リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)「Salesforce」の契約の継続性について
当社グループのSalesforce Consultingの「Salesforce導入・運用コンサルティング」、カスタマーサクセスの「Salesforce運用支援・サポート」及びエデュケーションは、「Salesforce」に特化したサービスを提供しており、これらの売上が2024年3月期において全体の約9割を占めております。また、営業活動において、株式会社セールスフォース・ジャパンからの紹介によるところも大きく寄与しております。そのため、「Salesforce」の市場の拡大に大きく依存しております。こうした現状を踏まえ、Anaplan、連結子会社であるアオラナウ株式会社による「ServiceNow」導入にかかる事業の成長、継続してエデュケーションの新商品や提供範囲や提供方法の拡充等、「Salesforce」に依存しない事業拡大に努めております。GDP(国内総生産)の増減、為替相場の円高・円安、消費者物価指数の上下等の影響により、「Salesforce」の市場縮小、経営戦略変更等があった場合には、契約の継続性に支障を来し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)クラウド市場の動向について
当社グループが事業を展開するクラウド市場は、ICT・業務の効率化に対する企業の期待やクラウドに対する注目度の高まりに伴って急速に成長しており、クラウドファーストの潮流が鮮明化しつつあります。当社グループは今後もこの成長傾向は持続すると見ており、「Salesforce」、「Anaplan」、「ServiceNow」そして自社SaaS製品の拡販とクラウドに関する事業の多角化を積極的に展開していく計画であります。
しかしながら、経済情勢や景気動向の悪化等により、企業の積極的な投資が控えられるようになった場合には、市場が縮小することも考えられ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合企業の動向について
当社グループが事業を展開するクラウド市場は、ここ数年で規模の大小を問わず競合企業が複数存在しており、クラウドの普及に伴い、今後も当社グループより規模が大きい競合企業の新規参入が予測されます。当社グループは、社内外研修やEラーニングを活用した継続した教育を行うことにより、エンジニアの高い技術力の維持・強化を図り、その技術力の高さによりサービス品質の更なる向上を目指し、競争力の維持に努めてまいります。
しかしながら、競合企業の動向によっては、市場に大きな影響を与える可能性があり、新規参入の拡大・競争の激化により、競合企業と差別化をうまく図れない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)内部管理体制の強化について
当社グループは、業務の適正性及び財務報告の信頼性を担保するため、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、コーポレート・ガバナンスの充実を図る多様な施策を実施していく方針であります。
しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、十分に適切な事業運営が行えず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の確保及び育成について
当社グループが今後も継続して成長するためには、エンジニアをはじめ各職種において優秀な人材を配置することが必要不可欠です。当社グループは継続的に従業員の採用及び育成を行っており、個々人が成長できる仕事環境の提供等の魅力による採用優位性の構築や社内各種制度及び教育制度の一環として資格補助制度等、多数の施策を実施しております。しかしながら、人材の育成・採用がうまく進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)株式会社パソナグループとの関係について
株式会社パソナグループは、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の33.69%を保有しており、当社は同社の持分法適用会社に該当します。
① パソナグループ内における当社の位置づけについて
当社グループは、「Salesforce」や「Anaplan」、「ServiceNow」等に特化したコンサルティング事業、自社開発のDX事業及び主に「Salesforce」に関する研修を展開しているエデュケーション事業を展開しており、同様の事業を展開していない株式会社パソナグループ及びその子会社との競合関係はありません。
しかし、今後当社グループの経営方針及び事業展開を変更した場合、又は、株式会社パソナグループ及びその子会社が経営方針及び事業展開を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 株式会社パソナグループとの取引及び取引条件について
2024年3月期における、当社と株式会社パソナグループとの取引について、当社の費用に係る総額は2,450千円であります。これらのうち、取引金額が1,000千円以上となる取引内容は以下のとおりであります。
株式会社パソナグループとの主な取引(2024年3月期)
(注)取引金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、これらの取引は、独立第三者間取引と同様の一般的な取引条件で行っております。
③ 株式会社パソナグループとの人的関係について
本書提出日現在、当社取締役8名のうち、株式会社パソナグループより1名を選任しております。豊富な経営知識から、当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。なお、兼任している役員は以下のとおりであります。
なお、本書提出日現在において株式会社パソナグループからの出向者の受け入れは無く、今後も原則同社グループからの出向者の受け入れは行わない方針であります。
(7)TQUILA LIMITEDとの関係について
TQUILA LIMITEDは、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の32.52%を保有しております。
同社は、アイルランドにおいてグループ会社の経営指導を行っており、当社との事業上の競合関係はありません。
また、同社との取引関係はありませんが、創業当時より「Salesforce」に関する事業の助言を得ることを目的として、同社より取締役を1名招聘しております。兼任している役員は以下のとおりです。
なお、今後も同社との取引は原則行わない方針ですが、仮に取引を行う場合には、少数株主保護の観点から、取引条件等の内容の適正性を慎重に検討した上で、関連当事者取引管理規程に則った対応を行うこととしております。
(8)外注先の確保について
当社グループのコンサルティング事業では、システムの開発・連携・運用等において必要に応じて協力会社に外注をしております。協力会社とは、定期的なミーティングの実施による状況把握、関係構築を図ることで当社グループにとって優良なパートナー・外注先の確保に努めております。現状では、有力な協力会社と長期的かつ安定的な取引関係を保っておりますが、協力会社において技術力及び技術者が確保できない場合又は外注コストが高騰した場合には、円滑なサービス提供等が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)技術革新への対応について
