2023年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

Videoクラウド事業 店舗クラウド事業
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
Videoクラウド事業 2,809 96.4 1,282 93.3 45.6
店舗クラウド事業 104 3.6 92 6.7 88.1

事業内容

3【事業の内容】

 当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、事業を通じてすべてのステークホルダーのみなさまから必要とされる会社を目指しております。顧客、従業員、株主、取引先企業、地域社会に対して1人でも多くの人に喜びや感動、幸せを分かち合い、価値ある商品やサービスを提供し続けることを目指しております。事業内容としましては、創業以来、中小企業事業者や個人事業主などのSMBの領域向けに、モバイルサイトや予約管理システムなどのデジタル化を推進していくサービスを提供しておりました。また、2015年から動画事業に先行投資を行い、動画を制作するだけでなく、視聴データの分析・改善ができるカスタマーサクセス体制を構築してまいりました。現在では動画を活用したDX(注)を提供しております。その結果、当社の累計取引社数は、20,962 社(2023年6月末現在)となっております。事業セグメントは、動画を起点に企業のマーケティングDXを支援するVideoクラウド事業と店舗向け予約・顧客管理システムを活用して店舗DXを支援する店舗クラウド事業から構成され、主たる事業のVideoクラウド事業の売上構成比は2023年6月期で96.4%となります。

 

 (注)DX:デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称。データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

 

 当社の各セグメントの事業内容は、以下のとおりであります。

 

(1)Videoクラウド事業

 当事業は、主に①動画制作サービス、②動画配信プラットフォームサービス(Videoクラウド)、③DXコンサルティングの3つのサービスを提供しております。

 

 動画制作サービス取引社数は、9,343社(2023年6月末現在)となっております。動画には「短時間で多くの情報を伝えられる」「記憶定着の効果が高い」「知覚情報を伝えられる」という3つの強みがあり、さらに、情報や視聴データを蓄積して資産化することが可能となっています。そのため、コロナ禍を経てテレワークが普及する中、「付加価値の向上(広告・プロモーション、営業資料、サービス紹介、ブランディング、社員総会、展示会、導入事例紹介、ウェビナー等)」と「業務の効率化(マニュアル・ナレッジ共有、カスタマーサクセス、社内報・コミュニケーション、教育・研修、インターンシップ、会社説明、工場・社内バーチャルツアー、IR・株主総会等)」の両面で動画の活用シーンが広がりを見せております。

 

 そして、当事業の特長は、動画制作を行うだけでなく、専用のプラットフォーム上での配信、分析・改善、データ活用からDXの推進に至るまで、一気通貫したサービス提供を行うことができる点にあります。

 特に、動画の価値を最大限に発揮することができるVideoクラウドに注力しており、2021年4月に本格リリースしてからサービス導入社数は3,390社(2023年6月末現在)となっております。

 当社が提供する動画配信プラットフォームのVideoクラウドは主に3つの特徴があります。

 1つ目は動画を配信する。お客様のwebサイトや採用サイトなど、オウンドメディア上に当社独自の再生ビューアを設け、お客様のPR動画や採用動画を配信いたします。

 2つ目は動画を分析する。当社独自の再生ビューアを介して動画を視聴していただくことで、50種類を超える視聴データの取得が可能となっております。ユーザーの興味関心の可視化や動画の投資対効果の算出が可能となります。

 3つ目は動画を拡張させる。拡張機能としてインタラクティブ動画や360°動画にも対応しており、動画で新たな顧客体験をもたらすことが可能となっております。You tubeなどでは、動画にインタラクションを付けることができず、VR動画の視聴には不向きであることから、当社のVideoクラウドは差別化を図ることが可能となっております。

 

