リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社のリスク管理体制に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。
また、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
①景況感について
当社では、原材料価格の高騰によるインフレや金利上昇等による景気下振れにより、当社がターゲットとする中小企業のコスト増加懸念が拡大した場合、集客や求人広告への投資意欲に影響が懸念されるため、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②市場について
当社は、DXの遅れが深刻であると考えられるSMB領域にて、動画や店舗のデータを活用し、DXを推進していく事業を展開しております。そして、「サービス価値の向上」と「課題解決領域の拡大」の2つを柱とした成長戦略を策定しており、引き続き事業の拡大を行ってまいります。しかしながら、今後も国内におけるDXの重要性は増していくものと考えられるものの、当社の属する動画制作サービス市場、動画配信プラットフォームサービス市場、ビジネスコンサルティング市場、XR市場において、万が一DX市場の伸張の恩恵を受けられなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③競合他社の動向について
当社の事業に直接的に競合する企業はないと認識しているものの、当社の主たる事業であるVideoクラウド事業においては、動画制作サービス、動画配信プラットフォームサービス、DXコンサルティングと3つに分類ができます。競合他社は、それぞれの分野において、複数存在しており、今後の市場規模拡大に伴い新規参入が相次ぐと考えております。そのため、市場シェアの獲得競争や、上記3つのそれぞれの分野において部分的に模倣されるリスクが一定数存在すると考えております。しかしながら、当社はマーケットイン志向により顧客ニーズに合わせてサービスの拡充を進め、マーケティングから直販体制により安定的に案件を獲得できる体制を構築し、ディレクションから制作、カスタマーサクセスまで、一気通貫したサービス提供を行える体制を構築することで、競争優位性の向上に努めてまいりました。今後も顧客目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度を向上させ、ユニークなポジショニングの構築を積極的に行ってまいりますが、競合の新規参入により競争優位性が低下した場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④特定の事業への依存について
当社の売上高は、主力事業であるVideoクラウド事業が2022年6月期で91.3%、2023年6月期で96.4%を占めており、依存が大きくなっております。Videoクラウド事業を展開している市場が拡大していることに加え、顧客数の増加やサービスの拡充等により、今後もVideoクラウド事業は拡大していくものと考えておりますが、顧客数の減少や市場規模の縮小等の要因によりVideoクラウド事業の売上高が減少した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤技術革新への対応について
当社は、各サービスの価値向上のために有効であると思われる新たな技術やノウハウを積極的に取り入れ、急速な技術変化や顧客のニーズの変化に応じたサービスの機能拡充及び強化を進めていく方針ですが、これらの技術革新への対応やサービスが遅れた場合や予想外に開発等の費用が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥新型コロナウイルス感染症・自然災害について
当社は、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に止めるよう努めておりますが、不透明な状況が継続しております。今後も感染拡大による社会経済活動の停滞の影響により、受注の減少及び解約の増加、当社従業員の罹患等によって、業績に相応の影響が及ぶ可能性があります。
また、台風、地震等の自然災害等が発生した場合には、速やかに危機対策、復旧対応を行うよう努めておりますが、当該事象による営業活動への影響等、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業体制に関するリスク
①特定の人物への依存について
当社の代表取締役社長である三輪幸将は、当社の最高経営責任者であり、経営方針や事業戦略の決定、開発、サービスラインナップ、商品コンセプト等に関してリーダーシップを発揮しており、当人の属人的な能力に依存しております。そのため、各事業部門のリーダーへ権限委譲を進めることで、当人に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、万が一、当人に不測の事態が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の採用・確保について
当社では、今後の事業展開のため、優秀な人材の確保が重要であると考えております。人事制度の見直しや社内教育等を行うことによって体制の強化に努めるものの、DXコンサルティングや顧客の課題に応じたソリューションを提案できる人材の争奪により、優秀な人材の採用や確保が困難な場合や、人材が外部に流出してしまう場合には、事業拡大の計画遅れやサービスレベルの低下を招くおそれもあり、結果として当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③システム障害について
当社は、安定的に商品・サービスを提供できる環境と社内インフラを構築するために、社内リソースだけに頼らず積極的に外部の商品・サービスも取り入れシステム環境を構築しております。また、ウイルスやハッカー対策を中心としたセキュリティ対策も積極的に行っております。しかしながら、想定を超えたシステム障害、自然災害、テロ等によりコンピューターシステムが停止し、又はインターネット回線の接続が不能となった場合、当社の業務遂行に支障をきたすリスクがあり、当該リスクが顕在化すると、機会損失の発生、代金の返還、損害賠償の支払、社会的信用の失墜等を通じて当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④顧客へ提供するクラウドサービスについて
当社は顧客に対してクラウドサービスを提供しております。クラウドサービスは、通信ネットワークやサーバー等のネットワーク機器の環境に依存しております。そのため、当社では障害への適切な保護・対応手段を講じておりますが、災害や事故等の発生により通信ネットワークやネットワーク機器に不具合が発生した場合には、安定したサービス提供を行うことができなくなる可能性があります。この場合、信用低下や企業イメージの悪化等により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤訴訟及びトラブル等に関するリスクについて
当社は、継続的にコンプライアンス研修を行い、健全かつ透明なビジネス活動の実践に努めておりますが、当社の商品・サービスに対する信頼性の低下やクレーム等が発生する可能性があります。また、弁護士等をはじめとする外部専門家に事前相談すること等により、適切かつ適法な対応に努めておりますが、すべての訴訟等の可能性を排除することは困難であり、法令違反等の有無に関わらず訴訟を提起される可能性があります。万が一、当社に対して訴訟や法的手続きが行われた場合、訴訟の内容及び金額によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥専門事業者の活用について
