事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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コンサルティング事業 | 3,275 | 84.6 | 322 | 158.2 | 9.8 |
アオラナウ事業 | 596 | 15.4 | -118 | -58.2 | -19.9 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、Salesforce(※1)、Anaplan(※2)、ServiceNow(※3)、AWS(※4)、Microsoft(※5)など、世界最先端のITテクノロジーを活用した業務変革支援及び自社製品SaaS(※6)型クラウドサービス「AGAVE(※7)」の展開を通じて、企業のDX(※8)を推進する複数の事業を展開しております。2025年3月期より、従来の「デジタルプラットフォーム事業」を、「コンサルティング事業」及び「アオラナウ事業」の2つの事業セグメントに再編し、各プラットフォームに特化した専門性の高い支援体制を構築いたしました。
コンサルティング事業では、Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftを中核としたクラウド導入支援や業務設計・開発・運用支援に加え、ノーコード/ローコード(※9)開発や生成AIの活用を含む「AI & Data Innovation」、人材育成を担う「エデュケーション」、業務現場への常駐支援を行う「Onsite Service」、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断して支援する「ConsulTech」など、多層的かつ実効性の高いサービスを展開しております。また、海外駐在員管理に特化したクラウド製品「AGAVE」を提供しており、人事部門の業務効率化及び内部統制強化に寄与しています。2025年3月末時点で460社以上・11,000ID(※10)超の導入実績を有し、リカーリングビジネス(※11)として安定した収益基盤を確立しています。
アオラナウ事業では、ServiceNowを用いたITサービスマネジメント領域において、導入・設計・開発・定着支援を一貫して提供し、顧客企業のIT運用高度化と業務標準化を支援することで、組織変革及び継続的な業務改善を実現しています。
このように、当社グループは、プロフェッショナルサービスと自社SaaSを両軸に据え、企業の持続的な成長と企業価値の向上に資する付加価値の高いデジタルサービスの提供に努めております。
なお、2025年3月期における各サービスの売上高構成比は、コンサルティング事業が85%、アオラナウ事業が15%となっております。さらに、コンサルティング事業の内訳は、Salesforce・Anaplan・AWS・Microsoft等による導入・構築支援を担う「コンサルティング」が42%、ノーコード開発・生成AI活用・人材育成・常駐支援等を含む「AI & Data Innovation」が39%、加えてSaaSサービスが4%となっており、多層的な専門領域によるバランスの取れた収益構造を構築しています。
(1)事業のセグメントと主なグループ会社
(2) セグメントの内容
【コンサルティング事業】
コンサルティング事業は、Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftなどのクラウドテクノロジーの導入・活用を通じて、顧客企業の業務設計、システム構築、データ活用、組織変革、人材育成などを総合的に支援するサービスです。これにより、企業はデジタル競争力を高め、事業の俊敏性や生産性を向上させることが可能となります。当社グループは、業務プロセスの構想策定から成果創出に至るまで、テクノロジーとコンサルティングの両面から一貫した支援を提供しております。
本事業は、「コンサルティングサービス」と「SaaSサービス」の2体系で構成されており、それぞれ以下の領域で構成されています。
■コンサルティングサービス
クラウド導入支援から業務定着・活用支援までを一貫して提供する業務変革支援サービスであり、「コンサルティング」及び「AI & Data Innovation」の2領域で構成されています。
① コンサルティング
Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftなどのクラウドプラットフォームを活用し、顧客企業に対する業務設計、導入支援、開発、連携、運用設計までを包括的に行っております
・Salesforce Consulting
Salesforceプラットフォームを活用し、導入支援・開発・運用設計までを一貫して提供しています。Sales CloudやService Cloud等の標準機能を活かした導入から、複雑な業務要件に応じたアプリケーション開発、外部システム連携構築まで対応しています。
・Anaplan Consulting
企業の事業計画・予算管理・人員配置・需給予測などを支えるクラウド型計画管理ソリューション「Anaplan」の導入を支援しています。業種・業態を問わず共通する業務構造に対して、あらかじめ整備したテンプレートと柔軟なカスタマイズを組み合わせ、導入のスピードと精度を両立させています。
・その他のコンサルティングサービス
当社グループでは、クラウド環境における多様な開発ニーズに応じたコンサルティングサービスを提供しております。以下に代表的なサービス内容を記載します。
