2024年1月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社のリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)当社の事業に関するリスク

① 法的規制に関するリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は、建設業法に基づき、神奈川県知事の建設業許可を受けております。当社は許可の要件及び各法令の遵守に努めていることから、許可の取消事由に該当するような事実はありませんが、法令違反等による許可の取消などの不測の事態が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、各法令の遵守を徹底するため、各法令別に担当部署を決め、管理部と連携して法令に抵触しない運用を整備する他、関連法令等の改廃動向についても常に情報収集を行うとともに、適宜顧問弁護士と連携する体制を整備しております。

許認可等の名称、所管官庁等

許認可等の内容

許可業種

取得日

有効期限

法令違反等の要件及び

主な許認可取消事由

建設業許可

神奈川県

一般建設業の許可

神奈川県知事許可

(般-5)

第68566号

土木工事業

建築工事業

とび・土工工事業

造園工事業

2004年2月9日

2029年2月8日

(5年ごとの更新)

故意又は重過失による不正行為があったときは原則として営業停止処分

(建設業法第28条第1項)

屋根工事業

2024年2月5日

2029年2月4日

(5年ごとの更新)

 

 

② 特定事業への依存に関するリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は民間地盤沈下修正工事を核とした事業を展開しております。さらに公共事業等の新たな事業を展開中であり、収益力の分散を図っております。しかし、事業環境の激変や類似工法の出現により当社工法のサービスが縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 知的財産権について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は新たな技術や独自のノウハウを蓄積し、知的財産権として権利取得するなど法的保護に努めながら研究開発活動を推進しております。しかしながら、当社の知的財産権が不正使用される可能性があることは否めず、人材移転等により技術・ノウハウが外部に流出する可能性があります。また現時点において、当社は第三者の知的財産権は侵害していないものと認識しておりますが、万一、知的財産権の侵害を理由として、第三者より損害賠償請求及び使用差止請求等を受ける可能性があります。このような状況が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお当社は、本書提出日現在、以下の日本国特許10件を保有しております。

出願番号/特許番号

発明名称

特許第5227085号

地盤改良方法

特許第5813969号

土壌改良方法及び緑化方法(ナテルン)

特許第6337375号

空洞充填によるトンネルの補修方法

特許第6470886号

港湾の地盤を改良する方法

特許第6543476号

布基礎の不等沈下を修正する方法

特許第6302611号

沈下した地盤上のコンクリート版を修正する方法

特許第6456556号

沈下した地盤上のコンクリート版の傾きを修正する方法

特許第6811524号

路面の不具合による車両の交通障害を応急的に解消させる方法

特許第7090346号

木骨造を補修する方法

特許第7445290号

ビバリウム装飾品

 

 

④ 個人情報管理によるリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は施工実施に際し、顧客、施主等の個人に関連する情報を取得しております。これらの情報の取り扱いには、外部からの不正アクセスや内部からの情報漏洩を防ぐため、セキュリティー環境の強化、従業員に対する個人情報の取り扱いに対する教育等、十分な対策を行うと同時に、個人情報として管理すべき情報の範囲についても厳密な判断が必要と考えております。当社は2017年5月19日に情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格であるISO27001を取得し、個人情報のみならず、あらゆる情報資産に関して取り扱う手順がマニュアル化されており、情報管理には万全を期しております。しかしながら、今後何らかの理由により個人情報が漏洩した場合には、損害賠償や信用力の失墜により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 工期に関するリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は施工にあたって、原則として事前調査を行い、工事の工程を計画的に管理しておりますが、当初には想定されない問題が生じ、工事の着手後に工期が延長することによって、完成工事高や利益が翌期に繰り越されるなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 農業用水路トンネルの工期に係るリスク

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社が実施している農業用水路トンネルの施工については、施工の期間が農閑期である11月から2月に限られております。工事の工程については、受注時の施工計画に基づいて管理を行っておりますが、当社は1月決算であることから、特に11月から翌1月の施工に関し、想定されない問題が生じるなどして、工事の着手後に工期が延長した場合は、完成工事高や利益が翌期に繰り越されるなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ 訴訟等に関するリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社には、現段階において業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟や顧客との大きなトラブルなどの事実はなく、ISO9001を取得しており、施工については一定以上の品質を保つよう努めておりますが、施工に伴う訴訟等が発生した場合には、多額の費用が発生するとともに、当社の信用を大きく毀損し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ クレームや重大事故に対するリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の沈下修正事業の施工において、技術、品質面での重大な不具合や人為的な事故、環境を要因とする事故等が発生し、その修復に多大な費用負担や施工遅延が生じたり、契約の取り消しとなった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 環境保護に関するリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

当社は環境に安全な完全ノンフロンの材料を使用して施工を行っているほか、より環境に配慮した企業活動に取り組むべく、ISO14001を取得し、当該規格に基づいて環境法令遵守に努めておりますが、人為的ミスなどにより環境汚染のリスクが発生した場合には、多額の費用が発生するとともに、当社の信用を大きく毀損し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、手順書による社内教育の実施、危険物保管状況の記録・保存、産業廃棄物処分業者の選定を行っております。

 

