影響など、多様なリスクを検討し、当社グループが想定する主なリスク及び機会について、以下のとおり整理しています。
なお、移行リスクのうちカーボンプライシングに伴う炭素コストは、1トンあたり14,500円と想定した場合、当社グループの2025年度のScope1とScope2の排出量に対して、理論上は最大で年間およそ10億円規模のコスト影響が生じる可能性があります。これはエネルギーコストや製造原価への影響が大きいため、経営判断における重要な評価項目と位置付けています。実際、操業への影響を考慮し、一度にすべての設備を更新することはできません。そのため、事業拡大や設備の老朽化に合わせて、計画的かつ段階的に設備更新を進めています。2024年度には先行事例として沢井製薬関東工場へ排熱回収ヒートポンプを導入しましたが、2025年度からはICPの運用開始に伴い、他工場への横展開における投資判断において、炭素コストの削減効果を評価項目へ追加いたしました。今後も省エネ効果の高い設備更新を中心にICPを有効活用し、脱炭素化に向けた取り組みを加速させてまいります。また、当面は省エネ設備への投資に限ってICPを活用する予定です。さらに、クリーン電気や非化石証書の購入によって、理論上の単価よりも低いコストで削減効果を得られる場合もあります。これらを踏まえると、気候変動対応の取り組みが財務に与える影響は、毎年1億円未満にとどまる見込みであり、これが今後緩やかに増加していくと考えられます。
なお、製薬業界においては気候変動が直接的な事業機会に結びつく例は多くありませんが、例えば温暖化に伴い感染症の流行範囲が変化する可能性や、災害時の医薬品供給体制の強化といった面で、社会的な役割の拡大が求められる可能性もあります。当社グループは、こうした社会的要請を機会ととらえ、医薬品の安定供給体制やBCPの強化といった取り組みの検討を継続してまいります。
今後も当社グループは、気候関連リスクと事業成長の両立を図りながら、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
<リスク管理>
当社グループでは、気候変動を含むサステナビリティ関連リスクを、経営に影響を与え得る重要なリスクの一つとして認識しています。サプライチェーン全体の各段階でリスク評価を行う中で、特に原材料の調達に関しては、国連グローバル・コンパクトの原則を参考としたサプライヤー調査を通じてリスクの把握に努めています。これら原材料の調達から製造・販売に至るまでのサプライチェーンの各段階において、気候変動に関連する移行リスク及び物理リスクを把握・評価し、必要な対応策を講じています。
気候変動に関連するリスクの特定及び評価プロセスは、グループサステナビリティ委員会の下部組織である「地球環境チーム」のメンバーを中心に、関係部門及び関連会社の協力を得て実施しています。これにより、気候変動の関連するリスクの発生可能性及び財務的影響度を評価し、当社グループにとって重要なリスクを特定しています。
評価されたリスクは、グループサステナビリティ委員会及び取締役会に報告され、経営層により検討・審議が行われます。こうした議論を経て、対応方針が定められ、毎年の事業計画と中長期的には中期経営計画に取り込まれます。
また、今後の炭素税や排出権取引制度の導入・強化といった外部環境の変化に備えるため、当社グループでは、将来のCO2排出に伴うコストを投資判断に組み込む手段としてICPを導入しています。ICPは、省エネ投資等に対する費用対効果の定量的評価に活用され、長期的なコスト回避の観点からもリスク管理に資するツールとして位置付けられています。
<指標及び目標>
当社グループは、気候変動対応に取り組むにあたって温室効果ガス排出量の削減に向けた目標を設定し、毎年のScopeごとの実績を当社コーポレートサイト(注.1)に開示しております。
Scope1、Scope2の排出量については、2013年度を基準年とし、2030年度までに総量で2013年度+α(注.2)比46%削減、及び2050年までにネットゼロを目指しています。さらに、事業拡大が続く中にあっても短期目標として毎年度、Scope1、Scope2とも前年比少なくとも1%以上の削減を目標としています。また、Scope3についても算定範囲の拡大・精緻化を進めており、重要なカテゴリーについてモニタリングを行っています。
