リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
当社グループでは、経営理念の実現及び事業継続に多大なる負の影響を及ぼす事項を「リスク」と定義し、この発生可能性を低減し、リスクが顕在化し危機発生した場合の損害の拡大を防止することをリスクマネジメント基本方針と定め、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでおります。
この方針に基づいて、各部門及び子会社は、当社グループで発生しうるリスクをまとめた「リスク事項一覧表」の見直しを行い、また業務の遂行によって発生した事象を把握・対応し、社内取締役、常勤監査役及び執行役員から構成される経営会議にて四半期毎に報告しております。当連結会計年度においては主に、個人情報保護や秘密情報保護、SNSや広告物による消費者への適切な情報発信、法令、規程及び社内ルールの遵守などに関し、管理部及び各部門が連携し、これらのリスク低減のための体制の整備、ルールの明確化及び改善、社員に対するコンプライアンス研修(秘密情報管理や情報セキュリティ、情報発信時における法令遵守、メンタルヘルスやハラスメント、各種法令の遵守)などの活動を実施しました。
また、当社グループは、代表取締役社長を委員長とし、社内取締役、常勤監査役及び執行役員を委員とする「リスクマネジメント委員会」を設置し、原則として年3回開催することとしております。この委員会では、当社グループを取り巻くリスクのうち、重要度と優先度、リスクの顕在化の可能性や時期、中期事業構想の達成を阻害する可能性と影響度等を踏まえ、全社で対応を進めるべきリスクである「全社リスク」を特定し、リスクマネジメント委員会の委員の中から各全社リスクの責任者を選任し、全社で対策を進めております。全社リスクの対応の進捗等は、リスクマネジメント委員会より、半期に一度取締役会に報告し、同委員会が取締役会の監督・モニタリングを受ける体制を整えております。
当連結会計年度においては、2022年にリスクマネジメント委員会が設置された際に定めた、全社リスクを重要度と優先度でマッピングしたリスクマップについて、社内取締役、常勤監査役及び執行役員が議論を行い改定を実施しました。2023年12月時点における全社リスク一覧とリスク評価は下記のとおりです。なお、リスク評価は一般的指標に基づくものではなく、当社グループにおける状況から独自に評価したものです。
(全社リスク一覧)
全社リスク |
発生可能性 |
影響度 |
|
全社リスク |
発生可能性 |
影響度 |
|
情報セキュリティ・ 機密情報管理 |
大 |
大 |
|
労務管理 |
小 |
小 |
|
美容師向けシステム管理 |
中 |
大 |
|
ブランド保護 |
大 |
中 |
|
原材料・資材・物流コスト |
大 |
中 |
※ |
販売戦略の不徹底 |
小 |
大 |
|
原材料の法規制・環境対応 |
大 |
中 |
|
事業継続計画(BCP) |
小 |
大 |
※ |
SDGsへの対応不足 |
小 |
中 |
|
化粧品事業 |
中 |
小 |
|
グローバルな物流網 |
中 |
中 |
|
デジタル対応の遅れ |
中 |
中 |
|
貿易業務不備 |
中 |
小 |
|
気候変動 |
小 |
中 |
|
危険物管理不備 |
小 |
小 |
|
品質・安全性保証 |
小 |
中 |
|
海外での製品品質保証 |
中 |
小 |
|
地政学 |
小 |
中 |
|
消費者への情報発信 |
大 |
大 |
※ |
海外事業の失敗 |
中 |
中 |
|
制作物・広告物の不備 |
小 |
大 |
|
事業投資の不透明性 |
中 |
中 |
|
社用車での交通事故・違反 |
大 |
小 |
|
為替・金利 |
小 |
小 |
|
グループガバナンス |
中 |
大 |
※ |
研究開発遅延 |
小 |
中 |
|
海外税制対応 |
小 |
中 |
|
市場環境の変化 |
大 |
大 |
|
人材育成 |
中 |
中 |
|
内部統制不全 |
中 |
大 |
|
コンプライアンス |
小 |
中 |
|
|
|
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|
※2023年度(第64期)全社リスク
(発生可能性の目安)
レベル |
発生時期 |
大 |
1年以内に発生する可能性がある |
中 |
3年以内に発生する可能性がある |
小 |
5年以内に発生する可能性がある |
(影響度の目安)
レベル |
レベルの意味 |
(定量的)売上への影響 |
(定性的)影響範囲 |
大 |
重大な影響 |
1%以上の影響がある |
社会全体 |
中 |
中程度の影響 |
1%未満の影響がある |
業界・関係者 |
小 |
軽微な影響 |
ほとんど影響がない |
社内のみ |
改定したリスクマップ及び部門長に実施したリスクアンケートに基づき、当連結会計年度末に2024年度(第65期)全社リスクを決定し、引き続き全社でリスク低減活動を推進していくこととしております。
当連結会計年度において、当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があり、特に全社で検討すべきとしてリスクマネジメント委員会にて決定され、対策を検討した全社リスクは以下のとおりです。
