リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 原材料の調達に関するリスク
当社グループの製品群の多くは、石油など一次産品をもとにした原材料を加工したものが多く、当社の品質要件を満たす原材料を安定して調達できること、安価であることなどを考慮し、仕入れ業者を分散して調達しております。しかしながら、原油をはじめとする原材料価格の高騰や地政学的リスク、調達先の事業縮小・撤退により安定調達が困難になるリスク等が考えられます。以上のことから、安定的に調達できない場合や調達コストが著しく上昇する場合には、業績に影響を与える場合があります。
(2) 季節要因のリスク
当社グループの製品群には、カイロ、除湿剤等の季節的要因、特に冷夏・暖冬、低降水量・低降雪量といった天候の影響を受けやすい製品があります。機動的な生産、在庫の最適化に努めておりますが、これらの季節的要因については予測が困難であるため、その変動によって当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 海外展開に伴うリスク
当社グループは、事業をグローバルに展開しておりますが、これに伴い以下の場合には当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 為替変動リスク
当社グループは外貨建取引を行っておりますが、それらは為替レート変動による影響を受けることがあります。為替予約等による相場変動のリスクヘッジを行っているものの、急激な為替レートの変動は、業績に影響を与える可能性があります。
② 地政学的リスク
当社グループではアジア及び北米地域に事業拠点を開設するとともに、製品や原材料の輸出入などグローバルに取引を展開しておりますが、昨今の国際情勢で経済格差が顕著な地域や一部には政治的な緊張感が高まっている地域があり、こうした地域で、政治変動・経済情勢の変化・法改正等により、著しい景気の悪化、労働力不足やストライキのほか、テロ、戦争などが発生した場合、当社グループの経営成績や財政状況などに影響を及ぼす可能性があります。
③ 各国の経済通商政策リスク
当社グループは、事業をグローバルに展開しており、各国政府の経済通商政策の影響を受ける可能性があります。具体的には、免税であった輸出品が関税対象になる場合、あるいは元々関税対象だったがその関税が大幅に上昇する場合等のリスクがあります。また、直接的な関税賦課の影響に加え、その影響を受ける対象品の需要が減少することや、世界的に物品の流通に障害が出るなどの間接的な影響も想定されます。
このようなことから、特定の国・地域における経済政策の急激な変更、あるいは保護主義的な措置が導入された場合、当社の事業活動や収益性、投資計画に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 地震等自然災害及び感染症によるリスク
当社グループは、全社的に突発的な自然災害、不慮の事故の発生等に備えて、損害保険及び火災保険等により影響を最小限度に止めるよう努めておりますが、当社の産業用製品事業の中核を担う静岡工場は大規模地震発生の可能性を指摘されている地域に位置し、また、福島工場は「令和元年東日本台風」による浸水被害が発生した地域に位置しており、これらを含めた自然災害が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、感染症の発生及び拡大は、原材料の継続的な調達、生産体制の維持、市場への製品の安定供給やサプライチェーンに著しい支障をきたす場合があり、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 気候変動に関するリスク
当社グループでは、気候変動により気温上昇が進んだ場合に考えられる台風・集中豪雨等の異常気象や自然災害によって工場等が損害を受けた場合は、復旧のためのコスト負担などが経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、サプライチェーンが異常気象や自然災害によって損害を受けた場合も、原材料供給の停止などが生産活動に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会に向けた各種規制の強化、炭素税の導入など移行時の環境変化により、今後の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 製品の品質維持とブランドの毀損リスク
当社グループは、高い技術力に根差した高品質の製品を供給することにより築き上げてきた企業ブランド及び商品ブランドの維持・向上が経営上の重要課題であると認識しております。特に品質管理体制には万全を期しておりますが、予想を超える品質トラブルが発生すれば、売上の減少や企業ブランド価値の低下等経営成績や財政状態に支障をきたす懸念があります。また、従業員によるコンプライアンス違反やSNS等における根拠のない不正確な情報の拡散などが発生した場合、当社のブランドイメージが毀損し、消費者・取引先からの信頼を損なう可能性があります。その結果、当社グループの経営成績や財政状況などに影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報漏洩のリスク