 さらには、当事業では、Videoクラウドから抽出できる動画の視聴データ及び顧客のマーケティングデータを活用したDXコンサルティングサービスを行っております。

 当社では「動画を起点としたマーケティングDX」を標榜し、動画制作を起点としたバリューチェーン展開を行っております。Videoクラウドで取得した視聴データをもとに顧客の課題を可視化し、クロスセルを行います。クロスセルでは、例えばwebサイトへの流入が少ない場合は、デジタルマーケティングを活用しアクセス数を増やすなど、お客様の課題に応じた提案を行っております。また、会社全体のDXを促進したいお客様へは、SFAやCRMの導入・運用支援なども行っております。

 SMBの多くの企業では、マーケティング領域における動画の活用に関してのノウハウはもちろん、DX推進においても「何から始めていいのかわからない」「データを活用できずに放置されている」などの課題を持たれているものと認識しております。

 そのため、データの活用コンサルティングを中心に、サイト制作、デジタルマーケティング、採用支援におけるDX推進のためのコンサルティングサービスを展開しております。Videoクラウドの強化に加え、今後も多様なソリューションで複合的なDXを実現すべく、新たなソリューションの企画開発を進めて参ります。また、SMBの領域では事業規模が限られているという性質上、一つの課題を解決していく過程において、周辺領域の課題解決需要まで発展するケースもあります。そのため、カスタマーサクセス部門を構え、顧客と継続的な関係性を構築することで顧客のDX化を推進することに努めております。

 

(2)店舗クラウド事業(予約サービスの構築・運用)

 当事業は、店舗と利用ユーザーの間をつなぎ、ユーザーが会員登録をしなくても、24時間予約可能な予約・顧客管理システム「TSUNAGU」及び「いつあき」の提供を行っております。「TSUNAGU」は来店したユーザー情報の管理台帳機能やメルマガ配信機能により、再来店を促進しながら24時間いつでも、簡単に、予約管理及び顧客管理が可能なシステムとなっております。「いつあき」はさらに機能を簡素化し、シンプルに予約まで完結できる操作性により、スピードと便利さを強みとすることで、主に小規模事業者のDXを支援しているサービスとなっております。予約システムについては、直接的な市場環境のデータは少ないものの、国内における個人のインターネットの利用率は82.9%(注1)となっており、インターネットの利活用が広がりを見せる中、店舗のオンライン予約についても一定数のニーズが存在するものと認識しております。小規模事業者におけるITを導入する際の課題として、「導入の効果がわからない・評価できない」「コストが負担できない」に続き、「従業員がITを使いこなせない」が33.7%、「ITの旗振り役がいない」が26.0%となっており(注2)、ITリテラシーの不足やIT人材の不足により、予約・顧客管理システムについては、機能面が豊富なサービスよりも最低限の操作性や機能面の方が導入しやすいと考える事業者は一定数存在するものと考えております。また、小規模事業者に向け、直近3年間の売上高の傾向を間接業務(顧客管理を含む)のIT導入度別で行った調査結果(注2)において、売上高の傾向が増加傾向だと判断している割合は、IT未導入の場合24.9%であるのに対して、IT導入を積極的に行っている場合39.6%であることから14.7%の差があるという結果も出ております。当サービスを導入いただくことで店舗のDXを推進することが可能になると考えております。

 

(注)1.総務省  「情報通信白書(令和4年版)(令和4年7月5日公表)」

2.中小企業庁「小規模企業白書(2018年版)(2018年4月20日公表)」

 

(事業の優位性)

 事業の優位性は以下のとおりであります。

 

 データを活用し、ニーズが潜在的なSMB領域から安定して案件を獲得できる体制構築

 当社では、主に中小企業がメインのターゲットであり、案件の獲得を代理店やパートナーに依存することなく、見込み顧客へアプローチ、その後リードナーチャリング(注1)を行い、案件化に至るまで、自社のみで行える直販体制を構築し、安定的に案件を獲得することが可能となっていると考えております。

