リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 「医薬品医療機器等法」等による規制
当社グループ傘下の企業は「医薬品医療機器等法」等関連法規の規制を受けており、事業所所在の各都道府県の許可・登録・免許及び届出を必要としております。当社グループは、十分な法令遵守体制をとっておりますが、かかる医薬品製造販売業の許可等に関して法令違反があった場合には、監督官庁から業務停止、許可等の取り消し等が行われ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 薬価制度及び医療制度の変更
当社グループの主要製品、商品である医療用医薬品を販売するためには、日本においては国の定める薬価基準への収載が必要です。薬価については市場実勢価の調査が行われ、その実勢価格をベースに政策的な側面も加味した薬価改定により多数の品目の薬価が引き下げられます。また、増大する医療費の適正化を目的として薬価制度や医療保険制度の改革議論が引き続き行われており、その動向には細心の注意を払って経営方針・経営戦略に反映させておりますが、薬価引下げ率や制度変更の内容によっては、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(3) 知的財産に関する訴訟
当社グループは物質・用途・製法・結晶形・用法・用量・製剤に関する特許並びに意匠及び商標等の知的財産権に関し徹底した調査を行い、また、不正競争防止法も十分に考慮した製品開発を心掛けておりますが、当社グループが販売するジェネリック医薬品の先発医薬品には物質・用途特許の期間満了後も複数の製法・結晶形・用法・用量又は製剤に関する特許等が残っていることが多く、当該特許等に基づき訴訟を提起される場合があります。このような事態が生じた場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 競合等の影響
当社グループは、日本において販売している製品が度重なる薬価引き下げのため不採算となり、販売中止を余儀なくされることのないように、適正利益を確保した価格で販売するように努めておりますが、多数のメーカーがジェネリック医薬品市場に参入すると、厳しい競争の中で価格の低下を招きやすくなります。さらには、先発医薬品メーカーが、オーソライズドジェネリックの投入等の諸施策により特許満了後の市場シェア低下への対応に努めており、その動向次第では当社グループが計画していた売上収益が確保できないことも想定されます。また、他社に先駆けて毎年数品目のジェネリック医薬品を上市できる研究開発力が当社グループの強みですが、競合他社の研究開発力の向上による競合リスクも高まってきており、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 製品回収・販売中止
当社グループが販売するジェネリック医薬品の有効成分は、先発医薬品においてその使用実績から有効性と安全性が一定期間にわたって確認されており、また再審査・再評価を受けたものであり、基本的には未知の重篤な副作用が発生するリスクは極めて小さいものです。しかしながら、予期せぬ新たな副作用の発生、製品への不純物混入、新たな検査基準の設定又は厳格化といった事象が発生した場合には、製品回収・販売中止を余儀なくされるとともに当該事故等の内容によっては製造物責任を負う場合があり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(6) 自然災害等による生産の停滞、遅延
当社グループでは、地震・風水害等の自然災害、その他新型コロナウイルス感染症を含むパンデミック等の重大な健康リスクに対しては、人命尊重を第一に事業が継続できるよう、BCPや危機管理規程等の整備・運用による対応を図っております。当社グループは、福岡県、兵庫県、千葉県、茨城県及び福井県に生産拠点を配置し製造所の分散及び製造機器の共通化等により操業停止リスクの低減を図っておりますが、自然災害、技術上・規制上の問題等の発生により、生産拠点の操業が停止した場合には、当該生産拠点で製造する製品の供給が停止し経営成績に影響を与える可能性があります。また、重要な原材料については、複数ソース購買などサプライチェーンリスクの管理・対応に努めておりますが、特定の取引先から供給を受けているものがありますので、自然災害等の要因によりその仕入れが停止し、その代替が困難である場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(7) グローバル事業展開等
当社グループは、ジェネリック医薬品シェアの高まりに伴う国内市場の成長鈍化を見据え、従来から持続的な成長を目指し、海外展開、資本提携及び企業買収等による新規事業展開の検討を図っており、事業採算性のほか関連法令・政治経済情勢を含め十分な調査に努めておりますが、当初の想定を超える予期せぬ事情変更や投資に見合う効果が得られない場合があり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(8) 情報管理
当社グループは、社内外の個人情報・営業秘密その他多くの重要な情報を保有しております。社内規程を整備し、ITセキュリティ対策や外部のデータセンターを含む複数拠点におけるデータの保存等を実施するほか、グループ情報セキュリティ委員会を設置して教育・啓発を実施する等、情報管理の徹底に努めておりますが、システム障害や事故、外部からの不正アクセス等により漏洩、改ざん、喪失等が発生した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(9) 米国事業
当社グループは子会社であるUpsher-Smith Laboratories, LLC(以下、「USL」という。)を通した米国ジェネリック医薬品市場におけるビジネス展開に伴い、USLの経営環境や事業の変化等に起因して、期待されていた効果が得られない場合、資産の減損処理を行う必要が生じるなど、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性がありましたが、2024年1月16日開催の取締役会において、当社が保有するUSLの持分をBoraに譲渡することを決議し、2024年4月2日をもって譲渡が完了したことにより、当該米国事業に係るリスクは著しく軽減されることになりました。なお、米国事業に起因する反トラスト訴訟に関して譲渡後一定の期間において発生する損失を一定限度内でBoraに対して補償する義務を負っているため、想定されるリスク等を踏まえ見積金額を計上しております。今後、判決等の結果により見積金額を超過する損失が発生した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(10) その他
上記のほか、金融市況・為替変動によるリスク、コンプライアンスを含むコーポレート・ガバナンスに関するリスク、気候変動をはじめとする環境問題リスク、少子高齢化に伴う中長期的な人手不足、地政学的リスク等、様々なリスクがあり、ここに記載のリスクが当社グループにおけるすべてのリスクではありません。当社は、グループリスクマネジメント委員会を年2回開催し、発生頻度と事業に与える影響度から特に重要なリスクを絞り込んでディスカッションを行うなど、リスクに対して必要な対応・対策の整備に努めるほか、関連テーマについて別途グループコンプライアンス委員会、グループサステナビリティ委員会等において、より詳細に検討いたします。また、eラーニング等のツールを活用した定期的な教育啓発活動等により、役職員が法令違反や社会規範に反するリスクの低減を図っております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置づけております。当社の利益配分に関する方針は、将来の企業価値向上に資する研究開発や設備投資など新たな成長につながる投資と株主還元のバランスに配慮するとともに、中長期的な利益水準、DOE等を総合的に勘案しながら、安定的かつ継続的な配当を行うことを株主還元の基本とし、フリーキャッシュフロー、市場動向等を踏まえ、機動的に自己株式の取得を行い、資本効率向上と株主還元の充実を図りたいと考えております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当事業年度の配当につきましては、中間配当は1株当たり65円、期末配当は1株当たり65円としました。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、次のとおりであります。