2025年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクを、リスクカテゴリマップとして抽出・分析しております。以下に記載している事項は、有価証券報告書提出日(2026年3月27日)現在における状況です。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。

 

(1)リスクマネジメントの考え方と体制

 当社グループでは、経営理念の実現および事業継続に多大な負の影響を及ぼす事項を「リスク」と定義し、その発生可能性を低減することおよびリスクが顕在化し危機発生した場合の損害の拡大を防止し、当社グループの企業価値を向上することをリスクマネジメント基本方針と定め、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでおります。

 この方針に基づいて、当社グループで発生し得るリスクをまとめた「リスク事項一覧表」の見直しを行い、各部門および子会社は業務の遂行によって発生した事象を把握・対応し、社内取締役、常勤監査役および執行役員から構成される経営会議にて四半期毎に報告しております。当連結会計年度においては主に、地政学リスクへの対応プロセス、生産拠点における品質管理体制、製品および当社グループのブランド価値向上について各部門が連携し、これらのリスク低減のための現状把握、プロセスの検討、ルールの明確化および改善を実施するとともに、社員に対するコンプライアンス研修(会社資産の取扱い、ハラスメント、インサイダー取引)等の活動を実施しました。

 また、当社グループは、代表取締役 社長執行役員を委員長とし、取締役、常勤監査役および執行役員を委員とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、原則として年3回開催することとしております。この委員会では、当社グループを取り巻くリスクのうち、重要度と優先度、リスクの顕在化可能性や時期、中期事業構想の達成を阻害する可能性と影響度等を踏まえ、特に全社で対応を進めるべきリスクである「全社リスク」を選定し、リスクマネジメント委員会の委員の中から各全社リスクの責任者を選任し、対策を進めております。全社リスクの対応における進捗等は、リスクマネジメント委員会より、半期に一度、取締役会に報告し、同委員会が取締役会の監督・モニタリングを受ける体制を整えております。

 

 

(2)リスクの抽出と分析

 当社グループでは、2024年度に重要リスクカテゴリの見直しを実施しました。この変更内容を踏まえ、2025年度においてもリスクの抽出および分析を継続し、重要リスクカテゴリを影響度と発生可能性に基づきマッピングしたリスクマップについて、社内取締役、常勤監査役および執行役員による議論を経て改定を行いました。2025年12月時点における重要リスクカテゴリマップは下記のとおりであり、2026年度は当該リスクマップを基礎としてリスクマネジメントを推進してまいります。なお、重要リスクカテゴリは一般的な指標によるものではなく、当社グループの事業環境および特性を踏まえ、独自に定義・評価したものです。

 

(2026年度重要リスクカテゴリマップ)

                            ※◎は2026年度における全社リスクとなります。

 

(影響度の目安)

レベル

レベルの意味

(定量的)売上への影響

(定性的)影響範囲

重大な影響

1%以上の影響がある

社会全体

中程度の影響

1%未満の影響がある

業界・関係者

軽微な影響

ほとんど影響がない

社内のみ

※売上への影響、影響範囲の両方を満たすことが条件ではありません

 

(発生可能性の目安)

レベル

発生時期

1年以内に発生する可能性がある

3年以内に発生する可能性がある

5年以内に発生する可能性がある

 

(3)当社グループ重要リスクカテゴリ

 重要リスクカテゴリごとの当社グループにおける影響、2025年度に実施した主要な対応および今後の取組みについては以下のとおりです。これらの内容は、当社グループの事業環境の変化や将来の影響を踏まえ、重要リスクカテゴリごとに整理のうえ記載しております。

 

 

重要リスクカテゴリ①地政学

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

社会情勢や外交関係の緊張により、当社が事業および生産拠点を展開する国・地域においても不安定な状況が長期化しており、人的被害の発生やサプライチェーンの寸断によって事業継続が困難となる可能性があります。さらに各国の関税引き上げが売上高や利益に直接影響を及ぼす可能性が高まっています。

(対応)

当社が事業および生産拠点を展開する国・地域において、現地社員の安全を確保するとともに、国外生産拠点の操業停止による事業への影響を最小化するための対応策を検討しています。特に不安定な状況が続く地域では、情報収集および報告体制を見直し、変化により迅速に対応できる体制を構築しました。また、各国の関税による影響を把握し、影響範囲の特定とコスト構造の見直しを進めています。