2026年度においては、CO2排出量10,000トン相当以上の削減を見込んでおり、その実現に向け、非化石エネルギーの導入(約6,000トン相当)や省エネルギー設備投資、非化石証書の活用等の施策を計画的に進めています。また、ICPを1トンあたり13,500円に設定し、投資判断やコスト評価に活用しています。
加えて、排出量データの透明性・信頼性向上の観点から、2025年度のScope1、Scope2の実績(注.3)については、一般社団法人日本品質保証機構(JQA)に第三者検証を依頼し、検証報告書を取得しています。
(注)1.URL https://www.sawaigroup.holdings/sustainability/environment/tcfd/
2.比較対象となる2013年度時点における当社グループの構成会社状況が変化しているため、基準となるCO2排出量を適宜調整するため+αで表現しております。
3.原則として当年度末時点で入手可能な最新の排出計数を使用しています。
(3) 生物多様性に関する取り組み
自然資源や生物多様性の損失は社会に大きな影響を与えており、当社としても重要課題(マテリアリティ)に省資源、水の使用削減、生物多様性の保全を掲げています。自然関連課題に取り組むため、2024年度よりTNFD(※1)フレームワークで提供されている考え方に基づき、グループの自然関連課題の把握や整理を行っています。
当社グループは、昆明・モントリオール生物多様性枠組みをはじめとする国際的方針や、日本国の生物多様性国家戦略や関連する法規制及び政策を支持して、循環型社会の実現や生物多様性の保全を目指し、TNFD提言に沿った情報開示を行ってまいります。
※1 TNFD:企業・団体に自然資本と生物多様性に関連する財務情報の分析及び開示を推奨するために2021年に発足した、自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の略称。
<ガバナンス>
生物多様性に対する当社グループのガバナンスは、(2)気候変動に記載のとおりです。
<戦略>
当社グループの事業活動は、地球上の多様な生物がつながることで生まれる生物多様性の恵みに大きく支えられています。また、事業を継続する過程で自然環境に一定の負荷をかけていることも認識しており、その負荷を低減し、ネイチャーポジティブの達成に向けて進めることが重要だと考えています。こうした認識から、生物多様性に関わる課題を当社グループの重要課題の一つと位置づけ、生物多様性の保全及び復興に向けた活動に取り組んでいます。
当社グループでは、自然との重要な接点や、そこから生ずるリスクや機会を特定する際に、TNFDが推奨する「LEAPアプローチ(※2)」に基づき、事業活動における自然への依存度や影響、リスク及び機会の識別・評価を行っています。また、この考察にあたっては、ENCORE、IBAT、WWF Biodiversity Risk Filterなど、国際的に広く利用されている代表的な外部ツールを活用し、状況の把握や評価を実施しています。
※2 LEAPアプローチ:自然との接点を発見(Locate)、依存・影響関係などの接点を診断(Evaluate)、リスク・機会の特定・評価(Assess)、対応及び情報開示(Prepare)という分析ステップに焦点を当てた、自然関連課題評価の統合的アプローチ
① 依存影響関係の把握
当社グループの医薬品製造販売事業、並びにサプライチェーン上流である原材料の調達過程、下流である廃棄過程における自然との依存影響関係のスクリーニングにあたっては、外部ツール「ENCORE」を活用して、その関連性を確認しています。また、ENCOREの評価結果についてはその評価ロジックをベースとしながら、当社グループの医薬品製造販売事業における活動実態やサプライヤーポートフォリオの事情を鑑みて、出力結果を踏まえた定性的な依存影響の程度を再評価しています。
ENCOREによる評価の結果、当社グループは医薬品の製造過程において、汚染物質の流出リスクや清浄な水資源の利用といった観点から、水資源との関わりが深いことが示されています。実際、当社グループの医薬品製造工程では、取水量や排水量の把握、水質や大気の汚染につながる物質の管理に努めており、取水や汚染物質の排出を通じて自然環境に影響を及ぼし得ることを認識しています。
また、医薬品の製造には動植物や石油由来の原料、包装材などが必要であり、自然資源そのものへの依存に加え、資源生産に不可欠な気候や環境条件を調節する生態系サービスにも依存しています。
