2024年4月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 31,996 100.0 12,362 100.0 38.6

事業内容

3【事業の内容】

(1)コーポレート・ミッション

 当社は「魔法のような、新体験を。」というコーポレート・ミッションを掲げており、今までにない新しいエンターテイメントの体験を世の中に提供することを目的に、サービス展開を行っております。

 テレビ・ラジオをはじめとした従来のメディアにおいては、コンテンツを制作するクリエイターが、視聴するユーザーにコンテンツを提供するという一方通行の形式が主体となっていました。しかし、インターネットを通じて、誰もがコンテンツを発信するクリエイターになることが可能となることで、クリエイターとユーザーの垣根がなくなり、より多くのコンテンツが発信されるようになり、Google LLCが提供する動画配信プラットフォームであるYouTube等を用いたライブストリーミング(注)によって、ユーザーがリアルタイムで反応ができる双方向性のメディアが新しいメディアの形態として出現してきました。

 当社は、テクノロジーを活用して新しい体験を提供することで、エンターテイメントの更なる可能性を追求し、世の中の人々に楽しみを与えることを目指してまいります。

(注)インターネット上で、音声や動画をリアルタイムで配信すること。

 

(2)サービス概要

 当社が運営するVTuberグループ「にじさんじ」は、本書提出日現在で約150名の多種多様なVTuberが所属するVTuberグループであり、ライブストリーミングによる双方向性のコミュニケーションを通じて、ファンコミュニティの構築を図っております。更に、グッズ・デジタル商品の販売やイベントの開催等を通じて、VTuberコミュニティの盛り上がりを高めることができると考えております。

 VTuberとはVirtual YouTuberの略称であり、ライバーと呼ばれる現実の人間を、モーションキャプチャー技術(注)を利用してバーチャルキャラクター(アニメキャラクター)に置き換えることで、従来のアニメキャラクターでは表現できなかった詳細な表情や仕草を表現して、動画配信を行うことが可能になりました。また、ユーザーはライブ配信のチャット機能を通じて、VTuberとコミュニケーションをとることが可能です。

 また、当社は国内だけではなく、英語圏及び中国を中心に海外でもVTuberビジネスを展開しており、各国のネットワークを活かし、VTuberコンテンツを世界へ配信しております。

 

(注)モーションキャプチャーとは、現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術であります。

 

(3)当社の事業分野別の内容

 当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであり、主な事業はVTuberグループ「にじさんじ」の運営であり、YouTubeにおいて動画配信を行うライブストリーミング領域を中心としながら、動画配信以外の接点を提供してVTuberの活動の幅を拡大する「コマース領域」及び「イベント領域」、当社が保有する当社所属VTuberに関するIP(Intellectual Property:知的財産)を用いて、顧客企業の商品やサービスのプロモーションを行う「プロモーション領域」でビジネスを展開しております。

 

 

① ライブストリーミング領域

 ライブストリーミング領域においては、VTuberグループ「にじさんじ」の運営を中心に、VTuberとの双方向のコミュニケーションを通じてファンコミュニティの創出を図っております。

 新規VTuberのデビューにあたっては、VTuberの容姿を含む、キャラクター設定を当社でデザイン・設計し、当社が開催するオーディションへの応募者の中からライバーを選考しております。その後、オーディションで選ばれたライバーとの間で業務委託契約を締結したうえで、当社が作成したVTuber活動に必要なアバター、VTuberの名称、当社が開発した自宅から自分一人で2D及び3Dでの配信を可能にするツール、YouTube等の配信アカウントやソーシャルネットワークサービス(以下「SNS」という。)アカウントをライバーに貸与しています。

 以上のプロセスを経て活動を行うVTuberは、SNSや配信等を通じてファン等と相互のコミュニケーションが可能であり、各VTuberはバーチャル世界におけるタレントとして、テレビ番組に出演する等様々な活動領域に進出しております。

 当社に所属するVTuberは、YouTubeにおいて主にライブ配信動画を中心とした動画配信活動に従事しています。ユーザーはVTuberによるライブ配信を視聴する中で、YouTubeに搭載されているチャット機能を通じて、VTuberと交流することが可能です。また、ライブ配信動画は、リアルタイムでのライブ配信を視聴できなかったユーザーも、各VTuberのYouTubeチャンネルに過去動画が蓄積されており、ユーザーは当該動画を視聴することが可能です。

