2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    14,106名(単体) 125,199名(連結)
  • 平均年齢
    41.6歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.2年(単体)
  • 平均年収
    7,483,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

(2023年12月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

26,384

中国・アジア・大洋州

17,513

米州

49,513

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

20,419

その他

8,041

全社(共通)

3,329

合 計

125,199

  (注) 1 従業員数は就業人員であります。

2 日本セグメントの従業員数には、他セグメント向けのタイヤを生産する日本のタイヤ工場の従業員数を含んでおります。

3 ロシア事業は2023年12月に譲渡が完了しております。

(2) 提出会社の状況

 

 

 

(2023年12月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

14,106

41.6

15.2

7,483

 

セグメントの名称

従業員数(人)

日本

10,139

その他

638

全社(共通)

3,329

合 計

14,106

(注) 1 従業員数は就業人員であります。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 労働組合の状況

当社の労働組合は、日本労働組合総連合会に加盟しております。

現在労働組合との間に特記すべき事項はなく、労使関係は相互信頼の基盤に立ち極めて円満であります。

連結子会社についても安定した労使関係を保っており、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社グループには、1931年の創業から、1988年の米国ファイアストン社の買収等を経て、様々な人財を受け入れグローバルで多様性を育んできた歴史があります。変化が常態化する時代において、社会やお客様の困りごとに寄り添い、解決することを目指す中、今後の当社グループの成長に向けては、多様性がますます重要になると考えております。事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に、個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを人財戦略の軸に、様々な取り組みを加速させてまいります。

 

(管理職に占める女性労働者の割合に関する説明)

当社グループでは、多様な価値観を尊重し、組織としての意思決定の多様化を進めるべく、女性リーダーの育成・登用促進に注力しております。日本においては、女性の採用強化、育児との両立支援、フェムテックプログラム導入等の様々なライフステージに応じて女性が自分らしく働き続けるための定着支援に加え、「女性基幹職登用促進プログラム」等のキャリア支援強化にも取り組んでおります。当社では、女性基幹職の比率を2025年末までに7.5%とすることを測定可能な目標として掲げ、2023年12月時点の実績は4.3%となっており、着実に目標に向かって取り組みを進めております。

 

(男性労働者の育児休業取得率に関する説明)

当社グループでは、性別役割分担に対する個人の意識の変革及び組織風土変革に向け、アンコンシャス・バイアスをテーマとした研修の整備や啓発活動推進等、様々な取り組みを進めております。引き続き、グループ全体で多様な人財が輝く場づくりに取り組んでまいります。なお、当社の男性育児休業取得率は前年(15.6%)に比べ、着実に増加しております。

 

(労働者の男女の賃金の差異に関する説明)

当社グループにおいて、賃金体系及び制度上の違いはありません。ただし、職種間や管理職比率等において人財ポートフォリオの偏りに男女差があり、それに伴う賃金差異が生じております。当社グループの人財戦略の軸である「多様な人財が輝く場づくり」を進める上で、女性管理職比率の向上、生産現場における働きやすい環境整備と合わせた女性採用強化等、人財ポートフォリオの偏りの改善に取り組んでまいります。

 

当社(提出会社)及び連結子会社(国内)の多様性に関する指標は以下のとおりであります。

 

①提出会社

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1,4)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2,4,5)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注3,4,7)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

㈱ブリヂストン

4.3

27.9

82.4

83.6

67.1

 

②連結子会社

会社名

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1,4)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2,4,

5,6)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注3,4,7)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

ブリヂストンタイヤソリューションジャパン㈱

0.7

6.6

67.4

65.3

77.4

ブリヂストンリテールジャパン㈱

0.0

14.8

66.2

72.4

104.6

ブリヂストンタイヤサービス東日本㈱

0.0

17.6

69.3

72.7

74.3

ブリヂストンタイヤサービス西日本㈱

0.0

15.4

67.4

71.5

69.3

ブリヂストンタイヤセンター西日本㈱

0.0

16.7

66.0

69.5

72.5

ブリヂストンBRM㈱

0.0

7.7

64.4

75.0

46.7

ブリヂストン物流㈱

4.8

40.0

81.1

82.7

88.6

東和運輸㈱

0.0

33.3

57.8

61.9

45.5

ブリヂストンプラントエンジニアリング㈱

0.0

25.0

72.8

75.7

62.5

旭カーボン㈱

0.0

50.0

67.5

72.6

71.5

ブリヂストン化工品ジャパン㈱

3.3

36.4

65.6

66.7

47.9

ブリヂストンフローテック㈱

1.2

30.0

72.2

72.3

71.5

㈱ブリヂストンEMK

0.0

69.9

75.1

55.0

ブリヂストンサイクル㈱

0.7

36.4

65.9

61.7

115.5

ブリヂストンスポーツ㈱

6.4

0.0

76.1

74.8

64.5

ブリヂストンスポーツセールスジャパン㈱

1.4

0.0

58.9

67.7

62.3

ブリヂストンソフトウェア㈱

12.5

53.8

79.0

78.3

95.2

ブリヂストンチャレンジド㈱

60.0

0.0

110.1

112.8

96.3

ブリヂストンビジネスサービス㈱

0.0

0.0

63.3

76.6

63.2

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。管理職は当社グループ各社における課長級相当職以上を対象に算出し、2023年12月31日時点の総管理職数に占める女性管理職数の割合を記載しております。