まず、マーケティング専門チームが、RPA(注2)を活用して効率的に見込み顧客を抽出・リスト化しております。そして、国内7拠点(札幌、仙台、金沢、東京、名古屋、大阪、福岡)(2023年6月末現在)において、160名以上のノウハウを持ったコンサルタントが在籍し、付加価値の高いコンサルティング提案を行うことで、潜在的なニーズの顧客層から案件を獲得できる直販体制を有しております。また、失注した案件についても、企業ごとにスコアリングを行い、スコアに合わせたリードナーチャリングを行うことによって、再度アプローチを図るための仕組みを構築しております。このように、当社は見込み顧客のセグメントに応じたマーケティングを行うことで、リスクを分散するとともに、規模・業種・業態を問わず幅広い企業にアプローチすることが可能です。

 また、当社では豊富な取引実績から得られた顧客の経営課題やクリエイティブのデータベースを蓄積・分析しております。この取り組みにより、ナレッジを共有でき付加価値の高い提案の再現性を持たせることや、属人化しにくい早期教育体制の構築にもつながっており、今後セールスコンサルタント人員が増加していったとしても、継続的に案件獲得ができる体制を構築しております。

 上記の体制を構築することによって、競合の少ない潜在ニーズ層からの案件獲得が可能になっていると認識しております。

 

(注)1.リードナーチャリング:見込み顧客(リード)に対してメルマガやセミナー、Webコンテンツなどを通して有益な情報を中長期的かつ適切なタイミングで提供し、自社の製品やサービスへの購買意欲を高め、将来的な受注につなげるためのマーケティング手法

2. RPA:ロボティック・プロセス・オートメーションの略称。これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みの総称

 

② 一気通貫したサービス提供による高収益体制

 当社では、機能別の分業体制を構築することで、営業活動から制作、その後のDXを推進するサポートまで、一気通貫したサービス提供を行っております。コンサルタントは顧客の課題に合わせたソリューション提案に専念し、クリエイティブ部門では、ディレクションや制作などそれぞれの専門分野の知識やノウハウを深化させることに専念できるようにしております。また、カスタマーサクセス部門では、Videoクラウドに蓄積された視聴データだけでなく、顧客のWebサイトなどのマーケティングデータをもとに課題の共有と改善を繰り返し続けることで、顧客のDXを推進することに専念しております。さらに、顧客のニーズや課題は独自のデータベース上でリアルタイムに共有できるようになっており、社内の部門間でも仮説検証のサイクルを回しながらナレッジ共有を行うことで、高品質なサービス提供とコンサルタントによる付加価値の高い提案を実現させることが可能と考えております。加えてクリエイティブ部門においては、独自のデータベース内にディレクションから制作まで、豊富な実績によるノウハウが蓄積されており、高品質化と内製化を推進することで、収益性の向上に努めております。その結果、全体の営業利益率は2021年6月期で17.0%、2022年6月期で22.8%、2023年6月期で25.4%になっております。

当社のポジションに新規企業が参入するためには、直販体制の構築から模倣する必要があるため、参入障壁は高いものと考えております。

 

[事業系統図]

 当社の事業系統図は以下のとおりであります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産の部)

 当事業年度末における総資産は2,386,263千円となり、前事業年度末と比較し907,892千円増加いたしました。

 流動資産は2,070,791千円となり、前事業年度末と比較し853,916千円増加いたしました。これは主に、公募増資414,000千円及び当期純利益510,027千円の計上による現金及び預金の増加771,815千円によるものであります。

 固定資産は315,472千円となり、前事業年度末と比較し53,976千円増加いたしました。これは主に、金沢営業所開設及び本社移転等による敷金の増加65,741千円、2019年6月30日に旧株式会社ファインズを吸収合併したことにより発生したのれんの償却18,239千円、営業支援システムの改良によるソフトウエア仮勘定の増加8,520千円によるものであります。

 

(負債の部)

 当事業年度末における負債は638,787千円となり、前事業年度末と比較し21,486千円減少いたしました。

 流動負債は638,787千円となり、前事業年度末と比較し21,486千円減少いたしました。これは主に、1年内償還予定の社債の償還20,000千円によるものであります。

