事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 1,763 | 100.0 | 170 | 100.0 | 9.6 |
事業内容
3 【事業の内容】
株式会社GA technologiesによる当社の普通株式に対する公開買付けの結果、2024年8月21日に当社議決権の52.3%を取得し、株式会社GA technologiesが当社の親会社となりました。
創業以来、「不動産ビッグデータ×Technology」を事業コンセプトとしており「プラットフォーム事業」「デジタルマーケティング事業」が主力事業です。
当社は、マンションの新築分譲時にしか取得することができない物件コンセプトブック、図面集、価格表を約30年以上にわたり収集しており、これらを情報ソースとし不動産ビッグデータを構築してきました。
「プラットフォーム事業」は、保有している不動産ビッグデータをもとに、新築マンション領域、中古マンション領域それぞれの業態に合わせたサービスを開発し提供しております。
新築マンション領域においては、主にマンションデベロッパーに向けて、不動産ビッグデータの閲覧や多彩な集計グラフ・帳票を出力できる市場調査・分析システムの「サマリシリーズ」というサブスク型(注1)不動産マーケティングシステムを提供しております。
中古マンション領域においては、主にマンションの仲介業者に向けて、不動産ビッグデータを活用し不動産販売における営業支援を行う「データダウンロードサービス」という従量課金型のサービスを提供しております。
「デジタルマーケティング事業」はマンション販売における集客をWebマーケティングにより支援しております。
新サービスの「CGM広告」は、マンションの購買意欲の高いユーザーが集まるCGMサイトを活用することから、反響の質の高さと送客力を強みとするサービスで、今期も引き続き重点サービスと位置付け、営業活動を推進しております。
また、周辺マンション相場や当該物件の特徴等を分析し、適切なキーワード選定や広告配信エリアの提案を行い運用するリスティング広告(注2)や、物件公式サイト等のアクセス解析、サイト制作等を行っております。
その他、今後の事業化を目指しているサービスとして、不動産データベースよりマンションの間取りや販売価格などから世帯属性を想定しデータセグメントのうえ広告配布を行うダイレクトメールの配送サービスや、システムの受託開発などを行っております。
(注)1.サブスク型とはサブスクリプションの略で月額定額料金の収益モデルを指す。
2.リスティング広告とはGoogleやYahoo!が提供する検索エンジンの検索結果で、検索エンジン利用者が検索したキーワードに対し、関連した広告を表示させる広告手法を指す。
(1)プラットフォーム事業
「プラットフォーム事業」では、「不動産ビッグデータ×Technology」を事業コンセプトとし、各種のサービスを展開しております。
新築マンション領域では「サマリネット」を中心に不動産に関連するデータベースを活用した不動産マーケティングプラットフォーム「Realnet」を提供しております。
当社の提供する「サマリネット」は継続課金型の収益モデルとなっており、「サマリネット」のARR(注)は全体の47.3%(2025年2月期)となっております。チャーンレート(解約率)は0.2%(2025年2月期)と低水準であり、継続率が高く安定的な収益確保が可能である点が当サービスの強みとなっております。
また、当社が保有する新築分譲マンションのデータについては、不動産ポータルサイト運営会社等にデータ提供を行っており、これらは不動産ポータルサイト内で過去販売物件の物件概要の掲載や行政区、駅別などエリアごとのマンション相場情報の掲載等、幅広くご活用頂いております。
中古マンション領域では、新築マンション販売当時に配布されたマンションのコンセプトブック、図面集及び新築時価格表や中古販売履歴などをダウンロードできる「データダウンロードサービス」を提供しております。これらのデータは中古マンションの売却査定時や売買商談時に物件の特徴を把握するための情報源としてご活用頂いております。
また、「間取図作成サービス」は自社で保有する新築時の間取図データを活用し、スピーディかつ低コストで広告掲載用間取図の作成を行っております。
(注)Annual Recurring Revenueの略で、継続的な契約により毎年決まって得られる売上高を表します。
① サマリネット
「プラットフォーム事業」における「サマリネット」は、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、群馬県、栃木県)・関西(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県)・東海(愛知県、岐阜県、三重県)の三大都市圏を対象とし、マンションデベロッパーやマンション販売会社等の新築分譲マンション事業に関わるユーザーがマンション市場の調査等を行う際に必要な過去の販売事例のデータ閲覧やマンション相場集計グラフの出力等が行えるマーケティングシステムです。
