2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 7,539 100.0 961 100.0 12.7

事業内容

3【事業の内容】

当社は、「世界の人々の人生に健康と美しさをもたらす。卵殻膜とバイオテクノロジーで。」という経営理念のもと、今後、先進諸国で深刻な社会問題となる高齢化社会到来に対して、『卵殻膜』という素材の持つ美容・健康効果を科学的に解明しながら、卵殻膜商材をより安心・安全・低価格にて市場に供給することで、アンチエイジングの側面から社会貢献を果たすべく事業を展開しております。

 

(1)卵殻膜とは

卵殻膜とは鶏卵の殻の内側にある薄い膜で、シスチン(注1)を含む18種類のアミノ酸、プロテオグリカン(注2)、ヒアルロン酸等で構成されており、美容・健康成分が含まれております。バクテリアなどの外敵から卵の中のひなを保護するためのバリアとして機能する他、卵が落下した場合などの物理的なダメージにも耐えられるよう、強固な繊維状のメッシュ構造をしております。また、酸素を透過させ水分を保有する力も有しております。

力士が傷口の治療に用いるなど天然の絆創膏として古くから民間療法で利用されているように、卵殻膜は中国や日本で古くから人体における創傷治癒素材として活用されてきました。その一方で、熱に強く水や油に溶けにくいためそのままでは体内で成分を吸収することができず特殊な加工が必要であり、また、天然素材であるがゆえその効果の検出とメカニズムの解明が難しいとされてきました。しかし、2007年よりスタートしたアルマード産学連携プロジェクトにより、卵殻膜塗布と摂取の両側面からの有用性とメカニズム検証で解明を進め、最近の研究では創傷治癒の早期化(2011年5月 「Cell & Tissue Research」に掲載)のみならず、皮膚の弾力性増加(2018年11月 「Cell & Tissue Research」に掲載)、肝機能の改善(2014年12月 「Scientific Reports」に掲載)への有用性も認められ、また、難病指定されている潰瘍性大腸炎(注3)の改善にも有効であるという研究結果を、2017年3月に米科学誌「Scientific Reports」で発表しております。さらに、卵殻膜摂取が脂質代謝に有効である可能性について、2020年4月に食品科学ジャーナル「Food Science & Nutrition」にて掲載しております。その後も継続的に卵殻膜の機能性に関するエビデンスを創出しており、これら研究の概要につきましては、後述[研究成果解説]をご参照下さい。

 

これまでの研究が示す卵殻膜の効能

実験方法

確認された主な結果

主な効能

卵殻膜水溶液の塗布

・ヒトの真皮繊維芽細胞の増加効果(皮膚の機能を保つために重要な細胞)

・Ⅲ型コラーゲン(注4)の産生促進効果

・ヒトの肌の弾力性向上及びシワ面積の減少

・創傷治療の早期化

美容

卵殻膜の経口摂取

・Ⅲ型コラーゲンの産生促進効果

・腸内フローラの多様化、善玉菌の増加

・肝臓線維化(注5)への効果を期待

・炎症性腸疾患への効果を期待

健康維持

 なお、肝臓線維化及び炎症性腸疾患への効果については、マウスを対象とした実験から解明されたものであり、ヒトへの効果を保証するものではありません。

 

(2)アルマードの卵殻膜加工技術について

卵殻膜は、当社設立より以前から食品及び化粧品の原料として既に流通しておりましたが、天然素材であるがゆえに品質面でばらつきがあり、また、加工コストも非常に高く、その効果を科学的に立証できる研究も十分になされていなかったため、一般に広く受容されるレベルの卵殻膜製品を流通させるのが困難な状況にありました。しかしながら、当社創業者である長谷部由紀夫が中心となり、大学や他企業等の外部機関との研究開発活動を進め、品質面、コスト面での課題を解決する独自の卵殻膜原料の加工技術を開発しました。当社の技術は以下のとおりです。

 

① 高品質の卵殻膜原料(*)の製造技術(微粉砕技術及び加水分解技術)

② 当社卵殻膜原料を活用した食品加工、化粧品加工の技術

 

(*)卵殻膜を構成する主成分の損失が少なく、かつ、臭気強度が低く抑えられた原料

 