これらのENCORE分析結果及び当社の実態を踏まえ、水資源や原材料などの項目は、自然関連課題を検討するうえで特に重要な自然との関わりであると考えています。
また、サプライチェーンにおける評価結果としては、自然への影響面では原材料となる植物の栽培過程における、土地や水などの自然資源利用、土壌や流域への汚染物質の排出、大気汚染物質の排気、廃棄物の排出を通じて自然に大きく影響を与え得ることが示唆されています。また、依存の側面でも植物生育の面では、気候システムや水資源の循環システムを支える生態系サービスへの依存度が大きいことが示されています。
その他、石油由来の原材料や包装材の他、プラスチック素材、原薬の製造過程においても、特に水資源との関連性が強く示唆されており、バリューチェーン全体を通して、水資源との深い関連性が示唆される形となっています。
② 要注意地域の把握
TNFDでは、生物多様性の観点から重要とされる「要注意地域」と、企業にとって重要なリスクや自然への影響が伴う「マテリアルな地域」という2つの視点から、特に企業として懸念するべき自然環境を有する「優先地域」を把握することが推奨されています。
この考え方に基づき、当社グループの医薬品製造事業に関わるバリューチェーン上の要注意地域について調査を行いました。その結果、当社グループの保有拠点の中では、仙台にある一つの支店が鳥獣保護区内に所在していることが判明しました。また、他にも東京と福岡の2支店、及び大阪の同じビル内にある支店と営業所が、保護区やKBA(※3)に近接していることも特定できました。これらの拠点は販売や製品管理といったオフィス業務が主であり、上下水道の利用以外に顕著な自然資源の利用や環境汚染物質の排出といった活動はない事から、自然との依存影響関係の程度は工場拠点と比べて低いことが想定されます。なお、医薬品製造を担う工場拠点については、要注意地域に該当する場所はありませんでした。
一方、バリューチェーン全体では、当社グループが直接調達している植物の栽培拠点の中に、保護区や生物多様性の重要地域に所在、または近接している拠点が複数あることが確認できました。さらに、当社グループ主要製品の原材料製造を行うサプライヤーの国内の工場拠点が保護区に近接していることや、海外拠点において水ストレスの高い地域に立地するサプライヤーの工場が存在することも把握しています。
※3 KBA:Key Biodiversity Areaの頭文字で、生物多様性の保全上重要な鍵となる地域が存在する。
③ リスクと機会の特定
自然関連リスク及び機会は、自然との依存影響関係から生ずるという認識の下で、当社グループにもたらされるリスクと機会、また当社グループの事業活動が環境や社会に及ぼすリスクと機会の双方向の観点で、重要課題の特定を行っています。リスク項目については、TNFDの提供するTNFD Risk and opportunity registersやセクター別ガイダンスを参考に洗い出しを行い、シナリオ分析の手法を通じて、バリューチェーンにおいて発生することが想定されるインパクトや、当社グループにもたらされる財務的影響の規模感を想定しています。
④ シナリオを考慮したリスク及び機会の評価
当社では、TNFDが推奨する移行リスクと物理リスクの2軸の相互関係から想定されるシナリオに基づき、当社グループの事業活動と自然との依存・影響について、要注意地域分析、WWFが提供するBiodiversity Risk Filterのデータ、ハザードマップによる被災リスク調査、地域固有の自然環境の状態や法令規制の調査を踏まえて、リスクと機会を期間と重要度の観点から検討・評価するとともに、当社グループのみならず社会や自然環境にとっての重要度も考慮し、定性的に評価しました。特定、評価したリスク及び機会については、以下の表に示すとおりです。
⑤ 優先地域の選定
以上のLEAPアプローチに基づく調査分析工程を踏まえ、当社グループは、医薬品の研究開発や試験、製造、販売を行っていますが、製造工場拠点に対する自然関連課題の重要性が高いことが想定されます。製造段階における汚染物質の取り扱いや製造に使用する原材料の調達、資源の有効活用が、リスク及び機会においても重要な要素であると考えられるため、工場拠点は要注意地域には該当していませんが、当社グループにとっての優先地域と認識しております。
また、要注意地域に該当または近接した拠点については、自然保全活動を行う際に優先的に選定してまいります。