 

 

重要リスクカテゴリ②災害・BCP

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

自然災害、異常気象、感染症などにより、当社社員やその家族への被害、営業拠点や生産拠点の建物・設備の損壊による業務停止が発生する可能性があります。また、営業拠点や生産拠点での事故により、従業員や周辺地域に被害が及ぶおそれがあります。

(対応)

拠点ごとの防災状況を確認し、特に生産拠点では自動倉庫保管品の耐震対策を実施するとともに、避難訓練や災害対策マニュアルの更新を行っています。さらに、物流拠点や受注拠点を分散することで、製品の安定供給を維持できる体制を整えていきます。

 

重要リスクカテゴリ③サステナビリティへの対応

影響度:小

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

カーボンプライシングの導入や再生可能エネルギー価格の高騰により、原材料などの調達コストが増加し、売上や利益が圧迫される可能性があります。また、気候変動に伴う異常気象による災害や物流停滞により、製品の安定供給に支障が生じるおそれがあります。

(対応)

法規制や国際的な動向を継続的に把握し、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証などに適合した原材料の使用を進めるとともに、石油由来プラスチックの削減や自家消費型発電の拡大を推進し、持続可能な事業体制の構築を進めています。

 

重要リスクカテゴリ④グループガバナンス

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

当社グループにおいて、人材・資金・情報といった経営資源に関する統制が十分に機能しない場合、ガバナンスの不整合や意思決定の遅延、経営資源の最適配分の阻害が生じるおそれがあります。特に、人材管理において人事制度が整備されていない、または運用が不透明な場合、コンプライアンス意識の低下や不正行為の発生につながり、企業価値を毀損するリスクがあります。また、海外子会社において、各国・地域の法規制に適合した体制が構築できていない場合、統制不備による不正リスク、法令違反、ガバナンスの形骸化が生じる可能性があります。これらが発生した場合、当社グループ全体として、一貫性が損なわれ、経営の健全性や企業価値に悪影響を及ぼす懸念があります。

(対応)

グループ全体で統制が適切に機能するよう、全社における人材・情報・業務プロセスの管理体制を順次整備しています。特に海外子会社や海外拠点においては、各国・地域の法規制や慣習に適合した制度構築を進めるとともに、現地法に準拠したコンプライアンス研修を実施し、不正防止やガバナンス意識の定着を図り、グループ全体で一貫性のあるガバナンス体制の確立を推進しています。なお、グループガバナンスは 2026 年度における全社リスクとして位置づけており、特に海外拠点におけるガバナンス強化を重点テーマとして取り組んでまいります。

 

 

 

重要リスクカテゴリ⑤労務・人事計画・人材育成

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

社員のモチベーション低下や心身の不調による休職・離職が増加した場合、人材不足や生産性の低下を招くおそれがあります。また、人材獲得競争が激化する中、キャリアや働き方に関する価値観の多様化に迅速に対応できない場合、優秀な人材の流出により事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

社員の職位や役割に応じた研修を提供し、受講を推進するとともに、採用手法や育成カリキュラムの見直しを進め、社員が最大限能力を発揮できる環境を整備しています。

 

 

重要リスクカテゴリ⑥金利・為替・税制

影響度:中

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

税制や会計基準の変更による負担増、主要取引先の信用悪化、関税率の引き上げ、為替変動などにより、当社の業績や財務状況が中期経営計画と乖離する可能性があります。また、事業環境や市場動向によっては、追加負担や減損が発生するおそれがあります。

(対応)

市場拡大による収益改善を図るとともに、税制変更には税額控除の活用、会計基準改正には少額リース契約の分割検討を進めています。さらに、取引先の与信管理を強化し、債権保険の補償額を見直すほか、為替動向や税制変更に応じた制度構築を行い、グループ全体で財務面の安定化に取り組んでいます。

 