なお、創業来20年間蓄積をしてきた卵殻膜に関する技術・知見の一部は、特許として出願しており、数多くの卵殻膜関連特許を有しております。

また、当社の卵殻膜研究及び研究に裏打ちされた素材ポテンシャルは、以下のような理由から、成長好循環を生むと考えております。

 ・卵殻膜にフォーカスした大学や他企業等との共同研究により、豊富なエビデンスや卵殻膜応用ノウハウを蓄積

 ・これまでの研究により証明された卵殻膜の素材ポテンシャルと商品開発力により、顧客支持を獲得

 ・顧客支持が収益獲得能力を底上げし、積極的な広告展開や研究開発を可能にする

 ・積極的な広告展開や研究開発が収益獲得能力を向上させ、更なる広告展開や研究開発を可能にする

 

(3)卵殻膜ヘルスケア事業について

当社は、卵殻膜原料を活用した食品及び化粧品の製造販売を、単一事業として行っております。なお、食品及び化粧品の製造はすべて外注先に委託をしております。

したがって当社の事業は「卵殻膜ヘルスケア事業」の単一セグメントであるため、以下においては当社事業の特徴について販売チャネル別に記載しております。

 

①TVショッピング販売(以下「TV通販」)

TVショッピング専門チャンネルであるQVCテレビショッピングにおいて、当社が企画・開発した卵殻膜食品及び卵殻膜化粧品について、TV放送を通じて視聴者に紹介し、株式会社QVCジャパン(以下「QVC」)がお客様より受注した数量を当社からQVCに納品し、QVCがお客様へ出荷するという販売を行っております。主要商品としては、化粧品のOdeシリーズ、健康食品のTO-Ⅱ(全身美容サプリメント)等がございます。

 

②外部間接販売(以下「外販」)

a.OEM製品の販売

取引先と共同で製品仕様を決定し、取引先からの注文に基づき当社製造委託先にて製品製造を行い、取引先へ販売するビジネスモデルです。これらOEM製品は、取引先の製品ブランドとして消費者に販売されております。

b.卸販売(一般流通)

当社が企画・開発した製品を、ドラッグストアを中心とした量販店、理美容室及び他社通信販売業者等に卸売販売をする形態です。主要商品としては、Ⅲ型ビューティードリンク(全身美容ドリンク)、Ⅲ型サプリメント等がございます。

 

③自社直接販売(以下「直販」)

自社ECサイト、他社ECサイト等を通じて、当社が最終消費者から直接注文を受け、製品を配送する販売を行っております。主要商品としては、化粧品のCELLULAシリーズ等がございます。

 2018年4月に自社ECサイトを通じた定期購買サービスを開始して以降、定期顧客会員数(以下、会員数)は増加傾向にあり、会員数は8万6千人に達しております(2024年3月末時点)。

 

 

2020年

3月末

2021年

3月末

2022年

3月末

2023年

3月末

2024年

3月末

会員数(人)

38,828

37,829

42,303

62,824

86,312

(注)定期顧客:自社ECサイトの定期便をご利用のお客様

 

[事業系統図]

当社の事業系統図は、次のとおりであります。

 

 

[研究成果解説]

 

創傷治癒の早期化

(2011年5月掲載)

 

「掲載論文タイトル」

Hydrolyzed eggshell membrane immobilized on phosphorylcholine polymer supplies extracellular matrix environment for human dermal fibroblasts

 

「要約」

 適度な量の卵殻膜が創傷治療プロセスに必須のⅢ型コラーゲン遺伝子発現を促進することを細胞レベルで証明した。

 創傷治療プロセスにおいては、コラーゲン繊維を含む細胞外マトリクス(注6)の働きが鍵となり、止血・炎症・細胞増殖・再生という4つの過程が連続的に起こることが知られている。皮膚の損傷治療のみならず、正常な皮膚組織の構造維持と水分保持に重要な役割を担うこの細胞外マトリクスは、真皮線維芽細胞(注7)によって遺伝子発現・分泌される。そこで卵殻膜が細胞外マトリクス遺伝子をどの程度発現させるかについて、定量的な発現解析を行った。