|
リスク |
リスクの内容 |
主な取り組み |
新規 |
原材料・資材・物流コストに関するリスク |
当社グループは、製品を製造及び出荷するにあたり原材料や資材の安定調達を行い、お客様に対し製品の安定的な供給を持続することを目指しております。しかし、地政学的リスク、需給バランスの変化、為替の変動、物流にかかる人件費の上昇等の影響により、原材料及び資材、物流費のコスト高やリードタイムの長期化が発生し、製品の市場への安定的な供給ができず、当社グループの信用の低下につながる可能性があります。 |
当社グループでは、関連部門が連携し、主に原料、資材、物流のコストを測定し今後の予測から対応を協議すること、また原料、資材の不足に備えることにより、製品の安定供給のための対策を進めています。 当連結会計年度においては、原料、資材のコスト分析、物流における出荷分析等を実施し、関連部門が連携して適切なコストでの調達及び配送の実現に向けた活動を行いました。
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|
リスク |
リスクの内容 |
主な取り組み |
継続 |
消費者への適切な情報発信に関するリスク |
当社グループは、各種法令を遵守し、顧客・消費者のニーズにかなう安全かつ高品質な商品・サービスを開発・提供し、安全に安心して使用して頂ける正しい情報を提供することによる顧客・消費者からの信頼の獲得に努めています。しかし、当社グループの広告などにおいて不適切な表現や誤った情報を発信した場合、当社グループに対する信用を低下させ、当社グループの経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、不適切な情報発信などのリスクが顕在化した場合には、迅速に対応するとともに、必要に応じて当該事象の公表を行うなど、当社グループの信用の維持に努めています。 当連結会計年度においては、日本国内において、広告及びSNS活用時の不適切表現を防止するための取り組みとして、社内教育の強化(勉強会や動画研修の実施)、事前のチェック体制の見直し、自動チェックツールの導入検討及びテスト運用を行いました。 |
継続 |
海外子会社のガバナンスに関するリスク |
当社グループにおいて、グループ戦略立案及びグループ会社の監視・監督等といったグループガバナンス体制の構築が不十分となり、グループ会社管理による効果が十分発揮されなかった場合、当社グループの経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、海外子会社が進出している各国法規制の情報の収集を行うとともに、事業を進める上での課題を抽出し、必要に応じて子会社と連携・共有し対応しています。 当連結会計年度においては、親会社及び各子会社での定期会議の実施や、子会社からのリスク報告の分析に基づきグループで取り組むべき課題の明確化を行いました。 |
継続 |
大規模震災・事業継続計画(BCP)に関するリスク |
大規模な地震などの自然災害が発生した場合や不測の事態により事業継続に危機が生じた場合、当社グループの工場・研究所・事業所などの機能停止、当社グループの人的資産の損失、当社製品の生産・出荷の遅れ、新製品開発の遅れ、美容室へ当社製品を提供できないことによる製品売上の減少などにより、当社グループの経営成績などに重大な影響を及ぼす可能性があります。 |
当社グループでは、大規模な地震などの自然災害が発生した場合や不測の事態により事業継続に危機が生じた場合に備えて、迅速な生産・物流の復旧をめざす事業継続計画(BCP)を策定し、定期的な見直しを実施しています。 当連結会計年度においては、生産本部において生産・物流に関するBCPの見直しと訓練の実施、ゆめが丘工場の稼働停止を想定した製品在庫と供給状況の確認、物流網の被災における連絡網の状況確認、外注先のBCP対応の確認、海外生産拠点におけるリスクの確認を行いました。 |
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題として位置付けると共に、今後の収益力向上のための内部留保による企業体質の強化を図りながら、業績に対応した成果の配分を行うことを基本方針としております。
また、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会を決定機関とし、毎事業年度において2回の配当を行うこととしております。
当事業年度の配当につきましては、財政状態、利益水準などを総合的に勘案いたしまして、1株当たり年間88円の配当とさせていただきました。この結果、当事業年度の連結ベースでの配当性向は71.6%となりました。
内部留保資金につきましては、生産能力の増強、新規営業拠点の設立・増強等に充当し、企業体質の強化に努める所存でございます。
なお、当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注) 当事業年度に行った会社法第453条に規定する剰余金の配当
中間配当
取締役会決議日 2023年8月10日 1株当たり 40円 総額 1,301,609千円
期末配当
株主総会決議日 2024年3月28日 1株当たり 48円 総額 1,561,926千円