⑩ 労働災害に関するリスク

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、「健康第一」「安全第一」「家庭第一」を基本理念として掲げていることもあり、沈下修正の工事にあたっては、危険が生じないよう、安全管理を徹底しておりますが、重大な労働災害が発生した場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 新規事業について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は硬質発泡ウレタン樹脂の新規応用分野への研究開発に取り組み、新たな事業を開拓してまいりました。今後も研究開発には特に注力して新規事業の開拓に努めてまいります。新規事業については事業計画を十分に検討した上で実施することにしておりますが、事業計画には予想や仮説に基づく部分も存在するため、当該予想や仮説が現実と大きく違った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 新規参入によるリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社の主な事業であるウレタンを使用した沈下修正事業はだれでも参入が可能な市場です。工法の技術の取得に数年を要するため、当社としては簡単に参入できないものと認識しておりますが、今後、当社と同様に沈下修正分野における豊富な知識と経験を有する人材を持つ企業が参入した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 土木及び建築市場の縮小リスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

国内外の景気後退等により民間設備投資が縮小した場合や、財政健全化等を目的として公共事業投資が減少した場合には、今後の受注動向に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2)事業環境等に関するリスク

① 原材料の仕入先について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は地盤沈下修正工事等を主たる事業としておりますが、その工事に使用する主たる原材料については、原材料を共同で開発した日本パフテム株式会社から仕入れる契約となっております。同社とは良好な関係を築いており、同社に倒産、製造中止等の事情が生じた場合は、他社に製造・販売を委託できる契約となっておりますが、当社の施工、及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 原材料の価格について

(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の施工に使用するウレタンを構成する材料については、ナフサなど一部、市況の影響を受けるものがあります。日本パフテム株式会社からの仕入れにあたり、現在は安定した取引きが続いておりますが、ナフサをはじめとしたウレタンを構成する材料の需給ひっ迫等により、現在価格が高騰しております。今後、更なる原材料価格の高騰が続いた場合、当社仕入価格及び利益に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 取引先の信用リスクについて

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

取引先に関する信用力や支払条件等の厳格な審査の実施に努めるとともに、信用不安情報の早期収拾等、可能な限り信用リスクの最小化を図っておりますが、発注者や協力業者等の取引先が信用不安に陥った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 災害による業績変動リスクについて

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

地震等の災害によって道路をはじめとした社会インフラのほか、企業の生産・販売活動の拠点である工場、倉庫、商業施設や事業所、また、一般の住宅などに甚大な被害が発生した場合、一時的な復旧需要により、当社の業績に短期的に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 感染症への対策

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社は新型コロナウイルス感染症の流行に対して行動指針を策定するなど、迅速に対応・対策してまいりました。今後、新たな感染症が流行し、緊急事態宣言などによる県を跨ぐ移動制限などが生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 大型案件による業績変動リスクについて

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社のアップコン工法及びその応用技術を用いた工法は、民間事業・公共事業工事の両方で比較的規模の大きな案件を受注するケースがあります。

当社では、今後もこの様な規模の案件を受注する可能性があると見込んでおりますが、当社の工法は受注を受けてから完工までを短期間で施工する工法であり、期首の段階で想定できない大型案件(1件1億円を超える工事)の期中での受注の成否により、当社の業績に短期的に影響を及ぼす可能性があります。

(単位:千円)

 

2020年1月

2021年1月

2022年1月

2023年1月

2024年1月

売上高合計

620,144

914,358

673,439

917,223

852,483

大型案件

270,000

110,000

 

 

(3)組織体制に関するリスク

① 特定人物への依存について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当社の代表取締役社長である松藤展和は「アップコン工法(コンクリート床スラブ沈下修正工法)」に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、重要な取引先との交渉等、会社運営のすべてにおいて重要な役割を果たしております。

当社は今後優秀な人材を採用・育成することにより、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりますが、何らかの事情により同人が当社から離職した場合または十分な業務執行が困難となった場合には、当社の事業展開や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 少人数での組織運営における人材確保のリスク

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

これまで、当社は少人数の組織体制で効率化を図ってまいりましたが、事業の拡大と合わせて今後積極的に優秀な人材を確保していき、組織体制をより安定させることに努めてまいります。しかし、計画通りに人材の確保が出来ない場合や事業の中核をなす社員に不測の事態が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

① 自然災害等について

(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

当社は、有事に備え危機管理体制の整備に努め対策を講じております。しかしながら、当社が事業展開する地域において、地震等の自然災害や火災等の事故が発生した場合、当社の主要拠点等の設備が破壊的な損害を被る可能性があります。この場合は当社の操業が中断し、工事の遅延等の発生により完成工事高が減少し、主要拠点等の修復のために多額の費用を要することとなる可能性があります。

 

② 配当政策について

(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:4月、影響度:小)

当社は、剰余金の処分につきましては、株主への利益還元を図り、かつ将来の事業展開及び財務体質の充実に必要な内部留保を確保するため、業績に対応した配当を行うことを基本方針としております。しかしながら経営環境の変化等に伴い業績や財政状態が悪化した場合には、当該基本方針どおりに配当を実施することができなくなる可能性があります。

 

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、剰余金の処分については、株主への利益還元を図り、かつ将来の事業展開及び財務体質の充実に必要な内部留保を確保するため、業績に対応した配当を行うことを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は年1回の期末配当を基本として考えており、第21期の事業年度の配当につきましては、1株当たり10円としております。この結果、第21期事業年度の配当性向は20.8%となっております。

また、内部留保資金の使途につきましては、日々刻々と変化する事業環境に対応し得る企業体質の強化を図るとともに、持続的な成長を実現するための研究開発や競争力の強化及び市場のニーズに応える体制の整備及び確立に向け有効活用してまいる所存であります。

なお、当社は、取締役会の決議によって、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めており、配当の決定機関は中間配当が取締役会、期末配当は株主総会であります。

 

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
 (円)

2024年4月25日

定時株主総会

14,043

10