現在最も利用者の多いマンションサマリは従来のクライアントサーバ型システムからSaaS型システムへの移行が完了しております。
収益モデルは以前のクライアントサーバ型システム同様に月額課金制が主な報酬形態となっており、一部集計レポート等の出力に応じて課金する従量課金も行っております。
各サービスについての特徴は以下のとおりです。
(注)ポリゴンとは多角形の面のことで、ここでは「町」や「丁目」などの行政界エリアデータを指す。
なお、賃貸サマリは株式会社ワンノブアカインド(本店所在地:東京都港区、代表者名:川島 直也)、マンシ
ョンリサーチ株式会社(本店所在地:東京都千代田区、代表者名:山田 力)、統計サマリはマップマーケティング
株式会社(本店所在地:東京都渋谷区、代表者名:新田正則)よりデータ提供を受けております。その他は当社
顧客より入手したデータであります。
② リアナビ
「プラットフォーム事業」における「リアナビ」は、SaaS型(リリース当時はASP型と表現)の不動産マーケティングシステムです。
新築分譲マンションの営業担当者をターゲットにリアルタイム性を追求したサービスで、相場情報のほか新規販売情報や完売情報、値引き情報等の販売動向などを即時にユーザーに情報配信することで、新築マンションの販売時に近隣の競合分析や販売戦略の立案等に活用いただいております。
リアナビはユーザーが必要なサービスを選択し、システム利用ライセンス料として月額課金制による収益モデルとなっており、マンションカタログ等の一部従量課金サービスも行っております。
各サービスについての特徴は以下のとおりです。
なお、エリアポテンシャルはマップマーケティング株式会社、不動産市況の賃貸データは株式会社ワンノブアカインド、マンションリサーチ株式会社よりそれぞれデータ提供を受けており、その他は当社顧客より入手したデータとなっております。
③ データダウンロードサービス
「プラットフォーム事業」における「データダウンロードサービス」は不動産仲介業者に向けた営業支援サービスであり、マンションの売買仲介業務における物件査定業務時や、マンション購入検討者との商談時の営業資料として必要なデータの取得が可能となっております。
また、データダウンロードサービス内の「間取図作成サービス」は自社で保有する新築時の間取図データを活用し、スピーディかつ低コストで広告掲載用間取図の作成を行っております。
当サービスは、株式会社ワンノブアカインドとの共同運営事業であります。当社はコンテンツの提供及び既存顧客に対するサービスの利用促進営業や今後予定している新たなサービスの提案を行い、株式会社ワンノブアカインドは新規顧客の開拓営業活動及びデータダウンロードサービスのサービス提供サイトのシステム開発及び保守を行っております。
収益モデルはダウンロード数に応じた従量課金となっております。
各ダウンロードデータは以下のとおりです。
なお、パンフレット画像は当社顧客より入手したデータ、物件写真は当社が制作したデータ、中古販売履歴情報は共同運営事業者の株式会社ワンノブアカインドより提供を受けているものであります。
④ データ提供
「プラットフォーム事業」における「データ提供」は主に大手不動産ポータルサイトに対し、物件概要情報や相場情報などをAPI(注)にて提供しております。
(注)Application Programming Interfaceの略で、具体的には当社のデータを他社が使える仕組みを作ること。
以上のプラットフォーム事業の概念図は、次のとおりです。
『プラットフォーム事業概念図』
(注) 簡易GISとは、Googleマップなどの電子地図とデータ連携して、マンション情報等を地図上にて一覧、集計表示するシステムのこと。
(2)デジタルマーケティング事業
新築分譲マンション事業向けのマーケティングノウハウや当社保有の不動産データベースを活用して、マンション販売における集客をWebマーケティングで支援しております。
CGM広告を活用した集客サービスの企画販売、インターネット広告の運用、アクセス解析及びバナー(注1)やランディングページ(注2)などクリエイティブ素材の提供、物件サイトの制作等を行っております。
① CGM広告
マンションの購買意欲の高いユーザーが集まるCGMを活用することから、反響の質の高さと送客力が強みのサービスです。不動産ポータルサイトが得意とする、これから物件購入を検討する潜在層の集客と、本サービスを組み合わせて利用することで、Web広告の効果を高めることが期待できます。また、CGM広告はGoogleが定めた良質なWebサイトを作成するうえで最も重要な基準E-E-A-T(注3)に沿ったサイト構成であることから、Googleから高く評価され、検索結果として上位表示されることから効率的な集客が可能となります。
当サービスは、顧客から広告掲載料を頂く報酬形態となっております。
② リスティング広告運用