 当社は、収益の拡大に向けてVTuberに対してYouTubeにおける動画配信活動のサポートその他の各種サポートを行うとともに、「にじさんじ」グループとしての動画番組制作のサポート、自宅から配信可能な機材の貸与や配信スタジオの提供、動画内で使用される社外の著作物に関する権利確認や各種ガイドラインに沿った研修の実施等によるコンテンツの健全化対応、インターネット上での炎上事案を発生させないためのVTuberへのコンプライアンス研修、VTuberに対する誹謗中傷が発生した場合は、誹謗中傷に該当する発信の削除請求や警察への被害相談等を行っております。

 ライブストリーミング領域における収益は主にSuper Chat、YouTubeメンバーシップ、Google AdSense収益の3つで構成されています。Super Chatとは、YouTubeが提供するサービスであり、YouTubeのライブ配信におけるチャット機能のうち、ユーザーが有料課金を行うことで当該ユーザーのコメントが目立つように固定表示される機能です。ユーザーはその課金額に応じて、自分自身のチャットの色と固定表示される時間の長さが変わり、ユーザーは自分自身のコメントを色付けして強調させることで、VTuberにコメントを認識してもらう機会が増え、VTuberとユーザー間、ファン同士のコミュニケーションが促進されることに加え、ファンコミュニティにおけるユーザーの認知度を高めることにもつながります。

 YouTubeメンバーシップについても、YouTube上でのサービスの一つであり、ユーザーが一定の月額料金を支払うことによってYouTubeチャンネルのメンバーとなり、メンバーシップに加入したユーザー向けの限定動画、その他のアイテム等のメンバーシップ限定の特典を得られる制度です。Google AdSense収益は、当社所属VTuberのYouTube上の動画を閲覧しているユーザーが、YouTube上に流れる広告を閲覧することにより、収益の一部をGoogle LLCから受領することによる収益です。

 ライブストリーミング領域における3つの収益のうち、Super Chat収益とYouTubeメンバーシップ収益については、Google LLCへの手数料を控除したネット金額を受領しておりますが、財務諸表上の収益にはSuper Chat収益とYouTubeメンバーシップ収益の総額を計上し、費用にGoogle LLCへの手数料を計上しております。Google AdSense収益については、Google LLCからの受領額(ネット金額)を収益に計上しております。また、ライバーに対しては、各VTuberのYouTubeチャンネルから稼得された収益のうち一部を支払います。

 

② コマース領域

 当社はライブ配信で培ったファンコミュニティに向けて、ライブ配信以外でのVTuberと接する機会を増加させる観点から、様々な当社オリジナルのグッズやVTuberの音声を録音したデジタル商品(以下グッズとデジタル商品を総称して「コンテンツ」という。)を販売しております。コンテンツには、常時販売されている常設コンテンツの他、季節限定コンテンツや受注生産コンテンツ、イベント限定コンテンツ等の様々な形態があります。加えて、VTuberの活動の幅の拡がりに応じて、歌手デビューを行うVTuberも増えており、それに応じて楽曲の販売等、新しいコンテンツ販売も増加しております。

 販売チャネルについては、「にじさんじ」公式のオンライン販売ウェブサイトである「にじさんじオフィシャルストア」を中心としながら、当社が主催するイベント会場における販売等と多岐にわたっております。また、コンテンツの販売に加えて、2020年10月より、「にじさんじ」の公式ファンクラブである「にじさんじ FAN CLUB」の提供を開始しており、ファン同士やファンとVTuberとの間でのチャット機能等の有料サービスを提供しております。当社では、販売するコンテンツの企画立案、コンテンツデザイン、コンテンツ制作の発注等を行っており、コンテンツを継続的に提供できるよう努めております。コンテンツ収益には、コンテンツ販売による売上を計上しております。また、ライバーに対しては、各VTuberに直接的に紐づくコンテンツの収益のうち一部を支払います。

 

③ イベント領域

 コンテンツ販売に加え、当社はVTuberの魅力をイベント会場で体感してもらうことを目的に、当社所属のVTuberが出演する、音楽をはじめとしたイベントを主催しております。最近では、にじさんじ史上最大のイベント「にじさんじフェス 2023」を2023年12月23日(土)・24日(日)に東京ビッグサイトで開催しました。このイベントは当社所属VTuber総勢150名以上が参加した大型フェスで、「文化祭」をテーマに様々なステージや配信はもちろん、オリジナルグッズやフード&ドリンクなどに加えて、様々な企画を楽しめるイベントとなっております。