2 育児休業取得率については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

算出方法は「当事業年度に育児休業を開始した従業員の数÷当事業年度に配偶者が出産した従業員の数×100」としております。前事業年度に配偶者が出産した従業員が、当事業年度に育児休業等を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。

3 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、当事業年度における男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合を算出したものであります。平均年間賃金は「総賃金÷人員数」としており、総賃金には、基本給・基準外賃金・賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除いております。

4 出向者は出向元の従業員として集計しております。

5 出生時育児休業(産後パパ育休)の取得人数を合算しております。

6 「-」は、対象となる従業員がいないことを示しております。

7 正規雇用労働者には、正社員及び無期契約社員を含んでおり、パート・有期労働者は、有期契約社員(定年再雇用社員を含む)を含んでおります。また、海外赴任者の賃金、休業期間中(育児休業、私傷病による病休等)の賃金はそれぞれ除いて算出しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ全般

当社グループは創業以来、変わりゆく社会のニーズに対応し、それぞれの時代において一人ひとりの安心・安全な移動や暮らしを支え続けるために事業を拡大・進化させてきました。社会の変化を先取りし、変化をチャンスに変え、事業活動・社会貢献活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することは、「最高の品質で社会に貢献」を使命とする当社グループの果たすべき役割・責任だと考えております。

2020年を初年度とした「第三の創業」Bridgestone 3.0では、サステナビリティを経営の中核に据えた中長期事業戦略を発表し、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」をビジョンとして掲げました。同時に、2020年に、当社グループ自身の持続的な成長のためにも、社会価値と顧客価値の創造を両立させ、社会、お客様、ブリヂストンが共にWin-Win-Winとなる「サステナビリティビジネス構想」を発表し、当社グループのバリューチェーン全体でサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル化への取り組みと、ビジネスモデルを連動させるサステナビリティビジネスモデルの確立と進化に取り組んでおります。

 

① ガバナンス

当社は、企業理念に掲げた使命である「最高の品質で社会に貢献」の下、ビジョンの実現に向け中長期事業戦略を基に、3ヶ年毎に作成する中期事業計画に沿って経営を進めており、その一環としてガバナンス体制の整備も進めております。当社は、内部統制のより一層の強化によるガバナンス体制の向上に継続的に取り組み、サステナブルなソリューションカンパニーへの進化を実現してまいります。

当社の取締役会は、執行部門からの業務執行状況の進捗報告・情報共有等を通じて、多様な視点から執行部門と議論し、監督機能を発揮することで、中長期事業戦略の実現を目指すコーポレート・ガバナンス体制となっております。カーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブなどのサステナビリティに関する取り組みについて定期的に報告を受け、進捗状況のレビューを実施しております。

執行部門においては、2024年1月より、Global CEOの下、当社グループのビジネスを主に米欧を中心とするBRIDGESTONE WEST、日本・アジアを中心とするBRIDGESTONE EASTの2つのリージョンとして区分し、それぞれJoint Global COOがそのトップを兼務しております。2つのリージョンの下に、複数のSBU(戦略的事業ユニット)を設置し、より現場に密着し、課題に深く入り込めるよう、細かく事業エリアとしてブレークダウンしております。さらに、グローバル戦略とリージョナル戦略の整合性担保、且つ効果・効率を最大化するため、グローバル横ぐし機能を設置し、Global CAO(Chief Administration Officer)、Global CDXO(Chief Digital Transformation Officer)及びGlobal CTO(Chief Technology Officer)等を任命しております。

そして、これらのメンバーを中心に構成するグローバル経営執行会議体(Global EXCO)を当社グループにおける最上位の経営執行会議体として設置し、グローバルな視点から経営戦略や経営課題について議論、審議することにより、当社グループとしてのチェック&バランス機能の強化、意思決定プロセスでの透明性の向上を図っております。サステナビリティを経営の中核に据えた中長期事業戦略を基にした中期事業計画、年度予算、重要な投資案件などの承認、計画の進捗を管理しております。

取締役及び執行役の報酬体系は「優秀人材の確保と啓発」、「競争力のある水準」、「事業戦略遂行の動機付け」、「株主価値増大への動機付け」という報酬原則に基づいて設計されており、2022年度よりサステナビリティ及びトランスフォーメーション推進と中長期事業戦略実現を後押しすることを目的とした中長期インセンティブを導入し、報酬委員会で以下5つの目標を設定したうえで、取り組みを評価しております。

 

a.「Bridgestone E8 Commitment」の制定と社内外のステークホルダーとのコミュニケーション

b.付加価値と働き甲斐を向上させるための人への投資と育成

c.CO2排出量の削減をはじめとしたカーボンニュートラル

d.再生資源・再生可能資源比率の向上を含むサーキュラーエコノミー

e.ネイチャーポジティブに向けた取組、ウォータースチュワードシッププランの策定

 

当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要図は次のとおりであります。

2024年3月26日現在

 

コーポレート・ガバナンス体制及び報酬体系の詳細につきましては、第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ①コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及びその施策の実施状況 b.コーポレート・ガバナンス体制の概要、(4) 役員の報酬等 ①当事業年度に係る取締役及び執行役の報酬等の額 c.業績連動報酬の算定方法と評価結果の記載内容を参照ください。

 