当社グループが事業を展開するクラウド領域は、技術革新や顧客ニーズの変化が非常に速く、刻々と新たなサービスが開発・供給されております。
このような変化に対応すべく、当社グループは最新の技術情報の収集蓄積、分析及び習得、それに対応した新たなサービスの提供に努めておりますが、当社グループによる技術革新への対応が遅れた場合、あるいは革新的な技術に対応するための多額の研究開発費用が追加的に発生する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)法的規制について
当社は、電気通信事業法上の電気通信事業者として届出を行い受理されております。現在において、当社グループの事業に対する同法による規制強化等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により、当社グループの事業運営を制約する規制強化等が行われる可能性は否定できません。当社グループは、これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後の社内教育や体制の構築等を行っていく予定であります。万が一、かかる規制の強化がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、インターネット関連事業を規制する法令は度々変更・追加がなされており、今後新たな法令等の規制がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)新規事業の展開について
当社グループは、自社開発SaaSに留まらず、マルチクラウドや優秀な人材を獲得する上で、事業拡大や収益源の多角化を実現しうるために、新規事業への取り組みを継続して進めていく方針であります。しかしながら、新規事業が安定した収益を生み出すまでには一定の期間と投資費用を要することが予想されることから、その間、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新規事業は不確定要素が多く、当初の計画どおりに推移しなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)特定人物への依存について
当社代表取締役社長の佐藤司は、当社の経営戦略の策定や事業推進において重要な役割を果たしております。当社は、事業拡大に伴い、取締役会等における役員及び幹部社員との情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成・強化に注力しておりますが、今後何らかの理由で同氏が当社の業務を遂行することが困難になった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)知的財産権について
当社グループは、運営する事業に関する商標・システム等の知的財産権の獲得に努めております。当社グループが使用する商標、システム等について、現時点において第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、事業活動において、第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう、外部の専門家の知見も踏まえながら、適切な管理に努めてまいります。
しかしながら、仮に当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合は、当該第三者より、損害賠償請求、使用禁止請求等が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)情報管理体制について
当社グループは、提供するサービスに関連して、多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、情報セキュリティ基本規程を定めるほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得する等、情報管理体制の強化に努めております。
しかしながら、何らかの理由によりこれらの重要な情報資産が外部漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)システムトラブル等について
当社グループのクラウドサービスのコンサルティング、カスタマーサクセス事業は、SalesforceやServiceNow等、各種サービスを顧客企業に提供することを前提としており、クラウドサービス元の提供自体にシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、SaaSは、インターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス提供のため、セキュリティ対策の強化や、定期的なバックアップ、稼働状況の監視、社内体制の整備等を行っておりますが、自然災害や事故等による予期し得ないトラブルにより大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)配当政策について
当社は、株主に対する利益還元が経営の重要課題であると認識しておりますが、当社は事業拡大過程にあり、将来の事業拡大に向けた投資等に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え、創業以来配当を実施しておりません。
今後においては、事業基盤の状況や内部留保の充実状況及び当社を取り巻く事業環境を勘案し、配当実施を検討してまいりますが、現時点において配当実施可能性及びその実施時期等については未定であります。
(17)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社の役員、従業員並びに社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しており、2024年3月31日現在における発行済株式総数に対する潜在株式の割合は3.97%となっております。これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(18)税務上の繰越欠損金について
当社は、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移することで課税所得が発生した場合には、繰越欠損金の控除限度額を上回る課税所得に対して所定の税率に基づく法人税等の納税負担が発生するため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元が経営の重要課題であると認識しておりますが、当社は事業拡大過程にあり、将来の事業拡大に向けた投資等に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考え、創業以来配当を実施しておりません。今後におきましては、事業基盤の状況や内部留保の充実状況及び当社を取り巻く事業環境を勘案し、配当実施を検討してまいりますが、現時点において配当実施可能性及びその実施時期等については未定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合、期末配当の決定機関は株主総会であります。また、当社は会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。