新築分譲マンション及び分譲戸建て販売の集客に特化したインターネット広告の運用を行っており、広告運用実績やアクセス解析をもとに物件の資料請求やモデルルームへの来場促進を担っております。当社の強みとしては、長きにわたり不動産業界に向けた事業を展開しているためマンション販売に関して知識があり、さらに豊富なデータを保有していることから、リスティング広告のキーワード、エリアの選定など適正かつ効率的な運用を得意としております。Yahoo!プロモーション広告におけるスポンサードサーチ、YDA広告(注4)、GoogleAdwordsにおける検索ネットワーク、GDN広告(注5)だけでなく、Facebook広告、YouTube広告などのSNS広告や位置情報広告も扱っており、物件の完売までをサポートする広告運用代行としてサービスを提供しております。
③ サイト制作
新築分譲マンション及び分譲戸建て販売に特化したサイト制作を行っております。広告の対象となる物件の訴求ポイントなどの抽出や販売好調だった物件のクリエイティブ戦略など、当社が長年にわたって蓄積した不動産に関するデータやノウハウを活用し、Webサイト制作やバナー制作などクリエイティブ素材を主に当社のリスティング広告運用の顧客向けに提供しております。
(注)1.ウェブページ上で他のウェブサイトを紹介する役割を持つ画像のこと。
2.ウェブページ上で検索結果や広告などを経由して訪問者が最初にアクセスするページのこと。
3.2022年12月Google品質評価ガイドラインのアップデート情報より。
4.Yahoo!ディスプレイアドネットワークの略称で、Yahooで出稿できるディスプレイ広告のこと。
5.Googleディスプレイネットワークの略称で、Googleで出稿できるディスプレイ広告のこと。
(3)その他
当社保有の不動産データベース及び顧客の社内システムやWebサービスとデータベースとの連携システムの開発経験等に基づき、以下のサービスを展開しております。
① タウンマンションプラス(DM)
ターゲットを絞り込んでダイレクトメールの配送を行う当社独自のダイレクトメールの配送サービスです。他社のダイレクトメールとの違いは、配布対象のセグメントの方法にあります。タウンマンションプラス(DM)では、当社保有の不動産データベースより築年数や物件価格、間取りなどの物件特性から「世帯属性」や「生活志向」を導き出し、きめ細かく世帯をセグメントすることで、より高い確率で広告主が求めるターゲット顧客に訴求することが可能となり、取り扱う商品やサービスとターゲット顧客とのミスマッチが起こりづらくなる効率的なマーケティングが可能となっております。
② システム受託開発
サマリネットやリアナビ等の開発・運用実績やデータベース構築ノウハウ等を活かし、システムの受託開発を行っております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
(1)プラットフォーム事業
(2)デジタルマーケティング事業
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度における我が国の景気動向は、一部に足踏みがみられるものの景気は緩やかに回復しております。
当社の顧客が属する不動産業界におきましては、全体としては住宅建設は横ばいの推移となっております。その一方で、当社が事業展開している三大都市圏の新築マンション業界においては資材価格や人件費等の建築コストの高騰等を背景として新築マンションの平均価格が高止まりの傾向にあります。また、新築マンション価格の値上がりに連れて中古マンション価格も上昇傾向にあり、総じて底堅い動きが継続しております。
このような事業環境の下、不動産情報提供サービスを行う当社はサービスの拡大を積極的に推進しております。当社の主力事業である新築マンション事業者向けのマンションサマリにおいては、当社サービスの利用アカウントの増加に向けた機能強化及びサービスの拡充等を推進しております。また、不動産仲介事業者向けのサービスにおいては、中核サービスであるデータダウンロードサービスの売上高が伸長したことに加えて、期の後半には大型のショット収益を計上することができたことから、大幅な増収を達成しております。
コスト面におきましては新規サービスの開発等に向けた十分な投資を実施しておりますが、上記大型のショット収益による増益効果を受けて、利益面でも前事業年度を大きく上回る結果となっております。
この結果、当事業年度の売上高は1,763,285千円(前事業年度比22.7%増)、営業利益は170,149千円(同199.5%増)、経常利益は166,605千円(同182.0%増)及び当期純利益は126,540千円(同161.6%増)となりました。
なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は939,252千円となり、前事業年度末に比べ260,179千円増加しました。これは主に、売上高の伸長に伴い現金及び預金が237,733千円増加したことによるものであります。