1.AWS Consulting
システム・Webサイト開発、コンサルティング、プロジェクトマネジメントサービスを提供しています。Webアプリケーション開発、インフラ構築を得意とし、AWSなどのクラウドインフラを活用した効率的な開発を推進しています。E2Eテストやユニットテストの導入により、開発後半のバグ発生を予防し、安定したサービス提供を実現しています。さらに、大規模データや高トラフィックに対応した設計構築力を活かし、大手ECサイトやエネルギー業界向けの実績も積み重ねております。
2.Microsoft Power Platform(※12)
Microsoft Power Platform(Power Apps、Power Automate、Power BI)を活用し、ノーコード・ローコードによる迅速な業務アプリケーション開発を支援しています。Power Automateによる業務プロセス自動化、Power BIによるデータ可視化、Power Appsによる業務アプリ構築により、業務部門自らが主体的にDXを推進できる体制を整備します。導入後も継続的な支援を行うことで、プラットフォームの利活用最大化に貢献しております。
② AI&Data Innovation(カスタマーサクセス支援・エデュケーション含む)
生成AIやデータを活用した次世代型の業務変革を支援しており、クラウド環境におけるノーコード/ローコード開発、API連携、業務自動化、データ分析・可視化支援などのサービスを展開しています。特に、業務プロセスの定着支援においては「Onsite Service」、人材育成を担う「エデュケーション」、そして業務全体を横断的に改革する「ConsulTech」という異なる性格のサービスを有機的に組み合わせ、顧客のDX実現を多面的に支援しています。最新技術を活用し、IT部門だけでなく業務部門が主体となる変革の推進を支援しております。
・Onsite Service
Salesforce運用の定着支援として、派遣契約により専任スタッフが顧客企業に常駐し、業務部門と連携した運用代行・改善支援を行っています。顧客環境に即した日常的な改善サイクルの実現により、高い定着率と顧客満足度を維持しています。
・エデュケーション
SalesforceやMuleSoftに関する認定資格取得支援を目的とした法人向けエデュケーションサービスも提供しており、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud等を対象に短期集中型の講座を提供。2025年3月末時点では、Salesforce10コース、MuleSoft2コースを提供しており、セールスフォース・ジャパンから表彰された講師も在籍しています。顧客企業の人材育成及び内製化支援に寄与しております。
・ConsulTech
クライアント企業のマーケティングから営業、カスタマーサクセスに至るまでのビジネスプロセスを深く理解し、業務効率を向上させることにより、ビジネスオーナーが求める成果の最大化を伴走支援します。データに基づいた意思決定を可能にするプラットフォーム構築支援だけでなく、マーケティングの戦略立案と実行支援に至るまで包括しています。専門知識が豊富なチームにより、人材育成をはじめ、顧客の開拓からアポイント獲得の向上まで、一貫してサポートします。TheModel型を熟知した担当者によるサポートにより、組織内の商流プロセスを横断して効率化させ、専属のPMが理想のビジネスモデル構築を提案いたします。生成AIを活用し、様々なシステムの実態把握と最適提案を行う組織改革型サービスです。
コンサルティング事業は、近年のデジタル化ニーズの高まりに伴い、顧客数の増加・案件規模の拡大に伴う顧客当たり単価の上昇等、堅調に推移しております。
■SaaSサービス
当社グループは、海外駐在員向けの管理に特化した「AGAVE」というクラウドサービスを提供しています。海外駐在員へのサポート業務を行う人事部門のために、海外駐在員の赴任前、赴任中、帰任時の煩雑な業務を一元管理できるプラットフォームです。様々な業務とは例えば、人事部門側で実施するタスク管理に加え、赴任中の社員の経費申請・各種ワークフロー等であり、そのような海外駐在員サポートに関わる様々な業務を一元管理し、業務の見える化、効率化を実現できます。機能としましては、マイプロファイル、経費申請/承認、各種申請/承認、お知らせ配信、ドキュメント、プロジェクト管理、給与データ管理があります。2025年3月末現在、460社以上の企業に利用いただいており、ID数としては11,000に達しました。
【アオラナウ事業】
アオラナウ株式会社では、企業のITサービスマネジメント高度化を目的に、「ServiceNow」を活用したコンサルティング及びシステム導入支援サービスを提供しております。ServiceNowは、業務の標準化・可視化・自動化を実現するクラウド型プラットフォームであり、情報システム部門のみならず、人事・総務・経理などのバックオフィス領域、さらには営業・カスタマーサポートといったフロント部門の業務効率化や顧客体験の向上にも寄与する先進的なソリューションです。
当社グループは、ServiceNow導入を検討する企業に対し、業務プロセスの現状分析からソリューション選定、要件定義、設計・開発、社内連携、トレーニングまでを一貫して支援しており、単なるツール導入にとどまらず、組織変革に向けた伴走型の支援を特徴としています。導入後の運用・保守においても、プロアクティブな課題抽出や業務改善提案を通じて、顧客企業がServiceNowを継続的に活用できる体制を構築しております。