 その方法として、細胞を撒いてから24時間後に、皮膚組織に強度と弾力性を与える遺伝子群と、組織内の水分保持に重要な役割を担う遺伝子群の両方について発現状況を調査した。結果として、前者からはⅢ型コラーゲンとMMP2(注8)が、後者からはデコリン(注9)の発現が、少量の卵殻膜断片が作る線維構造上において、従来の細胞培養ディッシュ上での発現と比べて2倍以上高いことが判明した。これら3つの遺伝子セットは、いずれも創傷治療プロセスの増殖初期段階に発現が高くなることが知られている遺伝子であり、特にⅢ型コラーゲンは皮膚の大部分を構成するⅠ型コラーゲンに先行して発現することも報告されている。

 また、卵殻膜濃度を高めていった場合であっても、当該3つの遺伝子セットの発現が明確に高くなることはなかった。このことにより、適度な量の卵殻膜が創傷治療の早期化に有効であると結論づけた。

 

肝機能の改善

(2014年12月掲載)

 

「掲載論文タイトル」

Eggshell membrane ameliorates hepatic fibrogenesis in human C3A cells and rats through changes in PPARγ-Endothelin 1 signaling

 

「要約」

 四塩化炭素誘導肝障害モデルラットを用いた実験から、微粉砕された卵殻膜の摂取により肝障害の症状が改善され、さらに遺伝子レベルでの解析により炎症や肝線維化形成が抑制される方向の変化が誘導されることを見出した。

 そのメカニズムは、PPARγ-Endothelin 1シグナリング(※)における調節によると推察されている。四塩化炭素は肝臓に炎症を誘導し、長期間の投与では肝硬変のモデルとして動物実験において広く用いられている。肝臓機能に着目したのは、初期に行った正常ラットにおける遺伝子発現の網羅的解析により、肝線維化抑制に関わる変化が予想されていたためであり、本研究の成果から、従来、産業廃棄物とされていた卵殻膜の機能性を明らかにすることで、新たな機能性食品の創出や産業への貢献が期待できる。

 ヒトでも同様の効果があるかについては今後の検討課題である。

 

※ PPARγ:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ

Endothelin 1:エンドセリン1

 

 

 

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)の改善

(2017年3月掲載)

 

「掲載論文タイトル」

Eggshell membrane powder ameliorates intestinal inflammation by facilitating the restitution of epithelial injury and alleviating microbial dysbiosis

 

「要約」

 炎症性腸疾患(IBD)は腸管に炎症を引き起こす慢性持続性の非特異性疾患であり、潰瘍性大腸炎とクローン病に分類される。

 当研究では、デキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎マウスを用いた実験から、微粉砕された卵殻膜の摂取により、腸内細菌叢における①細菌多様性の増加(腸内細菌の種類が増えた)、②病原性細菌の絶対数の減少(病原性細菌の数が減った)、③腸内毒素分泌の減少により炎症性サイトカイン産生の抑制、④(腸間膜リンパ節における自己免疫疾患の病態形成への関与が知られる)Th17細胞増殖の抑制、といったメカニズム作用が発生することを発見した。

 これらの機能的な調節は、宿主において上皮の修復、エネルギー必要量の調整、最終的には腸管上皮粘膜炎症の軽減に寄与することから、卵殻膜には、腸管上皮損傷の修復と腸内細菌dysbiosis(腸内細菌バランス失調)を軽減させることで、炎症性疾患を改善する効果があることがわかった。さらに卵殻膜によるこのような細菌叢調節及び炎症性腸疾患抑制への最初の洞察は、IBDの予防・治療に新たな視点を提供できるものと考えられる。

 本研究では卵殻膜をデキストラン硫酸ナトリウム誘発大腸炎マウスに給餌し、腸管上皮損傷の修復と炎症性腸疾患の改善効果を明らかにした。

 ヒトでも同様の効果があるかについては今後の検討課題である。

 

皮膚の弾力性増加

(2018年11月掲載)

 

「掲載論文タイトル」

 Solubilized eggshell membrane supplies a type Ⅲ collagen-rich elastic dermal papilla

 