また、Global EXCOのもとでは、経営戦略や経営課題に基づいてコミッティを設置し、各コミッティが地域や組織を横断して課題解決に向けた取り組みを推進しております。サステナビリティについてはグローバルサステナビリティコミッティ(GSC)が当社グループのサステナビリティフレームワークを整理し、サステナビリティの取り組みの計画・実行を包括的に推進する役割を担っております。GSCの傘下には、主要なテーマごとに部門横断的・地域横断的に必要な機能のリーダーを集めたワーキンググループが活動し、計画と進捗を少なくとも四半期ごとにコミッティに報告しております。GSCでは、重点課題を定期的に見直すと共に、Global EXCOにおいて取り組みの進捗や新たな課題への対応について報告・答申しております。また、進捗を管理する目標値やKPI、測定基準の策定を進め、PDCAを回しながら継続的に取り組みを強化しております。

 

グローバルサステナビリティ推進体制(2024年1月1日現在)

 

② 戦略・リスク管理

社会やお客様への新たな価値を創出し、お客様・パートナーの皆様と共に持続的に成長していくためには、責任ある企業として不可欠な基盤となる取り組みを継続的に推進しながら、ステークホルダーの皆様と強い信頼関係を構築していくことが重要であると考えております。当社グループのサステナビリティ戦略は、事業活動や社会貢献活動、あらゆるパートナーとの共創活動を通じて社会やお客様への価値を創出していくための方向性を示したものであり、社会価値・顧客価値を両立しながら持続的に創出していくために取り組むべき重点課題を明確にしております。

 

取り組むべき重点課題

・サステナビリティビジネスモデルの確立・進化:カーボンニュートラルへの対応力強化、サーキュラーエコノミービジネス活動の推進、ネイチャーポジティブの推進

・お客様やパートナー、地域との信頼の醸成:地域社会の課題解決に貢献、世界各地での交通安全啓発活動の推進

・天然ゴムバリューチェーン:持続可能な天然ゴムの調達、天然ゴムの小規模農家支援強化

・人権:グローバル人権方針に沿った取り組みの推進・活動レベルの継続強化

・タイヤ・路面摩耗粉じん(TRWP):業界団体や学術機関などと連携し、タイヤのライフサイクルにおける環境への影響についての調査を推進。また、ロングライフ商品などの訴求やソリューション事業との連携を含め、タイヤを「創って売る」「使う」全体でTRWP発生量削減の取り組みを継続的に推進。

 

サステナビリティビジネスモデル

当社グループはビジョンとして掲げる「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」の実現に向けて、サステナビリティを中核に据えた中長期事業戦略構想を策定し、具体的な実行計画である中期事業計画に沿って、取り組みを進めております。

経営の中核に据えているサステナビリティについては、商品を「創って売る」「使う」、原材料に「戻す」という、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化・サーキュラーエコノミーの実現にフォーカスする取り組みと、ビジネスモデルを連動させるブリヂストン独自のサステナビリティビジネスモデルの確立を進めております。

当社グループは、2011年にリファインした「環境宣言」を起点に、「自然と共生する」ために、「資源を大切に使う」技術を開発・活用し、喫緊の課題である地球温暖化に対して「CO2を減らす」ことに取り組み、長年にわたり自然共生に向けて包括的に取り組んでまいりました。2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために、2030年を目標とした環境中期目標「マイルストン2030」を2020年に公開しました。カーボンニュートラル化については、2030年にCO2の総量(Scope1、2)を2011年対比50%削減、2050年にカーボンニュートラルへという明確なターゲットを掲げております。サーキュラーエコノミーについては、2030年までに使用する原材料に占める再生資源・再生可能資源比率を40%に向上、2050年に100%サステナブルマテリアル化を目標にしております。

2023年には、新たに、自然生態系の損失を食い止め、回復させていくネイチャーポジティブの実現に向けて、自然環境毀損につながる行動を回避し(Avoid)、できるだけ低減し(Reduce)、自然の再生および回復に貢献し(Restore and Regenerate)、根本的なシステムを変革していく(Transform)といったSBTs(注) for Natureフレームワークの考え方に沿って、このサステナビリティビジネスモデルをより循環型・再生型のビジネスモデルとして進化させてまいります。サステナビリティへの取り組みをバリューチェーン全体で推進し、「Bridgestone E8 Commitment」の「Energy カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えること」や「Ecology 持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐこと」にコミットしてまいります。

 

 

リスク管理につきましては、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等の「グローバル経営リスク管理」に関する記載内容、 3 事業等のリスクの記載内容もご参照ください。

 

(注) Science-based targets

 

③ 指標及び目標

当社グループは、社会価値・顧客価値を両立しながら持続的に創出していくために取り組むべき重点課題について指標及び目標を設定しております。課題解決に向けた活動については、これらの指標及び目標に基づいて、中長期事業戦略の実現を目指す当社のコーポレート・ガバナンス体制のもとで適切に進捗管理を行っております。

バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブの推進とビジネスを連動させる独自のサステナビリティビジネスモデルの確立に向けた取り組みの進捗は以下の通りであります。

取り組むべき重点課題

サブカテゴリー

目標

進捗

(2023年)

SDGsへの貢献

Bridgestone E8 Commitmentに掲げる価値の創出

サステナビリティビジネスモデルの確立・進化

カーボンニュートラルへの対応力強化

Scope1、2におけるCO2排出量削減:2030年 50%削減(2011年対比)

2050年 カーボンニュートラル化

Scope1、2:53%削減(2011年対比)(注1)

再生可能エネルギー比率(電力):64%(注1)