 当社では、イベントの企画立案及び外部のイベント制作企業と協業しながらイベントの制作等を行っており、VTuberファンの方々にさらにファンになっていただけるよう努めております。また、音楽レーベルとの関係を構築し、過去に複数の音楽レーベルから当社所属のVTuberが制作した楽曲の販売を行っております。イベント収益には、イベント開催に伴うチケット収入等(共催の場合には、共催比率を乗じた金額)を計上しております。

 

④ プロモーション領域

 プロモーション領域における収益は主にタイアップ広告、IPライセンス、メディア出演の3つ(以下「企業案件」という。)で構成されています。タイアップ広告とは、顧客企業の商品やサービスを動画等によりVTuberがプロモーションを行うもので、当社は顧客企業よりプロモーションの対価を受領します。IPライセンスとは、当社が保有する当社所属VTuberに関するIP(Intellectual Property:知的財産)を顧客企業の商品やサービスに使用許諾を行うというもので、当社は顧客企業よりIPの使用料を受領します。メディア出演とは、当社に所属するVTuberがテレビ、ラジオ、雑誌、インターネット配信その他の顧客企業のメディアに出演するもので、当社は所属VTuberの出演料を顧客企業より受領します。当社では、顧客企業に対してVTuberのIP利用を提案し、企業案件受注後は実施に向けて顧客企業とVTuberの間に入ってサポートを行っています。

 VTuberの活動領域が拡がっていくことで、VTuberの認知度が高まり、IPとしての価値は次第に高まっていき、メディアでの活動の幅・出演機会は今後も増えていくものと考えています。

 また、当社はステルスマーケティング(注)を防止すること及び優良誤認を防止することを目的に提供表示に関するガイドラインを策定しており、顧客企業やファンからの信頼獲得に努めております。企業案件収益には、顧客企業から受領した報酬を売上高として計上しております。また、企業案件に従事したライバーに対して一定の報酬を支払います。

 

(注)何らかの宣伝・広報であることを消費者に隠して行う活動のこと。

 

 

[事業系統図]

 以上に述べた当社の事業を、事業系統図によって示すと以下のとおりとなります。

 

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における流動資産は23,629,897千円となり、前事業年度末に比べ6,057,453千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が3,807,931千円、売掛金が1,501,918千円及び商品が696,132千円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,446,918千円となり、前事業年度末に比べ545,517千円増加いたしました。これは主に、建設仮勘定が297,400千円、敷金が198,917千円増加したこと等によるものであります。

 この結果、総資産は、25,076,815千円となり、前事業年度末に比べ6,602,970千円増加いたしました。

 

(負債)

 当事業年度末における流動負債は5,314,917千円となり、前事業年度末に比べ256,136千円増加いたしました。これは主に、買掛金が223,108千円、未払金が75,955千円増加したこと等によるものであります。固定負債は45,000千円となり、前事業年度末に比べ111,320千円減少いたしました。これは長期借入金の返済によるものであります。

 この結果、負債合計は、5,359,917千円となり、前事業年度末に比べ144,816千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は19,716,897千円となり、前事業年度末に比べ6,458,154千円増加いたしました。これは新株予約権の行使に伴い、資本金及び資本剰余金がそれぞれ116,485千円増加したこと及び当期純利益 8,725,995千円の計上により利益剰余金が増加した一方で、自己株式を2,500,218千円取得したことによるものであります。

 

 

② 経営成績の状況

 当社は「魔法のような、新体験を。」というコーポレート・ミッションのもと、新しいエンターテイメントを提供する会社として、VTuberグループ「にじさんじ」の運営を主軸としたエンターテイメント領域での事業展開を行っております。当社のVTuberビジネスは、主にYouTubeにおけるライブ配信動画を中心とした動画配信活動によるライブストリーミング領域、当社がIPを有するVTuberのオリジナルグッズや音声を録音したデジタル商品の販売を行うコマース領域、当社所属のVTuberが出演する、音楽をはじめとしたイベントを主催するイベント領域、企業からのタイアップ広告、IPライセンス、メディア出演等の案件であるプロモーション領域の4領域で構成されています。VTuberグループ「にじさんじ」は日本国内を中心に、「NIJISANJI EN」は英語圏を中心にそれぞれ上記4領域での活動に従事しております。