また、ServiceNowを活用したアプリケーション開発・業務連携においては、各業務領域に特化したテンプレートや自社開発モジュールも活用することで、スピーディかつ高品質なプロジェクト推進を実現しております。加えて、他クラウドソリューション(SalesforceやMicrosoft製品群など)との連携設計にも注力し、業務全体の統合的なDXを支援しています。
(3)当社グループのビジネスモデル
当社グループは、「コンサルティング事業(コンサルティングサービス/SaaSサービス)」及び「アオラナウ事業」の二つの事業セグメントを通じ、世界最先端のITテクノロジーと専門人材を融合させた価値提供を行っております。
コンサルティング事業では、Salesforce、Anaplan、AWS、Microsoftなどの世界最先端のITプラットフォームを活用し、戦略立案から設計・構築・運用までをワンストップで支援する体制を構築しています。特に、生成AIの活用やカスタマーサクセス支援、エデュケーションによる人材育成など、導入後の活用定着フェーズに重点を置いたサービス体系を有しており、プロジェクト収益に加え、継続的なストック収益の獲得につながるビジネスモデルを構築しています。
また、SaaSプロダクト「AGAVE」においては、導入支援から運用サポートまでを一貫して提供し、月額課金を中心とした安定収益基盤を確立しています。利用継続率も高く、顧客の業務効率化と内部統制強化に貢献しています。
一方、アオラナウ事業では、ServiceNowを活用したITサービスマネジメント領域への展開を進めており、顧客のIT運用高度化と業務最適化を支援しています。導入から開発、運用・定着までを伴走することで、IT基盤の革新とサービス品質の向上を実現しています。
今後も当社グループは、世界最先端のITテクノロジーとコンサルティング機能の融合による付加価値創出を追求し、顧客の事業成長と企業価値向上を共に実現してまいります。
当社グループの強みを活かして高付加価値なサービスを提供することで、下表のとおり売上高や売上総利益等は堅調に推移しております。
当社グループ売上高・営業利益等の四半期推移
(注)1.当社グループは、2024年3月期の第3四半期連結会計期間より連結財務諸表を作成しているため、2024年3月期の第1四半期会計期間及び第2四半期会計期間は個別経営成績の数値を記載しております。
(事業系統図)
(注記)
(※1)Salesforce
米国に本社を構えるSalesforce, Inc.が提供する、企業と顧客をつなぐCRM(顧客管理)ソリューション。マーケティング、営業、コマース、サービス等全ての部署で、顧客一人ひとりの情報を一元的に共有できる統合CRM(顧客管理)プラットフォームです。
(※2)Anaplan
米国Anaplan社がサブスクリプションで提供する、クラウドベースの事業計画ソフトウエアです。財務、サプライチェーン、販売実績から人事に至るまでの分野で意思決定の目的で利用されます。
(※3)ServiceNow
米国に本社を構えるServiceNowのクラウドベースのプラットフォームで、ITサービス管理(ITSM)を効率化することを目的としています。自動化、オペレーション管理、ビジネスプロセスの統合を提供し、IT・カスタマーサービス・セキュリティオペレーション・HR管理など多岐にわたる業務プロセスに対応し、企業のデジタル変革を支援します。
(※4)AWS
Amazonが提供する世界最大規模のクラウドサービス群。コンピューティング、ストレージ、ネットワーク、データベースなど多岐にわたるサービスを提供しています。
(※5)Microsoft
WindowsやOffice製品に加え、Azure、Power Platformなどの業務アプリケーション向けクラウドソリューションを提供する世界的IT企業です。
(※6)SaaS
Software as a Serviceの略で、クラウド経由で提供されるソフトウエアサービスです。利用者はインストール不要で、月額などの課金制で利用可能です。
(※7)AGAVE
当社が提供する、海外駐在員の人事関連業務(赴任・在任・帰任)を一元管理できるSaaS型クラウドサービスです。タスク管理、経費申請、ワークフロー処理、ドキュメント共有、給与計算等を包括的に提供し、人事部門の業務効率化と内部統制強化を実現します。
(※8)DX
「Digital Transformation」の略で、経済産業省によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義されています(出典:経済産業省「DX推進ガイドライン」)。
(※9)ノーコード/ローコード
プログラミングを必要としない、あるいは最小限のコーディングで業務アプリケーションを構築できる開発手法です。開発期間の短縮と属人性の排除に寄与します。
(※10)ID
情報システム上で個人を識別するための一意の記号(identifier)で、ユーザー単位での利用管理や権限設定などに用いられます。
(※11)リカーリングビジネス
継続収益(リカーリングレベニュー)を得ることを目的としたビジネスモデルであり、定期課金を通じて安定収益と長期的な顧客関係を築く仕組みです。
(※12)Microsoft Power Platform