上流サプライヤーについては、今後サプライヤーにおける自然保全や環境負荷低減の取り組みについてヒアリング等を行う際に、要注意地域に所在または近接しているかどうかが判断指標の一つになると認識しています。
これらの分析結果は現在、当社グループの医薬品製造販売事業における一部のバリューチェーンを対象に実施した分析結果です。今後は、サプライチェーン全体の事業活動が環境に与える影響やリスクを事前に評価するプロセスである、環境デューデリジェンスの整備と実施を通じて、適宜対象の範囲を拡げ、ネイチャーポジティブへの貢献を念頭に取り組みを深化してまいります。
⑥ 生物多様性の保全及び復興に向けた取り組み
優先地域として選定した沢井製薬関東工場では、法令の定めに従った適切な排水処理と管理に加え、洪水対応を兼ねた調整池を整備・保全することにより、工場周辺の生物が生息しやすいような環境を整えています。
また、本社所在地である大阪府において、生物多様性の保全及び復興に向けた取り組みとして「大阪府アドプトフォレスト制度」を活用した里山(森林)及び里地(農地)の保全活動に参画しています。森林整備や里地保全を通じて、地域の自然環境の保全、水源涵養、獣害対策等に貢献するとともに、地域社会との連携強化や環境意識の向上にも取り組んでいます。
さらに、国の天然記念物であり絶滅危惧種でもあるイタセンパラ(※4)の保護を目的として、当社発祥の地に近い大阪市旭区の城北ワンドにおいて、年2回、外来魚の駆除や河川敷の清掃活動に参加しています。これらの活動を通じて、希少種が生息・産卵しやすい環境の保全に努めるとともに、地域の生物多様性保全に貢献しています。
※4 イタセンパラ:タナゴの一種で国の天然記念物に指定され、絶滅危惧種となっている魚類。
<リスク管理>
当社グループでは、「地球環境チーム」のメンバーを中心に、サプライチェーンの各段階に関係が深い部門または関連各社の関与と協力を得て、自然関連リスク及び機会の識別・評価・特定を実施しています。
自然関連リスク及び機会の識別と評価にあたっては、当社グループのバリューチェーンの各段階における自然との関連性(依存影響関係)の把握を踏まえ、想定されるリスク及び機会の洗い出しを実施しています。洗い出されたリスク及び機会項目については、関連する活動量の測定、政府や研究機関による関連公開データ、シナリオ分析の手法を通じて、「深刻度」及び「発生頻度」の2つの観点で重要性を評価し、優先課題を特定しています。
特定された優先課題は「グループサステナビリティ委員会」並びに取締役会へ報告されるとともに、当該報告をもとに「グループサステナビリティ委員会」並びに取締役会における検討・審議を経て決定がなされた自然関連リスク及び機会に対する取り組みは、短期的には毎年の事業計画に、中長期的には中期経営計画に適宜組み込まれる仕組みになっています。
なお、「グループサステナビリティ委員会」には自然関連リスク及び機会のほか、サステナビリティ関連課題が集約され、各課題の相互関係も考慮の上、総合的な重要性判断を行っています。
また、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクについては、「グループリスクマネジメント委員会」による全社的なリスクマネジメントプロセスに統合され、各担当部門が講じるリスク対策を確認し、その進捗管理及び評価を行うことで、継続的な改善が行われる体制を構築しています。
<指標及び目標>
当社グループでは、各自然資源の利用状況を含むESG関連データについて、専用ページにて公開しています。また、現在の中期経営計画「Beyond 2027」の中で、自然資源の利用及び排出に関する環境関連目標として、2023年度比での原単位水使用量の3%削減、2030年までに廃プラ再資源化率65%の達成を掲げ、取り組みを推進しています。(詳細はそれぞれ、各専用ページをご確認ください。)
なお、TNFDが定めるコアグローバル指標と当社の開示状況については以下のとおりです。
※2024年度のデータとなります。ESGデータのURLは以下のとおりです。
https://www.sawaigroup.holdings/sustainability/esg/
(4) 人的資本・多様性に関する取り組み
当社グループの人的資本・多様性に関する取組は、「第4 提出会社の状況 5 従業員の状況等 (1) 人材戦略に関する基本方針等」をご参照ください。