・Energy:カーボンニュートラルなモビリティ社会の実現を支えることにコミットする

・Ecology:持続可能なタイヤとソリューションの普及を通じ、より良い地球環境を将来世代に引き継ぐことにコミットする

Scope3におけるCO2削減貢献:2030年排出量の5倍以上

サーキュラーエコノミービジネス活動の推進

資源生産性の向上、長寿命・省資源商品の開発

サーキュラーエコノミーへの貢献:2030年 再生資源・再生可能資源比率40%(注2)

2050年 100%サステナブルマテリアル化

再生資源・再生可能資源率:39%(注1)

(注1) 2024年3月26日時点の見込値であり、第三者機関による保証審査を経た確定時に修正する可能性があります。

(注2) リトレッド用台タイヤを含むタイヤの総原材料重量に占める比率

 

その他、ESG関連データは当社Webサイト「サステナビリティ」をご参照ください。

 

(2) 気候変動及び自然資本損失に関する取組み

気候変動及び自然資本損失への対応に世界的な関心が高まり、パリ協定に代表される脱炭素社会への動き、ならびに、昆明・モントリオール生物多様性枠組として採択された、生態系や自然資本の損失を止め、反転させ、回復軌道に乗せることを目指すネイチャーポジティブの達成に向けた動きが加速する中で、当社グループは気候変動及び自然資本損失によるリスクと機会を統合的に認識し、事業戦略への反映を進めております。

主なリスクとしては、脱炭素社会や自然と共生する社会への転換に伴う「移行リスク」並びに気候変動及び自然資本損失による「物理的リスク」を認識しております。「移行リスク」には、気候変動や自然資本損失のために、国内外において、炭素税やCO2排出削減義務・排出量取引制度、タイヤの低燃費性能等に関する制度・規制、使用済タイヤのリサイクルに関する制度・規制、取水に関する制度・規制、持続可能な天然ゴムに関する制度・規制などの導入が進む際に、社会や顧客の急速なニーズ変化に対して研究開発費を十分な事業成果に結びつけることができない場合は、事業活動の制約やコストの上昇など当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。「物理的リスク」には、台風の大型化、洪水や渇水の発生頻度の増加による事業活動中断のリスク、降雨パターンの変化に伴う天然ゴムの収穫不良による原材料調達に関するリスク、降雪量の減少により冬タイヤの需要が減少するリスクがあります。反面、これらの社会や顧客のニーズ変化を新たな成長機会とも捉えております。

「移行リスク」及び機会への認識を踏まえ、カーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーの実現、ネイチャーポジティブに向けた取り組みを進め、2030年目標として「私たちが排出するCO2の総量(Scope1、2)を50%削減する(2011年比)」「ソリューションの提供により、商品・サービスのライフサイクル、バリューチェーン全体(Scope3)を通じて、私たちの生産活動により排出するCO2排出量(Scope1、2)の5倍以上のCO2削減に貢献していく(2020年比)」「再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に向上する」「水ストレス地域における生産拠点において、水リスク低減に向けたウォータースチュワードシッププランを推進する」を設定し、CO2削減に貢献する新技術の開発、当社グループの生産拠点におけるCO2排出や水ストレス地域での取水などによる自然資本への影響の低減、低燃費タイヤの開発・販売、リトレッドタイヤビジネスの拡大、取引先との協働によるサプライチェーンのCO2排出量及び自然資本への影響の低減など目標の達成へ向けた活動を進めております。投資の判断においても「移行リスク」及び機会が評価できるように、社内カーボンプライシングによるCO2排出コストと削減効果を加味した投資判断を行っております。また、使用済タイヤを原材料などに「戻す」リサイクル事業の構築、天然ゴム事業における生産性向上に向けた取り組みを通じて、バリューチェーン全体でのCO2排出量及び各種環境負荷による自然資本への影響の低減にも取り組んでおります。

「物理的リスク」及び機会に対しては、事業継続計画(Business Continuity Plan、以下BCP)を策定して事業の継続または再開に向けて適切な危機対応や支援が行えるように体制を整えると共に、乾燥地帯で育つ「ゴムをつくる植物」グアユールの事業化に向けた取り組みを通じて、天然ゴム供給源の多様化に取り組んでおります。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)最終提言及びTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)最終提言V1.0が推奨する開示内容に沿った当社グループの対応状況は以下の通りであります。

 

① ガバナンス

推奨される開示内容

ブリヂストングループの対応状況

TCFD

TNFD

依存関係・影響・リスク・機会に対する取締役会の監督体制

・取締役会はカーボンニュートラル化やサーキュラーエコノミーへの貢献促進、自然共生に向けた活動を含むサステナビリティへの取り組みの状況について定期的に報告を受け、進捗状況のレビューを実施

依存関係・影響・リスク・機会の評価と管理における経営者の役割

・最上位の経営執行会議体であるGlobal EXCOでカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーへの貢献促進、自然共生に向けた中長期の戦略・目標、実行計画の承認、計画の進捗を管理

先住民族・地域社会・影響を受けるステークホルダー・その他ステークホルダーに向けた人権方針とエンゲージメント活動、取締役会・経営者の監督

(TNFD推奨開示内容)

・「グローバル人権方針」及び当社グループの「グローバルサステナブル調達ポリシー」を策定し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際基準が掲げる人権の尊重に対して強いコミットメントを表明。お取引先様に必ず実施いただきたい事項として、国連「先住民族の権利に関する宣言」に従った合法的な手段での土地取得・利用、土地取得時や森林開発評価・実行方針策定時のFPIC原則の遵守を定め、当社グループ内・お取引先様・サプライチェーン全体への浸透活動を推進