 

(純資産の部)

 当事業年度末における純資産は1,747,476千円となり、前事業年度末と比較し929,379千円増加いたしました。これは主に、当期純利益510,027千円の計上に伴い利益剰余金が増加し、公募増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ209,676千円増加したためとなります。

 

②経営成績の状況

 当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限が緩和され経済回復が期待される一方、世界的に金融引締めが進む中で金融資本市場の変動や原材料価格の高騰等、景気下振れリスクが高まり、依然として先行きが不透明な状態が続いておりました。

 しかしながら、当社の位置するDX市場は2030年に6兆5,195億円(注)に達する見込みとされる等、社会全体としてDXへの関心やニーズへの高まりが定着しつつあり、当社にとっては継続的に追い風の状況が続いているものと考えております。

 このような環境下において当社は、「誰からも必要とされる会社になる」という経営理念のもと、主力サービスである「Videoクラウド」の販売に注力してまいりました。効果的な集客手段や求人方法などに課題意識を持った全国各地の中小企業事業者や個人事業主向けに、動画の視聴データを有効活用することで、「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪から経営課題の改善をサポートし、企業のDX化を推進する事業活動を行ってまいりました。また、当事業年度末でのセールスコンサルタント人員は、前年同期比で17.3%増加し、163名となっており事業拡大に寄与しております。また、社内制作の生産性が向上したことで、内製化率が引き続き高い水準で推移した結果、売上原価が抑制されております。これにより、当事業年度における各段階利益は、業績予想に対して順調な推移となりました。

 

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,913,096千円(前年同期比12.2%増)、営業利益は739,034千円(前年同期比24.9%増)、経常利益は743,469千円(前年同期比23.7%増)、当期純利益は510,027千円(前年同期比21.3%増)となりました。

 

(注)「2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研

 

 当事業年度の経営成績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

a.Videoクラウド事業

 当事業では、主力サービスである「Videoクラウド」の販売に注力し、全国各地の中小企業事業者や個人事業主等のSMB向けに動画の視聴データを有効活用することで、「付加価値の向上」と「業務の効率化」の両輪から経営課題の改善をサポートし、企業のDX化を推進する事業活動を行った結果、2021年4月に本格リリースした動画配信プラットフォームサービス「Videoクラウド」に関しては、導入実績社数が順調に拡大しており、ストック収益の積み上げに寄与しております。さらに、既存顧客へのアップセル・クロスセルへの取り組みを強化した結果、Videoクラウドで得られた視聴データを元に企業のDX支援を行うDXコンサルティングサービス等、複数商材を導入した顧客の増加により、業績が拡大しております。

 その結果、売上高は2,809,117千円(前年同期比18.6%増)、セグメント利益は1,281,952千円(前年同期比32.5%増)となりました。

 

b.店舗クラウド事業

 当事業は、2022年6月期を以って新規販売を停止しており、既存顧客のみへのサービス提供を行っております。

 その結果、売上高は103,978千円(前年同期比54.1%減)、セグメント利益は91,626千円(前年同期比43.4%減)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ771,815千円増加し、1,737,173千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は464,848千円(前事業年度は561,611千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益743,469千円(前事業年度は601,147千円の計上)の計上、売上債権の増加額による資金の減少51,581千円(前事業年度は5,287千円の減少)、契約負債の減少額53,221千円(前事業年度は110,009千円の増加)、法人税等の支払額215,411千円(前事業年度は161,582千円の支払)によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は83,336千円(前事業年度は3,395千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,400千円(前事業年度は2,091千円の支出)、敷金及び保証金の差入による支出68,702千円(前事業年度は1,073千円の支出)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は390,304千円(前事業年度は460,014千円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入419,252千円(前事業年度は7,514千円の収入)によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