重要リスクカテゴリ⑦事業投資

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

投資判断時に想定していなかった市場環境や経営環境の悪化により、当初の投資計画と乖離し、期待される効果が得られず資産の減損が発生する可能性があります。さらに、海外事業投資では、各国の政治状況や外交関係の緊張により事業継続が困難となり、売上や利益率の低下、資本効率の悪化、企業価値の低下につながる可能性があります。

(対応)

新規事業や投資状況を継続的にモニタリングし、その結果を取締役会や経営会議に報告しています。加えて、3,000万円以上の投資案件は投資委員会での審議を経て取締役会または経営会議で決議し、その後も投資完了報告や成果報告を行うことで、適切な事業投資の実施を確保しています。

 

重要リスクカテゴリ⑧海外事業・海外物流

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

貿易ルートにおける異常気象や現地状況の変化により物流が停滞し、輸送日数や費用の増加、余剰在庫の発生によって一時的な販売網の混乱や販路の喪失が生じる可能性があります。また、各国での薬事規制の変更により処方変更が必要となり、廃棄増加や欠品が発生し、コスト増や販売機会の損失につながるおそれがあります。

(対応)

物流環境の変化に対しては、物流会社との定期的な情報交換や輸送ルートの迅速な切り替えにより影響を最小化する体制を構築しています。また、各国の薬事規制情報を早期に収集し、規制対象成分の使用回避や現地法に対応できる海外工場への生産移管を進めています。

 

重要リスクカテゴリ⑨新規事業・研究・デジタル化の遅れ

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

新規事業の展開や研究開発が遅延した場合、新製品等の市場投入タイミングを逸し、開発費用等の回収が困難となり、収益性の悪化につながるおそれがあります。また、システムインフラの更新やAI等の先端技術の導入が遅れることで、業務効率化やデータ活用の高度化が進まず、中長期的な成長機会を逸失する懸念があります。

(対応)

新規事業や研究開発の遅延を防ぐため、社内横断の進捗管理体制を強化し、開発プロセスの可視化およびマイルストン管理の精度向上に取り組んでいます。また、市場投入の遅れによる機会損失を最小化するため、事業性評価を早期段階から多角的に実施し、優先順位の見直しや追加リソース投入の判断を迅速に行える体制を整えています。さらに、中長期的な成長機会を損なわないよう、AI 活用を含む先端技術を継続的に取り入れるための体制整備を進めています。

 

 

 

重要リスクカテゴリ⑩情報漏洩

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

不正アクセスや外部からのシステム侵入、社員の個人情報や管理者ID・パスワードの流出、SNSやメールの誤送信などにより、機密情報や個人情報が漏えいし、財産的損害や信用の失墜、顧客やステークホルダーからの信頼低下、さらには多額の賠償責任が発生する可能性があります。また、近年増加しているランサムウェアなどのサイバー攻撃により、システム停止や業務中断、データ暗号化による復旧コストの増大など、事業継続に重大な影響を及ぼす懸念があります。

(対応)

不正アクセスやマルウェアの検知、SOC(Security Operation Center)サービスによる監視強化など、IT基盤の強化を進めています。さらに、不正なネットワーク通信の遮断、特権ID・パスワードの再設定、パスワードポリシーの見直しを実施予定です。社員へのセキュリティ教育を継続的に行い、情報管理の徹底を図っています。また、攻撃手法の変化に対応するため、セキュリティ体制を継続的に改善し、バックアップ体制の強化やメール誤送信防止システムの導入も進めています。

 

重要リスクカテゴリ⑪品質管理

影響度:大

発生可能性:中

(リスク内容と影響)

処方変更の管理ミスや生産工程での重大な不具合により、皮膚や毛髪に異常が生じ、大規模な自主回収が必要となる可能性があります。また、各国の薬事法規制に適合できない場合、日本から現地への輸出停止や現地法人への罰則につながるおそれがあります。これらの事象は、製品品質への信頼低下や追加コストの発生、ブランド価値の毀損を招き、事業継続や収益性に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

製品の使用方法に関する注意喚起を徹底し、導入講習やモニター会での指導を強化しています。品質管理については、軽微なミスを防止するため、2025年度より人員を増強し、海外工場製品や貿易出荷品の品質管理を強化しています。また、各国の薬事法規制に関しては、生産現場や現地法人と連携して情報収集を進めるとともに、品質委員会による逸脱管理やトラブル対応、定期的なGMP(Good Manufacturing Practice)教育および理解度テスト、設備メンテナンスプログラムの実施を通じて、品質問題の未然防止と市場対応力の向上に取り組んでいます。