・サプライチェーンが「グローバルサステナブル調達ポリシー」に準拠しているかどうかを確認するデューディリジェンスプロセスを検討・開発するため公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンと協働。WWFと連携して開発したSAQ(Self-Assessment Questionnaire)を使って、天然ゴムの小規模農家を含むお取引先様のESG現地監査を行い、FPIC原則の遵守含め、リスク評価を実施

・天然ゴムのサプライチェーンを対象としたグリーバンスメカニズムを構築し、標準作業手順書と苦情(グリーバンス)への対応状況を公開。先住民族・地域社会に関連するリスクも本メカニズムを活用し確認

・人権の尊重を含むサステナビリティへの取り組みの実行計画や進捗状況は最上位の経営執行会議体であるGlobal EXCOで承認・管理され、取締役会がレビューを実施

 

② 戦略

推奨される開示内容

ブリヂストングループの対応状況

TCFD

TNFD

短期・中期・長期の依存関係・影響・リスクと機会

・気候・自然資本への依存関係と影響、気候変動及び自然資本損失によるリスクと機会を統合的に評価・管理。以下の依存関係・影響・リスク・機会を特定

気候・自然資本との依存関係(注)

・原材料調達段階における水やバイオマスを供給するサービス、生態系が持つ気候・良好な土壌等を維持調整するサービスへの依存

・タイヤ製造段階における水を供給するサービスへの依存

気候・自然資本への影響(注)

・原材料調達段階における土地利用による影響

・タイヤ製造段階における水資源の使用、廃棄物の排出による影響

・バリューチェーン全体での温室効果ガスの排出、水資源の使用、大気・水質・土壌への排出、廃棄物の排出による影響

気候変動・自然資本損失による物理的リスク・機会

・台風の大型化、洪水や渇水の発生頻度の増加による事業活動中断のリスク

・降雨パターンの変化に伴う天然ゴムの収穫不良による原材料調達に関するリスク

・降雪量の減少により冬タイヤの需要が減少するリスク

・熱帯地域に偏在するパラゴムノキ由来の天然ゴムの収穫不良に伴う、乾燥地帯で育つグアユール由来の天然ゴムの事業化機会

脱炭素社会や自然と共生する社会への移行リスク・機会

・気候変動や自然資本損失のために制度・規制などの導入が進む際、社会や顧客の急速なニーズ変化に対して研究開発費を十分な事業成長に結びつけることができない場合における事業活動の制約やコストの上昇など、業績や財務状態に悪影響を及ぼすリスク(炭素税やCO2排出削減義務・排出量取引制度、タイヤの低燃費性能に関する制度・規制、使用済タイヤのリサイクルに関する制度・規制、取水に関する制度・規制、持続可能な天然ゴムに関する制度・規制など)

・モビリティニーズの変化に伴う競争要因変化に伴う機会(EV向けタイヤの需要増加、お客様のCO2排出量削減に貢献するタイヤ及びソリューションの需要増加等)

・使用済タイヤのリサイクルに関する規制地域拡大に伴うリサイクル事業の事業化機会

(注) 国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)他の

   「ENCORE」の産業グループ別評価で重要性が「非常に高い」または「高

   い」と評価された、タイヤ事業のバリューチェーンにおける主な依存関

   係及び影響

ビジネスモデル・バリューチェーン・戦略・財務計画に及ぼす影響

様々なシナリオを考慮した組織戦略のレジリエンス

・複数の気候関連シナリオ・自然関連シナリオに基づいてリスク・機会を評価し、特定された重要度の高いリスク・機会について、既に対応を始めており、今後も定期的な評価を行っていく

直接事業・上流・下流において次に該当する地域

・生態系の完全性が高いまたは低下している地域

・生物多様性の重要性が高い地域

・水ストレスのある地域

・大きな依存関係や影響を持つ可能性がある地域

(TNFD推奨開示内容)

・荒廃地緑化によるCO2吸収・固定化の拡大

・水資源の量や質の低下リスクのある水ストレス地域に立地する生産拠点を定期的に評価。2023年末時点でインド、インドネシア、中国などの7拠点が、「非常に水リスクが高い」流域に立地。これら全拠点で、地域の水事情を踏まえたウォータースチュワードシッププランを策定し、実行中

 

③ リスクと影響の管理

推奨される開示内容

ブリヂストングループの対応状況

TCFD

TNFD

直接事業、バリューチェーンの上流及び下流における依存関係・影響・リスク・機会の特定・評価・優先順位付けプロセス

・グループ会社の事業規模や特性を考慮に入れながら、グループ共通のリスク・機会に包括的かつ適切に特定及び対処するよう努めており、気候及び自然資本に関しては、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)他の「ENCORE」及び一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)の「企業と生物多様性の関係性マップ®」を活用して評価したバリューチェーン全体における依存関係・影響を考慮の上、リスク・機会を特定

・中長期事業戦略の実行に直接関連するビジネス戦略リスク・機会については、Global EXCO直下に年次リスク管理プロセスを設けることで管理強化を図る方法を検討。また、日常諸業務に係るオペレーショナル・リスクに関しては、チーフリスクオフィサー(CRO)が統括責任者として対応し、リスクへの対応計画を策定

・毎年各地域及びグループ全体で直面する可能性のあるリスクを特定し、そのリスクに対してグループ全体だけではなく、事業・SBU・部門単位での責任者を明確にし、自律的かつ継続的にリスク管理を実施