Videoクラウド事業

2,669,670

109.6

558,854

92.2

店舗クラウド事業

2,051

2.5

合計

2,671,722

106.0

558,854

92.2

 (注) セグメントのうち受注販売を行っているのは、制作売上のみであります。上記金額は制作売上の受注高、受注残高であります。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Videoクラウド事業

2,809,117

118.6

店舗クラウド事業

103,978

45.9

合計

2,913,096

112.2

 (注) 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 

 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(のれんの減損)

 当社は、のれんについて10年間の均等償却を行っております。のれんを含むより大きな単位において事業計画どおりに業績が進捗せず、営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっている場合や、経営環境が著しく悪化しているような場合には、減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたり慎重に検討することとしておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②財政状態の分析

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,913,096千円(前年同期比12.2%増)となりました。これは主に、前事業年度同様、国内のDX市場の成長により、社会全体としてDXへの関心やニーズへの高まりが定着しつつあり、動画のDXにおける活用幅が拡がりを見せていることから、Videoクラウド事業のニーズが高まっていることが挙げられます。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度における売上原価は473,864千円(前年同期比3.5%減)となりました。これは主に、前事業年度同様、動画制作の内製化の向上に努めたことにより売上高外注費率が8.0%(前年同期比2.6ポイント減)へ減少したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の売上総利益は2,439,231千円(前年同期比15.9%増)となりました。売上総利益率は2.6ポイント増加し、83.7%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度における販売費及び一般管理費は1,700,196千円(前年同期比12.4%増)となりました。これは主に、中途採用を積極的に行ったことにより給与手当が89,239千円増加、外形標準課税の適用により租税公課が22,881千円増加したことによるものであります。

 この結果、当事業年度の営業利益は739,034千円(前年同期比24.9%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度における営業外収益は13,511千円(前年同期比19.8%減)となりました。これは主に、顧客からのキャンセル増加に伴い、逸失利益の補填に係る受取補償金が2,775千円減少したことによるものであります。また、営業外費用は9,076千円(前年同期比21.3%増)となりました。これは主に、株式上場に伴う上場関連費用が6,948千円増加したことによるものであります。

 この結果、経常利益は743,469千円(前年同期比23.7%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

 当事業年度における特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税等合計を233,442千円計上しております。

 この結果、当期純利益は510,027千円(前年同期比21.3%増)となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社の運転資金需要の主なものは、外注費、広告宣伝費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

 運転資金及び投資資金は自己資金のほか、金融機関からの長期借入により調達することとしております。なお、当事業年度末の現金及び預金は1,737,173千円であり、十分な流動性を確保していると考えております。

 

⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高構成比の高い、Videoクラウド事業の収益モデルを重視しております。売上高及び営業利益の主な構成要素として下表の指標を主要な経営指標と位置付けております。

 a.セールスコンサルタント数(注1)

 b.納品件数(注2)

 c.動画制作単価(注3)

 d.内製化率(注4)

 

重要な経営指標

2020年6月期

2021年6月期

2022年6月期

2023年6月期

セールスコンサルタント数(人)

63

76

120

152

納品件数(件)

1,189

1,306

1,523

1,795

動画制作単価(千円)

860

1,100

1,320

1,314

内製化率(%)

33.6

34.1

46.6

77.2

(注)1.Videoクラウド事業(DXコンサルティングを除く。)のセールスコンサルタント在籍人数を期中平均算出

2.動画制作サービスの納品件数

3.動画制作サービスの平均制作単価であり、小数点以下は四捨五入

4.動画制作工程の「①ディレクション」「②撮影」「③編集」「④納品」のうち、「②撮影」以外の全ての工程を当社で担った案件の比率を算出

 

 当該指標に対する今後の方針としては、中途採用を中心としたセールスコンサルタントの採用強化、それに伴う納品件数の増加、戦略的顧客ターゲット層の引き上げによる動画制作単価の向上、内製化促進による動画制作プロセスの改善とそれぞれを強化していくことで、結果として売上高、営業利益の成長に繋げていきたいと考えております。