「要約」

 卵殻膜が創傷治療プロセスに必須の皮膚真皮乳頭層にあるⅢ型コラーゲン遺伝子発現を1.6倍促進させることを実証した。

 当研究では、卵殻膜塗布によるⅢ型コラーゲン関連遺伝子発現が非塗布群と比較すると約1.6倍増加する点及びその増加箇所は皮膚の「真皮乳頭層」である点が、ヘアレスマウスの実験で明らかになった。加えて、そのⅢ型コラーゲンの比率が20%のゲル環境下(皮膚環境が最も良いとされる胎児と同環境)では、他の比率時と比較するとⅢ型コラーゲン合成量が有意に増加し、またミトコンドリアを活発化することが実証された。細胞機能は加齢とともに低下していくが、卵殻膜塗布が刺激となり細胞機能そのものが改善、正常化されることが本実験により実証された。以下、当研究結果のハイライト。

 

・ヘアレスマウスへの卵殻膜塗布で、Ⅲ型コラーゲン、デコリン、MMP2等の遺伝子発現が約1.6倍に増加(卵殻膜非塗布と比較)。前回2011年の研究では、培養皿上での実験により当発見がなされたが、マウス上で同結果が再現された点で意義は大きい。

・Ⅲ型コラーゲン関連遺伝子は、加齢で減少するとされる皮膚真皮乳頭層で有意に増加。

・Ⅲ型コラーゲン20%の環境下ゲル(胎児の肌環境と同様)において肌の弾力性が最も高くなる(Ⅰ型コラーゲンのみの環境ゲルと比較)。

・そのⅢ型コラーゲン20%の環境下ゲルでは、線維芽細胞におけるⅢ型コラーゲンタンパク質の合成量が有意に増加し、ミトコンドリア活性も高くなる。

・卵殻膜入り溶液塗布により、腕の皮膚弾力性が塗布前に比較して卵殻膜群のみで有意に増加、卵殻膜無し群と比較してシワが有意に改善(医薬部外品の試験と同じ二重盲検法での実施結果)。

 

 

 

 

脂質代謝の改善

(2020年4月掲載)

 

 

「掲載論文タイトル」

Eggshell membrane powder lowers plasma triglyceride and liver total cholesterol by modulating gut microbiota and accelerating lipid metabolism in high‐fat diet‐fed mice

 

「要約」

 実験用マウスそれぞれに「対照食(CON)」、「高脂肪食(HFD)」、または「高脂肪食+8%卵殻膜粉末(HESM)」のいずれかを20週間にわたり与えたところ、高脂肪食を与えられたマウスが卵殻膜を同時摂取することにより、以下の結果が得られた。

 

1.血漿トリグリセリド(TG)及び肝総コレステロール(TC)が減少し、カルニチンパルミトイルトランスビセラーゼ1A及びサイトカインシグナル伝達の抑制剤2などの脂質代謝遺伝子の発現を亢進させた。

 

2.腸内細菌叢(腸内フローラ)の解析では、抗肥満細菌である乳酸菌ロイテリの相対的な量が4、12及び16週で上昇し、炎症関連のブラウティア・ヒドロトロチカ、ローズブリア・ファイシス、及びルミノコッカス・カリヌスの相対量が12及び20週で減少した。

 

3.さらに、卵殻膜摂取は、マウス盲腸内のイソ酪酸を増加させ、ブラウティア・ヒドロトロチカ及びパラバキテロイド・ゴールドシュタインイと負の相関を示した。

 

研究の結果、HFDを与えられたマウスの卵殻膜摂取が、血漿TG及び肝臓TCを減少させ、また脂質代謝遺伝子発現及び腸内微生物叢組成を調節できたことから、卵殻膜が脂質代謝に有効である可能性が示唆された。

 

 

皮膚老化に対する卵殻膜の効果

(2021年6月掲載)

 

 

「掲載論文タイトル」

Effects of Eggshell Membrane on Keratinocyte Differentiation and Skin Aging In Vitro and In Vivo

 

「要約」

 卵殻膜の摂取が、皮膚細胞の分化・形成を促進し、 皮膚老化に伴う菲薄化(肌痩せ状態)を抑制し、皮膚の健康を改善することを実証した。

 

 皮膚老化は老化プロセスにおいて特徴的なものの一つであり、生理的・形態的な変化を引き起こす。近年、様々な栄養研究がこの老化反応を遅延もしくは抑制しようと試みている。

 本研究では、卵殻膜(ESM)の添加が皮膚の健康の維持や皮膚老化の改善について効果があるかをNHEK-Neoを用いた細胞実験とマウスを用いた動物実験により調べた。

 まずNHEK-Neo細胞において、1mg/mlの酵素分解ESM(eESM)はケラチノサイトの分化マーカーである、ケラチン1、フィラグリン、インボルクリンの遺伝子発現量を増加させ、また、ケラチノサイトの形態を変化させた。