当社では、実写やアニメーションの映像だけではなく、マンガを使った動画制作や、イラストを動かすLive2Dでの作画、3Dグラフィックでの制作も可能であり、様々な動画制作専門業務分野ごとに特定のパートナー企業を選定し、相互協力してサービスを提供しております。各パートナー企業に不測の事態が生じ又は市場の逼迫等によりパートナー企業への発注費用が上昇すると、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はパートナー企業の選定を、その業績、業界での評判、従前の当社との取引関係等を勘案して慎重に行っており、これに加えて、パートナー企業選定後も、パートナー企業の業務運営の監督及びその提供する成果物の検収、品質レベル評価を厳正に行っております。しかし、パートナー企業の提供する成果物に隠れた瑕疵が存在する可能性がないとはいえず、当該瑕疵によって当社の顧客が損害を被った場合、当社に対する損害賠償請求その他の責任追及又は当社の社会的信用の失墜等によって当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦システムの保守運用を特定のパートナー企業へ依存するリスクについて
当社は、Videoクラウド事業の運営にあたり、保守運用等を外部パートナー企業に委託し利用しております。現在はパートナー企業との取引関係は安定しているものの、サービスの提供元においてシステム障害が発生する場合や、パートナー企業の事業撤退等により、サービス供給が停止し、代替先を確保できなかった場合等には、Videoクラウドのサービス提供に支障が生じ、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営管理に関するリスク
①法的規制について
当社は、「著作権法」「不当景品類及び不当表示防止法」「商標法」「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「下請代金支払遅延等防止法」といった法的規制の対象となっております。当社は、コンテンツ制作過程においてコンテンツ審査専門業者による審査を実施するなど、法的規制を遵守する体制を構築しております。また、現在のところ、当社の事業の阻害要因となる直接的な法規制又は業界の自主規制はありません。しかし、事件・事故等を起因に世論が規制強化の方向に流れた場合や諸外国の規制や司法判断による影響を受け、我が国でも規制強化が行われた場合等、動画配信プラットフォームサービスに係る法規制又は自主規制が強化される可能性があります。現時点でその規制内容を予測することは困難でありますが、その内容如何によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権について
当社は、現在、一部の商品・サービス名称について商標登録を行っております。一方、当社による第三者の知的財産権侵害の可能性については、コンテンツ制作過程においてコンテンツ審査専門業者による審査を導入し、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、表示と異なる素材の権利者が存在した場合等、当該侵害のリスクを完全に回避できる保証はなく、当社において、第三者が保有する知的財産権の侵害が生じた場合、当該第三者より、損害賠償請求、差止請求、あるいは使用料支払要求等を受けた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③情報資産の管理について
当社は、事業推進にあたり顧客企業等の機密情報及び個人情報を入手する場合があります。そのため当社は、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられており、これらの情報資産の管理を事業推進上の重要事項と認識しております。そのため個人情報管理規程等を制定し厳格に管理するとともに、コンプライアンス研修等を通じて継続的に社員教育を行うなど管理体制の構築に積極的に取組んでおります。しかしながら、今後顧客情報の流出等の問題が生じた場合には、損害賠償請求や信用低下等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④内部管理体制について
当社は、今後更なる事業拡大を図るために、内部管理体制についても一層の充実を図ることが必要であると考えております。しかし、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合、適切な事業運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、長期的な企業価値の向上に対する役員及び従業員の士気を高める目的等のため、新株予約権を発行しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は216,800株であり、発行済株式総数4,540,000株に対する潜在株式数の割合は4.8%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合、発行済株式総数が増加し、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
②大株主について
当社の代表取締役社長三輪幸将による保有株式の総数は2,141,500株であり、当事業年度末現在で発行済株式総数の47.16%となっております。代表取締役社長三輪幸将は安定株主として引き続き一定の議決権を有し、議決権の行使にあたっては少数株主の利益にも配慮しつつ株主共通の利益を追求する方針です。しかしながら、何らかの事情で当該株式を売却する等の理由により株式数が減少し、議決権比率が低下した場合には、当社株式の市場価格や議決権の行使状況に影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策について
当社は、株主に対する利益還元とあわせて、財務体質を強化し、より一層の競争力強化を経営上の重要課題として位置付けております。当社は成長過程にあり、内部留保を充実させて、事業拡大のための新規投資を実行することが、長期的に株主に対する利益還元に資すると考えております。
そのため、創業から配当は実施しておらず、今後におきましても将来の事業投資と経営基盤の強化を目的に適正な内部留保を確保することを基本方針としております。なお、今後は株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて柔軟な対応を行っていく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元とあわせて、財務体質を強化し、より一層の競争力強化を経営上の重要課題として位置付けております。当社は成長過程にあり、内部留保を充実させて、事業拡大のための新規投資を実行することが、長期的に株主に対する利益還元に資すると考えております。
そのため、創業から配当は実施しておらず、今後におきましても将来の事業投資と経営基盤の強化を目的に適正な内部留保を確保することを基本方針としております。今後は株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて柔軟な対応を行っていく所存でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
なお、内部留保資金は、財務体質の強化及び継続的な事業拡大のための新規投資の資金として、有効に活用してまいります。
剰余金の配当を行う場合、年1回の剰余金の配当を期末に行うことを基本としており、期末配当の決定機関は株主総会である旨を定款に定めております。また、取締役会の決議によって、毎年12月31日の最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項に定める中間配当をすることができる旨を定款に定めております。