 

重要リスクカテゴリ⑫表示・情報発信

影響度:中

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

開示情報の誤りや開示遅延、不適切な情報発信により、ステークホルダーからの信頼低下や株価の下落、金融商品取引法違反による課徴金や上場廃止といった重大な影響を受ける可能性があります。さらに、広告表現の不適切さによる評判の悪化、知的財産権侵害による訴訟、模倣品の流通による顧客の健康被害、ブランド価値の毀損、風評被害の懸念も高まっています。

(対応)

情報発信に伴う懸念事項を事前に洗い出し、広報による外部発信における危機管理体制を強化しています。特に事実関係、数値、表現の正確性を担保するため、多層チェック体制を構築し、適時開示フローの整理、責任者の明確化、承認プロセスの厳格化を実施しました。また、広告表現の適正化に向けた事前チェック体制の強化と社内教育を推進し、社員による情報発信や知的財産権の尊重を徹底できる環境を整備しています。さらに、模倣品流通による顧客の健康被害を防止するため、コーポレートサイト等で模倣品に関する情報や当社の見解を発信しています。

 

重要リスクカテゴリ⑬販売戦略

影響度:中

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

新製品の売上が計画を下回った場合や、ヘアカラー市場での競争激化や低価格化によりシェアが低下し、売上減少によって中期経営計画が未達となる可能性があります。また、並行輸入や模倣品の流通によるブランド価値の毀損、景気動向による高価格帯製品の需要減少も懸念されます。これらの要因は資産回転率や利益率の悪化につながり、企業価値や事業の継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(対応)

販売戦略の強化に向け、製品開発部門と営業部門が連携し、顧客や製品特性に応じた販促活動を実施しています。現場での販売・教育活動の選択肢を広げ、売上向上施策を推進しています。また、定期的なモニタリングを行い、その結果を経営会議で報告することで、迅速な戦略方針の決定を可能にしています。さらに、ビューティープラットフォーム戦略を基盤に、広告・デジタルマーケティング領域でのブランディング活動を強化し、販売領域の拡大とブランド価値の向上に取り組んでいます。

 

重要リスクカテゴリ⑭原材料・資材・物流コスト上昇

影響度:大

発生可能性:大

(リスク内容と影響)

原材料費や物流費の高騰により製造原価率が上昇し、利益率が低下する可能性があります。特に原材料価格の上昇は製品コストに直接影響し、収益性の悪化や価格改定の必要性を招くおそれがあります。また、物流費の増加は国内外の輸送コストを押し上げ、販売戦略や在庫管理に影響を与え、利益率の悪化につながる可能性があります。

(対応)

処方や製品仕様の検討段階から原材料費を見直し、抜本的なコスト低減を図っています。さらに、資材をまとめて購入することで単価を下げる交渉を実施し、値上げの抑制に努めています。また、工場との連携を強化し、グローバル調達ネットワークの再構築を進めるとともに、協力会社と物流方針を共有し、コストダウンや業務効率化を実現するため、総合的なコスト最適化に取り組んでいます。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題として位置付けると共に、今後の収益力向上のための内部留保による企業体質の強化を図りながら、業績に対応した成果の配分を行うことを基本方針としております。

 また、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会を決定機関とし、毎事業年度において2回の配当を行うこととしております。

 当事業年度の配当につきましては、財政状態、利益水準などを総合的に勘案いたしまして、1株当たり年間88円の配当とさせていただきました。この結果、当事業年度の連結ベースでの配当性向は82.3%となりました。

 内部留保資金につきましては、生産能力の増強、新規営業拠点の設立・増強等に充当し、企業体質の強化に努める所存でございます。

 なお、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

(注) 当事業年度に行った会社法第453条に規定する剰余金の配当

中間配当

取締役会決議日 2025年8月8日  1株当たり 40円 総額 1,303,695千円

期末配当

株主総会決議日 2026年3月27日  1株当たり 48円 総額 1,525,470千円