管理プロセス

組織全体のリスク管理への統合・伝達状況

 

④ 指標及び目標

推奨される開示内容

ブリヂストングループの対応状況

TCFD

TNFD

リスクと機会の評価・管理に用いる指標

・気候関連リスク・機会・影響を評価・管理する指標の一つとして温室効果ガス排出量(Scope1、2、3、及び商品・サービスのライフサイクル・バリューチェーン全体を通じた温室効果ガス排出量の削減貢献量)を設定し、定期的にモニタリング

・投資の判断においてもリスク・機会が評価できるよう、社内カーボンプライシングによるCO2排出コスト(US$100/tCO2)と削減効果を加味した投資判断を実施

・自然関連リスク・機会・影響を評価・管理する指標として、水ストレス地域における取水量、環境負荷(有害/非有害廃棄物排出量・埋立量、VOC排出量、SOx/NOx排出量)、生息地の保全・管理面積などを設定し、定期的にモニタリング

依存関係と影響の評価・管理に用いる指標

依存関係・影響・リスク・機会の管理に用いる目標と実績

・カーボンニュートラル化及びサーキュラーエコノミーへの貢献促進、自然共生に向けた中長期環境目標(2050年以降、2030年)を設定し、毎年実績を評価・開示

・2030年に向けた目標として「私たちが排出するCO2の総量(Scope1、2)を50%削減する(2011年比)」「ソリューションの提供により、商品・サービスのライフサイクル、バリューチェーン全体(Scope3)を通じて、私たちの生産活動により排出するCO2排出量(Scope1、2)の5倍以上のCO2削減に貢献していく(2020年比)」「再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率を40%に向上する」「水ストレス地域における生産拠点において、水リスク低減に向けたウォータースチュワードシッププランを推進する」を設定

・2030年に向けた目標に対する主な実績は以下の通りであります。

取り組むべき重点課題

指標

2022年実績

2023年実績

2030年目標

サステナビリティビジネスモデルの確立・進化

カーボンニュートラル化への対応力強化

私たちが排出するCO2の総量削減(Scope1、2)(2011年比)

31%

53%(注1)

50%

サーキュラーエコノミービジネス活動の推進

再生資源または再生可能資源に由来する原材料の比率(注2)

38%

39%(注1)

40%

(注1) 2024年3月26日時点の見込値であり、第三者機関による保証審査を経た確定時に修正する可能性があります。

(注2) リトレッド用台タイヤを含むタイヤの総原材料重量に占める比率

 

(3) 人的資本・多様性に関する取組み

① 戦略

当社グループでは、2024年を初年度とする中期事業計画(2024-2026)において、経営スタンスを、「危機対応」から、経営・業務品質の向上を最優先に、それを追求する情熱を示す「Passion for Excellence」へ進化させ、「良いビジネス体質を創る」、「良いタイヤを創る」、「良いビジネスを創る」、「良い種まきを実施し、新たなビジネスを創る」の4つのシナリオで構成される「ビジネス具体化シナリオ」にそって、価値創造へよりフォーカスしてまいります。このビジネス具体化シナリオの中でも、「良いビジネス体質を創る」すなわち、経営・業務品質の向上を、2024年に取り組むべき最優先課題と捉えており、その推進のためには、すべての企業活動の基盤、原動力である「人財」一人ひとりが生産性・創造性(人的創造性)の向上に取り組むこと、それに向けた環境を整備していくことが不可欠であると考えております。

 

・一人ひとりの生産性・創造性(人的創造性)の向上

当社グループでは、事業戦略と連動した人財戦略の推進に向けて、事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを人財戦略の軸とし、付加価値の最大化、人財一人ひとりの生産性・創造性の向上に向けて、持続的な成長を図る様々な取り組みを進めております。これらの取り組みを表す指標として、「人的創造性」を2023年から試行し、中期事業計画(2024-2026)からグローバル経営KPIとして導入しております。「人的創造性」は、人財投資を強化し、付加価値を上げ、価値創造の好循環を生むことを基本的な考え方としております。グローバル共通の一本の軸として、人的創造性KPI(調整後営業利益(付加価値)を人財投資(労務費、教育訓練費、福利厚生費の和)で割ったもの)でグローバルの推移を把握しながら、地域別・国別の課題に取り組んでおります。

この人財戦略を推進し、「人的創造性」を向上させていくにあたり、グローバル共通の重点課題である「ブリヂストンらしい人財の確保」、「人財能力開発」、「働きやすい環境整備」、「多様な人財が輝ける場所の提供」に取り組み、また、事業戦略と連動した人財ポートフォリオ推進・強化を図っていくべく、「人財の見える化」「ポジションの見える化」の取り組みにも着手しております。

 

人的創造性KPI

 