 次にマウスでは、8%のESM粉末(pESM)の経口添加により、成長因子であるTGF β1、PDGF及びCTGFの遺伝子発現量が増加し、またマウスの皮膚希薄化を改善した。さらに、カルシウム取り込みに関わるTRPVsの遺伝子発現量がeESM及びpESMにより上方調節された。したがって、ESMがおそらくカルシウムシグナリングを介して、皮膚の健康と老化を改善する重要な役割を持っているということが示唆された。

 

 

卵殻膜粉末の摂取が健康な人の身体機能等に及ぼす影響

(2021年10月掲載)

 

 

「掲載論文タイトル」

Effect of eggshell membrane powder intake on the body function of healthy individuals

 

「要約」

 本研究では、21~68歳(平均39.5±15.1歳)の生活習慣病を含む病歴のない健康なボランティア20名を対象とした。ESMを含むサプリメントを摂取しているESM群(n = 10)と、ESMを含まないサプリメントを摂取している対照群(n = 10)の2群に分け、サプリメント摂取前及び摂取後8週間後において、肺機能テスト、身体機能テスト及び皮膚弾力性の測定を行った。

 検証の結果、ESMを8週間摂取した被験者は、腕の皮膚の弾力性、呼吸機能(FEV1/FVC)、ジグザグ歩行速度の変化率が対照者に比べて有意に増加した。また、8週間後のFEV1/FVCの変化率とジグザグ歩行の変化率には、初期値と比較して有意な相関が認められた。

 

 

[用語解説]

 

注1

シスチン

髪の毛や爪に多く含まれるアミノ酸の一種で、システインが2つ繋がったもの。透き通る美しさをサポートする成分として注目されている。

注2

プロテオグリカン

肌の細胞の増殖や、ヒアルロン酸、Ⅰ型コラーゲンの産生を促し、かつそれ自体が高い保水能力を持ち、肌荒れ、シワ、肌の弾力、メラニン生成抑制作用や色素沈着改善作用があり、若々しい肌を保つのに役立つ。

注3

潰瘍性大腸炎

炎症性腸疾患のひとつで、大腸の粘膜に炎症が起きることによりただれや潰瘍ができる原因不明の慢性の病気。主な症状としては、下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などがある。また、様々な合併症が発現することがある。

注4

Ⅲ型コラーゲン

3つのアルファ1(Ⅲ)鎖からなるらせん構造を持った線維型タンパク質。胚発生の初期胚の頃から発現し、皮膚や心血管系の発生に重要である。成体では、Ⅲ型コラーゲンは皮膚(真皮)、血管、肺、内臓器官の細胞外マトリクスの成分で、正常な生理機能を維持するために重要。例えば、Ⅲ型コラーゲンの遺伝子の異常は、血管や皮膚がもろく、関節がぐらぐらするエーラスダンロス症候群を引き起こす。さらに、Ⅲ型コラーゲンは皮膚やその他の組織で、治療回復している場所に顕著に存在している。

注5

線維化

内臓などの組織を構成している結合組織と呼ばれる部分が異常増殖する現象のこと。

注6

細胞外マトリクス

組織中の細胞外の空間を満たしている生体高分子の複雑な集合体。すべての組織にあり、結合組織には多量に存在する。皮膚ではⅠ型、Ⅲ型コラーゲンを含む異なる種類の様々な線維が細胞外マトリクスの主要な構造成分で、皮膚に強度と弾力性を与えている。

注7

真皮線維芽細胞

皮膚の真皮にある線維芽細胞。真皮は、皮膚を形成する結合組織で、基底膜を隔てて表皮の下層にある。真皮にはコラーゲン線維や弾性線維、プロテオグリカンなど皮膚を物理的に支える構造物があるほか、細胞成分として線維芽細胞や肥満細胞などが存在する。線維芽細胞は楕円形の核を内部にもつ紡錘状の形態をしており、コラーゲンやプロテオグリカンなどの細胞外マトリクスを分泌する。

注8

MMP2

マトリクスメタプロテアーゼ2。細胞外マトリクスを分解する酵素の一種。マトリクスメタロプロテアーゼ2は様々な皮膚の生物学や生態学に役割を果たし、例えば創傷治療プロセスでは初期には発現している。