Microsoftが提供する業務自動化とデータ分析に特化したローコード開発基盤。Power Apps、Power Automate、Power BIにより、現場主導のDX推進と業務改善を支援します。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,329,427千円となり、前連結会計年度末と比べ124,271千円増加しました。これは主に現金及び預金が25,393千円増加し、売掛金が104,549千円増加したことによるものであります。主な内訳は、現金及び預金833,354千円、売掛金430,936千円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は493,149千円となり、前連結会計年度末と比べ154,902千円増加しました。これは主に投資有価証券が55,000千円増加し、敷金及び保証金が125,082千円増加したことに対して、建物附属設備が46,385千円減少したことによるものであります。主な内訳は、のれん119,817千円、投資有価証券59,470千円、敷金及び保証金190,439千円、繰延税金資産82,674千円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は833,769千円となり、前連結会計年度末と比べ247,483千円増加しました。これは主に1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債が148,660千円増加、未払消費税等が45,746千円増加、契約負債が34,506千円増加し、賞与引当金が22,435千円増加したことに対して、1年内返済予定の長期借入金が46,660千円減少したことによるものであります。主な内訳は、買掛金41,188千円、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債148,660千円、未払金70,085千円、未払費用68,339千円、未払法人税等64,596千円、未払消費税等106,030千円、契約負債122,506千円、賞与引当金150,337千円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は59,528千円となり、前連結会計年度末と比べ106,162千円減少しました。これは主に転換社債型新株予約権付社債が100,427千円減少したことによるものであります。主な内訳は、転換社債型新株予約権付社債48,232千円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は929,279千円となり、前連結会計年度末と比べ137,853千円増加しました。これは主に利益剰余金が184,047千円増加したことに対して、非支配株主持分が68,877千円減少したことによるものであります。主な内訳は、資本金408,033千円、資本剰余金456,669千円、利益剰余金126,213千円であります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、物価上昇の継続や人手不足の深刻化、為替の変動、海外情勢の不安定化といった要因により、依然として先行きの不透明な状況が続いております。一方で、企業活動は中長期的な成長に向けた構造改革の重要性が高まり、デジタルトランスフォーメーション(DX)や業務の自動化、人材戦略の見直しなどを中心とした変革への取組が拡大しております。
当社グループが属するパブリッククラウドサービス市場においても、IT基盤のクラウド移行(クラウドマイグレーション)や、経営判断に資するデータ活用の高度化、生成AI・ノーコード開発の活用といった新たな潮流が広がっており、IT投資の重点は従来の「業務効率化」から「経営変革」へと移行しつつあります。
こうした中、企業によるクラウド導入の進展とともに、導入後の定着・活用を促進するための人材育成や組織改革のニーズも高まっており、クラウドをどのように経営成果に結びつけるかが、新たな経営課題として顕在化しています。
国内クラウド市場は、2028年までに年平均成長率(CAGR)16.3%で成長し、2023年比で約2.1倍となる16兆6,285億円規模に達する見通しであると、IDCは予測しています。
クラウドサービスの中でも、当社の主力分野としている米国Salesforce.comは、2025年2月26日に2025年通期業績を発表、売上高は前年比9%増の379億ドル、GAAP営業利益率は19.0%、Non-GAAP営業利益率は33.0%、純利益は前年比50%増の62億ドルと、主要な指標で堅調な成長を記録しております。
このような成長市場を背景に、当社グループは、SalesforceやAnaplanを活用したコンサルティングサービス、自社SaaSプロダクト「AGAVE」による業務基盤支援に取り組むとともに、2024年8月には関西エリアでの事業拡大を見据え大阪オフィスを新設いたしました。さらに、アオラナウ株式会社によるServiceNow領域への展開を新たな柱として加え、事業成長と収益基盤の強化を推進しております。
当社グループの当連結会計年度における売上高は3,804,013千円となり、前年比31.1%増と、前年を大きく上回る結果となりました。一方で、中長期的な戦略的ビジネス基盤の拡大に向けた体制強化、並びに人的資本投資にかかる継続的な社員募集費や業務委託費の増加などにより、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上の拡大によりこれを吸収し、営業利益は203,634千円(前年は営業損失85,321千円)、経常利益は204,051千円(前年は経常損失51,178千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は184,047千円(前年は親会社株主に帰属する当期純損失39,166千円)と、いずれも前期の赤字から黒字へと転換いたしました。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を「デジタルプラットフォーム事業」の単一セグメントから、「コンサルティング事業」と「アオラナウ事業」の2区分に変更しています。以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で表示しています。