・ブリヂストンらしい人財の確保-経営・業務品質の向上-

当社グループは、創業以来、「最高の品質で社会に貢献」を不変の使命として、変わりゆく社会のニーズに対応し、安心・安全なヒトとモノの移動を支え続けるために、事業を拡大・進化させてまいりました。「品質へのこだわり」「現物現場」「お客様の困りごとに寄り添う」「挑戦」というブリヂストンDNAはブリヂストンの挑戦の歩みとその歴史の中で培われたものであります。こうした4つのDNAに共感し、体現していく「ブリヂストンらしい人財」を確保していくことは、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」で掲げている「常態化する変化に動ぜず、ゴムのように強靭でしなやかに、変化をチャンスに変えるレジリアントな“エクセレント”ブリヂストン」に向けて、また、中期事業計画(2024-2026)の初年度2024年において、「良いビジネス体質を創る」すなわち経営・業務品質向上に取り組んでいくために不可欠であると捉えております。そして、その基盤となるのは1960年代に、卓越した総合的品質管理を実施している企業に与えられる「デミング賞実施賞」の受賞に向けて策定した当社独自の「デミング・プラン」であります。1968年にデミング賞実施賞を受賞し、その活動は、当社グループの使命である「最高の品質で社会に貢献」及び、ブリヂストンDNAである「品質へのこだわり」に強く反映されております。「現物現場」で行われている継続的改善活動は、当社グループのグローバルでの財産となっており、この財産を大切に、リーダーから、組織全体、そして従業員一人ひとりが、それぞれの役割の中で、イノベーションと継続的改善を推進し、当社グループのあらゆる業務において、生産性の向上や、質の高い業務を遂行することを常に目指すという意味のオペレーショナルエクセレンスを追求することが業務品質の向上につながっていくものと考えております。ブリヂストンらしい人財の確保及び育成に向けて、ブリヂストンらしい品質経営研修を2023年より当社経営層から強化し、2024年からは、さらに幅広い層に実施していくと共に、グローバルへ展開してまいります。

 

・人財能力開発(人財の育成に関する方針)

当社グループは事業戦略と連動した人財戦略に基づく人財育成を推進しております。「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の実現、中期事業計画(2024-2026)の遂行に向けて、ブリヂストンDNA強化を進めていくと共に、会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現が両輪をなすものであるよう、自ら挑戦・成長する意欲がある人財が更なる価値創出につなげていくための人財育成施策を加速させております。

 

a.挑戦意欲の向上

「挑戦」に関しては、特に探索事業において、他社とのアライアンスに加え、社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を立ち上げ、新しい事業をゼロから創り出したいという起業家精神を持った多様な人財が集結、早期の事業化に挑戦するなど、「多様な人財が“輝く”、多様な挑戦の場」づくりを進めております。当社グループには、プレミアムタイヤ、ソリューション、化工品・多角化といった幅広い事業領域と川上(原材料)から川下(販売・サービス)までのバリューチェーンがありますが、どの事業領域・バリューチェーンにおいても、ステークホルダーにさらなる価値を提供すべく、主体的に行動を起こし、挑戦する姿勢は不可欠と考えております。当社においては、自ら手を挙げて各業務における国内外の現場において、自分で立てた課題・仮説の調査・検証に取組む「現場100日チャレンジプログラム」やマネジメントへのチャレンジ意欲のある若手従業員が、マネジメント補佐として早期にマネジメント経験に挑戦する「マネジメント・チャレンジ制度」等を導入し、意識と行動変革を進めております。なお、2023年、現場100日チャレンジプログラムには15名、マネジメント・チャレンジには10名がそれぞれ参加しました。現場100日チャレンジプログラムについては、2024年以降、グローバルへの展開も進め、さらに多くの従業員の挑戦を後押ししてまいります。

 

b.リーダーシップ開発

当社グループは150か国以上で事業を展開しており、海外売上比率は約80%となっております。より進化させた「グローカル」経営体制の構築と共に、将来にわたり、持続的に成長し、企業価値向上を図っていくためには、単にビジネスに精通するだけでなく、異文化対応力を持つ次世代経営リーダーの育成が急務であると考えております。各地域・国別にリーダーシップ開発を進めると共に、次世代グローバル経営リーダー育成を目的とした「Bridgestone NEXT100」ではグローバルで毎年約100人を選抜し、各経営報告会議体への参画、海外ビジネススクール研修への参加等を通じた重点育成も進めております。

 

c.デジタルスキル強化

“リアル”דデジタル”の融合による社会価値・顧客価値の創造は中期事業計画(2024-2026)の達成、「2030年 長期戦略アスピレーション(実現したい姿)」の実現に不可欠であると考えております。デジタル領域に関しては、グローバルでデジタル人財の育成・獲得を図っております。2023年デジタル人財はグローバルで約1,600名となっております。当社では2023年より導入した幅広いレベルをカバーした「デジタル100日研修」に延べ700名を超える従業員が自分に合ったレベルを組み合わせたプログラムに参画し、デジタルスキル強化に取り組んでおります。

 

d.幅広い層に対する学びの機会

従業員一人ひとりの生産性・創造性の向上に向けて、意欲ある人財に継続的な学び(研修や教育)と挑戦の場を提供することは、会社の成長と従業員一人ひとりの成長の実現を両輪とし、レジリアントな“エクセレント”ブリヂストンへ変革させていくために非常に重要なものと考えております。地域別・国別の状況を踏まえながら、グループ全体で学びと挑戦の機会に対する人財育成投資を実行してまいります。当社においては、職種にかかわらず、全従業員に共通して必要な能力(職務遂行力・マネジメント力)を強化すること、自ら挑戦・成長する意欲のある従業員を支援することを目的とした研修体系「人財育成カレッジ」を構築・運営しており、「学ぶ機会」と「実践の場」を効果的に組み合わせることで、個人の成長と能力発揮、組織の活性化、事業戦略への貢献を図っております。また、受講者の声やニーズを把握し、PDCAをしっかり回しながら、毎年プログラムのレビューや拡充も行なっております。

 

 

・働きやすい環境整備(社内環境整備に関する方針)