固定資産は248,047千円となり、前事業年度末に比べ24,532千円減少しました。これは主に、従業員向け貸与パソコンの入れ替え及び関西支社の移転に付随する設備工事等により有形固定資産が19,582千円増加した一方で、無形固定資産として計上しているソフトウエアが75,901千円減少したことによるものであります。ソフトウエアが減少している理由は、新規のソフトウエア開発が前事業年度で概ね終了したことから新たにソフトウエアとして計上される金額が減少しており、ソフトウエア償却がソフトウエア計上額を上回ったことによるものです。
投資その他の資産は127,594千円となり、前事業年度末に比べ28,068千円増加しました。これは主に、繰延税金資産が27,337千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1,187,300千円となり、前事業年度末に比べ235,647千円増加しました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は291,545千円となり、前事業年度末に比べ105,570千円増加しました。これは主に、返済により借入金が25,000千円減少した一方で、未払法人税等が57,192千円増加したこと及び従業員向け貸与パソコンの入れ替えに係る購入費用等により未払金が14,060千円増加したこと等によるものであります。
固定負債は6,695千円となり、前事業年度末に比べ4,719千円増加しました。これは主に、リース資産の計上によりリース債務が1,779千円増加したこと及び関西支社移転に係る資産除去債務を2,719千円計上したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は889,059千円となり、前事業年度末に比べ125,357千円増加しました。これは主に、自社株式の買付により自己株式が45,862千円増加(純資産の減少)した一方で、当期純利益の計上により利益剰余金が126,540千円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ237,733円増加し、683,053千円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は343,407千円となりました。これは主に、減価償却費が88,924千円及び税引前当期純利益が166,605千円あった一方で、法人税等の支払に16,968千円を使用したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は34,302千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得により13,578千円使用したこと及び無形固定資産の取得により18,950千円を使用したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は71,371千円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出45,862千円及び借入金の返済による支出25,000千円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は不動産マーケティングソリューション事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を行っておりません。
(注)主要な顧客ごとの情報
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
当社の財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、将来の課税所得が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産について、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定は慎重に検討しておりますが、将来の事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定の変更により、回収可能価額が減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、1,763,285千円(前事業年度比22.7%増)となりました。事業別にはプラットフォーム事業1,237,910千円、デジタルマーケティング事業469,648千円及びその他55,725千円でありました。
プラットフォーム事業においては、中古マンション領域における大型のショット収益が売上高を牽引し、前事業年度比31.8%増と大きく成長することができました。
デジタルマーケティング事業では、リスティング広告運用では既存顧客の深耕が順調に推移したことに加え、取組みを強化しているCGM広告の取扱いも堅調に伸びたこと等から、前事業年度比16.0%増の増収となりました。