(イ)コンサルティング事業
当連結会計年度におけるコンサルティング事業の売上高は3,242,503千円(前年比14.9%増)、セグメント利益は322,125千円(前年は△48,850千円)という結果になりました。
コンサルティング事業では、コンサルティング、AI&Data Innovation、SaaSサービス(AGAVE)の各サービスを展開しており、SalesforceやAnaplanを主力とした業務支援型の「コンサルティング」及び、データ活用や生成AI導入支援を担う「AI & Data Innovation」など、各領域が堅調に推移しております。稼働率の改善も進んでおり、プロジェクト単位ではなく週単位での稼働状況をモニタリングする体制を整備したことで、リソース配置の最適化が進み、稼働率・利益率ともに向上いたしました。2024年8月には大阪に新オフィスを開設し、関西圏での新規案件を複数受注。加えて生成AIや自律型AIに関連した新たなサービスも複数リリースしております。
SaaSサービス(AGAVE)では、契約ユーザーID数は前年を大きく上回り、「AGAVE」の利用は堅調に拡大しています。特に、兼ねてよりご要望の多かった「海外給与計算サービス」を新たにリリースしたことで、既存顧客の満足度向上及びアップセルに寄与し、新規顧客獲得の機会も広がっております。海外人事労務に特化した専門性の高いクラウドサービスと、ストック型ビジネスという強みを背景に、継続的な新規顧客の獲得に加え、それに伴う導入支援サービスによる売上も加わり、事業は順調に成長しております。
(ロ)アオラナウ事業
当連結会計年度におけるアオラナウ株式会社の売上高は561,510千円(前年比619.4%増)、セグメント利益は△118,490千円(前年は△36,470千円)という結果になりました。2024年1月の本格的な事業開始以降、ServiceNowを活用したノーコード/ローコード開発や業務自動化のコンサルティングサービスを中心に、順調に受注を拡大し、第4四半期には黒字化を達成するなど、収益基盤の改善が進んでおります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、833,354千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、220,289千円の収入(前連結会計年度は105,349千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益159,040千円、賞与引当金の増加22,435千円、株式給付引当金の増加20,920千円、契約負債の増加34,506千円、未払消費税等の増加45,746千円があった一方で、売上債権の増加104,549千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、197,635千円の支出(前連結会計年度は102,164千円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出55,000千円、敷金及び保証金の差入による支出131,802千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、3,791千円の収入(前連結会計年度は126,061千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入18,370千円、新株予約権付社債の発行による収入48,232千円があった一方で、長期借入金の返済による支出61,230千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、「アオラナウ事業」が成長し、当期末に事業管理方法を見直した結果、当連結会計年度より、従来の「デジタルプラットフォーム事業」の単一セグメントから、「コンサルティング事業」、「アオラナウ事業」の2区分に変更しております。
前期比は、当連結会計年度の報告セグメントの区分に基づいて計算した比率を開示しております。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度において、コンサルティング事業の売上高は3,242,503千円、アオラナウ事業の売上高は561,510千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度において、売上原価は2,047,807千円となりました。当連結会計年度の前半において、稼働率の低下が見られたが、後半に入り稼働率が改善されました。
この結果、売上総利益は1,756,205千円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,552,571千円となりました。中長期的な戦略的ビジネス基盤の拡大に向けた体制強化、並びに人的資本投資にかかる継続的な社員募集費や業務委託費の増加などにより、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上の拡大によりこれを吸収しました。