当社グループは、多様な人財の活躍こそが「Bridgestone E8 Commitment」に表される価値の創出につながるという考えの下、多様な人財が輝く職場環境を整備しております。「Bridgestone E8 Commitment」と連動したグローバルカルチャーチェンジを推進するうえで、従業員エンゲージメントの向上を重要課題のひとつと位置付け、エンゲージメントサーベイによりモニタリングを行い、各地域の事例を共有し合う取り組みも始めております。また、2023年からはグローバル統一のエンゲージメントサーベイを実施し、各地域の文化、特性の違いを尊重しながらも、グローバル共通の評価と活動の軸をもって、取り組みを深化・進化させております。日本においては、当社グループの海外拠点と比べ、エンゲージメントやDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)領域でギャップがあり、その解消に向け、取り組んでおります。具体的には、当社グループで働く誇りの醸成を図るべく、入社時研修や新任管理職研修において創業の地である久留米へ訪問するプログラムを導入し、創業者の想いやDNA、企業理念を一層体感できるような機会を提供していることが挙げられます。また、多様な価値観を尊重し、組織としての意思決定の多様化を進めるため、女性リーダーの育成・登用促進へますます注力すると共に、多様な人財の活躍基盤整備として、全ライン長を対象としたDE&Iマネジメントワークショップの実施、女性特有の健康課題をテクノロジーを活用し解決するフェムテックプログラム導入等、ブリヂストンらしい取り組みを様々な形で進めております。

当社グループの企業経営の基盤は、「安全宣言」に掲げております「安全はすべてに優先する」であります。従業員一人ひとりが安全な職場で安心して働くための活動推進はもちろん、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様からも期待されており、高い安全基準の適用により当社グループの従業員や協力会社の労働安全・衛生を確保する上で、この安全宣言は一層重要になっております。当社グループは、高齢化に伴う人間工学的リスクの増加、規制の変更、機械や設備の老朽化、そして新技術の現場への導入にも対応するように安全基準を継続的に更新すると共に、当社グループが取り組みを開始する新規事業においても安全に対する意識を真摯に育んでまいります。

また、生産現場における環境整備に関しては、現場最前線の声を反映した即効性がある投資を実施し、福利厚生の充実化、職場環境改善、労働負荷軽減策に取り組んでおります。

 

・多様な人財が輝ける場所

当社グループは種々取り組みを通じて、多様な人財が“輝く”、多様な挑戦の場づくりをさらに進め、これらを通じて従業員エンゲージメントの向上や「Bridgestone E8 Commitment」による価値創造と連動した新たなDNAの創造、カルチャーチェンジの推進、女性リーダー人財の育成と登用、配置を実行してまいります。「Bridgestone E8 Commitment」で示す8つの「E」は、ブリヂストンらしい価値創造の軸と指針となっており、当社グループの最高位の従業員表彰制度であるBGA(ブリヂストングループアワード)やTQM(Total Quality Management)大会においても、主要な審査基準として取り入れ、実際のビジネスや現場の改善活動にも組み込んでおります。エンゲージメントサーベイ含め、各種意識・行動を測る調査等も通じて、進捗を見える化、PDCAを回しながら活動の質とレベルを向上させてまいります。

 

② 指標及び目標

 

グローバル

2026年目標

グローバル

2023年実績

人的創造性KPI

(注)2019年を100とした場合のindex推移

130レベル

110

 

人的創造性 重点活動指標

グローバル

2026年目標

グローバル

2023年実績

経営・

業務

品質

向上

人財

能力

開発

働き

やすい

環境

整備

多様な

人財が

輝ける

場所

a.経営・業務品質向上活動

ブリヂストンらしい品質経営研修

-2024年より当社幅広い層へ拡大、グローバル展開開始

ブリヂストンらしい品質経営研修

-当社経営層から強化

 

 

 

b.デジタル人財数

2,000人レベルへ拡充

約1,600人

 

 

 

c.現場100日チャレンジプログラム実行者数

2024年よりグローバル展開開始

2026年に45人レベル/年が取り組みへ拡充

日本でスタート

2023年 15人が取り組み

 

 

 

d.労働災害発生状況

①重篤災害

0件

2件

 

 

 

②休業度数率(注1)

2.50

2.76

e.女性リーダーの割合(注2)

2023年対比+3%レベル

16.1%(注3)

 

 

 

(注1) 算出方法は、(死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000としております。

(注2) 生産現場を始めとする現場のチームを管理・監督するリーダーを含めたマネジメントポジションを対象にしております。

(注3) 当社グループのセグメント別の女性リーダーの割合は以下の通りとなっております。

(2023年12月31日現在)

 

カテゴリー

セグメント

女性リーダーの割合

トップ

マネジメント

マネジメント

ポジション

ジュニアマネジメント

ポジション

合計

日本

2.2%

7.6%

5.7%

6.2%

中国・アジア・大洋州

9.9%

20.8%

10.6%

14.3%

米州

26.5%

26.6%

21.5%

22.3%

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

3.0%

22.9%

15.1%

17.5%

合計

7.8%

17.9%

15.7%

16.1%

・就業人員に基づいた割合を示しております。

・「日本」には「その他」「全社(共通)」セグメントも含んでおります。

・各カテゴリーの当社及び連結子会社における定義は以下の通りであります。

トップマネジメント:役員相当の者(Executives & VPs)

マネジメントポジション:組織のマネジメントを担う立場にある者(ライン長)

ジュニアマネジメントポジション:個人の知見や経験で組織に貢献する、あるいは組織の日々の管理目標を指導する立場にある者