注9

デコリン

プロテオグリカンの一種で、鎖状のコアタンパク質にグリコサミノグリカンと呼ばれる二糖の繰り返し構造を持つ糖鎖多数結合した、試験管ブラシのような構造をしている。多数のマイナス電荷をもち、水やイオンを多量に吸着する性質がある。デコリンは結合組織に存在し、組織を組み立てるのに重要な働きをしている。デコリンの量や質に異常があると、張りのない皮膚になってしまったり、傷の治りが遅くなったりする。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことで、行動制限の緩和による人流の変化や入国規制の解除によるインバウンド需要の増加により、経済活動の正常化が進みました。一方、原材料及びエネルギー価格の高騰や為替変動など、今後の先行きは不透明な状況が続いております。

 このような状況において、当社は3つの経営ビジョンの下(※1)、卵殻膜商品の更なる認知度向上を狙った広告運用強化等により、直販(EC)の新規顧客獲得数の好調な増加並びに外販(OEM販売)の堅調な推移があった一方で、物価上昇による節約志向の影響を受けて、TV通販での出荷が前年同期比で減少する結果となりました。

 その結果、当事業年度の経営成績は、売上高7,538,775千円(前年同期比15.5%増)、営業利益960,534千円(前年同期比15.5%増)、経常利益963,280千円(前年同期比15.1%増)、当期純利益695,456千円(前年同期比18.7%増)となりました。

※1・先進諸国に到来する高齢化社会において、人々の健康、若さ、そして美しさの維持・向上による“生活の質”の向上という根源的なニーズに、“卵殻膜”を通じて貢献する。

・卵殻膜の多機能な効果及び効能を科学的に解明し、常にユニークで最高品質の商品開発にこだわり、それを世界に提供する。

・“卵殻膜”で、美容と健康分野において、新しい価値観を浸透させる。

 なお、当社は卵殻膜ヘルスケア事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の開示は行っておりませんが、売上高の販売チャネル別の内訳は、以下のとおりであります。

 

販売チャネル

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

増減額

(千円)

前年同期比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

TV通販

1,401,526

21.5

1,368,947

18.2

△32,578

97.7

外販

(一般流通)

289,296

4.4

364,132

4.8

74,835

125.9

外販

(OEM販売)※2

1,528,803

23.4

1,653,407

21.9

124,604

108.2

直販(EC)

3,309,259

50.7

4,152,288

55.1

843,028

125.5

合計

6,528,885

100.0

7,538,775

100.0

1,009,889

115.5

※2 OEM販売額のうち、インターネット販売を主としているOEM先への売上高

 

②財政状態の状況

(資産)

 当事業年度の流動資産は3,673,527千円となり、前事業年度末と比較して175,910千円増加しました。これは主に、現金及び預金が124,509千円、電子記録債権が329,746千円、売掛金が40,579千円増加し、受取手形が378,114千円減少したことによるものです。固定資産は156,885千円となり、前事業年度末と比較して16,752千円減少しました。これは主に、工具、器具及び備品が5,637千円増加し、ソフトウエアが6,712千円、差入保証金が10,069千円減少したことによるものです。

 以上の結果、総資産は3,830,412千円となり、前事業年度末と比較して159,158千円増加しました。

 

(負債)

 当事業年度の流動負債は1,904,136千円となり、前事業年度末と比較して603,380千円増加しました。これは主に、買掛金が105,601千円、短期借入金が450,000千円、未払金が92,380千円増加し、未払法人税等が101,178千円減少したことによるものです。固定負債は42,240千円となり、前事業年度末と比較して4,035千円増加しました。これは、退職給付引当金が5,000千円増加し、リース債務が964千円減少したことによるものです。

 以上の結果、負債合計は1,946,376千円となり、前事業年度末と比較して607,415千円増加しました。

 

(純資産)