この結果、営業利益は203,634千円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益が10,219千円、営業外費用が9,802千円発生しました。子会社の吸収合併に伴って、保険の解約を行い、返戻金の受け取りがありました。
この結果、経常利益は204,051千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、特別利益が946千円、特別損失が45,957千円発生し、法人税等合計は43,607千円となり、当期純利益は115,432千円となりました。
非支配株主に帰属する当期純損失68,614千円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は184,047千円となりました。
財政状態とキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、人件費等の運転資金及び設備投資資金であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、運転資金は自己資金を基本としつつ、投資資金は自己資金並びに金融機関からの長期借入及びエクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上総利益率、コンサルティング事業における顧客企業の中での大企業売上比率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでおります。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び経営成績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは、SalesforceやAnaplanを活用した「コンサルティング」、データ活用や生成AI導入支援を担う「AI & Data Innovation」、自社SaaSプロダクト「AGAVE」の販売等により構成される「コンサルティング事業」と、ServiceNowの導入から運用をサポートする「アオラナウ事業」を行っております。そのため、「コンサルティング事業」、「アオラナウ事業」の2種を報告セグメントとしております。
なお、当連結会計年度において、「アオラナウ事業」の成長に伴い、経営管理区分を見直した結果、従来の「デジタルプラットフォーム事業」の単一セグメントから、「コンサルティング事業」、「アオラナウ事業」の2区分に変更しております。
前連結会計年度のセグメント情報は、当連結会計年度の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。報告セグメントの利益は営業利益ベースの数値です。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)1.セグメント売上高の調整額及びセグメント資産の調整額は、セグメント間の取引消去等です。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
3.セグメント資産に子会社株式は含まれておりません。
4.セグメント間取引における価格その他の取引条件は、市場実勢を勘案して当社が希望価格を提示し、価格交渉の上で決定しております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)1.セグメント売上高の調整額及びセグメント資産の調整額は、セグメント間の取引消去等です。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
3.セグメント資産に子会社株式は含まれておりません。
4.セグメント間取引における価格その他の取引条件は、市場実勢を勘案して当社が希望価格を提示し、価格交渉の上で決定しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に記載しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦以外の外部顧客への売上高がないため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
1 製品及びサービスごとの情報
連結財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に記載しております。
2 地域ごとの情報
(1) 売上高
本邦以外の外部顧客への売上高がないため、記載を省略しております。
(2) 有形固定資産
本邦以外に所在している有形固定資産がないため、記載を省略しております。
3 主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
該当事項はありません。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注)のれん償却額に関しては、セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注)のれん償却額に関しては、セグメント情報に同様の情報を開示しているため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。