 国内VTuberビジネスでは、VTuberグループ「にじさんじ」に所属する日本国内で活動するVTuber数は127人(前年同期比1名増加)となりました。また、「にじさんじオフィシャルストア」や「にじさんじFAN CLUB」等の利用の際に必要となるIDであるANYCOLOR IDは1,263千ID(前年同期比35%増)となりました。海外VTuberビジネスに関しても、英語圏におけるVTuberビジネス「NIJISANJI EN」の拡大をはじめとして注力しており、VTuber数は31人(前年同期比1名増加)となりました。

  以上の結果、当事業年度の業績は、売上高31,995,554千円(前年同期比26.3%増)、営業利益12,361,867千円(前年同期比31.4%増)、経常利益12,341,610千円(前年同期比30.6%増)、当期純利益8,725,995千円(前年同期比30.3%増)となりました。

 なお、当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ3,807,931千円増加し、16,291,344千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により獲得した資金は6,903,568千円(前事業年度は6,723,414千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益12,341,610千円、仕入債務の増加額223,108千円の計上があった一方で、売上債権の増加額1,501,918千円、法人税等の支払額3,648,552千円及び棚卸資産の増加額696,132千円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により支出した資金は658,532千円(前事業年度は103,327千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出353,729千円、敷金の差入による支出248,917千円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により支出した資金は2,437,095千円(前事業年度は104千円の獲得)となりました。これは、自己株式の取得による支出2,510,147千円、長期借入金の返済による支出159,325千円、株式の発行による収入232,376千円があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

 当事業年度の仕入実績は、次のとおりであります。

事業領域の名称

仕入高(千円)

前期比(%)

コマース領域

5,808,896

133.3

その他領域(注)2

17,574

39.6

合計

5,826,471

132.4

 (注)1.当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、事業領域別の仕入実績を記載しております。

    2. その他領域には中国でのVTuberビジネス等を含んでおります。

 

c.受注実績

 当社は概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しております。

 

d.販売実績

 当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。

事業領域の名称

販売高(千円)

前期比(%)

ライブストリーミング領域

4,993,539

98.4

コマース領域

18,937,365

132.9

イベント領域

1,906,571

119.1

プロモーション領域

5,884,578

145.3

その他領域(注)2

273,499

73.7

合計

31,995,554

126.3

 (注)1.当社は動画コンテンツ関連事業の単一セグメントであるため、事業領域別の販売実績を記載しております。

    2. その他領域には中国でのVTuberビジネス等を含んでおります。

3.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年5月1日

至 2023年4月30日)

当事業年度

(自 2023年5月1日

至 2024年4月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ

9,213,346

36.4

12,848,672

40.2

Google LLC

4,787,733

18.9

4,766,727

14.9

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容等

(売上高)

 当事業年度の売上高は、31,995,554千円(前年同期比26.3%増)となりました。

 売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は、16,788,930千円(前年同期比22.0%増)となりました。

 主な要因は、所属VTuberへのサポート体制の拡充、リアルグッズ、デジタルグッズ等のコンテンツ領域への注力、VTuberを活用したプロモーション領域の拡大による制作原価、支払報酬等の増加によります。この結果、売上総利益は15,206,623千円(前年同期比31.3%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,844,756千円(前年同期比31.1%増)となりました。

 主な要因は、人件費、支払報酬等の増加によります。この結果、営業利益は、12,361,867千円(前年同期比31.4%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

 当事業年度において、営業外収益は269千円、営業外費用は20,526千円発生しました。

 主な要因は、支払手数料9,928千円、為替差損5,003千円が発生したことによるものです。この結果、経常利益は、12,341,610千円(前年同期比30.6%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

 当事業年度において税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を3,615,615千円計上した結果、当期純利益は8,725,995千円(前年同期比30.3%増)となりました。

 

 なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性に関する分析

 当社の運転資金需要のうち主なものは、ライバーへの報酬やコンテンツ制作原価等の売上原価や、人件費や地代家賃等の販売費及び一般管理費といった営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、配信スタジオへの設備導入や新規サービスの開発費等であります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としておりますが、エクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較した上で優先順位を検討して実施することを基本としております。

 なお、第7期事業年度末(2024年4月30日)における借入金の残高は156,320千円となっており、現金及び現金同等物の残高は16,291,344千円となっております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。

 これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。

 

④ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、各領域別売上高、営業利益、営業利益率を経営上重要な指標として位置付けております。また、売上高の拡大には、にじさんじVTuber数およびANYCOLOR ID数の拡大が必要であると考えております。