 当事業年度の純資産は1,884,035千円となり、前事業年度末と比較して448,257千円減少しました。これは主に、繰越利益剰余金が71,822千円(配当金支払623,633千円、当期純利益695,456千円)増加し、自己株式が524,747千円増加したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ124,509千円増加し、1,512,853千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益963,280千円、仕入債務の増加額105,601千円、未払金の増加額91,925千円、法人税等の支払額368,874千円等により846,273千円の収入となりました(前事業年度は711,745千円の収入)。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出8,986千円、無形固定資産の取得による支出2,660千円、敷金及び差入保証金の返還による収入10,070千円により1,576千円の支出となりました(前事業年度は7,125千円の支出)。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入による収入2,400,000千円、短期借入金の返済による支出1,950,000千円、自己株式の取得による支出545,623千円、配当金の支払623,633千円等により720,187千円の支出となりました(前事業年度は492,016千円の支出)。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

区分

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

完成品(千円)

1,880,852

112.4

部材(千円)

693,980

95.6

合計(千円)

2,574,833

107.3

 (注)1.当社は、卵殻膜ヘルスケア事業の単一セグメントであるため、仕入実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

2.金額は仕入価格によっております。

 

c.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

d.販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

販売チャネル別

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

TV通販(千円)

1,368,947

97.7

外販(一般流通)(千円)

364,132

125.9

外販(OEM販売)※(千円)

1,653,407

108.2

直販(EC)(千円)

4,152,288

125.5

合計(千円)

7,538,775

115.5

※OEM販売額のうち、インターネット販売を主としているOEM先への売上高

 

 (注)1.当社は、卵殻膜ヘルスケア事業の単一セグメントであるため、販売実績は、セグメント情報に関連付けた記載を省略しております。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社オージオ

1,474,573

22.6

1,600,971

21.2

株式会社QVCジャパン

1,401,526

21.5

1,368,180

18.1

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これら財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。

当社は、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。

 

商品の収益性の低下による帳簿価額の切下げ

 商品の収益性の低下による帳簿価額の切下げに際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 財政状態の分析

 当事業年度末における財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

b 経営成績の分析

 (売上高)

当事業年度の売上高は、7,538,775千円となり、前事業年度に比べ1,009,889千円増加しました。卵殻膜商品の更なる認知度向上を狙った広告運用強化等により直販(EC)の新規顧客獲得が好調に推移したこと及び外販が堅調に推移した結果、売上高は前事業年度を上回りました。

 

 (売上原価、売上総利益)

売上原価は、2,467,727千円となり、前事業年度に比べ289,010千円増加しました。売上高の増加に伴い、売上総利益は、5,071,048千円となり、前事業年度に比べ720,879千円増加しました。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、4,110,513千円となり、前事業年度に比べ592,070千円増加しました。これは主に、直販の新規顧客獲得数増加に伴う広告宣伝費等の増加の影響によるものであります。この結果、営業利益は960,534千円となり、前事業年度に比べ128,808千円増加しました。

 

 (営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は雑収入9,356千円等により9,866千円、営業外費用は支払利息3,925千円等により7,120千円となりました。この結果、経常利益は963,280千円となり、前事業年度に比べ126,173千円増加しました。

 

 (特別利益、特別損失及び当期純利益)

特別利益、特別損失の発生はなく、この結果、税引前当期純利益は963,280千円となり、前事業年度に比べ126,173千円増加しました。

また、法人税等合計が267,824千円、当期純利益は695,456千円となり、当期純利益は前事業年度に比べ109,657千円増加しました。

 

c キャッシュ・フローの分析

 当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入のほか、広告宣伝費、運送費等の販売費及び一般

管理費であります。当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金につきましては、金融機関からの長期借入やリースによる調達を基本としております。

 なお、当事業年度末における有利子負債の残高(リース債務含む)は1,000,964千円、有利子負債依存度(リース債務含む)は26.1%であり、事業運営上、必要な資金を安定的に確保していると認識しております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,512,853千円となっており、事業運営上、必要な流動性を確保していると認識しております。

 

⑥経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、売上高、売上総利益及び営業利益を重要な経営指標として位置付けております。

 前事業年度及び当事業年度の経営指標は、次の通りであります。いずれの経営指標も当事業年度は前事業年度を上回りました。今後も定期顧客会員数の拡大や新商品の開発、新販路開拓、コスト削減等を図り、売上高、売上総利益及び営業利益の拡大に努めてまいります。

 

前事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

売上高

6,528,885

121.7

7,538,775

115.5

売上総利益

4,350,168

131.0

5,071,048

116.6

営業利益

831,726

99.5

960,534

115.5