その他事業はシステム開発受託において受注の一時的な落ち込みがみられたことから、前事業年度比40.1%減となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、既存サービスのユーザビリティ向上のための追加機能開発コスト及び新サービス運用のためのクラウドサービスの利用料等が増加したことから前事業年度比12.7%増の975,723千円となりました。
この結果、売上総利益は787,561千円(前事業年度比37.9%増)となりました。
なお、当事業年度においても減価償却費の増加が利益を圧迫しておりましたが、新規のソフトウエア開発投資は概ね終了しており2025年2月期においては新規のソフトウエア開発は低水準での推移となりました。当社は当該ソフトウエアの償却年数を3年と設定しているため、2026年2月期と2027年2月期にかけて減価償却費が大幅に減少していく見通しとなっており、原価低減すなわち利益の底上げに寄与するものと想定しております。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は前事業年度比20.0%増の617,412千円となりました。この主な要因は、当社役員に発行したストック・オプションの会計上の費用(株式報酬費用)の計上のほか、関西支社の移転に伴う諸費用によるものであります。
この結果、営業利益は170,149千円(前事業年度比199.5%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は5,308千円(前事業年度比118.6%増)となっております。この主な内訳は親会社とのグループファイナンス取引における当社貸付金に対する受取利息の計上であります。また、当事業年度における営業外費用は8,853千円となりました。この主な内訳は2024年8月の被TOBに際しての弁護士事務所等への支払報酬の計上であります。
この結果、経常利益は166,605千円(前事業年度比182.0%増)となりました。
なお、親会社とのグループファイナンス取引は今後も継続的に実施する方針であり、2026年2月期においても受取利息の計上を見込んでおります。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別利益及び特別損失の計上はございません。また、法人税等(法人税等調整額を含む)は40,064千円となりました。
この結果、当事業年度の当期純利益は126,540千円(前事業年度比161.6%増)となりました。
③目標とする経営指標等の達成状況について
当社は、全社的に重視する指標として売上高及び営業利益を設定しております。
また、サービス毎には、主に新築マンション事業者向けに提供している月額課金制サービス(サマリネット及びリアナビ)における平均顧客単価(サマリネット)、平均顧客数(サマリネット)、ARR(サマリネット・リアナビ)及び解約率(サマリネット・リアナビ)を、不動産仲介事業者(中古領域)向けのデータダウンロードサービスにおいては売上高及び平均顧客数を事業運営上重視する経営指標としております。
それぞれの指標の推移は下表のとおりであります。
サマリネット・リアナビについては平均顧客数が281社から286社へ増加すると同時に、ライセンス追加等のアップセルを推進したことにより平均顧客単価が上昇し、ARRは順調に増加しております。また、解約率は0.2%と依然として低い水準に抑えられております。
データダウンロードサービスについては、平均顧客数が堅調に増加し利用件数が増加したこと及び大型のショット収益の計上により売上高が伸長いたしました。
④キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、資金の手許流動性や財務健全性を考慮したうえで、原則として自己資金を財源とする方針に基づき事業運営、設備投資を実施しております。
⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の財政状態及び経営成績の分析については、前記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因としては、新規住宅及び既存住宅の流通動向や不動産会社の販売促進活動の動向等があります。また、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容や外部環境、事業体制等、様々なリスク要因が当社の経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
⑦経営者の問題意識と今後の方針
当社が今後更なる成長を遂げるために、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対処することが重要であると認識しております。そのため、当社の経営成績等に重要な影響を与える要因に対応すべく、当社では新規住宅及び既存住宅を含めた不動産全体の市場動向を鑑みて、顧客のニーズに合わせたサービスを開発・提供していく方針であります。