当社グループは、事業活動において顧客等の個人や信用に関する情報を入手し、他企業等の情報を受け取ることがあります。これらの情報の秘密保持には細心の注意を払い、情報の漏洩が生じないよう最大限の管理に努めておりますが、不測の事態により情報が外部に流出する可能性があります。この場合には、損害賠償等の多額な費用負担が発生して、事業活動やブランドイメージに影響が及ぶ可能性があります。また、事業上の重要機密が第三者に不正流用されるおそれもあり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法律・規制・訴訟等のリスク
当社グループは、事業活動を行っている各国において、展開している事業に関連する様々な法律や規制の適用を受けております。今後、国内外における予期せぬ法律や規制の変更、新たな法律や規制により当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループはコンプライアンス(法令遵守)の徹底を図っておりますが、国内外の事業活動に関連して重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に労務関係では、当社グループは労働法規に則った適正な管理体制を構築し従業員の労働環境の向上に努めておりますが、長時間労働、職場でのハラスメント及び雇用形態における不均衡などのコンプライアンスに抵触する問題が発生した場合、行政指導や法的措置を受けるリスク、あるいは従業員のモチベーションや定着率の低下を招く可能性があります。
(9) 固定資産の減損リスク
① 産業用製品事業の減損リスク
当社グループの産業用製品事業が有する固定資産は、主として取引先の生産工程で使用されるなど事業者向けの製品を製造する設備であります。これら設備は事業者向けのため、製造設備の構造的規模あるいは投資金額が大きくなる傾向があり、短期的な回収より長期的な視点で設備投資を実施する場合があります。その場合、将来キャッシュ・フローを短期的に生成することができず減損損失に至る場合があります。
② 生活用品事業の減損リスク
当社グループの生活用品事業が有する固定資産は、主として消費者向けの製品を製造する設備であります。当社グループの一部製品は、他社と競合する製品が多数あり、その年の事業環境あるいは販売動向等、市場での商圏変動や販売価格変動等が起こりやすい環境下にあります。これにより収益性の低下が生じた場合、減損損失の兆候を認識し将来キャッシュ・フローを生成することができなかった場合は減損損失に至る場合があります。
(10) 知的財産侵害に関するリスク
当社グループは、技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者による知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、当社グループの製品又は技術が第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、その訴えが認められた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人材確保のリスク
当社グループの事業活動を継続的かつ安定的に展開していくためには、高い専門性と優れたマネジメント能力を有する人材の確保及び育成が不可欠であります。特に、研究開発、品質管理、海外事業などの分野においては専門性の高い人材の重要度が増しております。また、地方における人材獲得競争の激化、就労環境に対する意識の変化などにより、現場労働者の必要な人員の確保、育成が困難となる可能性があります。
今後も国内においては労働人口の減少が予測されますが、これらの人材の採用・定着・教育が計画通りに進まない場合、製品開発、生産体制の維持・拡充、及び営業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、働き方改革やダイバーシティ推進に対する対応が遅れた場合、企業の魅力度や従業員満足度の低下を招き、人材流出や採用競争力の低下につながる可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は株主の皆様への利益還元を重要な政策と位置づけ、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的かつ安定的な配当に加え、業績連動を考慮した配当を実施することを利益処分に関する基本方針としております。また、自己株式の取得及び自己株式消却を適宜行っております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
この基本方針のもと、2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)の期末配当金につきましては、1株当たり60.00円としております。これにより、中間配当金と合わせて当期の年間配当金は120.00円となります。内部留保金につきましては、技術・商品の開発、人材育成、新規設備及び物流合理化への投資、並びに相乗効果が期待できる企業買収や事業の譲受けへの投資等を行っていく方針であります。
なお、剰余金の配当等は、取締役会の決議で行うことができる旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。